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映画の基本はシナリオ
まったくもって、この本はシナリオ作成マニュアルのような本である。
だけど、読んでて楽しいマニュアルなど、そうそうあるものではないでぇ♪
図書館への返却期限が迫っているので、あわててエッセンス部分を転記したのです。
【素晴らしい映画を書くためにあなたに必用なワークブック】
シド・フィールド著、 フィルムアート社、2012年刊
<内容紹介>より
世界中で一番読まれている脚本術、待望の翻訳第二弾!
あなたのアイデアを傑作に変えるプロセスのすべてを指南
刊行後、反響を集め続ける『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』に第二弾が登場。今回はシド・フィールドが世界各地で行なったワークショップをベースに作った、より実践向きの内容です。
本書では、脚本を書くまでの準備、そして実際の執筆にあたってのポイントを、順を追って丁寧に伝授。各章を読み、章末の練習問題に取り組めば、読み終わる頃には一本の脚本が仕上がります。どんな映像のストーリーテリングにも応用可能な考え方が身に付くばかりか、映画鑑賞に対しても新しい視野をひらく一冊です。
<推薦文>
言葉で考える人間が、絵で伝えるものが映画だ。
言葉と映像との葛藤が劇を生み、脚本術こそが映画の核となる。
面白く、劇的な一冊だ。
──大林宣彦(映画作家)
脚本は映画の地図、作戦計画書、そして魂。
──犬童一心(映画監督)
<大使寸評>
目下のところ、大使の関心事は映画のシナリオなんです。
シナリオを書くというよりは、あくまでも映画を深く楽しむためなんですけど。
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素晴らしい映画を書くためにあなたに必用なワークブック
**********************************************************************
この本のエッセンスの一部を紹介します。
<イントロダクション>
p13~14
ワークショップに参加する受講生の大半は、どんなストーリーを書くか漠然としたアイデアしか持っていない。たとえば「」
そのくらいシンプルなのだ。
ワークショップの最初の授業では、脚本のテーマ、アクション(何が起き)登場人物(誰に起きるか)を考え、ドラマの構成の本質や特徴について話し合う。そして次回までの課題として、自分のアイデアをドラマとして構成し、結末・始まり・プロットポイント1・プロットポイント2を明確に押さえた4ページのあらすじを書いてもらう。私はこれを“実にしんどい練習問題”と呼んでいる。というのも、受講生は漠然としたアイデアから、構成のある4ページのあらすじを書くのだから、相当つらい作業になるはずだ。
第2週目には、登場人物を掘り下げていく。生まれたときからストーリーが始まるまでの履歴を書き、主人公の人生を作っていく。また主人公の仕事関係、個人的な人間関係、そしてプライベートについても概要をまとめる。この週では、主人公と主要な登場人物数名に関する履歴を仕上げることが課題となる。第3週目では、5×3情報カードを使ってストーリーラインを構成し、ストーリーが始まる。1週間前、1日前、1時間前に何が起きたかを書いたバックストーリーを仕上げる。第4週目には最初の10ページを書き、残りのワークショップでは週に10ページのペースで執筆を進めていく。すると第1回のワークショップ(全7週間)の終わりには、脚本の第1幕(約20から30ページ)が完成するようになっている。
いったん第1回のワークショップは終了し、しばしの休みを挟んで、第2回が始まる。この7週間の目標は、第2幕を書き上げること。そして第3回の7週間では第3幕を完成し、書き直しを行う。
こうして計3回のワークショップが終了する頃には、ほぼ80%の受講生が脚本を書き上げているのである。これまでにすばらしい作品を完成させた受講生は大勢いる。たとえばアンナ・ハミルトン・フェランはワ-クショップで「マスク」を書き、そのあとすぐに「愛は霧のかなた」を完成させた。
<映像で語ることが脚本の本質である>
p34~35
映画の脚本は独特だ。“ドラマという構成の中で、会話とト書きで表現する、映像で語る物語”である。だから、小説や演劇とは違ったアプローチが必要になる。
小説では、主人公の視点から、考え・感情・感覚・記憶・夢などが描かれ、ストーリーが展開していく。したがって主人公と読者はドラマや感情をともに経験し、共有し合う、小説では、アクションはあくまでも主人公の頭の中で起こるのである。小説の最初の1,2章を読んでもらえば、私の言っていることがよくわかると思う。
演劇はどうか。演劇では、アクションもストーリーも登場人物のせりふを通して舞台上で語られる。考え・感情・出来事・記憶・目的・恐怖・葛藤を、登場人物は言葉で表現する。演劇は基本的に言葉で語るストーリーなのだ。
映画の脚本は、このどちらとも違う。映画はドラマ化したストーリーを映像で見せるものだ。車が走り出し、フロントガラスに雨が降り注ぐ。一人の女性が通りを歩いている。車は角を曲がり、大きなビルの前で停車する。これらのアクションを観客は目で見る。そして断片的な映像や情報を組み合わせて、何が起きているのかを理解するのだ。
映像で語る――それが映画脚本の本質なのである。
ジャン・リュック・ゴダールは言っている。「映画は視覚言語へと進化しつつある。観客は映像を読むことを学ばなければいけない」と。
<パラダイムを知る>
p48~59
「脚本とは、1に構成、2に構成、3、4がなくて、5に構成」とウィリアム・ゴールドマンは言っている。建物の構造を具体的に見るために建築家が模型を作るように、脚本家を見るためにパラダイム(脚本の見取り図)を作る。パラダイムとは、「アイデアを具体的に見るための枠組み/モデル」であり、ストーリーを導き、脚本を書くプロセスの指針となるロードマップなのである。
『テルマ&ルイーズ』では、立ち寄ったバーでレイプしてこようとした男を射殺してしまい、週末旅行が逃亡の旅に一転するというドラマティックなシークエンスがプロットポイント1になっている。
プロットポイント2の役割は、ストーリーを前進させることだ。プロットポイント1と同様に、プロットポイント2もシンプルな会話、シーン、アクション・シークエンスなど、どんな形であってもよい。『テルマ&ルイーズ』では、プロットポイント2まで二人は次から次へと障害にぶつかり、精神的にも追いつめられる。そしてアリゾナの砂漠まで来た晩、これ以上逃げられないと感じたルイーズは、これがこの世で最後の夜になるだろうと覚悟する。
サントラも会話もない沈黙の一瞬。これが二人の今後を象徴するプロットポイント2になっている。翌日、二人はグランドキャニオンまで逃げ延びるが、警官隊に取り囲まれる。目の前には大峡谷。一生刑務所で暮らすのも、警官の銃弾に倒れるのも望まない二人は、しっかりと手を握り、目の前の谷底に向かってアクセルを踏み込む。
パラダイムで表すと、このようになる(図5)
図5
どんな映画にも、プロットポイントはある。よくできている映画には、必ず明確なプロットポイントが存在し、しっかりした構成の中に組み込まれているものだ。
<4ページであらすじを書いてみる>
p64~65
つい最近、ヨガのレッスンで有名な俳優に会った。話をするうちに、映画や脚本の話題になった。すると、実は脚本にしたいよいアイデアがあるんだと彼は言いだした。
「どんな話だい?」
