カツラの葉っぱ 大好き!

カツラの葉っぱ 大好き!

個人的経済学21

<個人的経済学21> H28.2.18~
お役所、官僚にグチばっかり こぼしていても埒があかないので・・・・
建設的?な思索をすすめようと思いなおした。
ということで経済に的をしぼって考えたい。
昨今では、アジア投資銀行(AIIB)が発足したので、中国経済のフォローがメインとなっております。

・労働力不足時代へ
・ラストベルトのプアホワイト達
・小売業の展望
・「新型デフレ」が常態化
・2015年磯野家の崩壊
・中国製造業の競争力
・シェアリングエコノミー
・中国経済に対するゴールドマン・サックスの見立て
・外食の人気店について
・バブルの死角

ピケティ

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個人的経済学20 >目次

・チャイナ・マネーのM&A
・ウォール街の機能不全の始まりか?
・中国の株式自動取引の不調
・中国経済の困惑ぶり

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個人的経済学19 >目次

・アジア投資銀(AIIB)のお手並み拝見
・アジア投資銀ショックを検証
・トマ・ピケティの『21世紀の資本』
・中国が仕掛ける対米「著作権」戦争



<労働力不足時代へ>
気がつけば、いつの間にか非正規就労には外国人だらけという時代になっていましたね。そのあたりについてネット記事を見てみましょう。

2017-04-24 失業時代から労働力不足時代へ、頭の切り替えが必要 より
 長期にわたって失業に悩んできた日本経済が、急に労働力不足に悩むようになりました。アベノミクスによる景気の回復が影響していることは疑いありませんが、じつは景気変動よりも本質的な、少子高齢化による現役世代人口の減少が、さらに大きく影響しているのです。

 後から振り返ると、アベノミクスが失業時代から労働力不足時代への転換点であった、という事になる可能性も高いと思われます。そうなると、従来はデフレが問題だったのがインフレが問題となり、経済対策も需要喚起から供給力強化へと、180度舵を切る必要が出てくるかも知れません。そうなると、資産運用に際しても、企業経営に際しても、従来とは全く異なる視点が必要になってくるでしょう。

画像

■失業の時代から労働力不足の時代に、大きな転換が生じている
 バブル崩壊後の日本経済は、長期にわたって需要不足に悩み、政府と日銀は失業問題と取り組んで来ました。国民が勤勉に働いて大量のモノ(財およびサービス、以下同様)を作り、倹約に励んでモノを買わなかったため、大量のモノが売れ残ったのです。

 売れ残ったモノは、海外に輸出されましたが、それには限度がありましたから、企業はモノを作らなくなり、人を雇わなくなり、失業者が増えました。これを雇ったのが政府の公共投資です。その後遺症として、巨額の財政赤字が残りました。つまり、財政赤字と貿易黒字は、失業が吸収された結果だったのです。

 経済学者の間では、成長率低迷の主因が供給サイドにあったという論者もいましたし、供給サイドの問題を解決しようとして小泉構造改革なども試みられましたが、多くのエコノミスト(本稿では景気の予測を本業とする人々の意味)は、成長率低迷の主因が需要不足であると考えていました。

 しかし、アベノミクスが登場すると、急に労働力不足が問題となり、失業問題が解消してしまったのです。アベノミクスによる経済成長がわずか4.5%(年率1.1%)という緩やかなものであったにも関わらず、急に労働力が余剰から不足に変化したことは、衝撃的な出来事でした。

 その背景には、少子高齢化に伴う現役世代人口の減少がありました。現役世代が負っていた失業という重荷を、団塊の世代が「定年により永久失業」することで引き受けてくれたので、現役世代がフルに働く時代に転換したのです。

 もちろん、現役世代人口の減少は急に始まったものではありませんでしたが、労働力余剰(失業者、社内失業者、潜在的な失業者に加え、失業対策の公共投資で雇われている人、雇用維持のための出血輸出で仕事にありついている人、等を含む)が余りに大きかったので、影響が顕在化しなかったのです。

 強いて言えば、ITバブル崩壊時とリーマン・ショック時の失業率が同じであったことが筆者には印象的でした。ショックの大きさは後者が遥かに大きかったのに、失業率が前者並みで済んだのは、団塊の世代が引退していたからだったのです。しかし、そのことに気づいた人は多くありませんでした。

 そして今回、アベノミクスによる景気回復で、急に労働力不足が顕在化して、人々を驚かせた、ということになりました。川の水量が徐々に減少し、川底の石が顔を出すような浅さになった時点で、アベノミクスという少し大きめの石が登場したので、急に石が見えてきて人々が驚いた、といったイメージでしょうか。




