ロシア軍の元参謀総長で、国防副大臣を務めたこともあるユーリー・バルエフスキーはウラジミル・プーチン露大統領のウクライナを舞台として戦争への取り組み方を批判、話題になっている 。プーチンのNATOに対する姿勢が弱腰で、そこをつけ込まれてロシアの未来を危うくしていると言うのだ。バルエフスキーだけでなく、モスクワのエリート層はウクライナ戦争終結のためにプーチン大統領が断固とした行動を取らなかったことに不満を抱いていると言われている。
こうした批判はアメリカの元政府高官などからも聞かれる。断固とした姿勢を見せないとネオコンは付け上がり、事態を悪化させるとしている。NATO諸国と合意が成立するとプーチン政権は考えているのかもしれないが、それは幻想に過ぎない。
プーチン大統領が断固たる行動に出ない理由のひとつは話し合いで解決したいという思いがあるのだろうが、アメリカ、イギリス、イスラエルといった類の国々には通用しないだろう。こうした国々がこれまでに行ってきたことを振り返れば明らかだ。交渉は時間稼ぎであり、合意を自分たちは守らず、相手には守らせる。騙し討ちも得意技だ。そうした手法でアメリカやイスラエルはイランの指導層は殺されてきた。
こうした国々を相手にしていれば、バルエフスキーのような主張をする人が出てきて当然だが、西側はそれを狙っている可能性がある。ロシア、中国、イランなどの指導部で内紛が起こることを西側は願っているだろう。西側の大手メディアはバルエフスキーの発言を利用したいはずだ。
しかし、プーチンの「甘い対応」がNATO諸国を戦争へと引き摺り込み、疲弊させているとも言える。ウクライナやイランでの戦争で欧米諸国やイスラエルの兵器は枯渇状態。「停戦」で態勢を立て直そうするものの、金融化が促進された西側諸国の生産能力はロシアや中国に比べて劣る。NATOが兵器や情報をウクライナ人に提供すればロシア人を弱体化せられ、その上で攻撃すればNATOは勝てると考えたのだろうが、そうした展開にはなっていない。ジハード傭兵やネオ・ナチでゲリラ戦を挑むのかもしれない。
西側メディアはNATOの軍事力は強大であり、ロシアのそれは弱いと本気で信じているかもしれないが、それは妄想に過ぎない。ウクライナでの戦争を見るだけでも明らかだ。1991年12月にソ連が消滅した後、米英の私的権力は致命的な失敗を犯した。ロシアやイランといった国と本当に戦争を始めてしまったのだ。その結果、彼らの幻術は効力をなくした。イギリスはアヘン戦争後、東アジア侵略の代理として日本を使ったが、現在の日本に中国に対抗するだけの戦力があるとも思えない。
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【 櫻井ジャーナル(note) 】