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2026.09.06
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 アメリカ政府の特使、スティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーが9月5日、モスクワのブヌーコボ空港に到着、ロシア大統領特別代表を務めるキリル・ドミトリエフの出迎えを受けた。その直前、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官はアメリカ政府に対し、現実を素直に受け入れなければならないと警告している。ロシア大統領府が9月5日に発表したところによると、この訪問に合わせ、ウラジミル・プーチン露大統領はキエフへの攻撃を3日間停止するように命じた。




 ウィトコフとクシュナーは外交の素人であり、特使に任命されてから行ったことはインサイダー取引くらいだと陰口を叩く人もいる。ふたりはウクライナ戦争を終結させるための提案をモスクワへ持ち込むとされているが、今回の訪問で和平が実現すると考えている人は多くないだろう。2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用してキエフでクーデターを成功させた直後からプーチン政権は話し合いでの解決を模索してきたが、それを欧米諸国は拒否してきた。特に好戦的だったのはイギリス政府である。

 イギリスをはじめとするヨーロッパの好戦的な国々はロシアの飛び地であるカリーニングラードに対する攻撃を匂わせ、ロシアを挑発している。そのカリーニングラードへ大型輸送機のAn-124が飛来、2日間滞在した後、9月3日にサンクトペテルブルクへ戻ったという。ベラルーシへ中距離弾道ミサイルのオレシュニクを運んだ時に使われたケースがあるため、オレシュニクや短距離弾道ミサイルのイスカンデルのような強力な兵器が持ち込まれたのではないかと推測する人もいる。

 すでにロシア軍はキエフやオデッサにあるNATO諸国の企業も攻撃し始めていることから、ウクライナ向けの兵器を製造しているNATO諸国の工場を攻撃したとしても不思議ではない。

 NATO/ウクライナは2014年2月から22年2月にかけてのミンスク停戦期間中にキエフのクーデター政権の戦力を増強した。クーデター軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施す一方、要塞線を築いている。その中核がマリウポリ、ソレダル、マリーインカ、アブディフカの地下要塞だが、マリウポリとソレダルは2022年に、またマリーインカとアブディフカは23年にそれぞれ陥落。それでも要塞線は存在していたが、戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカをロシア軍が今年に入って制圧、勝敗は決したとみられている。

 NATO諸国は一発逆転を狙ったギャンブル作戦を繰り広げているが、成功していない。昨年12月28日から29日にかけて91機のドローンがモスクワ北西部のノブゴロド州にある大統領公邸を攻撃した。

 ロシア軍は29日に撃墜されたドローンの航法装置を調査、飛行計画を含むファイルを取り出すことに成功している。そしてドローンの最終目的地がロシア大統領官邸内の施設のひとつであったことを突き止め、そのデータはアメリカ側に提出されたという。

 プーチン大統領の暗殺を狙ったということだが、こ右下作戦を実行するためにはドローンを誘導する衛星が必要であり、プーチン大統領の行動に関する情報も入手する必要がある。ロシア側の主張が正しければ、つまりアメリカやイギリスの情報機関が関与していた可能性が高い。この出来事はロシア政府が外交的な解決を断念する要因のひとつだともみられている。8月25日にジョン・ラトクリフCIA長官がモスクワを訪問したのはロシアから見ると挑発以外の何ものでもない。ロシア政府から相手にされなかったのは当然だ。

 NATO諸国の内部は現在、ウクライナをめぐって対立が生じている。そのひとつの現れがSBU(ウクライナ安全保障庁)とGUR(ウクライナ国防省情報総局)の対立。9月3日朝にはGUR側に死傷者出た。その背景にはオレクサンドル・ポクラドSBU長官代行と今年1月までGURの総局長を務めていたキリロ・ブダノフの対立があると言われている。

 2014年2月のクーデター直後、SBUはCIAの管理下に入ったが、2019年5月に大統領となったウォロディミル・ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6の指揮下にあり、その後、SBUはゼレンスキー派、つまりMI6が支配するようになった。それに対し、CIAの訓練を受けたブダノフはCIAがついているとみられている。その対立は資金源、例えば詐欺の拠点である「コールセンター」事業の支配権をめぐる争いという側面もある。

 ロシアとの戦争に最も熱心な国がイギリスだということは2022年の段階で判明している。この年の2月、NATOによるドンバス(ドネツクとルガンスク)への攻撃を察知したロシアはウクライナに対するミサイル攻撃を開始、ドンバス周辺に集結していたウクライナ軍、ウクライナ各地の軍事施設や生物化学兵器の研究開発施設を攻撃するが、すぐに停戦交渉が始まり、ほぼ合意に達する。​ 仲介役のひとりだったイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットは交渉の内容を長時間のインタビューで詳しく話した ​。

 ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでプーチン大統領と数時間にわたって話し合い、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会った。

 ​ その3月5日にSBUはキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺している ​。ウクライナの国会議員、フョードル・ベニスラフスキーによると、キリーエフ暗殺に関与したSBUのアレクサンダー・ボバは今回のGURメンバー殺傷事件にも関係、拘束されたという。

 2022年の停戦交渉はトルコ政府も仲介、やはり停戦でほぼ合意に達していた。その際に仮調印されているのだが、​ 「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案をプーチン大統領はアフリカ各国のリーダーで構成される代表団が2023年6月17日にロシアのサンクトペテルブルクを訪問した際に示している ​。

 それに対し、イギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、戦争を継続するようウォロディミル・ゼレンスキー大統領(当時)に命令、停戦合意は壊された。2022年4月9日のことだ。(​ ココ ​や​ ココ ​)

 ゼレンスキーは2020年10月にイギリスを公式訪問したが、その際、MI6の長官だったリチャード・ムーアを非公式に訪問している。アメリカ海兵隊の元情報将校で、​ UNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが製作したドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官を務めていたリチャード・ムーアだと推測されている。 ​ゼレンスキーの周囲で警護している要員はイギリス人だとも言われている。

 CIAの前身であるOSSはMI6を教官役として組織されたが、いずれも背後に存在しているのは金融機関。MI6にしろCIAにしろ、情報機関は金融機関が政府を操る仕組みとして機能している。イスラエルのモサドもこの2機関と緊密な関係にある。

 つまり、MI6、CIA、モサドは近い関係にあるのだが、ウクライナをめぐっては対立しているようだ。情報機関の背後にいる私的権力の利害が対立しているのだろう。負け戦になると分裂が始まる。

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最終更新日  2026.09.06 01:00:35


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