<ラストベルトのプアホワイト達>
トランプに投票したラストベルトのプアホワイト達は、思いのほか世界経済の実態を把握しているようです。

2016年12月02日 トランプ支持者たちの貧しい生活が浮き彫りに より
『HILLBILLY ELEGY』
 無名の31歳の弁護士が書いた回想録が今、アメリカで売れている。本人も本書の冒頭で、本を書いて出版するに値する偉業を成し遂げた人間ではないと告白する。そんな人物が書いた回想録がなぜ、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに17週連続でランクインしているのか。最新の12月4日付ノンフィクション単行本部門でも4位につけている。(中略)

■アームコと川崎製鉄の合併がもたらしたもの
 さて、筆者が育ったオハイオ州のミドルタウンという町は、アメリカのアームコという名門企業の製鉄所を中心にかつては栄えた企業城下町だった。アームコが1989年に川崎製鉄と合併した以降も、地元の人々は日本への反感もあり、川崎の名前を使わずにアームコと呼び続けたという。アメリカ中西部に押し寄せる国際化の波と、それに対する白人労働者たちの複雑な心境が次の一節では鮮明だ。

 「ほとんどの人がアームコと呼ぶ理由はもうつひとつある。川崎が日本の会社だからだ。町には第二次世界大戦に従軍した退役軍人とその家族がたくさんいる。合併が発表されたときは、東条英機がオハイオ南西部にまできて店を開く、という受け止め方だった。反感は根強くかなりの不協和音を生んだ。しかし、祖父でさえ合併発表から数日後には文句を言うのをやめた。かつて、自分の子供たちに日本車を買ったら勘当だと言っていたのに。祖父はわたしにこう言った。『本当を言えば、日本人は今や俺たちの友人だ。もし俺たちがどこかの国と戦うとしたら、それはくそったれの中国人たちだ』と」

 「川崎との合併は不都合な真実を示した。アメリカの製造業はグローバル化が進んだ後の世界では競争力を失っていたのだ。アームコのような会社が生き残るには事業を再構築しなければならなかった。川崎はそのチャンスをアームコに与えてくれた。ミドルタウンの基幹産業だったアームコはそれがなかったらおそらく生き残れなかった」




<小売業の展望>
ジャパネットの高田さんが説く「小売業の展望」を見てみましょう。

2017.1.10 高田明氏「コンビニの半分は『倉庫』になる」 より
Q:高田さんは通販業界の第一人者として、長年多くのヒット商品を発掘し、取り扱ってきました。2016年もヒット商品とされるものは多く登場しましたが、高田さんの目にはどのように映っているでしょうか。

高田:僕は今はもう現役を離れていますが、はたから見ていたりいろいろ相談を受けたりする中で感じることは、やっぱりスマートフォン(スマホ)関連のものが目立ちますよね。例えば2016年で言えば「ポケモンGO」など。でもそれは正直なところ、ちょっと残念だなと思っているんですよ。

 近年のヒット商品と言われるものは、スマホ関連、SNS(交流サイト)関連のものばかりで、モノそのもの、つまりハードに注目が集まることが少ない。ハードばかりを扱ってきた僕のような人間からすると、そうした意味では予測しにくくなっている。

 加えて、ヒット商品と表現されても半年くらいでパッと消えちゃうのが今の時代。ネットではないですが訪日外国人の爆買いも、百貨店で高級時計が売れていたのが、モノからコト消費にすぐに変わってきた。そうした意味では、消費のトレンドが読みにくくなっていると思いますね。

Q:高田さんがジャパネットの社長を務めておられた2011~12年頃は薄型テレビの販売不振に苦しみ、その後商品構成や売り方を大きく変えることで業績をV字回復させました。消費トレンドの変化をいち早くつかみ対応した結果かと思うのですが。

高田:確かに、2011年、2012年は合わせて600億円ぐらい売上高が落ちてしまって、2013年に「覚悟の年」と言って大きく方針を転換しました。ただそれはトレンドをつかむというより、ジャパネットの原点に帰ろうという意識の方が強かったですね。商品構成では当時テレビの割合が6割近かったのですが、白物家電や他の魅力的な商品もたくさん扱おうという形で見直したのです。テレビの低迷は続くけど、それに変わる商品を発掘しようということですよね。

 そうした中で、布団掃除機のレイコップや、新型の炊飯器などが登場してきた。ヒット商品ということで言えば、まさにレイコップのように新しい市場を作れる商品がそうだと感じますね。掃除機はあるけど布団専用の製品はこれまで存在しなかった。または、ダイソンの羽のない扇風機のように、新たな視点で開発された製品もある。これまでになかった需要を生み出したり、消費者が持つことを楽しめたりする商品こそがヒット商品の条件だと思います。

