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第49回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第49回鴎座通信句会は41名205句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。 なお、今回より招待選者は鈴木砂紅さんに代り、川目智子さんに依頼しました。鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第49回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ださい。石口 榮(編集長)選9 平和という種の欠けたる種袋52飛花落花今できること迷わずに特選68老鶯や千代田区千代田一丁目/高矢実來105みどりの日砂漠に植えるスカイツリー139修司忌の星にずぶ濡れソロキャンプ176歯のことは歯医者に任せ柏餅188囀りの遠のいてゆく園児バス(選評)特選にいただいた68「老鶯や」の句。千代田区千代田は皇居全体の住所で一丁目の表示はない。千代田区千代田一番は誰でも本籍を置くことが出来、約二千百人が本籍地にしている。中七から下に掛けてテンポいい。そう言えば先日行われた都区協、春の吟行会で行った時も老鶯が鳴いていた。9「平和という」の句。いつの時代も地球上から戦争が無くならないと言う嘆き。いま生粋の平和の種を誰もが望んでいる。平和という重いテーマを詩的に昇華している。52「飛花落花」の句。一寸先は闇である。今日のことは明日に持ち越さない、生き方が素晴らしい。相田みつをの言葉に「考えてばかりいると日がくれちゃうよ」がある。105「みどりの日」の句。なかなかスケールの大きい句である。「東京砂漠」は歌を想起するも、東京オリンピックがあった一九六四年に開催が危ぶまれるほど東京に雨が降らなかったことに所以する。スカイツリーは何の木であろうか、楽しい句である。139「修司忌」の句。都会の喧騒から離れ、暗闇の中で星々がきらめく夜空を見上げる、何んと贅沢な時間。日本三選星名所は長野県の野辺山高原、沖縄県の石垣島、岡山県の井原市美星町が挙げられる。中七の星にずぶ濡れの措辞に惹かれた。176「歯のことは」の句。餅屋は餅屋の言葉通り歯のことは歯医者に「その通り」なんだが季語の柏餅が効いている。虫歯の原因になる餡たっぷりの柏餅との取合せに屈折感あり一句を成した。188「囀りの」の句。全開の窓から園児の声が聞えて来たのだろう。目の前を通過したバス。元気な園児の姿が目に浮かぶ。日常的な生活の一部を活写したウイットな句。 小髙沙羅(同人会長)特選60さくらさくら心療内科混み合って/古川塔子72花冷えや二合五勺の米を研ぐ112三鬼来よ兜太来よとて四月尽137少子化や甘夏柑の種いくつ 171修司忌や仮面夫婦も芸のうち183夫ふっと沖見るしぐさ桜東風205町内一周そして始まる躑躅酔い(選評)特選にいただいた60「さくらさくら」の句。サクラが満開になり、だれもが浮き浮きと花見の季節。そんな時にも元気な人ばかりではない。特に最近は何かしらのストレスで精神的な不調を抱えている方も多い。老後の不安も募る現代社会である。句は「混みあって」と淡々と述べているが、心療内科と無縁の時代を願っているのである。72花冷えや」の句。二合五勺の五勺に魅かれた。これはいうまでもなく尺貫法である。こんな言葉の持つ響きの良さ。古き良き時代と心を通わせている作者である。季語の花冷えも美しい。112「三鬼来よ」の句。三鬼・兜太と個性の強い二人を並べて印象に残る句となった。ちなみに三鬼の忌は四月一日。そんな四月が過ぎたのである。137「少子化や」の句。甘夏の種は小さいが多い。止まらない日本の少子化、そんなことを考えながら甘夏を食べているのであろうか。社会的なテーマながら作者の生活のレベルで把握していることに好感がもてる。171「修司忌や」の句。「仮面夫婦」の表現にドキっ。表面を繕っているだけの夫婦をいうのだろうか。ただ「芸のうち」と手の内を見せない方がよかったかも。修司忌との取り合わせは微妙。修司も恋多いひとだった。183「夫ふっと」の句。沖を見る眼差しをあたたかく見守っている妻である。ロマンチックな夫か詩人か。桜東風が明るく穏やかであるがそれが、かえって夫の病を案じているのかとも思った。省略の効いている句。205「町内一周」の句。日常の散歩だろうか。いまはまさにツツジ真っ盛り。躑躅酔いに納得。 後藤よしみ(副編集長)選7メーデーや力瘤より脹脛(ふくらはぎ)12海胆に針沖に空母の静かなる25月山や余り苗にも潦(にわたずみ)54月光のひとり遊びを藤の花70和をもって尊し躑躅同じ色148この宇宙始めの始めシャボン玉特選177花筏言いたいことが浮いている/翠雲母(選評)特選177「花筏」の句。花の多寡、花筏の模様はさまざまである。世の言説もうつろってゆく。しかし、今の時代ほど訴えたい、伝えたいことが多い時代はない。7「メーデーや」の句。メーデーの七つのテーマのひとつは、人権を守ること。今や生活そのものが脅かされている。ふくらはぎから鍛えよう。12「海胆に針」の句。いざ食べようとすると海胆に針。その海には空母が鎮座する。離島防衛のもと海の動く航空基地化が進む。25「月山や」の句。わがふるさと山形の名山。連休中の田植である。余り苗へも心配りの月山の姿が美しい。54「月光の」の句。月光が藤房にたわむれる。それをひとり遊びと表現したところが秀逸である。幻想的な美。70「和をもって」の句。和を尊重するのも美徳であるが、すべて同じ色にはならない。無限の色があり、それが自然を成り立たせている。違いこそよい。148「この宇宙」の句。宇宙は一三八億年前に火の玉から発生した。それをシャボン玉と表現したやわらかさ、発想の斬新さ。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選16葱坊主自分の色をもっている66 さくらさくら心療内科混みあって94ジーンズとて穴は穴なり春の風137少子化や甘夏柑の種いくつ171修司忌や仮面夫婦も芸のうち176歯のことは歯医者に任せ柏餅特選195体力の目安高尾の若葉道/小出和子(選評)特選の195「体力の」の句。山登りが趣味の人は普段は二千メートル、三千メートルを登っているがその合間に低い山も足馴らしに登る。そういう人にとって高尾山は低いながら起伏に富んでいて条件のいい山なのである。作者は新緑の一番いい今、高尾山を歩いて自分の体力を試しているのである。16「葱坊主」の句。自分の色を持つに共感していただいた。人間も自分と言う物をしっかり持ちたいものだ。葱坊主が頑張っているように。60「さくらさくら」の句。四月、五月は新人社員など急に環境が変わって精神的に疲れる時期である。心療内科混みあって、でそれが良く分かる。さくらと心療内科の取り合わせが微妙に効いている。94「ジーンズとて」の句。いくら流行だから、おしゃれだからと言われても穴は穴である。どう見てもだらしなく見えてしまう。作者もそう感じたのだろう。季語が難しい気がする。137「少子化や」の句。少子化は今では大きな社会問題になっている。それを踏まえての句。最近の甘夏は種が少なく食べやすい。昔は沢山あったのに。子供も種も確かに少ない。171「修司忌や」の句。修司の忌は五月四日、今頃である。仮面夫婦とは大胆な表現だ。テレビや映画ではよく出て来るが現実ではもしそうであっても外からでは分からない。修司と仮面夫婦のあくの強さで妙に響き合っている。176「歯のことは」の句。当たり前の事を堂々と言っているところが新鮮。作者はきっと歯が悪くて歯医者へ行っての帰りであろう、ちょっと楽になったから早速桜餅を買って来たのだ。 川目智子(招待)選12海胆に針沖に空母の静かなる特選32君にいま鋼の匂い卒業期/古川塔子45葉桜や家族余熱のブギウギよ85あうんの呼吸ネモフィラと青い空88年金は絮タンポポになる途中120菜種梅雨キンピラ牛蒡作ろうか177花筏言いたいことが浮いている(選評)特選にいただいた32「君にいま」の句。卒業期の句としては実に硬派、新たな世界へ打って出る揺るぎない覚悟が伝わって来る。「鉄は熱いうちに打て」との格言を想起し、瑞々しい門出にエールを送りたくなる。12「海胆に針」の句。第二次大戦前夜の択捉島を彷彿とさせる。だが一見平和に見える今の日本とて一触即発の危機感を孕んでいると警鐘を鳴らす。45「葉桜や」の句。難しい理屈抜きに、ブギウギのスウィングに身を任せたくなる。リズムの良さは少し浮足立った今の季節感にぴったり。85「あうんの呼吸」の句。ネモフィラと青空のつき過ぎ感を確信犯的な力技で押し切った。ネモフィラの丘が青空に溶け込む景が「呼吸」の措辞により、生き生きと目に浮かぶ。88「年金は」の句。一読して身につまされる内容にも拘わらず、先行きに対する不安よりケセラセラと受け流す軽いノリに救われる。120「菜種梅雨」の句。降り続く長雨に対してキンピラの歯切れの良さが際立つ。雨脚と細切り牛蒡が微妙に呼応しながら、鬱陶しい雨雲も甘辛いきんぴらでご飯をかき込めば気分が晴れそうだ。177「花筏」の句。流れの中で刻一刻と形を変える花筏に移り気な春の気分を重ねる。淵や瀬に飲み込まれる花の渦があるように、口に出す言葉と胸に秘める思いとのスリリングなせめぎ合いが垣間見える。 松田ひろむ(代表)選 7メーデーや力瘤より脹脛(ふくらはぎ)準特選47半仙戯ぼくらの国の受信料/川崎果連60さくらさくら心療内科混み合って85あうんの呼吸ネモフィラと青い空91還らざる兵士増えゆく花あかり107福耳と聞いていますが花は葉に148この宇宙始めの始めシャボン玉準特選161鰊曇り小樽忍路(おしょろ)の木のベンチ/横山小鼓特選183夫ふっと沖見るしぐさ桜東風/増田萌子190二歳児の知恵たくましくこいのぼり201花の雲誘眠剤の抜けきれず (選評)特選にいだだいた183「夫ふっと」の句。「沖見るしぐさ」の「沖」が微妙で見ているのは現実か虚か。これは健康な夫でもいいが。ここは病の夫であろう。穏やかな、桜東風がせつない。準特選にいただいた47「半仙戯」はぶらんこのこと。「受信料」はもちろんNHKのそれをさしているのだが税金のことでもあろう。「ぼくらの国」というのも一つの批判。いやおうなしにきょうせいされている「ぼくらの国」である。おなじく準特選の161「鰊曇り」の句。単純に木のベンチに焦点をあてているが、忍路(おしょろ)の地名がよく効いている。そこは女人禁制の地だった。江刺追分の一節もふまえ、鰊曇とともに過去と現実の情感が胸を打つ。7「メーデーや」の句。かつては「がんばろう」と唄って拳をあげたこともあった。句は「脹脛」がおもしろい。やはり、歩く、行進に通じるが、小生も膝に悩む年になった。やっぱり脹脛が大切。60「さくらさくら」の句。春、桜のときは心が乱れる季節といっては身も蓋もない。歳を重ねて体のことも、心の持ちようも気になる。ここは俳句が心にも効くといっておこう。95「あうんの呼吸」の句。ネモフィラは青、それが青空とお互いに響き合っている。それを阿吽の呼吸といって一句になった。91「還らざる」の句。「花あかり」という春の豊かな言葉であるが、古い戦争も今の戦争も多くの命が還ってきていない。ちなみにかつての旧陸軍の象徴は桜であった。107「福耳と」の句。福耳は富裕の意味もあるが、なんのことはない、もう桜は散って葉桜に。なんでもない福耳という。ちょっとした諧謔が楽しい。148「この宇宙」の句。シャボン玉の句は多いが、宇宙の始めにまで発想を飛ばしたのには驚いた。190「二歳児の」の句。生まれたばかりなのに、もう知恵を感じる。成長を見守っている眼差し。ただ「たくましく」の主観表現はもう一考するところ。201「花の雲」の句。眠れなかったのだろうか。「誘眠剤」でややぼんやりしている頭。それが花の雲のぼんやりのようでもあるのだろう。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上1位52 飛花落花今できること迷わずに ⑦岡崎久子2位7 メーデーや力瘤より脹脛(ふくらはぎ) ⑥川目智子2位9 平和という種の欠けたる種袋 ⑥ 後藤よしみ2位137少子化や甘夏柑の種いくつ ⑥ 古川塔子5位4 カルメン序曲バラを投げればひとり死ぬ⑤松田ひろむ5位12 海胆に針沖に空母の静かなる ⑤ 川崎果連5位60 さくらさくら心療内科混み合って⑤ 古川塔子5位88 年金は絮タンポポになる途中 ⑤ 木野俊子5位171修司忌や仮面夫婦も芸のうち ⑤ 吉村きら10位10おたまじゃくし尾が消えてから考える ④石口 榮10位32君にいま鋼の匂い卒業期 ④ 古川塔子10位47半仙戯ぼくらの国の受信料 ④ 川崎果連10位85あうんの呼吸ネモフィラと青い空④ 石口りんご10位112三鬼来よ兜太来よとて四月尽 ④ 高橋透水10位117散りどきを風にあずけて花万朶④ 横山小鼓10位148この宇宙始めの始めシャボン玉④ 信岡さすけ10位177花筏言いたいことが浮いている④ 翠 雲母18位97学帽と「人生手帖」黴匂う ③ 松田ひろむ18位188囀りの遠のいてゆく園児バス③ 岩渕純子
2024年05月02日
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松田ひろむ名句のための俳辞苑【かふぇー】カフェー女給笑ひ皿鳴りコーヒー湯気立てゝ 高浜 虚子眉描いて女給等貧しスヰートピー 富安 風生春の夜の女給ら帰る裏口より 岸 風三楼虚子の句はいかにもカフェーである。後の二句は貧しい「女給」。この三句の「女給」は現在のウェイトレスではない。これはカフェー(カフェではない)に勤めている女性である。カフェーは直訳すれば「喫茶店」で、現在では「カフェ」と呼ばれる。しかし「カフェー」の実態は日本で二〇世紀前半に流行した飲食店・風俗営業の一業態。古くは特殊喫茶、社交喫茶という言い方もあった。現在では、カフェーという名の風俗営業は絶滅した。ただし、小生が青春時代を過ごした長野県小諸市にはカフェーを冠した店があったが、内装はカフェー時代と同じままに背もたれの高いボックス席が多いものであった。もちろん、現在では女給はいない単なるレストランであったが、なにか異様な雰囲気であったことを覚えている。カフェーの例句は検索してもまったく見つからなかった。大正から昭和初期に大流行したカフェーの句がないとは信じられない。やむなく冒頭には「女給」の句をあげた。「カフェー・林芙美子」で検索すると青空文庫の「放浪記」がヒットした。その「放浪記」を読みながら、なんとかカフェーの句を作ってみた。 歯が痛い芙美子カフェーも梅雨つづき 松田ひろむ 風鈴やカフェー勤めが地図遊び梅雨の雷カフェーライオン墨書ビラ カフェーの名を冠した最初の店は一九一一年(明治四四年)三月、東京銀座京橋日吉町に開業したカフェー・プランタンとされる。経営者は洋画家平岡権八郎と松山省三で、命名は小山内薫による。これはパリのCafeをモデルに美術家や文学者の交際の場とすべく始まったもの。本場のCafeとは異なり女給を置いていた(パリのカフェの給仕はギャルソンと呼ばれる男性である)。カフェー・プランタンなどはインテリ向けのハイカラな店で一般大衆は入りにくかったと言われる。カフェー・プランタンに続き、同年八月には美人女給を揃えたカフェー・ライオン、同じく十一月にはカフェーパウリスタが開業し、大正末には全国に普及した。カフェー・ライオン(Café Lion)カフェー・プランタンと同じ一九一一年(明治四十四年)に開業し、銀座を代表するカフェーと言われた。築地精養軒の経営で規模が大きく、一般客にも入りやすかった。店名は、築地精養軒の経営者北村宇平がロンドンを訪れた際、ピカデリーサーカスのレストラン「ライオン (J. Lyons and Co) 」から贈られたもので、創始者のジョセフ・ライオン (Joseph Lyons) にちなむ。現在のビヤホール「銀座ライオン」にその名は継がれている。尾張町交差点の角に開業した。三階建で新築され一階が酒場、二階が余興場であった。この場所は、一八八六年から一九〇九年まで毎日新聞社(横浜毎日新聞の後身)があり、のちにサッポロ銀座ビルを経て、現在の銀座プレイスにあたる。 特筆すべき点は女給(ウェイトレス)がいたことで、美人女給が揃いの衣装(和服にエプロン)でサービスすることで知られたが、開店当初は女給が客席に同席することはなかった。ビールが一定量売れるとライオン像が吠える仕掛けが名物になっていた。また、グランドホテル(横浜)出身の名バーテンダー・浜田晶吾は「ライオンの宝」とも評された。 一九二三年(大正十二年)九月一日の関東大震災後はバラックの平屋建で営業を再開し、後に本建築に建て替えた。しかし翌一九二四年には斜向かいにカフェー・タイガーが開業し、目立つ女給が引き抜かれるなどして次第に勢いを失った。(ウィキペディア)風俗営業としてのカフェーカフェーがもっぱら女給のサービスを売り物にするようになったのは関東大震災後と見られる。震災の翌年(一九二四年)、銀座に開業したカフェー・タイガーは女給の化粧や着物が派手で、客に体をすり寄せて会話するといったサービスで人気を博した。 昭和に入り大阪の大型カフェ(ユニオン、赤玉など)が東京に進出してきたことにより「銀座は今や大阪エロの洪水」という状態で、女給は単なる給仕(ウェイトレス)というより、現在で言えばバー・クラブのホステスの役割を果たすことになった。 ちなみに当時の女給は多くの場合は無給であり、もっぱら客が支払うチップが収入源だった。一九三三年には特殊飲食店営業取締規則により、カフェーは風俗営業として警察の管轄下に置かれることになった。 昭和初期のエログロナンセンスの世相の中、夜の街を彩る存在としてカフェーは小説などの舞台にもなった。当時のカフェーを描いた小説として永井荷風「つゆのあとさき」、堀辰雄「不器用な天使」、窪川稲子「レストラン・洛陽」、広津和郎「女給」がある(広津の作品は菊池寛のカフェー通いを描いて評判になった)。また、谷崎潤一郎「痴人の愛」のナオミは、十五歳で浅草のカフェーに出ていた女という設定である。林芙美子がカフェー勤めの経験を「放浪記」に書いたこともよく知られている。エッセイでは松崎天民「銀座」、安藤更生「銀座細見」などがカフェー風俗を活写している。 大正後期から昭和初期にかけては、カフェーをテーマにした歌謡曲が流行し「カフェー歌謡」と呼ばれた。 一九三四年(昭和九年)十月、警視庁はカフェーへの未成年者、学生、生徒の出入を禁止する通牒を学校当局、府知事に発出。店に対して「学生さんは遠慮ください」との看板を出すように指導した。こうした規制は全国に波及し、一九三六年(昭和十一年)五月、京都府はカフェー営業取締規則を改正し、学生、生徒、未成年者のカフェーの出入を禁止した。この時点で学生のカフェーへの出入り制限は全国十五府県で実施されていた。 一九三八年(昭和十三年)二月十五日には、東京都下のカフェーなどで一斉手入れが行われ、約二〇〇〇人の学生が検挙された。女給は客の求めに応じて店外で同伴するケースも見られた。第二次世界大戦終戦後、いわゆる赤線・青線地帯や特殊飲食街が発生し、かつての遊廓や新規参入業者などがカフェー名目で営業を行うようになったため、それまでのカフェーの方はバー、クラブなどと称するようになった。 法律用語としての「カフェー」は今も残っており、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法)第2条第1項第2号には「待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」という規定がある。なお「純喫茶」という呼称があるが、これは酒類の提供や女給の接待を売りにするカフェー(特殊喫茶)に対して「純粋にコーヒーを売りにする喫茶店」という意味である。(ウイキペディア)(画像は「ほぼ日刊イトイ新聞」https://www.1101.com/edo/2003-10-01.html ★「カフェー」の例句募集!これまで「カフェー」(「カフェ」ではありません)を使った句がないので例句を募集します。(新作・旧作不問)また過去の句、ご自身の句でなくてもけっこうです。こんな句があるよとお教えいただければ幸いです。(出典を明示してください)よろしくお願いします。「名句のための俳辞苑」は、将来的には出版する予定です。採用句はそれに収録させていただきます。
2024年03月06日
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第47回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第47回鴎座通信句会は42名210句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第47回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧(略)をご覧ください。石口 榮(編集長)選25春北風散歩の歩幅大きめに29夏みかん怒りのあとはさっぱりと92さくらさくらパンフレットで足りる旅95擂り鉢を押さえる役目木の芽和特選121くぬぎの芽昆虫酒場開店だ/信岡さすけ117第三次世界大戦猫の恋193紅梅や隣の留守は聞いてない(選評)特選にいただいた121「くぬぎの芽」の句。樹液酒場を昆虫酒場とも言って樹液が出るコナラ、クヌギ,ヤナギなどに沢山の生き物が集まる。昆虫好きにはたまらないスポット。昆虫たちが木に集まりワイワイと賑わう様子が明るく楽しい。昆虫酒場と言う愉快なネーミングに惹かれた。25「春北風」の句。因果関係の句ではない。散歩は歩数ではなく速歩と言われる。そのことに気付いた作者。だらだら歩きは運動効果がないそうだ。29 「夏みかん」の句。喧嘩の後はノーサドといきたい。夏みかんのようにさっぱりしたいもの。季語の夏みかんが効いている92「さくらさくら」の句。旅行シーズン到来。観光地のパンフレットで旅行気分になっている作者。以前旅行したことの有るパンフレットと思われる。その時のことを思い出しながらの旅である。95「擂り鉢を」の句。擂鉢を「あたりばち」とも言って「する」は賭け事でお金などをする、ことから縁起が悪いとして忌み詞になるからである。子供の頃よく母親に言われて擂鉢を両手で押さえていたものだ。生活感のある句。117「第三次」の句。ロシアがウクライナとの戦線を拡大しNATOと全面戦争に突入するなどと囁かれ直接衝突することが懸念されている。季語「猫の恋」がロシアを後押しているようで戦慄を覚える。193「紅梅や」の句。「お隣さん知らない」と誰かに聞かれ「何も聞いてない」と返事。ダチョウ倶楽部の「聞いてないよォ~」を思い出し思わず笑ってしまった。ユーモアたっぷりの句。小髙沙羅(同人会長)選8文旦の重さこのごろフレンドリー 33牡丹雪東京湾を眠らせて61風船に能登へのことばふきこみぬ77チューリップよりも元気な九十歳 89白寿まで生きられそうな梅月夜 95摺り鉢を押さえる役目木の芽和 特選198兜太の忌「ひろむも苦労苦労だな」/松田ひろむ(選評)特選にいただいた198「兜太の忌」のの句。私の俳句人生は、この二人の師がいなかったら、まずあり得なかった。このように二人の師の名前を使った句は、記憶にない。「ひろむも苦労苦労」と重ねているが、それはいかにも兜太の口調のようである。その苦労をバネに常に明るく前進あるのみの心意気がいやというほど伝わってくる。ひろむ先生には、百歳を目指して欲しいものだ。88「文旦の」の句。ずっしりと重い文旦。それを「フレンドリー」という軽い表現が楽しい。33「牡丹雪」の句。雪の降らない東京。久しぶりの牡丹雪で確かに「東京湾」を眠らせているのだ。作者も同じように、春の牡丹雪に濡れている。61「風船に」の句。「がんばれがんばれ」の思いの息を吹き込んでいるのだ。「能登へのことば」が重い。77「チューリップ」の句。チューリップは、幼児の絵に多い。ここではそれに負けないくらい「元気な九十歳」。作者もそんな元気な方であろう。89「白寿まで」の句。前句と同じように元気なご高齢だろうか。寒さに負けずに咲く梅の花である。さらに「梅月夜」という情感。いくつになっても豊かな感性の作者なのだ。95「擂り鉢を」の句。押さえているのは老夫婦。いやいや新婚さん、あるいはお孫さん。いすれにせよ微笑ましい姿。 後藤よしみ(副編集長)選33牡丹雪東京湾を眠らせて46あくまでも合意の上の猫の恋74春はあけぼの液状化する私154眩しさを持て余したる春障子176囀りてガラスの天井打ち破れ特選198兜太の忌「ひろむも苦労苦労だな」/松田ひろむ199ひとり減りまたひとり減りしゃぼん玉(選評)特選の198「兜太の忌」の句。兜太の忌日は二月二〇日。兜太と松田ひろむ代表の合わせ技は反則すれすれである。しかし、ぜひともいただきたい句でもある。33「牡丹雪」の句。雪景色のモノトーンの光景が大筆で描かれている。眠らせてが三好達治の詩作を思い出させる。46「あくまでも」の句。日本の意識の低さをうつ句。猫の恋でまとめているのが手練れである。74「春はあけぼの」の句。震災での大地の液状化は避けたいが、液状化する人物には対面したいと思える。春である。154「眩しさを」の句。仲春の光があるれ出してきたころの情景。余裕のある詠み振りが心地よい。176「囀りて」の句。古くて新しい問題。女性の囀りこそが平和ももたらせる。後押ししたいところである。199「ひとり減り」の句。公園での実景でも風情がある。また、シニアであれば同窓会。毎回、人が減っていく。そんな読み変えもできる句である。白石みずき(Ⅰ欄同人)選29夏みかん怒りのあとはさっぱりと69春愁や昨夜の悲観今朝の楽観89白寿まで生きられそうな梅月夜103七十路春むかし長生き今若死に特選130寄せ書きのラストは君に卒業す/藤岡尚子152鳥雲にいつか誰もがお一人様168制服にはみだす個性卒業す(選評)特選の130「寄せ書きの」の句。会社を辞める、部活を辞めるなど深くかかわりの合った場合必ず寄せ書きの色紙を頂く。この句は卒業のそれも中学か高校の青春まっただ中の寄せ書きであろう。一番気になる人には最後に書いてもらいたい、まさに青春だ。29「夏みかん」の句。なんで怒っているかは定かでないが怒るだけ怒った後はすっきり。作者の性格がみえるようだ。そのさっぱりしたところが夏みかんの季語にぴったり。69「春愁や」の句。夜は得てして物事を悪い方に考えるものである。だが朝目が覚めて太陽を浴びると昨夜の事など、「なんとかなるさ」と言う気分に。作者の心にゆとりさえ出て来て苦笑いしているかも知れない。89「白寿まで」の句。白寿は九十九歳、現代は百歳も夢ではない。梅月夜がなんとも優雅でこの月を見ていれば何時まででも生きていけると作者は感慨に深けっているのかも知れない。103「七十路春」の句。昔の七十代は相当長生きだったが今は八十代で亡くなってもまだ早いと言われる時代である。楽しみも沢山あるし、薬はどんどん良くなっているし食べ物も豊富だし、長生きの為の条件がそろっているのである。七十路はまだまだ春なのだ。152「鳥雲に」の句。当たり前の事だがたとえ168夫婦でも事故で無いかぎり一緒には死ねない。この句は夫婦の句である。どちらかが残るでよくわかる。鳥雲にどちらかが隠れてしまうような感じさえしてくる。168「制服に」の句。はみ出す個性が発見である。制服は個人の個性が見えないと言われるが決してそうではないと思う。作者もきっとそうだと思っているのだ。制服を脱げば寄り一層個性は磨かれるであろうが。 鈴木 砂紅(招待)選特選8文旦の重さこのごろフレンドリー/小平湖35脱皮するなりいっせいの春汽笛67三寒四温おばあさんにも反抗期81ガザの病院吾の入院冬の宵121くぬぎの芽昆虫酒場開店だ165立春大吉ほうきの乗り方教えます205春宵一刻ナースに下の世話さるる(選評)特選に頂いた「文旦の」の句。文旦の甘さ、酸っぱさ、そして何よりその重さの圧倒的な存在感。それをフレンドリーと思う作者の軽やかさに惹かれた。現代社会は重く暗いことばかりだが、この軽やかな姿勢に救われる。35「脱皮する」の句。のんびりと聞く春の汽笛を、脱皮の合図と捉えた所が秀逸。人も虫も脱皮して大きくなる春の景色を、大摑みに描いた一句。67「三寒四温」の句。おばあさんの反抗期という措辞に、家庭内別居、卒婚などイメージの膨らむところが面白い。社会に対する女性の最後の反撃とも。81「ガザの病院」の句。作者は入院した身を戦禍に苦しむ遠くの人々の思いに重ねて、その理不尽さを噛みしめる。時事句を超えて素直に共感を呼ぶ句。121「くぬぎの芽」の句。クヌギやコナラなどブナ科の落葉広葉樹は樹液が多く、まさに昆虫酒場そのもの。その芽吹きを開店と称した軽いノリが愉しい。165「立春大吉」の句。立春大吉という禅寺発祥の言葉と魔女の取合せに、和洋折衷、和魂洋才などを思い浮かべ、まんまと作者の術中にはまってしまった。205「春宵一刻」の句。価千金の宵に下の世話を受けるのは、情けないのか、一種の風流と言うべきなのか。情を捨てた言葉に俳句の力が宿る。 松田ひろむ(代表)選7受験の子エンドロールの本坪鈴(ほんつぼすず)13ペイペイの一円の利子梅二月22絡みつく縁(えにし)ほぐれつリラの冷特選47消費税ほど吹きこぼれ浅利汁/ 宮沢子64コロナ病棟の解体跡地雪だるま76一夜明け木々の雨氷やこんにちは81ガザの病院吾の入院冬の宵準特選90謝肉祭ちょい飲みコースの街中華/高矢実來95摺り鉢を押さえる役目木の芽和130寄せ書きのラストは君に卒業す準特選170スノームーン指より化粧水こぼれ/増田萌子(選評)特選にいただいた47「消費税」の句。「消費税ほど」が、さりげない生活感覚。浅蜊でも蜆でもよさそうだが、ここは浅蜊のほうが十%の消費税のようだ。なお表記は「浅利」ではなく「浅蜊」だった。準特選の90「謝肉祭」の句。謝肉祭つまりカーニバルという華やかものと「ちょい飲みコース」の対比の面白さ。これは二月の金曜句会で実際にあったこと。その街中華は青緑園。「青緑」は日本的な熟語。中国語では普通は藍緑。同じく準特選にいただいた170「スノームーン」は二月の満月。アメリカ先住民の農事暦の言葉。そんな満月のときにこぼれる化粧水。さらに豊かな気持ちになるようだ。7「受験の子」、エンドロールは映画の最後に流れる字幕。本坪鈴がちょっと馴染みがないが神社の鈴。願いが込められているのだが、神頼みの受験では心もとない。13「ペイペイの」句。ペイペイ(Paypay)いとはQRコードで使えるキャッシュレス決済のこと。一パーセント程度のポイントがつく。句はそれを「一円の利子」といてるのだろう。梅二月がささやかな春である。22「絡みつく」の句。「リラの冷」が、縁をほどくにいい清涼感。いくつになっても、いい縁も、やっかいな縁もある。64「コロナ病棟」の句。新型コロナウイルス感染症も、どうやら鎮静化に向かっている。これもささやかな雪達磨であろう。76「一夜明け」の句。雨氷は雨滴が凍って樹木や岩などに付着することに。あまり使われない季語だが作者の実体験からだろう。「こんちには」が明るい。81「ガザの病院」の句。入院されている作者も辛いだろうが、ガザに比べればの思いが切実。ただ「冬の宵」は説明的なのでもう一考。95「摺り鉢を」の句。これは無条件に子供のときの思い出。「木の芽和」が美味しそうで期待が高まる。130「寄せ書き」の句。やっぱり「ラスト」が本命なのだろうか。いつの時の卒業かは限定sれていないが、高校生ぐらいの青春と思える。甘酸っぱい記憶。(互選点句)○数字は点数 3点以上一位67 三寒四温おばあさんにも反抗期 ⑨ 小髙沙羅二位89 白寿まで生きられそうな梅月夜 ⑥ 鈴木砂紅二位95 摺り鉢を押さえる役目木の芽和 ⑥ 岡崎久子四位8 文旦の重さこのごろフレンドリー ⑤ 小平 湖四位23 鳩居堂前に居ります春マフラー ⑤ 石口りんご四位47 消費税ほど吹きこぼれ浅利汁 ⑤ 宮 沢子四位198兜太の忌「ひろむも苦労苦労だな」 ⑤ 松田ひろむ八位29 夏みかん怒りのあとはさっぱりと ④ 鈴木ひろ子八位33 牡丹雪東京湾を眠らせて ④ 増田萌子八位82 切山椒忘れたはずの恋ひとつ ④ 横山小鼓八位130寄せ書きのラストは君に卒業す ④ 藤岡尚子八位207戦争の終り何色桃の花 ④ 小平 湖十三位59雪柳一枝一枝に日のしずく ③ 鈴木ひろ子十三位74春はあけぼの液状化する私 ③ 木野俊子十三位77チューリップよりも元気な九十歳③ 白石みずき十三位125北窓を開け口紅の色を選る ③ 石口りんご十三位165立春大吉ほうきの乗り方教えます③呉羽陽子十三位206たんぽぽや海坂藩の五間川 ③近田吉幸(第48回鴎座通信句会)投句締切=3月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2024年03月03日
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初日記たった一行「能登に地震」 呉羽陽子画像は揚げ浜式塩田体験。こんな光景が復活するのはいつだろう(フリー画像)●第47回鴎座通信句会の締切は今日24日24時です★通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第47回投句締切 2月24日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。メール・FAXなどにて。FAX03-3968‐0153 ●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、後藤よしみ(副編集長)、小髙沙羅(同人会長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹(招待)が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 2月29日(必着)選句結果・講評3月3日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会第46回作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上一位91 初日記たった一行「能登に地震」 ⑦ 呉羽陽子二位24 生涯に苗字は二つ女正月 ⑥ 吉村きら二位28 どうしても美形にならぬ福笑い ⑥ 吉村きら二位179法律が政治の中にある寒さ ⑥ 川崎果連五位54 白菜はざくざくため息はつかない ⑤ 高矢実來五位72 たぬき汁派閥解消なんどでも ⑤ 松田ひろむ五位128日脚伸ぶ指輪はめたり外したり ⑤ 望月のぞみ八位5ブータンのしあわせ河豚はないけれど④松田ひろむ八位10 越冬つばめ古女房に惚れ直す④高橋透水八位29 老いるとはカツよりコロッケ日脚伸ぶ④望月のぞみ八位33 掛け軸の山河を畳む女正月④岡崎久子八位37 おばちゃんの恋セーターがお揃いだ④小平湖八位156凩や猫背の妻と手をつなぐ④望月のぞみ十四位8カーテンに影を映して目白くる③近田吉幸十四位42五歳が勝つやっとおしまい歌留多取り③白石みずき十四位75空白の性別欄や冬薔薇③小林則子十四位90春近し水晶体を入れ替えて③近田吉幸十四位108グレイヘア冬のぶらんこなら飛べる③鈴木砂紅十四位119水皺のゆるりと伸びて春隣③川崎果連十四位130七癖に一癖増えて雪女③中村ふみ十四位171昼火事や目白御殿に昭和消ゆ③高橋透水松田ひろむ(代表)選 準特選1譜面台に洗濯ばさみ日脚伸ぶ/川崎果連15一陽来復初デート犬名はステラ18この町で背丈変わらず初メール33掛け軸の山河を畳む女正月 4岡崎久子特選54白菜はざくざくため息はつかない/高矢実來準特選57葉牡丹の寄り添いあって地球かな/渡辺すみれ91初日記たった一行「能登に地震」128日脚伸ぶ指輪はめたり外したり130七癖に一癖増えて雪女135能登は雪こんな時には降らずとも140水仙にスカーフ触れて朝七時
2024年02月24日
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わが家にも本溢れて、そろそろ整理と思っているが、基本書籍は残すつもり。そんなお勧め図書をぼちぼち紹介しよう。これは縄文土偶の謎を説得力のある論証で解明。これからは、これを読まないと土偶は語れない。ネタバレになるので、これ以上は書けないが、宇宙人ともいわれた遮光器土偶は実は身近な***だったなど。興味はつきない。
2024年02月15日
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現代俳句協会火曜教室現代俳句協会研修部の依頼により、今年2024年4月より2年間(1年ごとに更新)、私 松田ひろむが俳句教室の講師を務めることとなりました。(「現代俳句」2月号に発表されました)はじめてのことなどで、どうすればいいか、ともかくみなさんのご期待に添えるようにがんばりたいと思っています。ご一緒に楽しく勉強しましょう。 内容は「俳句再入門」的なものとし、俳句の基本をしっかりとおさえたいと思っています。俳句は基本さえしっかりしていれは、あとは「俳諧自由」どんな表現方法でもどんな内容でもありです。思いのままに自由にはばたける文学だと思っています。●毎月第4火曜日(午後1時より)年10回(8月・1月は休み)第1回は4月23日(火)からです。●出句3句(兼題・席題なし)・自由に作ってください。●全句ていねいに講評します。●受講料は11000円(年10回分)●会場=現代俳句協会図書室●募集期間=3月1日より20日(必着)まで。(基本的に先着順です)お申し込みは、往復はがきに「俳句教室」と明記し、希望教室名、住所、氏名、電話、メールアドレスを明記のうえ、現代俳句協会研修部宛にお送りください。 募集定員は決まっていませんが、会場のキャパシティから20名が上限のようです。俳句教室は他に水曜教室(第2水曜)講師=羽村美和子。金曜教室(第3金曜)講師=宮崎斗士があります。現代俳句協会=101-0021東京都千代田区外神田6-5-1偕楽ビル(外神田)7階 電話03-3839-8190 FAX03-3839-8191
2024年02月13日
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41回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第41回鴎座通信句会は41名205句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第41回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選10いのこずちあのねあのねとついてくる37秋風や髪白くなるまで物価高57地下道にひびく靴音夜学の子68板橋区ハキダメギクを拒めない特選73まあだだよ秋はどこかにかくれんぼ/吉村きら149エレベーターの四隅に四人秋立てり186この暑さ命を守る大仕事(選評)特選にいただいた73「まあだだよ)の句。今年の夏は本当に暑かった。立秋を過ぎても連日猛暑。かくれんぼは鬼が目を閉じている間に隠れ、後で鬼が子を見つけ出すという子供の遊び。隠れたままでは困る、一刻も早く鬼に見つかって欲しいものだ。明るく楽しい句。10「いのこずち」の句。牛膝の実(み)は衣服に付着しなかなか離れない。擬人化の「あのねあのね」が可愛らしい。すべて平仮名で書いたところに牛膝らしさが出ている。37「秋風や」の句。諸物価の値上がりで遣り繰りが大変な毎日。白髪になるほどの苦労も痛いほど分かる。生活感溢れる句。57「地下道に」の句。夜学の帰りであろうか?この句から「戦争が廊下の奧に立ってゐた」を想起。靴音が不気味に聞こえる。68「板橋区」の句。ハキダメギクは道端や庭などに生える雑草。牧野富太郎が世田谷の掃き溜めで発見したもの。名前は良くないが花に罪はない。149「エレベーター」の句。平凡な句ながら隅は安心できる場所、他者からの干渉を避けられる場所として端っこに寄る人間の心理を上手く詠んだ句。四隅に四人の韻も心地よい。186「この暑さ」の句。屋外でも屋内でも熱中症で多くの方が亡くなっている。危険な暑さから身を守ることも大仕事。言い得て妙である。 小髙沙羅(同15敬老の日うんでもすんでもない家族41線香花火ポトンと落ちて夏終わる53処理水放出ぱりっと乾く藍浴衣81いつまでも残暑どこまで赤信号特選96つーるんと白玉母さんに会いたい/古川塔子162心の乱れすこし暑さのせいにして(選評)特選にいただいた96「つーるんと」の句。白玉とはいうまでもなく米粉で作った団子。つるんとろんとした食感が懐かしい。なにを食べてもいつも「母さんに会いたい」に共感。山田洋次監督・吉永小百合主演の映画「こんにちは母さん」が九月一日に全国公開される。いまから楽しみに待っている私。15「敬老の日」の句。会話のない家庭が増えているそうだ。夏休みに遊びに来た孫がスマホばかり見ていてほとんど会話のないことにがっかりしたという話を聞いたばかり。20「ビッグモーター」の句。変な世の中で、草花も街路樹も除草剤で枯れさせたビッグモーターの店舗前。そんな怒りが一句になった。41「線香花火」の句。住宅地ではうかうか花火も出来ないらしい。たまたま私は今年、海辺で線香花火をすることが出来て人生が重なった。53「処理水放出」の句。いま問題の原発の事故「処理水」。「ぱりっと乾く」浴衣と取り合せて無言の抗議であろう。81「いつまで残暑」の句。まさに実感。川越街道も環七も赤信号が多い。162「心の乱れ」の句。「少し」が奥ゆかしい。私なら全部暑さのせいにしたいと思った。 後藤よしみ(副編集長)選2白桃の匂ひはいつもふいにくる25書き終えてこの手放れて星祭52訓練は死者をまたがぬ震災忌83するすると帯解くように桃の皮85地球廻る万の原爆抱き廻る特選107かげろうは学徒か八月甲子園/鈴木ひろ子149エレベーターの四隅に四人秋立てり(選評)「かげろうは」の句。ちょうど八十年前、学徒出陣壮行会が行われた。現代、甲子園ではその大学の一つ、慶応の高校が優勝した。時代により人生も翻弄される若者たち。言い留めた句になっている。2「白桃の」の句。店の果物のわきを通る時、桃が一段とその香を身に寄せてくる。自己主張も美味しさの一つだ。25「書き終えて」の句。短冊の願いを書き終えると一人の願いではなく、皆の願いとなる。その不思議さをよく表している。52「訓練は」の句。震災記念日が近づくと防災訓練も各所でおこなわれる。「死者をまたがぬ」の措辞が命の重さと震災を忘れぬことの大切さを伝えている。83「するすると」の句。帯が滑らかに解き降りていくさま。桃のエロスと響き合う佳句となった。85「地球廻る」の句。原爆は減らずに一段と使用の危険が増している。廻り続ける日常と地球規模の核戦争の危機の日常化を表わしている。149「エレベーターの」の句。秋の少し疎となる空気感が「四隅」によく表されている。秋の感覚をこのように言い留めたい。 時期として、戦争と原発処理水の句も多く出されている。詠み続けていきたい対象である。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選20ビックモーター消えてしまった草の花特選48身ぎれいに生きているかと虫の声/宮沢子62七十歳は進化の途中鉦叩き96つーるんと白玉母さんに会いたい115昨日から近くに秋の物価高152打ち返す言の葉俳句甲子園157果てのない炊事洗濯残暑かな(選評)特選の48「身ぎれいに」の句。世の中一般に年寄りは汚いという風潮がある。まず肌が衰えてくる。ある日電車の吊革に若い人と並んだ時思わず自分の手を引っ込めてしまった事があった。それからはせめて清潔、小ぎれいをモットーに心掛けている。作者もきっと同じ気持だと思う。そをいう気づかいに秋の虫も応援してくれているようだ。20「ビックモーター」の句。今を読んでいる句。説明しなくても新聞テレビで散々騒がれていた。ただただ呆れてしまう。季語の草の花で少し救われた。62「七十歳は」の句。寿命百歳の時代、七十歳はまだまだ若い。進化の途中とは言い得て妙である。鉦叩きも頑張れチンチンと鳴いてくれている。96「つーるんと」の句。白玉は母との思い出が沢山詰まっている食べ物だ。母に教わりながら丸めて湯の中へ入れ浮いて来たときの感動が忘れられない。作者もきっと同じ経験があると思う。母さんに会いたいがなんとも素直。115「昨日から」の句。昨日から近くにのフレーズが新鮮でいただいた。生活している中の身近なものから値上がりしていく。これからはいろんな意味で日本はどうなるのか心配だ。秋の寂しさが身に染みる句である。152「打ち返す」の句。全国高校俳句選手権大会は毎年松山市で行われる。その時のお互いの俳句に対する反論が凄い。良く言葉を知っている。それが面白くて見ている。ただただ感心しながら。157「果てのない」の句。暑さ寒さに関係なく家事に終わりはない。今年の猛暑続きには余計それを感じた作者。もうやってられない、と思いつつやらないわけにはいかない。果てのないがよく効いている。 鈴木 砂紅(招待)選48身ぎれいに生きているかと虫の声83するすると帯解くように桃の皮88残暑なりダリの時計のとけはじめ95暑き日の巣鴨に住んで深呼吸149エレベーターの四隅に四人秋立てり175無番地の尖閣諸島台風来 (選評)特選に頂いた「隕石」の句。親子だの、年寄りの悲哀だの、敬老日に有りがちな湿った感慨を排除し、隕石の質感がどっしりと坐っている一句。宇宙と人間の対比、などと堅苦しく読むより、とぼけた味わいを楽しみたい。48「身ぎれい」の句。清潔でこざっぱりとした日常の佇まいが見え、それが作者の生き方に繋がっている。虫の声に自分を寄せる所が日本人の感性。83「するすると」の句。三鬼の『夜の桃』以来、桃は女というイメージが定着してしまった。ならば真正面から素直にと、上品な写生句に仕上げた。88「残暑」の句。ダリの描いた『溶けた時計』の解釈は、不安感や欲望等様々にあるが、作者は残暑の一言で片づける。御大層な深読みのない俳句の潔さ。95「暑き日」の句。何故か巣鴨は暑い。人出の多さなのか、お地蔵様の有難さ故か、確かに熱気が足元から這い上ってくる感覚がある。深呼吸は必須。149「エレベーター」の句。四人が視線を合わさぬように立つ光景が可笑しい。その真ん中に立つのは秋、というのが俳諧的味付け。 175「無番地」の句。令和2年尖閣諸島の字が変更になり無番地となった。単なる行政手続きをあえて俳句に詠むことの重さと、台風の苛烈さを思う。松田ひろむ(代表)選9八十の暮らしたっぷり水を打つ 21食べてみたいひみつ堂のかき氷30白肌に醤油一滴新豆腐特選47処理水のうすき塩味いわしぐも/川崎果連102穂と揺れるやごのぬけがら今朝の秋107かげろうは学徒か八月甲子園準特選108ほやほやのボーイフレンド登山地図/小髙沙羅113スウェーデンハウス見るたび天高し158野分かなこむら返りの午前四時161珊瑚樹の実のまだ青し長崎忌準特選197手にまとう大陸蛍鶴彬/信岡さすけ(選評)特選にいただいた47「処理水」の句。フクシマ第一のデブリ冷却水の海洋放出。飲んでも大丈夫というが、実際に飲んだ人はいない。そういう実を踏まえて「うすき塩味」という。明るい「いわしぐも」(鰯雲)もここでは不気味である。準特選108「ほやほやの」の句。幼い恋の始まりだろうか。「ほやほやの」が楽しい。季語は「登山」なので、親ごころは「はらはら」である。孫俳句かもしれないが、そうは書かないところが工夫である。同じく準特選の197「手にまとう」は問題句。鶴彬(つるあきら)は反戦を詠んだ川柳作家。〈万歳とあげて行った手を大陸において来た〉〈手と足をもいだ丸太にしてかへし〉などの句がある。句は「大陸蛍」が戦争犠牲者の象徴であろう。彼自身も獄死している。9「八十の暮らし」の句。高齢は切ないことも多いが作者はそれを肯定的に「たっぷり水を打つ」という。それも俳句の功徳であろう。21「食べてみたい」の句。これは「ひみつ堂」が面白い。「秘密」と「蜜」が掛け言葉になっている。「ひみつ堂」は千駄木にある実在のかき氷専門店。一四〇〇円から。30「白肌に」の句。豆腐だから白でなんでもない句なのだが、「白肌に」といわれるとどきっとしてしまう。102「穂と揺れる」の句。空蝉の句は多いが、これは「やごのぬけがら」つまりはトンボの幼虫の殻。ていねいな描写である。107「かげろうは」の句。「学徒」といわれるとかつての学徒出陣が重なる。それと高校野球の甲子園との二重写しである。かげろうが現実と過去をゆらゆらと見せている。113「スウェーデンハウス」の句。高気密・高断熱で北欧風のおしゃれな家。百年住み続けられるという。句はそんなスェーデンハウスへの憧れ。それが「天高し」である。158「野分かな」の句。こむらがえりは痛くて苦しい。小生も老化現象の一つだろうか。ときどきある。句はしかも野分の夜、午前四時。つらい夜である。予防には水分補給とミネラル補給がいいらしい。161「珊瑚樹」の句。サンゴジュは防火樹として庭木や生垣によく用いられる。そんなサンゴジュも原爆にはひとたまりもなかったことだろう。真っ赤な実になる前の青い実が切ない。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上1位9 八十の暮らしたっぷり水を打つ ⑧ 小平 湖2位10 いのこずちあのねあのねとついてくる ⑦ 白石みずき3位47 処理水のうすき塩味いわしぐも ⑤ 川崎果連3位73 まあだだよ秋はどこかにかくれんぼ ⑤ 吉村きら3位149エレベーターの四隅に四人秋立てり ⑤ 白石みずき6位15 敬老の日うんでもすんでもない家族 ④ 白石みずき6位62 七十歳は進化の途中鉦叩 ④ 吉村きら6位83 するすると帯解くように桃の皮 ④ 宮 沢子6位88 残暑なりダリの時計のとけはじめ ④ 後藤よしみ10位20ビッグモーター消えてしまった草の花 ③ 石口りんご10位48身ぎれいに生きているかと虫の声 ③ 宮 沢子10位52訓練は死者をまたがぬ震災忌 ③ 川崎果連10位93戦前が座席指定でやってくる ③ 木野俊子10位99秋暑し素顔のわたし見たくない ③ 岩渕純子10位107かげろうは学徒か八月甲子園 ③ 鈴木ひろ子10位108ほやほやのボーイフレンド登山地図 ③ 小髙沙羅10位127「九条」は遺産のすべて日々草 ③ 鈴木ひろ子10位157果てのない炊事洗濯残暑かな ③ 高矢実來10位192八月の軍靴の遠く近くかな ③ 荒井 類
2023年09月02日
