《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2010.01.05
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 今年もアメリカ政府は「イスラム掃討作戦」を展開するつもりのようだ。昨年12月にアメリカ政府はイエメンでの軍事行動に前向きの姿勢を示し、連邦地裁判事は非武装のイラク市民を殺害した傭兵に無罪を言い渡している。バラク・オバマ政権も「軍事信仰」からチェンジできていない。

 例えば、12月中旬にイエメン北部のマーケットが空爆され、一般市民35名以上が殺されている。攻撃したのはサウジアラビアだとされているが、これが確かなら面倒なことになるだろう。サウジアラビアの王制は決して安定していない。かろうじてアメリカが支えているのが実態で、国民の怒りが爆発すれば「民主化」されて反米体制が誕生するだろう。それではアメリカもイスラエルも困る。サウジアラビアの空爆には理由があり、そうした軍事行動をアメリカ政府が支援していることをアピールしなければならない状況になったと言える。

 空爆を正当化する理由としてアメリカは、いつものように「アルカイダ」を持ち出してきた。イエメンには「アルカイダの脅威」が存在し、大使館を閉める必要があるほどの危機が迫っていると宣伝しているのだが、イエメン政府はアメリカ側の主張を「誇張だ」としている。アフガニスタンやイラクへの先制攻撃も誇張と嘘でアメリカ政府は始めたことを考えると、今回の主張に説得力はない。

 しかし、何らかの軍事行動が起こる可能性はある。イエメンの反体制派、アメリカ政府が言うところのアルカイダが実行するかもしれないが、それ以上に警戒すべきなのはアメリカの動きだ。何しろ、アメリカは世界で最大、最強のテロ国家である。アルカイダもアメリカが作り上げたモンスターだ。

 過去を振り返ると、例えば、ベトナム戦争でアメリカの情報機関(CIA内の破壊工作部隊)と特殊部隊は敵の影響下にあると見られる村を襲撃して皆殺しにしたり、敵側の人間である疑いのある人物を次々に拘束し、拷問の上で殺している。また、南ベトナム解放民族戦線を装って爆弾を都市部で炸裂させている。これが悪名高き「フェニックス・プログラム」だ。(日本のマスコミや学者は触れたがらないが。)

 それ以外にも、イタリアでは左翼勢力への支持を減らすため、「左翼過激派」を装って「爆弾テロ」を実行したことが判明した。1960年代の前半にアメリカ軍やCIAの軍事強硬派が練り上げたノースウッズ作戦もそうした種類のものだ。つまり、アメリカに逆らうと「テロ攻撃」を受ける可能性がある。

 アメリカのとってイエメンはソマリアと同じように、重要な国である。両国はアデン湾をはさんで向き合い、紅海からスエズ運河へ向かう入り口に位置している。現在、スエズ運河はアメリカやイスラエルと友好的な関係にあるエジプトが支配しているのでアメリカ政府としては安心だろうが、イスラム勢力が強いイエメンとソマリアは違う。ソマリアが無政府状態になった最大の原因は、アメリカがイスラム勢力を軍事力で排除しようとしたことにある。しかも、ソマリアでの作戦にはウィリアム・ボイキン中将(退役時)のように、イスラム教徒との戦いを「宗教戦争」と考えているような軍人も参加しいていた。ボイキンは狂信的なキリスト教原理主義者(キリスト教系カルト)としても知られている。

 ボイキンと同じようにキリスト教系カルトを信じ、特殊部隊に所属していたエリック・プリンスが創設した傭兵会社がブラックウォーター(現社名:Xe)。この会社は軍だけでなくCIAとも契約関係にあり、真偽のほどは不明だが、「死の部隊」として動いているとする噂はイラク占領直後から流れていた。

 そのブラックウォーターが雇っていた傭兵5名が2007年9月、イラクの首都バグダッドで非武装のイラク人14名から17名を殺害し、アメリカで起訴されたのだが、「手続き上の理由」から連邦地裁判事のリカルド・ウルビナは「元傭兵」5名に対して無罪を言い渡した。イラク人の怒りを軽減するための演出なのかもしれないが、これで「一件落着」とはいかないだろう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010.01.05 14:58:05


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: