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メタンハイドレートあれこれ
<メタンハイドレートあれこれ>
お役所主導のプロジェクトに対しては、原発事故以来かなり不信感を持つ大使であるが・・・果たしてメタンハイドレート開発では、その不信を払拭してくれるだろうか?
メタンハイドレート開発と言っても・・・
取出ガス費と生産費用の対比が商業化の目処となるわけで、開発コンソーシアムには生産施設の改良・実用化が委ねられているようです。
それを税金で運用するならば、納税者としては開発コンソーシアムに誤魔化されないようチェックする必要があるわけですね。(経産省に対して疑い深い大使である)
・第2回メタンハイドレート海洋産出試験の概略
・メタンハイドレート海洋産出試験の成功が意味するもの
・メタンハイドレートはパンドラの箱か
・メタンハイデレートで資源大国に
・メタンハイドレート開発の難しさ
・地球深部探査船「ちきゅう」がすごい
コンソーシアム体制
<第2回メタンハイドレート海洋産出試験の概略>
経産省から第2回メタンハイドレート海洋産出試験の概略が公表されたが・・・着実な進展なんでしょう♪?
(比較対象がないのでどう評価すべきかわからんで)
2015.2.27
メタンハイドレート海洋産出試験-経産省、「出砂」対策で抑制装置2種を実証へ
より
経済産業省は2015年度から取り組む第2回メタンハイドレート海洋産出試験の概略をまとめた。海底のメタンハイドレート層から天然ガスを取り出す技術の実証が目的。世界初の試みとして12―13年に渥美半島(愛知県)―志摩半島(三重県)沖合で行った第1回試験の結果を踏まえ、地層に含む砂が坑井内に流入する「出砂」への対策や水とガスを分離させる技術、環境計測技術を改善して実証する。
試験は第1回と同じく産学官の共同体「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」(MH21)が主導。機器の設計や現場海域での作業などは石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じ、一般公募で民間に委託する。
日本近海で砂層型メタンハイドレートが豊富に存在する海域を選び、15年度中に掘削作業を開始。実際にメタンハイドレートを分解してガスを取り出す試験を、16年度後半以降に行う。24年以降の商業利用開始を目指す。
前回の試験では坑井内への砂の侵入を防ぐ方法の一つ「グラベル(小砂利)パック」を利用した出砂対策装置が途中で機能しなくなったほか、ガスと水の分離が不十分だったため、坑内の圧力を制御しきれなくなるなどの問題が生じた。
次回の試験ではグラベルパックと異なる方法で出砂を抑える装置、グラベルパックに改良を加えた装置の2種類の性能を実証。ガス・水分離でも機器の設計変更などの対策を講じる。
<メタンハイドレート海洋産出試験の成功が意味するもの>
メタンハイドレート開発推進側のレポートを見てみましょう。
メタンハイドレート開発の危険性にも触れているが、当然ながら克服できるものとなっています。
メタンハイドレート海洋産出試験の成功が意味するもの:Webナショジオ
より
<多元化が求められる日本の天然ガス調達先>
JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の地球深部探査船「ちきゅう」による世界初のメタンハイドレート海洋産出試験が成功したとの号外が報道された。 成功となれば日本は独自の天然ガス資源獲得に向けて大きな一歩を踏み出したことになるが、その意義を理解するにはそもそも日本が現状どのようにして天然ガス資源を獲得しているかを理解しておく必要がある。
化石燃料というと中東からの輸入というイメージが強いが、天然ガスは原油に比べ、その埋蔵量、生産量共に特定地域に偏在しておらず、中東依存度も低い。
そのため現状日本は東南アジア、中東、オーストラリアを中心に主として9カ国からの調達を行っている。
そうした国からガス事業者および電気事業者は、主に長期契約によりLNG(液化天然ガス)を調達しているわけだが、本連載の第2回で報告したとおり日本は他国に比べその輸入価格が割高なことが問題となっている。
日本の輸入価格が割高な理由として、これまで日本が価格メリットよりも安定供給を第一の目的に調達を行ってきたこと、また現状の電力料金体系が総括原価方式(コストに利益を加算する方式)で決まるためコスト意識が働きにくく燃料の原価低減努力が十分ではなかったことなど様々な要因が指摘されているが、いずれにしろ原子力発電の再稼動の見通しがつかない現状では火力発電の比重が高まることから燃料の安定・安価な調達は急務とされている。
特に、マレーシア、インドネシア、オーストラリアの3カ国で日本が輸入する天然ガスの58%(2010年度)が賄われているという調達先が特定国に集中している現状は、供給国間における価格競争の促進という意味で早期の解消が必要だ。