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第41回鴎座通信句会全句データ(互選用)第41回鴎座通信句会は41名205句となりました。選句と講評は鴎座代表、編集長、副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。投句された方の互選も行います。●互選選句五句。(全句のなかから5句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 8月29日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2023年8月26日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ 〈第41回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1夕蜩昭和は九十八年とや2白桃の匂ひはいつもふいにくる3歌舞伎町夏の終りの豪雨どど4スマホゲーム美少女の顔ヘチマ5歳の所為鰻蒲焼匂はない6隕石がどこかに落ちて敬老日7荒れ庭の季語見本市露しとど8初秋や芝の広場は城の跡9八十の暮らしたっぷり水を打つ10いのこずちあのねあのねとついてくる11台風や蹴出しまつわる総踊り12黒揚羽児童の日記ドローンめく13蛍の夜泉鏡花の夜叉ヶ池14秋暑し北欧風の白い家15敬老の日うんでもすんでもない家族16飴色の火伏の札や茄子の紺17無口な被爆マリアの百物語18青胡桃娘の空の動き出す19いつか処暑クルトンの歯触りに20ビッグモーター消えてしまった草の花21食べてみたいひみつ堂のかき氷22炎天の黙祷七十八年目23独り身の行く場所探す盂蘭盆会24海水浴ママに怒りを迷子の子25書き終えてこの手放れて星祭26有明の草木膨らむ秋の空27散歩道簾の奥の居間ゆかし28朝早く涼風とともに息子来る29満腹といふ後悔や秋の夜30白肌に醤油一滴新豆腐31打水の裾を濡らして胸騒ぎ32白桃は赤子の尻のかたちかも33急カーブに熊鈴の鳴り登山バス34西瓜ざくざく夫の好物水キムチ35暑すぎる七〇〇巻の写経など36その私語のおさえきれずや秋乙女37秋風や髪白くなる物価高38私しかいない屋上大花火39曼殊沙華赤く咲いても影は黒40爪紅や憲法を骨まで愛す41線香花火ポトンと落ちて夏終わる42男にも貸して頂戴日傘(ひからかさ)43朱を持たぬ絶滅危惧種の緋メダカ44寝返りは皆でよいしょと葉月尽45喜びはいつも後(あと)からちんちろりん46沸騰化日本水没海月かな47処理水のうすき塩味いわしぐも48身ぎれいに生きているかと虫の声49肩書はもともと無くて鰻食ぶ50晩夏光和音といえど大吐息51無防備で立つ故郷の白い靴52訓練は死者をまたがぬ震災忌53処理水放出ぱりっと乾く藍浴衣54雨のシャワー浴びて木の葉に涼風かな 55蜩をそれ蜩の中に入る56盆踊り見様見真似の三歳児57地下道にひびく靴音夜学の子58死ぬときは無理に笑わず遠花火59係留のレクサスヨット主は今60饒舌な手話の手語る風は秋61蜘蛛の囲に綿菅かかる不死男の夜62七十歳は進化の途中鉦叩63石榴の実アルハンブラに誘われて64キュロットの膝に傷バン夏の果て65色爆ぜる昨日よ今朝の秋立てる66夕日には染まらず白の曼殊沙華67誕生日秋の蛍の恋ごころ68板橋区ハキダメギクを拒めない69桔梗(きちこう)の清く正しく美しく70秋暑しレンジで納豆チャーハン風71いさかひは水に流さん夏の果72若き日の精進の跡夏休み73まあだだよ秋はどこかにかくれんぼ74電子辞書の電池切れです西鶴忌75真贋をAIに聞く無月かな76戦(いくさ)の「い」と生き死にの「い」や竈馬(いとど)鳴く77滅亡を地球は願い星流る78稲妻に脳細胞の若返る79戦(いくさ)きざす赤唐辛子の矢は天に80金木犀寄り道します乳母車81いつまでも残暑どこまで赤信号82月を見て恋の予感に気付くなり83するすると帯解くように桃の皮84台風が逸れ朝風呂の指定席85地球が廻る万の原爆抱き廻る86人にもね蜂の命のはかなさよ87好き嫌いあってゴーヤのぶうらぶら88残暑なりダリの時計のとけはじめ89朝顔は誕生のごと虹掴む90滴りや人影阻む能舞台91白靴や金婚とうに過ぎたけど92名づけられ台風右往左往せり93戦前が座席指定でやってくる94ひまわりが満開の子供食堂95暑き日の巣鴨に住んで深呼吸96つーるんと白玉母さんに会いたい97原爆忌もつとやさしくしていたら98冷麦や今日も三食食べました99秋暑し素顔のわたし見たくない100体毛と毛穴さわさわ秋の水101戦するなとひまわりが総立ちに102穂と揺れるやごのぬけがら今朝の秋103立秋の色鉛筆を選りはじむ104蓮の葉や天女の雫ころがりて105香水で消さん戦(いくさ)のにほひなど106打水とグラタン二秒の不足です107かげろうは学徒か八月甲子園108ほやほやのボーイフレンド登山地図109部屋ごとの寒暖計の暑さかな110江戸っ子は「ひ」が言えなくて秋祭111栄一の百人の子や星月夜112街はエルニーニョ庭には茗荷の子113スウェーデンハウス見るたび天高し114焙烙の迎え火に寄る子々孫々115昨日から近くに秋の物価高116外出し消毒コロナ負わされる117御嶽の売店閉じて星月夜118敗退を転進と呼び敗戦日119アンサンブルぴたり息合い秋涼し120横断に渡り切れない残暑かな121秋朝の目覚めの音はバッハなり122味噌汁と玄米二合茄子の花123晩年の「たられば」の悔い蚯蚓鳴く124くに・久尾・小亀もAmieよ鳳仙花125見せかけの情は要らぬ日雷126夏大根姉女房の棒手振り127「九条」は遺産のすべて日々草128菊日和色白なのは母譲り129祈りとは迷路かげふみ鰯雲130石畳靴の底はう残暑かな131グラブから零れるボール大西日132お互いの鼻に一筋夕化粧133秋暑し赤道越えて旅の夢134指舐めて色なき風の塩加減135母箱に幼き胴着秋蛍136手間かけたことを話して栗おこわ137流燈や戻って来いと目で追って138知恵の輪があっさり解けて小鳥来る139かくれんぼ横丁あれは紅葉鮒140塀上の目の合う蟷螂男前141汗まみれ高校球児の坊主頭142暑さに負けるな高校野球見る143句集「ひろしま」ひらひら八月の満月光144蝉しぐれ大佛次郎記念館145舌頭に千転したる暑さかな146大花火夜空いっぱい六百五十メートル147とんぼうの真下をとぶやオスプレイ148星月夜海の声きくふたりかな149エレベーターの四隅に四人秋立てり150無花果狙う大泥棒と目が合いぬ151みせばやの花に襟裳の秋を知る152打ち返す言の葉俳句甲子園153薄められ放流さるる残暑かな154はつあきの樹々はどこでも主人公155爽やかや最期に君の香を肺に156稲妻や記憶の底が晒されて157果てのない炊事洗濯残暑かな158野分かなこむら返りの午前四時159駅ピアノぽろんと溜めて星月夜160雲の峰コロナウイルス増え続く161珊瑚樹の実のまだ青し長崎忌162心の乱れすこし暑さのせいにして163葉鶏頭二重瞼が重すぎる164放出のあとのタンクを月の宿165新走り息子に繋ぐ創業者166からすうりひらく無呼吸症候群167灯火親し家康にのめり二十巻168教会の葉陰に青し無花果果 169涼新た感ですうっと針の糸170王冠を箸置きにして月見豆171汚染水鰻は黙って裁かれる172海にトリチウム宙に曼珠沙華173郊外の家の庭には凌霄の花174終戦忌父母それぞれに物語175無番地の尖閣諸島台風来176揚羽蝶追いかけて少年に会いに行く177流星の生まれるところウクライナ178ねぶた祭DNAが弾き出て179ほろ酔いの提灯ゆらぐ魂送り180秋暑し手のシミ直す美容液181先細る印税暮らしかなかなかな182盆棚の奥より猫のお告げかな183八十過ぎの体の歪み曼珠沙華184綿菓子の雲を仰いだ赤とんぼ185海向こう立山望みて万感なり 186この暑さ命を守る大仕事187影踏みや妹(いも)と夜濯の母の側188ひろしま忌目鼻たしかめてより黙祷189石段に小鳥来る句兜太の句190ねこじゃらしいい子わるい子地球の子191遠雷や中国からもトリチウム192八月の軍靴の遠く近くかな193無責任体質何処より籔枯し194悩み満帆蝉の声聞きまた一句195姫女菀や群生したら幻想的196わが齢母に重ねて彼岸花197手にまとう大陸蛍鶴彬198残る蚊の叩けば煤の軽ろさなり199秋暑し体重すこし減らさねば200もう一つの居場所探しの大花野201秋虹の根っこのビルの薄化粧202被爆光はだしのげんは偏向と203未年生まれ未の刻のひつじ草204行き場ない汚染の水に海冷めて205夢二忌のポニーテールのより高く END 鴎座通信句会はウイズコロナ時代の新しい句会として注目されています。新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として継続します。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月24日です。ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです。
2023年08月26日
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新人・初心者歓迎!新型コロナウイルス感染症を超えて ●第41回鴎座通信句会の締切は24日です(画像は大曲の花火)新型コロナウイルス感染症は五類移行。やっぱり俳句で免疫力アップでした。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第41回投句締切 8月24日24時必着 投句先 松田ひろむ代表あて。メール・FAXなどにて。FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、後藤よしみ(副編集長)、小髙沙羅(同人会長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹(招待)が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 8月29日(必着)選句結果・講評は9月2日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会第40回作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上一位155浮いてこい老いにも未知の浮世かな ⑦ 吉村きら二位16 生き死にの話キャベツを刻むかに ⑥ 鈴木ひろ子二位61 髪洗うさっきのことはもう忘れ ⑥ 小髙沙羅四位36 ひまわりが此処で休んで行けという ⑤ 石口 榮四位132地球発熱打ち水が間に合わず ⑤ 岡崎久子四位200叱る人まだいてくれて送り盆 ⑤ 渡辺すみれ七位49 清貧に生きて白玉核の傘 ④ 宮 沢子七位91 箱庭に空爆がくる二十五時 ④ 松田ひろむ七位113いちにちの答え合わせに冷やし酒 ④ 吉村きら七位117クリームソーダ不協和音をぐるぐると④ 磯部薫子七位150少年が雲を生け捕る夏帽子 ④ 川崎果連七位174非正規のバス停はどこ旱梅雨 ④ 川崎果連七位198原爆忌いつも通りにバスが来る ④ 石口 榮十四位2ロフテッド軌道なおなお梅雨明けぬ③松田ひろむ十四位21自画像を濃縮すれば敗戦日 ③ 木野俊子十四位55AIのアジサイ詠める特選句 ③ 飯島 智十四位59二の腕やハッキリ二色夏の恋 ③ 水島かよ子十四位78夏の蝶ついに一線超えられず ③ 岡崎久子十四位110妻ひとり竹夫人ならもうひとり③松田ひろむ十四位119単線の駅知り尽くす夏燕 ③ 岡崎久子松田ひろむ(代表)選7ラムネ玉初恋の音を確かめつ29塩飴を舐めて海の日の感謝38夏の海へ行く先知らね核の水特選47夏の雨小降りに薬効き始め/中村ふみ48迎え入るそうめん流しの桶狭間59二の腕やハッキリ二色夏の恋63山の日や楽にスルーの一万歩準特選95ページ繰る指紋失せたる半夏生/飯島 智準特選107知らぬ子ともう遊び出すキャンプ村/石口りんご128高知城土産は西日芋けんぴ 171ところてんほんのかすかに海の香か(選評)特選にいただいた47「夏の雨」の句。齢を重ねると薬の種類も増えてくる。極暑に雨が降り始めるとほっとすることもある。そんなときに飲んだ「薬が効き始め」たと感じたのだ。なにげない表現ながらこれは微妙な生活感覚といっていい。しみじみとした情感の句。準特選95「ページ繰る」の句。「指紋失せたる」に考えさせられた。生活の現実としては家事などで指を酷使したとも考えられるが、心理的な表現としてもいい。そんな生活のなかの読書の時間を半夏生の季と重ね貴重な時間と感じているのであろう。思いの深い句。同じく準特選107「知らぬ子と」の句。いかにもキャンプの風景。子どもはすぐに友達ができる。私は小学生のときに戦災、震災のために転校を繰り返したが、それでも友だちは出来た。そんな幼時体験も思い出させていただいた。7「ラムネ玉」は不思議な飲み物。ラムネ玉を振れば、たちまち初恋の思い出がよみがえる。29「塩飴を」の句。塩は人間に不可欠なもの。長野県ではかつて塩飢饉という言葉もあった。塩飴というのは食べたことがないが、熱中症の予防にもいいらしい。38「夏の海へ」の句。放射性トリチウムの海洋放出が大問題。句はそれを「行き先知らね」と告発している。48「迎え入る」の句。これは桶狭間がいかにも効いている。古戦場に流しそうめんの店があれば楽しい。9「二の腕や」の句。腕に残る日焼けのあと。恋は消えても日焼けは残っている。63「山の日や」の句。登山をしたというよりも、いつもの一万歩も、山の日と思えば楽に達成したというころだろう。128「高知城」の句。土佐の土産はいろいろあるが「芋けんぴ」とは渋い。もっともこれは軽くていいが、私は鰹のたたきがいい。171「ところてん」の句。確かに海の香はうれしい。ただ下五は「海の香かな」より「海の香が」でいいだろう。
2023年08月24日
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新型コロナウイルス感染症を超えて ●第40回鴎座通信句会の締切は24日です新型コロナウイルス感染症は五類移行。やっぱり俳句で免疫力アップでした。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)画像はモネ『睡蓮(イエロー・ニルヴァーナ)』 ナショナル・ギャラリー(ロンドン)●第40回投句締切 7月24日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。メール・FAXなどにて。FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、後藤よしみ(副編集長)、小髙沙羅(同人会長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹(招待)が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 7月29日(必着)選句結果・講評は8月2日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会第39回作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上1位21 墓なくてよしあじさいの毬あれば⑦ 松田ひろむ1位43 どうしよう妻の水着が美しい ⑦ 川崎果連3位75 「つばなれ」の子のいやいやよ捩り花⑤安原南海子4位19 沖縄忌日にち薬を信じない ④ 石口りんご4位33 ピカソにも青の時代よ七変化 ④ 荒井 類4位35 保険証の話どこかでさくらんぼ④ 小平 湖4位50 荒梅雨やラップの端が剝がせない④ 行成佳代子4位68 夏座敷泣いた笑った生き抜いた④ 吉村きら4位91 献血の出来ぬ齢や半夏生 ④ 高橋透水4位103父の日の着信音は大にして ④ 宮 沢子4位115子の手品てんとうむしを解き放つ④ 川崎果連4位163江戸切子氷の響くカキクケコ ④ 松田ひろむ4位187大き虹中村哲の笑顔入れ ④ 鈴木ひろ子14位17歩き食い日焼けの臍にピアス二個③ 安藤草太14位45父の日の父は毛虫を焼いていた③ 古川塔子14位61忘れたき想いきしきし髪洗ふ③望月のぞみ14位67また一つ溜息残す沖縄忌 ③ 宮 沢子14位69母の日の花も私も元気です ③ 古川和美14位81緩慢な思考回路に水を打つ ③ 石口 榮14位113枝豆や口も八丁手も八丁 ③ 白石みずき14位189紫陽花や母を泣かせた二女が泣く③川崎果連 松田ひろむ(代表)選1記念日と言えば胡瓜にマヨネーズ特選27白玉や舞台の嘘がやさしくて/行成佳代子35保険証の話どこかでさくらんぼ準特選39花槐(えんじゅ)水面に月のかけら散り/横山小鼓準特選53おっかさんという蛍が飛んでいた/後藤よしみ62こんな日のトーストになら味噌キューリ71見下ろせる谷中銀座の夏の雨75「つばなれ」の子のいやいやよ捩り花145まどろみの香りを移すモンロー忌187大き虹中村哲の笑顔入れ189紫陽花や母を泣かせた二女が泣く(選評)特選にいただいた27「白玉や」の句。演劇はすべて「嘘」であるが、それは「実」を表現するためのもの。芭蕉に「虚に居て実をおこなふべし。実に居て虚にあそぶ事はかたし。」(風俗文選)の言葉がある。また近松門左衛門に「芸といふものは実と虚(うそ)との皮膜(ひにく)の間にあるもの也。」(難波土産)がある。句はそれを踏まえて「嘘がやさしい」と実感に引きつけている。季語の白玉のまろまろとした白さがたまらない。39「花槐」の句。エンジュの花はふさふさと白い。またその甘い香りは恋心をくすぐるという。「水面に月のかけら散り」は的確ではあるものの、なくはない表現であるが、ここでは花槐の取り合わせで艶のある句となった。53「おっかさんと」の句。「おっかさん」と蛍といえば、特攻基地となった知覧のことが思われる。ここでは「飛んでいた」という口語表現もやさしく的確であった。1「記念日と」の句。記念日といえば、結婚記念日であろうか。それも高齢となれば日常と変わらない。それが胡瓜とマヨネーズ。35「保険証の」の句。いま問題のマイナカード。紙の保険証を廃止するという無茶ぶりには驚くばかりだ。ただ句は「さくらんぼ」が可愛すぎるようにも思える。季語は一考か。62「こんな日の」の句。こんな日はどんな日だろうか。トーストに味噌キューリがいかにも日本人。ほほえましい夫婦の姿かも。71「見下ろせる」の句。「谷中銀座の夏の雨」はそうかと思うのだが、「見下ろせる」で「夕焼けだんだん」からの景と思えた。75「つばなれ」の句。いつの間にか十歳になったという思い。「つばなれ」の語の発見が手柄。145「まどろみ」の句。香りを移すが、やや思わせぶりだが、それもマリリン・モンローなら許せる。187「大き虹」の句。中村哲医師がアフガニスタンで銃撃により亡くなったのは2019年12月4日(73歳)だった。その思いと笑顔はいまも我々の虹である。189「紫陽花や」の句。子育ての苦労。母も泣くことがあった。句の二女が泣くは、その母が亡くなったことだろうか。紫陽花が切ない。
2023年07月22日
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第37回鴎座通信句会全句データ(互選用)●互選選句5句。(全句のなかから5句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 4月29日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2023年4月26日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第37回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1薔薇のトンネル区議選はこちら2こころ曇りや泰山木は日を高み3茶柱の立つまで待てぬ桜餅4山樝子の記憶の中に馬車がいる5一日一善よそよそしくて君子蘭6廃炉なのアスパラガスは出たばかり7板橋は住みやすき街二輪草8リハーサルなしでこれ程鳥の恋9竹皮を脱ぐ人生の行間に10列島の桜尽くしの旅景色11おまえもか猫なで声の恋鴉12花散るや手押しのあなたあすのわれ 13母の齢まだ越えられぬクレマチス14修行僧地獄耳かも亀鳴けり15遮るもの何にもなくて代田かな16娘二十パスタくるくる山椒の芽17満天星の壺ねえさまとかくれんぼ18木の芽雨妻励まして励まされ19花は葉にハムのパックの剥がれない20花冷は友の手指を摩りたり21ウクライナ国を離れる雨が泣く22自由のなかの不自由や花ちらし23払暁や煌めくしぶき蜆舟24小心なすみれかたまる木の根方25八重桜森進一のたらこ口26花びらまとう倒木のやすらぎ27黄砂来る西郷どんの犬怒る28逝く春や心のドアの鍵外す29リハビリリハビリ年寄りの遠足30雉よ啼くな親子喧嘩はしょうもない31ドライブの眼にとびこむ山の藤32春の宵その無秩序の美しく33言い訳はしないつもりよ十薬よ34恋ならばぺんぺん草のぺんほどの35仏壇の黒一点も柏餅36忙しや今日は紫雲英を編む仕事37薔薇咲いて寺の鬼門に棘光る38新緑や上野の鐘の余韻まだ39皇室の歴代引き継ぐ蚕棚40句音痴と方向音痴獣交る41思ってもみない老化よ牡丹の芽42突風の中蛇穴を出たものの43春風や隣の席から外国語44木の芽流しバスは新人ドライバー45玉手箱座の封切るや晩春に46苧環やいつうとうとと文庫本 47惜春を色とりどりに花見山48デモなき日本せめて残花のブルースを49罌粟坊主再生医療お試し中50迷いなくあなたに着地飛花落花51春惜しむ雲の欠片が焦げている52向日葵やライムライトを聴きながら53晩年の伸び代二寸枇杷すもも54制服の袖の指先一年生55江の島のタワーも霞む焼栄螺56花一輪手漉きの和紙のポチ袋57告白に相好の笑み花菜漬58青饅の会話ちぐはぐ箸休め59花に酔い痴れ木道を逸れるなよ60塀を越へ取ってくれろと夏蜜柑61切株に珈琲二つ桜蕊62こいのぼり霞ケ浦の右ひだり63さくら餅はやっぱり伊勢屋軽い鬱64東京ジャーミイ春ショールの色々65植木屋の鋏の音や風光る66スーパーに父似の人や草だんご67始めての家出木香薔薇の頃68つげの花縄文人の口笛に69呼び鈴を押してしばしの昼の蝶70断捨離はプロにまかそう養花天71朝寝朝酒やけくその年金72沸点の変わらぬ世界竹の秋73ぶらんこに座るやたちまち遠い日へ74私の渦その真ん中に捩花75卯の花の青春切符長岡へ76恋なんて捨てればいいの木の芽和え77日焼け止めを持たせ遠足四年女子78四月一日補助輪付のヘルメット79桜の下ベンチがあって長話80春深し三文判の落とし物81滅びたる戦の名残り桜鯛82沈没の前に脱出労働祭83捩花の卑弥呼正子とねじりけり84空に散り海に散り桜貝になる85春の恋メビウスの輪のひとまはり86東京暮色忍者パスタとカレーパン87桜蘂降る味のないガムのよう88乗込鮒(のつこみぶな)を諸手に笑むや男の子89春雷や太宰の墓に美少年90妹と実家の整理薫る風91呼ばれきて森のこぶしの傷みよう92これよりは貧乏草の浄土です93怠けるな立浪草が押し寄せる94再出発は新緑の上野山95風薫る色とりどりのランドセル96露座仏を袈裟斬りにする春の雷97子に託すこと何もなくて亀鳴いて98羽ばたいて飛んでみたいな夏の空99桜しべ舞い散るなかを走りたり100八重桜散るさいの目に一をたし101チャットgpt河童咬みつく雲の峰102「五類なり」美人マスクの夏の陣103点滴点滴ブランコと思う母104いかのぼりフラフープなら人並に105モーツアルト聴かせ育てて初桜106不文律安倍晴明春満月107猫車積まれし脇の白牡丹108カレンダー四月になってウオーキング109雛罌粟や今も晶子の母性観110聖五月掃除機変えて模様替え111赤飯はレンチンなれど初鰹112推敲のペン取り落す目借時113つくしんぼ明日は絶えず新しい114どっと乗る笑みひかえめやはなみずき 115外は雨卒業式の武道館116変貌の地球やいつか春きざす117いぬふぐり老いてますます情熱家118この世でもあの世でもなく焼野原119カリウムもセシウムも公魚の天麩羅に120スカイツリーを遠見の空の花吹雪121蕨手の無茶な指切りにこにこと122八十八夜よく熟れていた杏子 123花影を踏みて家路の我が娘124花散れば人もまばらにただの川125気がつけば日焼けヒリヒリもう遅く126伝えたいことは山ほど蓬餅127移動日の自分に贈るチューリップ128暮の春今日を限りの二割引き129春日傘予定なくても薄化粧130満天星の花散り初むる選挙あと131連弾の子の指ずれてつくしんぼ132向こう風すいと泳ぎて揚羽かな 133攻めの姿勢新じゃがを茹でている134上り鮎に子らいっせいに「がんばつて」135余生とはまだある未来桜の実136選挙ポスターどれも歯を見せ街薄暑137風光るすえこ笹とは妻の名で138外干しのなき九十戸霾ぐもり139笑うとき肩を上下に夏きざす140戦争をしているロシアに鳥帰れぬ141マイナンバーいらないけれど五月来る142薫風や死ぬまでハッピー五七五143疵のある大黒柱昭和の日144やどかりの冒険地球はまるいのか145諦めぬ夢引つ提げて春の旅146春昼やマラソンランナー平河門147隠世に旅立つ人や別れ春148水子もう五十になろう桜まじ149レタスちぎる国境なんぞなきように150ももさくら散ってしまってBランチ151戦車を走らせ地球生きている152憲法記念日あちこち探す虫眼鏡153雨あがるふわりと桜浮かびけり 154踊るのは男が相場君影草155平和とは笑顔キーウに咲くさくら156勿忘草初恋だけでいくつある157堂々と昼寝昼酒暇は敵158風紋を崩し眼下の日本海159どちらかが出て行くのならみどりの日 160昭和から吹いてくる風牡丹園161がんの告知受けたるその日杏花村162徳利を狸と囲み亀鳴けり163報国寺に抹茶一服竹の秋164たんぽぽをほめ湯波をほめ母笑う165行間に脱線の文字目借時166「大谷と同じだよ」白いスニーカー167人の世の挫折いくつもシャボン玉168山梨が優勝春の甲子園169花筏組んで解れつ太平洋170三十の介護人生ひこばえる171料峭や閉店多き本屋さん172使わないホットカーラー昭和の日173花冷やちらと振り向き猫がゆく174欠点は魅力のひとつ夏ちかし175解禁のバス前席の一年生176花見酒主役転じて道化役177白蓮白シャツ一歩後退して前へ178客寄せのデコポン売りは熊本弁179ゼロ歳も百歳もいま目借時180青空の青独り占め花水木181投壜の中の嵐よ花薊182行間を埋めることなき昭和の日183時間というかたまり閉じるシャボン玉184遮断機が下りないように山笑う185目借時なかなか抜けぬ躾糸186観梅や青鮫のごと迷い込み187桜蕊コンビニ弁当覗かれて188風通しの悪い神社や白つつじ189泣き相撲さくら蘂ふる浅草寺190楊貴妃桜スマホの窓に幽閉す191土佐弁で始まる朝(あした)花みずき192菖蒲湯や八十路の背中しゃんと伸び193アマゾンの闘う労組春の宵194風紋の襞の連なる啄木忌195快晴へホールインワン揚雲雀196菜の花やぎゅっと手つなぎ歩く児ら197遊説の美辞に浮かれてチューリップ198夕映えのワイングラスに春の虹199くっさめの三千世界つちふりぬ200白壁を緑に塗るかオーイ夏201揺れるたび強くしだれて柳の夏202山笑う大言壮語の選挙戦203花びらの光を散らし百千鳥204同じ愚痴何度も言われ暮の春 END鴎座通信句会はウイズコロナ時代の新しい句会として注目されています。新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として継続します。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月24日です。
2023年04月27日
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ピンチはチャンス!新型コロナウイルス感染症に負けない ●第36回鴎座通信句会の締切は3月24日です新型コロナウイルス感染症はオミクロンなどまだ予断を許しません。しかし俳句で免疫力アップです。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第36回投句締切 3月24日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。投句はメール・FAXなどにて。FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、後藤よしみ(副編集長)、小髙沙羅(同人会長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、小平湖(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹(招待)が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 3月29日(必着)選句結果・講評は4月2日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はいたしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会)174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会第35回上位作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上1位160春風や日々新しく老いてゆく ⑩白石みずき2位99 ありあまる自由と孤独沈丁花 ⑥岡崎久子2位101うららかや密談果てぬランドセル ⑥鈴木ひろ子4位27 落椿つぶやくようにまた落ちる ⑤古川塔子4位83 早春の草の匂いやまだ傘寿 ⑤近田吉幸4位106蒲公英や座の文学に迷い込む ⑤近田吉幸4位193風呂吹や何も変わらぬ誕生日 ⑤水島かよ子8位2 人間に熱のあるなし枝垂れ梅④松田ひろむ8位10 料理にも感性浅蜊のひとりごと④白石みずき8位43 断捨離の手元に残すうさぎ雛④高矢実來8位62 産む力生まれる力牡丹の芽 ④宮沢子8位87 軒氷柱バキバキ折って反抗期④石口榮8位147節分や防犯カメラ付けました④古川和美8位155探梅や父にもらった骨密度④増田萌子8位180三寒四温角から溶ける角砂糖④白石みずき16位4街角に兵士の遺影春の日矢③安藤草太16位31おろおろと三寒四温の舌下錠③宮沢子16位39果報待つためのうたた寝春の雪③鈴木砂紅16位51白魚の黒き瞳に箸そらす③望月のぞみ16位61つぎはぎの想い出ばかり黄水仙③安藤草太16位124目刺焼くおひとりさまになる前に③百目鬼英明16位140亀鳴くや住みたき県のアンケート③高橋透水16位142鈴の音の茶房の扉沈丁花③岡崎久子16位158あんぱんの餡の片寄り春の鬱③吉村きら(画像は陽光桜=ウイキペディア)
2023年03月23日
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第35回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第35回鴎座通信句会は39名195句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。鴎座俳句会 代表 松田ひろむ(画像はジンチョウゲ。フリー素材より)〈第35回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選10 料理にも感性浅蜊のひとりごと34 ビー玉の目を光らせて猫の恋136 袋入りの七草すでに刻まれて147 節分や防犯カメラ付けました特選155 探梅や父にもらった骨密度/増田萌子160 春風や日々新しく老いゆく183 梅咲いて猫に戒名いただいて(選評)特選にいただいた155「探梅や」の句。晩冬、早咲きの梅を求めて、山野を探し歩く探梅。体力も必要である。骨密度は男女とも加齢によって減少すると言われ、その減少率は男性より女性のほうが大きいといわれる。父の遺伝子を貰って骨太の作者。何よりの宝物である。探梅と骨密度の取り合わせに惹かれた。10「料理にも」の句。料理にも感性に納得。「美味しく作れよ」と浅蜊の呟きが聞えてきそうだ。34「ビー玉の」の句。闇夜に光る恋猫の目、それをビー玉に例えたところが面白い。136「袋入り」の句。何もかも便利な世の中。刻まれたものは何となく味気ないがするが、どうかな?147「節分や」の句。悪鬼や厄を祓う節分。最近多い空巣狙いの防犯対策と思える。口語体でさっぱりとしている。160 「春風や」の句。日々新しくに惹かれた。春風のようにこんな素敵な人生を送れたら申し分ない。183「梅咲いて」の句。ペットを飼う人にとっては猫も家族同然。亡くなったあとに戒名を付ける。「梅咲いて、いただいて」のリフレインが軽妙である。 小髙沙羅(同人会長)選 31おろおろと三寒四温の舌下錠特選94餅太り涙もろいがわがままで/信岡さすけ106蒲公英や座の文学に迷い込む118転んでもただでは起きぬ葱坊主147節分や防犯カメラ付けました160春風や日々新しく老いてゆく180三寒四温角から溶ける角砂糖(選評)特選にいただいた94「餅太り」の句。妙に面白い。涙もろくて、わがままも滑稽。私もときどき夫から、こんなことを言われているから、他人事とは思えず、思わずの特選。31「おろおろと」の句。やっと春めいてきた。しかしこの季節は体調変化もある。舌下錠はニトログリセンリンなど即効性のある薬。「おろおろ」が効いている。106「蒲公英や」の句。俳句は座の文学。いつまでも迷いはあるものの、座の文学だから継続している面もある。蒲公英の季語が軽妙。118「転んでも」の句。「ただでは起きぬ」に勢いがある好句。葱坊主は自身の比喩だろうか。147「節分や」の句。最近の強盗のニュースの多いこと。防犯カメラが頼りとは嫌な世の中。節分の季語だから、鬼を打つ気持ち。160「春風や」の句。「日々新しく老いて」が、思いっきり新鮮な表現。春風の季語で、老いと対比させているところもなかなか。180「三寒四温」の句。寒いね暖かいねといっているうちに春になるそれが三寒四温。角から溶ける角砂糖という写生に納得。 後藤よしみ(副編集長)選2人間に熱のあるなし枝垂れ梅特選4街角に兵士の遺影春の日矢/安藤草太17平家音読かたわらに寒の水27落椿つぶやくようにまた落ちる31おろおろと三寒四温の舌下錠53春の闇打ち込まれたる星一つ95俎板の焦げ跡いつの多喜二の忌(選評)特選の4「街角に」の句。ウクライナと受け取れる。凍てつく大地での血で血を洗う戦争の悲惨さ。いつも犠牲となる民衆。それに神の救いの手が差し伸べられる。春の日矢となって。光景と慰霊の念が浮かび上がる。2「人間に」の句。人間と病原菌との争いは、自然の中では小さな出来事。梅の色がそれを教えてくれる。17「平家音読」の句。祇園精舎の鐘の声。諸行無常の響きあり。このあわれを声に出すことで魂が洗われてくる。27「落椿」の句。落ちる様は劇的で、つぶやくようにと上手く言い留めている。31「おろおろと」の句。急な胸苦に抗うすべもない。季節の寒暖に身を任せるようにするしかないのだ。53「春の闇」の句。早春の冷たさが残る夜空。打ち込まれたるの措辞が、厳しさの中の希望を表す。95「俎板の」の句。日常と特高の拷問を想起させる。忘れてはならない句。白石みずき(Ⅰ欄同人)選41春寒や夫と意見は平行線80三寒四温そして明日はやってくる83早春の草の匂いやまだ傘寿106蒲公英や座の文学に迷い込む特選122バラの花元気で長生きそのつもり/小髙沙羅142鈴の音の茶房の扉沈丁花155探梅や父にもらった骨密度(選評)特選にいただいた122「バラの花」の句。難しい事は言っていないが高齢者が日頃思っていることをきっぱりと言ってくれた。それでいただいた。季語のバラの花で華やかな老後が待っている予感さえする。41「春寒や」の句。嫁と姑は平行線ということはよく聞くが夫婦も齢を重ねるとお互いにわがままになり意見が合わなくなるのだろうか、春寒がいやに効いている。80「三寒四温」の句。寒くなろうが暖かくなろうが間違い無く明日は来るのだ。いままでとこれからの人生の感慨みたいなものを感じる句である。83「早春の」の句。まだ傘寿、に感動していただいた。はいまだまだこれからです。早春の草の匂いが元気な明日を予測しているようだ。106「蒲公英や」の句。作者は晩年になって俳句を始めたのだ。こんなにお面白いとは思っていなかったのだろう。完全にのめり込んでしまったのだ。たんぽぽの絮の様にふわふわ夢心地なのだ。よかったよかった。142「鈴の音」の句。古き良き時代の喫茶店を思い出した。いまどきは扉に鈴なんてダサいと言われそう。待ち合わせも鈴がなるたび入口を見たものだ。中へ入れば大きな花瓶に沈丁花が活けられてほっとしたものだ。155「探梅や」の句。お父さんはきっと頑丈な骨太の人だったのだろう。そのお父さんに似て作者も丈夫な骨を受け継いだのだ。探梅でいくら歩いても疲れ知らず、その幸せを噛みしめているのだ。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選2人間に熱のあるなし枝垂れ梅46いつもらふ弥生生涯通信簿59スカートの深呼吸する春の宵106蒲公英や座の文学に迷い込む147節分や防犯カメラ付けました168飢えてなおミサイル落とす春の海特選193風呂吹や何も変わらぬ誕生日/水島かよ子(選評)特選に頂いた193「風呂吹や」の句。誕生日は毎年来る節目の日だ。長く生きて来れば誰でも色々な人生を持っている。子供も孫も成長した今は次の誕生日も健康で欲張らず淡々と風呂吹きを作り、そんな平穏な「何も変わらぬ誕生日」を迎えたいものだ。2「人間に」の句。感覚的な句で何とも言えないところが魅力的で惹かれた。46「いつもらふ」の句。もらうのもいいけど、たとえば生涯通信簿は自分で自分に出すものと思うけど。59「スカート」の句。春めいて少しの風にスカートが膨らむそれを深呼吸のように感じまた少し色っぽい、気持ちが和む句。106「蒲公英」の句。座の文学とは俳句のことか、習いごとは苦しさがあってこその楽しさ、季語の蒲公英の明るさがいい。147「節分や」の句。この頃の世の中の一場面を連想させる句で詐欺や強盗殺人など怖すぎ。季語の明るさに救われる。168「飢えてなお」の句。何度も同じことの繰り返し段々エスカレートしている感じ。「飢えてなお」が切実。 鈴木 砂紅(招待)選 16薬疹の骨までかゆし寒の月43断捨離の手元に残すうさぎ雛特選91霾やざらざら暮らす自衛隊/川崎果連101うららかや密談果てぬランドセル138ねむい春ほほの飯つぶ彼らしく158あんぱんの餡の片寄り春の鬱174憲法前文って希望のフリージア(選評)特選に頂いた「霾や」の句。霾とざらざらは当たり前の表現だが、それが自衛隊員の暮しとなれば、何か得体のしれない気味悪さを帯びて来る。災害救助から防衛と攻撃に転じつつある自衛隊の現実を詠んだ時事句であり、その本質を詠んだ句でもある。16「薬疹」の句。持病の為に飲むべき薬が苦しい副作用を起こす。しかし服薬は必要。骨まで痒い体と心を寒の月に託し、詩情溢れる一句となった。43「断捨離」の句。断捨離の句は多いが、掲句は残すものに着目。今年の干支であるうさぎの雛人形の愛らしさが印象深い。101「うららか」の句。下校児のランドセルが道端に集い、なかなか歩き出さない。密談はこども達だけの大切な時間だったことを思い出す。138「ねむい春」の句。頬に飯粒を付けて何時もの彼らしい、というから子供ではなく大人だろう。親しい彼への温かな気持が見える。158「あんぱん」の句。あんぱんと鬱の取合せの妙に惹かれた。病というほどではない、明日は笑顔になるはず。春の軽さが良い。174「憲法」の句。平和・公正・信義・安全・生存という言葉が並ぶ憲法前文は、あの頼りない小さな希望のフリージア。皮肉の効いた詠みぶりに共感。松田ひろむ(代表)選 1春蘭のサラダの話推しひとつ準特選12多喜二忌や期限の迫るパスポート/川崎果連76女房風紅梅かさねの枝垂れかな105草青む道了堂の跡地のみ107春一番やけぼっくいの火の粉散る132如月菜(タァツァイ)の濃き緑色ゆでにける準特選140亀鳴くや住みたき県のアンケート/高橋透水144悪口は言いたく無いが猫の恋156甘樫より望む首塚花曇193風呂吹や何も変わらぬ誕生日特選198へそ大根丸森線の外知らず/増田萌子(選評)特選にいただいた193「へそ大根」の句。へそ大根とは宮城県丸森町の特産。凍み大根の一種。ここではへそ大根というインパクトのある言葉と「丸森線の外知らず」が効いている。準特選の12「多喜二忌や」の句。過去の多喜二忌と現代のパスポートとの取り合わせがなかなか。「期限の迫る」で緊迫感のある句となった。同じく準特選の140「亀鳴くや」の句。なにも語らない良さ。住みたい県といってもいろいろ。こんな「亀鳴く」との取り合わせも軽妙。1「春蘭の」の句。現代の若者言葉に「推し」がある。ここではそれが「春蘭のサラダ」で俳句になった。「推し」に反応する感覚が若い。76「女房風」の句。「風」は「ふう」なのか、「かぜ」なのか。作者の意図はともかく「女房風(かぜ)を吹かせる」として華麗な紅枝垂れとの対比が面白いだろう。105「草青む」の句。「道了堂跡地」は道了尊にちなむ八王子市にある遺跡。かつては絹の道で栄えたという。ここでは「のみ‐草青む」が実景であり実感。107「春一番」の句。「やけぼっくい」に火が付くを踏まえた句。そんなどきどき感もいいかも。いや、危ない危ない。132「如月菜の」の句。如月菜は搨菜のこと。緑色を茹でるはそのままだが、タァツァイの語感と素材の新しさに魅かれた。144「悪口は」の句。猫の恋も煩く感じることもある。作者はそれを悪口といっている。これも一種の嫉妬かもしれない。そんな面白さ。156「甘樫より」の句。甘樫丘は蘇我一族の居館があったところ。古代史を彩る蘇我入鹿の首塚はその下にある。ここではぼんやりした花曇が歴史の真実を隠しているかのようだ。193「風呂吹や」の句。人生いろいろ。まあ変わらないことがいいときも。風呂吹大根の熱々が心を揺さぶる。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上一位160春風や日々新しく老いてゆく ⑩白石みずき二位99 ありあまる自由と孤独沈丁花 ⑥岡崎久子二位101うららかや密談果てぬランドセル ⑥鈴木ひろ子四位27 落椿つぶやくようにまた落ちる ⑤古川塔子四位83 早春の草の匂いやまだ傘寿 ⑤近田吉幸四位106蒲公英や座の文学に迷い込む ⑤近田吉幸四位193風呂吹や何も変わらぬ誕生日 ⑤水島かよ子八位2 人間に熱のあるなし枝垂れ梅 ④松田ひろむ八位10 料理にも感性浅蜊のひとりごと ④白石みずき八位43 断捨離の手元に残すうさぎ雛 ④高矢実來八位62 産む力生まれる力牡丹の芽 ④宮 沢子八位87 軒氷柱バキバキ折って反抗期 ④石口 榮八位147節分や防犯カメラ付けました ④古川和美八位155探梅や父にもらった骨密度 ④増田萌子八位180三寒四温角から溶ける角砂糖 ④白石みずき十六位4街角に兵士の遺影春の日矢 ③安藤草太十六位31おろおろと三寒四温の舌下錠 ③宮 沢子十六位39果報待つためのうたた寝春の雪 ③鈴木砂紅十六位51白魚の黒き瞳に箸そらす ③望月のぞみ十六位61つぎはぎの想い出ばかり黄水仙 ③安藤草太十六位124目刺焼くおひとりさまになる前に③百目鬼英明十六位140亀鳴くや住みたき県のアンケート③高橋透水十六位142鈴の音の茶房の扉沈丁花 ③岡崎久子十六位158あんぱんの餡の片寄り春の鬱 ③吉村きら(第35回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1春蘭のサラダの話推しひとつ 2 宮 沢子2人間に熱のあるなし枝垂れ梅 4 松田ひろむ3朧朧天女の呼吸朧かな 0 磯部薫子4街角に兵士の遺影春の日矢 3 安藤草太5鳥曇馬耳東風と聞きながし 0 横山妙子6根菜の煮物天皇誕生日 2 小平 湖7亡き犬が強く生きろと諭す春 1 望月のぞみ8嘆いても詮なきことよ風信子 0安原南海子9団結の飯炊けてくる多喜二の忌 2翠 雲母10料理にも感性浅蜊のひとりごと 4白石みずき11里の梅歴史紐解く七国峠 1渡辺すみれ12多喜二忌や期限の迫るパスポート 1川崎果連13大奥の女綱吉春愁 0近田吉幸14煮凝りで済ます朝飯午前四時 1百目鬼英明15春暁へオリーブの枝迎え入る 0 後藤よしみ16薬疹の骨までかゆし寒の月 2 高良和子17平家音読かたわらに寒の水 1 鈴木砂紅18若きとも老骨とも芽の臥竜梅 0 鈴木ひろ子19フェリーの汽笛音色(ねいろ)変はりぬ春の音0荒井 類20ありがとうと言って別れて河豚の膳0 小髙沙羅22これからもがまんがまんの寒牡丹 0 小髙沙羅23鼻歌を聞かれてしまう桜東風 1 小平 湖24肉筆の便りは君へ落椿 1 石口りんご25熱燗や泣くでもなくて酔ひもせず 0 中村ふみ26亀鳴くや平城京の人となる 0 翠 雲母27落椿つぶやくようにまた落ちる 5 古川塔子28沈黙す一万円の恵方巻 2 鈴木砂紅29ぷつぷつぷつ煮豆のつぶやき春の昼1 岩渕純子30会津郷頬つく風に雪ねぶり 0 神田千風31おろおろと三寒四温の舌下錠 3 宮 沢子32鬼は外瞬く間の二月尽 0 津田文江33山友の十三回忌や雪しんしん 1 高良和子34ビー玉の目を光らせて猫の恋 2 高橋透水35一面の黄色菜の花ありがとう 0 神田千風36春の宵子宮は地球という女 0 高橋透水37春や浮かれし神がぞろぞろ建国日 0 鈴木ひろ子38遠くより水音ゆたか竹の秋 0 石口りんご39果報待つためのうたた寝春の雪 3 鈴木砂紅40我が晩年を鏤める兜太の忌 0 翠 雲母41春寒や夫と意見は平行線 1 津田文江42春はあけぼの妙齢を遠く見て 0 古川塔子43断捨離の手元に残すうさぎ雛 4 高矢実來44子の泣くは日をつかむため春入日 0 後藤よしみ45真鍮のピエタの肩に牡丹雪 1 磯部薫子46いつもらふ弥生生涯通信簿 1 神田千風47はじめの一歩もっと遠くへ鼓草 2 安原南海子48天神巡り牛をなでなで八千歩 0 岩渕純子49絶望と云ふ名のパスタ雪しまく 0 百目鬼英明50春光へ硝子の鐘の鳴りひびく 0 後藤よしみ51白魚の黒き瞳に箸そらす 3 望月のぞみ52冬の凝り貝殻骨の奥深し 0 中村ふみ53春の闇打ち込まれたる星一つ 2 横山妙子54寒梅に集う九人の蕎麦屋かな 0 渡辺すみれ55銀(しろがね)の風に寄り添う猫柳 0 望月のぞみ56パスポート持たぬがままに鳥帰る 1 安原南海子57豆撒かず病気という鬼なだめたく 0 郡楽清子58暖房やカフェのパソコンうとうとと0 水島かよ子59スカートの深呼吸する春の宵 2 高橋透水60コロナ禍の夫にしおりし座論梅 0 増田萌子61つぎはぎの想い出ばかり黄水仙 3 安藤草太62産む力生まれる力牡丹の芽 4 宮 沢子63明け方の夢や春泥のウクライナ 0 増田萌子64ウクライナより兵はもどらずロシア春0 荒井 類65耕や戦車の轍なお硬し 1 川崎果連66蛇穴を出でて浮世の軛かな 0 行成佳代子67春塵や子達に追われる大黒天 0 高矢実來68三色の親の顔色ひなあられ 0 吉村きら69朝ドラの頑張る女に春到来 0 岩渕純子70バレンタインのチョコの柵解き放つ 0行成佳代子71夕東風や焼き方伝授もんじゃ焼 0 安原南海子72春の夢母の小言も絵空事 0 望月のぞみ73雪なだれ豊作の音響かせて 0 石黒宏志74魚氷上がりて想像はほしいまま 0 横山妙子75春待つや朝寝朝湯に朝コーヒー 0 岩渕純子76女房風紅梅かさねの枝垂れかな 1 郡楽清子77ゴンドラの窓拭きやっぱり鳥の恋 0 古川塔子78駅前の花屋はいつか移転して 0 古川和美79白湯ひとくち寒風を突く三千歩 0 鈴木砂紅80三寒四温そして明日はやってくる 1 中村ふみ81宛先を書かぬ賀状の数かぞえ 0 石黒宏志82シャンシャンと一緒に帰る鳥雲に 0 岡崎久子83早春の草の匂いやまだ傘寿 5 近田吉幸85春光や介護ベッドを借用中 1 高矢実來86初東風や庁舎に日替わりキッチンカー0 安原南海子87軒氷柱バキバキ折って反抗期 4 石口 榮88枝先の白梅空にとけいるかな 0 郡楽清子89花の夜の恋のゲームを人妻と 0 高橋透水90浅蜊汁私は貝になりたいの 1 水島かよ子91霾やざらざら暮らす自衛隊 1 川崎果連92エンジェルを見つめる春の鴎かな 0 近田吉幸93紅梅の深空うつつをもう少し 1 松田ひろむ94餅太り涙もろいがわがままで 1 信岡さすけ95俎板の焦げ跡いつの多喜二の忌 2 小平 湖96ウクライナ一年雪泥の轍なお 0 松田ひろむ97食べ物は二十時までに猫の恋 1 石口りんご98軽暖や路傍の神も手をつなぎ 1 松田ひろむ99ありあまる自由と孤独沈丁花 6 岡崎久子100ぶらんこよ赤い鼻緒のじょじょとんだ0 吉村きら101うららかや密談果てぬランドセル 6 鈴木ひろ子102雪女とて命がけの毎日を 0 中村ふみ103振り返る日々の後悔春浅し 0 望月のぞみ104ホステスの経営戦略座論梅 1 磯部薫子105草青む道了堂の跡地のみ 1 渡辺すみれ106蒲公英や座の文学に迷い込む 5 近田吉幸107春一番やけぼっくいの火の粉散る 1 吉村きら108マスク無し三年振りの深呼吸 0 水島かよ子109O脚の媼腰曲げ蕗の薹 0 安藤草太110湯たんぽと電気アンカの息こもる 0 高良和子111臥竜梅小中高の塾講師 0 石口りんご113キリストに足裏の跡の踏絵かな 0 磯部薫子114多様性のひとり歩きや春動く 0 宮 沢子116早春の堅香子愛でる二上山 0 翠 雲母117いつの間に鶯餅が飛ぶように 0 石口りんご118転んでもただでは起きぬ葱坊主 2 石口 榮119冬晴れの真白き富士の安堵感 1 水島かよ子120父よりもこの世に長くつくづくし 0 古川塔子121目白来てあらいつの間に遊び爪 1 増田萌子122バラの花元気で長生きそのつもり 1 小髙沙羅123恋猫に鈴付けるのは誰ですか 2 石口 榮124目刺焼くおひとりさまになる前に 3 百目鬼英明125落葉の処理に特大のゴミ袋 0 古川和美126春めいて一歩一景歩幅かな 0 神田千風127詳しくはホームページのお水取 0 宮 沢子128ポケットの歳時記は春医者通い 0 高矢実來129親父より長生き上手蜆汁 0 小平 湖130皸をゴム手袋に隠匿す 0 鈴木砂紅132如月菜(タァツァイ)の濃き緑色茹でにける1荒井 類133春灯チーズケーキを母子家庭 0 木野俊子134寒牡丹声をかければ壊れそう 2 石口 榮135水温む小吉みくじ又読んで 1 古川塔子136袋入りの七種すでに刻まれて 1 古川和美137製造つづく湯たんぽの赤春よこい 1 高良和子138ねむい春ほほの飯つぶ彼らしく 2 信岡さすけ139春星へかすかにふるるとき故郷 0 後藤よしみ140亀鳴くや住みたき県のアンケート 3 高橋透水141五重の塔は天(そら)に伸びゆく木の芽時 0荒井類142鈴の音の茶房の扉沈丁花 3 岡崎久子143父避けて洗顔は泡牡丹の芽 0 信岡さすけ144悪口は言いたく無いが猫の恋 1 石黒宏志145放流水バイオマーカーの春の海 1 後藤よしみ146税申告やれば出来る子二月尽 0 高矢実來147節分や防犯カメラ付けました 4 古川和美148それぞれの夢抱き背伸びつくしんぼ0 岡崎久子149晩学の人みな元気梅真白 2 白石みずき150恋の猫縁切り寺に紛れ込む 2 石口 榮151路地裏の闇うごかすや恋の猫 2 川崎果連152断崖のかなたに鉄橋雪解川 0 近田吉幸153余寒なお日にいくたびの電子辞書 2 白石みずき154春の日の鐘の音響く地蔵尊 0 渡辺すみれ155探梅や父にもらった骨密度 4 増田萌子156甘樫より望む首塚花曇 1 行成佳代子157雨あびてかわいさまさるふきのとう 0 郡楽清子158あんぱんの餡の片寄り春の鬱 3 吉村きら159植物園の温室の庭斑雪 0 岩渕純子160春風や日々新しく老いてゆく 10 白石みずき161春一番国道渡るベビーカー 0 安藤草太162冬銀河ひとりひとりの胸の内 0 中村ふみ163春眠の終結覚ますレオパルト 0 神田千風164風光る承認欲求という病気 0 横山妙子165損すればそのまま損に涅槃雪 0 百目鬼英明166春色の海透く辺野古いま穏やか 0 翠 雲母167旧友と舞台談義の日永かな 0 行成佳代子168飢えてなおミサイル落とす春の海 1 川崎果連169手庇や帽子取られる春疾風 0 石黒宏志170ひなあられ耳たぶほどの反抗心 2 吉村きら171モザイクの刺繡のように鳥帰る 0 木野俊子172シンプルにおかかふんわりほうれん草0 津田文江173風船はにが笑いもの終末時計 0 信岡さすけ174憲法前文って希望のフリージア 2 木野俊子175疵舐めて再び消える猫の恋 0 磯部薫子176梅園に肩聳やかす少年期 0 松田ひろむ177絹の道黄梅ひかる吟行か 0 渡辺すみれ178いきつけの飯屋の卓の菜花漬 0 荒井 類179生と死の第三章を兜太の忌 0 木野俊子180三寒四温角から溶ける角砂糖 4 白石みずき181ゆったりと花茎揚げたり春蘭かな 0 郡楽清子182わが家と共に加齢の鬼やらい 0 行成佳代子183梅咲いて猫に戒名いただいて 1 小髙沙羅184クリオネの天使の口や悪魔へと 0 石黒宏志185塀の中は木の葉の山に北颪 0 古川和美186けがの功名足元に福寿草 0 小髙沙羅187押し込みし湯たんぽ探る夜明け方 0 高良和子188お腰大事にお前こそはと臥竜梅 0 鈴木ひろ子189貝寄風やドタバタ喜劇ナンセンス 0 横山妙子190そう言えばこう切り返すつくしんぼ2 小平 湖191扁平のこけしの頭春障子 0 安藤草太192チューリップ先ず赤色に画布に咲く0 岡崎久子193風呂吹や何も変わらぬ誕生日 5 水島かよ子194句の真と無頼の真三鬼の忌 0 信岡さすけ195レンチンと云ふわけにはゆかぬ目刺0 百目鬼英明196雪富士や裾嶺の端に畏まる 0 鈴木ひろ子197自転車に空気をつめる多喜二の忌 2 木野俊子198へそ大根丸森線の外知らず 1 増田萌子199福寿草想い出つまるトキワ荘 0 津田文江200カラフルなショーウインドウ春の声0 津田文江(訂正)105正=道了堂 誤=堂了堂(第36回鴎座通信句会)投句締切=3月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2023年03月02日