「サハラ砂漠にやってきた男の話でね。オープニングは砂塵の巻き上がる夜明けの砂漠のロングショット。1台のジープが砂漠を横切っていく。ところが突然エンジンがいかれて、車は動かなくなってしまう。男は仕方なくボンネットを開けてエンジンの様子を確かめるが、やがて奇妙な音が聞こえてくる。なんとラクダが何頭も砂丘を走って降りてくるじゃないか!男の姿に気づいたラクダは立ち止まり、男とラクダは静けさの中でじっと見つめ合う…」
そう言って彼は私の目を見た。「どう、いいアイデアでしょう?」
「確かにいいオープニングだけど、そのあとどうなるんだい?」
「それはまだ考えていない。ま、そのうちスト-リーはできてくるでしょ」
似たようなせりふを、いろいろな脚本家から何度聞いたことか。もちろん彼らに語れるのはここまでだ。そのあとは何も決まっていないのだから。
どんなストーリーなのか?「何」についての、「誰」についてのストーリーなのか?数行で簡潔に言えるだろうか。これは私がワークショップやセミナーで口をすっぱくして言うことだ。
「自分で自分のストーリーを把握していなければ、他人にわかるわけがない」
脚本を書くということは、旅そのものである。日々変化するプロセスであり、段階を追って準備していくものだ。まずはアイデアをもとに、テーマ、アクション、主人公を考える。それから、ストーリーをつなぐ四つのポイント(結末・発端・プロットポイント1・プロットポイント2)を決め、パラダイムを作る。この四つが明確にならない限り、脚本を書き始めることはできない。この四つこそ、ストーリーの土台であり、ストーリーをつなぐポイントだからだ。
四つのポイントがはっきりとわかったら、ストーリーをドラマとして物語ることができる。「物語る」ということは、事件や出来事を並べ、一つの方向に向けて展開するということだ。
ストーリーを紙に書く作業は、この段階で絶対に必用なことである。この段階で書いたものがどれほど正確なものであるかとか、出来がよいか悪いかなど関係ない。
まず、ストーリーのあらすじを四ページで書きなさい。そうすれば、自分が書こうとしているストーリーラインの、物語の概要が見えてくる。ちょっとしたセリフから、登場人物の輪郭が浮き上がってくる。私は受講生には必ずこの作業をやらせる。ストーリーをまとめる事件とは何かを認識するのに役立つからだ。
あらすじを書くということを、私は“有無を言わさない課題”と呼んでいる。それは、それまで頭の中にあった漠然としていて断片的なアイデアを紙の上に具体的に文字で表し、ストーリーの各パーツや互いの関係を考える重要なステップである。
<4ページのうちわけ>
p74~75
もう一度簡単にまとめてみよう。
〇半ページ:オープニング・シーンの再現
〇半ページ:残りの第一幕で起こることの要約
〇半ページ:プロットポイント1の再現
〇別紙に、第2幕で主人公が直面する障害(物理的・精神的)を四つリストアップする。
〇1ページ:四つの障害を中心に、第2幕で起こるアクションを要約。
〇半ページ:プロットポイント2の再現
〇半ページ:第3幕の結末の要約
〇半ページ:ラストシーンの再現
4ページのあらすじはこれで完成だ。このあらすじは、全米脚本家組合に登録すれば、“ストーリーの原作者である”ことの証明になる。登録はインターネットでwww.wga.orgにアクセスすればあっという間にできる。登録費は会員が10ドル、非会員が20ドル。登録された日から、ストーリーの著作権を主張できる。
あらすじを書く段階は、脚本執筆のプロセスの中で一番つらいところかもしれない。漠然としたアイデアの中で結末を考え、発端や中盤なども構成しなければならないのだから。資料もそろっていないし、登場人物も明確でない。しかも細部を書きすぎると、大筋を見失ってしまう。だからあらすじを仕上げるには、書き直しが2,3回必要になるはずだ。まずは8ページくらいで書いてみて、それを5ページにまとめ、さらに不要な部分をカットして最終的に4ページに収めなさい。