つまり、いかにして調達先の多元化をはかり供給国間の価格競争を促進させ安価な天然ガスを入手するかということが今後の日本の天然ガス政策の一つの方向性といえる。
そうした中で新たな調達先として、また調達の枠を増やす候補として注目されるのが“シェールガス革命”によって安価な天然ガスが生産可能となった北米と、日本の至近のサハリンに大量の天然ガス埋蔵量を埋蔵するロシアである。
今後日本はこうした調達先を視野に入れた資源外交を繰り広げる必要がある。先日、カナダ西部のシェールガスを液化天然ガス(LNG)にして日本に輸出する事業がカナダ政府から認可されたものの実際の生産が始まるまでは予断は許されない。さらに、世界最大の天然ガス産出国となった米国との交渉は、その量、価格とも他の交渉に与える影響が大きいため重要となるであろう。
(中略)
減圧法は、海面から水圧で高圧力となっている海底まで生産井を設置し、生産井内の海水を汲み上げることで生産井内の圧力を下げメタンガスを発生させて採取するものだ。
当然メタンガスは圧力を下げた生産井内のみに流動し外部に漏洩することは無く、水を汲み上げるのを止めれば自然と高圧な状態に戻ることから、懸念されているようなメタンガスが自然発生的に大気中に放出され続けるということは原理上考えにくい。そうした一般の懸念に対する答えも含め、今後の研究は進められていくであろう。
重要なのは、試験の結果のみを一喜一憂するのではなくより広い視野でとらえていくことだ。
第1回から第3回にかけての連載でも述べてきたように、今世界の天然ガス資源の動向は目まぐるしく動いており、メタンハイドレート開発は世界の天然ガス資源動向という大きな文脈の中でその意義と日本の位置を確認しつつ見てゆくものと考える。
その意味で、試験の結果というミクロの視点だけではなく、世界の天然ガス資源動向というマクロの視点から世界の先端を行く日本の技術の更なる積み上げを行い、国際競争力を維持していくことが重要だ。
<メタンハイドレートはパンドラの箱か>
【メタンハイドレート】
有賀訓著、学研パブリッシング、2011年刊
<商品説明>より
東日本大震災によって発生した福島第一原発の事故を受け、今、脱原発が叫ばれている。そうしたなか、次世代エネルギーの本命として、もっとも注目されているメタンハイドレートとは何か、基本的な情報と最新研究を紹介する。
<大使寸評>
メタンハイドレートの「海洋産出試験」では、トップを走る日本であるが・・・
この本でも海底に眠るパンドラの箱と表現しているとおり、取扱いを間違えると環境破壊の恐れさえあるエネルギー資源のようです。
Amazon
メタンハイドレート
<メタンハイデレートで資源大国に>
「希望の現場メタンハイドレート」という本を本屋で立ち読みしていたら・・・
著者の青山氏が経済産業省に乗り込んで、担当部長と大声で渡り合う場面があった。
お!、もしかして青山氏は気骨のある人なのかも♪と、役人嫌いの大使は思ったわけです。
【希望の現場メタンハイドレート】
青山千春、青山繁晴著、ワニブックス、2013年刊
<「BOOK」データベースより>
劇的に、国民に知られ期待されるようになった新資源メタンハイドレート。この建国以来初の自前資源がどう隠され、その壁をいかに突破しているか、全実状がついに初めて現場証言で明かされる。
【目次】
序章 祖国の希望(メタンハイドレートとは?/メタンハイドレートの実用化で期待できること)/第1章 船舶事故がきっかけーメタンハイドレートとの出逢い(ナホトカ号重油流出事故と海中スカイツリー/それは…メタンハイドレート? ほか)/第2章 メタンハイドレートがもたらすのはどんな希望?(メタンハイドレート実用化にかかるコストは?/環境に負荷をかけないメタンハイドレートの採取 ほか)/第3章 メタンハイドレートのリアルな姿(すでに九年前に火を点けていた/日本海のメタンガス採取法 ほか)/第4章 開発研究者は国益を考えて(調査船に魚群探知機を搭載してください!/日本海のメタンハイドレート研究に石油メジャーのマネー ほか)
<読む前の大使寸評>
経産省に出向いて、担当部長と大声で渡り合う青山氏は、志の高い人のようです。
官主導の開発と民間活力そのものの青山氏とが競い合うことが希望を実現する近道なのかも・・・・
ということで、まんざら眉唾の本ということでもないようです。
rakuten
希望の現場メタンハイドレート
今では経済産業省といえば、既得権益の味方という悪いイメージが定着してしまったが・・・・
かつて「悪名高き通産省」としてアメリカの役人達と対峙した心意気の片鱗を見ることはありません。
自民党主導の長期安定政権が役人達を増長、劣化させたのかもしれないが、この本はもしかしてブレークスルーになるかもしれないと、期待するわけです。
でも、青山氏の言動は桜チャンネルやスポーツ新聞を賑わしていて、なんか胡散臭いわけだけど・・・・信用できるのか?