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第34回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第34回鴎座通信句会は40名200句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈画像はジョンレノンの壁(フリー)〉〈第34回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。松田ひろむ(代表)選 3五日はやジャングルジムに子が咲くよ36どんど焼もう拾えないラブレター準特選37美しい国に生れてごまめ噛む/鈴木砂紅特選55イマジンか兵の口笛雪しまき/川崎果連118兎まろぶ鳥獣戯画や一茶の忌121シベリアの労役起こすもがり笛133出来たこともう出来ないのねもがり笛167百合根食ぶ往路復路に山の神173大寒む小寒む軍歌きりなく口ついて198水餅を掬う夜空を流星群準特選200綿虫の観自在なり遊ばんか/後藤よしみ(選評)特選にいただいた55「イマジンか」の句。イマジンimagineとは「想像する」、「心に思い浮かべる」という意味。ジョン・レノンの楽曲。世界平和への願いが込められている。句は兵の口笛と雪しまき(地吹雪)と取り合せて、ウクライナへの思いを募らせている。準特選の37「美しい国」の句。「美しい国」は故安倍首相のキャッチであった。そんな国に生まれて生きて、ごまめを噛む「幸」?。もちろん「ごまめの歯ぎしり」という言葉も重なっている。同じく準特選にいただいた200「綿虫の」の句。観自在とは仏教語で「迷いの執着から解放された境界にあって、事物のすがたが自由自在に正しく見きわめられること。」綿虫の姿がいかにも自在に感じられる。「観自在」の言葉の発見がいい。ほっとする句。3「五日はや」の句。なんといっても「子が咲くよ」が楽しい。いくつになっても子は希望。30「どんど焼」の句。あっと思ったときはもう遅い。それも青春。もてもてだったときもあったのだが。鶯鳴かせたこともあった。118「兎まろぶ」の句。鳥獣戯画は楽しい。ウサギも躍動している。ただ一茶との関係は微妙。121「シベリアの」の句。辺見じゅんの「ラーゲリより愛を込めて」が映画化され再注目されているが、句は「もがり笛」がいかにも切ない。133「出来たこと」の句。これも「もがり笛」。加齢の悲しみは小生も同じである。せめて頭だけは俳句でいつまでも活性化しておきたいもの。167「百合根食ぶ」の句。箱根駅伝は五区六区の箱根の山が明暗を分ける。句の百合根は栄養価が高い。「山の神」は我が家にもいる。173「大寒む小寒む」の句。もちろん反語的な表現である。我々より上の世代は酔えば軍歌ということが多い。それも悲しいこと。「きりなく」も切ない。〈羽蟻の夜軍歌猥歌とわかちなし〉(細川加賀)という句もあった。198「水餅を」の句。水餅と流星群が一体になった面白さ。わが家では知人からお餅をいただいたが、あっというまに黴に。あわてて水餅にして久しぶりの水餅体験であった。 石口 榮(編集長)選3五日はやジャングルジムに子が咲くよ104元旦や賀状終いのちらほらと特選105コロナ五類へみそ汁に寒卵/小平湖141去年今年笑っていないと生きられぬ155大寒に届く荷物はクール便163宇宙よりデートの誘い晴着の子173大寒む小寒む軍歌きりなく口ついて(選評)特選にいただいた105「コロナ五類」の句。新型コロナウイルスの感染症法上の分類が二類から季節性インフルエンザ同様に「五類」に引き下げられる。マスク着用も屋内外を問わず自由になる。そんな開放感を「みそ汁に寒卵」と日常の一齣で表白。草間時彦の〈味噌汁におとすいやしさ寒卵〉を踏まえての取り合わせの妙である。5「五日はや」の句。テレビゲームなどで家に籠もりがちだった子供達。五日ともなると飽きて公園で遊ぶようになる。少子化の今、元気な子供を見かけるとほっとする。104「元旦や」の句。年賀状も高齢になると、だんだん減って来る。「年賀状終い」は寂しいが終活の一つであろうか。141「去年今年」の句。去年は余り良い年ではなかったようだ。そのことを何時までも嘆いていられない。ときに開き直りも肝心。「笑う門には福来る」である。155「大寒に」の句。大寒だから熱い物と思いがちであるが逆転の発想でクール便と言って一句に。163「宇宙より」の句。パソコンやスマートフォンでのラブコール。宇宙よりがお洒落である。季語「晴着の子」の措辞により一句に華やかさが出た。173「大寒む小寒む」の句。童謡の「おさむこさむ」が浮かんだ。替え歌にすると面白い。お寒む小寒む山から小僧が泣いてきた、なんといって泣いてきた防衛費が膨らんだ」と。防衛費とは言っていないが軍歌から連想してその方が面白い。 小髙沙羅(同人会長)選 4私の中の鬼は外駄句は外61残る歯は二十七本初鏡79鴎座の一月号を胸に抱く105コロナ五類へみそ汁に寒卵131母さんの寒紅ときに認知症特選141去年今年笑つてないと生きられぬ/中村ふみ182口止めはされぬが秘密雪中花(選評)特選にいただいた141「去年今年」の句。新年と過ぎ去った年に感慨を籠める季語が効いている。私ごとでも、いくつかの悲しい出来事があった。しかし泣くよりは笑うようにと思いつつ生きてきた。今年は心から笑える年であるように願っている。この句に強く魅かれたわけである。4「私の中の」の句。「駄句は外」が面白い。61「残る歯は」の句。人間の歯は二十八本から三十二本。八十歳で三十本という運動もある。二十七本なら上々。初鏡といって俳句。79「鴎座の」の句。これはうれしい句。鴎座愛のある作者に感謝。105「コロナ五類へ」の句。二類から五類がニュースになっている。さっそく一句にした手柄。味噌汁に寒卵の日常が維持できるかが問題。131「母さんの」の句。寒紅と認知症の取り合わせは効いている。やや怖い句でもある。182「口止めは」の句。口止めされるほど話は広がるから口止めはしないほうがいいかも。雪中花は水仙のこと。後藤よしみ(副編集長)選3 五日はやジャングルジムに子が咲くよ27手みやげは四分の一の白菜32マイナンバーカード大根の穴浅からず特選45極寒の地に立つ炎あたれぬ火/高良和子61残る歯は二十七本初鏡165お元日ひとり蹴る子の日和かな185生臭き核細き寒月出る(選評)特選の45「極寒の」句。ウクライナの戦場とも受け取れる。凍てつく大に火が上がる。戦の火。建物、町、自然を、そして命を焼き尽くす炎。火と象徴的に詠ったのが素晴らしい。3「五日はや」の句。正月も過ぎ、学校まで間のある子には外遊びが楽しい。子が咲くという措辞がよい。27「手みやげは」の句。スーパーでカットの白菜が並ぶ。社会そして作者との関係を上手く詠っている。32「マイナンバー」の句。世相を客観的に詠んでいる。新しい仕組みには思わぬ大きな穴がまっている。61「残る歯は」の句。歯は三十二本。次第に減っていくが、自分の歯は長寿の証。大事にしたい。165「お元日」の句。元旦のコロナ下の実景。遊び相手もいない中、ボール蹴り。この子に幸あれ。185「生臭き」の句。これも現代の危機を切り取っている。世界の終末時計は後わずか90秒である。小平 湖(Ⅰ欄同人)選14水仙に挨拶されて通勤す33冬至風呂に顎まで健康物語64冬菫名もなき家事のきりもなく107大寒の朝の目薬また忘れ135挨拶の言葉の変わる年始特選141去年今年笑つてないと生きられぬ/中村ふみ158雪おんな静かに家庭裁判所(選評)特選に頂いた141「去年今年」の句。生きていれば大なり小なり色々問題は出てくるもので真面目な人ほど生きづらいはず、結局最後は「まっいいか」で終わるのだが。そして今年は笑顔で暮らせたらいいなと思いながらスタートしたばかり、「笑ってないと生きられない」は誇張であるが、なぜか共鳴する。14「水仙に」の句。水仙の咲くころの冷たい空気感と通勤の活動的な姿が浮かんでくる。33「冬至風呂」の句。この冬は東京でも低温注意報が出るなど冷え込んでいる。顎までの具体的な表現と健康物語で一句となった。64「冬菫」の句。家事は手抜きも含めて要領よくと思ってはいるが確かにきりのないこと。それを「名もなき」といってことも工夫の一つ。健気な冬菫の季語が効いている。107「大寒の」の句。元気でいても加齢と共に体のあちこちに不都合が出てくるらしい。目、歯、耳、足腰と言ったら切りがないくらいだ。寒くても忘れがちな目薬こそ忘れずに。135「挨拶の」の句。感謝の気持ちを込めた言葉は新年のけじめ。挨拶として新鮮でいいものだ。158「雪おんな」の句。雪女と家庭裁判所の取合せがミステリアスでドラマではないが最後まで見てしまいそう。白石みずき(Ⅰ欄同人)選3五日はやジャングルジムに子が咲くよ22風邪ですね卵酒しかない手だて46老人に違いないけど梅日和特選64冬菫名もなき家事のきりもなし/川目智子112動くたび知恵が浮かんで大掃除149純烈が宝船に乗り四拍子181西暦を昭和になおす余寒かな(選評)特選にいただいた64「冬菫」の句。昔から家事は主婦の当たり前の仕事と思われてきた。が現代は少しずつその考えも見直されつつある。しかし実際には女性がやっている。生活している限り家事は永遠に無くならない。本当にきりがないのだ。手抜きをしてもいつかはやらなきゃならない。そんな様子を冬菫がそっと見ていてくれているのだ。3「五日はや」の句。ジャングルジムに子が咲くよ、がいい。子供達もお正月はあまり外へ出られなかったがもう五日だからと集まって来たのだ。その賑やかさを花が咲くと表現して素敵な一句となった。22「風邪ですね」の句。コロナ、インフルエンザ、の流行の中風邪気味なので医者へいつたら一言風邪ですね、と言われ安心してこれは卵酒でも飲んで治すほかは無いと作者は思ったのだ。46「老人に」の句。たしかに老人に違いないが、という気持になった経験はある。相手は何気なく言っているのだろうが言われた方は傷つくのである。梅日和がこの句の救いである。112「動くたび」の句。無心になって大掃除をやっていると体を動かしているせいか脳もだんだん活性化していろんなことが浮かんでくる。余計仕事が捗るのだ。149「純烈」の句。純烈のファンなので文句なくいただいた。明るくて良き中年の人達が楽しそうに唄って踊って宝船に乗った気分にさせられる。四拍子の一拍の強さに心意気を感じる。181「西暦を」の句。病院の受付などで聞いているとお年寄りはだいたい昭和何年と答えている。私は逆に西暦の方がいい。季語の余寒にいままで生きて来た長さと重さを感じた。 鈴木 砂紅(招待)選 30寒中の乳房を温め搾乳す36どんど焼もう拾えないラブレター特選96おしくら饅頭パソコンのデータ消え/石口榮111これからの二軍が長し明の春115竹馬を降りて左翼に走りたる131母さんの寒紅ときに認知症200綿虫の観自在なり遊ばんか (選評)特選に頂いた「おしくら饅頭」の句は、季語とパソコンの取合せの妙に尽きる。作者が子供達と遊んでいる間にデータが消えた、ということでは無論ない。パソコンがフリーズした途端、膨大なデータがおしくら饅頭をしている様相が見えたのだ。現代俳句における季語の象徴性と諧謔を捉えた一句。30「寒中」の句。乳房にドキリとさせ、搾乳で実体感を詠む。牛にしても人の母にしても、乳房を温める行為の奥深さが心に残る。36「どんど焼」の句。思い切って炎に投じたラブレターは恋との決別。それがどんど焼きならば神への誓いともいえる。上品な物語性が漂う。111「これから」の句。注目のルーキーの顔には嬉しさと不安が見える。二軍を経て飛躍の時を待つのはファンの親心だろう。明の春が明るい未来を予見。115「竹馬」の句。竹馬も左翼も昭和の遺物だが、中核派の男が逮捕されたという最新ニュースに掲句がぴたりと嵌った。まさに令和の時事句。131「母さん」の句。紅を差す身ぎれいな母と、言動の怪しい母。家族は二つの母の顔に慣れてゆくしかない。介護の現実を美しく実直に詠んだ句。200「綿虫」の句。まるで禅問答のような掲句は、詰まるところ綿虫と遊ぼうよと言っているだけ。深遠な言葉の意味はいつも単純なものだ。(互選高点句)○数字は点数 3点以上一位3 五日はやジャングルジムに子が咲くよ ⑥鈴木ひろ子一位32 マイナンバーカード大根の穴浅からず ⑥小平 湖一位55 イマジンか兵の口笛雪しまき ⑥ 川崎果連四位37 美しい国に生れてごまめ噛む ④ 鈴木砂紅四位125全身の捻子を弛めて日向ぼこ ④ 白石みずき四位131母さんの寒紅ときに認知症 ④ 木野俊子四位150介護の手二本じゃ足りぬ花八手④ 百目鬼英明四位158雪おんな静かに家庭裁判所 ④ 木野俊子九位7 屠蘇の酔いいつしか天城峠越え③ 松田ひろむ九位10 丸薬の転がる速さ虎落笛 ③ 磯部薫子九位15 もぐり込む童話の世界雪の夜 ③ 岡崎久子九位36 どんど焼もう拾えないラブレター③ 白石みずき九位61 残る歯は二十七本初鏡 ③ 鈴木砂紅九位73 冬日満つ懺悔の部屋の硬き椅子③ 岡崎久子九位96 おしくら饅頭パソコンのデータ消え③ 石口 榮九位105コロナ五類へみそ汁に寒卵 ③ 小平 湖九位126心配の種を植えればチューリップ③ 吉村きら九位141去年今年笑つてないと生きられぬ③ 中村ふみ九位181西暦を昭和になおす余寒かな ③ 川崎果連九位192明日にはと延しのばしの初詣 ③ 石黒宏志九位194山茶花は散るために咲く曲がり角③ 岡崎久子九位200綿虫の観自在なり遊ばんか ③ 後藤よしみ(第34回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1切干や陽ざしの香りも煮含める 1 岩渕純子2成人の日に旅立つ娘背のリュック 0 行成佳代子3五日はやジャングルジムに子が咲くよ6 鈴木ひろ子4私の中の鬼は外駄句は外 1 吉村きら5冬天よこれぞまさしく日本晴 0 津田文江6五日はや予約通院黄水仙 0 郡楽清子7屠蘇の酔いいつしか天城峠越え 3 松田ひろむ8片耳か空耳か神戸震災 0 木野俊子9初氷猫も夫も朝寝坊 0 小髙沙羅10丸薬の転がる速さ虎落笛 3 磯部薫子11煮丸餅二つ平らげ古里力 0 郡楽清子12富士塚の山も社も眠りけり 0 岩渕純子13目玉焼きへ醤油三滴スキー宿 0 安藤草太14水仙に挨拶されて通勤す 1 渡辺すみれ15もぐり込む童話の世界雪の夜 3 岡崎久子16よもぎ摘む逆光にいる赤い糸 2 信岡さすけ17静脈の浮き出し手にて枯野受く 1 後藤よしみ18七種のパック山積み松竹梅 0 渡辺すみれ19埋火や会ったことなき祖父に過去 1 高矢実來20一病にもてあそばれて散る椿 2 宮 沢子21風花や井伏夫人の腰低き 0 磯部薫子22風邪ですね卵酒しかない手だて 1 岩渕純子23残る虫弱気の私煽つてる 0 中村ふみ24「今年の漢字」今年も「戦」春西風2 松田ひろむ25歌留多よむタイムマシンに乗るように0 水島かよ子26踏まれても踏まれてもかつ冬の草 0 宮 沢子27手みやげは四分の一の白菜 1 白石みずき28初明りビルの窓辺を降りゆく 0 行成佳代子29ぴょんぴょんぴょん夜叉か菩薩か白うさぎ0吉村きら30寒中乳房を温め搾乳す 2 高橋透水31侘助や音なし落ちて瞬きぞ 0 神田千風32マイナンバーカード大根の穴浅からず6 小平 湖33冬至風呂に顎まで健康物語 1 古川塔子34泰治描く家の傾げる諏訪湖冬 0 高良和子35実千両一足す一は二に非ず 1 安原南海子36どんど焼もう拾えないラブレター 3 白石みずき37美しい国に生れてごまめ噛む 4 鈴木砂紅38トーストにバターかりかり餅あわい0 飯島 智39その激闘うねる歓声初場所や 0 郡楽清子40凩の右足掬う信号黄 0 田辺 花41初夢の母の若さよ火消壷 1 松田ひろむ42空潤む戦場からの初メール 1 古川塔子43マスク無き街路に色のとりどり 0 田辺 花44文様は巫女の手になり冬の蝶 0 後藤よしみ45極寒の地に立つ炎あたれぬ火 1 高良和子46老人に違いないけど梅日和 1 小平 湖47冬されば何をされても遺憾砲 0 百目鬼英明48葱の束持って行けよと熊男 1 鈴木砂紅49爪弾きの小銭飛び交い初戎 0 行成佳代子50椅子と卓話す形に暖炉の火 0 岡崎久子51出稼ぎの父に親友雪を掻く 0 川崎果連52語り継ぐ上皇后の黄水仙 2 石口 榮53寒紅や惜しみ惜しみて使う紅 0 翠 雲母54楪や校庭去りし幾世代 1 行成佳代子55イマジンか兵の口笛雪しまき 6 川崎果連56水仙枯れいとまのごとしひと香り 1 郡楽清子57賑やかな元旦のあとまたひとり 0 古川和美58不良ぶる酢蛸にスルメ寒の酒 2 信岡さすけ59初春や変わぬ影のそこにいる 0 石黒宏志60反撃に先制まぎれ裕仁忌 1 松田ひろむ61残る歯は二十七本初鏡 3 鈴木砂紅62風花や塗り絵の夫の息詰めて 0 高矢実來63二人寝のベッド抜け出し初鏡 0 安藤草太64冬菫名もなき家事のきりもなく 2 川目智子65夜具一枚重ね自足の雪催 0 行成佳代子66青き踏む人を愛して愛されて 1 小髙沙羅67むかしむかしの繰り言ぽんと実千両0 吉村きら68すき焼の木曽路にやっと誘い出す 0 小髙沙羅69侘助や男は持たぬ身八つ口 1 川目智子70寒椿バス待つ親子と朝8時 0 渡辺すみれ71天気よし兎は常にやさしくて 1 古川和美72国民の決意赤白冬薔薇 0 水島かよ子73冬日満つ懺悔の部屋の硬き椅子 3 岡崎久子74浅間嶺に白黒の筋日脚伸ぶ 0 安藤草太75老犬のかすかな寝息毛糸編む 2 望月のぞみ76いさぎよい裸の欅初日浴ぶ 0 鈴木ひろ子77コロナ禍の初夢ならば深追いも 1 古川塔子78初夢に富士鷹なすび出たことなし 0 津田文江79鷗座の一月号を胸に抱く 1 古川和美80深雪晴チャイムへ駆けるランドセル1 安藤草太81雪が降る地球の穢れ消すように 1 石口 榮82息白し鷗に揉まれもう少し 0 水島かよ子83国債は実印で買う空っ風 2 木野俊子84春時雨良い事だけを覚えてる 0 渡辺すみれ85骨密度こわし怖しと初翁 0 松田ひろむ86若き日の枯野に忘れしパスワード1 磯部薫子87白鳥のセレブの首が曲がります 1 田辺花88ケトル鳴く母罅(ひび)の手を見ておれば1石口 榮89山茶花の逢魔が時を詩仙堂 0 宮 沢子90三代を映す淑気の光堂 0 神田千風91目覚むれば三河萬歳軍靴の音 1 翠 雲母92黴の餅捨てて昭和の後ろ指 2 鈴木砂紅93高瀬舟かくのごときか夫の咳 0 高矢実來94さよならのあと振り向かず冬帽子 1 石口りんご95重力に負けてられない寒稽古 0 百目鬼英明96おしくら饅頭パソコンのデータ消え3 石口 榮97冬うらら素顔は乙女変面ショー 0 近田吉幸98狐火は見ずだれ彼の咀嚼音 1 古川塔子99初浅間一人暮らしの姉八十路 0 望月のぞみ100節分豆歳の数など食べきれぬ 0 神田千風101大小のつづらを背負う寒雀 0 田辺 花102徳丸が原蝋梅の香りほの 0 津田文江103水仙の唇遠くウクライナ 0 小平 湖104元旦や賀状終いのちらほらと 1 津田文江105コロナ五類へみそ汁に寒卵 3 小平 湖106プーチンは「古木寒鴉図」如くなり0 翠 雲母107大寒の朝の目薬また忘れ 1 望月のぞみ108富士山を見ながら育つ黄水仙 0 小髙沙羅109返り花未来あるなら来年も 0 中村ふみ110東京の道端どこも霜柱 0 川崎果連111これからの二軍が長し明の春 2 川目智子112動くたび知恵が浮かんで大掃除 1 古川和美113冬の朝フロントガラス輝いて 0 福島芳子114「嗚呼うまい」今夜も熱燗君と居て0 近田吉幸115竹馬を下りて左翼に走りたる 2 翠 雲母116雪女赤シール貼る予定表 0 望月のぞみ117かたきほど心あらわに冬木の芽 2 後藤よしみ118兎まろぶ鳥獣戯画や一茶の忌 1 近田吉幸119うどんは飲みもの春猫は液体 1 信岡さすけ120守一の白猫といて睦月 2 宮 沢子121シベリアの労役起こすもがり笛 1 神田千風122伸び代は充分なんて雪女郎 1 小平 湖123やり場無き枯蓮の景炎立つ 0 磯部薫子124冬鷗この断崖の津波跡 0 近田吉幸125全身の捻子を弛めて日向ぼこ 4 白石みずき126心配の種を植えればチューリップ 3 吉村きら127ガーベラを触ること覚え色照らし 0 福島芳子128雪催どこかからくる鼓笛隊 1 川崎果連129じゃがいもの毒芽ほじくり邪気払 0 飯島 智130生真面目な不良眉間へ冬の富士 1 鈴木ひろ子131母さんの寒紅ときに認知症 4 木野俊子132初夢は見たかどうだか朧なり 0 津田文江133出来たこともう出来ないのねもがり笛1水島かよ子134門松を飾り心も新しく 0 古川和美135挨拶の言葉の変わる年始 2 石黒宏志136独り言に遺影が答へ初茜 0 中村ふみ137思い出に髪を洗いて爪立てぬ 0 福島芳子138凧(いかのぼり)ドローンのように動きたい0神田千風139一椀へ眼鏡を外す若菜粥 1 宮 沢子140松過ぎて賀状来ぬと心配かけ 0 郡楽清子141去年今年笑つてないと生きられぬ 3 中村ふみ142小正月過ぎて島にも獅子舞来 1 高良和子143大吉の文字が輝く冬の虹 0 岡崎久子144誰の背も追わぬひと日や冬うらら 0 高良和子145異次元の少子化対策氷面鏡 0 古川塔子146トラックの代りのリヤカー初荷着く0 百目鬼英明147鉄幹の業平気取り冬銀河 0 近田吉幸148くびれなき美の追求寒卵 1 吉村きら149純烈が宝船に乗り四拍子 1 田辺 花150介護の手二本じゃ足りぬ花八手 4 百目鬼英明151初夢のゼレンスキーとプーチンと 0 白石みず152目標は三キロ減らす着ぶくれて 0 石口りんご153電柱に孤高の一声寒烏 0 岩渕純子154バイク乗初思わずハミング昭和歌 0 安原南海子155大寒に届く荷物はクール便 1 百目鬼英明156室温を下げて白菜鍋の中 0 望月のぞみ157湯を沸かし凍れタオルを笑わせる 1 石口りんご158雪おんな静かに家庭裁判所 4 木野俊子159丸四角年の初めの口喧嘩 0 石黒宏志160三寒四温理由のなき一日 0 磯部薫子161親ごころか迷信か寒灸二つ 0 信岡さすけ162良縁の絵馬を弾みて玉あられ 0 川目智子163宇宙よりデートの誘い晴着の子 1 高橋透水164千坪を守る冬芽の屋敷林 0 安原南海子165お元日ひとり蹴る子の日和かな 1 飯島 智166寒林や「熊の出没要注意」 0 石口 榮167百合根食ぶ往路復路に山の神 2 高矢実來168クリップで挟む本元原寒波来る 0 石口りんご169寒鯉に手を伸ばしそのまま離れない0 福島芳子170花馬酔木ゼンマイ仕掛けの老の坂 2 信岡さすけ171宝石の笑顔になりし合格子 0 高橋透水172レクチャーはフラのステップ新年会0 安原南海子173大寒む小寒む軍歌きりなく口ついて2 鈴木ひろ子174初雨と何故に言わぬや初時雨 0 石黒宏志175螺旋階段だんだん見えてきし枯野 1 鈴木ひろ子176福寿草幸せ届けどこまでも 0 渡辺すみれ177どこか血を流しつづけて枯野立つ 1 後藤よし178探梅やまだ色持たぬ里娘 1 高橋透水179寒晴れを衝く加農(カノン)砲松月院0 高矢実來180諏訪湖畔に氷片生れぬ宿の朝 0 高良和子181西暦を昭和になおす余寒かな 3 川崎果連182口止めはされぬが秘密雪中花 1 白石みずき183蝋梅の咲いて会いたい遠いひと 1 福島芳子184つまりすなはちさう言ふことか去年今年0中村ふみ185生臭き核細き寒月出る 1 木野俊子186男坂もう紅梅が咲き始め 1 小髙沙羅187○×(マルバツ)で応えきれない大寒波0安原南海子188戦争に縁のなき国凧揚げる 1 翠 雲母189ネジゆるみ日向ぼこのまま古希となり0水島かよ子190次の子へ補助輪しまい冬木立 1 安藤草太191ステップの少女うさぎの耳袋 0 石口りんご192明日にはと延しのばしの初詣 3 石黒宏志193ゆくりなく巡り逢うひと初車両 0 飯島 智194山茶花は散るために咲く曲がり角 3 岡崎久子195泣きたい子のひっくり返る冬座敷 0 岩渕純子196アメ横の喧噪を詰め節料理 1 鈴木砂紅197底冷に笛の尾の引きノーサイド 0 飯島 智198水餅を掬う夜空を流星群 1 川目智子199池の鯉大口明けて春を呼ぶ 0 高橋透水200綿虫の観自在なり遊ばんか 3 後藤よしみ(第35回鴎座通信句会)投句締切=2月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2023年02月02日
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第33回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第33回鴎座通信句会は39名195句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第33回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。 石口 榮(編集長)選 12仕舞湯に厄を流して掃納19切り分けて花弁を開く聖菓かな22初御空まずは血圧降下剤41「今を生く」ことを重ねし去年今年特選51冬至風呂窓の向こうに誰かいる/宮沢子66万歩計つけ探し物冬ぬくし151補助券の一枚足りぬ雪女(選評)特選にいただいた51「冬至風呂」の句。冬至の日に柚湯に入る習慣がある。諺に苗を植えてから実がなるまでを「桃栗三年柿八年」と言われるが、その続きがあって「桃栗三年柿八年、梅は酸い酸い十三年、梨はゆるゆる十五年、柚子の大馬鹿十八年」というもの。それはさて置き窓に写っているのは自分の姿では無く他人。誰かが覗き込んいるとは何とも恐ろしい。いわゆる戦慄俳句かもしれないが心惹かれるものがあった。12「仕舞湯に」の句。仕舞湯で穢れや厄を洗い流し大晦日の最後の風呂掃除。静寂の中で新年を迎える至福の時間帯である。19「切り分けて」の句。クリスマスケーキを何等分かに切ったその時の様子であろう。同時に子供の笑顔も咲いた。言い得て妙である。22「初御空」の句。生きるための血圧降下剤。「まずは」と強調したところが切ない。初御空と血圧降下剤の取り合わせが斬新である。41「今を生く」の句。今を生きると言うことは未来や過去に囚われずに生きること。過去の失敗を糧にして今を改善し、一日一日を大切に過ごすことである。その繰り返しが去年今年に表白されている。虚子の〈去年今年貫く棒の如きもの〉に通じるものがある。66「万歩計」の句。さぞ家の中での探し物ではない。何か欲しい物を求めて店を梯子したのであろう。「万歩計つけ」に諧謔性あり。「冬ぬくし」に救われた一句。151「補助券」の句。補助券とは福引補助券のこと。規定枚数で一回くじが引ける。足りぬ一枚は雪女が隠し持っている。季語が効いて、しかも面白い句である。 小髙沙羅(同人会長)選 31「扶養家族」節くれの指冷えること45あるがまま生きて柚湯に深々と104高熱の妻に雪見え救急車134去年今年ラジエーターに水がない162それぞれの肩書とれば竜の玉183「転んだ」とメール遠くに焼芋屋特選190一年間うさぎになって愛されて/古川和美(選評)特選にいただいた190「一年間」の句。今年はおそらく誰にとっても、良い年だと思える人は少なかったのではないだろうか。この句は来年の卯年への期待で、だれもが愛のあふれる年になって欲しい気持ちであろう。まさに共感の一句である。31「扶養家族」の句。石川啄木の「じっと手を見る」ではないが、節くれの指に注目したところに魅かれた。45「あるがまま」の句。「あるがまま生きて」は人生の感慨であるが「柚湯に深々」は自足の思いでもあろうか。104「高熱の」の句。いつ救急車を呼ぶ事態になるのかもしれないのが人生。高熱なら見えないものが見えてくるのかも知れない。この雪が切ない。134「去年今年」の句。ラジエーターは自動車のエンジンを冷却するもの。水冷の場合は水がないとピンチ。そんな危機感の去年今年なのだ。162「それぞれの」の句。たしかに「肩書とれて」これからが自由な人生。竜の玉で一句かも。183「「転んだ」と」の句。最近はなんでもメールの時代。それと焼芋屋との取り合せが上手い。 後藤よしみ(副編集長)選 10 ぼろ市にいくさと平和ぶら下がる12 仕舞湯に厄を流して掃納106 狐火に体当たりしたことはない111 冬枯の小指よ戦争が近い119 年の暮聞き耳立てしバスの窓135 ゆきひらの湯をたぎらせて十二月特選173 水仙のための青空かと思う/白石みずき(選評)特選の173「水仙の」句。十二月の青空は貴重である。寒波大雪の地域の方からすると羨望の気持ちも動くだろう。青空は、その花言葉の神秘そのものだ。青空を仰ぐ作者の姿が浮かぶ。10「ぼろ市に」の句。世田谷のぼろ市の町にも再び戦争が戻って来たのかという驚きがある。12「仕舞湯に」の句。一年の悪しきこともすべて流し、新年を迎えたいという気持ちが心地良く伝わる。106「狐火に」の句。ドイツでも狐火が見られ、これは小人の妖術という。一度ぶつかってみたい。111「冬枯の」の句。身体感覚の句。小指がセンサーのように戦争の気配を捉えている。135「ゆきひらの」の句。行平の由来は、業平の兄の名前から。年末の静けさの中の湯立ちの音が快い。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 5立冬や誕生祝として休暇10ぼろ市にいくさと平和ぶら下がる/高橋透水106狐火に体当たりしたことはない 139石蕗の花馬耳東風にはなれない143息白し吾は中古か先輩か148白菜を割れば中より火炎仏173水仙のための青空かと思う(選評)特選に頂いた10「ぼろ市に」の句。鴎座の吟行で世田谷のぼろ市に行ったことがある。新しい物から古い物まで色とりで何に使うのかマニアックな物もあり。それを探す人には掘出し物になるのだ。確かに中にはいくさの記憶もあり平和感もあり共鳴する。5「立冬や」の句。誕生祝の休暇とは大人。洒落ている。106「狐火に」の句。体当たりとは乱暴な、しかし滑稽な可笑しみがあり笑える。139「石蕗の花」の句。事と場合によっては聞き捨てならない時もある。まだ気持ちは若いし元気だ。石蕗の花の黄が優しい。143「息白し」の句。少し解かりづらいところがあるが、哀しいかな中古の先輩と自覚しているところがいい。148「白菜を」の句。白菜の種類にもよるが半分に切った中心の黄色い部分を、火炎仏ととらえたところが手柄。173「水仙」の句。水仙は冬の厳しさに耐えて咲く健気なイメージの花で青空よく似合う。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 39切干のあんばい自慢日を返し66万歩計つけ捜し物冬ぬくし特選98毛糸編む喜怒哀楽の交差して/吉村きら156綱引きあれば加わる十二月八日161十二月の雄たけびブラボーブラボー186冬青空土偶は赤き血を持たず190一年間うさぎになって愛されて(選評)特選にいただいた9「毛糸編む」の句。毛糸編むの句は沢山あるが喜怒哀楽の交差は新鮮だ。毛糸編むと交差が良く響く。嬉しかっこと悲しかったことなど全部含めて編みこんでいるのだ。女の一生を見ているような気がする。39「切干の」の句。切干の干し加減が上手なのであろう。切干を返すところを日を返すといったところがお手柄だ。66「万歩計」の句。思わず笑ってしまった。作者は真剣に捜し物をしようと万歩計までつけて始めたのだ。何歩で捜せたのか是非知りたい。156「綱引き」の句。加わると開戦がとてもよく響く。戦争にも勝負けはあるし綱引きももちろん勝負がある、面白い組み合わせを持ってきたな、と感心した句である。161「十二月」の句。日本中を沸かした忘れられないあの日、ブラボーブラボーがあちこちに飛び交っていた。その一言がなによりもの誉め言葉なのである。186「冬青空」の句。確かに土偶には血は通っていないが人の原型を感じる。人間以上に人間らしい何かを秘めているように日頃から思っている。190「一年間」の句。うさぎになって愛されて、とても素直で可愛いい。いくつになってもこういう気持を持っていたいと心から思わせてくれた句。 鈴木 砂紅(招待)選 15マスクよりそろそろ寒紅の準備特選72日記果つ敗者復活戦はない/川崎果連86竹串を刺して聖夜の煮え加減106狐火に体当たりしたことはない130疫病の隙間で元気年歩む141年移る嬰児たちの寝ならびて191柚風呂の柚の方向音痴かな(選評)特選に頂いた「日記果つ」の句。サッカーW杯か或いは身近なスポーツ大会の話と思わせつつ、「日記果つ」という季語が違う意味を突き付けて来る。人生に敗者復活戦はないという残酷な事実。だがそもそも人生に勝敗はあるのか、という自問も勿論日記には記される。年の果の身に沁みる一句。15「マスクより」の句。マスクにはもう飽きた、というのが国民の総意なら、そろそろ口紅を付けたい、というのは女の気持。柔らかな言葉に強い意志が籠る。86「竹串を」の句。シチュ―ではなく、聖夜の煮え加減と書いた所が確信犯的俳句。キリストの体を串刺しにする、衝撃的な光景が浮かび上がる。106「狐火に」の句。例えば3D眼鏡なら狐火に体当たりできる。ナイアガラの滝に飛び込むことも。何故か俳句とバーチャル空間の近似性を感じた。130「疫病の」の句。一読して大いなる元気を頂いた。時間の隙間、空間の隙間こそ現代人が無駄にしてはいけない物。明るい余生がここにあるはず。141「年移る」の句。産院の新生児室だろうか。嬰児たちの寝姿の上を年越しの時間が流れていく、永遠の一瞬を捉えた一句。191「柚風呂の」の句。人の出入りにつられて動きまわる柚はきっと方向音痴なんだろう。明るい俳諧味が愉しい。 松田ひろむ(代表)選 18気が付けば他人の歩幅十二月22初御空まずは血圧降下剤56年惜しむタンゴの披露三回転70細い目がもてはやされて福笑い準特選86竹串を刺して聖夜の煮え加減/川目智子92お座りの鈴振るおさな聖夜劇105突発的難聴凍土の爆音特選106狐火に体当たりしたことはない/川崎果連118愛犬のおしめの話冬うらら175マフラーは真知子巻きにて闊歩する準特選180着ぶくれて十二単で御座います/鈴木砂紅(選評)特選にいただいた106「狐火に」の句。おそらくは架空の存在である狐火。それを見たことがないといえば当たり前であるが、このように具体的に「体当たり」といって印象的な俳句となった。準特選の86「竹串を」の句。クリスマスの晩餐であるが、これも「竹串を刺して」と具象化した。「煮え加減」は聖夜自体への作者の距離感かもしれない。同じく準特選180「着ぶくれて」は、十二単とお道化た楽しさ。ただ「十二単で」は「十二単に」がいいように思える。18「気が付けば」の句。「気が付けは」だから他人ではなく夫婦か親子か。いつのまにかというのは怖いことかも。なお「他人」と生の言葉を使わないで、ここを形象化するとより良かった。22「初御空」の句。高血圧は高齢者の悩み。初御空との明暗が切ない。56「年惜しむ」の句。タンゴは楽しい。家族との年忘れだろうか。それとも願望か。ここは三回転が効いている。70「細い目が」の句。細い目がいいのかどうか、小生は流し目を思った。92「お座りの」の句。実景であろうか。形だけを追っている幼な子。お座なりはともかく がんばっている姿なのだろう。105「突発的」の句。今年はウクライナを抜きにしては語れない年だった。爆音はもうこりごり。小生もかつての空襲体験がある。118「愛犬の」の句。愛犬のおしめも切ないが愛妻のそれもなお切ない。175「マフラーは」の句。真知子巻は私には岸恵子。それは永遠のスター。闊歩はいい。ただ「にて‐する」は省略するところ。動詞を消すという意識があれば、ただちに〈闊歩闊歩マフラーは真知子巻〉の句形が生まれてくる。ご参考に。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 1位18 気が付けば他人の歩幅十二月 ⑦石口 榮2位106狐火に体当たりしたことはない ⑤川崎果連2位131鮟鱇の吊るされてなお笑いをり ⑤後藤よしみ4位79ポインセチア奥深くユダすまわせて ④後藤よしみ4位105突発的難聴凍土の爆音 ④木野俊子4位123冬木の芽ぼーと生きる方が楽 ④小髙沙羅4位151補助券の一枚足りぬ雪女 ④宮 沢子4位170西高東低冬至南瓜の煮崩れる ④小平 湖4位173水仙のための青空かと思う ④白石みずき4位191柚風呂の柚の方向音痴かな ④小平 湖11位1ひと言に後悔しきり冬至風呂 ③安原南海子11位10ぼろ市にいくさと平和ぶら下がる ③高橋透水11位22初御空まずは血圧降下剤 ③岡崎久子11位41「今を生く」ことを重ねし去年今年③荒井 類11位45あるがまま生きて柚湯に深々と ③中村ふみ11位47ボロ市や偽ブランドの恋をして ③高橋透水11位60針穴に通る野心や返り花 ③吉村きら11位90山茶花散る立話は延々と ③行成佳代子11位93鍵穴でためらっている隙間風 ③石口 榮11位104高熱の妻に雪見え救急車 ③松田ひろむ11位160生きてゐるだけで手柄ぞ冬の梅 ③荒井 類11位180着ぶくれて十二単で御座います ③鈴木砂紅11位186冬青空土偶は赤き血を持たず ③岡崎久子(第33全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1ひと言に後悔しきり冬至風呂3 安原南海子2賀状書く早め早めと口ずさみ0 渡辺すみれ3行く年やいささか思うところあり0 郡楽清子4年の瀬や防犯カメラの避けきれず0 安原南海子5立冬や誕生祝として休暇 1 古川和美6師走のレンジペペロンチーノをありがとう0鈴木ひろ子7大谷の人気沸騰羽子板市 0 高橋透水8夜行バスのチェーン捲き終え冬北斗 0安藤利亮9冬木立電飾解かれ深吐息 2 白石みずき10ぼろ市にいくさと平和ぶら下がる 3 高橋透水11クリスマス救いの御子は雪知らず 0松田ひろむ12仕舞湯に厄を流して掃納 2 川目智子13四十五の初妊娠や近松忌 0 高橋透水14掃除機に絡む髪の毛年惜しむ 0 安藤利亮15マスクよりそろそろ寒紅の準備 1 小髙沙羅1フィギュア男子ショートの宇野昌磨 0 斎藤 藍17大根を一刀両断夫厨 0 磯部薫子18気が付けば他人の歩幅十二月 7 石口 榮19切り分けて花弁を開く聖菓かな 1 川目智子20山茶花の恒星堕つる音ふゆる 0後藤よしみ21海を見て空を見上げる開戦日 0 古川塔子22初御空まずは血圧降下剤 3 岡崎久子23初暦通院予定先づ記す 1 百目鬼英明24ゆったりとそして明るく新年を 1 古川和美25式部の実風にまぎれて凍れゆき 0 岩渕純子26冬大湯大の字なりて独り占め 0 神田千風27PKといふ冬の日深きおとし穴 2 飯島 智28山茶花が張り付いている通学路 0 石黒宏志29クリスマス真っ赤な嘘もきらきらと2 吉村きら30大根抱きあなたと今日も車椅子 1 木野俊子31「扶養家族」節くれの指冷えること2鈴木ひろ子32政治家の痒いところを煤払 0百目鬼英明33新聞紙でくるむ大根繁華街 0 小平 湖34サポーターの声地鳴りして冬の霧 1行成佳代子35黴の餅昭和は少し固かった 0 鈴木砂紅36老いたれば日帰りも旅初氷 1 中村ふみ37着ぶくれの漢四五人焼き鳥屋 0百目鬼英明38頂きに凍星灯しスカイツリー 0 川目智子39切干のあんばい自慢日を返し 1石口りんご40見えぬもの背負いワクチン打つ一気に冬0 福島芳子41「今を生く」ことを重ねし去年今年3 荒井 類42冬の卓稲畑汀子を語るひと 0 福島芳子43年年の「第九」の季ぞなに為せし 0鈴木ひろ子44悪政へ悪態屋台のおでん熱くなる 1 翠 雲母45あるがまま生きて柚湯に深々と 3 中村ふみ46煤払い今年残せしこと多し 0 神田千風47ボロ市や偽ブランドの恋をして 3 高橋透水48年の暮まずは健康第一に 0 古川和美49姦しい話題は競うカイロ数 0 石黒宏志50溜池の破れボールや初氷 0 安藤利亮51冬至風呂窓の向こうに誰かいる 1 宮 沢子52様々な事あり傘寿冬至風呂 1 近田吉幸53回転数の上がりて独楽や透き徹る 1 荒井 類54サンタさん恋人ひとり連れてきて 1望月のぞみ55冬牡丹恋の直球「みだれ髪」0 近田吉幸56年惜しむタンゴの披露三回転1渡辺すみれ57川涸るる子らは小石を蹴りまくる0 川崎果連58擦れ違うひと気付かずに雪が降る0 福島芳子59雪ぼたる地獄極楽どちらにも0松田ひろむ60針穴に通る野心や返り花 3 吉村きら61熱がでてクリスマスソング一人聞く0渡辺すみれ62隣家から悲鳴有りすわサッカー杯 0 飯島 智63初春や句作ますますわくわくと 0 古川和美64戦くさいポチ袋から税税税 1鈴木ひろ子65白鶺鴒寄り来るベンチに悴みて 0 高良和子6万歩計つけ捜し物冬ぬくし 2 中村ふみ67寒波来る山の予定の夫起きず 0 高良和子68ポインセチアいつまで続く死の舞踏1 鈴木砂紅69受け持ちは書斎と決まり煤払う 0望月のぞみ70細い目がもてはやされて福笑い 2 小髙沙羅71地に落ちて芳香放つやあけぼの杉 0 郡楽清子72日記果つ敗者復活戦はない 2 川崎果連73俳句哀しや戦場のクリスマス 1 高橋透水74師走の町銀杏さざめき急ぎ足 0 郡楽清子75ポケットの中でジャンケン冬鷗 0 石黒宏志76ゆるゆる歩く濡れ落葉つけたまま 0 鈴木砂紅77しばれると方言出たる寒さかな 0信岡さすけ78古暦大事なメモがあったはず 2石口りんご79ポインセチア奥深くユダすまわせて4後藤よしみ80カレンダー柚子風呂の日に丸をつける0 小髙沙羅81年末に徒然草で一服し 1 斎藤 藍82入念に浴室磨き冬至風呂 0 安原南海子83誰にでも未来あるはず去年今年 1 岡崎久子84食洗機の音を枕の聖夜かな 0 高矢実來85華やかに燃える篝火シクラメン 0 斎藤 藍86竹串を刺して聖夜の煮え加減 2 川目智子87枕もとサンタの手紙ありし朝 0 飯島 智88振り返る暇もないまま着ぶくれて 0 石黒宏志89恋猫や告白できぬ男たち 1 信岡さすけ90山茶花散る立話は延々と 3 行成佳代子91誕生日これからりんご銀杏切り 0 小髙沙羅92お座りの鈴振るおさな聖夜劇 1 高矢実來93鍵穴でためらっている隙間風 3 石口 榮94雪木立(こだち)水墨画への誘いかな0 神田千風95鯛焼に海を見せたくて城ケ島 1 石口 榮96手をさすり待つ間の至福鍋焼きかな 0 郡楽清子97ぽんと肩叩かれいいねそのセーター0白石みずき98毛糸編む喜怒哀楽の交差して 2 吉村きら99初夢のあの世ばかりが賑々し 0 宮 沢子100ポインセチアお薬手帳の賑やかに 0 小平 湖101命惜し丸かじりする冬林檎 1 岡崎久子102言いかけて何でもないと石蕗の花 2 岩渕純子103柊の棘の痛さかにゃあと鳴く 1 中村ふみ104高熱の妻に雪見え救急車 3松田ひろむ105突発的難聴凍土の爆音 4 木野俊子106狐火に体当たりしたことはない 5川崎果連107白鳥の羽搏ちて邪鬼のかしこまる 0後藤よしみ108緊張の広がる句座や咳一つ 1 宮 沢子109冬散歩主導権は犬に譲る 0 福島芳子110人生はホップステップ七五三 2古川塔子111冬枯の小指よ戦争が近い1 木野俊子112クリスマスロシア離れのウクライナ0 斎藤 藍113お札より小銭が軽し年の暮 0 川目智子114三十三才(みそさざい)奔放な旅股くぐり1 望月のぞみ115聖樹みな素顔になって年詰まる 0 宮 沢子116節電に靴下二枚参戦す 0 信岡さすけ117三界に父母の影なし花八手 1後藤よしみ118愛犬のおしめの話冬うらら 1 高良和子119年の暮聞き耳立てしバスの窓 2 神田千風120塾の窓を見上げる父や冬の月 0 安藤利亮121墓場への秘密のいくつ葱刻む 2 古川塔子122いっさいが「運命」の音白障子 0 翠 雲母123冬木の芽ぼーと生きる方が楽 4 小髙沙羅124年忘れ最後はいつも知らぬ駅 1百目鬼英明125正論は正論咳の二つ三つ 1 古川塔子126生涯に途中下車なく日記買う 2 吉村きら127年の瀬の 映画ラーゲリやすすり泣き0 神田千風128運慶の大日如来落葉焚 0 荒井 類129煤逃げや我が家を後に老い二人 0行成佳代子130疫病の隙間で元気年歩む 2 中村ふみ131鮟鱇の吊るされてなお笑いをり 5後藤よしみ132シリウスの夢ふたたびと酒ごくり 0松田ひろむ133冬林檎熱っぽくなり休肝日 0渡辺すみれ134去年今年ラジエーターに水がない 2 川崎果連135ゆきひらの湯をたぎらせて十二月 2 小平 湖136暁闇にシリウスを追い三千歩 0行成佳代子137オリオンの三ツ星駅より流れ星 0 岩渕純子138クリスマスイブ昼食はにぎりめし 0石口りんご139石蕗の花馬耳東風にはなれない 1白石みずき140片栗の眠る寒林陽の届く 0 高良和子141年移る嬰児(みどりご)たちの寝ならびて1 荒井 類142年越しやほめられ上手ほめ上手 1 高矢実來143息白し吾は中古か先輩か 1 信岡さす144いつまでもだらだらテレビ冬の夜半0 岩渕純子145冬蝶や離婚太りの女(ひと)多し 0 翠 雲母146自宅にて赤い蝋燭クリスマス 0 斎藤 藍147ひとつずつ植木に追肥開戦日 1石口りんご148白菜を割れば中より火炎仏 2 石口 榮149ずんだ餅津波の跡に白鳥来 1 近田吉幸150着ぶくれてとっさにかわす抗議デモ0 川崎果連151補助券の一枚足りぬ雪女 4 宮 沢子152冬の鵙いざ鎌倉へ兵走り 0 望月のぞ153夢殻の聖樹点滅繰り返す 0松田ひろむ154卵かけご飯わしわし冬至だし 0 高矢実來155手袋の片方迷子ポケットへ 0 石黒宏志156綱引きあれば加わる十二月八日 2石口りんご157百八つ鐘聞き吾は絶滅種 2 飯島 智158冬銀河マツケンサンバオーレオレ 1 近田吉幸159融けるほどの恋したことも虎落笛 1 安藤利亮160生きてゐるだけで手柄ぞ冬の梅 3 荒井 類161十二月の雄たけびブラボーブラボー2 古川塔子162それぞれの肩書とれば竜の玉 2 吉村きら163湯気立つやパスタ何分と聞かれても0 磯部薫子164二人居に二人居なりの年用意 0 岡崎久子165片栗の花の備への落葉掃き 0 高良和子166翳したる白紙は雄弁枯野人 0行成佳代子167声あげて縄跳びする子冬の路地 0 福島芳子168裸木の光時に憲法に似る 0 木野俊子169我が辞書に不可能はなし寒波来る 0 石口 榮170西高東低冬至南瓜の煮崩れる 4 小平 湖171天井桟敷に「第九」きく帰路寒すばる0鈴木ひろ子172弱点はヌードの凧絵風雷神 0信岡さすけ173水仙のための青空かと思う 4白石みずき174掃除機の掃除さっぱり年納む 0安原南海子175マフラーは真知子巻きにて闊歩する1 磯部薫子175休みなきケトルわく子の年の暮 0百目鬼英明177ひとりの夜大根分厚く焚きにけり 0安原南海子178クリスマスまだ青二才だったあなた1 鈴木砂紅179風花や夫の紅茶はダージリン 0 磯部薫子180着ぶくれて十二単で御座います 3 鈴木砂紅181熱が出てひとりぼっちのクリスマス0渡辺すみれ182何は扨てコーヒー買い足す年の内 0白石みずき183「転だ」とメール遠くに焼芋屋 1 木野俊子184静止画のごとし公園淡き冬日 0 郡楽清子185声かけにハミングしてる返り花 0望月のぞみ186冬青空土偶は赤き血を持たず 3 岡崎久子187招かれし米軍キャンプの聖菓かな 0 高矢実來188何もせぬつもりがやはり年用意 0 岩渕純子189ランタナの垣根の向こうは火の車 1 翠 雲母190一年間うさぎになって愛されて 2 古川和美191柚風呂の柚の方向音痴かな 4 小平 湖192雪達磨の中に隠した千両箱 0 翠 雲母193地下鉄の席ゆずらるる街師走 0 飯島 智194天空の分度器の果て冬至かな 0 近田吉幸195飲むまでをじっと眺むる玉子酒 0 磯部薫子 (第34回鴎座通信句会)投句締切=1月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年12月31日
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ピンチはチャンス!新型コロナウイルス感染症に負けない●第33回鴎座通信句会の締切は24日です新型コロナウイルス感染症はオミクロンなどまだ予断を許しません。しかし俳句で免疫力アップです。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第33回投句締切24月24日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。投句はメール・FAXなどにて。FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、後藤よしみ(副編集長)、小髙沙羅(同人会長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、小平湖(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹(招待)が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 12月29日(必着)選句結果・講評は1月2日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はいたしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会第32回上位作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上1位178ぎんなん炒るはじけてみたい八十歳 ⑧ 白石みずき2位161初冠雪ふわりと言葉置くように ⑤ 白石みずき2位199落花生駱駝の話聞きながら ⑤ 古川和美4位111落葉しきり長子家去る気配なし ④ 鈴木砂紅4位16 冬薔薇人拒みつつ人恋し ④ 磯部薫子4位27 冬はつとめて電子レンジのよく廻る ④ 古川塔子4位46 冬の陽にかざす皺の手ありがとう ④ 小髙沙羅4位61 煩悩に色を付ければ冬桜 ④ 石口 榮4位82 寄せ鍋に妬心ひとさじ隠し味 ④ 吉村きら4位105失せ物が名乗りを上げる煤払い ④ 行成佳代子4位107過ぎ去りし日もこれからも霧の中 ④ 中村ふみ12位2「トリクルダウン」サンタの袋は軽いまま ③ 行成佳代子12位100新嘗祭居ないと思った神がいる ③ 石黒宏志12位10気が付けば晩年白菜漬け終わる ③ 岡崎久子12位15薬より酒を愛して師走くる ③ 津田文江12位36青空や池の底まで紅葉して ③ 中村ふみ12位50野水仙生き急ぐなといはれても ③ 荒井 類12位80男根を清めておこう降誕祭 ③ 松田ひろむ12位104ブロッコリーのような髪型年詰まる ③ 小髙沙羅12位123皆既月食焼芋売りの声通る ③ 小平 湖12位137「ただいま」の声待っている夜寒かな ③ 高橋透水12位139晩年の入口海鼠よく噛んで ③ 小平 湖12位166落葉踏む昭和のままの音を踏む ③ 石口 榮12位168奪還の荒涼の地よ冬の旗 ③ 高良和子12位172菊酒や覗かれているわが心 ③ 増田萌子12位179クリスマスの愛だなんだの自動ドア ③ 吉村きら12位184冬ざれや内緒のひとへ土産買う ③ 安藤利亮
2022年12月23日