あらすじを書いている最中に、不安や葛藤を感じることもあるだろう。退屈になったり、腹が立ったり、誰かに読んでもらって意見を聞きたいと感じたりもするだろう。「こんな退屈なストーリー、最悪だ」という心の声が聞こえてきたりもする・・・・。
たしかにその通りかもしれない。
けれど、だから何だと言うのだ?これはあらすじにすぎない。最初の練習である。完璧である必用などない。
忘れないで欲しい。4ページのあらすじは、最終的な脚本の仕上がりとは無関係だということを。これは出発点であり、完成作品ではない。完璧なものを書こうなどと思ってはいけない。脚本を書くうちに必ず変化し、進化する。また、脚本の執筆は、経験を積めば積むほど、楽になる。
<資料によるリサーチ>
p102~103
もう一つのるサーチは、資料によるリサーチだ。資料によるリサーチは、図書館や博物館、研究機関などに行って、本やマイクロフィルム、新聞や雑誌の記事を調べるという方法である。私がまだデイビッドウォルバー・プロダクションズに勤めていた頃に、最初に担当したのはこういったリサーチの仕事だった。リサーチも回を重ねるたびにうまくなるものだ。若干17歳のグレース・ケリーがモデルをしていた頃の写真や、ビッグズ湾での侵攻の際にボートから撮影されたフッテージ発見したりした。マリリン・モンローがまだ無名の頃に出演した最初の映画を見つけ出したりもした。
もし今書いている脚本のテーマについて情報が欲しければ、図書館に行ってそのテーマに関する本を探しなさい。よさそうなものがあったら、まず目次を見てみる。内容は面白そうか。使えそうか。とりあえず何章か読んでみる。読みやすそうか。テーマを理解するのに役立ちそうか。十分詳しいか。2,3週間で読むのなら、3,4冊もあれば十分だ。もっと必要になったら、また借りに行けばよい。借りすぎて、必用のない情報で身動き取れなくならないように気をつけなさい。
数年前、実地調査をする考古学者についての脚本を執筆中、基礎的な背景知識が必要になった。そこで私はUCLAの考古学部に電話し、実地調査から帰ってきたばかりの大学院生に話を聞くことにした。また、ストーリーの舞台である北アリゾナの博物館に連絡して相談したところ、本や記事、映画、話をしてくれそうな人のリストを送ってくれた。実に貴重な資料になったのは言うまでもない。
リサーチは、登場人物やストーリーの幅を広げ、舞台となる場所や時代背景をよりよく理解し、ストーリーに使えそうな出来事や事件を知るための素晴らしい方法である。『シービスケット』などは、リサーチによって明らかに歴史的な視点が広がったと言えよう。
<バックストーリーが生むドラマの緊張感>
p150~151
効果的なバックストーリーは、映画全体にも影響を及ぼす。たとえば『ショーシャンクの空に』がいい例だ。ファーストシーンで、アンディ・デュフレーンは車中で酒を飲み、拳銃を手にして、よろよろと家に向かって歩いていく。このバックストーリーは何だろうか?妻の不倫を知ったことだ。この出来事が主人公のアンディに大きな影響を与え、オープニングのインサイティング・インシデントを引き起こす。妻の不倫を知ったから、アンディは妻と不倫相手を殺害しようと行動し、ストーリー全体が進展していくのである。
脚本では、1ページの最初の言葉から、読み手の心をつかまなければならない。それには、バックストーリーが役立つ。バックストーリーがあれば、ファーストシーンの出だしからドラマとしての緊張感が生まれる。
たとえば月曜の朝、主人公が会社に出勤する、というファーストシーンだと想定しよう。バックストーリーはどうなるか?前週の金曜日、主人公が上司に昇給を求めたが却下された、という設定にしてみよう。
そうなると主人公は、週末の間中、家で悶々としているはずだ。ストーリーが始まる前にどんなことを考え、感じているかが想像できる。オープニングの月曜の朝、主人公は出勤するが、オフィスに向かうエレベーターの中で表情は険しく押し黙っている。もしくは反対に、気にしていないかのようにわざと陽気に振舞うかもしれない。同僚には大丈夫だと言っていても、心の中ではショックと怒りが渦巻いている。のちのちそれが爆発するかもしれない。
