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明後日はとうとう惣さまの誕生日ですね!とりあえずいじりますよ!!ではどうぞ。その年の5月29日は、尸魂界の名の知れた豆腐料理の店である宴が開かれていた。場を仕切るのは、五番隊副隊長、雛森桃。敬愛する上司、五番隊隊長の藍染惣右介の誕生日を祝う宴である。極親しい内輪で、という雛森の考えだったが、あっという間に参加者が増え、20人近くにも膨れ上がる。雛森と親しい十番隊の日番谷に乱菊、八番隊の七緒が出れば自動的に京楽がくっついてくる。となれば、十三番隊の浮竹に3席の2名、命を救われた恩義なのか果たして女目当てなのかは分からないが、修兵も居る。となれば、射場も参加し、美味しいものに釣られてくるのか何時の間にか、やちるも居る。修兵が誘ったらしい、恋次も加わり、更に何故か四番隊の隊長格もそろい踏みと言った様子である。イヅルもどうやら来たかったらしいのだが、上司のギンが「ボクはええわ。もう誕生日祝われて嬉しい年でもないやろ。」と参加しなかったため、不参加となった。「・・すみません、藍染隊長。こんなに大人数になってしまって・・。」流石に来るという者を断るわけにもいかなかったらしい。が、どちらかというと静かな環境を好む藍染の気に障りはしないかと、雛森は申し訳なさそうに謝った。藍染はそんな部下の様子に、ふっと穏やかな笑顔で労をねぎらった。「かまわないよ。僕の誕生日をこれだけの人数が祝ってくれるとは思わなかった。嬉しいかぎりだ。君のお陰だよ。ありがとう。」いつもの穏やかな言葉に、うなだれていた雛森の首が一気にしゃんとする。「ほ・・本当ですか?怒ってらっしゃいませんか?!」「嬉しく思う事こそあれ、怒る事など何もないよ。ここの座敷を抑えるのも大変だっただろう?」「そんなこと・・。」思わず、雛森の頬が赤くなる。雛森は言わないが、なかなか予約の取れないこの店を抑える為に、1年も前から予約をしていた。しかも、何度も足を運んで、この日に最高の料理を出してもらえるように、頭を何度も下げていた。そして、酒宴が始まった。乾杯の音頭は当然、「藍染隊長、お誕生日おめでとうございます。」で始まる。いざとなると、緊張するのか手に持った盃がプルプルと震えながら、なんとか雛森が音頭をとる。「何、緊張してんだ、雛森。」と幼馴染の冬獅郎から、茶々を言われて「もう!余計緊張するから言わないで!」と噛みつく様子も、藍染は穏やかに眺めていた。ようやく、乾杯の音頭が終わり、杯を傾けたその後に、一斉の拍手を浴びる藍染。「今日は、皆忙しいところを集まってくれてありがとう。素晴らしい誕生日となったよ。さあ、後は楽しい時間にしようじゃないか。」そう挨拶した藍染に、京楽が言う。「いやあ、またこれで惣右介君も一つ年を取って、いい男になっちゃったねえ。」「どうかな。そうならいいんだが。」すると浮竹も訊いてきた。「今年はどんな年ににしたいと思ってるんだ?」浮竹らしい質問だ。すると藍染は、そうだね・と少し考えてた。「来年も同じように、皆でこうして集まれるよう、隊長としての責務を果たすことかな。皆が無事でいられるようにする事。それが隊長の最も大きな責務だからね。」「藍染らしいな。」と浮竹が感心したように言う。「だが、実際は穏やかに時が過ぎるのが一番だと思ってるんだけどね。」というと、京楽が激しく同意した。「そうそう!惣右介君の言うとおりだよ。何事も平穏が一番。卯ノ花隊長もそう思うでしょ?」と話を振られ、卯ノ花も静かに同意する。「その通りですね。私もそう思います。」前菜が運ばれてくる。変わり豆腐3色の前菜だ。箸をつけるなり、舌の肥えた京楽から「うん、いいねえ。」と素直な感想が出る。藍染も、「うん、美味しいね。」と雛森に伝え、雛森を喜ばせた。前菜、向付、吸物、椀盛、焼物、揚げ物・・。