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第32回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第32回鴎座通信句会は40名200句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第32回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選27 冬はつとめて電子レンジのよく廻る36青空や池の底まで紅葉して特選45出口AB釣瓶落しの真っ直中/古川塔子105失せ物が名乗りを上げる煤払い161初冠雪ふわりと言葉置くように168奪還の荒涼の地よ冬の旗178ぎんなん炒るはじけてみたい八十歳(選評)特選にいただいた45「出口AB」の句。秋の日暮は瞬く間である。電車に乗った時はまだ明るかった。しかし降車して地上に出ると、もうすっかり暮れて暗くなっている。電車のスピードより日没時間の速さが勝った瞬間を捉えた所に惹かれた。27「冬はつとめて」の句。「冬はつとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず」の枕草子を踏まえた句。冬場は温かい物に限る。36「青空や」の句。水面に映った紅葉ではなく、紅葉が池の底に沈んでいる景と読んだ。空の青色との対比で紅葉が一層鮮やかである。105「失せ物」の句。探す時はなかなか見つからないのが世の常。「名乗りを上げる」の擬人化が楽しい。161「初冠雪」の句。雪は天からの贈物とも言う。それを「言葉を置くように」とは言い得て妙。山は一夜にして優しい言葉に包まれた。168「奪還の」の句。ロシア軍によるウクライナ侵攻は未だ終息に至らず、早期の停戦を望む。荒涼たる地に立つ「冬の旗」がなんとも切ない。178「ぎんなん」の句。人生百年時代。フライパンの中の銀杏のように弾けて下さい。八十歳はまだ若い。小髙沙羅(同人会長)選 10気が付けば晩年白菜漬け終わる60こめかみに冬来る明日母の忌で123皆既月食焼芋売りの声通る139晩年の入口海鼠よく噛んで特選161初冠雪ふわりと言葉置くように/白石みずき172菊酒や覗かれているわが心199落花生駱駝の話聞きながら(選評)特選にいただいた161「初冠雪」の句。どの山とも言ってはいないが、やはり富士の山であろう。今年は九月三十日が初冠雪で江平年より一日早い観測が発表された。中七下五の「ふわりと言葉おくように」にポエムを感じた。10「気が付けば」の句。いままでは気が付かなかった「晩年」。まだ白菜を漬ける元気はある。気持ちも体もまだまだ晩年なんて思わなくても良さそうだ。60「こめかみに」の句。母の忌は誰の忌日よりも忘れられない思い。「こめかみに」がその思いの肉体表現である。123「皆既月食」の句。なんどもなんども月を見上げたあの夜だった。「焼芋売りの声」が現実に引き戻しているかのようだ。139「晩年の」の句。晩年とはどんなものだろうか。海鼠を私も「よく噛んで」みようか。172「菊酒や」の句。お酒を飲むと人が変わることがある。句は、不老長寿の菊酒に、心を覗かれている。199「落花生」の句。千葉の御宿なのだろうか。落花生を食べながら、海鳴りを聞きながらの旅。ラクダとの取り合わせが効いている。後藤よしみ(副編集長)選61煩悩に色を付ければ冬桜107過ぎ去りし日もこれからも霧の中116十二月八日港町ブルース138山眠る活断層の滑る音149ぬっと出で鯉の口から小春かな特選150遠き町冬青草に核残る/木野俊子161初冠雪ふわりと言葉置くように(選評)特選にいただいた150「遠き町」の句。大都市から遠いところに原発は作られる。福島の原発は広範囲に核汚染を引き起こし、未だに残っている。青草の生命力が訴えかけてくる。61「煩悩に」の句。自分の煩悩の色を考えるのも煩悩。冬桜は淡紅色で、次第に白へ。煩悩も軽くなるかのようだ。思いを可視化すると煩悩も染み入るものに変わる。107「過ぎ去りし日も」の句。松本清張の「日本の黒い霧」のように戦前戦後も霧が立ち込めていた。二十一世紀の現在も同じである。人生に重ね合わせた句になっている。116「十二月八日」の句。開戦日であれば、淡谷のり子の唄を思い出したい。慰問コンサート中、特攻兵士たちが立ち去ろうとした時、こう叫んだ。「あんたたち、死ぬんじゃないよ!」鎮魂の一句。138「山眠る」の句。阪神淡路大震災は活断層による被害であった。日本中に断層が走り、耳をそばだてれば音が日々聞こえる。山眠るとの対比がよい。149「ぬっと出で」の句。真冬まで間のある水のまだ柔らかい昼。水面へ口から現れる鯉。小春日が活写されている。161「初冠雪」の句。この時期、南西の富士、北東の筑波を眺める。柔らかな白いベールの姿はまるで語りかけてくるようだ。詩情が伝わってくる。小平 湖(Ⅰ欄同人)選13十一月と思えぬ今朝の温度計24冬三日月明日の服を決めている113小雪やたった五文字のありがとう128「元気か?」の余白のむこう柿落葉138山眠る活断層の滑る音145人恋しくてときどき流れ浮寝鳥特選161初冠雪ふわりと言葉置くように/白石みずき(選評)特選に頂いた161「初冠雪」の句。初冠雪は夏を過ぎて、初めて雪が積もること。ふわりと置かれた言葉とはどんな言葉だったのか、そんな想像が広がり、少し近い感じもするが一読して清潔な印象が残り惹かれた。13「十一月」の句。暖かいのはありがたいが、これも異常気象に関係あるのだろうか。十一月とおもえぬ共感。24「冬三日月」の句。尖った冬三日月と明日の服選びとの対比。あれこれ迷う女性の楽しい時間。113「小雪」の句。「ありがとう」の一言があると無いとでは関係が変わってきたりする。大事にしたい言葉だ。128「元気か?」の句。柿落葉の向こうに自分のことを気遣ってくれる人がいる。暖かくほっとする句。ただ「?」は無くても。138「山眠る」の句。地震国日本はいつもどこかが揺れている言はれるが、「滑る音」の発見と「山眠る」の季語も効いている。145「人恋し」の句。水に浮いたまま眠っている浮寝鳥は春になると北国へ帰っていく。浮寝鳥も人が恋しくなるとは軽いウイットが洒落ている。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選57よちよちとおむつ重たし柿落葉82寄せ鍋に妬心ひとさじ隠し味87休みが一番勤労感謝の日104ブロッコリーのような髪型年詰る112傘一本をコンビニに走る初時雨特選137「ただいま」の声待っている夜寒かな/高橋透水166落葉踏む昭和のままの音を踏む(選評)特選にいただいた137「ただいま」の句。奥さんが出掛けていて手持無沙汰 のご主人、夜も更けて寒くなってきた。早く帰って来ればいいのにと。一読して男性の寂しがり屋を感じた。57「よちよちと」の句。まだ歩き初めの赤ちゃんの姿が手に取るように見えてくる。柿落葉の赤い大きな葉の中をお尻ふりふり無中になって遊んでいるのだ。かわいい!82「寄せ鍋」の句。妬心ひとさじ、いいなー、羨ましい。嫉妬心があるなんてまだまだ若い、どういう味がするか寄せ鍋を食べてみたい。87「休みが一番」の句。そうその通り。勤労感謝の日なのだから。何も言う事のない明白の一句である。104「ブロッコリー」の句。最近若者の間で面白いカットの髪型が流行っている。横を短く刈り上げるタイプ、あまりいいとは思わないが、ブロッコリーとは言い得て妙である。112「傘一本」の句。実際に目の前で同じような光景を見ていた事がある。それも俳句になるんだ、と感心していただいた句。166「落葉踏む」の句。どうしても昭和の良き時代が忘れられない。落葉の踏む音までも懐かしく哀愁を感じてしまう。ノスタルジアの一句。鈴木 砂紅(招待)選 76冬眠や献体書類そろひけり84ヒゲあわきホスト勤労感謝の日99ひまわりの枯れてのこるや泣きぼくろ141秋夕焼たまには夫の遺影拭く158大食いの癌よ痩身がしばれます177北窓塞ぐ本当は出忠実です特選179クリスマスの愛だなんだの自動ドア/吉村きら (選評)特選に頂いた「クリスマス」の句。クリスチャンにとっては大切な行事だが、この国では楽しいイベントに過ぎないクリスマス。ドアの向こうにあるのは愛なのか、喧騒なのか。自動ドアの明るさと軽さが俳諧味を醸し出す。76「冬眠」の句。虎は死して皮を留め人は死して名を残す、と言う。名の代わりに体の方が他者の役に立つはずだ、という作者の思いが書類に記される。84「ヒゲ」の句。ホストも確かに勤労者に違いない。それも薄い髭の少年ならば哀れさも感じる。「ヒゲあわき」で俗を超えた一句になった。99「ひまわり」の句。ひまわりの顔の泣きぼくろから、想い出の人が甦る。向日葵が枯れて行くさまを写生しつつ、抒情句として訴えるものがあった。141「秋夕焼」の句。生前のあれこれを思い出せば恨み言もあるけれど、たまには顔を拭いてあげるわ、という妻の本音。さらりとした情感が漂う。158「大食い」の句。全身を食い荒らす癌はまさに大食い。痩せた我が身を厳しい寒さが襲うという闘病句であるが、印象が明るいのは作者の姿勢故か。 177「北窓」の句。本当は出忠実と言いながら、作者は家に籠る。寒さ以外にも何か外出を阻む理由がありそうだと思わせる。松田ひろむ(代表)選 2「トリクルダウン」サンタの袋は軽いまま佳代子19着ぶくれてインフレの海化石賞53カミノルス民は国歌を歌わない 100新嘗祭居ないと思った神がいる 106バラライカ戦争指揮す冬将軍 特選111落葉しきり長子家去る気配なし/鈴木砂紅準特選113小雪やたった五文字のありがとう/安原南海子171転職も部屋も決めた娘冬茜 195バンクシーの頬に一粒冬の雨 準特選197シュレディンガーの猫の生死や日向ぼこ/荒井類199落花生駱駝の話聞きながら (選評)特選にいただいた111「落葉しきり」の句。作者自身の家庭のことではないだろうが、中村草田男の「蟾蜍長子家去る由もなし」の句をふまえつつ、現代の八〇五〇問題をも提起している。「落葉しきり」の季語もひと捻りである。準特選の113「小雪や」の句。小雪は十一月二十一日ごろ。あまり使われない季語だが、この場合は小洒落ている。確かに「ありがとう」は、たった五文字でもなかなか言えないもの。この句に「ありがとう」。同じく準特選の197「シュレディンガーの」の句。猫と日向ぼこは、類想類型のパターンだがシュレディンガーとの取り合せに驚かされる。「シュレディンガーの猫」とは量子力学の思考的実験のこと。2「トリクルダウン」の句。サンタの袋はいつまでも軽い。結局アベノミクスのトリクルダウンを期待しても駄目だったということ。19「着ぶくれて」の句。日本は気象変動対策を怠った国として化石賞という不名誉な賞を受賞した。結果ではないだろうが「インフレ」も深刻となっている。われわれの対策は「着ぶくれ」なのだろうか。53「カミノルス」の句。神の留守をカタカナで表記した工夫。それは批判でもある。拙句にも「君が代がだんだん眠く雪催」がある。「君が代」でない「民の代」がいい。100「新嘗祭」の句。神がいるといって、諧謔性のある句となった。それもめでたい新嘗祭である。106「バラライカ」の句。やや知的構成が気になるが、戦争のロシアを冬将軍と告発している一句。171「転職も」の句。いつのまには親離れの娘。うれしいのかかなしいのか複雑な冬茜である。195「バンクシーの」の句。いよいよバンクシーもウクライナに現れた。この一粒は涙なのだろうか。199「落花生」の句。動物園なのだろうか。落花生を食べながらの句はありそうだが、」ラクダへの転換が楽しい。(互選高点句)○数字は点数 3点以上一位178ぎんなん炒るはじけてみたい八十歳 ⑧ 白石みずき二位161初冠雪ふわりと言葉置くように ⑤ 白石みずき二位199落花生駱駝の話聞きながら ⑤ 古川和美四位111落葉しきり長子家去る気配なし ④ 鈴木砂紅四位16 冬薔薇人拒みつつ人恋し ④ 磯部薫子四位27 冬はつとめて電子レンジのよく廻る ④ 古川塔子四位46 冬の陽にかざす皺の手ありがとう ④ 小髙沙羅四位61 煩悩に色を付ければ冬桜 ④ 石口 榮四位82 寄せ鍋に妬心ひとさじ隠し味 ④ 吉村きら四位105失せ物が名乗りを上げる煤払い ④ 行成佳代子四位107過ぎ去りし日もこれからも霧の中 ④ 中村ふみ十二位2「トリクルダウン」サンタの袋は軽いまま③ 行成佳代子十二位100新嘗祭居ないと思った神がいる ③ 石黒宏志十二位10気が付けば晩年白菜漬け終わる ③ 岡崎久子十二位15薬より酒を愛して師走くる ③ 津田文江十二位36青空や池の底まで紅葉して ③ 中村ふみ十二位50野水仙生き急ぐなといはれても ③ 荒井 類十二位80男根を清めておこう降誕祭 ③ 松田ひろむ十二位104ブロッコリーのような髪型年詰まる ③ 小髙沙羅十二位123皆既月食焼芋売りの声通る ③ 小平 湖十二位137「ただいま」の声待っている夜寒かな ③ 高橋透水十二位139晩年の入口海鼠よく噛んで ③ 小平 湖十二位166落葉踏む昭和のままの音を踏む ③ 石口 榮十二位168奪還の荒涼の地よ冬の旗 ③ 高良和子十二位172菊酒や覗かれているわが心 ③ 増田萌子十二位179クリスマスの愛だなんだの自動ドア ③ 吉村きら十二位184冬ざれや内緒のひとへ土産買う ③ 安藤利亮(第32全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1日向ぼこ浦島太郎のその後かな 1 吉村きら2「トリクルダウン」サンタの袋は軽いまま3行成佳代子3天高し親子五人の五十鈴川 1 古川和美4マトリョーシカ羆(ひぐま)のなかに羆いて0松田ひろむ5七五三誰の祝よ和服ショー 0 石黒宏志6湯気立てて法律相談捗りぬ 0 百目鬼英明7初鴨や一期一会の声ひとつ 0 増田萌子8若作りのアバターの顔冬麗 1 石黒宏志9八十がぶら下がっている菊膾 2 小平 湖10気が付けば晩年白菜漬け終わる 3 岡崎久子11母性観の晶子らいてふ冬の雷 1 近田吉幸12記念写真あの手この手の七五三 0 磯部薫子13十月と思えぬ今朝の温度計 1 古川和美14三島の忌男ヌードの週刊誌 0 高矢実來15薬より酒を愛して師走くる 3 津田文江16冬薔薇人拒みつつ人恋し 4 磯部薫子17北塞ぐ弾道弾の来ぬように 0 後藤よしみ18履歴書に追加はないが七五三 0 岡崎久子19着ぶくれてインフレの海化石賞 1 信岡さすけ20壇ノ浦日向拡げる小春かな 0 近田吉幸21減る緩む物体の身や枇杷の花 1 高良和子22大根のすぽすぽ抜けて穴だらけ 0 川崎果連23日溜りに猫うっとりと撫でられて 0 高良和子24冬三日月明日の服を決めている 1 石口りんご25冬浅し逢魔が時の暮るるまま 0 飯島 智26湯豆腐の飽きっぽい人一途な人 0 石口りんご27冬はつとめて電子レンジのよく廻る4 古川塔子28ブルマーの死語となりしや冬木の芽0 荒井 類29割り箸の二本にするとき根深汁 0 安原南海子30タコ足のもつれるコード冬ざれる 0 川崎果連31サッカーの日本代表守り切れ 0 飯島 智32山茶花は咲いて穏か陽に優し 0 福島芳子33秋の暮今日は歯医者で明日は何処 1 斎藤 藍34こおろぎや最後の声を草にあずけ 0 福島芳子35少し暗くてところどころが立冬 0 古川塔子36青空や池の底まで紅葉して 3 中村ふみ37瞑想中の仏よ蔦がせまります 0 鈴木ひろ子38吊し柿吊りていつから世直し派 1 翠 雲母39博物館の尖る鉄柵石蕗の花 0 安藤利亮40南瓜切る翌日手首に湿布薬 1 中村ふみ41ふる里の匂いと甘さふかし藷 1 古川和美42ウクライナの事には触れず冬ざるる0 石口りんご43現世の身体離るる日向ぼこ 1 百目鬼英明44白鳥の羽根の大切防衛費 1 小平 湖45出口AB釣瓶落としの真っ直中 1 古川塔子46冬の陽にかざす皺の手ありがとう 4 小髙沙羅47煮凝りの隙間に透けている昨日 1 岡崎久子48シーツ干す空の天晴れ神迎 1 川目智子49上野毛の新そばそぼろ丼セット 0 小髙沙羅50野水仙生き急ぐなといはれても 3 荒井 類51瞑想の間も伸びてゆく冬すみれ 1 福島芳子52酉の市三の酉まで行ったのに 0 渡辺すみれ53カミノルス民は国歌を歌わない 1 川崎果連54白鳥や月まで一寸出で行けり 0 近田吉幸55餅代の時代経し身に米支給 0 高良和子56杖借りて天守目指すや落葉霏霏 1 近田吉幸57よちよちとおむつ重たし柿落葉 1 磯部薫子58戦争と平和人間臭きシクラメン 0 松田ひろむ59予備兵は皆んな白旗着膨れて 1 翠 雲母60こめかみに冬来る明日母の忌で 1 増田萌子61煩悩に色を付ければ冬桜 4 石口 榮62留守電は非通知ばかり小六月 1 増田萌子63酷寒のウクライナへ衣送りたく 0 飯島 智64年末ジャンボ夢の確率百% 1 百目鬼英明65銀杏黄葉両手を空けて君を待つ 2 石口 榮66暖冬の出番待ってる白コート 0 渡辺すみれ67ひととせの毒を消したりふぐと汁 0 川目智子68凍鶴になって勤労感謝の日 1 吉村きら69日溜まりの朴落葉踏み八十路へと 1 安藤利亮70冬ざるる光の並木六本木 0 斎藤 藍71根深汁月食ショーの幕間に 0 鈴木砂紅72藁塚に女児追う女児も八海山 0 安藤利亮73初霜や讃岐うどんはぶっかけで 1 宮 沢子74辞世句を詠んで湯豆腐濁さざる 0 川目智子75冬紅葉レポート五枚の徹夜かな 1 渡辺すみれ76冬眠や献体書類そろひけり 2 荒井 類77今こそは飛車の成りすて寒椿 0 信岡さすけ78狂い花名は知らねども真白なり 0 津田文江79死にたいの手助けします神の留守 0 石黒宏志80男根を清めておこう降誕祭 3 松田ひろむ81ひさびさに腕組みましょう冬紅葉 1 白石みずき82寄せ鍋に妬心ひとさじ隠し味 4 吉村きら83路地を行くのぼさんの声酉の市 1 宮 沢子84ヒゲあわきホスト勤労感謝の日 1 川崎果連85鯛焼の口唇薄く黙秘権 2 吉村きら86雁は帰る孤独を声に残しゆく 0 福島芳子87休みが一番勤労感謝の日 1 百目鬼英明88九竅のゆるみ始めや冬紅葉 0 宮 沢子89水涸るや午後の三時のハーブティー0 荒井 類90一茎の稲穂添えをり米届く 1 郡楽清子91息荒き山羊曳くおとこ石蕗の花 0 高矢実來92綿虫の浮くも沈むも罪持たず 0 高橋透水93いまどきの猫は炬燵で裏返る 0 百目鬼英明94開戦日子供を辞めた子供たち 2 岡崎久子95八十億に後期高齢冬眠も 0 信岡さすけ96ひと時雨ユトリロそぼつ裏の路地 0 飯島 智97朱セーター三十年の歴史あり 0 望月のぞみ98冬の蝶拍手は世界を共有す 0 安原南海子99ひまわりの枯れてのこるや泣きぼくろ2 翠 雲母100新嘗祭居ないと思った神がいる 3 石黒宏志101ポシェットに悪銭貯まる神の留守 0 高橋透水102十二月八日ロシアよもうやめて 0 高矢実來103アイドルも清純も派兵波の花 1 翠 雲母104ブロッコリーのような髪型年詰まる3 小髙沙羅105失せ物が名乗りを上げる煤払い 4 行成佳代子106バラライカ戦争指揮す冬将軍 2 飯島 智107過ぎ去りし日もこれからも霧の中 4 中村ふみ108龍は雲に私は冬のパプリカに 1 鈴木砂紅109やや寒の鷺は首から歩みだす 1 鈴木ひろ子110日本ワイン新酒の味はいかがです 0 斎藤 藍111落葉しきり長子家去る気配なし 4 鈴木砂紅112傘一本をコンビニに走る初時雨 1 行成佳代子113小雪やたった五文字のありがとう 2 安原南海子114柚子の香を身に纏いつつまだ長湯 1 岩渕純子115なにためらう鷺の一歩や冬に入る 0 鈴木ひろ子116十二月八日港町ブルース 2 木野俊子117空っ風真正面の武甲山 0 安原南海子118山茶花やひらひらひらとピンク海 0 津田文江119シャンパンを飲みたき仕草かまど猫0 望月のぞみ120お互いの老いには触れず常夜鍋 2 白石みずき121葱刻む識別圏なしミサイル飛ぶ 0 翠 雲母122冬の雲足和田山の展望台 0 渡辺すみれ123皆既月食焼芋売りの声通る 3 小平 湖124弖爾乎波の妙味の不思議石蕗の花 0 近田吉幸125朴落葉さくさく踏んで足和田山 0 渡辺すみれ126冬に入る喪中葉書が五、六枚 0 石口 榮127高気圧どんと居座る干蒲団 0 川目智子128「元気か?」の余白のむこう柿落葉2 磯部薫子129星月夜森繁久彌の心唄 0 津田文江130伊勢神宮の旅へ息子の一家族 0 古川和美131大銀杏落つるがままの社かな 0 郡楽清子132足元に迫る寒気や人待てば 0 中村ふみ133祥月をひとり偲ぶや野紺菊 0 郡楽清子134鵙の声途中下車にて聞いている 0 福島芳子135浅草でお汁粉抹茶日の短か 1 白石みずき136やあと呼ばれて振り向けば穴惑い 1 古川塔子137「ただいま」の声待っている夜寒かな3 高橋透水138山眠る活断層の滑る音 2 木野俊子139晩年の入口海鼠よく噛んで 3 小平 湖140開戦日地球儀回す十三歳 1 木野俊子141秋夕焼たまには夫の遺影拭く 1 中村ふみ142冬ざくら人十倍の気力かな 0 高橋透水143夢ありや蒲団の上の嵩ほどに 0 後藤よしみ144龍角散からころ勤労感謝の日 0 鈴木砂紅145人恋しくてときどき流れ浮寝鳥 1 増田萌子146電線に尾長き鼬の影絵めく 0 行成佳代子147あと五年生きるつもりで日記買う 1 望月のぞみ148山茶花晴手摺頼りの駅階段 1 安原南海子149ぬっと出で鯉の口から小春かな 2 磯部薫子150遠き町冬青草に核残る 1 木野俊子151花梨の実カルト法案まだ成らず 1 安藤利亮152言いすぎて腹ふくれたる太てえ屠蘇0 信岡さすけ153年の瀬や楽々ブーツで歩むのみ 0 斎藤 藍154あれやこれ花植え癌と小春の日 0 鈴木ひろ子155酢石榴の一粒元気百倍に 0 小髙沙羅156晩秋や干柿作りの最盛期 0 斎藤 藍157朝までに起きる回数冬めいて 0 石黒宏志158大食いの癌よ痩身(やせ)がしばれます1鈴木ひろ子159綿虫がいそうな郷土資料室 0 小平 湖160若かりしころの思い出帰り花 0 岩渕純子161初冠雪ふわりと言葉置くように 5 白石みずき162舐められちゃ負けん気と意地空っ風0 高矢実來163さりげなく布団干すなりバス通り 0 望月のぞみ164親子して団塊世代冬霞 0 行成佳代子165オルコットの少女となりて落葉踏む0 岡崎久子166落葉踏む昭和のままの音を踏む 3 石口 榮167秋空に枝振りの妙赤き実や 0 郡楽清子168奪還の荒涼の地よ冬の旗 3 高良和子169しなやかに瓔珞にも似て秋海棠 0 郡楽清子170山茶花の散る広場ぱぴぷぺぽっぽ 0 高橋透水171転職も部屋も決めた娘(こ)冬茜 1 高矢実來172菊酒や覗かれているわが心 3 増田萌子173いつ来ても月山山頂霧の中 1 岩渕純子174冬紅葉赤児ならばと車椅子 0 信岡さすけ175ねんねこで六人育て逝った母 0 石口りんご176陸橋に太宰の匂い冬ぬくし 0 宮 沢子177北窓塞ぐ本当は出忠実(でまめ)です1石口りんご178ぎんなん炒るはじけてみたい八十歳8 白石みずき179クリスマスの愛だなんだの自動ドア3 吉村きら180守一の「白猫」しりつみの祭 0 宮 沢子181数えてはクエタ・ロナなり冬銀河 0 後藤よしみ182手相からまず打ちとける辻焚火 1 川崎果連183レオナール・フジタ白菜を一枚脱いで0松田ひろむ184冬ざれや内緒のひとへ土産買う 3 安藤利亮185COP27時雨のなかを脱炭素 0 木野俊子186松手入れ梯子危うし老庭師 1 岩渕純子187枯色の襲の色目着ぶくれて 0 鈴木砂紅188富士に雪三十一文字に引き込まれ 1 小髙沙羅189梨泰院の路狐火の通り抜け 0 後藤よし190人並みの妻母祖母よ石蕗の花 1 古川塔子191大根抜く地球の肌にニキビ痕 1 石口 榮192産めよ増やせよ鍋焼うどん夫婦の日0 松田ひろむ193医師の声に寄れば身を引く秋深し 0 高良和子194木瓜の実を漬けて三年琥珀色 0 岩渕純子195バンクシーの頬に一粒冬の雨 1 後藤よしみ196何となく妖しげなるや赤い月 0 津田文江197シュレディンガーの猫の生死(しやうじ)や日向ぼこ1荒井類198阿の熟柿吽の渋柿老い美味(うま)し1 川目智子199落花生駱駝の話聞きながら 5 古川和美200新そばに言い訳しつつ酒を飲む 0 望月のぞみ(訂正)124正=弖爾乎波、誤=弓爾乎波 (第33回鴎座通信句会)投句締切=12月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年12月02日
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ピンチはチャンス!新型コロナウイルス感染症に負けない●第32回鴎座通信句会の締切は24日です新型コロナウイルス感染症はオミクロンなどまだ予断を許しません。しかし俳句で免疫力アップです。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第32回投句締切 11月24日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。投句はメール・FAXなどにて。FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、後藤よしみ(副編集長)、小髙沙羅(同人会長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、小平湖(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹(招待)が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 11月29日(必着)選句結果・講評は12月2日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はいたしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会 第31回上位作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上1位77 お湯を足すだけのお汁粉文化の日 ⑦ 白石みずき1位121コキアコキア三里のつぼがほぐれゆく ⑦ 増田 萌子3位161ほどほどの色欲熟柿ありがたく ⑥ 松田ひろむ4位9 ここよりは虚数の世界大花野 ⑤ 高橋 透水4位16 カミソリの撫でゆく喉や秋の雷 ⑤ 高橋 透水4位133百目柿今日は雨戸が開いている ⑤ 鈴木 砂紅4位136人生に追試があれば帰り花 ⑤ 高橋 透水8位34 コスモスの揺れが止まった核脅し ④ 翠 雲母8位46 はみ出すのが好きな絵てがみ秋桜 ④ 安原南海子8位90 メメントモリ朝顔の種手に余る ④ 高矢 実來8位131桃の皮するりと剥けて倦怠期 ④ 吉村 きら12位74千円でお釣りがあって新秋刀魚 ③ 松田ひろむ12位116コスモスは風音きゅっと抱いている ③ 福島 芳子12位190どんぐりや先頭代わる縄電車 ③ 安藤 利亮
2022年11月20日
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第31回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第31回鴎座通信句会は39名195名でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第31回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選 46はみ出すのが好きな絵てがみ秋桜49星月夜電話してもいいですか特選74千円でお釣りがあって新秋刀魚/松田ひろむ77お湯を足すだけのお汁粉文化の日86駄句とても思い出日記竹の春133百目柿今日は雨戸が開いている182山ぶどうあの日あの時あのジュース(選評)特選にいただいた74「千円で」の句。この秋は値上げラッシュ。新秋刀魚ならさぞ高いだろうと千円札を出したところお釣りが来た。逆に安いと感じて得した気分。逆転の発想と滑稽味たっぷりに惹かれた。46「はみ出すのが」の句。葉書一杯に書き過ぎてはみ出す絵。それも元気の証拠。49「星月夜」の句。都会で星月夜はなかなか見られない。旅先での星月夜だろうか。ふと彼(彼女)が恋しくなり出た言葉。言い得て妙である。77「お湯を足す」の句。何もかも便利になった現代社会。しかし、それ以上のことを求めるのも人間である。文化の日ならではの句。86「駄句とても」の句。俳句は日記変りと言われるが行った先々、あるいはその日の出来事を詠んだ句は残したいもの。「駄句」は謙遜であろう。竹の春が作者を優しく包む。133「百目柿」の句。恐らく一人暮らしか、高齢者が住んでいるのであろう。雨戸が開いているか否かで安否が分かる。住人を気遣う心に惹かれた。季語の百目柿が効いている。182「山ぶどう」の句。動詞が無く省略の効いた句である。「あの」の三連続、テンポも良く「あ」の韻を踏んでいることも良い。 小髙沙羅(同人会長)選 10秋の陽のこの寂しさを持て余し24「絆」から鷗飛び立つゆうゆうと46はみ出すのが好きな絵てがみ秋桜66二度咲きの金木犀の未練かな121コキアコキア三里のつぼがほぐれゆく特選136人生に追試があれば帰り花/高橋透水190どんぐりや先頭代わる縄電車(選評)特選にいただいた136「人生に」の句。人生はいくつになってもこれで良いということはない。追試があれば、また一年生からやり直せるとつくづく思う。共鳴の一句。10「秋の陽の」の句。「この寂しさ」は言い過ぎかも知れないが、作者の思いに共感。24「「絆」から」の句。鷗座の合同句集への挨拶句として秀句。46「はみ出すのが」の句。コスモスの乱れ咲きだろうか。なんでも想定通りにならないところが楽しい。66「二度咲きの」の句。下五の「未練かな」に籠められた作者の思いに惹かれた。金木犀の香りがたっぷり。121「コキアコキア」の句。三里には足三里と手三里があるが、コキアコキアで、ひたち海浜公園が想像される。つまりは足三里で、なんといっても「三里のつぼ」が効いている。190「どんぐりや」の句。縄電車の句はあちこちの句会でよく目にするが「先頭代わる」が新鮮で、それが戦場にも政治にも学校にも通じる。いろいろ想像が膨らむ。団栗は子供の姿でもある。後藤よしみ(副編集長)選 特選16カミソリの撫でゆく喉や秋の雷/高橋透水35 部屋部屋に秋の日ざしのすき透り85 笑点をながら聞きたる秋の夜114 紅葉を受けてポストの口湿る116 コスモスは風音きゅっと抱いている158 雨だれの秒針のごと賢治の忌159 鉛筆の尖ってばかり秋桜(選評)特選の16「カミソリの」の句。斎藤茂吉の〈めんどりら砂浴び居たれひっそりと剃刀研人は過ぎにいきけり〉の静謐さとは逆の秋の雷が句を締めている。35「部屋部屋に」の句。秋の日の透明さと静けさのハーモニーが心地良い。85「笑点を」の句。「笑点」は昭和から続く長寿番組。最近円楽が亡くなり、後任選びが落ち着けば笑いも復活する。114「紅葉を」の句。赤いポストと紅葉の連続性が楽しい。ポストは句材に多く用いられるが掲句は新しい視点。116「コスモスは」の句。擬人化し、風音を抱きしめるという措辞が斬新である。158「雨だれの」の句。秋雨の繊細さが秒針に例えられ、さらに賢治忌で北国の情景を浮かび上がらせてくれる。159「鉛筆の」の句。コロナ下、世情の世知辛さに人の心もささくれてくる。それと対照的なコスモスの姿。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 28米寿まだ若いつもりや十三夜44何匹の羊をかぞえ隼人瓜 66二度咲きの金木犀の未練かな116コスモスは風音きゅっと抱いている120リハビリの未来明るき鰯雲特選121コキアコキア三里のつぼがほぐれゆく/増田萌子184天高し合同句集の名は絆(選評)特選にいただいた121「コキア」の句。コキアは和名 「ほうき草」草丈はIメートル弱ほどで秋には真っ赤な紅葉がみられる。三里のっぽは灸点のひとつ膝頭の少し下のくぽんだところ、ここに灸をすると健脚になり万病に効くという。おかげで体調を取り戻した作者・コキアコキアのリフレインと三里のっぽの取合せが新鮮。28「米寿また」の句。米寿は八十八歳末広がりで誠にめでたい、まだ若いつもりその心意気に惹かれる。十三夜が叙情的である。44「何匹の」の句。焦れば焦るほど眠れない切なさ、季語の隼人瓜の三枚目的要素が効いている。66「二度咲きの」の句。未練がましいと言われようが何度でも咲いて欲しい。あの芳しい香りに誘われて町内一周もいいものだ。116「コスモスは」の句。風音を「ぎゅと」ではなく「きゅっと」抱いている、この少しの表現の違いで初々しく感じた。120「リハビリの」の句。未来明るきなんて言われるとなぜかうれしい。医学もリハビリも明るい未来を信じたい。184「天高し」の句。発行されたばかりの鴎座創刊二十周年合同句集「絆」は参加者全員の熱意の伝わる自慢の句集になった。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 38乱気流ベルト押さえて秋そぞろ46はみ出すのが好きな絵てがみ秋桜特選106レモン青し二世信者に自由欲し/木野俊子127一筋肉二三筋肉秋うらら128錦秋のこの木なんの木気になる木186ポケットの木の実ころころ靴の泥190どんぐりや先頭代わる縄電車(選評)特選にいただいた106「レモン青し」の句。句は直接的で言い過ぎかも知れないが旧統一教会のやり方にはうんざりしているので思わずいただいてしまった。本当に二世信者が犠牲にならないように願っている。38「乱気流」の句。飛行機の乱気流は一度だけ経験したがもうこの世の終わりかと思った。夢中で椅子に掴まり踏ん張る他なかった。窓の外は気持ちのいい秋の雲。そんなところではないのである。46「はみだすのが」の句。絵てがみは不思議なもので上手でない方が面白い。ましてやコスモスが大胆にはみ出てたら、どこまで咲いているんだろうと想像してしまう。絵に広がりが出て楽しい。127「一筋肉」の句。その通り。筋肉さえしっかりついていれば転ばず元気で長生き出来るのだ。筋肉は努力さえすれば蘇るらしい。まさに秋うららである。128「錦秋の」の句。日立のコマーシャルソングの「この木何の木」を下敷きにしているものの。錦秋で楽しい一句となった。186「ポケットの」の句。一読しただけで幼子の姿が見えてくる。わが家にも四歳の男の子がいる。まったくこの句の通りである。このごろ靴の汚れがひどくて、とママの呟き。190「どんぐりや」の句。子供ってままごとをやればお母さんに、電車ごっこをやれば運転手に一番偉い人に憧れをもっている。縄電車も同じくなのだ。縄電車の先頭になった子の誇らしい顔が見えるようだ。季語どんぐりで林の景が見えてくる。 鈴木 砂紅(招待)選 9 ここよりは虚数の世界大花野17夜仕事や星の流るる音したか33朴落葉ムーミン谷の道しるべ59出奔のカフカを探す秋の暮121コキアコキア三里のつぼがほぐれゆく特選123秋深しサンドバッグを抱きしめる/川崎果連161ほどほどの色欲熟柿ありがたく (選評)特選に頂いた「秋深し」の句。サンドバッグを思い切り叩いた後の抱擁はいかにもありそうな光景。サンドバッグは他者、例えば家族や友人の比喩とも思える。怒りや悲しみの拳を受容してくれる物(者)への感謝に満ちた句。9 「ここよりは」の句。虚数とは数学的には難解な言葉だが、実数ではない数字として読んだ。見えてくるのは大花野の実体感のない美しさ。17「夜仕事」の句。夜の街の明るさと、夜仕事に従事する膨大な人間の数。その中で流れ星の音を捉えようとする詩人の感性が光る。33「朴落葉」の句。無骨な朴落葉がムーミンの姿に重なる。日本と北欧を繋ぐ童話の世界が愉しい。59「出奔」の句。小説を読むほどにその迷宮に嵌り込んでしまうカフカ。日本的情緒に満ちた秋の暮とカフカの取合せが新鮮。121「コキア」の句。まっ赤なコキアの群生を見た時の、体がほぐれていく感覚を素直に詠んだ。コキアのリフレインが骨の音の様で可笑しい。161「ほどほど」の句。色欲は食欲に通じ、熟柿は熟女に転化する。つい誤読したくなる有難さに溢れた一句。 松田ひろむ(代表)選 11銀杏散るブルーの車走らせ渡辺すみれ25大きめのトートバッグを霧の旅斎藤 藍39秋桜ばたけBGMは百恵ちゃん神田千風58ああ背がまた縮みたり麒麟草津田文江83風くるたびに強くなるらし秋桜鈴木ひろ子特選90メメントモリ朝顔の種手に余る/高矢実來準特選121コキアコキア三里のつぼがほぐれゆく/増田萌子123秋深しサンドバッグを抱きしめる2川崎果連準特選133百目柿今日は雨戸が開いている/鈴木砂紅156大太鼓小太鼓みんな運動会 1小平 湖178鰯雲夫婦元気で今日も留守 2小髙沙羅(選評)特選にいただいた90「メメントモリ」の句。メメント・モリ(memento mori)はラテン語で「死を忘るな」という意味の警句。芸術のモチーフとして広く使われる。それはまた「今を楽しめ」でもある。句は命の犇めきの朝顔の種を手に生きる意味を考えている。準特選121「コキアコキア」の句。ひたち海浜公園であろうか。やはり「三里のつぼ」に焦点をあわせたところが手柄。芭蕉の「おくのほそ道」にも「三里に灸すうるより、松島の月まづ心にかかりて」とある。同じく準特選133「百目柿」の句。いつもは閉まっている雨戸が開いている。柿の成っている明るい空がそうさせたのか。原因を書かずに結果を提示して読者の想像がふくらむ。11「銀杏散る」の句。青い車と銀杏の黄色。色彩がいかにも明るく軽快な一句となった。25「大きめの」の句。旅の弾む思い。それが大きめのトートバッグ。霧が情感を高める。39「秋桜ばたけ」の句。「百恵ちゃん」という砕けた表現が親しみを感じさせる。ただ「秋桜ばたけ」は「コスモス畑」の表記がいいさろう。58「ああ背がまた」の句。実感の句だが「ああ」といって独自感が出た。麒麟草は黄色い花。キリンの名があるが背は高くない。8「3風くるたびに」の句。風雪に耐えての前向きな姿勢に共感。123「秋深し」の句。サンドバッグは叩くものだが、ときには抱きしめたくなることも。それが秋の情感である。156「大太鼓小太鼓」の句。いかにも運動会らしい句で音が聞こえてくることが楽しい。178「鰯雲」の句。「亭主元気で留守がいい」というキンチョウのCMを下敷きにした句。こちらは夫婦で元気。(互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位77 お湯を足すだけのお汁粉文化の日 ⑦ 白石みずき一位121コキアコキア三里のつぼがほぐれゆく ⑦ 増田 萌子三位161ほどほどの色欲熟柿ありがたく ⑥ 松田ひろむ四位9 ここよりは虚数の世界大花野 ⑤ 高橋 透水四位16 カミソリの撫でゆく喉や秋の雷 ⑤ 高橋 透水四位133百目柿今日は雨戸が開いている ⑤ 鈴木 砂紅四位136人生に追試があれば帰り花 ⑤ 高橋 透水八位34 コスモスの揺れが止まった核脅し ④ 翠 雲母八位46 はみ出すのが好きな絵てがみ秋桜 ④ 安原南海子八位90 メメントモリ朝顔の種手に余る ④ 高矢 実來八位131桃の皮するりと剥けて倦怠期 ④ 吉村 きら十二位74千円でお釣りがあって新秋刀魚 ③ 松田ひろむ十二位116コスモスは風音きゅっと抱いている③ 福島 芳子十二位190どんぐりや先頭代わる縄電車 ③ 安藤 利亮(第31全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1胃カメラ合格雀蛤と化す 0 木野俊子2穴惑いここもロボットレストラン 2 高矢実來3どこでより誰とが決め手紅葉狩 2 吉村きら4おかえりなさい見てコキアが真っ赤よ2 高矢実來5聴診器当てぬドクター柳散る 0 松田ひろむ6「お得です」と右往左往のましら酒 0 行成佳代子7蛇穴にトラス首相の退任劇 0 石口 榮8新道(バイパス)に添水の音は響かざり0 石黒宏志9ここよりは虚数の世界大花野 5 高橋透水10秋の陽のこの寂しさを持て余し 2 飯島 智11銀杏散るブルーの車走らせて 2 渡辺すみれ12紅葉かつ散る芥とは呼ばせない 0 鈴木砂紅13白式部老女は少しはにかみて 1 国井 梢14トリックの種を明かせばねこじゃらし1 百目鬼英明15Z世代映える主役の秋の空 0 神田千風16カミソリの撫でゆく喉や秋の雷 5 高橋透水17夜仕事や星の流るる音したか 1 磯部薫子18葱畑のシャベルも憩う午後三時 0 鈴木ひろ子19煮る前の硬いかぼちゃや初対面 0 吉村きら20老いるまで育ちに感謝敬老日 0 高良和子21まだ若いつもり渋谷のハロウイーン0 小髙沙羅22再会の笑顔のこだま秋天に 1 岡崎久子23天高し車夫の背筋隆々と 1 磯部薫子24「絆」から鷗飛び立つゆうゆうと 2 古川和美25大きめのトートバッグを霧の旅 1 斎藤 藍26小路抜けジンジャーの香をふりかぶる1 福島芳子27いつの間にポケットに穴姫胡桃 0 石口りんご28米寿まだ若いつもりや十三夜 2 宮 沢子29抽斗の釦光れり十三夜 1 後藤よしみ30螻蛄鳴くや八百屋お茶屋にワタミ去り 0行成佳代子31老犬に言葉をかけて夜長し 0 望月のぞみ32青天井見えず刈田の潦 0 鈴木砂紅33朴落葉ムーミン谷の道しるべ 2 宮 沢子34コスモスの揺れが止まった核脅し 4 翠 雲母35部屋部屋に秋の日ざしのすき透り 1 飯島 智36鳩時計出番忘れず星月夜 1 望月のぞみ37秋の蛇塒(とぐろ)を巻いて野糞めく0 荒井 類38乱気流にベルト押えて秋そぞろ 1 行成佳代子39秋桜ばたけBGMは百恵ちゃん 1 神田千風40安倍さんの黒い遺産や曼珠沙華 1 翠 雲母41長き夜やショパン奏でる子守唄 1 津田文江42天高し老朽ビルの目地に皹 0 安藤利亮43秋刀魚焼く春夫の歌を口遊み 0 石口 榮44何匹の羊をかぞえ隼人瓜 1 古川塔子45老魔女の赤いマニキュア薬掘る 0 川崎果連46はみ出すのが好きな絵てがみ秋桜 4 安原南海子47木犀の香りあふるるよき日かな 0 郡楽清子48鯖雲や放置自転車積み上がり 1 安藤利亮49星月夜電話をしてもいいですか 2 小髙沙羅50戒名に闘魂入れて赤い羽根 0 神田千風51猪に出会いたくなし郷の夜 0 岩渕純子52コスモスや寺の息子のジャズ木魚 1 荒井 類53ドラゴンドラ全山紅葉死角なく 0 近田吉幸54背が縮むから背高泡立草 1 鈴木砂紅55便箋に透けて挟まる薄紅葉 0 石黒宏志56豆弾いてクロワッサンの秋の朝 0 飯島 智57故郷の松茸とあう奥の松 0 渡辺すみれ58ああ背がまた縮みたり麒麟草 1 津田文江59出奔のカフカを探す秋の暮 2 後藤よしみ60秋晴に寒けのありて氷川さま 0 斎藤 藍61初もみじこのおにぎりが日本一 2 小髙沙羅62新米と小茄子漬け脳整いし 0 郡楽清子63鍵穴の穴の行方や初時雨 2 宮 沢子64弾もうよ紅葉且つ散りタランテラ 0 磯部薫子65うなじへと熱きシャワーを秋の朝 0 飯島 智66二度咲きの金木犀の未練かな 2 高良和子67一年中傘をバッグに鰯雲 0 石口りんご68はぜの天ぷら婆様の昔ばなし 0 木野俊子69那須山の風の手ざわり手と足に 0 岡崎久子70緑黄色社会の歌や小鳥来る 0 荒井 類71いい風とひとり呟く素秋かな 0 白石みずき72大花野恋の小道具使い切る 1 高橋透水73To be or not to be同胞の秋黴雨 0 後藤よしみ74千円でお釣りがあって新秋刀魚 3 松田ひろむ75冬に入る塩が水気を吸い込んで 1 石口 榮76妻恋の追慕の詩(うた)や藤袴 0 翠 雲母77お湯を足すだけのお汁粉文化の日 7 白石みずき78故里の一報重し雁渡る 0 行成佳代子79微笑みの能面怪し秋の宿 1 岩渕純子80二度三度値踏みしてます秋の古書店0 翠 雲母81鳩吹くや日の斑ちらばる森のなか 0 鈴木ひろ子82襟足に男の色香ハロウイン 0 国井 梢83風くるたびに強くなるらし秋桜 1 鈴木ひろ子84今もなほ戦火の記憶吾亦紅 1 斎藤 藍85笑点をながら聞きたる秋の夜 1 岩渕純子86駄句とても思い出日記竹の春 1 白石みずき87リズムよくこの漕ぐ坂や秋高し 0 国井 梢88紅楓ふたり並んでほんのりと 0 渡辺すみれ89ネパールの記憶は消えて霧厚み 0 松田ひろむ90メメントモリ朝顔の種手に余る 4 高矢実來91秋の田をパッチワークの宇宙へと 0 石黒宏志92蜻蛉生る公園響く水の音 0 福島芳子93爽風をかくし味にときりたんぽ 0 安原南海子94母の声色なき風の命日に 0 渡辺すみれ95抽象と具象のはざま蚯蚓鳴く 0 古川塔子96告白します鳳仙花飛んだので 1 石口りんご97梵鐘の余韻の渡る夕花野 1 岩渕純子98椿の実一枝の先の紅ほのか 1 郡楽清子99和顔施(わげんせ)のほとほと今の秋刀魚の値1松田ひろむ100紅葉かつ散る平凡という非凡 1 白石みずき101秋明菊女はきだす吐露一つ 0 国井 梢102秋茜ガンジー像の無精髭 1 近田吉幸103秋夜長一句一句に感性が 0 古川和美104森騒然ピースピースと小鳥たち 0 鈴木ひろ子105水澄むや行政書類粛々と 0 高矢実來106レモン青し二世信者に自由欲し 2 木野俊子107戦争がどこにもなくて赤のまま 1 小平 湖108一徹の自然薯そしてアスリート 0 石口りんご109水澄むや木道はひそと歩むべし 0 鈴木ひろ子110金秋を纏い明日を模索する 2 磯部薫子111鍵・眼鏡探すばかりの日の短 1 安原南海子112露の世の露正露丸くすぐったい 0 古川塔子113酔えばもう新酒も古酒も雲の上 2 石黒宏志114紅葉を受けてポストの口湿る 1 福島芳子115栗飯を仕込み客待つキッチンカー 1 安原南海子116コスモスは風音きゅっと抱いている3 福島芳子117目よりましと難聴を言はれ寒露の日0 高良和子118無口な人生だったな鵙が友 1 木野俊子119蝗とぶ走る子供の目線まで 2 渡辺すみれ120リハビリの未来明るき鰯雲 1 高橋透水121コキアコキア三里のつぼがほぐれゆく7 増田萌子122名月や今は黙って眺めよう 1 津田文江123秋深しサンドバッグを抱きしめる 2 川崎果連124大鳥居を低く潜りて紋白蝶 0 福島芳子125どの笊も痩せし秋刀魚の盛られけり0 百目鬼英明126実は全て木守柿なる高麗郡 1 高良和子127一筋肉二三筋肉秋うらら 2 津田文江128錦秋のこの木なんの木気になる木 1 石口 榮129物価高騰一日おきに小鳥来る 1 小平 湖130満月の海に落として光りの帯 0 郡楽清子131桃の皮するりと剥けて倦怠期 4 吉村きら132エチュードの水平線は鰯雲 0 増田萌子133百目柿今日は雨戸が開いている 5 鈴木砂紅134問診表の初潮閉経欄秋深む 1 高良和子135虎の子のいちじく三個袋掛 1 鈴木砂紅136人生に追試があれば帰り花 5 高橋透水137旅の空着たきり雀の夜寒かな 0 行成佳代子138天高く馬の額の流れ星 0 荒井 類139ミサイルにカルトに障子洗ってる 1 木野俊子140車椅子の人と仮装をハロウィン 0 安藤利亮141お囃子の色鳥香りわきだちぬ 0 神田千風142イナバウアー月に兎がいるように 0 増田萌子143鬼胡桃妊婦の並ぶパチンコ屋 1 川崎果連144万葉の恋は直球照紅葉 2 近田吉幸145鉦叩イギリス首相四十代 0 斎藤 藍146豊の秋スリーサイズはあいまいに 2 吉村きら147自叙伝を犬に聞かせる暮の秋 0 川崎果連148秋霖を待ちて周平橋語り 0 後藤よしみ149東京は孤独な街や秋刀魚焼く 2 石口 榮150会話中のベンチに団栗邪魔をする 0 古川和美151鼬罠あれこれそれの明日である 0 増田萌子152素十忌や鯉の寄せくる夕日影 1 近田吉幸153読むほどに心が見えて爽やかに 0 古川和美154文化の日世阿弥の伝書響きけり 0 近田吉幸155秋の蝶五百羅漢に迷いこみ 1 磯部薫子156大太鼓小太鼓みんな運動会 1 小平 湖157風炉終いそろと扱う大樋焼 0 津田文江158雨だれの秒針のごと賢治の忌 2 飯島 智159鉛筆の尖ってばかり秋桜 2 小平 湖160新米と旗の居並ぶ道の駅 0 石黒宏志161ほどほどの色欲熟柿ありがたく 6 松田ひろむ162十三夜の風に任せて金春湯 0 小髙沙羅163コスモスや二人の時間再稼働 1 宮 沢子164血税は使うなシオンは引き抜くな 1 翠 雲母165びっしりとなにを悲しむ式部の実 0 岡崎久子166落花生きりなくつまみつつ読書 0 岩渕純子167白秋忌栗あんみつは品切れと 0 高矢実來168アントニオ猪木比ぶ仏足水の澄 0 安原南海子169007(ゼロゼロセブン)の俳優叙勲草の花0 荒井 類170極楽と地獄のはざま曼殊沙華 1 白石みずき171スパークリングワイン慣れがあふれる星月夜0吉村きら172センソウヲスルノハオトコ唐辛子 0 川崎果連173元パイロット初冬のパリのラーメン屋1百目鬼英明174うっかりと老いて菊の香菊日和 2 古川塔子175椎茸の石づきも入れ野菜出汁 0 百目鬼英明176全身に香煙浴びて鳥渡る 0 岡崎久子177安売りの秋刀魚三尾や薄暮かな 0 郡楽清子178鰯雲夫婦元気で今日も留守 2 小髙沙羅179月を見て一筋なみだ恋してる 0 望月のぞみ180待つことも待たせることも小春凪 0 宮 沢子181月一つ我の人生ひとり旅 1 望月のぞみ182山ぶどうあの日あの時あのジュース1 石口りんご183もみじ葉を何度もくぐる日差しかな0 安藤利亮184天高し合同句集の名は絆 1 古川和美185八朔を実家弟送り来ぬ 0 斎藤 藍186ポケットの木の実ころころ靴に泥 2 古川塔子187鷹渡る戦死盛りの地を後に 0 後藤よしみ188鰯雲若き女に文を書く 0 望月のぞみ189曜変天目煌めく七百年 0 神田千風190どんぐりや先頭代わる縄電車 3 安藤利亮191虫の声母の棺に五つ紋 0 国井 梢192引き売りの老人ホーム小鳥来る 0 増田萌子193四の日は妻の用足し鰯雲 1 小平 湖194CO2吸ふ力なく散る枯葉 0 百目鬼英明195み込めぬ丸薬ひとつ葉鶏頭 2 岡崎久子(第32回鴎座通信句会)投句締切=11月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年11月01日
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第30回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第30回鴎座通信句会は39名195名でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、同人会長・編集長・副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第30回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。 石口 榮(編集長)選 10金木犀息を大きく吸っている13耳元を過ゆく風もやっと秋46何もない日々が幸せ秋桜特選64きのこ汁気づけばまたも愛妻句/小髙沙羅102村祭り雑踏を行く有袋類107乗り越して梨三つが泣いている184時間泥棒がスマホに潜む秋(選評)特選にいただいた64「きのこ汁」の句。鴎座では愛妻句を詠む方が数名。朝食の味噌汁や茸汁は妻の日常であろう。しかし茸にはときどき毒もある。愛妻句といっても妻はそれを信じているのだろうか。句は「またも」にちょっぴり皮肉が籠められているようだ。その複雑なところも秀句の条件である。10「金木犀」の句。金木犀は控え目な花ながら存在感を示す香りを放つ。その甘い香りに誰しもが立ち止まり深呼吸がしたくなる。口語表現がやわらかい。13「耳元を」の句。季節の変化を耳で感じ取った皮膚感覚。長く暑かった夏から逃れたい思いが「やっと秋」に表白。暑さ寒さも彼岸までである。46「何もない」の句。人は日常が非日常になった時不幸と感じる。何もない日々を過ごせることが幸せなのである。平穏無事が幸せと秋桜(コスモス)が言っているようだ。102「村祭り」の句。置き去りで子供を死なす、暗いニュースが最近多い。祭りの日抱っこ紐に入れて一緒に出かける親子。正面から見たその様子をカンガルーのような有袋類と捉えた。107「乗り越して」の句。うっかり乗り越して先まで行ってしまった。買った梨も一緒である。泣いたのは作者自身であるが、あたかも梨が泣いているような擬人化に惹かれた。184「時間泥棒」の句。秋の夜長スマホに夢中の作者。時間が失われる様子を泥棒と言った措辞に共鳴した。まさにスマホは時間ロスの魔物である。 小髙沙羅(同人会長)選 61盃に五山送り火明日は明日73同病の子規の目線の鶏頭花109つまづかず遅れず喜寿のとろろ汁113小鳥来る釈明いつもじれったい121大袈裟に相槌を打つ黄落期126金木犀二度目のチャイム強く押す特選138二年三組向日葵の種をとる/小平湖(選評)特選の138「二年三組」の句。なにも難しいことは言っていない。二学期が始まりクラスの友達と仲良く向日葵の種をとっている。二年生だけに、また来年への楽しみの様子が微笑ましい。61「盃に」の句。五山の送り火をお酒や水に映して飲むと無病息災に暮らせるという。「明日は明日」にこれからの人生への期待を感じる。73「同病の」の句。子規と同病とは切ない。109「つまづかず」の句。喜寿と言っても元気をつける「とろろ汁」ならではの句。113「小鳥来る」の句。偉い人ほど釈明には時間がかかる。「小鳥来る」は庶民なのだろう。121「大袈裟に」の句。これは誰もが経験するかも。あるあると納得。「黄落期」は対象のお歳と重なる。126「金木犀」の句。「二度目のチャイム」が効いている。ついつい二度も三度も押してしまうが、それも金木犀の家ならではの妙。後藤よしみ(副編集長)選 10 金木犀息を大きく吸っている20 初恋を忘れていても蚯蚓鳴く36 持ち主のない満月と会話せり52 長き夜やAIに訊く恋の道103 台風圏見知らぬ人の訪ねけり特選150 蝉の声聞かなくなればまた一人/古川和美160 案山子案山子風は力を抜いており(選評)特選の150「蝉の声」の句。蝉も台風が通過すると衰え、聞かなくなる。蝉の声は夏の声で人生の輝かしい時期でもある。家族に囲まれていた時代。その後の一人の長い時期。人生の季節を教えてくれる。10「金木犀」の句。その香を肺細胞が取り込むと人は幸せとなる。銃を持つ手も力を失う。魔法の香り。20「初恋を」の句。人生に追われると若き日の恋を忘れがちである。しかし、人生は刻々と進んでゆく。36「持ち主の」の句。月は誰のものでもない。その黙契の月と一人語らう。幻想的な楽しさが溢れる。53「長き夜や」の句。老いも若きも人の心をつかむことに苦心する。機械に訊いた方が心は軽くなるのだ。103「台風圏」の句。台風襲来でも人は出歩く。突然、見知らぬ人が戸を叩く。台風のみせる幻覚かもしれぬ。160「案山子案山子」の句。十字の心棒に顔と手が付いた案山子。力の入りっぱなしの案山子を風が揶揄う。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 36持ち主のない満月と会話せり40この辺り少し省略秋ともし50いのこずち近道をきて迷いけり特選109つまづかず遅れず喜寿のとろろ汁/増田萌子135夜の秋知らず知らずに指折って142こそあどで足りる会話の新豆腐184時間泥棒がスマホに潜む秋(選評)特選に頂いた}109「つまづかず」の句・喜寿は(「喜」の字の草体「㐂」が「七十七」と読まれるところから)七十七歳の喜の字のお祝いと言われる。自分のペースで人生百年時代を目指すのはこれからだ。「つまづかず」の自分を戒めているのも、季語のとろろ汁も効果的。36「持ち主の」の句。満月は皆のもの。今年の九月十日の満月は素晴らしく感動した。月と会話する気持がよくわかる。40「この辺り」の句。この辺りってどの辺りか想像が広がる・省略して気持ちの余裕もでた秋の夜長、一句ひねるのもいい。50「いのこずち」の句。昔から急がば回れというけれど、誰にでもついて行く季語の「いのこずち」を擬人化して・ウイットに富んだ句となった。136「夜の秋」の句―季語「夜の秋」は夏の終わりごろの、まだ暑さの残るころ。知らず知らずに指を折るとは秀句に違いない。142「こそあど」の句・「こそあど」とは「ここ・そこ・あそこ。どこ」という体系・夫婦も年数がたつとこれで通じてしまうから不思議、夫婦円満で微笑ましい。184「時間泥棒」の句。便利なものは使い方次第で良くも悪くも。秋の夜長・。覚えのある方スマホに潜むのは時間泥棒ですよ。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 46何もない日々が幸せ秋桜74とは言えどパクチー好きずき十三夜88未来とは黄泉に旅立つ白地着て95晩年はコスモスの揺れに任せよう特選156ふらふらと茶柱が立つ敬老日/行成佳代子175スーパーで焼き秋刀魚買うハイヒール190とんぼとんぼきょうはとんぼになりたい日(選評)特選にいただいた156「ふらふらと」の句。ふらふらが茶柱が浮いているようにも取れるし年寄りがふらついているようでもあり、クスッと笑ってしまった。俳諧味たっぷりの句である。46「何もない」の句。昨日と変わりない今日一日、平凡だがそれがなにより。年を重ねたからこそ感じる一句。74「とは言えど」の句。まず上五の出だしが新鮮。パクチーは本当に好き嫌いの激しい野菜である。その極端さを十三夜で柔らかくしている。88「未来とは」の句。いまは旅立つ人に白地の着物を着せるのは少ない。故人が一番好きだった服を着せて送る。徐々に時代は変わっている。95「晩年は」の句。穏やかな老後が想像できる。出来たらそういう生き方をしたいと思わせてくれる句。175「スーパーで」の句。この句はハイヒールが効いている。ハイヒールを履いた颯爽とした若い女性が焼き秋刀魚を買っている。そのアンバランスが俳諧味である。190「とんぼとんぼ」の句。とぼけていてなんとなく面白い。そういう日もあるだろうと妙に納得してしまう句。 鈴木 砂紅(招待)選 12ねこじゃらし老後のプラン風まかせ特選30爽やかや全方位より蜂起雲/鈴木ひろ子36持ち主のない満月と会話せり60平成のあくび指南や葱鮪鍋72持て余す再建乳房乱れ萩138二年三組向日葵の種をとる156ふらふらと茶柱が立つ敬老日(選評)特選に頂いた「爽やか」の句。一読、秋の空を詠んだ写生句だが、箒雲(巻雲)を蜂起雲と表記したことで現代社会の様相を描写。全方位より蜂起するのは反戦、環境保護、或いは貧困に喘ぐ人々の声なき声ではないか、と思わせながらも俳諧風な味付けが愉しい。12「ねこじゃらし」の句。生きがいも終活も重すぎる。軽々と老後を歩くには、風まかせのプランで沢山。蕉風俳諧の軽みに通ずる句。36「持ち主」の句。満月は独り占めできない。誰の物でもない自然は、畏怖すべき対象だからこそ親しく会話できる相手。60「平成」の句。葱鮪鍋とあくび指南の光景は、同名の落語と同様にシュールで面白い。江戸時代と現代を繋ぐ人間の行為の無意味さ。72「持て余す」の句。体の一部が異物の様な感覚なのだろうか。経験はないがその切実さは想像できる。掲句が希望の一歩となる事を祈りたい。138「二年」の句。種とりは小学校の年中行事だが、二年三組と明記したことで実景がはっきり見えた。みんなで手を動かすのはリモートでは出来ないこと。156「ふらふら」の句。敬老日につき過ぎる感はあるが、面白くて頂いた。どんなオノマトペを使おうと、茶柱が立つのは吉兆に違いない。 松田ひろむ(代表)選 20初恋を忘れていても蚯蚓鳴く24九月場所遠くで祖母の声がする30爽やかや全方位より蜂起雲 61盃に五山送り火明日は明日 特選67鬼灯を揉んで出る出る武勇伝/吉村きら72持て余す再建乳房乱れ萩91栗ご飯ひらりひらりと歳重ね113白露かな断捨離はもうやめました117ばばあ色と母なら言はむ秋衣166根を伸ばせコスモス憲法十九条準特選191生きてゐる証の癌や尉鶲/荒井 類(選評)特選にいただいた67「鬼灯を」の句。鬼灯を揉んで中身を出し、きれいな袋にするのはなかなか難しい。それを口に含んで鳴らすのはさらに難しい。