これがバックストーリーの力だ。バックストーリーを書くことによって、1ページ目の出だしから、映画はアクションに入っていける。ファーストシーンを書くのはとても難しいものだが、バックストーリーを作ることで、ドラマとして最大の効果を生む最初の一言を考えやすくなるはずだ。
<読者のハートをつかむ、最初の10ページ>
p158~159
『チャイナタウン』では、モーレイ夫人と名乗る女の一言「夫に、女がいるんです」がドラマの前提となってストーリーが展開し、やがて水力事業をめぐるスキャンダルや殺人事件が暴かれていく。
次に、主人公は誰かである。『チャイナタウン』ではジェイク・ギテスが主人公なのは明確だ。
そして、ドラマの背景となる状況である。ひどい干ばつのため水不足に陥っているロサンゼルスで、私立探偵が夫の浮気調査を依頼されるというのが『チャイナタウン』の背景となる状況だ。
以上のように、『チャイナタウン』では最初の10ページで、ドラマの前提、主人公、背景となる状況の3点すべてが明確に設定されているのである。
脚本がうまく書けているかどうかは、最初の10ページで判断できる。この10ページで何がおきているかわからないと、読み手は興味を失い、読む気がしなくなる。
つまり、読者の心をつかむのは、最初の10ページなのだ。この10ページでストーリーを設定し、不可欠な情報を提供するのは脚本家の責任である。ここで読者のハートをつかめなければおしまいだ。必ずこの3点を設定しなさい。
誰についてのストーリーか?---主人公は誰か?
ドラマの前提は何か?---何についてのストーリーか?
ドラマの背景となる状況は?---ストーリーが始まる時に、主人公にどんな力が働いているか?
最初の10ページに、この3点を必ず組み込み、構成しなければならない。
<葛藤はドラマの基本である>
p218~219
第2幕を書き始めるための一番手っ取り早く効果的な方法は、主人公のドラマ上の要求を考えることだ。主人公はストーリーの中で何を求め、手に入れ、達成しようとしているのか。どんな状況に陥ろうと、どんな危険があろうと、主人公を解決に向かわせるものは何か?はっきり言えるだろうか。
主人公の要求はプロットポイント1で変化しただろうか。変化があるとしたら、それはプロットポイント1であるはずだ。なぜならここがストーリーの本当の始まりだからだ。 第2幕を準備する段階で、主人公が直面し、乗り越えなければならない障害を四つくらい考えておこう。障害は、内部的か外部的か、物理的障害か感情的障害か、精神的障害かなど、どれであってもかまわない。
脚本の基本、ドラマの基本は葛藤である。葛藤がなければ行動は生まれず、行動がなければ、主人公は存在しない。主人公がいなければストーリーはなく、脚本も存在しない。
では葛藤とは何だろうか?葛藤という言葉は対立を意味しており、ドラマを構成するシーンには必ず、主人公と対立する人間や物が存在する。対立するものは何でもかまわない。争い、けんか、追跡、人生における恐怖心、失敗を恐れる気持ち。物理的なものであっても、精神的なものであってもかまわない。ただし、葛藤は十分でなければならない。そうでないと退屈な作品になってしまう。
葛藤の表現の仕方はさまざまだ。会話、行動、反応などで表現することもできる。形はどうあれ、葛藤は第2幕のストーリーを動かすエンジンのような役割を果たす。
<本当に書きたいのなら、書いてみなさい>
p279~280
ここ何年かで、映像関連の脚本を書く人の数は2倍、いや3倍になるかもしれない。科学技術の進歩が、社会に、そしてものの見方に、圧倒的な影響を与え続ける今日、その数はさらに増え続けるにちがいない。しかもこの新しい科学技術は、大人よりも子供のほうが使い方に長けているという点で、人類始まって以来の特殊な時代だといえるかもしれない。