Q:先ほどのハードのヒット商品が出てきていないという指摘に戻ると、日本の家電メーカーなどはなかなかそうした製品を生み出せていないということでしょうか。

高田:そうですね。日本でもバルミューダのように非常にユニークな企業はありますが、総じてなかなか難しいと思います。日本のメーカーは技術的には最高水準ですが、発想の転換という意味では画期的な製品開発ができにくくなっているのではないでしょうか。昔の成功体験に引きずられていたり、ソフトとハードを連動させて新しい消費体験を生み出そうという発想が乏しかったり、そのあたりが米国の企業などに比べて弱いのかなという気がしています。

 例えば掃除機ロボットのルンバもそうですね。ルンバが登場して、多くの日本メーカーも同様の製品を出しました。技術的には決して負けていないと思いますが、先陣を切ったリーダーはどこかと言えば、やはりルンバであり、消費者にとってもそうなんですよね。だから全部持って行かれてしまう。そうした意味では、新しい価値を生み出して、自らトレンドを作っていくような商品が出てこないとダメだと思います。

Q:ある種、人間の物欲を刺激するというか、消費者の隠れていた欲求を刺激するようなものでないと、ヒット商品にはなりにくいということでしょうか。

高田:物欲というのは、例えばモノを冷やしたいときに冷蔵庫が欲しいとか、暑いとき寒いときにエアコンが欲しいとか、楽になりたいという消費者の気持ちが根底にありますよね。ただ、日本をはじめ先進国では、そうした製品はある程度出回ってしまった。だからこそ、これからのヒット商品というのは持つことを楽しんだり、生きがいを感じられたりする方向に変わってきていくと思います。




<「新型デフレ」が常態化>
吉野家で「吉呑み」というのが始まったようで、こんな新たなスタイルを「新型デフレ」と表現しているようです。

2016.11.24 新型デフレで正攻法も限界、吉野家、スタバの奥の手 より
 街中を歩いていると、「ちょい呑み」をコンセプトに酒やおつまみを販売する外食店をよく目にする。吉野家が展開する「吉呑み」がその代表例だ。同社は「吉呑み」の導入で夜の時間帯の売り上げが10パーセントほど増加しており、ちょい呑みをするために吉野家へ行くというも浸透しつつある。

 他にも、天丼店「てんや」、ラーメン店「日高屋」など、酒やおつまみを充実させ、ちょい呑み需要を引き込む店舗が増えている。今春にはスターバックスコーヒージャパンまでもが一部店舗で酒類の販売を開始した。

 スターバックスといえば、ゆったりとコーヒーを楽しむことができる空間が強みの1つだ。そこで酒類を提供すると、本来の「落ち着いた空間」を損ねる恐れも少なからずあるが、「仕事帰りの女性の来店を目的としている」(同社広報)と新たな顧客層の開拓を探っている。

 消費のパイが萎む中、商品構成や販売方法にメスを入れ、抜本的な変革を進めているのがコンビニだ。

 ローソンは今年6月、全国約1万2000店のうち8割弱の店舗で、販売品目を生鮮食品を中心に2割程度増加させた。同社広報は「郊外に大型ショッピングモールが建った影響で、街中にあった小さなスーパーが減っている。主婦や高齢者に近隣のコンビニで買い物を完結してもらえるようにしたい」とその狙いを話す。店舗のない地域においては、今年11月から自社開発による専用車両を用いた移動式販売を始め、売り込みを行っている。

 異例とも言える「新型デフレ」が社会構造の変化に起因するものであるならば、それは今後、常態化、深度化していくだろう。従来の自社の強みや業態をも打ち破る挑戦的な戦略が企業に求められている。



<2015年磯野家の崩壊>
図書館で『2015年磯野家の崩壊』という本を手にしたのです。
パラパラとめくると・・・
アベノミクスとは富裕層や中央官僚のための財政政策であることが、明解に説かれているようです。

今どきアベノミクスに期待するほどお目出度い大使ではないが、それではアベノミクスの何処にごまかしがあったのか?・・・
この本を読んで、現在進行中のアベノミクスについて復習しようと思うのです。

ホワイトカラー・エグゼンプションのあたりを覗いてみましょう。
p165~167
<残業代がなくなる法案を覚えていますか?>
 いまや「ホワイトカラー・エグゼンプション」という言葉を覚えている人は少ないと思うが、「ホワイトカラー・エグゼンプション」とは、簡単に言えば「残業代がなくなる」ということ。もし、この制度が導入されると、それまでは当たり前のように支払われてきた残業代がなくなってしまうのだ。サービス残業の横行でヘトヘトなのに、そのサービス残業を「合法化」してしまう。そういう見方もできる。

 「ホワイトカラー・エグゼンプション」のエグゼンプションとは「免除」という意味である。つまり、これまで残業代が支払われてきたホワイトカラーを、支払う対象から除外してしまおうというのが、この制度の眼目だ。