それを易々とする女の子は自慢顔である。そんな姿を武勇伝といっているのだろう。なつかしさの句。準特選の191「生きてゐる」の句。癌とともに生きる作者。季語のジョウビタキは鳴き声が火打石の音に似ていることから。そんな切ない声とともに生きているのである。20「初恋を」の句。初恋は遠くなっても恋心はいつまでも。鳴くという蚯蚓の声を聴いている作者。24「九月場所」の句。相撲好きだった祖母の声はいつまでも。相撲は秋の季語だが九月場所といって現代の大相撲。30「爽やかや」の句。「蜂起雲」は箒雲つまり巻雲のこと。蜂起は何に対してとは書かれてはいないが、例えば安倍国葬反対という国民の怒りとしてもいい。それが「全方位より」の措辞になった。61「盃に」の句。盃に映る五山の送り火に、故人を思いながらも、過去は過去として明日を見ている作者なのだ。72「持て余す」の句。乳がんで全摘した乳房の再建。乱れ萩と持て余すはやや付き過ぎだが、切実さに打たれた。91「栗ご飯」の句。ここはなんといっても「ひらりひらり」のオノマトペが軽妙。113「白露かな」の句。「断捨離」よりもまだまだ欲しいものは欲しい。これもさっぱりと明日を信じている句。117「ばばあ色と」の句。おそらくはお歳をめしても地味な服を嫌った母上だったのだろう。存命ならそんな「ばばあ」のような服を着てと叱られている。やや複雑な心境の句。166「根を伸ばせ」の句。憲法十九条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とある。それへの思いが「コスモス根を伸ばせ」である。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位156ふらふらと茶柱が立つ敬老日 ⑧ 行成佳代子二位31 蓮の実が飛んで原発再稼働 ⑦ 行成佳代子二位72 持て余す再建乳房乱れ萩 ⑦ 安藤利亮四位12 ねこじゃらし老後のプラン風まかせ⑥ 望月のぞみ五位46 何もない日々が幸せ秋桜 ⑤ 岡崎久子五位50 いのこずち近道をきて迷いけり ⑤ 川崎果連五位67 鬼灯を揉んで出る出る武勇伝 ⑤ 吉村きら 八位36 持ち主のない満月と会話せり④ 安原南海子八位126金木犀二度目のチャイム強く押す④白石みずき八位142こそあどで足りる会話の新豆腐④ 吉村きら八位150蝉の声聞かなくなればまた一人④ 古川和美八位184時間泥棒がスマホに潜む秋④ 岡崎久子十三位10金木犀息を大きく吸っている③ 松田ひろむ十三位20初恋を忘れていても蚯蚓鳴く③ 望月のぞみ十三位30爽やかや全方位より蜂起雲③ 鈴木ひろ子十三位41台風は中国苦手右折する③ 石黒宏志十三位44つくつくし勝ち負けどうでもいいゲーム③鈴木砂紅十三位64きのこ汁気づけばまたも愛妻句③ 小髙沙羅十三位78明日の色決めかねている秋の風③ 岡崎久子十三位95晩年はコスモスの揺れに任せよう③ 石口 榮十三位109つまづかず遅れず喜寿のとろろ汁③増田萌子十三位139季語さぐる良夜に源氏物語③ 翠 雲母十三位160案山子案山子風は力を抜いており③増田萌子十三位191生きてゐる証の癌や尉鶲③ 荒井 類 (第30全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1鳥帰るいとど涙の遠の島 1 近田吉幸2もしかして虫の気配の墓誌を拭く 0 宮 沢子3どっどどどどうど風の三郎空を飛ぶ 0 松田ひろむ4今日のレシピ気長に栗を剥く 0 石口りんご5発熱は死への入口穴まどひ 0 百目鬼英明6優秀賞はこうへいの歌蝉しぐれ 0 古川和美7国葬は捨て案山子か時の矢か 0 木野俊子8確証を得て霧は山に湧き出して 0 福島芳子9月魄の切能ならば安達ヶ原 0 後藤よしみ10金木犀息を大きく吸っている 3 松田ひろむ11目ひかりをころりと焼いて菊の酒 1 宮 沢子12ねこじゃらし老後のプラン風まかせ6 望月のぞみ13耳元を過ゆく風もやっと秋 2 岩渕純子14初秋や朝から体が良く動く 1 国井 梢15台風があって気温の下がり過ぎ 0 古川和美16留守電にお元気ですかと良夜かな 2 安原南海子17オンライン月見自慢や時共に 0 郡楽清子18秋分や本屋に寄りて二三冊 0 斎藤 藍19雨上がり初秋の日差しや美術館 0 郡楽清子20初恋を忘れていても蚯蚓鳴く 3 望月のぞみ21BGMはカノン花野から花野へ 1 古川塔子22九月一日生れべこの子人見知り 0 増田萌子23秋彼岸息子に頼む香華かな 0 斎藤 藍24九月場所遠くで祖母の声がする 1 渡辺すみれ25花野より結婚話届いたよ 1 石口りんご26英国葬栗の鬼皮剥きながら 1 安藤利亮27秋風や恋は引っかき傷ほどに 1 高橋透水28グレーヘアーが流行ですから銀木犀1 石口りんご29秋涼の同じ病の姉妹 0 国井 梢30爽やかや全方位より蜂起雲 3 鈴木ひろ子31蓮の実が飛んで原発再稼働 7 行成佳代子32母子家庭の児童転出鰯雲 0 安藤利亮33母米寿染みだ白髪だねこじゃらし 0 高矢実來34迷い人のお知らせメール虫の闇 0 鈴木砂紅35枝豆の産毛を擦り瀬戸の塩 1 望月のぞみ36持ち主のない満月と会話せり 4 安原南海子37そぞろ寒共感力の一家なら 1 信岡さすけ38自然派のふすま入りパン秋高し 1 高矢実來39堪忍の煙茸はまとめ買い 0 信岡さすけ40この辺り少し省略秋ともし 1 安原南海子41台風は中国苦手右折する 3 石黒宏志42カマキリの威嚇笑いこらえる緊張感2 国井 梢43サルビアやレジ袋ならいりません 0 荒井 類44つくつくし勝ち負けどうでもいいゲーム3 鈴木砂紅45秋彼岸区役所なおす次世代へ 0 渡辺すみれ46何もない日々が幸せ秋桜 5 岡崎久子47竜胆の好みじゃないの雨男 0 石黒宏志48天高しわずかに動き出す海馬 1 小髙沙羅49時刻表見つつ種なしの柿かじる 0 木野俊子50いのこずち近道をきて迷いけり 5 川崎果連51風太郎たまには帰れ野菊の里 2 翠 雲母52稲妻をつかみ真弓を引くばかり 0 後藤よしみ53ゆっくりと何かがもれて文化の日 0 信岡さすけ54長き夜やAIに訊く恋の道 1 高橋透水55手作りの果実酒一献秋の夜 0 岩渕純子56風死して疲れきったる旅鞄 0 中村ふみ57病みあがり塔のへつりの沢胡桃 0 宮 沢子58天の川横切って行く宇宙船 1 岩渕純子59周子さん会えないままに秋ですね 0 小髙沙羅60平成のあくび指南や葱鮪鍋 2 信岡さすけ61盃に五山送り火明日は明日 2 古川和美62遅れぐせの時計のねじ巻く台風裡 1 鈴木ひろ子63月天心未来をひらく「キーウの月」 0 宮 沢子64きのこ汁気づけばまたも愛妻句 3 小髙沙羅65ひとけなき館トルソーの秋湿 0 磯部薫子66枯れてなお立つ向日葵の美しき 0 郡楽清子67鬼灯を揉んで出る出る武勇伝 5 吉村きら68種朝顔一たす一は二に非ず 0 安原南海子69名月やたしかにあった若い日々 2 吉村きら70手に残る十薬の香の力かな 0 鈴木砂紅71豊の秋いいことよりも美味いもの 0 安原南海子72持て余す再建乳房乱れ萩 7 安藤利亮73同病の子規の目線の鶏頭花 1 高良和子74とは言えどパクチー好きずき十三夜1 古川塔子75こんな日は酔ひの早まる秋夕焼 0 中村ふみ76取り敢えず百歳までと敬老日 0 津田文江77アールグレイや満月を置き去りに 0 小平 湖78明日の色決めかねている秋の風 3 岡崎久子79霜の朝ヒュッテの娘から味噌汁を 0 安藤利亮80ラビュー過ぐ行く手に広がる鰯雲 0 高良和子81お茶日和刻み栗入り麦こがし 0 斎藤 藍82プチプチでくるみトマトの一個買ひ0 高良和子83泥水をすすりし戦夏の蝶 0 福島芳子84アペリティフ睡蓮ひらくとき開く 0 古川塔子85風船葛ときにハートにならぬ子も 0 高矢実來86曼珠沙華ツンツン伸びて横並び 0 渡辺すみれ87この月のため購(あがな)ひしレンズかな0 荒井 類88未来とは黄泉に旅立つ白地着て 1 中村ふみ89すたすたと値上げシーズン桃冷す 0 古川塔子90貴党とカルトで九月合同葬どうぞ 1 鈴木ひろ子91栗ご飯ひらりひらりと歳重ね 2 小髙沙羅92海鳴りを消す一本の曼殊沙華 0 白石みずき93群とんぼ空間行間走ろうか 0 増田萌子94軒下にその時を待つ月今宵 0 行成佳代子95晩年はコスモスの揺れに任せよう 3 石口 榮96車椅子入れて広がる踊の輪 0 近田吉幸97巨峰切る仕事はいつも上を向き 0 古川和美98スマホからマツケンサンバ秋夕焼 0 近田吉幸99紅葉かつ散るいつの間に高層ビル 0 石口 榮100野菊のような男と眠る月夜茸 2 翠 雲母101秋風やないしょ話に左耳 1 高良和子102村祭り雑踏を行く有袋類 1 翠 雲母103台風圏見知らぬ人の訪ねけり 1 磯部薫子104そうだっぺっ郷の訛や箒草 1 岩渕純子105からくりのぎこちなきかな菊人形 1 川崎果連106蛇穴に入る猫に尾つぽを叩かれて 0 百目鬼英明107乗り越して梨の三つが泣いている 2 増田萌子108キツネダンス常盤木落葉蹴りながら0 国井 梢109つまづかず遅れず喜寿のとろろ汁 3 増田萌子110一滴をわびつくしたる秋の水 0 後藤よしみ111すりこぎに国旗はためく痩せ案山子0 川崎果連112小鳥来る釈明いつもじれったい 2 小平 湖113白露かな断捨離はもうやめました 1 津田文江114天高し銀座通りをマリオカー 0 百目鬼英明115長寿国なれど貧困ピラカンサ 2 白石みずき116秋の夕巨大母艦の煙消え 0 石黒宏志117ばばあ色と母なら言はむ秋衣 2 高良和子118鬼胡桃ホストをやめる源二郎 1 川崎果連119鳥兜窓にひっそりと飾りたる 0 津田文江120反転攻勢ウクライナまで鰯雲 0 松田ひろむ121大袈裟に相槌を打つ黄落期 2 石口 榮122木の香通り抜けたる安普請 0 宮 沢子123露草にずうずうしいと読み仮名を 1 石黒宏志124虫の闇覚えきれないマイナンバー 2 岡崎久子125百代の過客子猫のあとに我も 0 鈴木ひろ子126金木犀二度目のチャイム強く押す 4 白石みずき127青虫の臭角にょきり台風圏 0 磯部薫子128白さるすべり脳神経外科は嫌 0 鈴木砂紅129彼岸花覆いかぶさる古きこと 0 国井 梢130韓鶴子ふるふる鵙の贄ばかり 1 松田ひろむ131落し水帰国の近い実習生 0 川崎果連132女郎花柵よりいづる猫の道 0 百目鬼英明133秋彼岸本妻と後妻同じ墓 0 津田文江134落人部落の暮色に浮かぶ蕎麦の花 1 行成佳代子135夜の秋知らず知らずに指折って 1 古川塔子136酔芙蓉主亡き庭に今年また 0 岩渕純子137芋名月食糧危機のどまんなか 0 木野俊子138二年三組向日葵の種をとる 2 小平 湖139季語さぐる良夜に源氏物語 3 翠 雲母140鯖雲のうしろにかすか昼の星 0 荒井 類141居心地の良きに溺れてサザエさん 1 福島芳子142こそあどで足りる会話の新豆腐 4 吉村きら143朝顔をたくさん咲かせて誘われて 0 福島芳子144LINEにて満月届き飽かずをり 0 中村ふみ145恋文の起承転結式部の実 0 石口 榮146茹で卵つるりと落ちて秋深む 0 中村ふみ147秋の虹どこかで観てて元気です 0 渡辺すみれ148虹色の青春捨てし妹恋し 0 福島芳子149星めぐる夢のきざはし烏瓜 0 近田吉幸150蝉の声聞かなくなればまた一人 4 古川和美151天狗棲む由来の深山紅葉狩 0 近田吉幸152掻き分けど人の気配のなき花野 0 磯部薫子153台風や洗いきれない放射能 0 高橋透水154菊人形鎌倉殿は二人居ず 0 後藤よしみ155芋嵐横綱大関総崩れ 0 鈴木砂紅156ふらふらと茶柱が立つ敬老日 8 行成佳代子157親知らず残る一本敬老日 0 吉村きら158資産家の壮婦が狙ひ鉦たたき 1 百目鬼英明159秋の暮英日ともに国葬を 0 斎藤 藍160案山子案山子風は力を抜いており 3 増田萌子161秋の蝉木の間に声の心地良き 0 郡楽清子162三階まで新米匂う炊ける頃 0 石口りんご163蓮の実飛ぶそこは戦地のウクライナ1 石口 榮164服なんて着たもの勝ちよ曼珠沙華 2 高矢実來165高空の帰燕半旗をかえりみず 0 後藤よしみ166根を伸ばせコスモス憲法十九条 2 木野俊子167白露降る双葉の上に一つづつ 0 石黒宏志168精一杯恋の弾ける鳳仙花 1 高橋透水169初紅葉学びの友と有楽町 0 渡辺すみれ170唐辛子遺影の笑(ゑみ)のにこやかに 0 荒井 類171国葬の反対のデモ秋高し 1 高橋透水172この相は苦労しますよ秋の蝶 0 高矢実來173痩せていて少し塩っぱい新秋刀魚 1 小髙沙羅174虫時雨濃茶の点前始まりて 0 津田文江175スーパーで焼き秋刀魚買うハイヒール2 望月のぞみ176背丈越す紫苑つくづく天上花 0 鈴木ひろ子177長き夜のいつまで続く独り言 0 望月のぞみ178夫婦です酌み交すことない新酒 0 石口りんご179秋刀魚焼く射程圏内の裏庭 0 岡崎久子180水澄むや踏絵のような壺ひとつ 1 木野俊子181句会あり国葬があり稲の花 1 小平 湖182はからずも母の歳越え敬老日 0 吉村きら183老人の日の吊革に遊ぶかな 0 小平 湖184時間泥棒がスマホに潜む秋 4 岡崎久子185片隅にカンナの矜恃そこにあり 0 郡楽清子186ゆく秋やワインレッドの靴を買う 0 白石みずき187名伯楽の言葉訥々いわし雲 0 行成佳代子188仲秋の名月に捧ぐ団子持て 0 斎藤 藍189売り声の成城石井初秋刀魚 1 松田ひろむ190とんぼとんぼきょうはとんぼになりたい日 2翠雲母191生きてゐる証の癌や尉鶲(じょうびたき)3 荒井 類192季語派から温暖化派へ秋の肥え 1 信岡さすけ193新米や夫のお尻の安定感 1 磯部薫子194「さよなら」と言わず「じゃあね」秋深む1白石みずき195雄蕊に露の溢れてちんぐるま 0 安藤利亮 (第31回鴎座通信句会)投句締切=10月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年10月01日
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ピンチはチャンス!新型コロナウイルス感染症に負けない●第30回鴎座通信句会の締切は24日です新型コロナウイルス感染症は第七波に。まだまだ予断を許しません。しかし俳句で免疫力アップです。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第30回投句締切 9月24日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。投句はメール・FAXなどにて。FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、小高沙羅(同人会長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、小平湖(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 9月29日(必着)選句結果・講評は10月2日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はいたしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会画像は金木犀 by Wikipedia第29回上位作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上一位102梨むいてつくづくここは水の星⑨ 石口りんご二位69 雑談をはみ出す本音秋扇 ⑥ 岡崎久子三位8 頬赤く白河を超え新松子 ⑤ 田辺 花三位58 曖昧な明日へ伸び行く凌霄花 ⑤ 岡崎久子三位84 夜蝉鳴くさくっと後期高齢者 ⑤ 増田萌子三位158敗戦忌私も語り部のひとり ⑤ 中村ふみ三位201国葬も癒着もすべて霧の中 ⑤ 百目鬼英明八位9 酔えばすぐ突撃という生身魂④川崎果連八位75 骨上げの待合室に日焼けの子 ④安藤利亮八位79 八月のマトリョーシカは銃抱く④後藤よしみ八位107黒薔薇一輪八十過ぎも誕生日④松田ひろむ八位133どの傘も骨を透かせて原爆忌④川目智子八位154国葬やもり蕎麦ですかかけですか④荒井類八位214見えそうで見えぬ晩年烏瓜④白石みずき十五位5別れ際のふいの抱擁霧深し③望月のぞみ十五位17さらさらと重陽の日の米を研ぐ③宮 沢子十五位31メメントモリ熱帯夜なら北枕 ③古川塔子十五位32関係は確かにあった黄金虫③小髙沙羅十五位41新涼や吊り広告の無き車内③安藤利亮十五位43耳熱くしてささやきを待つ芙蓉③岡崎久子十五位100ひらがなの暮し朝顔は水色③小平 湖十五位128閣僚に鳥語の混じる秋初め③高橋透水十五位133どの傘も骨を透かせて原爆忌③川目智子十五位162グラジオラス結婚指輪回らない③磯部薫子十五位164鈴虫に耳を盗られて帰れない③小平 湖十五位172秋澄むやマスクをそっと外す時③高矢実來十五位193流れ星白河の関いま越せり③後藤よしみ十五位203さよならは秋が似合うという女③高橋透水十五位210仙人掌の花救急車待機中③翠雲母十五位216蝉時雨ここから特攻機は飛んだ③高矢実來
2022年09月20日
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第29回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第29回鴎座通信句会は44名220句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。鴎座俳句会 代表 松田ひろむ<第29回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選 16山梨で迎火のはず東京で特選41新涼や吊り広告の無き車内/安藤利亮58曖昧な明日へ伸び行く凌霄花69雑談をはみ出す本音秋扇79八月のマトリョーシカは銃抱く110にぎり飯刈田に礼を言いながら149夏の風邪遠慮しながら咳をする (選評)特選にいただいた41「新涼や」の句。端から端まで吊り広告があると車内も鬱陶しい。吊り広告のない電車が走っているのだろうか。吊り広告が無いことの発見。車内を通り抜ける風が心地良い。正に新涼である16「山梨で」の句。コロナ禍で帰省出来なかったのであろう。故郷への思慕と祖先崇拝はつづくが、それも東京でというのは切ない。58「曖昧な」の句。明日のことは誰も分からない。だから人生は愉しいのだ。凌霄花は上へ上へと伸びる。花言葉は「名声」「名誉」。曖昧と言いながら未来は明るい。69「雑談を」の句。雑談も長いと本音がぽろっと出る。その本音を隠す秋扇だろうか。79「八月の」句。ロシアによるウクライナ侵攻から半年以上になる。兵不足がマトリョーシカにまで銃を抱かせた。八月は重く色々な出来事と重なる。110「にぎり飯」の句。嫌みのないサッパリした句。今食べている握り飯も昨年、目の前の田圃で取れた物。感謝の気持ち。149「夏の風邪」の句。コロナ禍にあって人前で咳をするのも憚られる。咳は冬の季語であるがこの場合は気にならない。 小髙沙羅(副編集長)選 26コロナ禍の海の日山の日持て余す53音ばかりの花火だけれど背を押され100ひらがなの暮し朝顔は水色 107黒薔薇一輪八十過ぎも誕生日特選193流れ星白河の関いま越せり/後藤よしみ209夾竹桃が嫌いでしたね志乃さん214見えそうで見えぬ晩年烏瓜(選評)特選の193「流れ星」の句。白河の関はいうまでもなく東北の古代の関所。今年の高校野球、甲子園では仙台育英高校が優勝し、始めて優勝旗が白河の関を超えた。忘れられない感動の一句。季語の流れ星は希望の星の象徴。26「コロナ禍の」の句、たしかに「海の日山の日はなんだかぴんとこない日。53「音ばかりの」の句。明治神宮の花火は音だけと思っていたが、よく見るとなんと我が家からも見えた。音だけだけでもわくわく。100「ひらがなの」の句。ひらがなの暮しは平穏の意味だろう。朝顔も平凡な水色がいい。107「黒薔薇一輪」の句。黒薔薇がなにげなく八十過ぎを表している。「過ぎも」の「も」に思い。209「夾竹桃が」の句。夾竹桃は焦土の花という。志乃さんを忘れないやさしい作者。214「見えそうで」の句。明日も晩年もまったく見えない現代。納得。烏瓜もぶらぶら。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 9酔えばすぐ突撃という生身魂32関係は確かにあった黄金虫37新涼や手抜き料理もそろそろに69雑談をはみ出す本音秋扇128閣僚に鳥語の混じる秋初め/高橋透水158敗戦忌私も語り部のひとり174暑すぎて書いてまた消す予定表」(選評)特選にいただいた128「閣僚に」の句。安倍晋三元総理がテロによりなく亡くなられ、その直後から連日報道されている閣僚などと宗教団体との関係。釈明会見の閣僚の歯切れの悪さ。それを「鳥語」とは面白い表現、季語の「秋初め」の斡旋もいい。9「酔えばすぐ」の句。七十七年前の戦争で九死に一生を得た老人の辛い記憶は生涯忘れることはないのだろう。32「関係は」の句。この句は謎解きのようだが、今なら国会議員と宗教団体との繋がりだろう。それを黄金虫にも聞いてみたい。37「新涼や」の句。暑い日が統くと少し手抜き料理になることもある。季語は「新涼や」でこれからは食欲の秋美味しく作り美味しく頂きたい。69「雑談を」の句。扇で口元を隠しつつときどき本音が、だから雑談は面白いのだ建前ぱかりじやねえ。158「敗戦忌」の句。終戦は私が一歳の時なので戦争の記憶はないが、子供の頃を思うと言いたいことは当然ながら戦争は絶対反対だ。174「暑すぎて」句。今年の夏は危険な暑さで何度も予定を変更した作者、書いて消すに実感。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 56夏草やふるさと背負い甲子園特選73ウクライナの水は澄まない水の秋/石口りんご162グラジオラス結婚指輪は回らない172秋澄むやマスクをそっと外す時176さみしさは鶏頭のせい君のせい193流れ星白河の関いま越せり201国葬も癒着もすべて霧の中(選評)特選にいただいた73「ウクライナ」の句。こんなに長い戦いになるとは誰も想像していなかった。当たり前の生活が大きく崩れ水澄む気持のいい秋を迎えることが出来ない。本当に気の毒で他人事とは思えない。56「夏草や」の句。自分が生まれ育った土地は意識しなくても愛しているのだ。だから自分のためだけではなく頑張っているのだ。夏草が球児の瑞々しさを象徴しているようだ。162「グラジオラス」の句。素直に指が太くなったと取った。きっと幸せ太りで指輪がきつくて回らないのだろう。グラジオラスもちょっと意地悪そうにのぞいているのだ。172「秋澄むや」の句。なんでもない句だがそっと外す時に今の現実感があってわかる、わかると言いたい句。176「さみしさは」の句。さみしさを鶏頭の花のせいにしたり君のせいにしたり秋だから詠める句。193「流れ星」の句。みちのくの玄関と言われながらも地味な存在だった白河の関。このたび仙台育英高校の快挙によって注目された。千年の扉を開いたような季語の流れ星がよく効いている。201「国葬も」の句。すべて霧の中、言い得て妙。一読してわかるが怒りも収まらない。 鈴木 砂紅(招待)選 31メメントモリ熱帯夜なら北枕75骨上げの待合室に日焼けの子79八月のマトリョーシカは銃抱く100ひらがなの暮し朝顔は水色116冷房の微温微風という時代特選151未草そろそろお茶のアリスだわ/磯部薫子206健在の百の味蕾や新豆腐(選評)特選に頂いた「未草」の句。いつものお茶の時間が、突如不思議の国のアリスの奇妙なお茶会に変貌する瞬間の鮮やかさ。実体のないワイン・解けない謎解き・退屈な話の果てに一滴のお茶も飲めないアリスの姿は、作者自身の姿に重なる。妄想の様でもあり、日常への真摯な問いかけとも読める。31「メメントモリ」の句。北枕は「死を忘れるな」という警句と呼応しているようで、実は熱帯夜を涼しくする方便。俳諧風の諧謔が愉しい。75「骨上げ」の句。実景を飾りなく詠んで、生と死を明るく描いて見せた。79「八月」の句。入れ子作りのマトリョーシカは、開けても開けても銃が出て来るばかり。正にそれがロシアという国の本質。100「ひらがな」の句。下町の気取りのない暮しへのオマージュとして読んだ。ひらがなと水色の取り合せが粋。116「冷房」の句。現代を象徴する「微温微風」に思わず笑う。お陰様で人間は長生きにり、人生を持て余す。206「健在」の句。新大豆を使用した本物の新豆腐は絶滅したと思っていたが、検索したらネット販売されていた。現代人の飽くなき味蕾の健在に脱帽。 松田ひろむ(代表)選 5別れ際のふいの抱擁霧深し特選9酔えばすぐ突撃という生身魂/川崎果連77客先の角切り西瓜フォーク付き84夜蝉鳴くさくっと後期高齢者122頼朝が船出のみなと青蜜柑133どの傘も骨を透かせて原爆忌準特選151未草そろそろお茶のアリスだわ/磯部薫子182敗戦日大本営誰がいなくなる184秋桜ときどきジャンプしたくなる186再放映の「ひまわり」ゆれて戦禍の地特選216蝉時雨ここから特攻機は飛んだ/高矢実來(選評)特選にいただいた94「酔えばすぐ」の句。「突撃」は戦争体験者の叫び。私の父も朝子供が寝ていると突然「起床!」と叫んだ。生身魂と言われても記憶は残る。準特選の151「未草」の句。未草は古来の睡蓮。未の刻 (午後二時) に花が咲くための名。そんなお茶の時間だがアリスと違ってお茶を楽しむ作者。不思議の国のアリスは不条理な童話だが俳人必読。頭が軟かくなる。同じく準特選216「蟬時雨」の句。特攻隊の発進基地はあちこちにあるが知覧が著名。句は易しく「飛んだ」といってかえって思いを深めている。5「別れ際」の句。映画のワンシーンのような句。「霧深し」で二人の前途を案じている。77「客先の」句。「角切り」「フォーク付」はていねいな描写。西瓜も高級に感じる。84「夜蝉鳴く」の句。「さくっと」のオノマトペが効いている。夜のセミを聞きながら自然体の作者が頼もしい。122「頼朝が」の句。この港とは真鶴の浜のこと。青蜜柑は再起の象徴のよう。133「どの傘も」の句。「骨を透かせて」はビニール傘かも知れないが、骨をといって原爆忌と響き合う。182「敗戦日」の句。たしかに敗戦のときには、いわゆる「大本営発表」もなかった。184「秋桜」の句。コスモスとジャンプは軽妙。倒れやすいコスモスを踏まえている。186「再放映」の句。映画ひまわりは平和を希求したもの。それもいまは揺れに揺れている。(互選高点句)○数字は点数 3点以上 1位102梨むいてつくづくここは水の星⑨ 石口りんご2位69雑談をはみ出す本音秋扇 ⑥ 岡崎久子3位8 頬赤く白河を超え新松子 ⑤ 田辺 花3位58曖昧な明日へ伸び行く凌霄花 ⑤ 岡崎久子3位84夜蝉鳴くさくっと後期高齢者 ⑤ 増田萌子3位158敗戦忌私も語り部のひとり ⑤ 中村ふみ3位201国葬も癒着もすべて霧の中 ⑤ 百目鬼英明 8位9 酔えばすぐ突撃という生身魂 ④川崎果連8位75骨上げの待合室に日焼けの子 ④安藤利亮8位79八月のマトリョーシカは銃抱く ④後藤よしみ8位107黒薔薇一輪八十過ぎも誕生日 ④松田ひろむ8位133どの傘も骨を透かせて原爆忌 ④川目智子8位154国葬やもり蕎麦ですかかけですか④荒井類8位214見えそうで見えぬ晩年烏瓜 ④白石みずき15位5別れ際のふいの抱擁霧深し ③望月のぞみ15位17さらさらと重陽の日の米を研ぐ ③宮 沢子15位31メメントモリ熱帯夜なら北枕 ③古川塔子15位32関係は確かにあった黄金虫 ③小髙沙羅15位41新涼や吊り広告の無き車内 ③安藤利亮15位43耳熱くしてささやきを待つ芙蓉 ③岡崎久子15位100ひらがなの暮し朝顔は水色 ③小平 湖15位128閣僚に鳥語の混じる秋初め ③高橋透水15位133どの傘も骨を透かせて原爆忌 ③川目智子15位162グラジオラス結婚指輪回らない ③磯部薫子15位164鈴虫に耳を盗られて帰れない ③小平 湖15位172秋澄むやマスクをそっと外す時 ③高矢実來15位193流れ星白河の関いま越せり ③後藤よしみ15位203さよならは秋が似合うという女 ③高橋透水15位210仙人掌の花救急車待機中 ③翠雲母15位216蝉時雨ここから特攻機は飛んだ③高矢実來(第29回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1脚を抜き糠床深く茄子の牛 1 安藤利亮2挨拶すかすかな秋をおりまぜて 2 郡楽清子3清流も濁流も恋秋のバラ 1 松田ひろむ4干肉(ほしじし)喰った師の反戦句集滑莧0 翠雲母5別れ際のふいの抱擁霧深し 3 望月のぞみ6ピオーネの二粒入るお弁当 1 田辺 花7蜻蛉追うペダル踏んでも追いつけず 0 渡辺すみれ8頬赤く白河を超え新松子 5 田辺 花9酔えばすぐ突撃という生身魂 4 川崎果連10八月の認識票へピースと記す 0 後藤よしみ11「川ガキ」が欄干に立ち夏の雲 1 行成佳代子12言葉です吹きとばしたるビール泡 0 信岡さすけ13ぞっとするものの一つに夏の蠅 0 国井 梢14爽やかや足下透ける観覧車 1 近田吉幸15千葉の梨と花積んでる移動花屋 0 渡辺すみれ16山梨で迎火のはず東京で 1 古川和美17さらさらと重陽の日の米を研ぐ 3 宮 沢子18猫じゃらし口三味線に乗らぬ主義 1 吉村きら19久かたに名前で呼ばれ更衣 0 武田俊信20堕ちて来る炎天からの粗大ゴミ 2 百目鬼英明21名月や崖の上まで車椅子 0 川崎果連22青年の魔羅の哮(たけ)るや栗の花 0 荒井 類23秋立ちぬアンネが日記つづるとき 1 後藤よしみ24蚊柱や団体票は欲しくって 2 磯部薫子25もろこしは戦の匂いウクライナ 0 石口 榮26コロナ禍の海の日山の日持て余す 1 安原南海子27老老のタイムマシーンいわし雲 1 信岡さすけ28枝豆柔らかく憲法二十条 0 木野俊子29銀漢や老いらくの恋もてあそぶ 0 望月のぞみ30テレビ見ていたはずなのよ昼寝覚め1 岩渕純子31メメントモリ熱帯夜なら北枕 3 古川塔子32関係は確かにあった黄金虫 3 小髙沙羅33かの医師のお目玉食らう夏の風邪 0 国井 梢34無欲という欲のそろそろ浮いてこい2 古川塔子35確証を得て霧は山に湧き出して 0 福島芳子36九条が大事母の声秋の声 1 宮 沢子37新涼や手抜き料理もそろそろに 2 白石みずき38龍淵に潜む心臓病おだやか 0 木野俊子39子を二人電動チャリの初嵐 0 信岡さすけ40大蟻の吾を恐れぬおそろしさ 0 国井 梢41新涼や吊り広告の無き車内 3 安藤利亮42泥水をすすりし戦夏の蝶 1 福島芳子43耳熱くしてささやきを待つ芙蓉 3 岡崎久子44つくつくし熱はワクチンのせいかしら0 岩渕純子45手踊りの小指の先や秋の蝶 0 荒井 類46独り言いつまで続く寝待月 0 望月のぞみ47沈黙は戦争支持や秋の蝉 1 高矢実來48瘡蓋の剥がれる処暑の欅かな 1 百目鬼英明49髪洗うメール返信明日にして 0 小平 湖50少年の夢が弾ける種茄子 1 石口 榮51マスク国人目無視して月涼し 0 石黒宏志52赤とんぼ弁天池に五円玉 2 安藤利亮53音ばかりの花火だけれど背を押され1 古川和美54泣き上戸笑い上戸に夏逝けり 1 川目智子55黙祷に加わる蟻のふくらはぎ 2 小平 湖56夏草やふるさと背負い甲子園 2 津田文江57真葛引く昭和の時代理研跡 0 行成佳代子58曖昧な明日へ伸び行く凌霄花 5 岡崎久子59健康のための絶食耕衣の忌 0 鈴木砂紅60施餓鬼寺孔雀の小屋のあったはず 0 小平 湖61抗体の缶は空っぽ三尺寝 1 百目鬼英明62容疑者へドローンのような赤とんぼ0 高橋透水63涼新た化粧地蔵に会いたくて 0 宮 沢子64玄関に人なく呼び鈴盂蘭盆会 0 岩渕純子65切り通し葛は自在に綱渡り 1 安原南海子66名月や君の黒子が食べたいよ 0 高橋透水67ひとしきり昔語りや白玉食む 0 郡楽清子68秋を買う籠の山盛り道の駅 2 近田吉幸69雑談をはみ出す本音秋扇 6 岡崎久子70汗ひっこむ原発やめると言ったのに1 鈴木ひろ子71今朝の秋優勝旗は仙台へ 0 斎藤 藍72魔女狩りを唱える烏瓜の花 1 磯部薫子73ウクライナの水は澄まない水の秋 1 石口りんご74夜が明けて見えた日本よ藤村忌 0 石黒宏志75骨上げの待合室に日焼けの子 4 安藤利亮76ぬいぐるみ抱く難民に秋の風 1 岡崎久子77客先の角切り西瓜フォーク付き 1 渡辺すみれ78マスクして行くにはつらい遠花火 0 国井 梢79八月のマトリョーシカは銃抱く 4 後藤よしみ80精霊路墓のありかを探しおり 0 石黒宏志81タクト振る物の在るかに蟬しぐれ 0 金丸菜斗82点滴にお頼み申す夏痩せて 0 鈴木ひろ子83マスカット妹と銀座の映画館 0 渡辺すみれ84夜蝉鳴くさくっと後期高齢者 5 増田萌子85雨落ちてドラマとなりぬ運動会 0 川崎果連86女教師の浅草甘味貸し浴衣 0 高矢実來87鰯雲じっと見ているホームの母 0 翠 雲母88機会なく仕立おろしの芭蕉布 0 津田文江89カサブランカ鳥羽一郎に似合わない0 白石みずき90散りてより地べた華やぐ百日紅 1 鈴木ひろ子91自意識のいつしか消えて茗荷の子 0 宮 沢子92戸田の朝学生ボートの遠近法 0 高矢実來93傘寿過ぎて新調のあっぱっぱ 1 中村ふみ94秋茄子紫の色目に涼し 0 斎藤 藍95公園の櫓なつかし盂蘭盆会 0 武田俊信96雲海や魁夷絵画を遠景に 0 神田千風97戦没者追悼の黙祷山中で 0 高良和子98縄文の女神の土偶櫟の実 0 近田吉幸99下書きは今日も三B台風来 1 古川塔子100ひらがなの暮し朝顔は水色 3 小平 湖101ロマンスは無けれどグレー秋初め 0 川目智子102梨むいてつくづくここは水の星 9 石口りんご103旧姓は蝉の抜け殻不発弾 0 宮 沢子104羽抜鶏にらめっこしましょあっぷっぷ0 石口 榮105銀河へ送信コスタリカは自由都市 1 翠 雲母106祝電はお礼のつもり秋まつり 0 小髙沙羅107黒薔薇一輪八十過ぎも誕生日 4 松田ひろむ108妄想のいちじく太る袋掛 0 鈴木砂紅109昔の事ばかり自慢羽抜鶏 0 石口りんご110にぎり飯刈田に礼を言いながら 1 金丸菜斗111盂蘭盆会僧はバイクでやってくる 0 岩渕純子112何もない何もしないの赤とんぼ 0 神田千風113退院に軽トラの出迎へ夏木立 0 高良和子114国家大事のときにトマトずぶ濡れ 0 翠 雲母115肌寒や風邪用心の薬のむ 0 斎藤 藍116冷房の微温微風という時代 1 古川塔子117虫籠の買うでもなくて長い息 0 田辺 花118神楽舞ふみちのく夏がかけて来る 0 神田千風119鳴く声も骸となりぬ秋の蟬 0 石黒宏志120鳩吹の一番だった日の暮れる 0 田辺 花121秋めくや子規の句集と格闘す 1 望月のぞみ122頼朝が船出のみなと青蜜柑 1 武田俊信123月の夜に太郎と花子すべっちゃった0 高橋透水124里若葉爺婆たちの孫自慢 0 津田文江125ランウエイなんなく乗り換え秋の蝶1 安原南海子126良妻愚妻の一味違うとろろ汁 2 吉村きら127猫じゃらし一人になりたい日もあって0 石口 榮128閣僚に鳥語の混じる秋初め 3 高橋透水129拒否しても拒否してもなほ暑さ来る1 中村ふみ130現在地はここ郭公のいるところ 0 石口りんご131依存症退院の日にまうビール 0 百目鬼英明132自転車のブレーキぷつんと百日紅 0 高良和子133どの傘も骨を透かせて原爆忌 4 川目智子134バゲットや厄日の腹を割って見せ 1 川目智子135百合一輪傾ぐ街道無縁仏 0 鈴木ひろ子136ままごとのいつもお母さん秋の声 0 白石みずき137陸奥の国涼し浴びたる大湯かな 0 神田千風138パン屑を鳩に与える敗戦日 2 石口 榮139稲の花鬱という字をばらばらに 1 松田ひろむ140秋の浜三線聴きつ水牛車 0 近田吉幸141秋澄むや好きなところに腰かけて 2 白石みずき142朝霧や君はおとめ座われ獅子座 0 安原南海子143みちのくの七夕祭や三年(みどし)ぶり0 神田千風144若きらやデッキブラシで墓洗ふ 0 中村ふみ145立秋や掌に受ける宗祇水 0 行成佳代子146イダイなる人のコクソウおけら鳴く1 荒井 類147聞き初めし力の限りを蝉時雨 0郡楽清子148秋暑し「戦争と平和」とプーチン世代0 斎藤 藍149夏の風邪遠慮しながら咳をする 2 津田文江150飽きもせずまた目覚めけり今朝の秋1 川崎果連151未草そろそろお茶のアリスだわ 2 磯部薫子152新涼を感じるほどにはあらぬ朝 0 岩渕純子153居心地のよきに溺れてさざえさんは0 福島芳子154国葬やもり蕎麦ですかかけですか 4 荒井 類155涼新た外の空気の心持ち 0 古川和美156名月なら接続詞不要の二人 0 吉村きら157いくたびも檜扇の朱を見つめ居り 0 郡楽清子158敗戦忌私も語り部のひとり 5 中村ふみ159虹色の青春捨し妹恋し 0 福島芳子160白き夜の銀河鉄道銀木犀 0 近田吉幸161初恋の交換日記虹は虹 0 松田ひろむ162グラジオラス結婚指輪回らない 3 磯部薫子163サザン聴く犬の吐息や星月夜 0 望月のぞみ164鈴虫に耳を盗られて帰れない 3 小平 湖165てのひらに残る桃の香宵の口 0 古川塔子166花火滓朝の潮の運び去り 0 安藤利亮167核禁条約うねりのなかの遠青嶺 0 木野俊子168真葛原領土拡張力尽く 0 金丸菜斗169種失せし二百十日の菜果かな 1 川目智子170ヘッドライト常より眩し夏の雨 0 武田俊信171故郷の原風景に蛍舞う 0 古川和美172秋澄むやマスクをそっと外す時 3 高矢実來173断捨離はもうする気無く髪洗ふ 0 津田文江174暑すぎて書いてまた消す予定表 1 小髙沙羅175引き返す波はまだまだ法師蝉 0 増田萌子176さみしさは鶏頭のせい君のせい 1 吉村きら177愛情は常に平等きりぎりす 0 小髙沙羅178一朝の交信からす瓜の花 0 行成佳代子179枝豆の空室多しでも旨い 0 中村ふみ180ひまわりの画描き日の思い出と 0 斎藤 藍181「爆心」に「心」のありや原爆忌 0 荒井 類182敗戦日大本営誰がいなくなる 1 石黒宏志183打ち水のカメラ目線は五歳にて 0 田辺 花184秋桜ときどきジャンプしたくなる 2 増田萌子185軽薄はとんぼう属の誇りかな 1 信岡さすけ186再放映の「ひまわり」ゆれて戦禍の地1 高良和子187蟬の穴のぞいてプーチンを叱る 1 金丸菜斗188白桃や被曝三世の祈り 1 木野俊子189身ほとりの風によろめくきりぎりす0 川崎果連190止ぬウクライナ峠へ流れ星 0 木野俊子191夜の桃二病三病持ち歩く 1 安原南海子192郡上踊夜がな夜っぴて下駄響き 2 行成佳代子193流れ星白河の関いま越せり 3 後藤よしみ194背高泡立草月日ばかりの瓦礫にて 1 増田萌子195肩書きは欲しいカルトの立葵 0 磯部薫子196自句自解不要西瓜の種飛ばす 2 鈴木砂紅197熱中症がこわい庭草伸び放題 0 古川和美198反戦の声絞り出す秋の蝉 2 岡崎久子199夏休みセーフアウトがおもしろい 0 小髙沙羅200細腰の夏水仙の自律かな 1 鈴木砂紅201国葬も癒着もすべて霧の中 5 百目鬼英明202朝採りの茄子をG線上に置く 0 鈴木砂紅203さよならは秋が似合うという女 3 高橋透水204追伸で全てちゃらです星月夜 1 吉村きら205河童忌や行けど戻れど元の場所 0 武田俊信206健在の百の味蕾や新豆腐 2 信岡さすけ207開け放つプールの窓より夏蝶来 0 高良和子208緋のダリア真昼の孤独補って 0 増田萌子209夾竹桃が嫌いでしたね志乃さん 1 石口りんご210仙人掌の花救急車待機中 3 翠 雲母211よっしゃよっしゃと蝉鳴く山添拓が勝つ1鈴木ひろ子212水底へ秋を投げ入れ銀の匙 1 後藤よしみ213滝ごうごう偶には力抜くらしい 1 国井 梢214見えそうで見えぬ晩年烏瓜 4 白石みずき215月見酒ダイエットには程とおく 0 渡辺すみれ216蝉時雨ここから特攻機は飛んだ 3 高矢実來217朝顔をたくさん咲かせて誘われて 0 福島芳子218母はまだ二十代にて蛍呼ぶ 0 松田ひろむ219今は昔多彩多形の百日草 0 郡楽清子220川岸の浮葉の列や秋初め 0 金丸菜斗(第30回鴎座通信句会)投句締切=9月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。画像はバラ星雲(by ウイキペディア)
2022年09月01日
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ピンチはチャンス!新型コロナウイルス感染症に負けない●第29回鴎座通信句会の締切は24日です(画像は大曲の花火)フリー素材新型コロナウイルス感染症は第7波に。まだまだ予断を許しません。しかし俳句で免疫力アップです。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第29回投句締切 8月24日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。投句はメール・FAXなどにて。FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、小高沙羅(副編集長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、小平湖(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 8月29日(必着)選句結果・講評は9月2日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はいたしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会第28回上位作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上一位19敗戦忌喉の小骨はとれぬまま ⑨ 荒井 類二位13 月涼し垂直にやってくる孤独 ⑦ 木野俊子三位104聞き役も介護のひとつ夏の月 ⑥ 石口 榮四位14 包丁もガスもいらない冷奴 ⑤ 小髙沙羅四位137今日からは風を着ていく衣更 ⑤ 白石みずき六位61 合歓の花秘話のひとつもあればいい④安原南海子六位176雲の峰国葬というガラス玉 ④ 木野俊子八位5偉大です国家葬です蝉時雨 ③安藤利亮八位9人心を侵す聖本油照 ③磯部薫子八位23 少年が泉の奥へ誘われる ③望月のぞみ八位75 感染者数五桁となれば水打って ③小平 湖八位90 ハンカチの折り目に隠す虚栄心 ③吉村きら八位96 しゃがんでも見えぬしんじつ蟻の列③鈴木砂紅八位118ぷるるんゼリー日にち薬が効いてきた③吉村きら八位130蝉鳴かず飛ばず線状降水帯 ③小平 湖八位141さくらんぼほめられ上手ほめ上手③吉村きら八位166レース編む老眼鏡の臨界点 ③高矢実來八位181ががんぼの屈伸運動骨密度 ③行成佳代子八位183日本の茅の輪の先の深き闇 ③後藤よしみ八位192西瓜割の棒当たるまで防衛費 ③安藤利亮八位193一生は短編小説夏椿 ③小髙沙羅
2022年08月21日
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第28回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ画像は大曲の花火(フリー素材)(互選高点句)1位19敗戦忌喉の小骨はとれぬまま ⑨ 荒井 類2位13月涼し垂直にやってくる孤独 ⑦ 木野俊子3位104聞き役も介護のひとつ夏の月 ⑥ 石口 榮4位14包丁もガスもいらない冷奴 ⑤ 小髙沙羅4位137今日からは風を着ていく衣更 ⑤ 白石みずき6位61合歓の花秘話のひとつもあればいい④安原南海子6位176雲の峰国葬というガラス玉 ④ 木野俊子(松田ひろむ代表選) 特選21昭和史に加えトマトの丸かじり/古川塔子準特選117百薬の長を頼みに土用入/川目智子準特選176雲の峰国葬というガラス玉/木野俊子23少年が泉の奥へ誘われる40百日紅百度祈るみそかごと84半夏生挿せばたちまち青の部屋 118ぷるるんゼリー日にち薬が効いてきた150冷奴二つ並べて美酒佳肴164振込みは大きな仕事うなぎの日183日本の茅の輪の先の深き闇 190八月や国にふたつの爆心地第28回鴎座通信句会は42名210句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第28回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選42奪衣婆も店を開くや朝閻魔48どこまでも年の差二歳浮いてこい75感染者数五桁となれば水打って特選124ガリガリ君そろそろ夏の季語になれ/百目鬼英明133月涼し垂直にやってくる孤独181ががんぼの屈伸運動骨密度192西瓜割の棒当たるまで防衛費(選評)特選にいただいた124「ガリガリ君」の句。昭和五十六年の販売開始以来、赤城乳業の氷菓の看板商品。昨年に販売四十周年を迎えた。年間販売本数は四億本以上と、今や国民的氷菓といっても過言ではない。「夏の季語になれ」の措辞に同感。可笑しみと命令形がなんとも心地好い。ちなみに私はガリガリ君が大好きである。42「奪衣婆も」の句。奪衣婆は三途の川で亡者の衣服を剥ぎ取る老婆の鬼。句は剝ぎ取った衣装を売ると言う諧謔性。こんな遊び心があっても良い。季語は閻魔参で夏。48「どこまでも」の句。永久に並ぶことのない年齢差。兄(姉)が弟(妹)に私を早く追い越せと、季語が叱咤激励しているようだ。75「感染者数」の句。今やコロナ感染情報慣れし、多少の数字では驚かなくなった。そんな世の中が怖い。季語「水打つ」は日常のこと。そんな日常が戻って欲しいという。133「月涼し」の句。孤独は突然やって来ることが多い。それを垂直と言ったところが言い得て妙である。「月涼し」が垂直と響き合っている。181「ががんぼ」の句。見るからに、ががんぼの脚は針金のようである。骨密度の措辞がお手柄。192「西瓜割」の句。西瓜が一回で割れればよいのだが・・・。年々膨らむ防衛費を懸念する作者に共鳴。 小髙沙羅(副編集長)選 6梅雨明けてオレオレ詐欺の注意報37一晩に幾度寝返る竹夫人75感染者数五桁となれば水打って104聞き役も介護のひとつ夏の月133月涼し垂直にやってくる孤独156今日はまず寝茣蓙を出して投句して特選191夜濯ぎの無理をするなと無理を言う/宮沢子(選評)特選の191「夜濯ぎの」の句。暑い日中を避けての洗濯。このごろの暑すぎる夏。その上のコロナ禍。そんなときつい無理をするなと他人をいたわる。そういわれてもしなくてはいけないことは多い。「無理をするなと無理をいう」の俳諧味に惹かれた。6「梅雨明けて」の句。梅雨は明けても「オレオレ詐欺の注意報」はつづく。37「一晩に」の句。竹夫人が「寝返る」が、軽いウイット。竹夫人なら戯れるのもいい。75「感染者数」も句。第七波の急増に驚く。「水打つ」の優雅な日々が欲しいもの。104「聞き役も」の句。聞いてもらうと心が安らぐ。もしかして夏の月が聞き役かも。133「月涼し」だれにでもある孤独感。ここは「垂直にやってくる」で個性的になった。156「今日はまず」の句。作者にとって俳句は生き甲斐。それは私も同じ。小平 湖(Ⅰ欄同人)選5偉大です国家葬です蝉時雨22短夜のラジオの昭和歌謡かな30献金をお花畑に置いてくる141さくらんぼほめられ上手ほめ上手特選148金蠅銀蠅国葬というひともいて/松田ひろむ156今日はまず寝茣蓙を出して投句して184軽鳬の子がよちよち西武新宿線(選評)特選148「金蝿銀蝿」の句。演説中に銃撃され亡くなられた安倍晋三前総理大臣の国葬が九月二十七日、日本武道館で行われることになった。テロは許されることはないが、その後の調べで宗教がらみの背景が余りにも複雑で驚く。掲句の季語、金蝿銀蝿は如何にもと思う。5「偉大です」の句。偉大ですと言いながらどこか割り切れない思いが季語の蝉時雨へと繋がる。22「短夜の」の句。夏の夜の昭和歌謡と共に昭和を振り返ると、戦争やオリンピックや、高度成長期もあった。しみじみ歌は世につれ世は歌につれである。30「献金を」の句。銃撃事件の一連の句か、洗脳されて献金してしまう「お花畑」とは最大の揶揄。141「さくらんぼ」の句。幾つになっても褒められると照れながらも嬉しいものだ。もっと褒め上手になろう。さくらんぼがご褒美。156「今日は」の句。おおらかで俳句が好きで人柄や生活感も感じられる。そうだ今年の夏は忘れていた寝茣蓙を出してみよう。184「軽鳧の子が」の句。親についてよちよち歩いているのはいつ見ても母性本能を刺激される。しかし西武新宿線となると一変、戦慄俳句かもしれない。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選19敗戦忌喉の小骨はとれぬまま31夏草のなかで幼とかくれんぼ 62また夢に消え万緑の上高地96しゃがんでも見えぬしんじつ蟻の列104聞き役も介護のひとつ夏の月特選123蝉時雨母転ぶなよ転ぶなよ/増田萌子153星まつり稚拙字なれどウクライナ(選評)特選にいただいた123「蝉時雨」の句。作者は母のことが心配で言っているのであるが、読む方は自分の事としてとってしまう。私も常に転ばぬように気をつけている。蝉時雨も気を付けてといっているようだ。19「敗戦忌」の句。子供の頃から漠然とはしているが敗戦ということに疑問を感じていた。大人がこぼしているのを聞いていたせいか、いまでもそれこそ小骨が取れていない。31「夏草の」の句。まさに実感である。先日ひまわり畑で四歳とかくれんぼをして来た。姿が見えてもどこかなと探す振りをして、その喜び方にまた感動してしまった。62「また夢に」の句。万緑の上高地は一番いい時である。新緑から万緑が最高だ。しかしコロナ禍で何度計画しても行けなくなってしまう、本当に夢がさめるように。96「しゃがんでも」の句。世の中の矛盾さ人間関係の難しさなどなど作者はじっと蟻の列を見て感慨にふけっているのだ。104「聞き役も」の句。切実に感じる。病人はなにも楽しみがないと生きる力が湧いてこない。自分の事を気にかけてくれて話を聞いてもらえるだけで元気になれるのだ。夏の月が明るく希望にみちている。153「星まつり」の句。一読して感動した。自分の事でもお願いしたい事沢山ある年頃なのにそれをおいてウクライナ。大人の話やテレビから学んだのであろう。優しい大人にきっとなってくれると思う。鈴木 砂紅(招待)選 45老人の達者はいいが涼み台82あるときは毒ある句など海月舞う88腿を灼く真昼の車椅子実習133月涼し垂直にやってくる孤独136白桃の思うがままに剥いてやる146箱庭に夫いて吾を呼び止めぬ特選176雲の峰国葬というガラス玉/木野俊子(選評)特選に頂いた「雲の峰」の句。安倍元総理をイメージしつつ、国葬という得体のしれないイベントの危うさをガラス玉に閉じ込めて、インパクト充分な光景を見せた。ガラス玉は誰の手の上に置かれているのか、という問題提起も。45「老人」の句。要介護よりは壮健な老人の方が良い。しかし口達者な年寄りが涼しい顔で高所から世間を見下ろしているのも鬱陶しい。俳諧風の味わい。82「あるとき」の句。平易・爽やか・共感などの対極にある「毒ある句」を作りたい時、読みたい時、その胸中には海月が舞っているらしい。88「腿を」の句。実習を体験しなければ詠めない臨場感に惹かれた。言葉を超えた実景の強さを感じさせる句。133「月涼し」の句。孤独だから月を見たのではない。月を見上げた時、孤独が垂直に落ちてきたのだ。「孤独」の本質を真っ直ぐに詠んだ句。136「白桃」の句。剥く手は吾の物だが、動きは白桃の思うがまま、という矛盾。相手が王妃の如き白桃ならば、当然と言うべきか。146「箱庭」にいるのは亡夫なのか。或いは若い頃の夫に似た人形なのか。呼び止めてほしい気持の切なさ。松田ひろむ(代表)選 特選21昭和史に加えトマトの丸かじり/古川塔子23少年が泉の奥へ誘われる40百日紅百度祈るみそかごと84半夏生挿せばたちまち青の部屋 準特選117百薬の長を頼みに土用入/川目智子118ぷるるんゼリー日にち薬が効いてきた150冷奴二つ並べて美酒佳肴164振込みは大きな仕事うなぎの日準特選176雲の峰国葬というガラス玉/木野俊子183日本の茅の輪の先の深き闇 190八月や国にふたつの爆心地(選評)特選にいただいた21「昭和史に」の句。かつてのトマトは酸っぱかった。そのトマトを丸かじりした幼時体験と昭和が重なる。それが同世代の実感だけに心を打つ。準特選117「百薬の長」の句。いうまでもなく百薬の長とはお酒のこと。土用の鰻よりもやはりお酒のほうが効くという。同じく準特選にいただいた176「雲の峰」の句。ガラス玉がいかにも壊れやすくかつ軽い。アベ元首相の国葬への痛烈な警鐘である。ただ雲の峰の季語がいいかどうか。23「少年が」の句。泉の奥がなにやら怪しい。少年の成長過程の性的な匂いもする。40「百日紅」の句。花期の長いサルスベリ。それを「百度祈るみそかごと」して思いの深い句となった。秘密・密通の妖しさ。84「半夏生」の句。半夏生は名のように葉が半分白い。それが「青の部屋」になるのは幻想だろうか。日常から非日常への転換の句。118「ぷるるんゼリー」の句。やはりここは「日にち薬」が文字通り「効いて」いる。150「冷奴」の句。「二つ並べて」が意味深。冷奴だけで「美酒佳肴」というのも切ない。164「振込みは」の句。「大きな仕事」とやや説明的だが、確かに「振込」にもいろいろ。これも土用の鰻がウイット。183「日本の」の句。厄を祓う「茅の輪」だが政治もCOVID‐19も闇は深まるばかり。190「八月や」の句。単純に「二つの爆心地」といって怖い句。核戦争の脅威はつづく。「みたび許すまじ」は日本だけではない。