Angel

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全て | 日々の日記 | 小説
July 3, 2016
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カテゴリ: 日々の日記
         『 もう一度、君と ~幼き約束 ~』3





“早苗。やっぱり、俺じゃ駄目なのか?”

3兄弟の次男である彼は初めて出逢った時から、一目惚れし彼女に恋をしてた。
しかし、後に夏祭りで出逢った少年に恋をしていることを知った。彼女は誰に言うことなく、秘めていたが、ある時、一人の使用人にその少年の話をしていることで知ってしまった。

“早苗は、俺達じゃないやつに恋してる。”

それはショックだった。弟の葵は、からかいながらも彼女に恋をし、彼女の傍にいる。

俺は、自ら世話役を買って出た。文武両道を極め、生徒会会長を務めるも、彼女のことが絡めば冷静でいられない。

「会長、大丈夫ですか?少し休まれたらどうですか?」

根を詰めすぎていると思われたらしい。



「また、早苗ちゃんのことですか?」

副会長の黒岩に指摘され、何も言えなかった。

「早苗ちゃんのことが絡むと貴方は冷静でいられないんですね。」

困ったように笑う黒岩。彼とは、幼少期からの付き合いとなり、長い。だから、彼にはお見通しだった。

「早苗ちゃん。益々モテるようになりましたね。本人は気にしていないと言うか気付いていないようですが、このままでは、危いんじゃないですか?」

彼は立ち上がる。流石に黒岩も煽り過ぎたかと思ったのだが

「黒岩、少し席を立つ。少しの時間、ここを任せる。」

そう言うと生徒会室を後にした。そんな彼を見送り、ひとり呟く。

「素直じゃないんだから。」







 生徒会室を後にし、校内を見まわる。香月3兄弟。学園に居るものなら、誰でも知っているイケメン3兄弟で、月野早苗とセットに考えられる。

幼少期から有名な家の跡取りとして、育った月野早苗。



そのことから、早苗は姫、3兄弟はさしずめて言うならば騎士もしくは王子と称されていた。

外面の良い長男は陰でよく、早苗を虐めているのでかなり嫌われていたのだ。

今日も、虐める。

「早苗、どこに行くのかな?」

「香月先生には関係ありませんわ。急いでいるので、通して頂けませんか」



「ツレナイな。どうせ、もうすぐ俺のモノになるんだから、無駄な抵抗はよしたらいいさ。」

壁に追い詰めて、逃げ場をなくし、悪い笑みを浮かべる。そして、強引に唇を奪おうとする。

「貴方のそう言う所が嫌いなのです!貴方の言いなりにはなりませんよ!!」

急所を蹴り上げ、腕の中から脱出。

「今後、この様な事をなさるならお爺様に言いつけますわ。それではごきげんよう。」

何事もなかったように去っていく。

「・・・クソ、次はない・・・・・・」

痛さに身悶える。







 見えなくなった所で、早苗は怖かったと震え、泣き出しそうになる。

少しの気の強さがあるお嬢様と言う風に見られているが、実際はか弱い女の子。とは言え、多少の武道は嗜んでいるので、いざとなった時の護身術も心得ていた。

「おい、早苗。何してんだよ。」

上から声がしたのでビックリとして、声の下階段の上の方を見ると現れたのは三男の葵。ゆっくりと下に降りてくる。

「・・・別になんでもない。葵先輩は、部活の時間じゃないのですか?」

「ああ、そうだ。お前、今暇だろう。マネジャーの仕事しろよ!」

唐突な発言に、固まる。彼は暴君。早苗は華道、茶道と兼部していて、こうして一人でいる時に、強引に葵の所属する部のマネジャーをさせる。

周りはお恐れたことと思いつつも真面目に仕事をしてくれる彼女を重宝し、益々彼女の株は上がり、高嶺の花、憧れの人となっているのだった。

「悪いけど、無理よ。今日は茶道の稽古があるの。いつも言うけど、葵先輩のパシリじゃないんですからね!」

「早苗のくせに生意気だぞ!俺がやれと言ったら、やるんだ。」

ここまで来ると長男より厄介だったりする。強引で、強制的に連行しようとするのだ。

「こら!葵、何をしている!早苗にあれほど無理じをするなと言っただろう!」

救世主とばかりに生徒会長である次男の守が現れた。

「別に強制なんてしてねぇよ!なぁ、早苗?」

言葉で圧力を掛けようとする。

「私は稽古があるって言いましたよね!先を急ぎますので、無理です!会長ありがとうございます。では、葵先輩さようなら。」

会長がいるので少し強気で言い、ダッシュで走り抜けるのだった。


「こら、廊下は走るな!」

この声はきっと届いてすらいないと解っていた。

「ったく。兄貴、逃げられてしまったじゃないか!」

「あのな、早苗は月野の姫君だ。それなのにお前とくれば!」

「分かってるさ・・・・・・。向こうの方が格上な事も今のままじゃ、兄貴に全部持っていかれる事も・・・・・・」

こういう時の葵は素直だ。3兄弟の中では恐らく一番早苗と距離が近いと言える。

「だが、まだ時間はある。出来ればこのまま、逢わせたくない・・・・・・」

珍しく感情を剥き出しにする兄、守の姿に葵は想いを悟るのだった。






 snowの日記
今回はここまで力尽きました。






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Last updated  August 28, 2016 10:50:31 PM
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