梅林庵

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2009年06月15日

プールの中の魚

(4)

カテゴリ：日記

午前5時過ぎに起床。ここ数日、視界の悪い日が続いています。30kmはないと思います。晴れてはいるのに、湿度が高いせいでしょうか。そのせいなのかもしれませんが、夕日は殊のほか赤くなり、これはこれで風情があってよいのですが、秋天の爽やかさは望むべくもありません。ただ、風は心地よい。

夕方、母の病室を訪ね、何時ものように世間話をしました。今日も、これまでに出会った人のことを話してくれました。苦労した人のことが多いです。いろいろな事情で若い時分に不遇を託ち、それが彼らの今の立派さになっているというような話をしきりにしました。世渡り上手になってはいけない、人間は信用が大事だと、そして最後に、その点おまえは50を越えてもまだまだだと。あー耳が痛い。でも私の妻のことは褒めてくれます。帰り際、短気の父を怒らしてはいけないと、口を酸っぱくしながらいいました。
番匠川の堤防へ回り、池船町あたりから河口まで折り返し。10km走りました。夕涼みの散歩をしている人たちとすれ違いました。老夫婦、若いカップル、少年、女子高校生、犬を連れたご婦人ｅｔｃ。皆、この場所で思い思いの時間を過ごしています。左岸に広がっていた菜の花畑は、全く面影がありません。河口付近にキス釣りの船外機船が1艘。片白島の向こうは靄ってよく見えませんでした。
突き当たりは、佐伯港の岸壁に続く埋め立て中工事が進んでいました。護岸が先に出来て、中はまだ水面でした。とても広いプールのようです。そこに魚が泳いでいました。外海と完全に仕切られてしまったことを、この魚は知っているのでしょうか。なんだか、その人は知るよしもないのに、傍で見ている私が本人の運命を知ってしまったようで、いたたまれないような、複雑な気持ちになりました。
今夜はメンゲルベルグでベーヤンの英雄を聴きました。コンセルトヘボゥ管。1941年録音です。その後、獅子文六全集の中から一遍。

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