(互選高点句)○数字は点数 3点以上一位19敗戦忌喉の小骨はとれぬまま ⑨ 荒井 類二位13 月涼し垂直にやってくる孤独 ⑦ 木野俊子三位104聞き役も介護のひとつ夏の月 ⑥ 石口 榮四位14 包丁もガスもいらない冷奴 ⑤ 小髙沙羅四位137今日からは風を着ていく衣更 ⑤ 白石みずき六位61 合歓の花秘話のひとつもあればいい④安原南海子六位176雲の峰国葬というガラス玉 ④ 木野俊子八位5偉大です国家葬です蝉時雨 ③ 安藤利亮八位9人心を侵す聖本油照 ③ 磯部薫子八位23 少年が泉の奥へ誘われる ③望月のぞみ八位75 感染者数五桁となれば水打って③ 小平湖八位90 ハンカチの折り目に隠す虚栄心③吉村きら八位96 しゃがんでも見えぬしんじつ蟻の列③鈴木砂紅八位118ぷるるんゼリー日にち薬が効いてきた③吉村きら八位130蝉鳴かず飛ばず線状降水帯③小平湖八位141さくらんぼほめられ上手ほめ上手③吉村きら八位166レース編む老眼鏡の臨界点③高矢実來八位181ががんぼの屈伸運動骨密度③行成佳代子八位183日本の茅の輪の先の深き闇③後藤よしみ八位192西瓜割の棒当たるまで防衛費③安藤利亮八位193一生は短編小説夏椿 ③小髙沙羅(第28回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1沐浴し月下美人に対しけり 2 荒井 類2和紙に染み這いまわる紙魚見つけたり 0 郡楽清子3蓮池をよぎる影濃く我鬼忌かな 0 行成佳代子4アガパンサスいつの間にやらベランダに0 津田文江5偉大です国家葬です蝉時雨 3 安藤利亮6梅雨明けてオレオレ詐欺の注意報 2 古川和美7心太突くということ誰(た)も知らず0 松田ひろむ8痩せもせず太りもせずに朱夏弾く 1 白石みずき9人心を侵す聖本油照 3 磯部薫子10根に深き宗教の闇曼殊沙華 0 木野俊子11有事とて首相は小柄青すすき 0 安原南海子12一生の重き罪追う蝸牛 0 斎藤 藍13忠犬や手のだるくなる扇風機 0 川崎果連14包丁もガスもいらない冷奴 5 小髙沙羅15網戸より朝のやさしい風が入る 0 金丸菜斗16南天の花のどこかに良き知らせ 1 古川和美17さわさわさわ風の柿の木柿若葉 0 鈴木ひろ子18梅シラップ・ヨーグルトゼリーがお箱です0古川塔子19敗戦忌喉の小骨はとれぬまま 9 荒井 類20自閉の児強く抱けよと蝉時雨 0 磯部薫子21昭和史に加えトマトの丸かじり 2 古川塔子22短夜のラジオの昭和歌謡かな 1 荒井 類23少年が泉の奥へ誘われる 3 望月のぞみ24安倍葬送白シャツの笑み永遠に 1 石口りんご25全身が喜んでいる水遊び 0 小髙沙羅26夏の果トロンボーンの吹き伸ばし 1 川崎果連27手作りの銃声シャンパンパリー祭 2 石黒宏志28高原の起伏七月の危機感 1 木野俊子29雨蛙の一蹴りほどの寝返りを 0 中村ふみ30献金をお花畑に置いてくる 1 磯部薫子31夏草のなかで幼なとかくれんぼ 1 古川和美32一途に怒る真昼間の草刈機 1 鈴木砂紅33サンダルや海から空へ乗り換えて 0 川目智子34防災訓練反省の冷し酒 0 鈴木砂紅35西日本豪雨の祈りはや四年 0 斎藤 藍36心中の虫を宥める団扇風 2 金丸菜斗37一晩に幾度寝返る竹夫人 2 石口 榮38緑雨の夜三句生れて二句捨てて 0 石口りんご39夏蝶が追う内堀の手漕舟 1 岡崎久子40百日紅百度祈るみそかごと 1 鈴木砂紅41蜆蝶古城内堀野づら積 0 岡崎久子42奪衣婆も店を開くや朝閻魔 1 石黒宏志43向日葵植えました稚児育ってます 0 翠 雲母44山瀬吹き一気に白しほとけ浜 0 神田千風45老人の達者はいいが涼み台 1 小平 湖46膕(ひかがみ)に触れてゆきけり御祭風0 荒井 類47葛切りや卒寿の母の手の震え 2 岩渕純子48どこまでも年の差二歳浮いてこい 1 吉村きら49蜘蛛の囲の一途さあって山頭火 0 宮 沢子50白玉や秘密の話をちょっとだけ 1 岩渕純子51お別れと流す涙の夏芝居 0 石黒宏志52騙し騙され殺されて夏果てぬ 1 百目鬼英明53蛍に追わるるときに吾光る 0 後藤よしみ54登るほど地響き迫り滝近し 0 神田千風55デッサンの後の茗荷薬味なり 0 郡楽清子56月めくり鷗座記する薄暑かな 0 神田千風57白日傘川のさざ波さざれ石 0 国井 梢58炎天の階段あがり献花かな 0 神田千風59脇道の質屋ののれん土用入 1 安原南海子60故郷の自慢に熱や暑気払 0 金丸菜斗61合歓の花秘話のひとつもあればいい4 安原南海子62また夢に消え万緑の上高地 1 岡崎久子63やさしさを売ってキャンプの鍋流す0 川崎果連64青蜥蜴の視線彷徨う無人レジ 0 行成佳代子65落し文木は交番のすぐ横に 0 金丸菜斗66浜辺にて少女になりし素足かな 1 高橋透水67扇子振る恰好だけはプロの棋士 0 百目鬼英明68セルフレジまごまごする私いる 0 郡楽清子69朝清き夜は艶めく水中花 0 白石みずき70看護師の腋臭の匂ひ戻り梅雨 2 高良和子71黒揚羽かまくら古道枝道を 0 高矢実來72徐々に雷雲「侵略」以後の列島へ 1 鈴木ひろ子73順徳の都帰れぬ都草 1 神田千風74茅の輪くぐれば心が少し軽くなる 1 古川和美75感染者数五桁となれば水打って 3 小平 湖76出雲富士妹と蕎麦屋の白カレーうどん0 渡辺すみれ77野放しのカルトの闇や曼殊沙華 2 木野俊子78慈味とろり新玉ねぎのぽったら煮 0 高矢実來79七月や知床旅情歌えない 1 翠 雲母80七十八歳曾ばあちゃんのサングラス0 安原南海子81三人も似ると言うらし花菖蒲 0 国井 梢82あるときは毒ある句など海月舞う 2 信岡さすけ83水打って朝晩測る血圧値 0 古川塔子84半夏生挿せばたちまち青の部屋 1 郡楽清子85冷そうめん三角巾で吊られた手 1 鈴木砂紅86涼しさやペットボトルの無位無官 1 川目智子87ヘリオトロープの香り迷子にしてしまう0 福島芳子88腿を灼く真昼の車椅子実習 1 高矢実來89いつの間に手を振り返す合歓の花 0 国井 梢90ハンカチの折り目に隠す虚栄心 3 吉村きら91短夜のワクチンの腕ほてりだす 1 小平 湖92 八月の忌日やっぱり母と夫 0 宮 沢子93陸奥の藤原百年赤とんぼ 0 近田吉幸94連弾のピアノコンペや青胡桃 0 行成佳代子95蜻蛉舞う人間なんぞ目ではなし 1 後藤よしみ96しゃがんでも見えぬしんじつ蟻の列3 鈴木砂紅97昼顔の寂しい距離にウクライナ 0 増田萌子98木漏れ日を揺らすベンチの不安感 0 岡崎久子99伊豆の夏大竹しのぶと同じ風呂 1 翠 雲母100くちなしの香の全方位沖縄忌 0 鈴木ひろ子101冷奴娘メールにネギ三倍 0 渡辺すみれ102銃撃の死角にひそむ青蜥蜴 1 白石みずき103憎しみの銃弾跡や蝉の穴 0 翠 雲母104聞き役も介護のひとつ夏の月 6 石口 榮105卯の花は万葉集のなかに咲く 2 斎藤 藍106どちらかと言えば幸せ墓洗う 2 増田萌子107かなぶんくん高層に来て仰向けに 1 中村ふみ108戦火浴び夢に向かって揚羽飛ぶ 0 福島芳子109汗に汗キラキラネームの集団よ 0 古川塔子110その中にインフレのあるメロンかな1 高橋透水111レース着て光を弾く発泡酒 0 川目智子112橋下の無宿者昼寝選挙カー 0 安藤利亮113白いシャツ走れば消えぬ若き死よ 0 国井 梢114ハンカチを汚して帰る都会の子 0 増田萌子115本棚に昭和の本や紫陽花忌 0 斎藤 藍116蜜豆や黄色の月と紅い星 0 高橋透水117百薬の長を頼みに土用入 1 川目智子118ぷるるんゼリー日にち薬が効いてきた3 吉村きら119瓶ビール栓の抜き方知らぬ娘や 0 石黒宏志120好奇心満たす蝉穴句読点 0 増田萌子121雷激し土蔵の奥で時刻む 0 望月のぞみ122飲む理由いちいちかける冷奴 0 百目鬼英明123蝉時雨母転ぶなよ転ぶなよ 1 増田萌子124ガリガリ君そろそろ夏の季語になれ2 百目鬼英明125若き日の人生横丁巴里祭 0 金丸菜斗126捩花や背筋伸ばしてスクワット 0 石口 榮127ウーバーイーツの男四人緑陰へ 0 小平 湖128初恋の花火の河原浸水す 0 近田吉幸129向日葵や女子学生の負を嘆く 0 国井 梢130蝉鳴かず飛ばず線状降水帯 3 小平 湖131告白の既読スルーや青葡萄 0 磯部薫子132口紅が濃すぎたかしら核の傘 2 翠 雲母133月涼し垂直にやってくる孤独 7 木野俊子134野菜にも花は咲くのよ夏休み 0 白石みずき135鉄線花思想の変わる事なくて 0 石口りんご136白桃の思うがままに剥いてやる 1 宮 沢子137今日からは風を着ていく衣更 5 白石みずき138ぬいぐるみの釦の瞳(ひとみ)涼新た0 石口 榮139竹夫人一年ぶりの括れかな 0 望月のぞ140目高飼うやっぱり増えて目高いる 0 福島芳子141さくらんぼほめられ上手ほめ上手 3 吉村きら142短夜を起きてしまえば夫も起き 0 岩渕純子143烏賊釣り灯水平線に列び居り 0 郡楽清子144塗り箸やつるりと逃げる葛桜 0 岩渕純子145白日傘ゴルフコンペの若夫婦 0 渡辺すみれ146箱庭に夫いて吾を呼び止めぬ 1 後藤よしみ147柿若葉そろそろパックしなければ 0 石口りんご148金蠅銀蠅国葬というひともいて 2 松田ひろむ149西瓜に刃地球には核雲の峰 1 安藤利亮150冷奴二つ並べて美酒佳肴 1 渡辺すみれ151老鶯や息苦しさを如何にせん 0 中村ふみ152長雨の拭かざりそ竿蜘蛛の糸 0 高良和子153星まつり稚拙字なれどウクライナ 1 鈴木ひろ子154文月や父母の愛わが人生 0 津田文江155品書きに冷やし中華の加わりぬ 0 古川塔子156今日はまず寝茣蓙を出して投句して2 高良和子157転ばぬやう転ばぬやうにアッパッパ0 津田文江158明け方の夏野の夢にうなされる 0 磯部薫子159ナイアガラがあの夜の目玉揚げ花火1 行成佳代子160まな板を干すクーラーにこもる前 0 小髙沙羅161延々と通り歩けど片蔭は 0 津田文江162山梔子も相乗りしたいこともある 0 安原南海子163心太五歳児お酢がいいと言ふ 0 中村ふみ164振込みは大きな仕事うなぎの日 1 小髙沙羅165大粒の夜景を一つサンドレス 0 川目智子166レース編む老眼鏡の臨界点 3 高矢実來167ドローンの制する世界蚊の羽音 0 信岡さすけ168さくらんぼ姉とは顔が似てなくて 0 石口りんご169羽抜鳥物価高騰なすがまま 1 岡崎久子170西瓜割るピリリと裂け目青春へ 0 信岡さすけ171夏のタワー見え陰圧の病棟に 0 松田ひろむ172笑ってはいけないと言う麦こがし 1 宮 沢子173薔薇終わり棘のするどき兵残る 0 後藤よしみ174炎天こそ日差こそと草田男忌 0 斎藤 藍175香水の空びん溜まりパリ遠く 0 望月のぞみ176雲の峰国葬というガラス玉 4 木野俊子177飛行帽の遺影褪色夏座敷 0 安藤利亮178風爽か審美を綴る結弦くん 1 近田吉幸179土用の鰻もう行けなくて母の顔 0 渡辺すみれ180籐寝椅子ただあるだけの別天地 0 岩渕純子181ががんぼの屈伸運動骨密度 3 行成佳代子182日盛りに三歩踏み出す勇気なく 0 望月のぞみ183日本の茅の輪の先の深き闇 3 後藤よしみ184軽鳬の子がよちよち西武新宿線 1 古川和美185わだかまりそのうち無くなるソーダ水1 石黒宏志186いもうとは都会が嫌い夏薊 0 川崎果連187四回目打てば五回目秋口と 0 百目鬼英明188マシュマロのやうな裸子を渡される2 高橋透水189大の字や奄美土産のあっぱっぱ 0 高矢実來190八月や国にふたつの爆心地 2 荒井 類191夜濯ぎの無理をするなと無理を言う1 宮 沢子192西瓜割の棒当たるまで防衛費 3 安藤利亮193一生は短編小説夏椿 3 小髙沙羅194だまされて遅刻の姫の月見草 0 信岡さすけ195国葬の愚痴柔らかに冷奴 0 高橋透水196稜線の金色(きん)の夕焼レクイエム0鈴木ひろ子197戦争は国境を越え夏の風 0 福島芳子198隠棲のかれこれ三年夏深し 0 中村ふみ199棄てられて雨に打たれる竹夫人 0川崎果連200展示品のソファーの二人日の盛り 1 高良和子201コロナ禍にペットの三毛と平和待つ0 福島芳子202兜太と蟻とアベ政治を許さない 1 松田ひろむ203変声期マスクメロンの肌ざわり 1 吉村きら204遠き日の煮しめの香り盂蘭盆会 2 近田吉幸205二個の核いまや幾万原爆忌 2 信岡さすけ206モナリザの恋の始まり夕月夜 近田吉幸207蝉穴の反対出口ウクライナ 0 石口 榮208かの国と隣り合せや揚花火 1 松田ひろむ209第七波負けてたまるか土用鰻 0 津田文江210先頭より無言になりて蛍狩 1 高良和子(第29回鴎座通信句会)投句締切=8月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年08月02日
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第28回鴎座通信句会全句データ(互選用)俳句で免疫力アップ。新型コロナウイルス感染症に負けないで頑張りましょう。第28鴎座通信句会は42名210句となりました。選句と講評は鴎座代表、編集長、副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。投句された方の互選も行います。●互選選句五句。(全句のなかから五句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 7月29日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2022年7月26日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第28回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1沐浴し月下美人に対しけり2和紙に染み這いまわる紙魚見つけたり3蓮池をよぎる影濃く我鬼忌かな4アガパンサスいつの間にやらベランダに5偉大です国家葬です蝉時雨6梅雨明けてオレオレ詐欺の注意報7心太突くということ誰(た)も知らず8痩せもせず太りもせずに朱夏弾く9人心を侵す聖本油照10根に深き宗教の闇曼殊沙華11有事とて首相は小柄青すすき12一生の重き罪追う蝸牛13忠犬や手のだるくなる扇風機14包丁もガスもいらない冷奴15網戸より朝のやさしい風が入る16南天の花のどこかに良き知らせ17さわさわさわ風の柿の木柿若葉18梅シラップ・ヨーグルトゼリーがお箱です19敗戦忌喉の小骨はとれぬまま20自閉の児強く抱けよと蝉時雨21昭和史に加えトマトの丸かじり22短夜のラジオの昭和歌謡かな23少年が泉の奥へ誘われる24安倍葬送白シャツの笑み永遠に25全身が喜んでいる水遊び26夏の果トロンボーンの吹き伸ばし27手作りの銃声シャンパンパリー祭28高原の起伏七月の危機感29雨蛙の一蹴りほどの寝返りを30献金をお花畑に置いてくる31夏草のなかで幼なとかくれんぼ32一途に怒る真昼間の草刈機33サンダルや海から空へ乗り換えて34防災訓練反省の冷し酒35西日本豪雨の祈りはや四年36心中の虫を宥める団扇風37一晩に幾度寝返る竹夫人38緑雨の夜三句生れて二句捨てて39夏蝶が追う内堀の手漕舟40百日紅百度祈るみそかごと41蜆蝶古城内堀野づら積42奪衣婆も店を開くや朝閻魔43向日葵植えました稚児育ってます44山瀬吹き一気に白しほとけ浜45老人の達者はいいが涼み台46膕(ひかがみ)に触れてゆきけり御祭風47葛切りや卒寿の母の手の震え48どこまでも年の差二歳浮いてこい49蜘蛛の囲の一途さあって山頭火50白玉や秘密の話をちょっとだけ51お別れと流す涙の夏芝居52騙し騙され殺されて夏果てぬ53蛍に追わるるときに吾光る54登るほど地響き迫り滝近し55デッサンの後の茗荷薬味なり 56月めくり鷗座記する薄暑かな57白日傘川のさざ波さざれ石58炎天の階段あがり献花かな59脇道の質屋ののれん土用入60故郷の自慢に熱や暑気払61合歓の花秘話のひとつもあればいい62また夢に消え万緑の上高地63やさしさを売ってキャンプの鍋流す64青蜥蜴の視線彷徨う無人レジ65落し文木は交番のすぐ横に66浜辺にて少女になりし素足かな67扇子振る恰好だけはプロの棋士68セルフレジまごまごする私いる 69朝清き夜は艶めく水中花70看護師の腋臭の匂ひ戻り梅雨71黒揚羽かまくら古道枝道を72徐々に雷雲「侵略」以後の列島へ73順徳の都帰れぬ都草74茅の輪くぐれば心が少し軽くなる75感染者数五桁となれば水打って76出雲富士妹と蕎麦屋の白カレーうどん77野放しのカルトの闇や曼殊沙華78慈味とろり新玉ねぎのぽったら煮79七月や知床旅情歌えない80七十八歳曾ばあちゃんのサングラス81三人も似ると言うらし花菖蒲82あるときは毒ある句など海月舞う83水打って朝晩測る血圧値84半夏生挿せばたちまち青の部屋 85冷そうめん三角巾で吊られた手86涼しさやペットボトルの無位無官87ヘリオトロープの香り迷子にしてしまう88腿を灼く真昼の車椅子実習89いつの間に手を振り返す合歓の花90ハンカチの折り目に隠す虚栄心91短夜のワクチンの腕ほてりだす92八月の忌日やっぱり母と夫93陸奥の藤原百年赤とんぼ94連弾のピアノコンペや青胡桃 95蜻蛉舞う人間なんぞ目ではなし96しゃがんでも見えぬしんじつ蟻の列97昼顔の寂しい距離にウクライナ98木漏れ日を揺らすベンチの不安感99伊豆の夏大竹しのぶと同じ風呂100くちなしの香の全方位沖縄忌101冷奴娘メールにネギ三倍102銃撃の死角にひそむ青蜥蜴103憎しみの銃弾跡や蝉の穴104聞き役も介護のひとつ夏の月105卯の花は万葉集のなかに咲く106どちらかと言えば幸せ墓洗う107かなぶんくん高層に来て仰向けに108戦火浴び夢に向かって揚羽飛ぶ109汗に汗キラキラネームの集団よ110その中にインフレのあるメロンかな111レース着て光を弾く発泡酒112橋下の無宿者昼寝選挙カー113白いシャツ走れば消えぬ若き死よ114ハンカチを汚して帰る都会の子115本棚に昭和の本や紫陽花忌116蜜豆や黄色の月と紅い星117百薬の長を頼みに土用入118ぷるるんゼリー日にち薬が効いてきた119瓶ビール栓の抜き方知らぬ娘や120好奇心満たす蝉穴句読点121雷激し土蔵の奥で時刻む122飲む理由いちいちかける冷奴123蝉時雨母転ぶなよ転ぶなよ124ガリガリ君そろそろ夏の季語になれ125若き日の人生横丁巴里祭126捩花や背筋伸ばしてスクワット127ウーバーイーツの男四人緑陰へ128初恋の花火の河原浸水す129向日葵や女子学生の負を嘆く130蝉鳴かず飛ばず線状降水帯131告白の既読スルーや青葡萄132口紅が濃すぎたかしら核の傘133月涼し垂直にやってくる孤独134野菜にも花は咲くのよ夏休み135鉄線花思想の変わる事なくて136白桃の思うがままに剥いてやる137今日からは風を着ていく衣更138ぬいぐるみの釦の瞳(ひとみ)涼新た139竹夫人一年ぶりの括れかな140目高飼うやっぱり増えて目高いる141さくらんぼほめられ上手ほめ上手142短夜を起きてしまえば夫も起き143烏賊釣り灯水平線に列び居り144塗り箸やつるりと逃げる葛桜145白日傘ゴルフコンペの若夫婦146箱庭に夫いて吾を呼び止めぬ147柿若葉そろそろパックしなければ148金蠅銀蠅国葬というひともいて149西瓜に刃地球には核雲の峰150冷奴二つ並べて美酒佳肴151老鶯や息苦しさを如何にせん152長雨の拭かざりそ竿蜘蛛の糸153星まつり稚拙字なれどウクライナ154文月や父母の愛わが人生155品書きに冷やし中華の加わりぬ156今日はまず寝茣蓙を出して投句して157転ばぬやう転ばぬやうにアッパッパ158明け方の夏野の夢にうなされる159ナイアガラがあの夜の目玉揚げ花火160まな板を干すクーラーにこもる前161延々と通り歩けど片蔭は162山梔子も相乗りしたいこともある163心太五歳児お酢がいいと言ふ164振込みは大きな仕事うなぎの日165大粒の夜景を一つサンドレス166レース編む老眼鏡の臨界点167ドローンの制する世界蚊の羽音168さくらんぼ姉とは顔が似てなくて169羽抜鳥物価高騰なすがまま170西瓜割るピリリと裂け目青春へ171夏のタワー見え陰圧の病棟に172笑ってはいけないと言う麦こがし173薔薇終わり棘のするどき兵残る174炎天こそ日差こそと草田男忌175香水の空びん溜まりパリ遠く176雲の峰国葬というガラス玉177飛行帽の遺影褪色夏座敷178風爽か審美を綴る結弦くん179土用の鰻もう行けなくて母の顔180籐寝椅子ただあるだけの別天地181ががんぼの屈伸運動骨密度182日盛りに三歩踏み出す勇気なく183日本の茅の輪の先の深き闇184軽鳬の子がよちよち西武新宿線185わだかまりそのうち無くなるソーダ水186いもうとは都会が嫌い夏薊187四回目打てば五回目秋口と188マシュマロのやうな裸子を渡される189大の字や奄美土産のあっぱっぱ190八月や国にふたつの爆心地191夜濯ぎの無理をするなと無理を言う192西瓜割の棒当たるまで防衛費193一生は短編小説夏椿194だまされて遅刻の姫の月見草195国葬の愚痴柔らかに冷奴196稜線の金色(きん)の夕焼レクイエム197戦争は国境を越え夏の風198隠棲のかれこれ三年夏深し199棄てられて雨に打たれる竹夫人 200展示品のソファーの二人日の盛り201コロナ禍にペットの三毛と平和待つ202兜太と蟻とアベ政治を許さない203変声期マスクメロンの肌ざわり204遠き日の煮しめの香り盂蘭盆会205二個の核いまや幾万原爆忌206モナリザの恋の始まり夕月夜207蝉穴の反対出口ウクライナ208かの国と隣り合せや揚花火209第七波負けてたまるか土用鰻210先頭より無言になりて蛍狩 END鴎座通信句会はウイズコロナ時代の新しい句会として注目されています。新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として継続します。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月24日です。ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです。
2022年07月26日
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ピンチはチャンス!新型コロナウイルス感染症に負けない●第28回鴎座通信句会の締切は24日です新型コロナウイルス感染症は第七波に。まだまだ予断を許しません。しかし俳句で免疫力アップです。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第28回投句締切7月24日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。投句はメール・FAXなどにて。FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、小高沙羅(副編集長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、小平湖(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 7月29日(必着)選句結果・講評は8月2日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はいたしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会第27回上位作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上一位154二グラムの蛍五グラムの赤紙 ⑨ 木野俊子二位36 イヤホンを分け合う二人さくらんぼ⑥ 川目智子二位111西瓜買うはちきれそうな音を買う ⑥ 白石みずき二位19 糠床を育て四万六千日 ⑥ 金丸菜斗五位125一人降り一人乗る駅麦の秋 ⑤ 白石みずき五位156宇宙語の飛び交ふ渋谷梅雨晴間 ⑤ 高橋透水七位11 病む地球ほのかに照らし夏の月 ④ 中村ふみ七位50 誰にでも生老病死蝉しぐれ ④ 石口 榮七位106ふたりなら二駅歩く蝸牛 ④ 小平 湖七位113ワクチンを打って百まで青胡桃 ④ 小平 湖七位133沖縄忌ざわわざわわのとまらない④ 石口りんご十一位3向日葵直立わが列島と屈背たち3松田ひろむ十一位12時の日や地元時間という間合3金丸菜斗十一位57愛逢月語り継ぐものとして非核3翠雲母十一位59安心のはずの年金遠花火3 国井 梢十一位74梔子の明るさ欺瞞かも知れぬ3木野俊子十一位78ちひろ絵のふうわりふわり裸の子3石口りんご十一位103枝豆や素面で言えぬ嘘まこと3石口榮十一位110クレマチス嘘に気づかぬふりをして3荒井類十一位116トランペット・ケースの中の夏の星3後藤よしみ十一位151着古しの浴衣と故郷やわらかし3行成佳代子十一位171戦争は空腹のこと六月来3 福島芳子十一位199団扇しかなかった頃の大家族3宮沢子
2022年07月23日
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第27回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第27回鴎座通信句会は40名200句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第27回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選35ひめゆりの塔に夕焼のいくたびぞ特選57愛逢月語り継ぐものとして非核/翠雲母62立て板に水の候補者瑠璃蜥蜴110クレマチス噓に気づかぬふりをして113ワクチンを打って百まで青胡桃154二グラムの蛍五グラムの赤紙171戦争は空腹のこと六月来(選評)特選にいただいた57「愛逢月」の句。愛逢月は「めであいづき」と読み牽牛と織姫がお互いに愛して会うと言う月のこと。旧暦七月の異称。全世界が非核を目指し恒久平和を願う。「愛逢月」の季語に惹かれた。35「ひめゆりの塔」の句。看護要員として戦場に動員され亡くなった「ひめゆり学徒隊」の慰霊塔。戦後七十七年経つ今も自然は変わらない。夕焼けの色と戦火の色が重なり何とも言えない作者の思い。62「立て板に水」の句。今、参議院選挙の真っ只中である。なんと立て板に水の候補者が多いことか。季語の瑠璃蜥蜴が何とも不気味である。対義語に「横板に雨垂」がある。110「クレマチス」の句。人は時に気づかぬふりも必要。処世術のひとつとして共鳴。113「ワクチンを」の句。人生百年時代、四回目のワクチン接種が始まった。青胡桃から、まだまだ百歳に程遠い作者かも知れない。154「二グラム」の句。召集令状で戦地に向い亡くなると蛍となって帰る兵士の御霊。どちらも何グラムと具体的に表現して深みのある句となった。171「戦争は」の句。戦争に限らず空腹だとイライラして兄弟喧嘩にもなる。この句もロシア軍のウクライナ侵攻のことか。終息しないまま六月になった。 小髙沙羅(副編集長)選 特選29 過呼吸は蛍火見ての子規の恋/信岡さすけ38山法師亡き母からの手紙です83昼顔や誰かに言ってしまいそう90姫女菀抜いて自治会清掃日113ワクチンを打って百まで青胡桃162梅酒瓶暗号資産と書いておく170浮いてこい「ねたきり」なんて書いてある(選評)特選にいただいた29「過呼吸の」の句。ひろむ先生の〈鬼灯市や子規に恋の句あればなあ〉を思い出した。蛍は恋の象徴であるが、句は過呼吸といって子規の苦しさを表現している。子規の恋の思いが切ない。38「山法師」の句。確かに亡き母からの手紙が届いたらいいなあとつくづく。山法師を手紙と感じたのだろう。83「昼顔や」の句。確かに言ってはいけないことをついうっかりということもある。昼顔が意味深。90「姫女菀」の句。確かにヒメジョオンもドクダミも生命力がある。清掃日がさっぱりとして効果的である。113「ワクチンを」の句。確かに最近の目標は百歳。青胡桃として元気な作者が思われる。162「梅酒瓶」最近聞きなれない言葉が多い。「暗号資産」もその一つだが、梅酒も資産というのは庶民的な感覚だろう。170「浮いてこい」の句。「ねたきり」とはなんとも切ないが、浮いてこい(浮人形)で救われた。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選19糠床を育て四万六千日38山法師亡き母からの手紙です123父の日の初めての杖小意気に124四度(よたび)目のワクチン予約梅雨曇特選154二グラムの蛍五グラムの赤紙/木野俊子157始まったばかりの老後落し文168絵手紙に南部風鈴「今元気」(選評)特選157「二グラムの」の句。本物の赤紙を見たのはどこの資料館だったか覚えていないが、赤紙というよりピンクに近い色だった記憶がある。この句は蛍はニグラム、赤紙は五グラムと具体的に言われるとなるほどと思う。五グラムの赤紙と命の重さの対比だ、日本でも七十七年前多くの若者が国のためと駆り出され帰って来ない人が多い。今でも世界では戦争の真っ最中のところもある。人は助け合い仲良くは言うまでもない。19「糠床」の句。四万六千日は観世音菩薩の結縁日、この日参詣すると四万六千日詣したと同じ功得があるらしい。糠床も毎日手をかけると美味しくなる。健康で穏やかな暮らしが窺える。38「山法師」の句。万緑の中に浮かぶ山法師の卵形の大きな白い花弁は亡き母からの手紙のようだと言う。作者の新鮮な把握が魅力。123「父の日」の句。明るくお洒落な男性が想像される。毎日少しでも小意気に歩こう。124「四度(よたび)目の」の句。四度目の予約は考えていなかったが、まだ先が見えないし元気でいたいし。157「始まったばかり」の句。いずれにしても始まったばかりの老後、人生百年なら第二の青春かもしれない。168「絵手紙に」の句。メールもいいけど素敵な絵手紙のやりとりも一服の清涼剤。風鈴の音が聞こえそう。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選50誰にでも生老病死蝉しぐれ59安心のはずの年金遠花火105片陰や集合時間じっと待つ特選132 沖縄忌ざわわざわわのとまらない/石口りんご156宇宙語の飛び交う渋谷梅雨晴間 176水無月の朝一番に白湯沸かす199団扇しかなかった頃の大家族(選評)特選にいただいた132「沖縄忌」の句。太平洋戦争の激戦の末、アメリカに占領され基地存続のまま五十年、同じ日本人でありながら辛い経験をしている。さとうきび畑のざわわざわわが心のざわわとなって今でも止まらない。50「誰にでも」の句。生まれ、老い、病気する、死ぬ、この四つの苦しみは誰もが避けられない。蝉しぐれがいやに寂しい。59「安心の」の句。年を取って年金だけが頼みの綱という人が多い。その年金が否応なく減らされ、こんなはずではなかったのにと嘆いている。聞こえてくる遠花火が切ない。105「片陰や」の句。猛暑日の集合時間に早く行きすぎ、まだかまだかと片陰を探し探しじっと耐えているのだ。私も常に早く行く方なので気持がよく分かる156「宇宙語」の句。渋谷と言えば若者の街、宇宙語という表現に納得。言葉を省略したりして独特の言い回しで聞いていてもさっぱりわからない。梅雨の晴れ間の渋谷の街はさぞ混みあっているであろう。 172水無月」の句。蒸し暑い梅雨時の朝今日一日分の白湯を作っておく。水分を取らなきゃならないので。ジュースやお茶などより白湯が一番いいと言われているため。199「団扇しか」の句。夜寝る時母が蚊帳の中で子供達に団扇で風を送ってくれていた事をこの句を読んで思い出した。その時の安堵感が今も蘇って来る。扇風機は無かった。鈴木 砂紅(招待)選 特選3向日葵直立わが列島と屈背たち/松田ひろむ19糠床を育て四万六千日57愛逢月語り継ぐものとして非核141宇宙にも匂いのあるや鰻の日151着古しの浴衣と故郷やわらかし154二グラムの蛍五グラムの赤紙197あめんぼの百年先へ跳ぶ準備(選評)特選に頂いた「向日葵直立」の句。直立する向日葵と、島国に背を屈めて生きる者たちの姿。ウクライナと日本の対比なのだろうが、人間社会そのものの姿を詠んだ句として強く胸に残った。19「糠床を」の句。手塩にかけた糠床への愛着と、浅草寺への参詣の功徳が表裏一体になった「四万六千日」という季語のインパクト。57「愛逢月」の句。恋の句かと思わせながら「非核」という結語で反転させた。抽象的な句になりがちな素材を七夕のイメージで包み、詩情が生まれた。141「宇宙にも」の句。なるほど、鰻の匂いは空へ上がり大気圏を超え宇宙へと広がって行くのか、と思わせる仕掛けが愉しい。151「着古しの」の句。いかにも当たり前のことだが、それがしみじみと懐かしく、普通の暮しの有難さに繋がる。災厄を前にして口からこぼれ出た句のようだ。154「二グラムの」の句。蛍も赤紙も至って軽いもの、ということをグラムで表現。最小の単位が命の軽さに直結していくことを詠んだ一句。197「あめんぼの」の句。跳ぼうとする瞬間、あめんぼは百年先を見通している。現在も過去も存在せず、真っ白な未来だけがあるという嬉しさと怖さ。松田ひろむ(代表)選 19糠床を育て四万六千日22ぷちとまとプチっと弾け眼がさめる 36イヤホンを分け合う二人さくらんぼ116トランペット・ケースの中の夏の星準特選133沖縄忌ざわわざわわのとまらない/石口りんご137トランプの一人占い梅雨籠り138噴水がとぎれとぎれて子が消えて準特選151着古しの浴衣と故郷やわらかし/行成佳代子171戦争は空腹のこと六月来特選189水鉄砲銃殺隊の背後から/増田萌子199団扇しかなかった頃の大家族(選評)特選にいただいた189「水鉄砲」の句。水鉄砲ははかない抵抗。ウクライナの現実と幼時体験が重なる。旧軍隊でも横暴な上官に「弾は前からだけ飛んでくるわけではないぞ」と脅かすこともあったという。その「背後」が効いている。準特選にいただいた133「沖縄忌」の句。寺島尚彦作詞作曲の「さとうきび畑」は「ざわわざわわ」のフレーズが印象的だった。その反戦の思いは今も「とまらない」。準特選151「着古しの」の句。「故郷やわらかし」は優れた感覚。浴衣とともに懐しい。19「糠床を」の句。これは四万六千日と直接的な因果関係を排してイメージが広がった。22「ぷちとまと」の句。やはりリフレインの効果。「目が覚める」の転換も上手い。36「イヤホンを」の句。ちょっと甘いがそれもいいだろう。いつも一緒にいたかった時。116「トランペット」の句。幻想的な飛躍。137「トランプの」句。トランプも懐かしい。138「噴水が」の句。公園でも遊ぶ子がいない。コロナ禍か受験のためか。その現実。171「戦争は」の句。空腹‐飢えの恐ろしさ。戦争の本質をついている句。199「団扇しか」の句。たしかに暑さによく耐えたもの。涼み台なども思い出される。(互選高点句)○数字は点数 3点以上一位154二グラムの蛍五グラムの赤紙 ⑨ 木野俊子二位36 イヤホンを分け合う二人さくらんぼ⑥ 川目智子二位111西瓜買うはちきれそうな音を買う ⑥ 白石みずき二位19 糠床を育て四万六千日 ⑥ 金丸菜斗五位125一人降り一人乗る駅麦の秋 ⑤ 白石みずき五位156宇宙語の飛び交ふ渋谷梅雨晴間 ⑤ 高橋透水七位11 病む地球ほのかに照らし夏の月 ④ 中村ふみ七位50 誰にでも生老病死蝉しぐれ ④ 石口 榮七位106ふたりなら二駅歩く蝸牛 ④ 小平 湖七位113ワクチンを打って百まで青胡桃 ④ 小平 湖七位133沖縄忌ざわわざわわのとまらない④ 石口りんご十一位3向日葵直立わが列島と屈背たち3松田ひろむ十一位12時の日や地元時間という間合3金丸菜斗十一位57愛逢月語り継ぐものとして非核3翠雲母十一位59安心のはずの年金遠花火3 国井 梢十一位74梔子の明るさ欺瞞かも知れぬ3木野俊子十一位78ちひろ絵のふうわりふわり裸の子3石口りんご十一位103枝豆や素面で言えぬ嘘まこと3石口榮十一位110クレマチス嘘に気づかぬふりをして3荒井類十一位116トランペット・ケースの中の夏の星3後藤よしみ十一位151着古しの浴衣と故郷やわらかし3行成佳代子十一位171戦争は空腹のこと六月来3 福島芳子十一位199団扇しかなかった頃の大家族3宮沢子(第27回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1腑に落ちない言葉ばかりや髪洗う 0 吉村きら2家だらけ電線だらけ大西日 0 近田吉幸3向日葵直立わが列島と屈背(くぐせ)たち3松田ひろむ4衣替え四季のリズムを整える 1 吉村きら5日傘さまさま回覧板をお隣へ 0 石口りんご6夕食の献立決まる沖縄忌 1 小平 湖7首振り三年音無しの扇風機 1 鈴木砂紅8大粒の出雲の喜雨に傘一つ 0 岡崎久子9フライトは気の向くままに飛魚(あご)何処1望月のぞみ10うっかりと散るを忘るる濃紫陽花 0 安原南海子11病む地球ほのかに照らし夏の月 4 中村ふみ12時の日や地元時間という間合 3 金丸菜斗13父母の俤はみな汗になる 1 近田吉幸14健康オタクテレビオタクが豆の飯 0 小髙沙羅15故郷に兎を追えずサングラス 1 川目智子16頬紅の姉焼く煙夏の富士 0 安藤利亮17芝刈のグングンかわるゴルフ場 0 渡辺すみれ18夏服や少女のリュックの反射板 0 安原南海子19糠床を育て四万六千日 6 金丸菜斗20梅雨晴や御苑を闊歩顎マスク 0 安藤利亮21父の日やいつからなのやらジジの日に0 岩渕純子22ぷちとまとプチっと弾け眼がさめる1 渡辺すみれ23反骨と耳と父似で梅焼酎 2 松田ひろむ24プーチンさん胸に泉を持てますか 1 翠 雲母25戦始まる性善説を梅雨叩く 1 福島芳子26枝豆や薄目の猫が離れない 1 小髙沙羅27朝顔の紺の奥より戦出ず 0 後藤よしみ28モンローの対極にいてモンロー忌 1 高矢実來29過呼吸は蛍火見ての子規の恋 1 信岡さすけ30くちなはの真昼の情事しつこくて 0 高橋透水31喜雨の中神話の国の兎たち 0 岡崎久子32汗流すたび消えてゆく自尊心 2 吉村きら33新茶汲みそっと差し出しどきどきし0 郡楽清子34夏至ひと日頭痛ひときわ重くれて 0 古川塔子35ひめゆりの塔に夕焼(ゆやけ)のいくたびぞ1荒井類36イヤホンを分け合う二人さくらんぼ6 川目智子37一服のブルーシートや麦の秋 0 金丸菜斗38山法師亡き母からの手紙です 2 石口 榮39梅雨空のシェフの豚かつイタリアン0 渡辺すみれ40老尼の人恋しげに団扇かな 0 高橋透水41オレンジの炎と化した紅花と 0 斎藤 藍42怪獣のような巨岩や梅雨茸 0 近田吉幸43無言館出る花栗匂う画学生 1 翠 雲母44箱庭の川のいつしか日本海 0 後藤よしみ45短夜や手も迷わずに釣りちょうず 0 石黒宏志46静寂のうちの華やぎ夏茶碗 1 国井 梢47放置されし戦車を遊具に戦禍の夏 0 高良和子48備前焼ぴったり決めた半夏生 1 津田文江49梅雨空のワイン豚カツ新社長 0 渡辺すみれ50誰にでも生老病死蝉しぐれ 4 石口 榮51螢火を追って我が身の老いてゆく 0 斎藤 藍52数独の堂々めぐり竹皮脱ぐ 2 翠 雲母53一人部屋ひねもす暇だ虎が雨 0 津田文江54最上川の水面を染めて紅の花 1 石黒宏志55夏衣や美脚を隠すマキシ丈 0 百目鬼英明56ひょうたん島川面揺らして夏ともし0 行成佳代子57愛逢月語り継ぐものとして非核 3 翠 雲母58ご破算に願いましては雹はじく 0 川目智子59安心のはずの年金遠花火 3 国井 梢60筋書のもっとも滲みる楸邨忌 0 増田萌子61昼蛙どちら向いても愛妻家 2 小髙沙羅62立て板に水の候補者瑠璃蜥蜴 2 川崎果連63頷くもすこし間を置きさくらんぼ 0 安原南海子64年齢不問遍歴不問半夏生 0 吉村きら65白南風やベビーカーから児を降し 0 安藤利亮66来客と句会胃カメラ梅雨に入る 1 古川和美67夜明けなきロシア小説読む白夜 1 川目智子68子孫ひこ夫は写真の夏座敷 1 白石みずき69Tシャツで行く大統領花茨 1 松田ひろむ70立葵のぼりつめれば人と距離 1 増田萌子71五年目の単身赴任誘蛾灯 2 川崎果連72蜜豆の蜜といえども甘くない 0 中村ふみ73感情が一直線に心太 1 小髙沙羅74梔子の明るさ欺瞞かも知れぬ 3 木野俊子75山滴る毀釈石仏頸の無く 0 安藤利亮76三秒や一キロ迫るはたた神 0 国井 梢77大皿に輪切トマトの罠掛ける 0 福島芳子78ちひろ絵のふうわりふわり裸の子 3 石口りんご79腰痛も日に日に治って花菖蒲 0 津田文江80蚕虫の一文字(もんじ)の口ウクライナ0 高良和子81夏蝶の金の吐息よ陽の白し 0 高橋透水82喜雨三日出雲の国に二泊す 0 岡崎久子83昼顔や誰かに言ってしまいそう 2 小平 湖84女坂ゆきて息切薄暑かな 0 荒井 類85駅近く白波となる更衣 0 望月のぞみ86戦争が梅雨の入日を眩しくす 1 後藤よしみ87散策の肉屋をゆるり桜桃忌 0 近田吉幸88夏汐や若大将も引退か 0 津田文江89醒ヶ井の水の旨さよ梅花藻よ 0 高矢実來90姫女菀抜いて自治会清掃日 2 古川和美91過払の振込を待つ熱帯魚 1 百目鬼英明92干瓢干す白い浄土に父と母 1 宮 沢子93鰻重の松竹梅と婚活と 0 安藤利亮94明易し町内清掃のボランティア 0 岩渕純子95恋バナや相槌軽く天道虫 0 行成佳代子96杏子熟れ信州人と返事あり 0 信岡さすけ97まぎわまで着る服迷う梅雨寒し 1 石黒宏志98父の日の父の直通遊び癖 0 古川塔子99二十三時閉店スーパー夏至の月 0 石口りんご100馬の背に稚児のおてふり風薫る 0 磯部薫子101片陰や出ては入りの繰り返し 0 百目鬼英明102万緑を見たくてベッド一階へ 1 古川和美103枝豆や素面(しらふ)で言えぬ嘘まこと3石口 榮104花桐や夕餉仕度のそぞろにて 0 国井 梢105片陰や集合時間じっと待つ 1 高矢実來106ふたりなら二駅歩く蝸牛 4 小平 湖107頬なぜて茅花流しや地蔵さま 0 郡楽清子108美容院紫陽花いつも跳ねている 0 小平 湖109雲の峰あっという間に肥満体 0 石口りんご110クレマチス嘘に気づかぬふりをして3 荒井 類111西瓜買うはちきれそうな音を買う 6 白石みずき112雷遠し外して光るイヤリング 0 岡崎久子113ワクチンを打って百まで青胡桃 4 小平 湖114沙羅の花ピッポッパッとドアオープン0安原南海子115亀鳴くや甲羅の下の蕁麻疹 0 中村ふみ116トランペット・ケースの中の夏の星3 後藤よしみ117木下闇樹液にたかるもの数多 0 鈴木砂紅118冷奴また一本を抜歯して 2 小髙沙羅119家計簿をほったらかしたまま端居 0 鈴木砂紅120蠛蠓(まくなぎ)やふくらみ初めし猜疑心1荒井 類121ライフジャケット二の足踏んで舟遊び0行成佳代子122夏の記憶集金に割りし貯金箱 0 高良和子123父の日の初めての杖小意気に 1 古川塔子124四度(よたび)目のワクチン予約梅雨曇1高良和子125一人降り一人乗る駅麦の秋 5 白石みずき126蓮の花バッグの底で電話鳴り 1 中村ふみ127家中のロボット掃除薔薇活ける 0 福島芳子128青梅や投票に行こうと誘う 2 木野俊子129豊漁や泳ぐダイヤの鮪かな 0 斎藤 藍130「俳句教えて!」孫からライン若葉風1 翠 雲母131陽に透かす若葉の脈の昏きこと 0 磯部薫子132ビール酌むZoomの笑顔十色かな 1 近田吉幸133沖縄忌ざわわざわわのとまらない 4 石口りんご134夏めくやモルック遊びデイサービス0 津田文江135あめんぼの表面張力生きる術 0 磯部薫子136縄文の木洩れ日揺らす青葉風 0 岡崎久子137トランプの一人占い梅雨籠り 2 岩渕純子138噴水がとぎれとぎれて子が消えて 1 望月のぞみ139好きなのよ流しでがぶりすももかな0 郡楽清子140バラ切って襤褸(らんる)たちまち美しき0松田ひろむ141宇宙にも匂いのあるや鰻の日 2 信岡さすけ142選挙カー夏木立にも手を振れり 2 川崎果連143一夜にして思わぬ方へ竹婦人 1 吉村きら144ベランダの薔薇の鉢との会話かな 0 渡辺すみれ145鉄の雨知らず母国の梅雨深む 1 松田ひろむ146梅雨入や心の晴れ間何色に 0 石黒宏志147洗濯機水着だったら海の音 0 荒井 類148檜葉の実の天に昇れば夏の星 0 磯部薫子149二十四万名をあげて梅雨長し 0 後藤よしみ150甘酒に女が酔うた振りをする 0 望月のぞみ151着古しの浴衣と故郷やわらかし 3 行成佳代子152成すままに後手後手のまま草茂る 0 安原南海子153五月雨や匂い残して散歩道 0 郡楽清子154二グラムの蛍五グラムの赤紙 9 木野俊子155父の日や親父美味いと煽てられ 0 金丸菜斗156宇宙語の飛び交ふ渋谷梅雨晴間 5 高橋透水157始まったばかりの老後落し文 2 増田萌子158カップルが十薬の八重写真撮る 0 古川和美159麦笛を吹きつつ濃き日濃い思い 0 福島芳子160短夜や乱れた国の心電図 1 木野俊子161ちびちびと十年(ととせ)を舐める梅酒かな0川目智子162梅酒瓶暗号資産と書いておく 2 鈴木砂紅163補虫網池の周りを駆け回る 0 百目鬼英明164人声にしばらく廻る吊忍 0 斎藤 藍165水を打つ風は我が家をひと回り 0 国井 梢166愛憎のひとつやふたつソーダ水 0 石口 榮167訃報欄ていねいに読みメロン食む 0 白石みずき168絵手紙に南部風鈴「今元気」 2 宮 沢子169鬼瓦踏ん張る空家青嵐 0 鈴木砂紅170浮いてこい「ねたきり」なんて書いてある2高矢実來171戦争は空腹のこと六月来 3 福島芳子172雨音はショパンの調べ梅雨に入る 1 岩渕純子173梅雨の雷メビウスの輪のばっさりと0 高矢実來174デザートは連夜の西瓜糖度十 0 百目鬼英明175黒揚羽花から花へ旅行中 0 古川和美176水無月の朝一番に白湯沸かす 2 古川塔子177五月晴れ向かいの家も満艦飾 0 郡楽清子178娘いての三人旅や青葉木菟 0 行成佳代子179網戸風座敷童もちゃっかりと 0 信岡さすけ180悪女めく江戸風鈴の古びおり 0 宮 沢子181鎌倉の白い紫陽花アナベルと 0 斎藤 藍182薔薇萎れ腰痛急に強くなり 0 中村ふみ183香を盗む駅構内のカサブランカ 0 高良和子184わが月日塩辛とんぼ糸とんぼ 0 増田萌子185四万六千日胸に四つの部屋のあり 1 高橋透水186沖縄忌せめてゴーヤの白和えで 0 金丸菜斗187ハンカチでこする地球儀キエフの字1 川崎果連188ひたすらに女を生きて冷索麺 1 白石みずき189水鉄砲銃殺隊の背後から 2 増田萌子190ひとことで語り尽くせぬ沖縄忌 0 石黒宏志191暮六つや玄関にまた蝦蟇 0 岩渕純子192優曇華や母の睫毛の長きこと 0 磯部薫子193野良犬に吠えられているかたつむり1 川崎果連194末期の水譲り合っても心太 2 宮 沢子195浜昼顔丸き地球の貨物船 0 木野俊子196お化け屋敷本物ひとりまじりおり 0 信岡さすけ197あめんぼの百年先へ跳ぶ準備 1 古川塔子198白靴を履けばハワイの砂被り 0 望月のぞみ199団扇しかなかった頃の大家族 3 宮 沢子200今生の今が旬なり水中花 2 石口 榮 (第28回鴎座通信句会)投句締切=7月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年07月01日
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第27回鴎座通信句会全句データ(互選用)俳句で免疫力アップ。新型コロナウイルス感染症に負けないで頑張りましょう。第27鴎座通信句会は四〇名二〇〇句となりました。選句と講評は鴎座代表、編集長、副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。投句された方の互選も行います。●互選選句5句。(全句のなかから5句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 6月29日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2022年6月26日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第27回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1腑に落ちない言葉ばかりや髪洗う2家だらけ電線だらけ大西日3向日葵直立わが列島と屈背(くぐせ)たち4衣替え四季のリズムを整える5日傘さまさま回覧板をお隣へ6夕食の献立決まる沖縄忌7首振り三年音無しの扇風機8大粒の出雲の喜雨に傘一つ9フライトは気の向くままに飛魚(あご)何処10うっかりと散るを忘るる濃紫陽花11病む地球ほのかに照らし夏の月12時の日や地元時間という間合13父母の俤はみな汗になる14健康オタクテレビオタクが豆の飯15故郷に兎を追えずサングラス16頬紅の姉焼く煙夏の富士17芝刈のグングンかわるゴルフ場18夏服や少女のリュックの反射板19糠床を育て四万六千日20梅雨晴や御苑を闊歩顎マスク21父の日やいつからなのやらジジの日に22ぷちとまとプチっと弾け眼がさめる23反骨と耳と父似で梅焼酎24プーチンさん胸に泉を持てますか25戦始まる性善説を梅雨叩く26枝豆や薄目の猫が離れない27朝顔の紺の奥より戦出ず28モンローの対極にいてモンロー忌29過呼吸は蛍火見ての子規の恋30くちなはの真昼の情事しつこくて31喜雨の中神話の国の兎たち32汗流すたび消えてゆく自尊心33新茶汲みそっと差し出しどきどきし34夏至ひと日頭痛ひときわ重くれて35ひめゆりの塔に夕焼(ゆやけ)のいくたびぞ36イヤホンを分け合う二人さくらんぼ37一服のブルーシートや麦の秋38山法師亡き母からの手紙です39梅雨空のシェフの豚かつイタリアン40老尼の人恋しげに団扇かな41オレンジの炎と化した紅花と42怪獣のような巨岩や梅雨茸43無言館出る花栗匂う画学生44箱庭の川のいつしか日本海45短夜や手も迷わずに釣りちょうず46静寂のうちの華やぎ夏茶碗47放置されし戦車を遊具に戦禍の夏48備前焼ぴったり決めた半夏生49梅雨空のワイン豚カツ新社長50誰にでも生老病死蝉しぐれ51螢火を追って我が身の老いてゆく52数独の堂々めぐり竹皮脱ぐ53一人部屋ひねもす暇だ虎が雨54最上川の水面を染めて紅の花55夏衣や美脚を隠すマキシ丈56ひょうたん島川面揺らして夏ともし57愛逢月語り継ぐものとして非核58ご破算に願いましては雹はじく59安心のはずの年金遠花火60筋書のもっとも滲みる楸邨忌61昼蛙どちら向いても愛妻家62立て板に水の候補者瑠璃蜥蜴63頷くもすこし間を置きさくらんぼ64年齢不問遍歴不問半夏生65白南風やベビーカーから児を降し66来客と句会胃カメラ梅雨に入る67夜明けなきロシア小説読む白夜68子孫ひこ夫は写真の夏座敷69Tシャツで行く大統領花茨70立葵のぼりつめれば人と距離71五年目の単身赴任誘蛾灯72蜜豆の蜜といえども甘くない73感情が一直線に心太74梔子の明るさ欺瞞かも知れぬ75山滴る毀釈石仏頸の無く76三秒や一キロ迫るはたた神77大皿に輪切トマトの罠掛ける78ちひろ絵のふうわりふわり裸の子79腰痛も日に日に治って花菖蒲80蚕虫の一文字(もんじ)の口ウクライナ81夏蝶の金の吐息よ陽の白し82喜雨三日出雲の国に二泊す83昼顔や誰かに言ってしまいそう84女坂ゆきて息切薄暑かな85駅近く白波となる更衣86戦争が梅雨の入日を眩しくす87散策の肉屋をゆるり桜桃忌88夏汐や若大将も引退か89醒ヶ井の水の旨さよ梅花藻よ90姫女菀抜いて自治会清掃日91過払の振込を待つ熱帯魚92干瓢干す白い浄土に父と母93鰻重の松竹梅と婚活と94明易し町内清掃のボランティア95恋バナや相槌軽く天道虫96杏子熟れ信州人と返事あり97まぎわまで着る服迷う梅雨寒し98父の日の父の直通遊び癖99二十三時閉店スーパー夏至の月100馬の背に稚児のおてふり風薫る101片陰や出ては入りの繰り返し102万緑を見たくてベッド一階へ103枝豆や素面(しらふ)で言えぬ嘘まこと104花桐や夕餉仕度のそぞろにて105片陰や集合時間じっと待つ106ふたりなら二駅歩く蝸牛107頬なぜて茅花流しや地蔵さま108美容院紫陽花いつも跳ねている109雲の峰あっという間に肥満体110クレマチス嘘に気づかぬふりをして111西瓜買うはちきれそうな音を買う112雷遠し外して光るイヤリング113ワクチンを打って百まで青胡桃114沙羅の花ピッポッパッとドアオープン115亀鳴くや甲羅の下の蕁麻疹116トランペット・ケースの中の夏の星117木下闇樹液にたかるもの数多118冷奴また一本を抜歯して119家計簿をほったらかしたまま端居120蠛蠓(まくなぎ)やふくらみ初めし猜疑心121ライフジャケット二の足踏んで舟遊び122夏の記憶集金に割りし貯金箱123父の日の初めての杖小意気に124四度(よたび)目のワクチン予約梅雨曇125一人降り一人乗る駅麦の秋126蓮の花バッグの底で電話鳴り127家中のロボット掃除薔薇活ける128青梅や投票に行こうと誘う129豊漁や泳ぐダイヤの鮪かな130「俳句教えて!」孫からライン若葉風131陽に透かす若葉の脈の昏きこと132ビール酌むZoomの笑顔十色かな133沖縄忌ざわわざわわのとまらない134夏めくやモルック遊びデイサービス135あめんぼの表面張力生きる術136縄文の木洩れ日揺らす青葉風137トランプの一人占い梅雨籠り138噴水がとぎれとぎれて子が消えて139好きなのよ流しでがぶりすももかな140バラ切って襤褸(らんる)たちまち美しき141宇宙にも匂いのあるや鰻の日142選挙カー夏木立にも手を振れり143一夜にして思わぬ方へ竹婦人144ベランダの薔薇の鉢との会話かな145鉄の雨知らず母国の梅雨深む146梅雨入や心の晴れ間何色に147洗濯機水着だったら海の音148檜葉の実の天に昇れば夏の星149二十四万名をあげて梅雨長し150甘酒に女が酔うた振りをする151着古しの浴衣と故郷やわらかし152成すままに後手後手のまま草茂る153五月雨や匂い残して散歩道154二グラムの蛍五グラムの赤紙155父の日や親父美味いと煽てられ156宇宙語の飛び交ふ渋谷梅雨晴間157始まったばかりの老後落し文158カップルが十薬の八重写真撮る159麦笛を吹きつつ濃き日濃い思い160短夜や乱れた国の心電図161ちびちびと十年(ととせ)を舐める梅酒かな162梅酒瓶暗号資産と書いておく163補虫網池の周りを駆け回る164人声にしばらく廻る吊忍165水を打つ風は我が家をひと回り166愛憎のひとつやふたつソーダ水167訃報欄ていねいに読みメロン食む168絵手紙に南部風鈴「今元気」169鬼瓦踏ん張る空家青嵐170浮いてこい「ねたきり」なんて書いてある171戦争は空腹のこと六月来172雨音はショパンの調べ梅雨に入る173梅雨の雷メビウスの輪のばっさりと174デザートは連夜の西瓜糖度十175黒揚羽花から花へ旅行中176水無月の朝一番に白湯沸かす177五月晴れ向かいの家も満艦飾178娘いての三人旅や青葉木菟179網戸風座敷童もちゃっかりと180悪女めく江戸風鈴の古びおり181鎌倉の白い紫陽花アナベルと182薔薇萎れ腰痛急に強くなり183香を盗む駅構内のカサブランカ184わが月日塩辛とんぼ糸とんぼ185四万六千日胸に四つの部屋のあり186沖縄忌せめてゴーヤの白和えで187ハンカチでこする地球儀キエフの字188ひたすらに女を生きて冷索麺189水鉄砲銃殺隊の背後から190ひとことで語り尽くせぬ沖縄忌191暮六つや玄関にまた蝦蟇192優曇華や母の睫毛の長きこと193野良犬に吠えられているかたつむり194末期の水譲り合っても心太195浜昼顔丸き地球の貨物船196お化け屋敷本物ひとりまじりおり197あめんぼの百年先へ跳ぶ準備198白靴を履けばハワイの砂被り199団扇しかなかった頃の大家族200今生の今が旬なり水中花鴎座通信句会は、ウイズコロナ時代の新しい句会のあり方として注目されています。昨年四月以降一年余りの開催の結果、新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の大きな成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として発展させて行きたいと思います。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月二十四日です。(四月より変更)ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです
2022年06月27日
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【ぎょうはい・ゆうはい】業俳・遊俳業俳と遊俳という言葉がある。業俳は文字通り職業としての俳人。遊俳は他に本業があって俳句を楽しむ人である。 業俳はまさに生活がかかっているので「命懸け」である。江戸期の知られている俳人はほとんど業俳であった。業俳と遊俳の関係も微妙で遊俳は業俳のスポンサーとなっていることが多い。現代でいえば結社の同人・会員である。この関係の好例としては一茶と夏目成美の関係がある。夏目成美は江戸の札差。一茶の後援者であった。成美はいつもは一茶を師と立てて援助していたものの、あるとき成美の店で金子が紛失したことがあった。このときは一茶も容疑者として一室に閉じ込められていたという。 これと同じことが、虚子と赤星水竹居の間でもあった。赤星水竹居は、「ホトトギス」が事務所を構えていた丸ビルの支配人で「ホトトギス」の同人でもあった。いつもは虚子先生、先生とたてていたものの、関東大震災(一九二三年九月一日)で東京が壊滅的な被害を受けたとき、虚子は鎌倉から丸ビルまで、苦心してかけつけた。東京は避難民でごった返し。丸ビルは地震にも被害がなかった。しかし、避難民が押し寄せるかも知れないと、赤星水竹居は丸ビルの入口を警備していた。そこに虚子と遭遇したものの、水竹居は虚子をまったく無視していたという。 丸の内震災の時、私は鎌倉から横須賀まで歩いて、関東丸に乗って品川湾に著(つ)いた。その夜は風波が荒くて上陸が出来ず、或士官の紹介で軍艦長門(ながと)に移って、はじめて安らかな眠りについた。陸地におれば絶えず余震におびえていたのが、海上に浮んでいる城の如き軍艦の上では、眠りを驚かすものは一つもなかった。人間は窮迫すると、その場限りの安易を求める。あす又陸地に上れば様々の恐怖すべきことに出あうのであるが、そんなことはどうでもよい。ただ一夜の安眠を得るということが、その時にあっては無上の慰楽である。翌朝芝浦に上陸して見ると、右往左往に歩いている男女のそわそわしている状態は、鎌倉、横須賀辺に比べて更に甚(はなはだ)しかった。それから芝公園に入った時避難民の群衆に驚かされて、公園を抜けてから、道の両側の焼尽された廃墟のあとに、まだぶすぶすと燃えているものがあるのを見た。桜田本郷町を過ぎて警視庁、帝劇の焼けあとを見、いたる所に『すいとん』の旗が出ていて、そこに人が黒山のようにたかっているのを見た。私はこの『すいとん』に腹をこしらえたことも一、二度ならずあった。しかしこの時八重洲町を歩いているうちに、どこであったかを忘れたが、(否、どこということを十分気にもとめなかったが)ある洋館の這入口(はいりぐち)に『ライスカレー一杯二十五銭』とある札を見て、私は大旱に雲霓(うんげい)を得た心持でそこにはいった。そこは震災に荒されたあとは見えたが、かなり立派な食堂であった。給仕人もちゃんと白い洋服を著(き)ていた。そして暖かそうな白い飯に琥珀(こはく)のような光りのある黄汁をかけたものが、私の前に運ばれた。昨夜軍艦の中では缶詰の牛肉を食った。その牛肉は素敵に美味(おいしい)ものであった。それにパンも食った。そのパンも美味しかった。が、しかし白い御飯にありつくのは久しぶりであった。ましてライスカレーというような御馳走にありつくことは、予期しなかったことであった。私はそこで腹をこしらえて丸ビルに向った。丸ビルは多少破壊しておったが、それでも巍然(ぎぜん)としてそびえておった。丸ビルの中も雑踏しておった。その群衆の中に三菱地所部長の赤星氏が巻ゲートルをして突立っておった。私が目礼した時、氏も目礼を返したが、それが私であることは認めなかったようだ。私は相変らず和服を著て、尻をからげて、白いズボン下をはいて、腰に大きな手拭をぶら下げていた。それにひげは生え、目は落窪んでいたため、私であることは気づかなかったのであろう。それに氏の顔面筋肉は引きしまり、何事かを沈思しているように見えた。幸いに火災は免れたけれども、多少の震災は免れなかった三菱村の諸建築の事は一にかかって氏の双肩にあるのだもの。わがホトトギス発行所たる丸ビルの一室が気になって来た私とは大変な相違である。(高浜虚子「丸の内」『大東京繁昌記』毎日新聞社) 虚子は抑制的に書いているものの、俳人と実業家の差をまざまざと感じたのであろう。金子兜太はよく「おれは業俳だ」といっていた。それはそれで否定しないものの、藤田湘子から直接聞いた話では、日本銀行を定年退職した兜太は業俳とはいわない。そんなことを言えば定年退職した俳人はみな業俳だろうといっていた。これは、国鉄本社で課長職まで勤めながら、定年前に退職した湘子のプライドでもあった。湘子は自身と業俳と考えていたわけだ。私自身は、五十一歳で電力会社を早期退職。俳句第一の生活に入った。ただし、師の古沢太穂先生からは俳句では飯は食えないよと言われていた。したがって業俳といえるほどのことが出来たどうか。これは本人が自称する問題ではないと思っている。(初出「鴎座」2022年6月号)
2022年06月22日
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名句のための俳辞苑 【あお】青日本語の「青」(あお)の範囲は非常に広い。黒と白の間(あい)が「あお」という説があるように多様な色がある。暗色の意味にも用いられ馬の青毛(あおげ)は黒である。逆に「白馬節会」(あおうまのせちえ)のように白馬と書いて「あおうま」という場合もある。 古くはシロ(顕)とアヲ(獏)と対立し、ほのかな光の感覚を示し、「白雲・青雲」の対立など無彩色(灰色)を表現するのはこのためである。またアカ(熟)とアヲ(未熟)と対立し、未成熟状態を示す。名詞の上に付けて未熟・幼少を示すことがあるのは、若葉などの「色」をさすことからの転義ではなく、その状態事態をアヲで表現したものとも考えられる。(小学館『日本語源大辞典』) 多くは緑色(グリーン)も青という。青葉・青菜・青木・青柳・青田、青物・青果・青蜜柑・青林檎、青柚子、青鬼灯、青蛙・青虫・青大将・青黴・青信号・青々などすべて緑である。さらに青葉や青田を吹きわたる強い風は「青嵐」(あおあらし・せいらん)という。「青」は前述の『日本語源大辞典』のいうように、、未熟なもの、若いの意味にも使われる。青春、青年、青侍・青二才、青道心・青臭い・青い。「白雲・青雲」は「しらくも・あをくも」と読む。「あをくも」は灰色の雲。「青雲」(せいうん)は意味が異なる。「白雲」は「立つ」にかかる枕詞。「青雲」は「出づ」にかかる枕詞。漢字の「青」と「蒼」・「碧」には同じ「あお」でも違いがある。「蒼」は、干した青草のような色、生気の無い青色を指し、不透明な青である。「蒼白」などの熟語が「蒼」の意味をよく表している。「碧」は、青く澄んで見える石、青色の美しい石の意味があり、碧空、碧海などの言葉もあるように美しいものを表す青色ないし緑色を表す。碧は「みどり」とも読む。その場合、「青」よりもさらに緑色に近い色であることを強調して用いるケースが多い。色合いとしては「青緑」に近く、「青」に含まれるが「蒼」や「藍」とは確かに区別される。色ではなく宝石を意味する漢字としても使われている。(ウイキペデイア)藍・縹(はなだ)は染料に用いられる植物(藍・露草)に由来する言葉。 あらたふと青葉若葉の日の光 芭蕉 青葉して御目の雫拭はばや 芭蕉肉体やとりとめもなく青葉して 鳴戸 奈菜青信号連続すひとつは蜃気楼 浦川 聡子青六十歳寒暁いずこより来るも(「鷗」1999年1月号)松田ひろむ糸瓜忌や青信号は緑いろ (「鷗座」2021年10月号)松田ひろむこのように、青は色彩としては緑と重なっている。未熟な意味と青と、青林檎などの品種(色彩)としての青が近年特に混用されている。果実ではこれが顕著であるが、単なる用語の混乱としてとらえるのではなく、意味が変化しつつある過程、つまり弁証法的な矛盾として考えることが出来る。それがどのようにアウフヘーベンされるのかが注目される。それを以下具体的に明らかにする。
2022年06月15日
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【きゅうれき】旧暦太陰太陽暦のこと。日本では1873年(明治6年)に採用されたグレゴリオ暦を新暦といい、それ以前の暦法を旧暦という。グレゴリオ暦以前のユリウス暦(紀元前四五年)を旧暦と呼ぶ場合もある。以下国立天文台の「旧暦とは」に対する回答の抜粋(表記は「鴎座」と統一・変更)。現在私達が使っている暦(グレゴリオ暦)は、太陽の動きをもとにして作られているため「太陽暦」と呼ばれる。一方、太陽暦が一八七三年(明治六年)に採用される以前は、月の満ち欠けをもとに、季節をあらわす太陽の動きを加味して作られた「太陰太陽暦」が使われていた。一口に太陰太陽暦といっても、たくさんの暦法(計算の規則)が使われてきたが、太陽暦への改暦の直前に使われていた「天保暦」と呼ばれる暦法のことを一般に「旧暦」と呼んでいる。旧暦を含む太陰太陽暦では、月が新月になる日を月の始まりと考え、各月の一日(朔日)とした。新月から新月までは平均して約二九・五日の間隔であるので、十二か月は約二九四日であり、太陽暦の一年より約十一日短いため、そのままではだんだんと季節とずれていく。そこで太陰太陽暦では、暦と季節のずれが大きくなって、ひと月分に近くなると、閏(うるう)月を入れて、ずれを修正していた。例えば三月の次に閏月が入るとその月は「閏三月」と呼ばれ、その年は十三か月あるということになる。閏月は平均すると十九年に七回ぐらいの割合で入る。以上のような理由で太陰太陽暦では同じ日付であっても、それを現在の暦での日付に換算すると年ごとに違う日付になる。例えば、現在の暦に切り替わる前の、一八七〇年(明治三年)一月一日は、現在の暦では二月一日であるが翌一八七一年(明治四年)一月一日は、現在の暦では二月十九日となる。なお現在、日本で「公式な」太陰太陽暦の計算というものはおこなわれていない。太陰太陽暦にしたがった習慣は、現在でも私たちの生活の中で生きている。例えば「中秋の名月」は太陰太陽暦の八月十五日の夜の月のであり、「七夕」も太陰太陽暦の七月七日のことである。(https://www.nao.ac.jp/faq/a0304.html) 以上のことから分るように、旧暦を陰暦と呼ぶのは誤り。あえていうとすれは、国立天文台のように「太陰太陽暦」である。ひらのこぼ『俳句発想法歳時記(秋)』(草思社)では、「七夕 旧暦七月七日」「西鶴忌 陰暦八月十日」というように同一書籍、同一著者であるのに、旧暦・陰暦が混用されているが、これはあり得ない。ライターが複数いるのかあるいは別資料のコピペはないかと思われる。辻桃子・安部元気『いちばんわかりやすい俳句歳時記』(主婦の友社)はすべて陰暦とあるが疑問である。旧暦は旧正月などにいまも使われている。中国では春節という。ふるさとや旧正月の雪籠り 名和三幹竹旧正や因幡にのこる藁の竜 大島 民郎春節の爆竹躍る汽笛鳴る 松田ひろむ
2022年06月14日
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栗林浩『SMALL ISSUE』を読む 松田ひろむ栗林浩さんより句集『SMALL ISSUE』(本阿弥書店)をご恵送いただいた。これは彼の第二句集で『うさぎの話』KADOKAWA(2019年)につづくもの。句集名は<イギリスのうさぎの話灯を消して>から。「うさぎの話」とは、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」のこと。不思議の国のアリスの自在な想像と連想の飛躍、言葉遊びは俳句にとっても大切なもの。第一句集からは次の句をあげる。うららかや耳掻くときは後ろ足くちびるという春愁の出口かな ホームより長い電車来修司の忌 氏は評論をよくし、またネット上に句集評を積極的にアップしているので、ここは私もそれに倣ってブログにアップすることとした。句集名の『SMALL ISSUE』(スモール イシュー)は、路上生活者(ホームレス)のための冊子「BIG ISSUE」に因むもの。BIG ISSUEとは「大問題」の意。SMALL ISSUEは小さな問題、取るに足りない問題。8<着膨れて立ち売りの手に「BIG ISSUE」>の句がある。しかし私には句集を英語のタイトルにする勇気はない。(英語をよく知らないせいである。)句の配列は編年体でなく13のモチーフになっている。ただそれも「社会現象」から「いのち」「戦争・テロ」「幻視」などそれを見るだけでも、こりゃ大変だと思えるのだが、句は重くはなく、どちらかと言えば俳諧ぶりの句が多くてほっとさせられる。最初は「社会現象」。坪内稔典の「一人の人間、ひとつの生物としての自分としての自分という小さな存在にたちかえり、そこから改めて時代の基底と切り結ぶほかはないだろう。」が掲げられている。6数へ日の町に熊出て撃たれけり冒頭の句で確かに「社会現象」ではあるが、次章の「ただごと」にも重なる。季語の「数へ日」が微妙で時間を提示することによって、そこにとぼけた面白さが読み取れる。28からすうり埴輪の乳房ちひさけれこれは「ただごと」の章から。「ただごとを楽しんでいる」とあるが、小生は藤田湘子の「ただごとを詠むな」を銘にしているので、ただごとを楽しむゆとりがなんとも羨ましい。句は烏瓜の実と乳房の対比。埴輪の女性像は着衣であるから。これは埴輪でなくて土偶ではないかとも思ったが、どうだろうか。53手を入れて青田を温くしたりけりこれは永田耕衣の<手を容れて冷たくしたり春の空>(『冷位』)へのオマージュだろう。「春の空」と「青田」、「冷たく」と「温く」が対比されている。しかし「青田―温く」では、因果関係が直接的で、残念ながら耕衣の句を超えているとは思えなかった。58崑崙へ飛ぶつもりして鷺草は鷺草が飛ぶのは、類型であるが、句は崑崙(こんろん)が大きい。崑崙とは、中国古代の伝説上の山。西方にあり黄河の源で玉を産出する。仙女の西王母がいるという。現実の崑崙山脈にも重なる。ただ私の作法では、この場合は「つもりして」や最後の「は」は使わない。66蹤いてくる螢がひとつ外厨北海道での実体験を踏まえている句であろう。この句も金子兜太の〈おおかみに蛍が一つ付いていた〉とイメージが重なる。こうした先人の句がちらつくのも、この句集の特徴で、それは、先人に並び立つという意欲として受け止めたい。句は外厨ならではの、民話が生まれそうだ。私の幼時体験にも母の実家で外厠が恐かった思い出がある。ただそうした実体験は農村でももう少ないのだろう。73をととひの兎のにほふうさぎ小屋これは兎小屋にウサギはもういないと読んだ。その断絶が匂いで表現されている。注目句のひとつ。第一句集『うさぎの話』と関連づけると、イメージは一挙にひろがる。89そののちのマリアを知らずさくら貝これはウイットの効いている句。確かに絵画でも聖母子像というのは幼いイエスの時代である。なお、マリアは死後3日にして霊魂も肉体もともに天に上げられたという。これは1950年に、教皇ピオ12世が交付したもの。その日は8月15日で被昇天のマリアの祝日とされている。句はさくら貝の色彩感と小ささが、思いを深めている。110餺飩(ほうとう)の南瓜とろとろ子沢山山梨名物の「ほうとう」はなじみ深いものだが「餺飥」(はくたく)の音変化とは思わなかった。もちろんこんな漢字も知らなかった。ほうとうに南瓜は付きものであるが、句は子沢山への飛躍が面白い。ただここで気が付いたのだが、章が「近過去」となっていると、答が用意されているようで、これは良し悪しではないかと思った。146わたくしを捜す放送秋の暮帯にある句。「幻視」の章にある。この句から、かつてのNHKラジオの「尋ね人の時間」を思いだした。氏は小生と同齢であるので、時代体験は共通している。季語は秋の暮であるので、これは人生のテーマでもある。「自分探し」であるのかもしれない。176ふゆかもめ女神はかかと上げてをりなんでもない句だが、もっとも魅かれた句である。女神といえばはギリシャ神話を思わせるが、「かかと上げて」の具象が効いている。琵琶湖湖畔の渡岸寺(向源寺)の十一面観音の遊足にも通じる、衆生救済の思いであろう。149まぼろしの火炎土器から花の雲「火炎土器」は、常用外ながら通常は「火焔土器」。火焔土器の力感に対しての「花の雲」はちょっと弱い。もっとも作者独特のはぐらかしかとも思った。この他次の句もチェックした。93みつめられ白桃いたみやすきかな109揚花火勝鬨橋はもう開かず117「雪の降る街」に生まれて雪嫌ひ131鳩いくたび集めて放つ原爆忌140長き夜はシェエラザードと寝落ちるか148茅花流し少女のおでこ広くなる以上のように、どの句をとっても味わいが深くかつ「軽み」を目指していることがうかがわれる。しかしこの句集が氏の集大成とは思えない。発展途上の試行錯誤も含め、これからの句業に期待が高まる。80歳を越え明日を見つめる氏と、ともども刺激しあいたいものである。(2022年6月13日)
2022年06月13日
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第26回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第26回鴎座通信句会は40名200句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第26回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選8 戦時と平時いづれも重し昭和の日57降参するまで玉葱をみじん切り特選133父の日のあたり前田のクラッカー/吉村きら156箸使い慣れて給食一年生176呟きをいくつ零してアマドコロ182ソーダ水対角線に坐す二人187後ろからまたクラクション夕薄暑(選評)特選に133の「父の日」の句をいただいた。「てなもんや三度笠」から生まれた昭和の名ギャグ、「あたり前田のクラッカー」と季語を取り合わせただけであるが軽妙な一句。「俺がこんなに強いのも、当たり前」「歌が上手いのも当たり前」などと子供に自慢している父親の姿が目に浮かぶ。ユーモアたっぷりの家庭かも知れない。8「戦時と平和」の句。激動の日々を経て復興を遂げた昭和の時代。天皇誕生日、みどりの日、昭和の日と名称が変わった。「昭和の日」の制定時には異論も多かったが、最近では俳人愛用の季語となっている。57「降参するまで」の句。ウクライナ侵攻のロシア軍が正にそれである。季語の玉葱が効いている。156「箸使い慣れ」の句。スプーンから箸に変わっての給食。たどたどしい仕種が何とも可愛らしい。176「呟きを」の句。甘野老(アマドコロ)の花を「つぶやき」と見立てたところに共鳴。182「ソーダ水」の句。コロナ禍での喫茶風景。マスクは勿論のこと、坐るにも対角線で感染予防対策。対角線で一句になった。187「後ろから」の句。一読して煽り運転と解した。夕薄暑、つまり薄暮はもっとも事故が多い。句は作者の抗議の思いだろうか。小髙沙羅(副編集長)選 28壇蜜と守宮来るものは拒まない57降参するまで玉葱をみじん切り 70菖蒲湯の毬と遊んでいてひとり特選112五月富士伏流水が歯に沁みる/宮沢子121格子戸に昭和が潜む釣忍133父の日のあたり前田のクラッカー 167紫陽花の中を紫陽花電車来る(選評)特選にいただいた112「五月富士」の句。雪も消えた五月の富士。初夏の大地に悠然とそびえている富士山。伏流水の冷たさを「歯に沁みる」と肉体感覚でとらえた秀句。28壇蜜は俳句も作る。男性は歓迎するだろうが守宮も悪くない。仲間は多い方がいい。57「降参するまで」の句。「みじん切り」はごく日常のことであるが、降参するまでが誇張なのか。あるいは夫婦のことなのかと想像が広がる。 70「菖蒲湯の」の句。子供のときの思い出として素直に受けとったが、「ひとり」で一人暮らしとなると切ないことになる。121「格子戸に」の句。格子戸と釣忍。まさに昭和の郷愁である。133「父の日の」の句。一九六二年にヒットした藤田まことのCMを生かした句。それも父の思い出。167「紫陽花の」の句。紫陽花と紫陽花と重ねて、その季節への共感。アジサイ電車の名のある箱根登山鉄道のこととすると分りやすい。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 特選8戦時と平時いづれも重し昭和の日/荒井類11花しょうぶ未来新聞あれば読む45最期まで君を看取るぞ柿の花51初夏の別れおやゆびこゆびかな57降参するまで玉葱をみじん切り 132燕来る幸せのかけらいただきぬ 180皆スマホいじっておりぬ蟇(選評)特選の8「戦時と」の句。ロシアのウライナ侵攻から四ヶ月が過ぎたが解決の糸口が見つからない。日本でも七十七年前の戦争を知っている人は年々少なくなってきている。如何にして戦争を避けるかは平時から国同士が良い関係を築き、均衡を保つことができるかそこが難しい問題、いづれも重しである。改めて季語「昭和の日」を考えさせられる旬。11「花しょうぶ」の句。未来がわかる新聞これもいいけれど、今は未来について解かってきた部分もあるものの、未来が分ると怖い面もある。一寸先は闇これがいいのかも知れない。45「最期まで」の句。夫か妻か作者はこの状況を受け入れる覚悟を決めた。この強い決断と、優しさ立派だ。51「初夏の」の句。おやゆぴこゆぴかなで別れの悲しさががらっと明るい句になった。その分作者は涙をこらえているのかも。57「降参」の旬。残念ながら今年は玉葱が高値だ。玉葱のみじん切りは切り出したら一気に攻める。躊躇していたら負けだ。みじん切りは何を作るのか、日常を楽しんでいる様子が窺える。132「燕来る」の句。燕は民家の軒に毎年巣を作ったりして何となく親しみがある。明るいニュースが少ないこの頃何事もプラス思考で燕に会うのも緑起がいいのだ。130「皆スマホ」の句・これは電車の中でよく見る景だが、見慣れてはいてもあまりいい気持ちはしない。季語の蟇の取り合わせが効いている。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選11花しょうぶ未来新聞あれば読む12春浅しまだある平和パンを焼く45最期まで君を看取るぞ柿の花129飛脚より遅い郵便待つ夏日161住所録消す数増えて仏桑花特選170スランプは黄色でしょうか麦の秋/増田萌子183加齢ならやっぱり華麗よ豆の花(選評)特選にいただいた170「スランプ」の句。そうハッキリ言われるとそう黄色だと納得してしまう勢いのある句。無駄な事は一切言っていないが麦の秋に気持が出ていてよく響いていて大胆な一句となっている。11「花しょうぶ」の句。はい、あれば絶対読みたい。自分の未来をも想像して楽しそうで元気になれそうな句である。12「春浅し」の句。なんだかんだと言っても日本は平和だ。パンを焼くなんて平和の象徴である。贅沢な事なのだ。それが日常的に出来る、日本人で良かった、としみじみ思わせてくれる句である。45「最期まで」の句。いいなー、長年連れ添った夫婦だから言える言葉だと思う。柿の花の明るさがなお晩年を明るくしている。独り身としては羨ましい。129「飛脚より」の句 。心からそう思う。最近の郵便事情は慣れていないせいか不便極まりない。出すタイミングも考えないと大幅に遅れてしまう。161「住所録」の句。身に染みて良く分かる。現実に一人減り二人減りしている。だいたい年賀状で知ることが多い。仏桑花は仏という字を使っているが結構大きく華やかな花である。その対比も面白い。183「加齢なる」の句。華麗と言われたら最高。せめて自分の中だけでもそう思いたいとこの句に出会って感じた。豆の花が女性の可愛らしさが残っているようでほっとする。鈴木 砂紅(招待)選 5凌霄のいつから高所恐怖症特選35 華氏451度薔薇すべて焼かれんと/後藤よしみ57 降参するまで玉葱をみじん切り59 祝傘寿守宮の足裏ぺたぺたと60 父の日のいたるところに訂正印74 国連憲章もっともっと浮いてこい151 かきつばた妻より先に死ぬ決まり(選評)特選に頂いた「華氏」の句。焚書という手段で地球が支配される姿を描いた映画「華氏451」を想起させ、薔薇が戦争で焼き尽くされる衝撃を描く。第三次世界大戦がすぐそこにある、という焦燥感に駆られる一句。 5 「凌霄」の句。凌霄を見上げると、天より花が散ってくるかと思うほど高い。作者の抱える恐怖症を花がやさしく受け止めた、と読んだ。57 「降参」の句。切ったほうが降参の涙を流すのか、或いは玉葱が降参するのか。戦場に残された無残な遺体のイメージが重なって辛いが、詠まずにはいられない心情に共感。59 「祝傘寿」の句。「傘」という字に潜む守宮の足裏のかたちの発見が俳諧味を醸す。傘寿が祝うほどの事か、という作者のひねくれ具合も愉しい。60 「父の日」の句。人生には訂正印が必要だが、特に父という存在には沢山押してあげたくなる。父と訂正印の取り合わせの妙。74 「国連憲章」の句。憲章の第1章には【国際の平和及び安全を維持すること】とあるが、その実現は遠い。ちっぽけな玩具に託した怒り。151 「かきつばた」の句。在原業平が詠んだ「かきつばた」からの連想。妻より長生きはしたくないという夫の悲哀と我儘の詰まった一句。 松田ひろむ(代表)選 準特選12春浅しまだある平和パンを焼く/鈴木ひろ子40わが町にちっぽけな富士桜の実57降参するまで玉葱をみじん切り67二時間に一本のバス花茨 69叱られて冷し中華の迷い箸 132燕来る幸せのかけらいただきぬ準特選156箸使い慣れて給食一年生/安原南海子166五月晴ピッコロ歌う会場へ 167紫陽花の中を紫陽花電車来る特選191つづらごのドとミの間走り梅雨/増田萌子197てきばきとイナダを捌く氷見生れ(選評)特選にいただいた19「つづらごの」の句。「つづらご」とは東北方言で帯状疱疹のこと。由来はヒヨドリジョウゴ(つづらご)の実のなり方が帯状疱疹に似ていることから。ドとミの間はレだが、その違和感は、帯状疱疹にも走り梅雨にも共通している。準特選にいただいた12「春浅し」の句。「まだある平和」の句。ロシアのウクライナ侵略でにわかに平和が密接なものに。確かに「まだある」である。パンを焼くで実感の句となった。同じく準特選の156「箸使い慣れて」の句。なんといっても「給食一年生」の省略が清々しい。背景に一年生の声が聞こえてくるよう。40「わが町に」の句。富士講のそれだろう。もしかして銀座もあるかも。しかし桜の実で地方の姿が見えてきた。57「降参するまで」の句。降参は出来ないウクライナの闘い。かつてのベトナムの戦いにも思いは重なる。67「二時間に」の句。過疎の地方か。しかし作者は俳句のためなら、どこにでも出かけると読める。花茨に誘われたのだろうか。69「叱られて」の句。迷い箸は副食のためらいだが、句は「冷し中華」の具。それが新鮮である。132「燕来る」の句。たしかにツバメは「幸せのかけら」の実感である。心弾む句。166「五月晴」の句。子供の音楽会だろうか。「ピッコロ歌う」がいかにも明るい。167「紫陽花の」の句。紫陽花を重ねてリフレインの効果で一句。197「てきばきと」の句。元気な女性の姿だろうか「氷見生れ」に共感。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上1位57 降参するまで玉葱をみじん切り 6 吉村きら2位10 老鶯の音痴病妻を笑わす 5 金丸菜斗2位130忖度とフェイクの隙間雨蛙 5 木野俊子4位11 花しょうぶ未来新聞あれば読む 4 小髙沙羅4位28 壇蜜と守宮来るものは拒まない4 松田ひろむ4位60 父の日のいたるところに訂正印 4 吉村きら4位74 国連憲章もっともっと浮いてこい4 木野俊子8位8 戦時と平時いづれも重し昭和の日3荒井類8位12 春浅しまだある平和パンを焼く3鈴木ひろ子8位39カーネーション母の未来にいた私 3吉村きら8位59 祝傘寿守宮の足裏ぺたぺたと3信岡さすけ8位64菜園にショベル残して梅雨に入る3白石みずき8位69叱られて冷し中華の迷い箸3望月のぞみ8位133父の日のあたり前田のクラッカー 3吉村きら8位143非正規の三十年を草いきれ3木野俊子8位167紫陽花の中を紫陽花電車来る3岡崎久子8位173和平と平和どくだみは好きな花3小平 湖8位184餡蜜のあんを掬って過去は過去3石口りんご8位193老鶯や昨日は出来て今日は無理3中村ふみ (第26回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1地元力士の勝越し決まり青嵐 0 安原南海子2芍薬の爆発寸前の笑顔 2 吉村きら3滝しぶき文学館に虹かかり 0 福島芳子4五月場所笑顔愛らし隆の勝 0 津田文江5凌霄のいつから高所恐怖症 2 石口 榮6姫女苑主失くして道端に 1 石黒宏志7半夏生木の香を放つ木の仏 1 岡崎久子8戦時と平時いづれも重し昭和の日 3 荒井 類9古書店の句友の句集夏立つ日 1 高良和子10老鶯の音痴病妻を笑わす 5 金丸菜斗11花しょうぶ未来新聞あれば読む 4 小髙沙羅12春浅しまだある平和パンを焼く 3 鈴木ひろ子13退屈は贅沢あじさいが青い 1 小髙沙羅14子育ては順調らしい金魚玉 2 国井 梢15森五月癌とのくらしさて措いて 0 鈴木ひろ子16夕立や非常階段赤きビル 0 高矢実來17立行司物言い多し五月場所 0 津田文江18ビー玉に世界の縮図夏来る 2 磯部薫子19折鶴の叫喚聞こゆ走り梅雨 0 後藤よしみ20キャタピラーの跡を鍬ふる麦畑 0 鈴木ひろ子21鉄の雨降るキキキキと夏燕 0 後藤よしみ22杜若平和になれと祈ります 0 渡辺すみれ23お互いにいいことだけど蚊帳惜しむ0 国井 梢24いくつある母の集めた夏茶碗 0 渡辺すみれ25つづらごのなにが足りない麦の秋 0 増田萌子26マスクマスク茶摘娘に群がりて 0 安藤利亮27半世紀ぶりの古書の香初夏の街 0 高良和子28壇蜜と守宮来るものは拒まない 3 松田ひろむ29エゴの花核戦争が粛々くる 0 翠 雲母30たてがみの白馬と流れ青嵐 0 望月のぞみ31薫風や好きなことして幸齢者 1 近田吉幸32鴫焼や写真の母に笑われる 0 鈴木砂紅33胡瓜生る七十代の自画自賛 0 国井 梢34蚕豆焼く煙が撫でてゆくカウンター1 金丸菜斗35華氏451度薔薇すべて焼かれんと1 後藤よしみ36正代はまた角番か走り梅雨 0 石口りんご37腰痛を撫でて摩って立葵 1 行成佳代子38曾ばあちゃんになった日からの柿若葉1 安原南海子39カーネーション母の未来にいた私 3 吉村きら40わが町にちっぽけな富士桜の実 1 鈴木砂紅41庭先の小梅に母と田舎漬 0 古川和美42田貫湖にひびく親子のテント泊 0 渡辺すみれ43ジューンドロップ青春は一瞬に 0 松田ひろむ44軽トラへ古き仏壇柿の花 0 安藤利亮45最期まで君を看取るぞ柿の花 2 翠 雲母46唯に恋うきつね忠信初音の鼓 0 郡楽清子47新緑の色見つからずウクライナ 0 石口りんご48一言で分かる人柄ソーダ水 2 小髙沙羅49澤瀉屋の五変化(へんげ)凝視夏芝居0 荒井 類50煌めける今朝の雨滴や青葉風 0 近田吉幸51初夏の別れおやゆびこゆびかな 1 鈴木砂紅52八十路にも迷いの角や夏柳 0 金丸菜斗53古書店の平台に父と子五月風 0 高良和子54花水木花冠のごとし松屋通り 0 郡楽清子55こんどこそ減らした筈が更衣 0 石口りんご56風薫る手櫛の妻は三角点 0 安藤利亮57降参するまで玉葱をみじん切り 6 吉村きら58ヤマボウシ縄文の白とつぶやきぬ 0 郡楽清子59祝傘寿守宮の足裏ぺたぺたと 3 信岡さすけ60父の日のいたるところに訂正印 4 吉村きら61詐欺メール背中の汗のすでに冷え 0 安藤利亮62菜の花やパスタランチで赤ワイン 0 津田文江63何時だって後で気が付く野萱草 2 国井 梢64菜園にショベル残して梅雨に入る 3 白石みずき65鯉幟金の卵と言われしが 1 信岡さすけ66青梅を丸ごと包む求肥かな 1 斎藤 藍67二時間に一本のバス花茨 1 川崎果連68菩提寺の写楽の墓を若葉風 0 行成佳代子69叱られて冷し中華の迷い箸 3 望月のぞみ70菖蒲湯の毬と遊んでいてひとり 1 古川和美71寝太郎の植えた茄子苗よく育つ 2 鈴木砂紅72初蝶に感染経路秘めしまま 0 白石みずき73風のきて銀の鈴ふる樹氷帯 0 鈴木ひろ子74国連憲章もっともっと浮いてこい 4 木野俊子75昼顔のいつもの坂をハーハーと 0 古川塔子76聖五月世界の難民一億と 1 斎藤 藍77復帰五十年治外法権そのままに 0 金丸菜斗78薔薇だけに云へる秘密の話なの 1 百目鬼英明79緑雨かな白いタオルに身を包み 0 鈴木砂紅80すこし愛して大原麗子と冷し酒 2 松田ひろむ81バイオリンのしずかなる弦薔薇散れり0 後藤よしみ82静岡の深蒸新茶まろやかに 1 斎藤 藍83多国籍コクリコ雛罌粟アマポーラ 0 行成佳代子84ひと雨ごとに季節進むや黐躑 0荒井 類85コンタクト外してみても金魚鉢 1 望月のぞみ86メイクして性格変える別れ霜 1 翠 雲母87木漏れびや楓若葉の透きとおる 0 岩渕純子88マネキンの真白き素肌更衣 2 岡崎久子89豆ごはん照れくさいから怒っちゃお1 小平 湖90紅色に日に染まりゆくブラシかな 0 福島芳子91達磨さんが転んだ日の天瓜粉 1 百目鬼英明92街を行く朝の登校生風涼し 0 福島芳子93今年竹日ごとに上下の色変わる 0 古川和美94夏めくや愛犬ロンの樹木葬 1 高橋透水95葉ざくらや千鳥ヶ淵はだれを待つ 0 安原南海子96 (取消)97母の日のワンオペ料理もそれなりに0 行成佳代子98バイデンさん来る十薬花盛り 0 小平 湖99十薬やゴミ出しあとの立ち話 1 白石みずき100梅雨茸の自称なれども佐分利信 1 松田ひろむ101繭の中からからからと玉手箱 0 中村ふみ102悪いインフレ良いインフレと走り梅雨1松田ひろむ103薔薇園で迷える少女アリスかも 0 磯部薫子104竹皮を脱ぐ皮のひかりの裏表 0 金丸菜斗105水盗む石を蹴ってもいいですか 0 石口 榮106紫陽花忌耳門を閉じる音がした 0 近田吉幸107燕子花女らしさを忘れては 0 古川塔子108わがことと思えぬが痛みはや夏に 0 高良和子109黄揚羽の揺らめきの先マリウポリ 0 高矢実來110緋目高の昨日も今日も稚魚増えて 0 福島芳子111お吉さん黒船祭を何と聞く 0 石黒宏志112五月富士伏流水が歯に沁みる 1 宮 沢子113夏きざす漁師の宿のなめろうと 0 斎藤 藍114就任の春半世紀前の駅 0 古川和美115梅雨寒や二冊続けて原田マハ 1 宮 沢子116万緑や予約の券はありますか 0 小髙沙羅117練切の紫陽花を盛る志賀の皿 0 斎藤 藍118入梅や手を貸しすぎる親不孝 2 川崎果連119十薬や団地に残る焼却炉 2 高矢実來120ブラックホール蓮のアンテナ太古より1信岡さすけ121格子戸に昭和が潜む釣忍 2 岡崎久子122短夜や小言ばかりの夫の夢 1 高矢実來123夏みかん十五歳の君の写真 1 木野俊子124ジャム煮る匂いパン焼く匂い平和だなあ1鈴木ひろ子125憲法記念日家並(やなみ)は国旗かかげざる 0荒井類126万緑にピッコロの「となりのトトロ」0渡辺すみれ127麦の秋鳥のイチャイチャばかりかな0 高橋透水128自分の名好きも嫌いも蛇苺 0 川崎果連129飛脚より遅い郵便待つ夏日 2 高良和子130忖度とフェイクの隙間雨蛙 5 木野俊子131シャワー浴ぶ他人のごとき手足して1 高 橋透水132燕来る幸せのかけらいただきぬ 2 郡楽清子133父の日のあたり前田のクラッカー 3 吉村きら134新じゃがの青い毒など不整脈 0 古川塔子135ドクダミの白十文字戦渦まだ 0 磯部薫子136緑陰の終活談義金欲しや 1 高橋透水137来るものはこばまずでもね蚊はいやだ1 中村ふみ138西日さす伯父の胸像飛行服 0 高矢実來139母居ません茄子漬のあの色出ない 0 石口りんご140時計草つながっていて知らんふり 2 増田萌子141炒飯にたっぷり混ぜる大夕焼 2 石口 榮142諏訪の湖伊藤千代子の一位咲く 0 信岡さすけ143非正規の三十年を草いきれ 3 木野俊子144雲の峰まさかが起こる世となりぬ 0 百目鬼英明145春風やきときと鯵と従妹来る 0 津田文江146逃げ水を追わず踵を翻す 0 磯部薫子147柿若葉アイヌの古式舞踊団 0 木野俊子148風鈴やウクライナの風溜めて鳴る 1 翠 雲母149小手毬の記憶の先の比翼塚 0 宮 沢子150ネモフィラの丘辺よ空よ風薫る 0 岩渕純子151かきつばた妻より先に死ぬ決まり 2 高橋透水152一日は一生のよう草萌える 0 小髙沙羅153時々は充電だいじ柏餅 1 安原南海子154焼き鮑踊る姿は限界値 0 望月のぞみ155生協の不在通知や五月便 0 古川和美156箸使い慣れて給食一年生 2 安原南海子157あじさい映え一番星はどこに出る 0 福島芳子158白ばらや素肌の匂ふ銀座の夜 1 百目鬼英明159血の薄くなる齢になり冷酒好き 0 中村ふみ160万緑の中の彩り山ガール 0 安藤利亮161住所録消す数増えて仏桑花 2 中村ふみ162芍薬や煩悩の数多すぎて 1 石黒宏志163人類を地球は許さず夾竹桃 0 近田吉幸164牡丹散り美しきまぼろし残りけり 0 岩渕純子165桜桃忌人はいたって主観的 1 国井 梢166五月晴ピッコロ歌う会場へ 1 渡辺すみれ167紫陽花の中を紫陽花電車来る 3 岡崎久子168あの時のあの一言が夕蛍 1 白石みずき169だうされた天井の蛇落ちにけり 0 百目鬼英明170スランプは黄色でしょうか麦の秋 1 増田萌子171追伸につづく卯の花腐しかな 1 石口 榮172梅を干す天気予報を諳(そら)んじて0望月のぞみ173和平と平和どくだみは好きな花 3 小平 湖174ビールにも上層部ありグイと飲む 0 川崎果連175一合の酒の肴は初鰹 1 石黒宏志176呟きをいくつ零してアマドコロ 1 行成佳代子177薔薇垣のブラックホールへ手を入るる1後藤よしみ178軽暖やバランスボールに嫌われて 0 宮 沢子179竹皮を脱ぐ少年の変声期 1 石口 榮180皆スマホいじっておりぬ蟇 1 近田吉幸181五月の香五月の風も疫病(えやみ)の世0古川塔子182ソーダ水対角線に坐す二人 2 白石みずき183加齢ならやっぱり華麗よ豆の花 1 古川塔子184餡蜜のあんを掬って過去は過去 3 石口りんご185多佳子忌の足踏みミシン転がして 0 小平 湖186夜濯ぎの椰子のザンバラけたたまし0 磯部薫子187後ろからまたクラクション夕薄暑 1 川崎果連188菜種梅雨何処にも行けぬ旅鞄 1 岡崎久子189梔子をやはり掠ってダンプカー 0 小平 湖190ジャスミンの香りのなかで眠りたし0 岩渕純子191つづらごのドとミの間走り梅雨 1 増田萌子192待ち望む和平への道聖五月 0 岩渕純子193老鶯や昨日は出来て今日は無理 3 中村ふみ194白玉の掬いそこねて蝶の昼 1 増田萌子195夏燕天変地異をものともせず 0 翠 雲母196頭上かすめ影さえ見えずつばくらめ 0 郡楽清子197てきばきとイナダを捌く氷見生れ 1 津田文江198夏は来ぬ空也の背(せな)の活き活きと0 荒井 類199蛍袋キラキラネーム呼ばれゆく 0 信岡さすけ200たっぷりと黄色と白の柿若葉 0 石黒宏志訂正34正=撫でゆく 誤=撫でてゆく (第27回鴎座通信句会)投句締切=6月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年06月01日
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俳句で免疫力アップ。新型コロナウイルス感染症に負けないで頑張りましょう。第26鴎座通信句会は40名200句となりました。選句と講評は鴎座代表、編集長、副編集長・Ⅰ欄同人などに依頼しました。投句された方の互選も行います。●互選選句5句。(全句のなかから5句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 5月29日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2022年5月26日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第26回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1地元力士の勝越し決まり青嵐2芍薬の爆発寸前の笑顔 3滝しぶき文学館に虹かかり4五月場所笑顔愛らし隆の勝5凌霄のいつから高所恐怖症6姫女苑主失くして道端に7半夏生木の香を放つ木の仏8戦時と平時いづれも重し昭和の日9古書店の句友の句集夏立つ日10老鶯の音痴病妻を笑わす11花しょうぶ未来新聞あれば読む12春浅しまだある平和パンを焼く13退屈は贅沢あじさいが青い14子育ては順調らしい金魚玉15森五月癌とのくらしさて措いて16夕立や非常階段赤きビル17立行司物言い多し五月場所18ビー玉に世界の縮図夏来る19折鶴の叫喚聞こゆ走り梅雨20キャタピラーの跡を鍬ふる麦畑21鉄の雨降るキキキキと夏燕22杜若平和になれと祈ります23お互いにいいことだけど蚊帳惜しむ24いくつある母の集めた夏茶碗25つづらごのなにが足りない麦の秋26マスクマスク茶摘娘に群がりて27半世紀ぶりの古書の香初夏の街28壇蜜と守宮来るものは拒まない29エゴの花核戦争が粛々くる30たてがみの白馬と流れ青嵐31薫風や好きなことして幸齢者32鴫焼や写真の母に笑われる33胡瓜生る七十代の自画自賛34蚕豆焼く煙が撫でてゆくカウンター35華氏451度薔薇すべて焼かれんと36正代はまた角番か走り梅雨37腰痛を撫でて摩って立葵38曾ばあちゃんになった日からの柿若葉39カーネーション母の未来にいた私 40わが町にちっぽけな富士桜の実41庭先の小梅に母と田舎漬42田貫湖にひびく親子のテント泊43ジューンドロップ青春は一瞬に44軽トラへ古き仏壇柿の花45最期まで君を看取るぞ柿の花46唯に恋うきつね忠信初音の鼓 47新緑の色見つからずウクライナ48一言で分かる人柄ソーダ水49澤瀉屋(おもだかや)の五変化(へんげ)凝視夏芝居50煌めける今朝の雨滴や青葉風51初夏の別れおやゆびこゆびかな52八十路にも迷いの角や夏柳53古書店の平台に父と子五月風54花水木花冠のごとし松屋通り 55こんどこそ減らした筈が更衣56風薫る手櫛の妻は三角点57降参するまで玉葱をみじん切り 58ヤマボウシ縄文の白とつぶやきぬ 59祝傘寿守宮の足裏ぺたぺたと60父の日のいたるところに訂正印 61詐欺メール背中の汗のすでに冷え62菜の花やパスタランチで赤ワイン63何時だって後で気が付く野萱草64菜園にショベル残して梅雨に入る65鯉幟金の卵と言われしが66青梅を丸ごと包む求肥かな67二時間に一本のバス花茨68菩提寺の写楽の墓を若葉風69叱られて冷し中華の迷い箸70菖蒲湯の毬と遊んでいてひとり71寝太郎の植えた茄子苗よく育つ72初蝶に感染経路秘めしまま73風のきて銀の鈴ふる樹氷帯74国連憲章もっともっと浮いてこい75昼顔のいつもの坂をハーハーと76聖五月世界の難民一億と77復帰五十年治外法権そのままに78薔薇だけに云へる秘密の話なの79緑雨かな白いタオルに身を包み80すこし愛して大原麗子と冷し酒81バイオリンのしずかなる弦薔薇散れり82静岡の深蒸新茶まろやかに83多国籍コクリコ雛罌粟アマポーラ84ひと雨ごとに季節進むや黐躑(もちつつじ) 85コンタクト外してみても金魚鉢86メイクして性格変える別れ霜87木漏れびや楓若葉の透きとおる88マネキンの真白き素肌更衣89豆ごはん照れくさいから怒っちゃお90紅色に日に染まりゆくブラシかな91達磨さんが転んだ日の天瓜粉92街を行く朝の登校生風涼し93今年竹日ごとに上下の色変わる94夏めくや愛犬ロンの樹木葬95葉ざくらや千鳥ヶ淵はだれを待つ96(削除)97母の日のワンオペ料理もそれなりに98バイデンさん来る十薬花盛り99十薬やゴミ出しあとの立ち話100梅雨茸の自称なれども佐分利信101繭の中からからからと玉手箱102悪いインフレ良いインフレと走り梅雨103薔薇園で迷える少女アリスかも104竹皮を脱ぐ皮のひかりの裏表105水盗む石を蹴ってもいいですか106紫陽花忌耳門を閉じる音がした107燕子花女らしさを忘れては108わがことと思えぬが痛みはや夏に109黄揚羽の揺らめきの先マリウポリ110緋目高の昨日も今日も稚魚増えて111お吉さん黒船祭を何と聞く112五月富士伏流水が歯に沁みる113夏きざす漁師の宿のなめろうと114就任の春半世紀前の駅115梅雨寒や二冊続けて原田マハ116万緑や予約の券はありますか117練切の紫陽花を盛る志賀の皿118入梅や手を貸しすぎる親不孝119十薬や団地に残る焼却炉120ブラックホール蓮のアンテナ太古より121格子戸に昭和が潜む釣忍122短夜や小言ばかりの夫の夢123夏みかん十五歳の君の写真124ジャム煮る匂いパン焼く匂い平和だなあ125憲法記念日家並(やなみ)は国旗かかげざる126万緑にピッコロの「となりのトトロ」127麦の秋鳥のイチャイチャばかりかな128自分の名好きも嫌いも蛇苺129飛脚より遅い郵便待つ夏日130忖度とフェイクの隙間雨蛙131シャワー浴ぶ他人のごとき手足して132燕来る幸せのかけらいただきぬ133父の日のあたり前田のクラッカー 134新じゃがの青い毒など不整脈135ドクダミの白十文字戦渦まだ136緑陰の終活談義金欲しや137来るものはこばまずでもね蚊はいやだ138西日さす伯父の胸像飛行服139母居ません茄子漬のあの色出ない140時計草つながっていて知らんふり141炒飯にたっぷり混ぜる大夕焼142諏訪の湖伊藤千代子の一位咲く143非正規の三十年を草いきれ144雲の峰まさかが起こる世となりぬ145春風やきときと鯵と従妹来る146逃げ水を追わず踵を翻す147柿若葉アイヌの古式舞踊団148風鈴やウクライナの風溜めて鳴る149小手毬の記憶の先の比翼塚 150ネモフィラの丘辺よ空よ風薫る151かきつばた妻より先に死ぬ決まり152一日は一生のよう草萌える153時々は充電だいじ柏餅154焼き鮑踊る姿は限界値155生協の不在通知や五月便156箸使い慣れて給食一年生157あじさい映え一番星はどこに出る158白ばらや素肌の匂ふ銀座の夜159血の薄くなる齢になり冷酒好き160万緑の中の彩り山ガール161住所録消す数増えて仏桑花162芍薬や煩悩の数多すぎて163人類を地球は許さず夾竹桃164牡丹散り美しきまぼろし残りけり165桜桃忌人はいたって主観的166五月晴ピッコロ歌う会場へ167紫陽花の中を紫陽花電車来る168あの時のあの一言が夕蛍169だうされた天井の蛇落ちにけり170スランプは黄色でしょうか麦の秋171追伸につづく卯の花腐しかな172梅を干す天気予報を諳(そら)んじて173和平と平和どくだみは好きな花174ビールにも上層部ありグイと飲む175一合の酒の肴は初鰹176呟きをいくつ零してアマドコロ177薔薇垣のブラックホールへ手を入るる178軽暖やバランスボールに嫌われて179竹皮を脱ぐ少年の変声期180皆スマホいじっておりぬ蟇181五月の香五月の風も疫病(えやみ)の世182ソーダ水対角線に坐す二人183加齢ならやっぱり華麗よ豆の花184餡蜜のあんを掬って過去は過去185多佳子忌の足踏みミシン転がして186夜濯ぎの椰子のザンバラけたたまし187後ろからまたクラクション夕薄暑188菜種梅雨何処にも行けぬ旅鞄189梔子をやはり掠ってダンプカー190ジャスミンの香りのなかで眠りたし191つづらごのドとミの間走り梅雨192待ち望む和平への道聖五月193老鶯や昨日は出来て今日は無理194白玉の掬いそこねて蝶の昼195夏燕天変地異をものともせず196頭上かすめ影さえ見えずつばくらめ 197てきばきとイナダを捌く氷見生れ198夏は来ぬ空也の背(せな)の活き活きと199蛍袋キラキラネーム呼ばれゆく200たっぷりと黄色と白の柿若葉鴎座通信句会は、ウイズコロナ時代の新しい句会のあり方として注目されています。昨年四月以降一年余りの開催の結果、新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の大きな成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として発展させて行きたいと思います。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月24日です。ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです
2022年05月26日
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ピンチはチャンス!新型コロナウイルス感染症に負けない●第26回鴎座通信句会の締切は24日です新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株など変異が続いています。まだまだ予断を許しません。しかし俳句で免疫力アップです。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第26回投句締切 5月24日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。投句はメール・FAXなどにて。(4月よりは締切を24日に変更しました。)FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、小高沙羅(副編集長)、白石みずき(Ⅰ欄同人)、小平湖(Ⅰ欄同人)、鈴木砂虹が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 5月29日(必着)選句結果・講評は6月2日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はいたしません。●句会参加費は500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会第25回上位作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位76囀りに賞味期限の無き妻よ 8 高橋透水二位94花は葉に背中の痒い改憲論 7 高橋透水三位19カ―ネ―ション正解のない親子像 6 吉村きら三位139初めてと言ったのはうそ花衣 6 川崎果連五位92花仰ぐいつか一人になる二人 5 岡崎久子五位100入学式手と足合わぬ子がふたり5 石口りんご五位106とりあえず十八歳というおぼろ5 宮 沢子八位52年の差の縮まる親子蕗の薹 4 宮 沢子八位78悲しみと怒り吹き込む紙風船4 石黒宏志八位113しゃぼん玉明日を信じられた頃 4 吉村きら八位145花種を蒔いて誰かの応援歌4 小平湖十二位29鯉のぼり龍になりたくないと言う3鈴木砂紅十二位120春日傘グレイヘアーにあと少し3 高矢実來十二位3図書館に立夏窓辺に竹さわぐ3 木野俊子十二位64空襲のフラッシュバック昭和の日 3高橋透水十二位95春埃いつか死ぬけどドリンク剤 3 翠 雲母十二位149やっぱりねパパも福耳入学児3 石口りんご十二位154パソコンのごみ箱あさる四月馬鹿3石口 榮十二位171登り棒のてっぺん孤独春の星3 小平 湖
2022年05月20日
