梅林庵

梅林庵

2018年04月25日
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カテゴリ: ショートショート
平成30年4月25日(水)
 目は早くに覚めていましたが、床を出たのは午前4時半。晴れ。ミルクティーとチョコパイの朝読書がいい感じでした。
 終日デスクワーク。夕刻1時間早退。S内科へ血圧降下剤の処方箋を貰いに。飲んでますかと訊かれ、最近は4勝3敗、あまり走っていないことを伝えました。忙しそうですねと言われ、まあまあですと返しました。
 真っ直ぐ帰宅。着替えて走りに出かけました。近所の家に繋がれたチビと目が合いました。この春に死亡したJのKやんが愛犬です。散歩の折り行き遇わせて頭を撫でてやったことがありました。よし、ランを止めて連れ出すか。そうしました。あらかじめ飼い主、Kやんの奥さんには断りを入れてありました。おーよしよし、一緒に行こう。



 途中で大きいウンコを大量に。溜まっていたのでしょう。幸い、FのRさん所有の畑、草むらの中でした。大丈夫、肥料になる、そう独りごちました。写真は木立小学校の脇に咲いたコデマリです。グラウンドで木立ファイターズが練習をしていました。この少年野球チーム、結成時、エースは私でした。息子が通った頃は監督をしました。今は全校生徒が60人くらい。少人数になって寂しいです。ナインも低学年を含んでいるようです。



 チビを元の柿の木に繋ぎました。またな。家に戻りました。茶畑の隅に1本、李の木があります。実の生っているのが目に入りました。豊作のようです。梅雨入りの頃、楽しめます。



 妻が湯を張っていてくれました。カープ戦を訊きながらドボン。先制点を取りました。そのウラ、ひっくり返されましたが、次の回に大量点。もう勝ったも同然です。中日相手の3連敗は何だったんでしょうか。食卓につくと妻が手造りハンバーグ。仕方がありません、赤ワインを舐めました。写真は変な構図になりました。箸をつけたせいです。



  夢を見ました。就職の斡旋でした。橋守にならないか。老後を保障するという話でした。詳しいことを尋ねました。次のような話でした。
 三瀬川に架かる橋に橋守です。三瀬川とは別名を三途の川と呼ばれています。どこからどこへ向かって流れているのか誰も知りません。架かる橋はたった1本です。人間は死ぬとここを渡らねばなりません。その際、懸衣と奪衣の役目をするのが橋守です。魂はまだ人の格好をしています。身にまとうものを剥ぎ取るのが女の仕事。剥ぎ取るといっても服や着物ではありません。罪業のことです。男がこれを受け取り、衣紋掛けに掛けて罪業天秤の木、俗に賽の木と呼ばれているそうですが、その枝に吊るします。賽の木の根はよく張り、橋の欄干に伸びています。枝がある程度の重さを感じると、根が橋げたを離れ裸の人間に巻き付きます。哀れ、助けを乞い願い訴えるを無情、流れの中に引き込みます。川の中には人間を丸呑みする足の生えた呑舟の大魚が棲んでいます。飲まれた魂は10万年の間、暗い腸の中で粘ついて異臭のする消化粘液に苛まれながら溺れ続けます。息のできない苦しみが続きます。精も根も尽き果て、苦しみや痛さを感じなくなって猶幾千万年。己が誰だかとうに判らなくなって久しい、いやもう物になりさがり意志の片鱗もない状態になって、肛門から放り出されます。その後、川を流れていきます。運がよければお釈迦様の気まぐれに救われます。しかしほとんどの魂は僥倖に巡り合うこと能わずと聞いています。その後がどうなったのか、どこへ流れ着くのか、誰も知りません。
 見学に来いというので言われるまま。そこに着くと、勲章を首に下げた男が橋を渡りにやってくるのが見えました。とても美しい女が優しく罪業を剥がしにかかりました。随分と重いようでした。しかし、衣紋掛けを賽木の枝に掛けると思いのほか撓(たわみ)みません。欄干の根も男に巻き付こうか否か、逡巡の動きでした。男は早く通せと急かしました。仕方ありません。橋守、傴(せむし)姿の男は衣紋掛けを枝から外し、当の男に持たせました。手を引いて閻王の間に連れて行きました。大きな扉を開くとそこは真っ白の空間でした。閻王の間と言いながら壁も境目も、振り返って入ってきた扉さえ消えていました。傴男もいません。しばらくすると目の前に大きな水晶玉が現れました。球面は鏡になっていました。照魔鏡ともいわれる浄玻璃の鏡です。途端、ものすごい勢いで水晶の球が回転し始めました。ぼんやり像が浮かび始めました。男の幼少のころ、若い母に手を引かれる姿でした。次いで少年期、一心不乱に勉強したころの背中、大学の合格に喜ぶ笑顔、父の死に沈む母子、奨学金を得て苦学、卒業して一流といわれる会社に奉職。喜ぶ母の姿。それまで鏡面に一点の曇り無しでした。しかし入社した会社が清濁併せ呑む環境。次第に座敷仕事の居心地を覚え、賄賂に味をしめていきました。鏡が曇り始めました。それからは見るも無惨、人を貶めて這い登る猟官と背任。手柄横取りと責任のなすりつけ、浮気と嘘のつき通し、経営陣に上り詰めた時の背中に烏天狗が負ぶさっていました。勲章をもらう場面はありませんでした。ベッドの上で死を迎える時が来て水晶玉の回転が止まりました。その時でした。首に下げた勲章は梅干しの種に変わっていました。その糸が切れ、ポトリ、足元に落ちました。
 背中の扉が開いて傴男がのぞきました。また手を引かれ橋のたもとに戻りました。途端、賽の根に絡めとられ川面に落ちました。忽ち呑舟の魚がそれを飲んでしまいました。後には何も残りません。気がつくと美しい女性が梅干しの種を拾い、賽の木の根元に穴を掘って埋めました。
 家に戻ったところで目が覚めました。ぼんやり考えました。それもいいな。
今日の一句
三瀬の川暴れ狂いて夢の覚む
今日のラン
なし
今日の酒
冷酒5勺 赤ワイン2グラス 白波1合









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Last updated  2018年04月26日 06時23分59秒
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nkucchan @ Re:清々しい一日でしたがネタ切れ(05/25) New! パルスオキシメーター、これ、日本人が発…
禁玉減酒 @ Re:清々しい一日でしたがネタ切れ(05/25) New! こんにちは~。 オヤジ会農園も、ウリハ…
一人親方杣夫 @ Re[1]:緑に囲まれ一人の時間(05/24) New! 禁玉減酒さんへ おはようございます。 は…
一人親方杣夫 @ Re[1]:緑に囲まれ一人の時間(05/24) New! シミ君さんへ おはようございます。 父は…
禁玉減酒 @ Re:緑に囲まれ一人の時間(05/24) New! こんばんは~。 だいぶご回復されたご様…
シミ君 @ Re:緑に囲まれ一人の時間(05/24) New! こんばんは。 もうだいぶ回復したようで…
一人親方杣夫 @ Re[1]:夢と救急車(05/23) シミ君さんへ おはようございます。 当…
一人親方杣夫 @ Re[1]:夢と救急車(05/23) nkucchanさんへ 追伸 マルハゲ、こちらの…
一人親方杣夫 @ Re[1]:夢と救急車(05/23) nkucchanさんへ おはようございます。 夢…
一人親方杣夫 @ Re[1]:夢と救急車(05/23) 亮おじさんさんへ おはようございます。 …

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