次のネット情報を見る限りでは志の高い人のようだけど。
メタンハイデレートで資源大国に
より
経産省は日本近海には、国内で年間消費する天然ガスの100年分が埋蔵していると試算。これだけでも驚くべき数字だが、“過小評価”と見ているのは、長らくメタンハイデレートの調査・研究に取り組んできた独立総合研究所の青山繁春代表だ。
経産省の試算は、主に太平洋のメタンハイデレートの埋蔵量で日本海側は含まれていない。
「日本海側のメタンハイデレートは表層型といい、海底に塊となって露出している。太平洋側は取ったら終わりだが、表層型は海底からメタンハイデレートの柱が立っていて、粒々が毎日、作り出され、溶け出している。いわば地球の活動が続く限り、生産され、100年どころか埋蔵資源の常識を覆す量になる」(青山氏)
青山氏は「米と中東が結託して、石油でボロ儲けしたのと同じことを日本がやってはいけない。フィリピンやモンゴルなどの資源がない国に安価に供給し、資源のあり方を根本から変えれば、国際的地位も高まり、領土問題もなくなる。安部政権はメタンハイデレートの活用を公約に明記している。既得権益に乗っかっている自民党の内部改革を実行できるかどうかにかかっている」と指摘する。
じり貧の一途をたどる日本にとってはメタンハイデレートが最後の希望の星だ。
先日、
メタンハイドレート開発の難しさ
でも述べたとおり、お役所主導のプロジェクトに対しては、原発事故以来かなり不信感を持つ大使であるが・・・果たしてメタンハイデレート開発では、その不信を払拭してくれるだろうか?
<メタンハイドレート開発の難しさ>
日本周辺海域のメタンハイドレート開発では明るい見通しの報道が多いなかで・・・
メタンハイドレートのエネルギー収支比が1を割り込むと資源とは言えないという苦言が上がっています。
8/05
海洋資源大国は「幻」質を見ねば国を誤る
より
Q:メタンハイドレートやレアアース泥など、日本近海に眠る海洋資源が注目を集めています。その開発に成功すれば、日本は「海洋資源大国」になれるとの期待も膨らんでいます。
石井:私に言わせれば、海洋資源大国はまったくの幻想です。あるいは、政治家、官僚、企業、学者が一体となって作り上げた「神話」と言ってもいい。なぜなら、いわゆる海洋資源は本物の「資源」ではないからです。
日本の周辺海域にメタンハイドレートやレアアース泥が大量に存在するのは事実です。しかし、人間が有効に利用できなければ本物の資源とは呼べない。そこにあるだけなら単なる「物質」に過ぎません。
人間が有効に利用できる資源には条件があります。(1)濃縮されている、(2)大量にある、(3)経済的に採掘できる場所にある、の3つです。
Q:海洋資源はこれらの条件を満たしていないと。
石井:決定的に重要なのは「濃縮」です。再生可能な資源を除けば、あらゆる資源は地球が気の遠くなるような年月をかけて濃縮した自然の恵みです。人間はその中から濃度の濃いもの、つまり質の高いものを選んで利用しています。要するに、資源は「量」ではなく「質」がすべてなのです。
■「メタハイ」は資源ではない
メタンハイドレートは、メタンガスと水が結びついたシャーベット状の結晶です。水深500~1千メートルの海底斜面や、シベリアの永久凍土の地下にあることが何十年も前から知られていました。しかし、低温・高圧という限られた条件下でしか存在できず、それが広大な海域に広く薄く、ばらばらに分散しているのが実態です。資源としての質は低い。
マスコミは「日本近海だけで国内の天然ガス消費量の100年分が埋蔵されている」などと期待を煽っていますが、資源の質を無視した空論です。
