Shinanonokuniのブログ

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1日目



今日は出発する日である。朝起床するときたいへんに気分が悪かった。頭痛がして体が重い。このところ仕事が忙しかったり、つきあいで夜遅くまで飲んでいたことがあったので少々疲れているようだ。体温を測ってみると36.8℃ある。軽い風邪か疲労のようだが重篤ではない。無理をしてでも行ってしまおう。ドリンク剤と頭痛薬と胃薬の三種混合を飲んでから何もやっていなかった旅行の支度をする。やっぱりだるいのか支度も捗らない。だらだらとやってから自家用車で高速バス停駐車場へ向かう。

ノースウェストの便は前述の通り夕方発であるのでお昼頃松本を出立する。松電の高速バス新宿線に乗り新宿駅西口で降りてリムジンバスに乗り換える。成田へ比較的安くかつ楽に行けるのはこの方式が最も良い。(費用は片道6000円くらい)
一番安くあげる方法は高速バスで新宿へ出てから山手線で日暮里へ行き、京成線の特急(スカイライナーで無いの)に乗るのが安い。それでも4000円強かかる。田舎に住んでいる分空港がある名古屋や東京へ出るのは不利である。海外旅行にあまり行かない人はJRのあずさ+NEXを利用するパターンが多い。これだとあずさ回数券を使っても片道7500円くらいかかってしまう。自宅から駅までタクシーの往復を考えると片道9000円近くしてしまう。
成田空港の構造の悪さと各鉄道駅での乗り換えを考えれば水平移動だけで済んでしまうバスが最も楽である。
と言うわけでリムジンバスの客となった。もっともバスの欠点は渋滞に弱いことである。昨今は携帯電話の性能が向上して出先からでも道路交通情報が把握出来るので移動中に情報を掴んで、首都高速があまりにも混んでいる時は京成を利用出来るよう臨機応変に構えている。

この日は大きな混雑もなく都心を通り抜けた。首都高の気に入っているところは高架橋なので眺めが良いところである。東京タワー、レインボーブリッジなど何度見ても悪い眺めでは無い。子供のように車窓の風景を楽しむ。ほどなく成田の検問を経て1タミ北ウイングへ。ノースのカウンターへ向かう。朝方の体調不良もバスの中で適度に寝ていたので治ったように見えた。しかし、実際は治っておらず薬の効果で一時的に楽になっただけであったことが後で身をもって示されることになる。

今回は初めてオンラインチェックインを試してみた。JALのは何回か経験済みだがノースのは初めてである。オンラインチェックイン済の客はC席用カウンターの横へ案内される。機械に旅券を読み込ませて鞄の数を登録する。しかし、C席に乗る客とマイレージ上級者の手続きを優先しているのでなかなか人が来ない。チェックインは自動チェックイン機で無人で出来ても鞄を預けるのは人が居ないと無理である。10分ほど待って、C席カウンターの客が減って来たことろでやっと係員が廻って来た。いつもJALなので待たずに楽な思いをしているが今回はヒラ会員なので仕方ない。鞄を預けてカウンターを後にする。
セキュリティ検査を抜けて旅券に出国のハンコを貰う。子供のようであるが旅券にハンコが貯まって行くのが嬉しい。今回はラウンジも使えないので空港内をうろついて時間を潰す。ブランド品は全く興味が無いしタバコも吸わないので買わない。酒類はテロ事件以降持ち込み制限が厳しいようなのでこれも買わずに水だけ自販機で買う。本当は現地滞在用にメーカーズマークの黒あたりでもぶら下げて行きたいところだが残念である。

ほどなく搭乗開始となる。客層は日本人が多くあとは中華系(華僑系?)と白人も結構居る。今日のシップは新鋭のA330-300、最後尾列左側の2人掛け席を確保してある。この位置はトイレとギャレーが近く楽である反面、人の往来が多いので落ち着かないという意見もある席である。運良く隣は乗ってこなかった。2人席を1人で使えるのは結構なことである。
この飛行機は中長距離路線用に出来ているので個人用テレビが付いている。僕は映画を観たりをゲームをやったりはほとんどしないが、地図で現在位置を見ているのが好きである。なので個人用テレビがある機材にあたった時はナビゲーションマップにチャンネルを合わせておく。国内線を飛んでいる旧JASのレインボーセブンに乗るときも同様にしている。ジェット気流による向かい風、追い風が数字で実感出来るので結構勉強になる。