 では、なぜ、そんなことをしなければならないのか?
 それは、一つには、日本の財界が、さらに賃金の抑制をしなければ、グローバル化によるメガ・コンペティションに勝てないと考えたから。もう一つは、アメリカの要望であり、郵政民営化と同じく『年次改革要望書』であげられていた重点項目だったからだ。

 結局、この法案は見送られたが、それが今日の空洞化、国内企業の苦境を招いているという見方も成り立つ。なぜなら、フラット化する世界のなかで、日本人だけが高賃金でいられるわけがないからだ。人件費の高い国内にいることは、結果的に企業の国際競争力を失わせた。

 2006年11月、この法案提出の動きのなかで、労働運動総合研究所が一つの試算を発表した。そこには、「年収400万円以上の会社員が労働時間規制の対象から外されると、約1013万人の会社員が一人年間114万円の残業代を受け取れなくなる」と書かれていた。年収がいっぺんに100万円も減るのだから、これはサラリーマンにとって衝撃を通り越して、まさに死活問題。野党から大きな反対の声があがった。

 ここで、述べておきたいのは、当時の与党は自民党で、第一次安倍内閣のときだったということだ。
 もともと、この「年収400万円以上のホワイトカラーを対象」とするという案は、2005年6月に日本経団連が提言したものだった。

 つまり、企業の「中堅の幹部候補生」が狙いということ。これは、大手企業なら入社2~3年目の層、それ以下の企業では係長や主任クラスに当たる。20代半ばから30代半ばの働き盛りの層にとって、じつに厳しい内容だった。

このえぐい法案は、結局、法制化できなかったが・・・安倍さんの確信犯的な経済政策であったと思うのです。

でも、2006年当時は非正規社員もまだ少なくて、現在のこのような悲惨な労働環境が予想できない大使でおました。


【2015年磯野家の崩壊】
磯野

山田順著、徳間書店、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
アベノミクスで円安、株高が演出され、さながらバブルの様相を示しているが、それでも日本経済の破綻は避けられない。偽りの景気回復の裏で、消費税をはじめとする大増税が行われ、少子高齢化、格差拡大はますます進み、日本人の仕事や財産が奪われていく。さらに安倍バブル崩壊で日本経済は大混乱に…。これから起こる大破局で日本人の生活、仕事はどう変わるのか。あの「国民的家族」に投影しつつ解説する。

<読む前の大使寸評>
アベノミクスとは富裕層や中央官僚のための財政政策であることが、明解に説かれているようです。

rakuten 2015年磯野家の崩壊





<中国製造業の競争力>
中国製造業の競争力を「2016世界製造業競争力指数」で見てみましょう・・・
フムフム 順調に衰退しているようですね♪


2016-07-23 中国製造業は衰退の一途?米国に追い越されるのを「座して待っていてはならない」 より
世界四大会計事務所のデロイトと米国のNPOである競争力審議会は4月、「2016世界製造業競争力指数」(英語版)を発表した。世界各国の製造業企業のCEO等による回答に基づいて作成された同報告書によれば、16年の報告では中国の競争力は首位だったが、今後5年以内に中国は米国に首位の座を明け渡すことになると予想した。

 そして7月初め、中国信息化百人会とデロイト・トーマツは「2016世界製造業競争力指数」の中国語版を発表したが、中国メディアの同花順財経は18日、中国は米国に追い越されるのを「ただ座して待っていてはならない」と提言する記事を掲載した。

 記事は「2016世界製造業競争力指数」が今後5年以内に中国が米国に首位の座を奪われると予測する理由を紹介。中国は老齢化や経済成長率の減速、人件費の高騰などの多くの課題を抱えているが、米国はIoT時代の接続機能を持つスマート製品や最先端製造技術であるスマート工場を開発していることに加え、予測分析や最先端素材の分野でも世界をリードしているため、これらの要素が米国の競争力になるというのが記事が紹介した順位逆転の理由だ。

 続けて、「2016世界製造業競争力指数」のこの報告に基づき、「中国は米国に追い越されるのを何もしないでじっと待っていてはならない」と提言。「中国の人件費の高騰は避けられない傾向であり、低コストを推進力にして発展するモデルはすでに継続不可」と指摘、それゆえ「中国製造業が競争力向上のために取るべき最も重要な策は、やはりできるだけ早く製造業を高度化することだ」と説明した。

 「2016世界製造業競争力指数」は、製造業の推進力になる12の要因のうち最も重要なのは「人材」であり、二番目に重要なのは「コスト競争力」であると説明している。コスト競争力は米国が39.3ポイント、ドイツが37.2、日本が38.1ポイントであるのに対して中国は96.3ポイントとずば抜けて高い。