Q:政府は4月に閣議決定した「海洋基本計画」で、官民一体で技術開発を進め、2023年度以降の商業化を目指すと宣言しています。
石井:どんなに技術が進んでも、元々の資源の質を上げることは不可能です。例えば在来型の海洋ガス田なら、井戸を掘るとガスが勢いよく自噴します。ところが、メタンハイドレートは固体なので、井戸を掘るだけではガスは出て来ません。井戸からポンプで水を抜き、地層の圧力を下げるとともに、熱をかけてメタンを気化させなければならないのです。
それでも、取り出せるガスは井戸の周囲の限られた量だけです。大量生産するには膨大な数の井戸を掘り続けなければならない。水深500~1千メートルの海洋上での話ですよ。
エネルギーの質を表す指標にEPR(エネルギー収支比)があります。生産されたエネルギー量と、それを得るために直接間接に投入されたエネルギー量の比のことで、値が大きいほどエネルギーの質が高い。一方、EPRが1を割り込むと、出力エネルギーより投入エネルギーの方が大きいことになり、資源として成り立ちません。
現在、在来型の石油や天然ガスのEPRは10~30、非在来型のシェールガスは5程度といわれています。メタンハイドレートのEPRは不明ですが、濃縮されておらず、自噴もせず、大量のエネルギーを投入しなければ取り出せない。私はEPRは1を割り込むと見ています。だからメタンハイドレートは資源ではないのです。
Q:レアアース泥や海底熱水鉱床などの金属資源はどうですか。
石井:本質はエネルギーと同じです。南鳥島沖のレアアース泥は“高濃度”だそうですが、含有率は1%に達しません。それが水深5千メートル以上の深海底に広く薄く堆積しており、やはり資源としての質は低い。商業化は夢のまた夢でしょう。
Q:政府主導の海洋資源開発には、資源工学などの専門家もお墨付きを与えています。
■魂を売った御用学者たち
石井:政治家は人々の歓心を買うために経済成長を公約します。アベノミクスが典型です。経済成長を是が非でも実現するには、エネルギーや資源の大量投入が欠かせない。だから海洋資源大国などという「神話」が必要なのでしょう。
官僚は予算と天下り先を拡大できるし、企業は公共事業を受注できる。学者は研究費を増やせる。海洋資源開発は利権そのものであり、関係者にとってはいいことずくめ。しかし、壮大な浪費のツケを払わされるのは神話を吹き込まれた国民です。
私自身を含めて、学者は本来なら科学的に証明できる事実を語らなければなりません。ところが、最近は御用学者ばかり増えている。その構図は、根拠なき「安全神話」で国民を欺き、福島原発事故を招いた「原子力ムラ」にそっくりです。
Q:御用学者の罪は大きいですね。
石井:現役の大学教授の後輩に聞くと、国立大学の独立行政法人化(2004年)が実施された頃から、その傾向が強まったといいます。基礎研究への予算配分が減らされ、短期間で成果が出そうなプロジェクトでないとお金が付きにくくなった。研究費を継続して確保しようと、官僚や企業に魂を売るうちに、学者としての本分を忘れてしまうのでしょう。
このままでは国の将来を誤ります。もうこれ以上、国民に神話を吹き込み、子供たちに禍根を残すのはやめにしなければなりません。
(インタビュアー 岩村宏水)
石井 吉徳氏:東京大学名誉教授地球物理学者
・・・斯様に石井教授は、天下り官僚と御用学者の動きに釘をさしたわけです。
次に、経産省主導の「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」を見てみましょう。
この組織が「メタンハイドレート村」に堕するかどうか、注視あるいは監視する必要があるのかも?
(大使、かなり性格がゆがんできたのでは?)
メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム
より
<メタンハイドレート開発のイメージ>
メタンハイドレート開発はまだ商業的開発の段階ではありませんが、開発対象となるメタンハイドレート層の賦存状況、そして、課題となっている生産手法が分かってきたことから、開発のイメージが見えてきました。
開発対象となるメタンハイドレート層は「砂質層孔隙充填型メタンハイドレート層」で構成される「メタンハイドレート濃集帯」です。
また、生産手法は「減圧法を主体とする生産手法」です。
メタンハイドレート濃集帯の賦存状況は、石油・天然ガス鉱床の賦存状況に似ています。石油や天然ガスの賦存状況は様々ありますが、メインとなって開発されている鉱床はメタンハイドレート濃集帯と同じく砂層の砂粒と砂粒の間に存在する石油や天然ガスです。
すなわち、孔隙充填型です。石油や天然ガスは地下の空洞の中にプールの水のように存在していると考えている方もいらっしゃいますが、これは違います。
減圧法についてはメタンハイドレート特有の生産手法と間違えられることが多いのですが、石油・天然ガスの生産手法も基本的には減圧法です。
石油・天然ガスは深部に存在しており、上に存在する地層の重さをうけて高圧化しています。そこに井戸を掘るため石油や天然ガスのような流体は井戸を通って陸上や海上まであがってくるのです。これを自噴といいます。
例えるならば、炭酸清涼飲料水の缶を開けたときに炭酸ガスが噴き出してくるのと同じです。缶の中は周りの圧力より少しだけ高圧化させているため、缶を開けるだけで減圧され、炭酸ガスが噴き出してくるのです。
石油・天然ガスの場合も井戸を掘っただけで減圧法になっているのです。加えて、石油・天然ガスの場合、生産効率を向上させるために、人工的に少しだけ減圧を行ってあげます。
その減圧の度合い(ドローダウン率)はせいぜい10-20%程度です。しかし、メタンハイドレートの場合、ドローダウン率を60-70%以上にしなければなりません。したがって、メタンハイドレート生産における減圧法を厳密に言えば「強減圧法」になります。
開発対象となるメタンハイドレートの賦存状況、そして、生産手法が同じということで、生産にかかる施設・機器(開発システム)は既存のシステムの適用および少しの改良で対応可能であることが分かってきました。
開発システムが既存のシステムで対応可能であるということは、メタンハイドレートの生産とは、メタンハイドレートが地層中で分解した後は石油・天然ガスの開発とほぼ同じということになります。
メタンハイドレートからメタンガスを取り出すには、減圧の度合いを60-70%に上げて生産する必用があるようだが…
取出ガス費と生産費用の対比が商業化の目処となるわけで、コンソーシアムには生産施設の改良・実用化が委ねられているようです。
それを税金で運用するならば、納税者としてはコンソーシアムに誤魔化されないようチェックする必要があるわけですね。(経産省に対して疑い深い大使である)
京コンピュータで分子動力学ソフトウェアModylasを使った大規模なメタンハイドレートの融解のシミュレーションを行っています。
メタンハイドレート開発の実現に向けたシミュレーションなんでしょうね。(よく分からないけど-笑)
水素・メタンハイドレートの生成、融解機構と熱力学的安定性
より
Q:水素ハイドレートとメタンハイドレートとはどんなものですか?
A:ハイドレートというのは、高圧環境などで水分子と他の気体分子が合わさって構造をつくったものです。水素ハイドレートは氷の中に水素が入ったものですが、温度や圧力によって籠状のクラスレートハイドレートという構造をとったり、普通の氷のすき間に水素が入るような構造をとったりします。中に入る水素の量も条件によってさまざまです。
メタンハイドレートは最近よくTVなどでも耳にしますが、メタンのクラスレートハイドレートです。水分子の籠にメタンが入っているような構造をしていますが、実際にはメタンがないと水だけでは籠構造はできません。
Q:今はどのくらい研究が進んでいるのですか?
A:ハイドレートについては、20年くらい研究していて蓄積がありました。比較的計算負荷の低い方法で統計量を計算して、構造の相図(下の図ー準備中)を描くと、かなり実験と計算の結果が合うことがわかってきています。水素ハイドレートに圧力をかけると、水の質量の9分の1くらいまでなら氷に水素を入れてためることができるのですが、それには2万気圧くらい必要で、車に積んで運ぶことはとてもできません。ただ、別の物資を添加することで圧力を下げることができるので、応用も期待されています。
そこで現在は、京コンピュータで分子動力学ソフトウェアModylasを使った大規模なメタンハイドレートの融解のシミュレーションを行っています。
Q:メタンハイドレートの融け方を調べているのはなぜですか?
