鴎座俳句会&松田ひろむの広場

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2023年09月02日
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テーマ: 現代俳句(52)
カテゴリ: 俳句
  • 41 回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ

    41 回鴎座通信句会は 41 205 句でした 。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切 24 日)。   鴎座俳句会 代表 松田ひろむ

    〈第 41 回鴎座通信句会結果〉 作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。

    石口  榮(編集長)選

    10 いのこずちあのねあのねとついてくる

    37 秋風や髪白くなるまで物価高

    57 地下道にひびく靴音夜学の子

    68 板橋区ハキダメギクを拒めない

    特選 73 まあだだよ秋はどこかにかくれんぼ/吉村きら

    149 エレベーターの四隅に四人秋立てり

    186 この暑さ命を守る大仕事

    (選評) 特選にいただいた 73 「まあだだよ)の句。今年の夏は本当に暑かった。立秋を過ぎても連日猛暑。かくれんぼは鬼が目を閉じている間に隠れ、後で鬼が子を見つけ出すという子供の遊び。隠れたままでは困る、一刻も早く鬼に見つかって欲しいものだ。明るく楽しい句。

    10 「いのこずち」の句。牛膝の実 ( ) は衣服に付着しなかなか離れない。擬人化の「あのねあのね」が可愛らしい。すべて平仮名で書いたところに牛膝らしさが出ている。

    37 「秋風や」の句。諸物価の値上がりで遣り繰りが大変な毎日。白髪になるほどの苦労も痛いほど分かる。生活感溢れる句。

    57 「地下道に」の句。夜学の帰りであろうか?この句から「戦争が廊下の奧に立ってゐた」を想起。靴音が不気味に聞こえる。

    68 「板橋区」の句。ハキダメギクは道端や庭などに生える雑草。牧野富太郎が世田谷の掃き溜めで発見したもの。名前は良くないが花に罪はない。

    149 「エレベーター」の句。平凡な句ながら隅は安心できる場所、他者からの干渉を避けられる場所として端っこに寄る人間の心理を上手く詠んだ句。四隅に四人の韻も心地よい。

    186 「この暑さ」の句。屋外でも屋内でも熱中症で多くの方が亡くなっている。危険な暑さから身を守ることも大仕事。言い得て妙である。

    小髙沙羅(同

    15敬老の日うんでもすんでもない家族
    41
    線香花火ポトンと落ちて夏終わる

    53 処理水放出ぱりっと乾く藍浴衣

    81 いつまでも残暑どこまで赤信号

    特選 96 つーるんと白玉母さんに会いたい/古川塔子

    162 心の乱れすこし暑さのせいにして

    (選評) 特選にいただいた 96 「つーるんと」の句。白玉とはいうまでもなく米粉で作った団子。つるんとろんとした食感が懐かしい。なにを食べてもいつも「母さんに会いたい」に共感。山田洋次監督・吉永小百合主演の映画「こんにちは母さん」が九月一日に全国公開される。いまから楽しみに待っている私。

    15 「敬老の日」の句。会話のない家庭が増えているそうだ。夏休みに遊びに来た孫がスマホばかり見ていてほとんど会話のないことにがっかりしたという話を聞いたばかり。

    20 「ビッグモーター」の句。変な世の中で、草花も街路樹も除草剤で枯れさせたビッグモーターの店舗前。そんな怒りが一句になった。

    41 「線香花火」の句。住宅地ではうかうか花火も出来ないらしい。たまたま私は今年、海辺で線香花火をすることが出来て人生が重なった。

    53 「処理水放出」の句。いま問題の原発の事故「処理水」。「ぱりっと乾く」浴衣と取り合せて無言の抗議であろう。

    81 「いつまで残暑」の句。まさに実感。川越街道も環七も赤信号が多い。

    162 「心の乱れ」の句。「少し」が奥ゆかしい。私なら全部暑さのせいにしたいと思った。

    後藤よしみ(副編集長)選

    2 白桃の匂ひはいつもふいにくる

    25 書き終えてこの手放れて星祭

    52 訓練は死者をまたがぬ震災忌

    83 するすると帯解くように桃の皮

    85 地球廻る万の原爆抱き廻る

    特選 107 かげろうは学徒か八月甲子園/鈴木ひろ子

    149 エレベーターの四隅に四人秋立てり

    (選評) 「かげろうは」の句。ちょうど八十年前、学徒出陣壮行会が行われた。現代、甲子園ではその大学の一つ、慶応の高校が優勝した。時代により人生も翻弄される若者たち。言い留めた句になっている。

