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2008.08.08
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ベッドに入ってきつく目を閉じる。早く眠ってしまいたい。ケースケが隣に来る前に。嫌なこといっぱい考えてしまう前に。

でも、そういうときに限って眠れない。

つい、想像してしまう。
ケースケが知らない女の人を抱き寄せて、甘いキスをするところ。
とってもとってもとっても辛い。哀しい。そんなのヤダって怒鳴れたら。
ケースケの胸で思いっきり泣けたら。

そんなこと思う自分に、自嘲気味に笑う。

そんなことしたって、ケースケはキスするんだ。
台本次第では、裸になってベッドにだって入るだろう。

でも、それでも、やめさせることはできない。

ケースケの手は私のためだけにあるのに。
たとえ、、そう、たとえ、他の誰かにキスをしても、
ケースケの愛情は、何も変わらないって、ちゃんと信じられるのに。
頭では分かってるのに。

でも、胸が苦しい。痛い。

いつもどおりのキスだって、辛かった。

『泣いたっていいんだぞ。』
ケースケはそう言ってくれたけど。
泣くわけにいかないよ。
泣いたら、、、他の人とキスするの、やめてくれる?

私と仕事とどっちが大事?
なんてくだらないこと、言っちゃいそうで。

いつなのかな、その撮影の日。
ああああ、頭がおかしくなりそう。

って、今更、気づくこと。


そんなバカみたいに当たり前のこと。
すごくすごくヤキモチ焼きな自分が教えてくれる。

ケースケの足音に、私は、寝たふりをする。
ベッドに入ってくるケースケ。
「ミリ、、、、もう寝た?」
いつもなら、ケースケの寝る方に向いて寝ているけれど、
今日は無理だから、壁の方を向いて眠る私を、
しばらく見つめている気配を感じる。

いつもなら、自分の方を向いて寝ている私を、そっと抱き寄せてくれるはずだけれど。
手を伸ばしかけては、引っ込める、ケースケのためらいを感じる。

ケースケだって辛いんだ。
私を苦しめていること。
ごめんね、ケースケ、だけど、、今は、辛くて、平気な顔できないよ。
キスだって素直に受け取れない。
ごめんなさい。
心で小さく囁く。

ケースケのためらいを感じながら、
それでも、ケースケの気配を感じられて、
私はいつのまにか眠りについていた。


そして翌朝、目が覚めたらケースケはもういなかった。

ただ、ケータイにメール。
「おはよ、ミリ。今日も愛してるよ」
いつも優しい言葉を送ってくれるケースケ。
『おはよ~。今目が覚めた。お仕事がんばってね』
いつもなら、そう返すはずの私。だけど、今朝は。同じようには打てない。指が止まる。
でも、思い切って、聞いてみる。
「キスシーンっていつ撮影なの?」
・・・返事は来ない。
内容のせいなのか、仕事中なのか、判断はつかない。
もやもやする気持ちを追いやるために、私はベッドから出てシャワーを浴びた。

シャワーから出てもメールは来ていない。
あぁ。
やだな、このもやもや。

って思ってたら、ケータイが鳴った。父からだ。
「もしもし」
「ミリ?お父さんだけど」
着信画面で分かってるのに、いつも名乗る父。そんな律儀な父が可愛く思えてしまう。
「うん。なに?」
「今夜あいてるか?」
私は少し考える。今日は予定ないんだよね。
「うん。あいてるよ。どしたの?」
「新谷君が今日誕生日だそうなんだ。彼まだ一人身でね、恋人もいないっていうから、どっかで食事でもって思ったんだけど、僕みたいなオヤジだけじゃあんまりだから」
私はクスっと笑う。確かに、誕生日に、上司のお父さんと2人でディナーじゃ、新谷先生も気の毒だな。まだ、赴任したばっかりで知り合いも少ないみたいだし。。ケースケは今日も遅いし。。私は答える。
「私なんかでいいなら、どこでも行くよ?ちょっとおしゃれして」
父は、嬉しそうに、
「そうか、じゃあ、新谷君と相談して場所と時間が決まったら後でもう一度連絡するよ」
「うん。おいしいとこにしてよね?」
「分かってるよ」
そう言った父は、思い出したように、
「ケースケくんは?仕事か?」
「うん。ケースケは遅くなるから、気にしないで」
「分かった」

電話を置いて、私は、う~んっと伸びをする。
こんな時、くよくよ悩んでも仕方ない。

何度も伸びをしながら、今日の予定を立てる。
朝のうちに家の用事を済ませて、お昼からは泳ぎに行こう。で、夜はおしゃれして豪華ディナー。
1日の予定が決定。いい感じだ。

ケースケのキスシーン。。
考えても仕方ないなら、せめて、忘れてすごそう。

そう決めた。


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最終更新日  2008.08.08 21:53:01
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