 しかし人材については米国が89.5、ドイツが97.4、日本が88.7ポイントであるのに対して中国は55.5ポイントとかなり低い。報告によれば中国の平均修業年限は7.5年と日本の11.5年に対してかなり短く、また中国の理工科の卒業生の数は非常に増えているが「即戦力として雇用されるための実際的な技能訓練を十分に受けていない」ということも人材のポイントが低い理由となっている。中国のコスト競争力が今後衰えるのは必至であり、従って中国には人材を育てる面でも大きな努力が求められる。(編集担当:村山健二)




<シェアリングエコノミー>
22日のNHKオイコノミアのテーマはシェアリングエコノミーであったが、興味深い内容であった。

で、早速ネットをめぐると、次の記事がヒットしました。

2016/01/06 2016年はシェアリングエコノミー元年に Airbnb、Uberに続くサービスも登場 より
 個人が持つ住宅や自動車などの資産を貸し借りできる「シェアリングエコノミー」と呼ばれるサービスが、欧米を中心に広がりを見せている。米国では、いわゆる「民泊」を仲介する「Airbnb(エアビーアンドビー)」が2008年に設立され、2009年には配車サービスの「Uber(ウーバー)」がサービスの提供を始めている。2016年は日本でもシェアリングエコノミーがさらに進展する年になりそうだ。

 Airbnbは、日本を含む約190カ国でサービスを提供しており、空き部屋の登録件数は100万件を超えるという。2015年4月8日に開催された「新経済サミット2015」では、AirbnbのCTO兼共同創設者であるネイサン・ブレチャージク氏が、「当社のサービスは始まったばかりで、事業規模は現在の100倍になってもまだ小さいと考えている」と述べている。

 日本でシェアリングエコノミーが根付く可能性はあるのか。同サミットに登壇した、自民党IT戦略特命委員会事務局長のふくだ峰之衆議院議員は、日本でも同サービスが育つ余地はあると断言。その前提として、国や企業にすべての責任を求めるかのような「日本の独特な雰囲気や考え方」を改革する必要性を挙げた。

 日本政府でも、シェアリングエコノミーを受け入れるための規制緩和やルール整備を進めようとしている。2015年10月20日に首相官邸で開いた「国家戦略特別区域諮問会議」では、規制改革事項として民泊など14の事業を新たに認定した。まず初めに東京国際空港(羽田空港)を抱える東京都大田区で、2016年1月から民泊が解禁されることになった。これにより、旅館業法で義務付けられているフロントの設置や、寝室の面積基準などを満たさなくても、大田区が認定すれば正式に営業できるようになる。

「共有経済は世界の潮流、対話と実行で革新を」、米起業家が提言


フンフン なにか見覚えのある内容だと思ったが・・・・
シェアリングエコノミーの訳語:共有型経済が、最近読んだ『限界費用ゼロ社会』のメインテーマであったわけです。


【限界費用ゼロ社会】
ゼロ

ジェレミー・リフキン著、NHK出版、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
 いま、経済パラダイムの大転換が進行しつつある。その原動力になっているのがIoT(モノのインターネット)だ。IoTはコミュニケーション、エネルギー、輸送の“インテリジェント・インフラ”を形成し、効率性や生産性を極限まで高める。それによりモノやサービスを1つ追加で生み出すコスト(限界費用)は限りなくゼロに近づき、将来モノやサービスは無料になり、企業の利益は消失して、資本主義は衰退を免れないという。

 代わりに台頭してくるのが、共有型経済だ。人々が協働でモノやサービスを生産し、共有し、管理する新しい社会が21世紀に実現する。世界的な文明評論家が、3Dプリンターや大規模オンライン講座MOOCなどの事例をもとにこの大変革のメカニズムを説き、確かな未来展望を描く。21世紀の経済と社会の潮流がわかる、大注目の書!

<読む前の大使寸評>
シェアとか再生が、今のところ大使のミニブームである。
・・・ということで、共有型経済を提唱しているこの本は興味深いのです。

<図書館予約:(1/28予約、6/17受取)>

rakuten 限界費用ゼロ社会


ドイツのメルケル首相は、この本の著者ジェレミー・リフキンに教えを請うて、ドイツは経済的変革に舵を切っているそうだが・・・・
優柔不断なニッポンは腰が重いようです。

最近読んだ『シェアハウス』という本も紹介します。

【シェアハウス】
シェアハウス

阿部珠恵×茂原奈央美著、辰巳出版、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
物件も住む人も急増しているシェアハウス。これは地縁・血縁意識の薄い都市部に特有の現象なのか。それともコミュニティの新しい形なのか。実際にシェア生活をしている著者2名が、さまざまな様式のシェア物件に住む人々に取材して考察した、日本のリアルが見えてくる、軽妙で知的なドキュメント。