A:メタンハイドレートは他の化石燃料の2倍くらいの埋蔵量があるとも言われていて、産業への利用が期待されています。でも、メタンハイドレートは海底にあり、その質量の87%以上は水です。固体として掘り出すのでは採算がとれません。掘る前に溶かして、気体のメタンだけ集めてしまう方法が必要です。熱力学的には入っているメタンの10 ~20%くらいを燃やす熱量で融かすことができるのですが、実際に融かすにはいろいろな条件が必要になります。それらの条件をシミュレーションで調べています。
Q:今後の研究計画は?
A:水素ハイドレートについては、今あるモデルと理論を改善して計算精度を上げる方法を開発しています。メタンハイドレートについては、より大規模なシミュレーションを行って、メタンの気泡の近くと遠くでハイドレートの融け方にどのような違いがあるのか調べることを計画しています。現在のシミュレーションでは、水の中の気泡が生成して成長するまでの過程を追跡することができません。
ほかにも、外から力を加えてハイドレートを融かすようなことができないか、シミュレーションで確かめる計画も立てています。
<地球深部探査船「ちきゅう」がすごい>
深海の世界(ニュートン別冊)に地球深部探査船「ちきゅう」の記事が載っているが・・・なかなかのハイテクですごいのです。
【深海の世界(ニュートン別冊)】
ムック、ニュートンプレス、2013年刊
<商品説明>より
説明なし
<大使寸評>
・捕食機能に特化したような深海魚の写真が、怖~い。
・地球深部探査船「ちきゅう」がGPSによる測位、スラスタによる自動制御で船を定位置に保つ機能が写真、イラストで説明されていて、興味ふかい。
amazon
深海の世界(ニュートン別冊)
ジャパンプレミアムで高価な天然ガスを買わされている今、気になるのは・・・・
メタンハイドレート資源開発がモノになるのか?ということですね。
メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムというサイトでそのあたりを見てみましょう。
メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム
より
<海洋産出試験>
メタンハイドレートは将来の天然ガス資源として注目されており、現在、「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」が推進されています。
2001年度から2008年度まで実施された同計画のフェーズ1では、東部南海トラフ海域(静岡県から和歌山県の沖合にかけた海域)をモデル海域として地震探査・試掘などの調査を実施し、同海域において、相当量のメタンハイドレートの賦存を確認しています。
2009年度から開始された同計画のフェーズ2では、海底面下のメタンハイドレートをメタンガスとして取り出す技術の開発を目指しており、今回の試験は、海洋における世界初のメタンハイドレート産出試験となります。
第1回メタンハイドレート海洋産出試験は2011年度より3年度にわたり実施しています。
2012年2月から3月(2011年度)には、事前掘削作業として生産井やモニタリング井の坑井掘削を行い、同年6月から7月には、メタンハイドレート層から、地下の圧力を保持してハイドレートの状態を保ったコアサンプル (地質試料)の採取作業を行いました。
2013年1月28日から開始した現場作業では、掘削・実験機器設置等の準備作業を経て、同年3月12日から18日までの約6日間にわたってメタンハイドレート分解によるガス生産実験を実施し、実験海域におけるメタンハイドレートの生産挙動に係るデータを取得することができました。現場作業終了後も、現場海域ではモニタリング作業を継続し、メタンハイドレートの分解挙動及び環境影響評価に係るデータを取得することができました。これらデータの評価を2013年度に実施する予定です。
2013年8月1日から14日には、データ取得を継続していたモニタリング坑井の廃坑をはじめ試験現場の原状復帰作業も実施しました。この作業をもって、第1回メタンハイドレート海洋産出試験は終了しました。
<経済性評価>
メタンハイドレート経済性評価の結果としては、2004年のガス価が23.8円/m3に比べ、生産期間中のガス生産価格は46円/m3となりました。ただし、2021年以降のガス価格がいくらになっているのかが分かりません。
この計算ではガス価上昇率を3.88%/年に設定しています。そうなると、2021年から15年間の平均ガス価は56円/m3になり、生産原価のほうが低くなります。
もちろん、ここまでの計算は仮定が多いことなので、これですぐ、「メタンハイドレート開発はいける!」とは考えられません。現在、2004年周辺のガス価上昇率を考えています。
ご存じの通り、2007年頃から始まった原油価格の上昇は予想をはるかに超えた上昇率でした。あのような上昇率はイメージしにくいので2004年頃の値を使っているのが上記の計算です。
何が起こるのかが分からない状態での仮定計算ということを忘れないでください。
参考までに付記すると、2008年におけるLNGの輸入価格は約40円/m3です。しかし、2008年は原油価格上昇の影響でスポット月平均約70円/m3になったこともありました。
ところで、経産省主導の「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」であるが…この組織が「メタンハイドレート村」に堕するかどうか、注視あるいは監視する必要があるのかも?