そんな時代に生きる私たちは、映像によるストーリーテリングの新たな段階へと進んでいる。今や大学でもっとも人気のある専攻科目は、ビジネスと映像なのだ。IT技術とCGの圧倒的な進歩、MTV・リアリティTV・iPod・Xbox・PlayStation・無線LANなどの影響により、全世界に映画の革命が起こっている。携帯電話でショートムービーを作り、家族や友人に送信したり、テレビのスクリーンで見たりといったことは、すでに日常的に行われている。明らかに、ものの見方は変化しているのだ。
十歳と八歳になるうちの甥は、父親の誕生日のプレゼントとしてパソコンでビデオを作った。映像でストーリーを語るということを、実によく理解しているその仕上がりに、私は本当にびっくりした。二人は題材をしっかり理解した上で、写真やCGなどの斬新な映像と、インタビューや音楽などをうまく利用して、6分間のビデオ作品を完成させていたのだった。
ストーリーを映像で語る新たな方向性が生まれつつある今、当然脚本家の市場も大きく変化している。たとえば、携帯電話やiPodのワンセグ専用のテレビ番組がすでに制作されているし、新たな市場向けにコンテンツを制作しようと、実にさまざまな企業が参入してきてもいる。
(中略)
本当に書きたいなら、書きなさい。
本書はそのための本だ。脚本を書くためのガイドブックであり、道具である。この本を百回読んでもいい。だが、実際に白紙に書き始めるまでは、頭の中で考えているだけであって、実際に書いているわけではない。
脚本を書くには、時間も努力も忍耐力も必要だ。それだけの決意があるだろうか。間違いを犯し、そこから学ぶ気持ちはあるか。うまくいかない時でも、何とか克服して最高のものを書こうという気骨はあるだろうか。うまくいかないものがわかれば、うまくいくものもわかってくる。
脚本の執筆で本当に重要なのは、実際に書くことだ。まず目標を設定し、どんなものを書こうか考え、各章末の練習問題を一つ一つこなしていけば、やがて目標を達成できるはずだ。それが脚本を書くということである。私のワークショップの受講生は、初稿を書き上げるとみんなで拍手喝采する。完成までに費やした時間や努力、苦労や辛さ、そして喜びを称える時だからだ。
本書『素晴らしい映画を書くためにあなたに必用なワークブック』は、脚本執筆のプロセスを踏む際のガイドブックとなるだろう。そのプロセスの中で努力をすればするほど、得られるものは大きい。それが自然の法則というものだ。
「真の芸術とは、それを実行することにある」とジャン・ルノワールは私に言った。
書くかどうか、それはあなた自身が決めることなのだ。
<シナリオの書き方>
「素晴らしい映画を書くためにあなたに必用なワークブック」を読んだ勢いで、「ドラマを創ろう」という本に挑戦したのです。
これこそ、正ににシナリオのマニュアル本なんです。
【ドラマを創ろう】
森治美著、 言視舎、2012年刊
<内容紹介>より
早くも定番の言視舎のシナリオ本! 「観る側」から「創る側」になりたい人のための、ドラマの入門書。 ドラマのシナリオを書きたい、ドラマのことをもっと知りたい、でもあれこれ調べるのは大変。古代ギリシャの舞台演劇から始まり、演劇、映画、テレビドラマ、CMまで、多様なドラマの世界を紹介。ドラマ創りには不可欠、でも、いまさら人に聞けない知識と作法、心構えを教えます。 類書の少ないオーディオドラマ作法も充実。
<大使寸評>
大使の関心事は映画のシナリオなんですが・・・・目下のところ、「観る側」と「創る側」のどちらか微妙です。
「創る側」となれば、この本が役立つわけですね。
Amazon
素晴らしドラマを創ろう
エッセンス部分を紹介します。
<基本的な書き方はこれだけ>p74~81