    2 「白桃の」の句。店の果物のわきを通る時、桃が一段とその香を身に寄せてくる。自己主張も美味しさの一つだ。

    25 「書き終えて」の句。短冊の願いを書き終えると一人の願いではなく、皆の願いとなる。その不思議さをよく表している。

    52 「訓練は」の句。震災記念日が近づくと防災訓練も各所でおこなわれる。「死者をまたがぬ」の措辞が命の重さと震災を忘れぬことの大切さを伝えている。

    83 「するすると」の句。帯が滑らかに解き降りていくさま。桃のエロスと響き合う佳句となった。

    85 「地球廻る」の句。原爆は減らずに一段と使用の危険が増している。廻り続ける日常と地球規模の核戦争の危機の日常化を表わしている。

    149 「エレベーターの」の句。秋の少し疎となる空気感が「四隅」によく表されている。秋の感覚をこのように言い留めたい。

     時期として、戦争と原発処理水の句も多く出されている。詠み続けていきたい対象である。


    白石みずき(Ⅰ欄同人)選

    20 ビックモーター消えてしまった草の花

    特選 48 身ぎれいに生きているかと虫の声/宮沢子

    62 七十歳は進化の途中鉦叩き

    96 つーるんと白玉母さんに会いたい

    115 昨日から近くに秋の物価高

    152 打ち返す言の葉俳句甲子園

    157 果てのない炊事洗濯残暑かな

    (選評) 特選の 48 「身ぎれいに」の句。世の中一般に年寄りは汚いという風潮がある。まず肌が衰えてくる。ある日電車の吊革に若い人と並んだ時思わず自分の手を引っ込めてしまった事があった。それからはせめて清潔、小ぎれいをモットーに心掛けている。作者もきっと同じ気持だと思う。そをいう気づかいに秋の虫も応援してくれているようだ。

    20 「ビックモーター」の句。今を読んでいる句。説明しなくても新聞テレビで散々騒がれていた。ただただ呆れてしまう。季語の草の花で少し救われた。

    62 「七十歳は」の句。寿命百歳の時代、七十歳はまだまだ若い。進化の途中とは言い得て妙である。鉦叩きも頑張れチンチンと鳴いてくれている。

    96 「つーるんと」の句。白玉は母との思い出が沢山詰まっている食べ物だ。母に教わりながら丸めて湯の中へ入れ浮いて来たときの感動が忘れられない。作者もきっと同じ経験があると思う。母さんに会いたいがなんとも素直。

    115 「昨日から」の句。昨日から近くにのフレーズが新鮮でいただいた。生活している中の身近なものから値上がりしていく。これからはいろんな意味で日本はどうなるのか心配だ。秋の寂しさが身に染みる句である。

    152 「打ち返す」の句。全国高校俳句選手権大会は毎年松山市で行われる。その時のお互いの俳句に対する反論が凄い。良く言葉を知っている。それが面白くて見ている。ただただ感心しながら。

    157 「果てのない」の句。暑さ寒さに関係なく家事に終わりはない。今年の猛暑続きには余計それを感じた作者。もうやってられない、と思いつつやらないわけにはいかない。果てのないがよく効いている。


    鈴木 砂紅(招待)選

    48 身ぎれいに生きているかと虫の声

    83 するすると帯解くように桃の皮

    88 残暑なりダリの時計のとけはじめ

    95 暑き日の巣鴨に住んで深呼吸

    149 エレベーターの四隅に四人秋立てり

    175 無番地の尖閣諸島台風来  

    (選評) 特選に頂いた「隕石」の句。親子だの、年寄りの悲哀だの、敬老日に有りがちな湿った感慨を排除し、隕石の質感がどっしりと坐っている一句。宇宙と人間の対比、などと堅苦しく読むより、とぼけた味わいを楽しみたい。