(大使、かなり性格がゆがんできたのでは?)
メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム
より
<メタンハイドレート開発のイメージ>
メタンハイドレート開発はまだ商業的開発の段階ではありませんが、開発対象となるメタンハイドレート層の賦存状況、そして、課題となっている生産手法が分かってきたことから、開発のイメージが見えてきました。
開発対象となるメタンハイドレート層は「砂質層孔隙充填型メタンハイドレート層」で構成される「メタンハイドレート濃集帯」です。
また、生産手法は「減圧法を主体とする生産手法」です。
メタンハイドレート濃集帯の賦存状況は、石油・天然ガス鉱床の賦存状況に似ています。石油や天然ガスの賦存状況は様々ありますが、メインとなって開発されている鉱床はメタンハイドレート濃集帯と同じく砂層の砂粒と砂粒の間に存在する石油や天然ガスです。
すなわち、孔隙充填型です。石油や天然ガスは地下の空洞の中にプールの水のように存在していると考えている方もいらっしゃいますが、これは違います。
減圧法についてはメタンハイドレート特有の生産手法と間違えられることが多いのですが、石油・天然ガスの生産手法も基本的には減圧法です。
石油・天然ガスは深部に存在しており、上に存在する地層の重さをうけて高圧化しています。そこに井戸を掘るため石油や天然ガスのような流体は井戸を通って陸上や海上まであがってくるのです。これを自噴といいます。
例えるならば、炭酸清涼飲料水の缶を開けたときに炭酸ガスが噴き出してくるのと同じです。缶の中は周りの圧力より少しだけ高圧化させているため、缶を開けるだけで減圧され、炭酸ガスが噴き出してくるのです。
石油・天然ガスの場合も井戸を掘っただけで減圧法になっているのです。加えて、石油・天然ガスの場合、生産効率を向上させるために、人工的に少しだけ減圧を行ってあげます。
その減圧の度合い(ドローダウン率)はせいぜい10-20%程度です。しかし、メタンハイドレートの場合、ドローダウン率を60-70%以上にしなければなりません。したがって、メタンハイドレート生産における減圧法を厳密に言えば「強減圧法」になります。
開発対象となるメタンハイドレートの賦存状況、そして、生産手法が同じということで、生産にかかる施設・機器(開発システム)は既存のシステムの適用および少しの改良で対応可能であることが分かってきました。
開発システムが既存のシステムで対応可能であるということは、メタンハイドレートの生産とは、メタンハイドレートが地層中で分解した後は石油・天然ガスの開発とほぼ同じということになります。
メタンハイドレートからメタンガスを取り出すには、減圧の度合いを60-70%に上げて生産する必用があるようだが…
取出ガス費と生産費用の対比が商業化の目処となるわけで、コンソーシアムには生産施設の改良・実用化が委ねられているようです。
それを税金で運用するならば、納税者としてはコンソーシアムに誤魔化されないようチェックする必要があるわけですね。(経産省に対して疑い深い大使である)
なお、コンソーシアムの試算によれば、ガス生産費用は46~174円/m3で、米シェールガスの10円/m3よりそうとう高いらしいでぇ。
(シェールガスの5倍くらいでおさまるなら・・・御の字やで)
この皮算用のリスクとロングスパンがお役所にとっては・・・たまらなく美味しく見えるのでしょうね。
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