<読む前の大使寸評>
最近、目に見えて貧乏になったニッポンの市民にとって、シェアハウスは切実でかつ現実的な選択肢ではないだろうか。

rakuten シェアハウス




<中国経済に対するゴールドマン・サックスの見立て>
中国経済は、何をやっても儲からないというゴールドマン・サックス見立てがネットに出ています。

2016/05/24 中国経済はすでに曲がり角・・・何をやっても儲からない時代に=中国 より
 中国経済が二桁の成長率を維持していたのはすでに過去の話だ。成長率が低下すると同時に、生産能力の過剰をはじめとするさまざまな問題が顕在化しつつある。

 中国メディアの中財網はこのほど、米投資銀行ゴールドマン・サックスの関係者が「人口ボーナスが存在した時期はすでに過去のものとなり、中国経済はすでに曲がり角に直面している」と指摘したことを伝えた。

 記事は、中国経済に占める投資の割合が高すぎることを指摘。日本や韓国も投資によって経済を成長させていた時期はあるが、中国ほど割合が高くなることはなかった。中国の経済に占める投資の割合は世界的に見ても「高すぎる水準」にあるが、投資を減らせば企業の倒産や金融危機のぼっ発も考えられると指摘し、投資を短期間で急激に減少させることは不可能との見方を示した。

 さらに、中国国内で問題となっている環境汚染は「中国経済の歪みが生み出した問題」であり、環境を破壊しながら持続的に成長することは不可能である以上、今後の中国経済の成長を阻害する要因だと論じた。

 また、中国経済が抱えるもう1つの構造的な問題は「高齢化」にある。中国は一人っ子政策を実施してきたことから1990年代の日本よりも速く高齢化が進んでいる。生産年齢人口の減少とあわせて人口問題は中国経済に対する大きな問題としてのしかかってきている。

 記事は、中国が人口ボーナスを失ったことで、これまで安かった人件費は上昇、金が金を生むサイクルは崩壊し、中国製造業の価格競争力も失われると指摘。何をやっても儲かった時代から、何をやっても儲からない時代がやって来るはずだと論じた。(編集担当:村山健二)



<外食の人気店について>
人気の料理屋などにできる行列が、ついに京阪神地区にも見られるようになり、苦々しく思う大使であるが・・・
外食の人気店に関する次のネット記事が興味深いのです。

2016.5.23 アイデア社長が語る「外食ならではの楽しさ」 より
 均一メニューによる安心感、大量一括仕入れによるコスト削減、マニュアルで標準化された接客といった大手チェーンの強みが薄れ、業績も停滞している。一方で、強烈な創業者精神を持った数店から数十店を展開する繁盛店経営者たちの店は元気だ。そうした人気店の1つ、「鳥椿」を都内で5店展開するTKG(東京都板橋区)の北野達巳社長に、外食ならではの楽しさを提供するためのコツを聞いた。系列店の「鳥椿 鶯谷朝顔通り店」は、グルメをテーマとした人気ドラマ「孤独のグルメ」(テレビ東京)でも紹介された人気店でもある。

■「オレが近所に欲しい店」を作る
――厚切りのハムカツなど、ほかの店ではあまり見かけない。ありそうでなかった商品を作るのが上手ですね。

 2011年に最初の店をオープンしましたが、料理からサービスまですべては、料理やお酒が好きな「オレが近所に欲しい店」という視点から考えてきました。ですから、何をすべきかの判断は簡単です。

 具体的には、まず最初が飲食代金は1人2000円台で済むこと。

 次が、「まずいものは食べたくない」といつも思っているのですが、言い方を変えると料理は残さず食べて頂けるものを提供したいと思っています。もちろん味の好みは人ぞれぞれですが、イメージとしては満腹でも食べてしまうくらいおいしい料理を出したいということです。

 最後が、「わー、何それー、すごい」といった声が絶えないような、お客様みんなが楽しそうに過ごす店にしたいと思っています。

 こうした点を意識しながら、生まれた看板料理の1つが「名物ハムカツ」(300円)です。ハムカツのカツは薄いのが当たり前ですが、子供の頃にいつか厚切りを食べてみたいと思っていました。その夢に素直に従って生まれた人気メニューで、お客様が写真を撮って、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿してくださることで、店のPRにもつながっています。

厚切り「名物ハムカツ」(300円)

――常連客を増やす工夫を教えてください。

 厚切りのハムカツやチンチロリンハイボールは、最近ではほかのお店でも提供されていますが、その先駆けになったと自負しています。店にとって大切なのは、何か特徴を持つことだと思っているからです。

