
このころからパンタレオン・ヘーベンシュトライトはツィンバロン奏者としての頭角をあらわし始めた。ライプツィヒやドレスデンで活動し、1705年にはフランスで演奏旅行し、パリで御前演奏を行った。この時ルイ14世からこの楽器の名前を「パンタレオン」と呼ぶように命ぜられたという。
ところで、ヴァイセンフェルスはハインリッヒ・シュッツが少年期を過ごした町でもある。ハインリッヒ・シュッツと言えば宗教曲やバロック愛好家には知られている作曲家で、J.S.バッハよりちょうど100年前に生まれたバロック初期の作曲家だ。ちょうど王宮の丘の麓のマルクトに面したあたりにハインリッヒ・シュッツ博物館がある。
年表などが展示されている右側の展示室はとりあえずさっと見て、左側の楽器の展示されている部屋に入る。すると、係員がCDをかけてくれる。このCDはシュッツの作品の演奏と、展示されてあるどの楽器が使用されているかという解説であった。その解説にしたがって見物するという仕組みだ。
だが、演奏を聴いてみると何とも澄んだ、バロックトランペットをさらに鋭くしたような音がする。こんな原始的な楽器からこんな音がするなんて信じられない。
こうしてパンタレオン・ヘーベンシュトライトの足跡を追ってみたのだが、見事なほどに彼は足跡を残していない。PR
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