定刻より数分早くドアクローズ、プッシュバックして誘導路へ。しばし離陸の順番待ちであった。このあたりは米系の航空会社はクールでドライである。なんの説明も無い。JALであれば大概「あと○○機先に居ます、もう15分くらいかかります」などとアナウンスがある。数機離陸して行くのを耳で確認してからやっと順番が回ってきたようで当機も滑走していった。久しぶりの中距離国際路線なので滑走距離も国内線より長い。国内線だとちょっと走って呆気なく揚がってしまうがそれよりは幾分勿体ぶって滑走してから上がっていった。
上昇を終えると飲み物と機内食の配膳である。米系航空会社は最近アルコール類が有償になってしまったが夕食にちょうど良い時間発の便でもあるので酒は有償であっても飲むことにしている。とりあえず1000円札を1枚出して赤ワイン(一合瓶)を2本貰う。酒類はなんでも一杯500円なのでビールは損である。搭乗前に売店で缶ビールを買ってあらかじめ飲んでおいた。そう言えば、ノースとコンチのC席は過去二回ずつ乗ったことがあるがJALでとっくに廃止されてしまったウェルカムドリンクがあるのが嬉しかった。優先搭乗で先に機内へ乗り込んで、座るとすぐにスチュワーデスが飲み物を持ってくる。後から続々と乗ってくるY席の利用者を尻目にシャンパンのグラスを傾けるのは優越感があってたいへんに気分がよかった。いつもはそれを羨望の眼差しで見ているだけだし、今日ももちろんそうである。

赤ワイン二本を飲んで機内食で一献し、ほろ酔いとなって仮眠を取る。いつもは仕上げにウイスキーかブランデーを貰うのだが、今日は何となく胸が重く感じたのでそれだけで止めておいた。最後列なので思いっきりリクライニングしても後ろに迷惑がかからないのが良いところである。2時間くらい寝た後であろうか。突然胸がムカムカして目が覚めた。前述したように体調不良が治っていなかったのである。飲んだ酒を代謝出来ていないようで吐き気がする。ワイン二合で飲み過ぎなんてことはあり得ないのでやはり体が受け付けないらしい。観念してトイレに行って嘔吐する。ちょうど夕食も済んで皆寝ている時間であったので良かったのだがトイレを十分程度占有してフラフラしながら何とか処理を済ませた。旅行も何度と無く行っているし、飛行機も数百回くらいは乗っていると思うがこんな事は初めてである。せっかくの酒と夕食を返却してしまった。こう言う時に一番胃がスッキリするのは大正漢方胃腸薬である。結構気に入っている。医薬品入れから取り出して一服飲む。吐いてしまったのでそれ以降は気持ち悪いことは無くシンガポールへ着いた。

無事着陸してイミグレを通り鞄を受け取る。ツアーの客は迎えのガイドともに三々五々散って行く。既に深夜の二時近い。当方は両替を済ませてタクシー乗り場へ。ここは乗り合いタクシーと普通のタクシーがあるのだが、体調不良で弱気になっていた僕は普通のタクシーでホテルへ向かった。
良く整備された広い高速道路をかなりのスピードで走って15分程度でホテルへ無事到着。深夜なので渋滞も無いし信号にもほとんど引っかからなかった。料金は23.7SGD(約二千円くらい)であった。深夜割増料金や市内乗り入れ料金など加重料金も入れてこの値段ならとても安いと思う。日本なら五~八千円はかかる距離である。ちなみに乗り合いタクシーは6SGD程度とのことである。降車するときにタクシーの運転手さんが「シンガポールでの良い旅行をお楽しみください」と英語で挨拶して見送ってくれた。日本人がなかなか言えない一言が疲れた体と心に嬉しかった。
ホテルのカウンターでチェックインを済ませる。安ホテルではあるがフロント氏はにこやかで対応が良い。そのまま客室へ入ってただちに就寝した。明日からは観光に励まねばならない。体力の回復に努めよう。


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