梅林庵

平成27年5月29日金曜日

　午前4時半起床。晴れのち曇り。このところ、未明から白み始める頃は、鳥が喧しいです。田舎ですから、人工音はしません。時折、早朝出勤の人が運転する車が通っていくだけです。拙宅は、国道、県道から離れた突っ込み(行き止まり)市道の途中にあります。妻は不満ですが、閑居するにはもってこいのところです。而して、さえずりが大きく聞こえてくるのです。

　自慢話が過ぎました。一番近いスーパーは4km先、ガソリンスタンドも2km離れています。飲み屋のある繁華街(といっても人口7万人あまりのまちですから規模はしれていますが)までは7km。歩いて行くには遠すぎます。自動車を持たないと、不便きわまりない田舎です。

　妻のスキスキに見送られて出勤。今日も毎度の時間が流れました。そんな中、遠くからお客様がありました。弊社には、本業とは別にいろいろな用件が持ち込まれ、それを担当するのも私のセクションです。外国の方もみえます。その際は、通訳が必要です。中国語を話す社員はいますが、ビジネス英語の出来る人はいません。今日は英語圏からの話でした。困ったなと思いきや、灯台下暗し。鶏鳴狗盗、部下のキリノスケがペーパーを忽ち概訳。商談、渡航話が持ち上がりました。よし、お前行ってこい。途端に顔が暗くなりました。キリノスケ、皆に聞こえぬよう小さな声で曰く「あのー、パスポートが無いんです、一度も外国へ行ったことがないんですよ、だいたい、佐伯のまちにパスポートを更新して持っているひとなんか、そうそういませんよ」おいおい、おまえなー(苦笑)。韓国旅行仲間の炭組合組合長も、私の妻ですら持っています。最高学府を出ているのにどうなってんだ。こちらの東大も下暗しです。

　会社を後にしたのは午後7時前。写真は番匠川の夕景です。

　時刻が下がりましたが、猶明るさが残っている。運動公園へ廻ろうかと思いました。しかし、今夜はNHKFMがゲヴァントハウス管の演奏会をやります。真っ直ぐ帰宅。風呂に飛び込みました。妻があれこれを作り置き、コーラスへ出かけました。ピラフ主体の夕飯でした。これでは酒を流すことが出来ない。食べ終えて鯖缶を出しました。

　さあ聴くぞ。愛機2205に灯を入れました。マッキンブルーがいい感じです。

　こちらはC32。いい色合いです。

　おっ、トラがやってきました。今夜はベートーベンだぞ。指揮はブロムシュテットだ。前半のプログラムはモーツァルトのk491。マルティン・ヘルムヒェンのタッチは繊細で天国的。うっとりしました。英雄の方は、マイクの位置が定まらないような録音でした。各パートの音は客席で聞こえる音量と違いました。どれも同じ大きさに聞こえました。興醒めでした。

　聴き終えた後は、酒の味も変わります。杯を置きました。これも妻が作り置きのアラ汁を啜りました。酔い覚ましによかったです。読んだ本は中野重治「村の家」。転向五部作のなかの一冊です。いい感じです。余談ですが、キリノスケが大学・学部の大先輩です。

今日の一句

六月のエロイカを聴く猫の居て

今日の写真は、鯖缶にひくつくの図です。