コメントとTBをありがとうございました。
これからもお邪魔させて頂きますので、よろしくお願いいたします。

河野通勢は、私も後年の挿絵・銅版画が興味深かったです。
若い頃の傾向とは変わって、東洋の題材が多かったのが意外な感じでした。
あのフジタ似の写真も、目を引きましたね! (2008年06月16日 22時56分27秒)

つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

全て | 徒然 | 読書 | アート |
2008年06月15日
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カテゴリ: アート
この画家の「好子像」は、竹橋の近代美術館で見たこ
とがあり、「源平合戦」も「揺らぐ近代展」で眺めていた
ので、名前だけは昔から印象に残っていた。

そんなおり、今年の春、新日曜美術館で放送されてか
ら、「鬼才」という言葉が頭に引っかかっており、楽し
みにしていた展覧会である。

河野通勢.jpg

チラシに掲載されている聖ヨハネ像にも、惹かれるも
のがあった。ロシア正教の信者でもあったということ
で、神秘的な宗教画を観ることができるのではと、 

上がった。

展覧会は、10代の頃から描いた、故郷長野県の裾花
川周囲の風景画から始まる。コローから影響を受けた
とあったが、ウネウネしたタッチはゴッホの影響のよ
うにも思える。

濃密なむせ返るような緑の木々が、魚眼レンズで眺め
たように描かれている。決して美しくはないが、エネ
ルギーのつまった不思議な絵だ。ちょっと勘弁してく
れと言いたくなる気もした。

宗教画も静謐というより、どちらかというと粗いタッ
チでドロドロとした猥雑な感じがした。だから、先の

いぶんと異なったのである。

新日曜美術館では彼の才能は20歳前後の3年間ほど
に限られていたとあったが、私は後年の挿絵の方が好
きである。落ち着いて観ることができるからだ。

特に長与善郎の項羽と劉邦の挿絵の「虞美人化粧之図」

らの方が、まさに幻想的な光景。遠近法を無視したブ
ルーの湖面が背景。宮殿内で赤いテーブルに向かって
座った虞美人の髪をお付の女官たちが梳かしている。
子どもたちが花車を引っ張ったり、踊りながら虞美人
を慰めている。こういう路線の絵をもっと見たかった。

1931年に撮った写真で藤田嗣治そっくりの髪型を
したものがあり、興味深かった。後年、南画も描くよ
うになったマルチな才能を持った画家であったらしい。





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最終更新日  2008年06月16日 09時31分09秒
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河野さん、聞いたことが…  
RICARDO  さん
ありますね。
そういう絵だとは知りませんでした。
勉強になりました。 (2008年06月16日 11時06分52秒)

はじめまして  
もか さん

RICARDOさん  
一村雨  さん
私もこの画家の絵をはじめて体系的に
見ました。びっくりしました。 (2008年06月17日 05時38分00秒)

もかさん  
一村雨  さん
そうですね。最後は南画まで描いているのですから。
この人は最後までキリスト者を貫いたのかとふと
疑問を感じました。 (2008年06月17日 05時40分13秒)

挿絵がもっとみたくて・・・  
遊行七恵 さん
こんばんは
いい展覧会でした。
例によってTBとばないので失礼しますが、今回の展覧会は河野の全容に迫る勢いでしたね。
書き損ねましたが、銅版画の布施太子など、本当に良かったです。
『虞美人化粧之図』はわたしも今回のベストです。

兄貴分の劉生が卑近美、土呂絵とか言うてたことを受けて、土俗的なところもあり、そこらへんがどことなくですが、諸星大二郎にも通じてるかも・・・などと考えました。 (2008年06月22日 22時21分19秒)

遊行七恵さん  
一村雨  さん
確かに諸星の描く中国の王朝時代の絵にも
似ていますね。
幅広い技術があったので、うまく生活できた
のでしょうが、逆に時代に埋もれてしまった
画家なのでしょう。 (2008年06月23日 05時54分23秒)

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