イスラエルによるパレスチナ人虐殺が続くガザにドナルド・トランプ大統領は1.4平方キロメートルのアメリカ軍基地を建設、5000人の兵士を収容する計画だという。昨年11月に国連の安全保障理事会はトランプ大統領のガザ計画を承認する決議を採択、13カ国が賛成し、中国とロシアは棄権している。
ガザでは建造物が徹底的に破壊され、多くの遺体は瓦礫の下にあるため、何人が殺されたかは明確でない。 医学雑誌「ランセット」は2023年10月7日から24年6月30日までの間にガザで外傷によって死亡した人数は6万4260人と推計、そのうち女性、18歳未満、65歳以上が59.1%だとする論文を発表した 。
「ハーバード大学学長およびフェロー」のウェブサイト「データバース」に掲載されたヤコブ・ガルブの報告書 では、イスラエル軍とハマスの戦闘が始まる前には約222万7000人だったガザの人口が2025年の時点で185万人に減少、つまり37万7000人が行方不明になっているという。状況から考え、行方不明者の大半は死亡している可能性が高く、死亡者の約4割は子ども。女性を含めると約7割に達すると言われている。アメリカ、イギリス、ドイツをはじめとする欧米諸国はイスラエルによるこの大量虐殺を支援していた。トランプ大統領はその大量虐殺を「地上げ」と認識しているのだろう。
ガザでの大量虐殺は2023年春にイスラエル政府が始めた挑発行為から始まった。その年の4月1日にイスラエルの警察官がイスラム世界で第3番目の聖地だというアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺、4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクへ突入し、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/今年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃している。そしてユダヤ教の「仮庵の祭り」(今年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入した。
そして2023年10月7日、ハマス(イスラム抵抗運動)を中心とするパレスチナの武装グループがイスラエルを奇襲攻撃するのだが、その際、イスラエル側の監視システムが機能していない。
この攻撃では約1400名(後に1200名へ訂正)のイスラエル人が死亡したとされ、その責任はハマスにあると宣伝されたのだが、 イスラエルのハーレツ紙によると、イスラエル軍は侵入した武装グループを壊滅させるため、占拠された建物を人質もろとも砲撃、あるいは戦闘ヘリからの攻撃で破壊。殺されたイスラエル人の大半はイスラエル軍によるものだと現地では言われていた。 イスラエル軍は自国民を殺害するように命令されていたというのだ。いわゆる「ハンニバル指令」である。ハマスの残虐さを印象付ける作り話も流された。
サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたとされている。
これこそがガザでイスラエルによって行われていることだと言える。ネタニヤフによると、「われわれは光の民であり、彼らは闇の民」なのだ。
ネタニヤフは8月23日、ナイル川からユーフラテス川に至る大イスラエルを創設するという「歴史的かつ精神的な使命」を宣言している。中東をイスラエルが征服、エネルギー資源を支配するというわけだ。ネタニヤフがイランを攻撃したがり、そうした行為や計画を欧米諸国が支援してきた理由のひとつはここにある。それに比べれば、イランの核開発は大した問題ではない。
ネオコンは1980年代にイラクのサダム・フセイン体制の転覆を主張していた。イラクに親イスラエル体制を樹立、イランとシリアを分断して両国の体制を転覆させるという計画だ。
欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めた経験のあるウェズリー・クラークによると、2001年9月11日の攻撃から10日ほど後、彼は統合参謀本部で攻撃予定国のリストを見たという。そのリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが記載されていた。( ココ や ココ )
昨年6月13日にイスラエル軍はイラン国内から発射されたミサイルとドローンで同国を攻撃、イラン軍のモハンマド・バゲリ参謀総長や革命防衛隊(IRGC)のホセイン・サラミ司令官を含む軍幹部、さらに少なからぬ核科学者が殺害された。アメリカでの報道によると、イスラエルは数カ月かけてドローンの部品を商業貨物として秘密裏にイランへ持ち込み、組み立て、主要地域に配置し、トレーラーに設置された発射装置などから攻撃したという。アメリカの軍や情報機関が協力していた可能性がある。その際、イランの防空システムが麻痺したが、8時間から10時間で回復している。
それに対し、イランは報復攻撃を開始。テルアビブやハイファといったイスラエルの都市がイランのミサイル攻撃を受けた。
イランの攻撃がイスラエルや欧米諸国の予想を上回り、イスラエルやアメリカはミサイルが不足、そのまま戦闘が続くとイランに負けてしまうことは不可避だった。イランが停戦に合意しなければ、イスラエルは数日、あるいは数週間以内に崩壊していたと言われていた。今回はイランの最高指導部を壊滅させることに注力するかもしれない。
そして現在、トランプ政権はイラン周辺に2隻の航空母艦を派遣、再びイランを攻撃する姿勢を見せている。少なくとも2週間は攻撃を継続できる規模だ。民主党のリーダーたちは戦争に反対していない。中東をイスラエルに支配させるというプランは彼らも支持しているが、自分たちが矢面に立つことは嫌がっている。2024年の大統領選挙で民主党に勝つ意欲が見られなかったのはそのためだという人もいる。所詮、共和党も民主党も帝国主義政党にすぎない。
アメリカ軍がイランを攻撃した場合、イラン軍はホームでの戦いになる。アメリカ軍はミサイルや砲弾の補充が容易ではない。昨年6月の戦闘でイランの保有するミサイルが枯渇したわけではない。過去にイラン政府は地下に建設されたミサイル保管施設の映像を公開している。
昨年の戦闘でイランが発射したミサイルの92%は撃墜されたとイスラエルは主張、それを西側メディアは垂れ流していたが、マサチューセッツ工科大学(MIT)のセオドア・ポストル名誉教授はイランが発射したミサイルの迎撃成功率は5%程度だと推計している。アメリカ製防空システムのパトリオットによる迎撃成功率はせいぜい1割程度と言われているので、適切な数値だろう。
実際の被害状況から判断しても、ポストルの主張が事実に近い。昨年6月のイランによる攻撃ではイスラエルの情報機関モサドの司令部、軍情報部アマンの施設、イスラエルの核開発計画でも中心的な役割を果たしてきたワイツマン研究所、ソロカ医療センターなども破壊され、軍事基地にも着弾、石油施設や発電所などの重要なインフラも被害を受けている。
**********************************************
【 Sakurai’s Substack 】
【 櫻井ジャーナル(note) 】