どれも雛森が念を押して頼み込んでいただけに、どれも旨い。元々の席の配置もあるためか、段々と会話も隊長たちと副隊長たちという風に、別れて会話するようになる。このところの各隊の様子。取り敢えずの懸案。いつの間にか隊の合同演習の話などが出てきたりと、ついつい隊の話になってしまうのは、仕方ないかもしれない。最も、そう言う固い話に京楽はあまり乗り気では無い様ではあったが。「・・それにしても・・。」と日番谷が話を変えた。「市丸の奴はなんで来てねえんだ?元上司だろうが。俺達が来てるのにずっと副官やってやがったあいつが来ねえってのは、どうかと思うがな。」思わず、あららと浮竹と京楽が顔を見合わせる。ギンは三番隊隊長となり、藍染の副官から離れた時点で、何故か藍染と距離を置くようになっていた。それどころか、時折挑発的な態度も見せる。隊長となったからには、すべからく同格。冬獅郎自身そう思ってはいるが、その冬獅郎でさえも、最近のギンの藍染に対する態度はおかしいと思うものだった。「・・昔から掴みどころのない子だったからね。彼には彼の思う所があるんだろう。それにこういうものは、無理に出席するものでも無いからね。別に気にする事でもないよ。」すると、冬獅郎が「子?」と言葉尻に反応した。すると浮竹が代わりに説明する。「ああ。日番谷隊長は知らなかったかな。市丸は、ちっちゃい時から藍染の下だったんだ。そうだな、ちょうど君くらいの大きさの時からね。」何気にちっちゃいと言われて、冬獅郎の眉根が寄った。「だったら、余計に普通は来るもんだろう。・・たく、何考えてやがるんだ、市丸の野郎は。」と吐き捨てるように言うと、卯ノ花が口をはさむ。「・・もしかしてですが・・。なんとか藍染隊長と張り合えるように、と肩を張ってらっしゃるのかもしれませんね。隊長というものは、才覚も当然必要ですが、どうしても経験という事も必要ですし。必要以上に、意識されておられるとしてもおかしくはありません。」聞き様によっては冬獅郎に言われてる言葉のようにも思われて、冬獅郎が口をつぐむ。「大丈夫だよ。彼は。」藍染が口を開く。「市丸は隊長として何の申し分のない働きをする筈だ。僕への態度など、些細な事だよ。」「流石だな!藍染!信頼してるんだな!」と浮竹。「えらい自信だねえ。」と京楽。「そのように育てているからね。」と眼鏡の奥の目が笑う。「さっすが藍染先生だ!伊達に真央霊術院の講師してるだけのことはあるねえ。」「・・先生は止めてくれないか、京楽。」誕生日の宴は、和やかに過ぎ、やがて解散となる。隊舎に戻り、私室へ向かう回廊で、藍染の足が止まる。ヒュッっと藍染に向って何かが投げつけられた。後ろからだ。それを藍染は振り向きもせずに、片手で掴み取った。「・・・ギンか。」「えらい楽しそうやったやないですか。お誕生会。」暗闇からギンが出て来た。「寂しかったのなら、来ればいい。」「いややわ、あないなお偉方ばっかりの場や。まあ、雛森ちゃんからかいにやったら行ってもええんやけど。」藍染は投げつけられた物に目を落とす。「・・で?何の冗談かな?これは。」卵だ。間違いなくゆで卵だろう。「イヤやなァ。そら誕生日のプレゼントですわ。お誕生日おめでとうございます。ほな。」言うだけ言って、闇に消えるギン。その方向に一瞥をくれて、私室に戻っていく。文机に明かりをともし、投げつけられた卵を見る。細工がされているのは持った感触で解った。半紙の上で卵の殻を割ると、中から藍染めの布が出て来た。白く馬酔木(あしび)の花の模様。「・・・眼鏡ふきか。」どうやって、これを卵の殻の中に入れたのやら。そもそも、嫌いなゆで卵の殻に隠して贈るという、この性格の曲がり度合い。「・全く。困った子だ。」口の端を上げて薄く笑うその表情は、いつもの柔和な藍染のものとは掛け離れている。そして、その年の藍染の誕生日は過ぎて行った。なんちゃって。明後日はゆで卵作らんとね!(笑)←お前も相当まがっとるんじゃ!!
