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阪神・スタン　ゲイル以来の巨人戦２度目の完封

（セ・リーグ、巨人０－４阪神、１５回戦、阪神８勝６敗１分、２日、東京ドーム）阪神はスタンリッジが、巨人打線を３安打に抑え、今季２度目の完封勝利。打線も右腕の熱投に応えるように、九回にはマートンのこの日２本目の適時打と新井貴の２ランでダメ押しの３点を奪い、巨人を引き離した。

　最後までゼロを並べた。スタンリッジが胸のすく快投だ。強力巨人打線を３安打に抑え、完封ショーを演じた。

　「プレッシャー？　答えは『ノー』だ。普段の試合と変わらないよ。自分の投げる試合はすべて同じように重要だ」

　敵地に乗り込んでの巨人３連戦。いつも以上に闘志がみなぎっていた。

　四回に先頭の橋本に中前打を許すまで、無安打投球。橋本に二盗を許し、阿部にも四球を与えて一死一、二塁と初めてピンチを背負ったが、好調の村田を一邪飛、ロペスは三ゴロに打ち取った。一回の１点を、必死で守っていった。

　「いいチームを倒すことは、なによりの喜びだよ」

　巨人戦は今季６度目の先発。５月７日にも東京ドームで６安打完封。阪神の投手でシーズン２度の巨人戦完封は、１９８５年のゲイル以来。そう、日本一に輝いたあの年以来だ。６・５ゲーム差と、まだ首位は遠いが、助っ人の快投をきっかけにしたい。

新井貴（九回にダメ押しの２ラン）
「完璧。もう１点と思っていたが、最高の形になった」

「持ち味のスライダーがゴロゾーンに集まっていた」

スタン虎救った！Ｇ斬り“歓”封ショーで６勝目

燃えた、しびれた！！　阪神のジェイソン・スタンリッジ投手（３４）が首位巨人を完封し、瀕死の虎を奮い立たせた。１９８５年のゲイル以来となる阪神投手の１シーズン２度目のＧ戦完封で、チームも東京ドームで球団史上初の５連勝。夏のロード初戦で、あきらめない執念を巨人に刻みこんだ。

試合中に携帯電話が光る。“苦情”だった。

　「伝統の一戦なのに、地上波のテレビ中継がないんや！！」

　巨人阪神戦が…。何とも悲しいご時世だが、新聞記者の“ヤル気スイッチ”は入るってもの。見てない人が多いのなら、スポーツ紙の出番だ。

　久々に見せてもらった。投手戦ってヤツを。完封ゲームセットでスタンリッジと藤井彰が抱き合った瞬間は、鳥肌が立った。７・５差で迎えた３連戦、２敗すれば巨人にマジックが点灯する。崖っぷちに仁王立ちだ。

　「戦い抜いたという感じだ。落とせない一戦？　そういう重圧を自分にはかけないで、自分の仕事をするだけと思っていた。初戦をとれたのは勢いがつく」

　熱い闘志をむき出しにした。映像を見られなかった人に教えよう。四回一死一、二塁の大ピンチをしのいだ直後のベンチで、スタンリッジと藤井彰がケンカをした…。

　というのは嘘だが、かなりエキサイティングに激論を繰り広げていた。

　「自分としてはアグレッシブにいきたい場面があった。アイデアというか、自分がどう投げたいかを伝えた」

　妥協しない姿勢が、快投をさらに加速させた。６連勝中と状態はピークのＧ打線相手に被安打３、９奪三振。やっぱり凄い。「３つ取るつもりで乗り込んでいる。我々も意地がある」と顔を上気させた和田監督は「スタンに尽きる」と３度繰り返した。

「何かを変えようという気持ち。迷信とか儀式とかを信じるタイプではないが、違う感覚でやろうと。この先もずっとこの感じでやるよ」

　セの防御率１位の２・２１。勝ち星には恵まれない（この日で６勝７敗、まだ黒星先行）が、投手の勲章ともいえる地位に君臨し続けている。

　「ずっと（新聞の記録欄を）見ているよ。強みにしないほうがおかしいからね」

　米では３年目の１Ａリバードッグス時代に防御率２・０２でタイトル争いをしていたが、２Ａに昇格して賞を逃した。その前年はルーキーリーグのプリンストン・レイズで今も残るシーズン失点のワーストを残している。

　「自分の成績は全部、そらで言えるよ」

　球宴期間中、家族と旅行？　と問われた助っ人は「すべてが終わってからだ」と言い切った。家族サービス最優先の男にしては珍しい。それだけ懸けるものがある。

　スタンリッジの快投で、１シーズンでの東京ドーム５連勝は阪神史上初。個人の巨人相手のシーズン２完封は、１９８５年のゲイル以来。長い球団史で唯一の日本一の瞬間にマウンドにいたのがゲイル。ってことは、スタンリッジが…。巨人の背中はまだ彼方だけれど、そんな期待を抱かす、劇勝の夜だった。

データＢＯＸ

　◎…阪神が４月１８日から東京ドームで５連勝。１９８８年の開場以来、１シーズンでは史上初。シーズンをまたぐと、２００７年８月８日～０８年４月５日までの６連勝（１分け含む）以来
　◎…スタンリッジが今季２度目の完封で６勝目（７敗）。前回の完封も巨人戦（５月７日、東京Ｄ）で、阪神の投手が巨人相手にシーズン２度以上の完封勝利は、１９８５年のゲイル（２度）以来２８年ぶり
　◎…阪神は今季４度目の巨人戦完封勝利で、このうち東京ドームでは２度。同球場でシーズン２度は８８、９４年に次いでチーム１９年ぶり３度目のタイ記録
　◎…阪神は３日、４日に連敗すると、巨人に優勝マジック４３が点灯する

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