 「鳥椿」は地元密着のお店で、常連客がほとんどです。その常連客の方が、人に紹介しやすい店であることが大事だと思っています。例えば、一緒に飲む相手がハイボール好きなら、「チンチロリンハイボールって知ってる?」と言えば、誘いやすいですよね。ホッピー好きに「好きなだけ焼酎を注げるよ」と言えば、これも誘いやすいですよね。分かりやすい特徴を持つことで、お客様は友人や同僚を誘いやすくなりますよね。




<バブルの死角>
図書館で『バブルの死角』という本を手にしたのです。
表紙に「日本人が損するカラクリ」という刺激的な副題が載っています。

3年前の発刊でやや古くなっているが・・・
よし、経済のお勉強やで!と思い、借りたわけでおます。

【バブルの死角】
バブル

岩本沙弓著、集英社、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
消費税・新会計基準・為替介入・量的緩和の陰で国富は奪われ国益が損なわれる。消費税も新会計基準も表の顔と違う側面がある。為替介入でも国富はアメリカに流出していく。日本国民が必死に働いて生み出してきた富を掠めとっていく裏の仕掛けとはなにか。1%のグローバル強者に対抗して、99%の我々が知的武装をするための必読書。
【目次】
第1章 消費税というカラクリ/第2章 税制の裏に見え隠れするアメリカ/第3章 時価会計導入で消えた賃金/第4章 失われた雇用と分配を求めて/第5章 為替介入で流出した国富/第6章 バブルの死角

<読む前の大使寸評>
表紙に「日本人が損するカラクリ」という刺激的な副題が載っています。
よし、経済のお勉強やで!と思い、借りたわけでおます。

rakuten バブルの死角


著者の主張の論旨が「はじめに」に載っているので見てみましょう。
p4~6
<はじめに> より
 これまでの執筆や講演の場などを通じて、マスメディアが喧伝している日本悲観論には異を唱えてきた。すなわち、日本経済を自虐的に語る人たちがこぞって問題点としてあげる「財政破綻」は今の日本には起こるはずがない。

 これは個人の願望として語っているのではない。虚心坦懐にデータを読み解けば、日本が世界のなかでもっとも破綻から遠い国であることは明らかであり、国際金融の現場えもそうした位置づけとなっているからだ。ただし、「世界一のお金持ち」でありながら、それを大多数の国民が実感していない。享受できていないという滑稽さがある。

 日本の財政状況をはじめ、どうも国民に正確な情報が伝わっていないのではないか。それこそが「失われた20年」をまねいた、つまり一部を除いた大多数の国民が疲弊した最大の理由なのではないか。

 情報がゆがめられてしまえば、正確な判断をする材料がなくなってしまう。それが果たして一方的に国民の勉強不足や努力不足でかたづけられてしまうような類のものなのか。
 現在の日米の株価の高騰ぶりを見ると、世界経済はバブルに片足を突っこんでいるような状況だといえるだろう。しかし歴史が教えるように、バブルは必ず崩壊し、その後に巨大な危機を現出させる。今回足を踏み入れようとしているバブルも例外ではなく、むしろバブルの規模が巨大であればあるほど、その崩壊がまねく危機も巨大になる。

 ヒト、モノ、カネがやすやすと国境を越えてしまうグローバル経済のもとでは、日本もまたバブルの災厄に巻きこまれることは避けようがない。おそらく今回バブル化すれば、実体経済を置き去りにしてきたマネー資本主義も最終章となりそうな気配さえ感じられる。

 では「世界一のお金持ち」である日本は、この危機にどう対処していけばいいのか。景気に明るい兆しが見えてきたからこそ、今一度気を引き締めて、グローバル化を背景に強者が喧伝する主張の波に足をさらわれないように経済の体質改善を図る必要がある。

 といっても、ここでいう体質改善とは、悲観論者が対処策としている増税や緊縮財政による財政再建でもなければ、アベノミクスの中核となっている大規模な金融緩和や円安誘導のことでもない。

 端的にいうならば、グローバル経済の強者だけを利するようなルールを改訂することだ。日本経済のバランスシートは国際的に見てもきわめて健全な状態をこれまで保ってきた。しかしバランスシートには現れないところで、国民の富が強者に流れてしまうようなルールが日本経済には埋めこまれている。

 こうしたルールには、表の顔と裏の顔がある。表の顔は、自身の正当性を聞こえよく語るだろう。しかしその裏には、そのルールから最大限の利益を引きださんとする強欲な相貌が隠されている。一見、中立的に見えるルールであっても、そこには必ず「強者の力の論理」が働いている。

 そのことを、国際金融の現場で嫌というほど見せつけられてきた。本書では、日本国民が必死に働いて生みだした富を巧妙に掠めとっていく様々な「強者のルール」が、いつ、どこで、誰によってつくられたのかという大本の事象や原因を明らかにすることで、そのルールの改訂の必要性を指し示すことに努めた。