2010年05月27日
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今日は軽く平子で。ではどうぞ。緑の長き黒髪は、乙女の証と数十年前は言われていたそうだ。では、光輝く長き金髪はなんの証となるのだろう。現世へ身を隠すことになった平子達。霊力遮断義骸により、人間と見分けがつかなくなった彼等は、すくなからず人間と接触することが多くなる。無論、そうなればトラブルの一つや二つも生じるわけで。その煽りを一番に喰らったのは実は平子だった。「おい、見てみろよ!あの金髪!」「なっげー!あんなにストレートな髪、金髪ではオレ初めて見た!」ナンパ盛りの男たちが前に歩む金髪の後姿を見て、驚嘆の様子だ。彼等の前を歩むのは、金髪のどうやら外国人の様だ。直毛が多いという日本人でさえ、これほどの美しい直毛の髪をしたものはそうそう居ないだろう。絹糸のようなしなやかな金の髪が、腰ほどにも伸ばされている。「でも、背がいやに高くないか?もしかして男なのかな。」「馬鹿、外国人てえのは背が高いもんだって決まってんだろ?それに細いし。まあ、ケツは小さいけどよ。絶対女だって!」洋装のその外国人は一人で、前を歩いている。少し猫背であることと、ズボンのポケットに手を突っ込んで歩く姿はいただけないが、美しい金色の髪はその欠点を余りあるほどだった。「・・オイ。美人かな。」「見てみりゃいいじゃん。」「声かけてみるか?」「でもオレ英語できねえぜ?」「そこは気合いだ!行くぞ!」小走りで、外人に駆け寄る。そして、その肩を叩こうと手を伸ばした瞬間、その外国人が振り向いた。「なんや、オレになんか用か?」その人物・・当然平子真子でございます。『男だったのか~~!!!!』『しかも外国人なのに関西弁~~!!!』無残に砕け散るナンパ心。あえなく敗退のナンパ男でございました。一方の平子は不機嫌そのもの。なんせ、これで5日連続で後ろからナンパ体験中。そして、その全てが平子が振り向いた瞬間、自ら崩壊していくのである。『髪長い、いうだけで、勝手に女にすんな、ボケ。』不機嫌そのままにアジトに帰る平子。そうえば・・とローズの方を見やった。ローズも長髪だ。「ローズ。」「なんだい?シンジ。」「オマエ、女に間違われへんのか。」すると、驚く以前に引いてしまったようだ。「・・なんなの?ソレ。」「ここではなんや、髪長い男はみんな女に間違われるんか、思うてな。」「無いよ。女性に間違われたことなんか。流石にこの身長で、女性で見るのは無理でしょ。肩幅とかも違うし。」ローズは平子よりもさらに長身だ。なるほど、ここまで長身だと流石に女性として見るのは不可能だろう。でも、おもろない。「・・シンジは間違われちゃうの?」ローズが聞いてきた。「今日で5日連続や。しかもみんな後ろから声かけて来よる。」「で、シンジの顔みて逃げてくんだ?」「ホンマ、失礼な話やで。けったくそ悪い。オレの何処が女言うねん。」すると、う~~んとローズが考えるようなそぶりを見せ、ためらいがちに意見を述べてきた。「やっぱりその髪じゃないかな。女の人でもそれだけ綺麗なストレートの髪してる人ってなかなかいないでしょ?だから、つい女の人だと思っちゃうんだと思うよ。それにシンジは細身だし。ちゃんとした筋肉はついてるんだけどね。でもやっぱり髪だと思うんだけど。」「そうか。やっぱ髪伸ばしてんのがアカンのか。」「あ、でも僕はその髪気に入ってるからね?ひよ里だってきっと気に入ってると思うよ?」「あいつは、どうでもええねん。どうせ俺の髪や引っ張る道具にしか思てないしな。よし、解った。」「何が解ったの?」「切ってくる。」「何を?」「髪しかないやろ。この展開で他に何切る言うねん。」「ええ~~?!僕は反対だよ!せっかくそんなにきれいな髪伸ばしてるのに。」「ここは尸魂界や無い。現世や。郷に入らば、郷に従えいうやろ。切ったる。そんで後ろからナンパされ生活からオサラバすんねん。」「ええ~~?!」引きとめの声を振り払い、もう一度アジトから出た平子。床屋の扉をくぐっていた。「い、いらっしゃい!」いきなり現れた、金髪の外人に床屋の主人も驚き気味だ。「髪切って欲しいねんけど。」「は、はい。ではこの椅子にお座り下さい。」タオルと、その上から理髪用エプロンをかぶせられ、鏡の中の己をにらむ平子。「これはまた・・綺麗な御髪でございますね。これだけの髪をしてる人なんざ、そういませんよ。で、どの程度お切りしますか?」「バッサリやったって欲しいねん。」「は?」「そやからバッサリやったってって言うとんねん。」「こ、これくらいですか?」なんせ、腰のあたりまである髪なのだ。バッサリといってもどの程度か解らない。そこで、床屋、背中あたりを指差した。「もっとや。」「この辺ですか?」だんだん上へあがっていく。「バッサリ言うたやろ。もっとや。」「どの辺までお切りしますので?」「そやな。襟足くらいでバッサリやって欲しいねん。」切り落とされる髪の長さは1メートル以上。「・・お客様・・。」何やら店の主が沈痛な面持ちで話しかけてきた。「なんや?」