2025年02月02日
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葵の紋に生きる徳川の家の志だ ​​​​​

それから数刻ののち、浜御殿では招かれた琉球一座の踊りと歌が繰り広げられ、月美香太夫一人の舞の舞台になり、正面に置かれた装置に太夫が立ちますと扉がまわり、 笠で隠した一人の女の人が 出て来ます。
階段を降り 、音楽が鳴り止むと同時に 舞台にすくっと立ち 、笠を飛ばし 羽織っていた着物を脱ぎます 。老中堀田加賀守が「あっ、若さま」と、英明院、鈴木や唐金屋も一同びっくりします。そして刀を手に取った熊谷民部らに、若さまが「 静まれ 」と制止ます。

​​  



若さま「 はっはは 、琉球一座よりもっと面白いものをお目にかけよう」。​

​​​​​​​​​
若さまが正面座敷に座っている堀田に向い
若さま「加賀守、 しばらくだな

加賀守「これは若さまには先ぶれもなく、 何の御用でございますか
若さま「 あっはっはっ 、何を言ってやんでい。先ぶれをすりゃおそらく、その唐金
    屋と鈴木采女、風をくらって逃げうせるだろうからな」

唐金屋「妙なことを承りますな。私が 何故逃げなくてはなりません
若さま「唐金屋、御上の御用を取りたいばかりに、異国の芸人にまでとんだ日本の
    恥をさらしたな」
唐金屋「何でございますって」
若さま「小納戸役頭取と交わした取引状に、琉球芸人の世話まで書き込んだとは、
呆れ返った馬鹿ものだ
そう若さまに指摘された唐金屋は鈴木の方を見ます。

今度は唐金屋の隣りに座っている鈴木采女の方を見て、
若さま「また、その取引にうまうま乗って、天下の財政をかえりみず、私利私欲の
    ままに 御用商人を取りつぶし 、その悪事に加担した下役を無頼武士を使っ
    て 闇から闇へ葬る

そういうと、今度は、熊谷民部の方を見て、また続けます。
若さま「正月元旦の 夜明けに一人 、城の見回り番士が 下城そうそう殺されたはず 」​​

​​​​​​​​​​​​​​​

すると、鈴木が、「何を証拠にそのようなことを申される」といってきたので、若さまは「よーし、この後に及んで 証拠呼ばわり 、・・・ おちか 」、若さまに呼ばれ「はい」とおちかが舞台の中央にやってきます。


若さま「采女、この娘の前に 恥ずかしいとは思わぬか

びくともしない鈴木を見て、
若さま「また、この 取引書状 、江戸八百八町の 町民の前に 、さらしてやろうか」
そう言って、若さまは、 ひろげた書状を見せます


そして、堀田にいいます。
若さま「 加賀 、直ちに城内におもむき、この由上様に申上げ 、鈴木采女を裁きにか
    ける

堀田は落ち着いた口調で若さまに、葵の御紋をめされている若さまのお言葉とはいえ、お聞き届けはいたしかねる、といってきました。
加賀守「若さま、これにいさせられるはどなた様と心得なさる。先の将軍家御部屋
    様、英明院様であらせれられるぞ、お控えなされ」
若さま「 ふざけるねい
若さまは英明院の方へ歩きながら
若さま「天下万民を思うてまつりごとをとられた、先の将軍家の御皇室さまが、そ
    の方ごときに 恥かしめをうけられるはずがない 。誠の英明院様ならば、一
    室にこもってひたすら、亡き将軍家の御霊を弔い、正しい太平の世を 祈ら
    れるは
ずだ
英明院は、若さまにいわれたことに下を向きます。


若さま「真に尊いのは、人の身分ではない、 見ろ
若さまは葵の御紋のある羽織を脱ぎ、着流し姿になります。


若さま「 世を捨てて 天下を守り 、それが 葵の紋に生きる 徳川の家の志だ


「葵の御紋がないその者は若さまとはいわせん」と堀田はいうと、民部に「斬れ」と命令し、家臣達も 若さまを取り囲みます 。​




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最終更新日  2025年02月02日 20時26分43秒
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⑴◆大川橋蔵グラフ◆から (1958年平凡別冊6月号より)


(2)◆映画アルバム・大川橋蔵傑作写真集◆から (1959年映画ファン9月号)


(2)-2◆映画アルバム・大川橋蔵傑作写真集◆から(雑誌映画ファンより)


(3)◆トミイの魅力 大川橋蔵の全映画アルバム (1958年8月)


(4)◆映画アルバム第8号《わたしのトミイ》 (1960年3月発行)


(4)-2◆映画アルバム第8号《わたしのトミイ》 (1960年3月発行)


🤷‍♂️橋蔵に関する記事からの風評やよもやま話等


サイド自由欄

◇◇◇◇◇◇◇◇

★1959年増刊号平凡「あなたの大川橋蔵」から、橋蔵さんのいろんな画像を載せていきます。お楽しみください。

⑯ がくや ①
実演の旅の楽屋はとても忙しい。
地方のことだから楽屋も狭く、一日に三回の上演になると、ファンの訪問の応待やらメーキャップで、息ぬく暇もない。
星美智子さんとのこんどの東海道の旅は、お正月そうそうのいい時期とトミイの爆発的な人気で、楽屋の中も大騒ぎ。
橋蔵さんは新春そうそう嬉しい悲鳴をあげました。















(^^♪)**随時更新していきます**(*^-^*)
📦 (^_-)-☆★
フリーページの方でも橋蔵さんが待っています。
その都度アップしていますので、各項目をクリックして開いてみてネ。
★☆(^_-)

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