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『みみずくは黄昏に飛びたつ』7
<『みみずくは黄昏に飛びたつ』7>
この本は図書館予約して、(予想外に早く)約3ヵ月後にゲットしたわけだが…
発売後ただちに予約したことと、神戸市が副本を6冊買ってくれたおかげでしょうね♪
【みみずくは黄昏に飛びたつ】
川上未映子×村上春樹著、新潮社、2017年刊
<商品説明>より
ただのインタビューではあらない。『騎士団長殺し』の誕生秘話、創作の極意、少年期の記憶、フェミニズム的疑問、名声と日常、そして死後のこと……。誰もが知りたくて訊けなかったことを、誰よりも鮮烈な言葉で引き出した貴重な記録。11時間、25万字におよぶ、「作家×作家」の金字塔的インタビュー。
<読む前の大使寸評>
図書館予約して、(予想外に早く)約3ヵ月後にゲットしたわけだが…
発売後ただちに予約したことと、神戸市が副本を6冊買ってくれたおかげでしょうね♪
<図書館予約:(5/30予約、8/26受取)>
rakuten
みみずくは黄昏に飛びたつ
小説の書き直しについて語られているので、見てみましょう。
p290~293
<昔書いた本は、古くて読み返せない>
川上:
例えば村上さん、カーヴァー作品の中のみならず、自分の中でオールタイムベストの短編を何か挙げろといわれたとき、やはりカーヴァーの「足もとに流れる深い川」とおっしゃたんだけれども、人の小説だったらけっこういつの時代のものでも現代的にお読みになっていう
るじゃないですか。そんな感じで自分の昔書いた小説についても読めるのでは…。
村上:
他人の書いたものと、自分の書いたものって違うから。
川上:
その時代その時代のものとして、他人の小説ならばけっこうフラットに見ていらっしゃるんだから、そんなふうにして自分のキャリアというか小説のことを、評価できませんか?
村上:
自分の書いたものはむずかしいね。カーヴァーのたとえば「大聖堂」とか、パン屋の話とか、「足もとに流れる深い川」とかは、今読んでもやっぱりすごいなと、手を入れるところもないよなと思うけど。自分の小説というのは、まあ、僕が書いた短編のベスト3なんてとても選べないけど、もし選べたとしても、読んだらやっぱりイライラするんじゃないかな。
川上:
イライラするのか…これはもう完璧だって思うものはない?
村上:
ないと思うな。同じ話も、今だったら違うふうに書くと思う。
川上:
うーん。
村上:
ただ、もし今僕がその自分の短編を、今の感覚と今の技術で書き直したとしても、読んだ人がよくなったと思うかというと、そうとは限らないと思う。そえはあくまでも僕自身の感覚の問題だからね。だからあまり読み直さないようにしているんです。読むとどうしても手を入れたくなっちゃうから。
川上:
短編は収録する本が変わるときに、けっこうな確率で書き直されていますし。
村上:
そういうものもあります。講談社の全集に入れるときにいくつかの短編は書き直していますね。親本の方はいじってないけど、全集については「オルタナティブ」という感じで。
川上:
「眠り」も『ねむり』になったときに書き直されていましし、「中国行きのスロウ・ボート」も。読んじゃうとやっぱり手を入れたくなってしまうんでしょうかね。
村上:
うん。ただ、もう読み返したくないという短編もあって、そういうのはまったくノータッチです。
川上:
「午後の最後の芝生」がそうだと。
村上:
「芝生」はちょっと読み返せないですね。
川上:
面白いなあ、読者と作者のギャップ。当然といえば当然なんですけれど、同じ作品なのに評価が全く違う。いえ、同じ作品じゃないんですね、そういう意味では。
村上:
過去の自分自身と向き合うというのは、時としてきついことなんです。読者の立場と作者の立場って、ずいぶん違うかもしれない。たとえばとてもハンサムな男性なのに、とても美しい女性なのに、鏡で自分の顔を見るのが好きじゃないっていう人がいます。見ると悪いところばかりが目につくからと。はたの人が見ると、悪いところなんてどこにもないんだけどね。それとはちょっと違うかもしれないけど、自分自身を見るのって、他人が見るのとはけっこう違うんだ。
川上:
「書き直し」にも、その原理が生きているような気がします。
村上:
「中国行きのスロウ・ボート」と「貧乏な叔母さんの話」は、雑誌に載せるときに相当書き直しましたね。まだ新人で、短編の書き方ってよくわかっていなかったから、ずいぶん試行錯誤した。
川上:
「貧乏な叔母さんの話」の頃のインタビューを読んでいうと、けっこう編集者とやりとりしたとおっしゃっています。編集者と村上さんが膝をつき合わせて、原稿に向き合ってやりあうという状況って、あんまり聞いたことがなかったので、そんな時代もあったんだなあと思いました。「貧乏な叔母さんの話」ぐらいですよね。あれは何か特殊な状況があったのかしら?
村上:
そのことは全然覚えてないな。
川上:
やっぱり忘れてる(笑)。
村上:
覚えていないけど、ただ、その頃は編集者とのやりとりはまだありましたね。「ここはこうしたほうがいいんじゃないか」とか、「ここはもっと書き込んでほしい」みたいなことで。「中国行きのスロウ・ボート」は「海」に、「貧乏な叔母さんの話」は「新潮」に掲載しています。
「海」は安原顕、「新潮」は鈴木力が担当だったから、あれこれやりとりはあったと思う。細かいことは忘れちゃったけど。いや、安原さんは小説の内容についてはとくに意見は言わなかったな。おお、なんでも好きにやってくれ、という感じ。そういうタイプだった。気に入ればすべてを受け入れる。気に入らなきゃすべてを受け付けない。鈴木力とは神宮球場の外野席で、並んでゲラのチェックをしていた記憶があります。10月の日程消化ゲームだった(笑)。
川上:
そういうのは『羊をめぐる冒険』までぐらいでしょうか?
村上:
うん、『羊』までぐらいですね。そのあとは一部の例外をのぞいてほとんど何も言われなくなった。
『みみずくは黄昏に飛びたつ』1
:職業としての物書きについてp16~18
『みみずくは黄昏に飛びたつ』2
:キャビネットの存在p20~22
『みみずくは黄昏に飛びたつ』3
:タイトルと人称はどのように決まる?p73~80
『みみずくは黄昏に飛びたつ』4
:「悪」の形が変わったp87~91
『みみずくは黄昏に飛びたつ』5
:「同性好き」が語られているp202~204
『みみずくは黄昏に飛びたつ』6
:「書き方」が載っているあたりp221~225
以前に読んだ『職業としての小説家』を再読しようと思うのです。
『職業としての小説家』1
:小説家になった頃p45~49
『職業としての小説家』2
:小説家は寛容な人種なのかp9~12
『職業としての小説家』3
:どこまでも個人的でフィジカルな営みp166~172
『職業としての小説家』4
:誰のために書くのか?p243~247
『職業としての小説家』5
:文学賞についてp58~61
『職業としての小説家』6
:「あとがき」p308~313
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