「・・失恋なさったんですか?」「・・言わんといてえな・・・。」「・・やっぱり・・。これだけの御髪を切る覚悟をされるとは、相当お好きでらしたんですねえ・。」「そらもう可愛い子やった。外も中身も最高の子やった。オレの事も好きや言うてくれてたんやのに・・。」「外国人だからって、親御さんに反対されたんですね?」「・・そや・・。俺が外人やからって・・向こうの父ちゃんが・・・って何言わすねん!!オッサン!!」「え?違うので?」「髪バッサリ切る言うたらなんで、失恋の話になんやねん!思わずこっちも乗ってもうたやろ!!無いない!失恋も何も無い!ていうか、あって欲しいくらいや!そんな話!!」「さ、さようで。これはまた失礼を。お客さんノリノリで話されてましたんでてっきり・・。」「もうええわ!早よ切り!」・・そして、襟足に切りそろえられた、新しいヘアスタイルの平子が登場する。モスグリーンのシャツ。こじゃれたネクタイ。そして、ハンチング帽子。当時かなりハイカラと言えよう。「これで、後姿女とはおさらばや。これからはニューシンジや。」颯爽と床屋の扉を開け、堂々と通りを歩こうとした矢先。髪を切って貰いにきたと思われる子どもとその母親と入口で会った。すると、子供が何やらしげしげと平子の顔を見ている。『お?流石にガキにも、このニューシンジの良さが解るらしいな。』得意げに子供を見下ろす平子。だが、子供の認識は違っていた。緑の服。異様に綺麗な白い歯並び。細い眼。金髪のおかっぱ頭にはちょこんと帽子が乗っている。細くて長い手足。・・緑の服・・金髪のおかっぱ頭・・ちょこんと帽子・・。・・おカッパ・・帽子・・あの帽子お皿みたい・・。その時悲劇が起った。「河童だ。お母さん、河童がいるよ?」「これ!!そんな事言っちゃいけません!」予想外の子供の反応に、思わず平子も大人げを忘れたらしい。「誰が河童や、このクソ餓鬼。」・・平子がこの顛末をアジトの仲間に話し、唾を飛ばして笑い飛ばされたのは言うまでも無い。なんちゃって。平子の断髪式でした~~。
2008年06月25日
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全く関係ないけど、虚どもにパソを使わせたら、なんでか画面が黄色くなった(笑)。映らん訳ではないのだが、全体が黄色い。・・あいつら・・やりやがったな・・。と思う今日このごろ。今日は春水。ではどうぞ。・・いやあ、なんだかねえ。・・子供の遊びを聞いてるとさ。結構・・・怖い言葉がさらりと出てくるんだよねえ。「おにごっこやろうよ!」「やるやるーー!」「あのね。ここはね踏んだらダメなところにしようよ!」「え?どうして?」「あのね~~。踏んだらねえ。死んじゃうんだよ!!」「キャ~~!!!」ま、大体こんなところかねえ。その場その場でルールややり方が変わるもんさ。その場の思いつきでね。ここは触っちゃダメとか、こっちは鬼にタッチされないんだとか、まあその日の気分とかでただの鬼ごっこも変わってきたりしてねえ。無邪気に結構出てこないかい?“死ぬ”ってのがさ。勿論死ぬなんてどういうことだか、全然わかって無い年代さ。けどなんだか怖い事だとは何んとなく解ってる。だから、やっちゃいけないというのを強調する意味で”死ぬ”って言ってるみたいだねえ。約束する事を指きりなんていったり、かごめかごめも罪人の処刑の歌って言うんだっけ?無邪気な言葉には罪なんて無いよ?子供たちはそんな事思って遊んでやしないしね。だけど・・その言葉が本当になっちゃう世界があってねえ。・・・それがボクの花天狂骨の世界。斬魄刀の霊圧領域に入っちゃったら、その領域内の人たちは皆強制参加させられる。おじいちゃんも、子供も勿論ボクも。それも遊びの内容は皆、この花天狂骨が決めちゃうんだよねえ。ボクに選択権なんてない。花天狂骨のその時の気分で子供の遊びは、命をかけた大人の遊びに変貌ってワケさ。そのルールに従った攻撃じゃないと、攻撃しても無駄。けど、そのルールに従えば、ちょっとしたことでも死につながる。そう。まさに「コレに触ったら死ぬ。」と花天狂骨が決めちゃえば、”ソレ”に触っただけでホントに死ぬ。・・・勘弁しとくれよ、もうこっちはいい年なんだからさ。そう一応言ってはみるんだけどね?反対に大喜びだよ。全く・・大の大人をからかって喜ぶなんて、自分の斬魄刀とは言え、困った子だよねえ。けどねえ、本気なんだよねえ。本気でやってるのさ。だから、花天狂骨は自分のルールでボクが負けたら本気で自分も終わりだと思ってる。で、それでいいと思ってるのさ。そこまで腹を決められちゃったら、流石にボクも付き合わなきゃならなくなっちゃうでしょ。ホントもう命がけだよ。・・・子供の遊びは怖い怖い。ま、でももっと怖いのは大人の事情さ。大人の事情ってのは、純粋さなんて欠片も無いからねえ。可愛げも何もあったもんじゃない。・・花天狂骨の方がずっとマシかな。なんちゃって。
2009年09月24日
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