    48 「身ぎれい」の句。清潔でこざっぱりとした日常の佇まいが見え、それが作者の生き方に繋がっている。虫の声に自分を寄せる所が日本人の感性。

    83 「するすると」の句。三鬼の『夜の桃』以来、桃は女というイメージが定着してしまった。ならば真正面から素直にと、上品な写生句に仕上げた。

    88 「残暑」の句。ダリの描いた『溶けた時計』の解釈は、不安感や欲望等様々にあるが、作者は残暑の一言で片づける。御大層な深読みのない俳句の潔さ。

    95 「暑き日」の句。何故か巣鴨は暑い。人出の多さなのか、お地蔵様の有難さ故か、確かに熱気が足元から這い上ってくる感覚がある。深呼吸は必須。

    149 「エレベーター」の句。四人が視線を合わさぬように立つ光景が可笑しい。その真ん中に立つのは秋、というのが俳諧的味付け。

    175 「無番地」の句。令和 2 年尖閣諸島の字が変更になり無番地となった。単なる行政手続きをあえて俳句に詠むことの重さと、台風の苛烈さを思う。

    松田ひろむ(代表)選

    9八十の暮らしたっぷり水を打つ 
    21
    食べてみたいひみつ堂のかき氷

    30 白肌に醤油一滴新豆腐

    特選 47 処理水のうすき塩味いわしぐも/川崎果連

    102 穂と揺れるやごのぬけがら今朝の秋

    107 かげろうは学徒か八月甲子園

    準特選 108 ほやほやのボーイフレンド登山地図/小髙沙羅

    113 スウェーデンハウス見るたび天高し

    158 野分かなこむら返りの午前四時

    161 珊瑚樹の実のまだ青し長崎忌

    準特選 197 手にまとう大陸蛍鶴彬/信岡さすけ

    (選評) 特選にいただいた 47 「処理水」の句。フクシマ第一のデブリ冷却水の海洋放出。飲んでも大丈夫というが、実際に飲んだ人はいない。そういう実を踏まえて「うすき塩味」という。明るい「いわしぐも」(鰯雲)もここでは不気味である。

    準特選 108 「ほやほやの」の句。幼い恋の始まりだろうか。「ほやほやの」が楽しい。季語は「登山」なので、親ごころは「はらはら」である。孫俳句かもしれないが、そうは書かないところが工夫である。

    同じく準特選の 197 「手にまとう」は問題句。

    鶴彬(つるあきら)は反戦を詠んだ川柳作家。〈万歳とあげて行った手を大陸において来た〉〈手と足をもいだ丸太にしてかへし〉などの句がある。句は「大陸蛍」が戦争犠牲者の象徴であろう。彼自身も獄死している。

    9 「八十の暮らし」の句。高齢は切ないことも多いが作者はそれを肯定的に「たっぷり水を打つ」という。それも俳句の功徳であろう。

    21 「食べてみたい」の句。これは「ひみつ堂」が面白い。「秘密」と「蜜」が掛け言葉になっている。「ひみつ堂」は千駄木にある実在のかき氷専門店。一四〇〇円から。

    30 「白肌に」の句。豆腐だから白でなんでもない句なのだが、「白肌に」といわれるとどきっとしてしまう。

    102 「穂と揺れる」の句。空蝉の句は多いが、これは「やごのぬけがら」つまりはトンボの幼虫の殻。ていねいな描写である。

    107 「かげろうは」の句。「学徒」といわれるとかつての学徒出陣が重なる。それと高校野球の甲子園との二重写しである。かげろうが現実と過去をゆらゆらと見せている。

    113 「スウェーデンハウス」の句。高気密・高断熱で北欧風のおしゃれな家。百年住み続けられるという。句はそんなスェーデンハウスへの憧れ。それが「天高し」である。

    158 「野分かな」の句。こむらがえりは痛くて苦しい。小生も老化現象の一つだろうか。ときどきある。句はしかも野分の夜、午前四時。つらい夜である。予防には水分補給とミネラル補給がいいらしい。

    161 「珊瑚樹」の句。サンゴジュは防火樹として庭木や生垣によく用いられる。そんなサンゴジュも原爆にはひとたまりもなかったことだろう。真っ赤な実になる前の青い実が切ない。

    (互選高点句)○数字は点数  3点以上

    1 9 八十の暮らしたっぷり水を打つ小平 湖

    2 10 いのこずちあのねあのねとついてくる白石みずき

    3 47 処理水のうすき塩味いわしぐも川崎果連

    3 73 まあだだよ秋はどこかにかくれんぼ吉村きら

    3 149 エレベーターの四隅に四人秋立てり白石みずき

    6 15 敬老の日うんでもすんでもない家族白石みずき

    6 62 七十歳は進化の途中鉦叩吉村きら

    6 83 するすると帯解くように桃の皮宮 沢子

    6 88 残暑なりダリの時計のとけはじめ後藤よしみ

    10 20 ビッグモーター消えてしまった草の花石口りんご

    10 48 身ぎれいに生きているかと虫の声宮 沢子

    10 52 訓練は死者をまたがぬ震災忌    ③川崎果連

    10 93 戦前が座席指定でやってくる    ③木野俊子

    10 99 秋暑し素顔のわたし見たくない岩渕純子

    10 107 かげろうは学徒か八月甲子園    ③鈴木ひろ子

    10 108 ほやほやのボーイフレンド登山地図小髙沙羅

    10 127 「九条」は遺産のすべて日々草鈴木ひろ子

    10 157 果てのない炊事洗濯残暑かな高矢実來

    10 192 八月の軍靴の遠く近くかな荒井 類






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Last updated  2023年09月02日 11時36分05秒
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