 バブルには死角がある。ごくごくかぎられた強者が存在する以上、私自身も含めて、われわれ大多数の弱者は弱者であることを意識したうえで知的武装をし、お互いに助け合っていかねばこの難局に対処することはできないだろう。


ここで日本人が損するカラクリを見てみましょう。
p150~155
<国富は国外の強者に流れていた>
 前章までは、1990年前後から現在にかけて、税制や会計制度など輸出大企業や株主にとって有利な制度が次々とでき上がり、それが労働者の賃金低下と重なったために中間層の衰退という大きなゆがみとして現れていることを説明してきた。

 強者優遇の制度変更の数々が国内で着々とおこなわれていったことで、中間層の困窮化が進んでいったといえるだろうが、大企業優遇の制度や消費税の徴収だけであれば、お金がやがては国内へと還元されることにもなり、これほどまでの深刻な一般国民の所得の低下をまねくことはなかったかもしれない。

 言うまでもなく、強者は国内だけにいるのではない。「失われた20年」を通じて、国民が一生懸命働いて納めた数兆円という単位の税金が、あるいは国民がコツコツと貯めこんだ貯蓄が、あという間に国外へと流れていってしまった。

 そのことを実際に国際金融取引の現場に身を置きながら痛感し、とりわけ為替取引を通じて、国際金融の強者の論理から国富が流出するさまを、まざまざと見せつけられてきた。これまで見てきた制度上の問題のなかには、じつは集められた日本国民の富を国外へと流出させるスキームが存在する、といえるだろう。

 畢竟、日本にとって、最大の強者とはアメリカのことであるが、本来日本人のために国内で使うべき資産をほとんど無防備なままに主にアメリカへと流し続けてきたことが、「失われた20年」の傷を一層深めてしまったのではないか。そこでこの章では、中間層衰退の国外要因として、日本の金融史にフォーカスを絞って国富の流出状況を考えてみる。

<安部政権によるアメリカへの50兆円の貢ぎ物?>
 第二章で触れたように、かつて米国債の売却を橋本首相がほのめかした直後、国際金融市場が混乱をきたし、その発言からわずか1年後に退陣したという経緯がある。結果、買うのは簡単でも売却するのは難しいのが米国債、というイメージが国民に定着したのは周知のとおりである。

 この60兆円近いドル買い介入は、いったいなんのために実施されたのか。政府の公式見解は「急激な円高を阻止するため」というものである。

 では、円高を阻止するのはなんのためか。円安になることで恩恵を受けるのは輸出企業であるから、結局のところ、政府の回答は「」ということになる。

 現実はどうだったか。
 小泉政権がドル買い介入をした当時の為替レートは、1ドル=100円近辺であった。それから10年あまり、円の通貨価値は趨勢的に上がり続け、2011年10月、11月の民主党政権下でのドル買い介入が終わった後も約80円であった。つまり、60兆円のドル買い介入によっても、円安にはならなかったのだ。

 これは、日本が置かれ続けた状況を考えれば、当然であろう。少なくともこの十数年、日本のデフレ脱却は困難とされ、その解消方法について国を上げて侃々諤々していたわけである。先述のとおり、デフレというのはモノの値段が下がり、通貨価値が上がるという経済現象である。

 先進各国の経済状況がよければ、海外を目指して経済成長が低迷している日本から投資資金が流出していくことで一時的な円安にはなる。ところが、古くはロシア通貨危機や9.11同時多発テロなど、最近でいえばサブプライム危機やリーマン・ショックのような経済危機が発生したため、その煽りを受けて減価する各国通貨をよそに、通貨価値がかわらないスイス・フランや、デフレでむしろ通過価値が上がる円を目指して逃避資金が流れこみ、スイス・フラン高、円高になった。

 さらに、ここ数年は住宅バブル崩壊の後遺症で先進各国の経済が低迷し、輸出でなんとか最悪期を凌ごうと、あるいは経済を牽引しようとして、通貨切り下げ競争をしている状況であった。そのようななかで日本のデフレが継続となれば、為替市場において円安に反転することは難しい。

 通貨価値が高くなる、すなわち円高になるのがわかっていながら、それでも減価していくドルを買い続けたのが日本である。結論からいえば、これまでいくら日本政府が為替介入でドル高円安を目指そうとも、根本的な円高が反転することはなく、輸出企業を助けることにはならなかったのだ。したがって、「ドル買い介入は輸出のため」という一般に認識されている政府見解は成立しえない。


経済財政諮問会議
すり替えられた規制緩和 内橋克人
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世界で最も有名な経済学者が問う「アメリカの横暴」と「ニッポンの覚悟」
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戦後・日米経済史年表


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