映像ドラマ脚本を構成しているのは「柱」「ト書き」「台詞」の三つでした。あとはそれらを原稿用紙にどう書くか、です。
映像ドラマ脚本の場合、かっては二百字詰め原稿用紙(20字×10行で「ペラ」ともいう)に書いていましたが、今はPCでの原稿がほとんどですから、20字×20行または20字×40行のスタイルで書くことが多いようです。また、いきなり各局の台本(脚本)仕様でという場合もあります。ただし、この場合の原稿の長さ(ドラマ内容の時間)については、プロジューサーサイドからの指示を得るなり、見本となる台本の枚数に順じることです。四百字詰めに換算するという単純作業では正解は得られません。
《柱の書き方》
柱であることを示すためにまず、〇を1字の升目いっぱいの大きさに書きます。この〇は、決定稿になり脚本として印刷される折、シーンナンバーが入れられます。〇の下に<場所>を書き、その下に括弧で括り<時間帯>を入れます。
場所については、どこの駅なのか、駅は駅でも改札口、構内、ホームなのかがわかるように書きます。
時間帯は( )の中に朝、夜などと入れますが、昼に関しては指定しないのが普通です。シーンとシーンの間は必ず1行を開けます。
(例)
〇渋谷駅・ホーム(早朝)
〇世田谷総合病院・検査室
〇高城家・玄関・表(夕)
〇同・リビングルーム(夜)
〇麻布マンション・玄関ホール(深夜)
《ト書きの書き方》
ト書きは必要最小限に絞って、絵になるものカメラに写るものを書きます。「ト書きは丸太を転がせ」と言われていますが、ぶっきらぼうなまでに文章を削るのです。「小説の地の文とは違う」ということを肝に銘じてください。
書き方については、次の通りです。
(1) ト書きは原稿用紙の上から3字下げてその頭を揃える。また、2字下げる書き方もあ るが、どちらかに統一すること。
(2) 現在形、現在進行形で書く。
(3) 柱の後は必ずト書きから書く。
(4) 人物が最初に登場する時は、その人物のフルネーム、その下に年齢を書く。
(5) 同人物のそれ以降の登場では男性なら姓、女性なら名前を書く。ただし男性でも、子 どもであったり家族で姓が同じ時は名前で示す。
(6) 人物の細かい動きの指定はしない。
(7) ドラマ内容、流れに関係ないことは一切書かない。
(8) 台詞の中に書く括弧ト書きも簡潔にする。
(9) アップ(近景)、ロング(遠景)はト書きの名詞の位置で指定する。
アップの場合
歩いている、美沙。
テーブルに置いてある、日記帳
ロングの場合
美沙、歩いている。
日記帳、テーブルに置いてある。
(10) 正面か後姿かは、動詞の選び方や使い方で決まる。
正面の場合
美沙、入って来る。
出て来る、佐藤
電車、走って来る。
後姿の場合
美沙、入って行く。
出て行く、佐藤
電車、走って行く。
《台詞の書き方》
台詞は行頭にまず誰の話す台詞なのかがわかるように名前を書きます。その下に台詞を「」に括ります。台詞が1行で終わらず、2行、3行となる時は、2行目からは行頭から1字下げて書き、3行目以降は2合目の頭に揃えます。
(例)
〇六本木スタジオ・廊下
島崎、腕時計の時間を気にしながら来る。
その後から、小走りに来る絵美。
絵美「島崎さん」
島崎「(振り向き)あぁ」
絵美「済みませんでした」
島崎「いや・・・お陰で思い通りの絵面になりそうですよ」
絵美「でも、私の手配が遅れたばかりに撮影のほう、ずいぶん時間が押してしまって・・ ・」
島崎「昨日、確認をとらなかった私が悪いんですよ」
絵美「・・・・」
島崎「第一、城南デパートもデパートだよ。あれだけ今日の撮影にって念を押しておいた のに・・・」
<シナリオの候補案>
さあ 後は何を書くか?だけである。
如何に候補案を
・SF「かぐや姫」
・竹島紛争
・
<SF「かぐや姫」のあらすじ>
追って記入
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