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第25回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第25回鴎座通信句会は37名185句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切24日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ(第25回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。 石口 榮(編集長)選 36水底にあめんぼの影児らの影64空襲のフラッシュバック昭和の日特選76囀りに賞味期限の無き妻よ/高橋透水94花は葉に背中の痒い改憲論106とりあえず十八歳というおぼろ139初めてと言ったのはうそ花衣145花種を蒔いて誰かの応援歌(選評)特選にいただいた76「囀りに」の句。囀りとは夫婦の会話のことだろうが、小鳥の囀りとも重なっている。妻との会話を楽しみつつ、賞味期限がないいい妻だなあと改めて思っている作者。ややお惚気かもしれないが、そんな手放しの句もいいものだ。36「水底に」の句。澄んだ水底にあめんぼと子供の影。リフレインが景を際立てる。「水底」と詠んで一句になった。64「空爆の」の句。戦時体験者であろうか。ロシア軍のウクライナへの空爆を見て、突然空襲のことが蘇ったのであろう。季語「昭和の日」が動かない。94「花は葉に」の句。ウクライナの戦禍を目の当たりにして改憲論が加速。九条を変える,変えないの思いが「背中の痒い」に表白されている。106「とりあえず」の句。今年の四月から成人年齢が二十歳から十八歳になった。どこが変わったのか新成人は理解していない。まさにおぼろ。「とりあえず」が言い得ている。139「初めてと」の句。句意は多様にとれるが親友と何処か桜の名所に出掛けてのこと。実は以前何回か訪れているものの初めてのふりをしているのだろうか。そのギャップの諧謔性に惹かれた。145「花種を」」の句。花を咲かせ見る人の心を和ませ元気と勇気を与える。応援歌に共鳴。 小髙沙羅(副編集長)選 17隙間時間や蚕豆の茹で上がる特選60 囀や今日働けば明日休み/高矢実來72すしり兜太ずしり武甲の春夕焼99かたくりやゆっくり回れ花時計145花種を蒔いて誰かの応援歌154パソコンのごみ箱あさる四月馬鹿163躑躅咲く笑ったあとのさみしくて(選評)特選にいただいた60「囀や」の句。いつの時代もだれもが今日という日を精一杯生きている。鳥たちも美しい声で恋の歌を歌っている。今日働ける幸せ、そして明日の休みの楽しみ。労働を肯定し明日を信じている作者の気持ちに共感。17「隙間時間や」の句。隙間時間の言葉が新鮮。生活のちょっとしたゆとりだろうか。72「ずしり兜太」の句。兜太先生は没後さらに「ずしり」と存在感を増している。最近、柳生正名氏が『兜太再見』を刊行された。句は春夕焼の情感が快い。99「かたくりや」の句。時計なのだから「ゆっくり回れ」はないのだが、そういってあくせくするなと、自分にいい聞かせているのだろう。その措辞に惹かれた。145「花種を」の句。応援したり応援されたり。そんな日常が大切。154「パソコンの」の句。うっかり「ごみ箱」にいれて慌てることも。163「躑躅咲く」の句。感情は上がったり下がったり。笑うことばかりではない現実をしっかりと見つめている句。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 特選46 春なれやああこの春に躓いて/古川塔子95春埃いつか死ぬけどドリンク剤100入学式手と足合わぬ子がふたり143想うこと言わずにおこうシャガの花149やっぱりねパパも福耳入学児161種案山子少し派手めの服を着て162生きてきた歳月強し桜東風(選評)特選46「春なれや」の句。芭蕉の「野ざらし紀行」(春なれや名もなき山の薄霞)を踏まえての句「なれや」は謡曲などに用いられる言葉で、詠嘆の意を表し「春なればにや」の略とする説もある。この句はぽかぽかといい陽気に気が緩んだのか躓いてしまった。何に躓いたのか解からないがこれは心象ともとれる。かなり落ち込んでいるのだと思いきや三日もすると、濡れ草が立ち上がるように復活。躓いても懲りずに中途半端な学習しかできない。あれ、これって私のことだ。どこかで見られていたのかと想像が膨らみ「ああ」の嘆きも苦笑いしつつ共感した。95「春埃」の句。いつか死ぬけどなんて言いながら、忘れずに薬も飲んでドリンツク剤も飲んでいる。ラジオ体操もしていそうだ。死と春埃の軽さの対比。100「入学式」の句。入学式の緊張感が伝わってくる手と足が合わぬ子がふたり、このふたりとしたことでにわかに景がはっきりとしてきた。143「想うこと」の句。人それぞれの性格で思ったことをすぐ言ってしまい後悔することがある。季語のシャガの花のしとやかで控えめな感じが効果的。149「やっぱりね」の句。耳たぶの大きい耳は福耳といわれ幸福になるしるしといわれる。入学式で親子が並んでいると、パパの耳も福耳だ「やっぱりね」が発見。大きな夢もかないそう。161種案山子の句。種案山子は苗代に種を蒔いたあとに立てる案山子。案山子のイメージは色褪せた古着を思いがちだが、派手な服とは今風の農作業だろう。162「生きてきた」の句。季語の桜東風は地方によって呼び方はさまざまで荒れ模様の天気、漁民にとっては厄介である。しかし句は「歳月強し」と言い切って、これまでの生きざまを肯定的にとらえているのだろう。その自信が素晴らしい。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 14花どきの父の忌疫病の床にいて特選59まず始めはロールキャベツに春キャベツ/石口りんご66白き歯は営業ツール風光る78悲しみと怒り吹き込む紙風船120春日傘グレイヘアーにあと少し143想うこと言わずにおこうシャガの花143やっぱりねパパも福耳入学児(選評)特選にいただいた59「まず始め」の句。春キャベツの葉の柔らかさがまず目に入ってくる。そして剥き始めからそのまま使えるしなやかな葉、ロールキャベツにぴったり。春キャベツが出ると私もロールキャベツを作りたくる。作者のちょっと興奮した嬉しそうな顔が見えて新鮮な一句となっている14「花どきの」句。せっかくの父の忌に自分が流行性の病気になってしまった。せっかくの桜の時期なのに。お父さんに申し訳ないような気持で床についている作者なのだ。66「白き歯」の句。白い歯は気持のいいものだ。それを武器に人と接する仕事をしている。季語の風光るがよりいっそう清潔感の溢れる句にしている。78「悲しみと」の句。戦争、殺人、人身事故。この世には沢山の悲しみや怒りが渦巻いている。風船にその思いを吹き込んでいる作者なのだ。120「春日傘」の句。今の時代はグレイヘアーはお洒落なファッションである。がきれいな色になるまでが我慢のしどころ。この句はあと少しという感じがする。春日傘がやさしく庇ってくれている。143「想うこと」の句。今まで生きて来てそういうことが何度もあった。が結果的にはそれで良かったという方が多かった気がする。作者もやさしいシャガの花を見てぐっとこらえたのだ。149「やっぱりね」の句。よく親の悪いとこばかり似て、といわれるがこの句は一番目立つ良いところが似たのだ。パパ似の福耳がこれからも素晴らしい人生を歩んでいけそうな予感さえする。 鈴木砂紅(招待)選 52年の差の縮まる親子蕗の薹86野火新た柩に古きもののなく94花は葉に背中の痒い改憲論特選126俳諧自由大滝を鯉登りつつ/松田ひろむ145花種を蒔いて誰かの応援歌171登り棒のてっぺん孤独春の星182薔薇園のところどころに相聞歌(選評)特選に頂いた「俳諧」の句。何よりこの気宇壮大な景と俳諧のぶつかり合いに鷲掴みされた。写生だの心象だの、あるべき論の一切を吹っ飛ばして俳諧に向っていくとき、鯉は龍になり、俳人は自由人になる。52「年の差」の句。共に年を経て行く過程で、親子は年の差を超えた共同体となって行く。蕗の薹の温かさが余韻を残す。86「野火」の句。野火は点火の度に新しく、柩もまた死を迎える毎に新造される。何の不思議もないことだが、取り合せの妙に惹かれた。94「花は葉に」の句。ロシア侵攻以来、やけに改憲の文字が目につく。全く厄介な背中の痒みだ、なんて寝ぼけたことを言っている場合なのか。145「花種」の句。種を蒔き、咲く花を待つのは自分のためだが、他者のためでもある。誰かの応援歌を唄いたい、聞きたいという優しさと強さ。171「登り棒」の句。登り棒は小学校でよく見る遊具。誰もいない孤独と、登り詰めた子の孤独とが同時に見えるのは俳句のマジック。182「薔薇園」の句。薔薇には女性の名や愛の言葉が添えられる。それが相聞歌であれば、息苦しさも少し救われる。西洋花と雅語の優しい共存。 松田ひろむ(代表)選 特選12愛の変形束縛の春キャベツ/吉村きら 19カ―ネ―ション正解のない親子像 29鯉のぼり龍になりたくないと言う52年の差の縮まる親子蕗の薹 61草笛や一度覚えたことならば78悲しみと怒り吹き込む紙風船92花仰ぐいつか一人になる二人115蒲公英と童小さな嘘をつく120春日傘グレイヘアーにあと少し準特選139初めてと言ったのはうそ花衣/川崎果連準特選158蛙鳴くつくばに未来研究所/宮 沢子(選評)特選にいただいた12「愛の変形」の句。愛といってもいろいろあるが、愛といいながら束縛することも多々。やわらかい春キャベツはそのまま味わいたいものだ。準特選の139「初めてと」の句。いろいろな意味にとれる句。異性体験ととるのが普通かも。ここから花衣に象徴される女性を主人公にしたドラマの始まり。ただ「うそ」といえば分かりやすいが、本当は別の言葉にしたいところ。同じく準特選の158「蛙鳴く」の句。つくば学園都市。したがって未来は付くといえば付くが。蛙がいかにも古き日本。新旧混在の日本のありようかも。19「カ―ネ―ション」の句。カーネーションは母の日のシンボル。親子関係も悩みの種。 29「鯉のぼり」の句。これも親子関係か。かつては大学に進学できなくて泣いたが、いまは進学できるのに拒否する子も多いという。52「年の差の」の句。親子の句がつづく。蕗の薹を探していると親も子に戻ってしまう。 61「草笛や」体で覚えたことは忘れない。草笛も俳句も。78「悲しみと」の句。紙風船に息を吹き込む句は多いが、これもその典型。悲しみと怒りと併せて思いが深くなった。92「花仰ぐ」の句。長寿の夫婦、かつては共白髪といったが、それもいつまでもというわけにゆかない。切ない一句。115「蒲公英と」小さな嘘ならいいのだが。幼いながらも悩みはいつもあるもの。120「春日傘」の句。「グレイヘアー」を肯定的にとらえている感覚だろうか。春日傘が明るい。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位76囀りに賞味期限の無き妻よ 8 高橋透水二位94花は葉に背中の痒い改憲論 7 高橋透水三位19カ―ネ―ション正解のない親子像 6 吉村きら三位139初めてと言ったのはうそ花衣 6 川崎果連五位92花仰ぐいつか一人になる二人 5 岡崎久子五位100入学式手と足合わぬ子がふたり5 石口りんご五位106とりあえず十八歳というおぼろ5 宮 沢子 八位52年の差の縮まる親子蕗の薹 4 宮沢子八位78悲しみと怒り吹き込む紙風船4石黒宏志八位113しゃぼん玉明日を信じられた頃 4村きら八位145花種を蒔いて誰かの応援歌4小平湖十二位29鯉のぼり龍になりたくないと言う3鈴木砂紅十二位120春日傘グレイヘアーにあと少し3高矢実來十二位3図書館に立夏窓辺に竹さわぐ3木野俊子十二位64空襲のフラッシュバック昭和の日 3高橋透水十二位95春埃いつか死ぬけどドリンク剤 3翠雲母十二位149やっぱりねパパも福耳入学児3石口りんご十二位154パソコンのごみ箱あさる四月馬鹿3石口榮十二位171登り棒のてっぺん孤独春の星3小平湖 (第25回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1シャボン玉ロシアの愛はどこいった 1 翠 雲母2花衣患者衣に替え恙なし 0 古川塔子3図書館に立夏窓辺に竹さわぐ 3 木野俊子4野遊びのリンボーダンス崖っぷち 0 川崎果連5春愁う戦の終わる日を願う 0 古川和美6花冷の銃口鹿を照準す 0 磯部薫子7壁ドン白書落とし所の紫木蓮 0行成佳代子8道草の始め子猫に懐かれて 2 小平 湖9花散るやまだこれからと腰たたく 0 石黒宏志10氏素性偽らぬ蜆味噌を溶く 0 高良和子11男爵の館の冷ゆる薔薇つぼみ 0松田ひろむ12愛の変形束縛の春キャベツ 1 吉村きら13節電の協力あれば朝桜 1 古川和美14花どきの父の忌疫病の床にいて 2 古川塔子15筍や米屋の見ない街となり 0 金丸菜斗16蟹駅弁見慣れた街を旅先に 0 岡崎久子17隙間時間や蚕豆の茹で上がる 2 小平 湖18春の雪ささやかですがさわやかに 2 古川和美19カ―ネ―ション正解のない親子像 6 吉村きら20高齢の母の朝寝の安堵の音 0望月のぞみ21ぶらんこは明るい方に漕いでみる 1 古川和美22初蝶が我が靴紐に止まり居り 0望月のぞみ23樟若葉花はどこにと目を凝らす 0 金丸菜斗24父母うつろいて残像の花吹雪 0信岡さすけ25行く春や会えぬ別れと知りながら 1 国井 梢26春探す旅行を止めて横浜へ 0 斎藤 藍27ひとつしてひとつ忘れる昼蛙 1小髙沙羅28万緑や自由の女神右手上げ 1白石みずき29鯉のぼり龍になりたくないと言う 3 鈴木砂紅30ロシア軍三光作戦の春方(はるべ)1 荒井 類31野火つきる戦場の焔を焼き尽し 0後藤よしみ32春時雨三鬼のメリーゴーランド 0 磯部薫子33つくつくしかつて竹槍神風も 2信岡さすけ34芝刈りて地上のまたたきいぬふぐり0郡楽清子35桜蘂降って明日は晴天に 0 行成佳代子36水底にあめんぼの影児らの影 1 安藤利亮37初燕家は大江戸日本橋 0 岡崎久子38青と黄に血色の混じり春の雨 0 安藤利亮39喜怒哀楽マスクに隠し立夏かな 0白石みずき40ふわふわのおにぎり二つ花の屑 0 宮 沢子41田植唄母は田舎の歌姫よ 0 高橋透水42紫陽花や鯉のはねたる音すなり 0 近田吉幸43積読の「流転の王妃」花は葉に 0 岡崎久子44ビール酌む背景ハワイZooMかな1近田吉幸45桜見に約束したのに訃報きて 0 中村ふみ46春なれやああこの春に躓いて 2 古川塔子47入園の黄色い帽子川渡る 0 小髙沙羅48身のうちに残花のふぶきとじこめる0後藤よしみ49葉桜やまだ生きている生きている 1百目鬼英明50マリウポリ気の重くなる春の朝 0 福島芳子51地球丸く湾に春潮寄せるたび 0 安原南海52年の差の縮まる親子蕗の薹 4 宮 沢子53桜草痛むところに手を添えて 0 増田萌子54雨の桜ししるいるいと揺れている 0 鈴木砂紅55托鉢の僧侶の草鞋花の冷え 0 国井 梢56蟻走る否寄り道は欠かせない 1百目鬼英明57懐かしい人忘れても藤の花 0 国井 梢58花摘みやポメラニアンの春落葉 0 百目鬼英59まず始めはロールキャベツに春キャベツ2石口りんご60囀や今日働けば明日休み 1 高矢実來61草笛や一度覚えたことならば 1 小髙沙羅62紅旗征戎たんぽぽを踏まさせず 0後藤よしみ63難しきこと考えずコシアブラ 0 増田萌子64空襲のフラッシュバック昭和の日 3 高橋透水65春の雲高層に動くものなくて 0 中村ふみ66白き歯は営業ツール風光る 2百目鬼英明67ロケット発祥の地散る八重桜 0 近田吉幸68要介護5から始まる夫の春 1 高矢実來69屈葬のありし島なり藪椿 1 高良和子70平和る春の湘南散骨す 0 近田吉幸71渦巻いてゴッホの糸杉春の月 1白石みずき72すしり兜太ずしり武甲の春夕焼 2松田ひろむ73もの忘れは無かったことにミヨソティス0行成佳代子74忍辱の鎧ますます春疾風 1 安藤利亮75春風が追い越して行く交差点 1 小髙沙羅76囀りに賞味期限の無き妻よ 8 高橋透水77前菜の蛍烏賊の黄味噌かけ 0 斎藤 藍78悲しみと怒り吹き込む紙風船 4 石黒宏志79石段になにも語らず遠霞 0 安原南海子80春の夜のこの憤り如何せん 0 荒井 類81七色の幸せいつまで石?玉 0 石黒宏志82桜散て水面すべるや櫂さばき 0郡楽清子83洗わるる身を貫通の新樹光 1 金丸菜斗84明日葉の天婦羅さくり師は元気 2 高矢実來85春の雲君をみてるといわれても 0 金丸菜斗86野火新た柩に古きもののなく 2後藤よしみ87燐寸擦る火薬の匂いは花冷に 0 磯部薫子88石鹸玉ゆきし空よりミサイル来 1 荒井 類89薔薇つぼみいわさきちひろ頬っぺの子0松田ひろむ90単線の旅の目線に春の海 0 岩渕純子91何すべく早よ春暁のウクライナ 1 磯部薫子92花仰ぐいつか一人になる二人 5 岡崎久子93長瀞の雨と若葉のシンフォニー 0白石みずき94花は葉に背中の痒い改憲論 7 高橋透水95春埃いつか死ぬけどドリンク剤 3 翠 雲母96春泥やロシア戦車は鉄の錆 0 高橋透水97胃カメラの記憶ベトナム反戦歌 2 翠 雲母98アイリス咲く製鉄地下の平和呼べ 1 福島芳子99かたくりやゆっくり回れ花時計 2 安藤利亮100入学式手と足合わぬ子がふたり 5石口りんご101晩節をマリアカラスの薔薇に聞く 0松田ひろむ102ふらここや一気にコロナ禍遠ざける0安原南海子103ひこばえやペンは剣より強しとも 0信岡さすけ104見る夢は昼間のばかり影朧 0 中村ふみ105魚偏の文字のあまたよ鰆東風 1安原南海子106とりあえず十八歳というおぼろ 5 宮 沢子107闇の音に耳そばだてる春時雨 0 国井 梢108飼い猫の欠伸みている春の昼 1 岩渕純子109麗日に古い洋館明治の造り 0 斎藤 藍110たよらずに生き生き伸びる蕗の背 0 福島芳子111天からの母の声受け紫木蓮 0 吉村きら112粒餡の草餅が好きあなたもね 0 中村ふみ113しゃぼん玉明日を信じられた頃 4 吉村きら114風説が地球を巡る目借時 0行成佳代子115蒲公英と童小さな嘘をつく 1望月のぞみ116暖房の花見電車の降り難し 0 高良和子117葱坊主首を揃えて背伸びして0望月のぞみ118叔父は特攻皇国(みくに)花火となりて散る 0翠雲母119ウクライナの火薬の匂い蝌蚪の昼 1増田萌子120春日傘グレイヘアーにあと少し 3 高矢実來121花の旅芭蕉翁となるここち 0 安原南海122春の潮生命(いのち)がこの世にいずる時0磯部薫子123下着白にストレート髪校則の春 0信岡さすけ124殺光のニュース画像や桜花 0 荒井 類125青空の下の向日葵別離とは 0 石黒宏志126俳諧自由大滝を鯉登りつつ 2松田ひろむ127花は葉に分相応に生きている 0白石みずき128藤房の揺れて教える風の筋 2 岩渕純子129舌頭に光りのサプリ柿若葉 0 鈴木砂紅130牛丼の三日続きや朧月 0 行成佳代子131気分を変えて新緑の三ページ 2 小平 湖132ヒトゲノム完全解読山笑う 1 鈴木砂紅133仲良しこよし絶交とけてアマリリス 0吉村きら134逃水や人は順位を付けたがる 0 石口 榮135歯舞の春や船影なき漁港 0 荒井 類136十三の君の入学君の声 0 石口りんご137少年はどこでも眠れけやきの芽 0信岡さすけ138久々に緋目高増える初夏の風 0 福島芳子139初めてと言ったのはうそ花衣 6 川崎果連140横浜の深緑に立つ瓦斯灯と 0 斎藤 藍141ロシアの核使わせぬ八十八夜 0 木野俊子142春愁や老いの鬱かと疑いし 0 郡楽清子143想うこと言わずにおこうシャガの花2岩渕純子144咲いたまま形崩さず散る桜 0 古川和美145花種を蒔いて誰かの応援歌 4 小平 湖146真夏日はゆっくりたっぷり水を足す1小髙沙羅147鴎外の宿探し当て夏来る 0望月のぞみ148一粒を残せぬうつわ昭和の日 1 川崎果連149やっぱりねパパも福耳入学児 3石口りんご150おぼろ夜の壕でぐるぐるフラフープ1川崎果連151人並の信仰心よ木の芽風 0石口りんご152つくしんぼ次々現われ一途なる 0 福島芳子153祝退院向日葵薔薇にかすみ草 1 古川塔子154パソコンのごみ箱あさる四月馬鹿 3 石口 榮155春深し遥かに見えるベイブリッジ 0 斎藤 藍156新社員自分を叱る国訛り 0 川崎果連157剪定の一枝ごとに青い空 1 岡崎久子158蛙鳴くつくばに未来研究所 1 宮 沢子159母の寝息ふるさとに編むクローバー0木野俊子160桜鯛アイシャドーに惑わされ 0 石黒宏志161種案山子少し派手めの服を着て 1 石口 榮162生きてきた歳月強し桜東風 1 高良和子163躑躅咲く笑ったあとのさみしくて 1 増田萌子164たんぽぽやアンネの日記が燃えだした0翠 雲母165逃げ水の深さを知らずおぼるべし 0後藤よしみ166飛花落花一人になりたい日もあって0石口 榮167戦よあるなたんぽぽに蹴躓く 0 鈴木砂紅168人生百年片かげりここに果つ 0 宮 沢子169囀りや愛妻弁当覗かるる 2百目鬼英明170せせらぎの片栗の花恋の路 0 近田吉幸171登り棒のてっぺん孤独春の星 3 小平 湖172どなたかと聞かれたようで蝌蚪の昼0増田萌子173ままごとのような柄杓の仏生会 0 高良和子174白杖の人駅に入る春日傘 0 国井 梢175花は葉に行人坂の鐘の音 0 中村ふみ176大露西亜なぞワカヨタレソと散るさくら0安藤利亮177平和と自由ウクライナの青い麦 2 木野俊子178雪柳散るを堪えて咲き誇り 0 郡楽清子179燕麦の土手に大の字初つばめ 0 金丸菜斗180菜の花や御浜離宮と母は呼ぶ 0 高矢実來181花粉症ロシアは広域暴力団 2 木野俊子182薔薇園のところどころに相聞歌 1 石口 榮183「蘖」のコロナウイルス蹴っ散らす0 古川塔子184雪柳ひと雨ごとに冴える白 0 岩渕純子185籠り居て山路なつかし一人静 0 郡楽清子 (第26回鴎座通信句会)投句締切=5月24日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年05月01日
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第24回鴎座通信句会全句データ(互選用)俳句で免疫力アップ。新型コロナウイルス感染症・オミクロン株にも負けないで頑張りましょう。第24回鴎座通信句会は38名190句となりました。選句と講評は鴎座代表、編集長、副編集長・Ⅰ欄同人・顧問に依頼しました。また投句された方の互選も行います。(なお次回より投句締切を24日に変更します)●互選選句五句。(全句のなかから五句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 4月1日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2022年3月28日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第24回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1時折りの風に散りゆく白木蓮2高砂やくっ付き離れ花筏3春地球誰のために輝くの4菰外し草加松原晴れてくる5坊主椅子の心地なんだか木の芽和6病室の薄暗がりや沈丁花7鳥帰るこの世に光見出せず8震度四に闇はほぐれて花馬酔木9こめかみに土筆つんつん生返事10亀鳴くや女坂でも息切れす11返納のゴールド免許竹の秋12鳴き砂の浜のきゅきゅきゅや春の音13ロボットに運ばれてくるいちごパフェ14春の雷儚き平和目の当たり15さくらさくらどこからみても桜色16種芋に子芋の数を数えてる17平和へ平和へ赤芽柏のこぞり立つ18東京が燃えた三月十日ウクライナ19エンディングノートぱらぱら桜東風20春まけて鉛筆けづる肥後守21掌中のくしゃくしゃの夢沈丁花22ミモザ雨ちーずけーきの焼ける頃23赤子産まれし希望の春やウクライナ24空堀に懸かる石橋木の芽風25生だの死だの今年も桜咲きました26八十路春あるがままにというけれど27春昼の戦の目覚め翌檜28水輪なおも水面動き岸の鴨29UFOと水切り石も進級す30朴訥に真打昇進松の芯31桶の水に細波立ってお中日32甘夏やマスクの口をつぼめたり33あやまちはくりかえします桜咲き34なにもかも今が一番樟若葉35菜の花の河岸段丘千曲川36燥ぐ子に仔猫ほどけて欠伸かな37地球の裏に届く辛夷の光りかな38春雨や昭和を模した遊園地39親も子も今日から新一年生40囀りや間口の狭き資料館41日当たりのないウクライナ鳥帰る42桜東風うごめくものの舌下錠43好き嫌い沢山あって四月馬鹿44桃咲いて甲府盆地の沸騰点45花疲れ汚れていない手を洗う46雛納め老いてはのんびりゆつくりと47丸墓山の空の深みへ揚雲雀48雄叫びの轟く中に木の芽風49再放送ばかりのテレビ春落葉50待春のうすむらさきに機銃音51弥生三月甘納豆の一袋52沈丁花相合傘の老二人53桜川中菜の花にありがとう54切株が座って行けと春の雲55蜃気楼小池栄子のヌード集56チューリップ明るい方へ向き変える57新旧の暦のあわい桜咲く58ゼレンスキー廊下の奥で仁王立ち59昨日見た初蝶いずこ雨激し60春の蝶逃せば蝶の戻りくる61泣きたい日笑いたい日も黄砂降る62隣国は一つにあらず笹起きる63正解はひとつにあらず黒めばる64水没の村の水面に散る桜65満開の沈丁花切られ建替中66息かけて押す受領印養花天67蛤鍋のほのと濁りし明日は銃68囀りの一周したる車椅子69春愁行き先未定の服を買う70ひとひらのまたひとひらの梅花散る71戦車隊蝶を追う子にたじろがず72お彼岸の邪気を祓うに砂糖足す73葬式は内輪での報鳥雲に74ものの芽の朝露の中小宇宙75沈丁の白に降り継ぐ春の雪76道ばたに詩を売る少女春疾風77さっぱりと切落とされた梅活ける78核持たぬ国未来派の蝶生まる79啓蟄や老若男女動き出す80パチパチと眼(まなこ)を洗う流氷期81植木市グリーンの財布買うことに82花冷のガラスに写る夜の顔83春雷や血の乾杯と謀(にせ)綸旨84わしゃわしゃとレタス食べたくなりました85蜆蝶小さき命のたくましく86のど飴をついかみ砕く春の昼87茎立やベルトの穴がひとつ増え88梅真白マップと回る城下町89三月の海へ空へと鎮魂歌90春キャベツざくざくわたし一人の夜91辛夷よりやわらかき手で花をさす92沈丁花年齢不詳の女の棲む93寺子屋へ喜寿や傘寿や百千鳥94春麗ベンチで沈思平和とわ95如月の遣る瀬なきことばかりなり96決算にまぶす黄砂のキナ臭き97この墓に入りたくない春の雲98補聴器を隠す髪形春一番99げんげ田の真ん中に来て橋一本100百年と持たぬ平和よ土筆の子101栄螺とは怒った女角だして102たけのこに尽きる女の一生103田の海を緑の波に風光る104地虫出づ地球の裏が狂気です105逃げ水や母と駄菓子と跨線橋106梅の花空青くして破局かな107韮刻む元気なままでその日まで108近付けば老斑あまた白木蓮109言葉だけのエネルギーでも花の種110パスタ巻く手の語る出自花の昼111天と地をリバーシブルに舞雲雀112墓場まで持ち込む話四月馬鹿113今日もまた素肌にマスク猫柳114卒業す押し入れ奥へランドセル115甘夏のマーマレードや妻の味116争と平和さくらが咲きました117電池切れ分け合う同志蛍烏賊118失いし母の古袱紗宗易忌119廃屋の南天に初蝶の白120白梅の踏まれし一片国踏まれ121白枝垂梅は満開遺影撮る122雪柳てんでの方へ駆け出す子123プーチンよ飛ばすなら風船にして124踊りたい時たんぽぽの絮に乗る125プーチンが便所の奥に立っていた126チューリップZの戦車踏みにじる127向日葵の種選る明日ウクライナ128川底の石艶やかにうららなる129辛夷開くカムカムエブリバディ130春の風邪とはいへど人の眼が恐い131啓蟄のもぐらの迷い穴数多132花はまだゼレンスキーに花束を133平らかや電子飛び交う春の宵134春暁余韻あまたな夢うつつ135戦をやめクローバーの首飾り136薬指寡黙のままの桃の花137戦場に往く父に摘草泣きじゃくる138柳絮飛ぶポストの口に大と小139無味無臭朝は二錠の春愁140さくら三分もう一駅を歩こうよ141東欧にえにしはなくも鳥曇142この春は何で気になる皺と染み143野火盛る裸の王の核兵器144会えるかもふらここ高く青空へ145国の旗画鋲で貼って卒業歌146頬染まるまさかまさかの白木蓮147杏咲く犬の散歩の立ち話 148サクランボ蕾の先に平和欲し149七色のストレスの色しゃぼん玉150春きゃべつむかしむかしとみいちゃんと151植物の名前検索白蝶来152初恋の人の死を知る春の雪153春泥の隠す死体よロシア兵154宇宙から戦(いくさ)も吾の花見まで155ミモザ散るピカソゲルニカウクライナ156被弾の手晒す少女や春は遅々157恋猫よ地球はいまやパンデミック158リラ冷えやショーウインドーの屈背にて159山門の仁王の阿吽花の雨160春うらら亀の親子が裏返り161流氷きしむウラジミールと呼び合えば162自転車で桃花求むや声弾む163再生は縄文までとかげろえる164青き踏む昭和平成令和へと165銃弾の貫きゆけり石鹸玉166曲るたび喜怒哀楽の雪解川167剪定の鋏の行方頼りなく168背で手を振って卒業開けゴマ169開花宣言聞こえなかったか春の雪170庭木みな整えられて春を待つ171こんどこそ断捨離本気梅真白172重ね着を脱ぐ一枚の身の軽さ173母は横綱ディケアーの紙相撲174さくらさくら人間力を試される175雪の舞ふ彼岸電力逼迫す176青鰻路線のバスのひとり旅177たんぽぽの絮の自由よウクライナ178桜前線快速を見送りて179「てぶくろ」の読み聞かせあら春疾風180友くれしミモザ七枝クリスタル181思っていますか三・一一の黙祷182反則金予算化される四月馬鹿183目刺焼く妬心の脂したたりて184九条背に地球を巡るでんでんむし185啓蟄や虹色絵の具買いにゆく186菜の花の景色を割って雨女187花曇名のなき熱の下がらない188砲弾に飛び散る血潮春の土189旅人をいくたり支え花の椅子190はだれ野や反芻牛の涎伸び 鴎座通信句会は、ウイズコロナ時代の新しい句会のあり方として注目されています。昨年四月以降一年余りの開催の結果、新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の大きな成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として発展させて行きたいと思います。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月二十四日です。(四月より変更)ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです。
2022年03月27日
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ピンチはチャンス!新型コロナウイルス感染症に負けない●第24回鴎座通信句会の締切は26日です新型コロナウイルス感染症は、まん延防止等重点措置は解除されたものの、まだまだ予断を許しません。しかし俳句で免疫力アップです。通信句会はどなたでも参加できます。多数のご参加をお待ちしています。(毎月開催)●第24回投句締切 3月26日24時必着投句先 松田ひろむ代表あて。投句はメール・FAXなどにて。(4月よりは締切日を24日に変更します!ご注意ください。)FAX03-3968‐0153●作品5句まで(自作・未発表)選句および講評は、松田ひろむ代表、石口榮(編集長)、小高沙羅(副編集長)、宮沢子(顧問)・白石みずき(Ⅰ欄同人)、小平湖(Ⅰ欄同人)が行います。〇互選(任意)は参加全作品を鷗座俳句会のブログhttps://plaza.rakuten.co.jp/kamomeza/にアップしますので、各自(5句)を選句の上、メールまたはFAXで松田ひろむ代表までお送りください。(句番号・作品上五・選句者名明記。選句資格は投句者のみ。)●選句締切 3月31日(必着)選句結果・講評は4月4日までにFAXまたはメールでお返しします。また鴎座のブログおよびFACEBOOKにアップしますのでそれをコピーすることも出来ます。郵送はいたしません。●句会参加費は五500円。(適宜、郵便振替、手渡しなどでお支払いください)通信句会の性格上、遠隔の方も参加できます。鴎座会員でない方も歓迎します。(振替口座00100‐8‐485671 鴎座俳句会) 174-0046東京都板橋区蓮根3-12-27-110 鴎座俳句会第23回上位作品 (互選高点句)○数字は点数 3点以上(互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位53草団子無理難題を丸め込む ⑥吉村きら二位2 病妻のひとこと桜もう咲いた ⑤松田ひろむ二位10カレンダー一枚減って黄水仙 ⑤古川和美二位193じゃがいもの花よ自由よウクライナ ⑤松田ひろむ五位38 梅の香に方向音痴どこまでも ④石口榮五位42 一幕で終る一生紫木蓮 ④吉村きら五位59 剪定の枝ごつごつと兜太文字 ④石口榮五位144春の昼休憩室の求人誌 ④川崎果連五位152八十は異界の入口春の雪 ④白石みずき五位153思いっきりハグしてあげる雪だるま ④小髙沙羅五位155薄氷の中の青空割れる音 ④磯部薫子五位166アイロンに余熱地球に蜃気楼 ④吉村きら十三位24啓蟄やまた散らかしている夫の部屋③岩渕純子十三位40花ミモザこの路地美男美女ばかり ③荒井類十三位66憲法が光源しゃぼん玉とばす ③木野俊子十三位77佐保姫を迎えるしたく庭箒 ③石口りんご十三位157缶切りの忘れられたる多喜二の忌③石黒宏志十三位174介護度五愛の深まる雪柳 ③ 翠雲母
2022年03月25日
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第23回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第23回鴎座通信句会は39名195句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切26日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第23回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選12 鉄球の山荘朽ちて蕗の薹67 浅利にも入国待機夜の浜98 桜貝一つこの手に実朝忌118それぞれに見るとこ違ふ日向ぼこ154葱坊主ぼくの散髪いつもママ179口紅も買ったままです雛祭特選191立春やワクチン接種何度まで/古川和美(選評)特選にいただいた191「立春や」の句。オミクロン株感染者が増えるなか今三回目のワクチン接種が始まった。ワクチンの免疫効果も半年を過ぎるとかなり減ると言われる。収束の見通しが付かない現状を憂いているのだろうか。立春とは名のみで新型コロナウイルスから解放される春はまだ先のようである。今後はインフルエンザ同様、新型コロナウイルスとの共生の時代が続く。一日も早くマスクから解放されたい願いでもある。12「鉄球の」の句。連合赤軍の残党が人質を取って籠った浅間山荘事件。あれから五十年、蕗の薹が語り継いでいるようだ。風化させてはならない一句。67「浅蜊にも」の句。外国産の浅蜊が熊本県産と偽装された事件。輸入した外国産の貝類であっても日本国内の干潟などで長期畜養されると国産と扱われるというが、事件になった浅蜊には畜養という概念すらないという。単に倉庫代わりに干潟が使われているだけであった。それを「入国待機」と言ったのだろうか。夜の浜が何とも不気味である。98「桜貝」の句。鶴岡八幡宮で甥の公暁に暗殺された源実朝と「桜貝の歌」の「うるわしき、さくら貝ひとつ」の取合せに惹かれた。118「それぞれに」の句。それぞれが違うことを思い、違う方向を見ている日向ぼこ。言い得て妙である。154「葱坊主」の句。可愛らしい表現に惹かれた。私もそうであったがタイムスリップした感じである。179「口紅も」の句。感染予防のため今、マスク着用は欠かせない。そのため口紅はつけないのかも知れない。「口紅も」と言っているので他に洋服なども買ったものの着る機会がないのであろうか。雛人形の女雛と自身を重ねて一句となった。小髙沙羅(副編集長)選 132022年2月22日梅ほつほつ24啓蟄やまた散らかしている夫の部屋53草団子無理難題を丸め込む特選59剪定の枝ごつごつと兜太文字/石口榮144春の昼休憩室の求人誌 148加湿器のときどき螺子の遊び癖 193じゃがいもの花よ自由よウクライナ(選評)特選にいただいた59「剪定の」の句。果実の防虫や庭木の形を整えるため、いままさに剪定の季節。大きくて太い木は特に大変。この句はごつごつが兜太の男らしい太文字を思い出させてくれた。13「2022年」の句。2並びのこんな句もあっていい。「梅ぼつぼつ」がいかにも2月22日である。24「啓蟄や」の句。啓蟄の季語から、片付けるよりも、外に出てゆく姿だろうか。わが家の夫も同じ。共感。53「草団子」の句。「無理難題」は誇張だが鬱々とした気持ちだろう。それを草団子に丸めこめば、何とか気が晴れるというもの。144「春の昼」の句。この求人誌は無料のいわゆるフリーペーパーだろう。職場の休憩室に求人誌があるのは、その職場に問題があるのだろうか。季語の「春の昼」はもう一工夫か。148「加湿器の」句。新型コロナウイルス感染症で加湿器も大活躍。螺子も緩むというものだろう。173「じゃがいもの花」の句。いましか詠めないウクライナ。じゃがいもはウクライナ料理のボルシチに欠かせないもの。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選1干し物をとんとん畳み久女の忌40花ミモザこの路地美男美女ばかり59剪定の枝ごつごつと兜太文字/石口榮92リモコンの戦争があり春西風106雛飾る今季をもって解散ね144春の昼休憩室の求人誌 145まだ生きるつもり入江の柳の芽(選評)特選にいただいた59「剪定の」の句。剪定の枝から兜太先生の文字や先生に思いをはせる作者。確かに先生の宇はごつごつしていて、それでいて暖かい感じがした。あれからもう四年が過ぎ感慨深いものがある。1「干し物」の句。とんとんのリズム感でその生活が見えてくる。もしや久女にもこんな反面があったかもと想像が膨らむ。40「花ミモザ]の句。嘘でしょう?なんて思ったけど、こんな路地があったらいいね。92「リモコンの句」今ロシアのウクライナへの侵攻をテレビ報道で見た。逃げ惑う市民や子供達の悲惨な姿に胸が締め付けられ思いだ。戦争も遠隔操作つまりリモコンの時代である。逆にボタン一つで平和と願うばかり。106「雛飾る」の句。もうお雛様を飾るのはこれを最後にしょう。段飾りは出すのも片付けるのもこの頃は骨が折れる。お陰様で子供達も孫もみんな元気に育ってくれた。「解散ね」に説得力がある。 144「春の昼」の句。偶然見た求人誌が妙に気になる。区切りつけて新しいことに挑戦するには春の今がいいチャンスだ。145「まだ生きる」の句。生きるなら柳のように強くしなやかに。ますます生きる勇気が湧いてくる芽柳の力強さ。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選11貧乏でいいうぐいすさえ鳴けば29道の駅誘う楤の芽蕗の薹特選42一幕で終わる一生紫木蓮/吉村きら53草団子無理難題を丸め込む111母からの大き擂鉢ほうれん草118それぞれに見るとこ違ふ日向ぼこ150人前でひいたと言えぬ春の風邪(選評)特選にいただいた42「一幕で」の句。一幕とは短いこと喩。作者は人生は舞台の一幕のように短いという。季語の紫木蓮がちょっと気になるが、これは凛とした女性の姿と思える。11「貧乏で」の句。世捨て人みたいな心境が心地よい。鶯を聞く心のゆとり。しかし俗に「鶯鳴かせたこともある」という言葉もあるので、このウグイスは異性の喩かも。29「道の駅」の句。道の駅にはそこでしかないものが必ず売っている。我家も時々出かけ、珍しい野菜や旬の楤の芽、蕗の薹などはもちろん。新鮮でやはり買ってしまうのだ。53「草団子」の句。無理難題を丸め込む、言い得て妙、俳諧味たっぷりの句。111「母からの」の句。私も母から受け継いだものは沢山ある。擂鉢は一生もの。「大き」が思い。お母さんがよく作ってくれたほうれん草の胡麻和えを作者も作って懐かしんでいるのだ。118「それぞれに」の句。同じ所で日向ぼこをしていてもそれぞれ見ているもの、考えていることは別なのだ。お互いに自分の世界に浸っている。納得のいく句。150「人前で」の句。風邪だと気楽に言えない今の世を詠んでいる句。とてもよくわかる。 宮 沢子(顧問)選 2病妻のひとこと桜もう咲いた10カレンダー一枚減って黄水仙59剪定の枝ごつごつと兜太文字79主人より威風堂々うかれ猫151北窓開く明日からもう私服です163春ショールこれから私出かけます特選 168チューリップ名札の主は感染者/高橋透水(選評)特選に頂いた168「チューリップ」の句。オミクロン株になってから子供の感染が増え、小児科の医師も大忙しと聞く。初めてチューリップを育てていた子が感染症にかかってしまい、お花のお世話がでず、お花は萎れている。こんな情景に胸を痛めた作者から生まれた句で味わい深い。季語が傑出した作品となった2「病妻の」句は春を待つ病人の気持ち「桜もう咲いた」という問に、作者の優しい返事まで聞こえる。一層味わい深い作品となった。二人の安らかな心境が思われる作品である。10「カレンダー」の句は「一枚減って」だが同じ一枚でも、秋の寂しさと違い、春は水の温みや咲きだす花の明るさを待つ一枚で作者の気持ちが黄水仙に生き生きと表れている明るい作品で素晴らしい。59「剪定の」句は「ごつごつの枝」それだけで想像が広がる。取り合わせの兜太文字がまたいろいろなことを思い出させてくれる素晴らしい作品である。79「主人より」の句、散歩をしているとよく出会うのがペットの散歩。いかにも楽しそうだがペットのお供で散歩をしているのである。万物の生命をいとおしむ情景が見えてくる。孫よりペットの現代なのかもしれない。151「北窓開く」の句は春を表し「明日から私服」でたびだちをイメージする。この取り合わせが心に沁みる作品となった。163「春ショール」の句、不要不急が頭から離れない今、「私出かけます」と言い切っているところがすがすがしい。春ショールが背中を押してくれる気がする作品である。松田ひろむ(代表)選 10カレンダー一枚減って黄水仙27皓歯より白梅の名が告げらるる64お日和のクリームチーズ桃の花さ準特選66憲法が光源しゃぼん玉とばす/木野俊子87雪降って根っこあたりがさわがしい94帝国の危うい派兵流氷期104善人の満員となる花電車119枯茨職業欄の婆にマル特選151北窓開く明日からもう私服です/増田萌子155薄氷の中の青空割れる音157缶切りの忘れられたる多喜二の忌/ 石黒宏志(選評)特選にいただいた151「北窓開く」の句は、卒業などとは書かれていないものの、新しい門出の句。つまりは制服に対する私服である。改めて季語の「北窓開く」が清々しく感じられた。準特選の66「憲法が」の句。しゃぼん玉に対して「憲法が光源」は言い得て妙。しゃぼん玉が表す子供への贈り物、それが憲法だ。同じく準特選の157「缶切りの」の句。缶切不要の缶詰(プルトップ缶)と「蟹工船」の小林多喜二との対比。時代は変わっても新しい貧困がある現代。問題提起の句である。10「カレンダー」の句。あっというまに二月。しかしそれを直接言わないで焦点は黄水仙。この一年に立ち向う清(すが)しい句。27「皓歯より」の句。皓歯と白梅と白を重ねて、その背景の青空が見えてくるようだ。64「お日和の」の句。晴天を「お日和」というのも親しみやすい表現。「クリームチーズ桃の花」は、いかにも春である。87「雪降って」の句。雪が降ることは雪国でない人にはうれしい。木々にもじっくりと水分を得られる。「根っこあたりがさわがしい」は木々の喜びの声だろうか。94「帝国の」の句。この句はロシアのウクライナ侵攻ではないかも知れないが帝国主義への警鐘。季語が「流氷」であるのでロシアのウクライナ侵攻を予言した句となった。104「善人の」の句。花電車とは都電などを飾りたてたもの。普通は、花電車には客は乗せないのだが句は「善人で‐満員」という。一種の諧謔であろう。119「枯茨」の句。同じく諧謔。なんといっても「婆にマル」がおかしい。ただ俳人はいつまでも創作。つまり老けてはいられない。155「薄氷の」水中・水面に青空という句は多いが、これは薄氷で独自の句となった。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上一位53 草団子無理難題を丸め込む ⑥ 吉村きら二位2 病妻のひとこと桜もう咲いた ⑤ 松田ひろむ二位10 カレンダー一枚減って黄水仙 ⑤ 古川和美二位193じゃがいもの花よ自由よウクライナ ⑤ 松田ひろむ五位38 梅の香に方向音痴どこまでも④石口榮五位42 一幕で終る一生紫木蓮 ④吉村きら五位59 剪定の枝ごつごつと兜太文字④石口榮五位144春の昼休憩室の求人誌④ 川崎果連五位152八十は異界の入口春の雪④白石みずき五位153思いっきりハグしてあげる雪だるま④小髙沙羅五位155薄氷の中の青空割れる音④磯部薫子五位166アイロンに余熱地球に蜃気楼④吉村きら十三位24啓蟄やまた散らかしている夫の部屋③岩渕純子十三位40花ミモザこの路地美男美女ばかり③荒井類十三位66憲法が光源しゃぼん玉とばす③木野俊子十三位77佐保姫を迎えるしたく庭箒③石口りんご十三位157缶切りの忘れられたる多喜二の忌③石黒宏志十三位174介護度五愛の深まる雪柳③ 翠雲母 (第23回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1干し物をとんとん畳み久女の忌 1 古川塔子2病妻のひとこと桜もう咲いた 5 松田ひろむ3浮かれ猫浅き眠りの友として 1 望月のぞみ4枝ぶりの先に春待つ桜かな 0 斎藤 藍5春光にコロナ禍ならば投げキッス 0 磯部薫子6ところごころ歪みがあって蕗の薹 0 増田萌子7初桜欄干の竜首立てて 0 荻野樹美8愛のチョコ洋酒入りとはなおさらに 2 金丸菜斗9父母鳥に春光眸溢れさせ 0 後藤よしみ10カレンダー一枚減って黄水仙 5 古川和美11貧乏でいいうぐいすさえ鳴けば 2 木野俊子12鉄球の山荘朽ちて蕗の薹 2 川崎果連132022年2月22日梅ほつほつ 2 安原南海子14土踏まぬ浅き春へと春キャベツ 0 信岡さすけ15父の忌のなんだか蓬餅の艶 0 小平 湖16いいじゃない休みは休み建国祭 0 石黒宏志17校庭の桜のつぼみ声かけられ 0 福島芳子18鍵盤の模様の帽子春隣 1 荻野樹美19須黒の道一本を鳥の声 0 荻野樹美20麦踏の季語は悲しき人要らぬ 0 石黒宏志21あと千歩橋のたもとの猫柳 1 金丸菜斗22これ以上増やせないのに植木市 2 石口りんご23雪女の一系愛情物語 0 古川塔子24啓蟄やまた散らかしている夫の部屋3 岩渕純子25雪晒デイサービスのバス街へ 0 安藤利亮26春菊の白和え老楽の色香 1 金丸菜斗27皓歯より白梅の名が告げらるる 1 後藤よしみ28あしぬけに戦車突っ込む葱坊主畑 0 信岡さすけ29道の駅誘う楤の芽蕗の薹 1 安原南海子30飛鳥寺の時計が刻む水の春 1 行成佳代子31父の忌日母の忌日もスイートピー 0 小髙沙羅32独房の中野刑務所多喜二の忌 0 翠 雲母33万歳の上手くできた木より芽吹く 1 小平 湖34行く雲の春のスカーフくれた人 0 はまつばさ35春立つ日日差しと影乗せ山手線 0 郡楽清子36ラッパーの「いいね」マスクの茗花柄 0田辺花37スカイツリー雲隠れおり春の雪 0 郡楽清子38梅の香に方向音痴どこまでも 4 石口 榮39路地裏の月下にほのか白梅かな 0 郡楽清子40花ミモザこの路地美男美女ばかり3 荒井 類41渡良瀬の男の匂い野火猛る 0 宮 沢子42一幕で終る一生紫木蓮 4 吉村きら43悴める手をつつまれしころのこと 0 白石みず44逃水を追いかけてみるあゝ疲れた 0 磯部薫子45キャンパスカメラに雪掻きの道空青し0 行成佳代子46後悔先に立たずだが斑雪 0 磯部薫子47風光る郵便バイク寄りもせず 2 小平 湖48八十は与(くみ)し易しと春鴉 1 信岡さすけ49人なみにおごれや春の月丸(まろ)し0 荒井 類50先生の家の辺りへ恵方巻 0 小髙沙羅51三月や十一日の名前たち 1 荒井 類52スキンケア二月の乾燥注意報 0 古川塔子53草団子無理難題を丸め込む 6 吉村きら54ゴッホの黄花菜の黄色削げ落す 0 増田萌子55受験子の耳に尖りてオミクロン 0 行成佳代子56春塵やコロナを運ぶ武器商人 1 高橋透水57春の宵満月ですよとワイン抜く 0 岩渕純子58白梅や男の意地を哀れとも 1 国井 梢59剪定の枝ごつごつと兜太文字 4 石口 榮60立春の空拓けゆき深呼吸 0 中村ふみ61花あかりこっそり揺れて沈丁花 0 福島芳子62やさしさにどっぷり浸かり粥柱 1 古川塔子63タブレットの母抱きしめる余寒かな2宮 沢子64お日和のクリームチーズ桃の花 1はまつばさ65鉛筆の木の香あふれるランドセル 1 岡崎久子66憲法が光源しゃぼん玉とばす 3木野俊子67浅蜊にも入国待機夜の浜 2 行成佳代子68猫の恋産業廃棄物の島 1 木野俊子69顔を上げ肺いっぱいに春の風 0百目鬼英明70さてあれは踏絵だったと令和かな 1信岡さすけ71ゴム段のスカートはさみ春を跳ぶ 1白石みずき72春雷に言葉はじけてオルゴール 0 吉村きら73春光の濤より兵が殺到す 0 後藤よしみ74雪解川水彩画紙に黒筆で 1 安藤利亮75いぬふぐり傾(なだ)り自在にひとりじめ0安原南海子76暖房の微音引きずる骨密度 0 岡崎久子77佐保姫を迎えるしたく庭箒 3石口りんご78丁寧に眼鏡を洗い春惜しむ 1 石口 榮79主人より威風堂々うかれ猫 1百目鬼英明80神あらば戦鎮めよ涅槃西風 0 国井 梢81野に道に瞬く星や犬ふぐり 0百目鬼英明82拒むものなんにもなくて下萌ゆる 1安原南海子83雨の三月背に乗っている市民税 0 木野俊子84春眠の覚め際ほろ苦き疑問 0 古川塔子85紅志野で飲みきる抹茶春立つ日 2石口りんご86侘助が椀に咲かせる花菜和え 0はまつばさ87雪降って根っこあたりがさわがしい2古川和美88洗濯の乾ききれずに春の雷 0 田辺花89不要不急外出自粛夢見月 0 石口 榮90服と靴バックも軽め鳥曇 0 石口りんご91外出着少し派手目に菜の花忌 0 翠 雲母92リモコンの戦争があり春西風 2松田ひろむ93六十年も続く文通沈丁花 0 小髙沙羅94帝国の危うい派兵流氷期 3 翠 雲母95かくれんぼ一人が怖い大春野 1 高橋透水96冴返るシルクロードの国想う 2 荻野樹美97なにもかも気に染まぬ日や鳥曇り 0 岩渕純子98桜貝一つこの手に実朝忌 1 国井 梢99小兵なれど力を溜めて黄水仙 0 郡楽清子100凛として生き抜くかくご実海棠 0望月のぞみ101手渡してもうらう手紙の梅つぼみ 0 福島芳子102銚子電鉄菜の花を鬣(たてがみ)に1小平 湖103泣く象を指差す親子涅槃絵図 0 安藤利亮104善人の満員となる花電車 1 田辺花105外堀を染める桜や中央線 0 近田吉幸106雛飾る今季をもって解散ね 2 高矢実來107ぶらんこを漕ぎオミクロン無き世界0高橋透水108冴え返る二級河川の七曲り 0安原南海子109炒め煮て二月ボルシチ血の色に 1松田ひろむ110白梅や護摩火を揺する大太鼓 0 安藤利亮111母からの大き擂鉢ほうれん草 1石口りんご112駄菓子屋の汚れっちまった春の雪 0 宮 沢子113逃水や子は親の年追い越せず 0 石口 榮114春暖かく花粉症に要注意 0 斎藤 藍115ネット上で実家売られる涅槃西風 0 磯部薫子116春水やすっかり洗練されてきて 0 国井 梢117春疾風チェルノブイリに戦車なぜ 2松田ひろむ118それぞれに見るとこ違ふ日向ぼこ 2 中村ふみ119枯茨職業欄の婆にマル 1 望月のぞみ120勝って泣き負けても泣いて牡丹雪 1 小髙沙羅121芽吹きまで小鳥の舞台雑木林 0 高良和子122vAppつながるまでの春炬燵 0百目鬼英明123天気図に二つ膨らむ春キャベツ 2 宮 沢子124初恋は幻想になり海市かな 0望月のぞみ125転がりし錠剤に這ふ春の雷 0 高良和子126プラタナス風を形に春隣 0 荻野樹美127春めくや小魚の群れ回りくる 0 近田吉幸128埋み火を継ぎてリンクの親子鷹 0行成佳代子129夕星や富士山荘の雪解音 0 近田吉幸130妹が初孫抱く春の空 0 国井 梢131口紅のUber Eats風光る 0 安藤利亮132春愁やぎしぎし鳴るも膝の骨 1 中村ふみ133寒明けるまずは五センチ窓を開け 0 古川和美134春眠や寝巻き起き巻き近トイレ 0信岡さすけ135斑雪マトリョーシカの出土せり 0 川崎果連136世の中の余寒明烏の盛ん 0はまつばさ137応援は目刺肴に画面超し 0 金丸菜斗138しら梅がどんと咲いたよ外厠 0はまつばさ139ほんのりと紅らむ桜樹液来て 0 高良和子140早春の体育館のせわしなく 0 田辺花141料峭の沈黙砲火より勁し 0後藤よしみ142マルチーズころがる春影追いかけて0福島芳子143沼ひとつ飛び越えて行くしゃぼん玉2増田萌子144春の昼休憩室の求人誌 4 川崎果連145まだ生きるつもり入江の柳の芽 2 増田萌子146ピアソラの"忘却"ひたる「サクラ」不起訴 0翠雲母147雛六十路お歳のせいと言わないで 0 高矢実來148加湿器のときどき螺子の遊び癖 1 小平 湖149無造作にさして整うジャヤスミン花0福島芳子150人前でひいたと言えぬ春の風邪 1石黒宏志151北窓開く明日からもう私服です 2 増田萌子152八十は異界の入口春の雪 4白石みずき153思いっきりハグしてあげる雪だるま4小髙沙羅154葱坊主ぼくの散髪いつもママ 2白石みずき155薄氷の中の青空割れる音 4 磯部薫子156鍵外す音のやわらか凍ゆるむ 0 近田吉幸157缶切りの忘れられたる多喜二の忌3石黒宏志158蕗味噌のほろ苦きかな妣(はは)思ふ0荒井 類159薄氷の先を越された跡ばかり 1 石黒宏志160潜りこむ子宮回帰の冬布団 1 高良和子161春愁やわが町なれど知らぬこと 0 斎藤 藍162夫の手のゆるり振られて浅き春 0 高矢実來163春ショールこれから私出かけます 2 中村ふみ164縁側に赤子寝てゐるあたたかさ 0 荒井 類165三・一一突然のがん告知 1 岡崎久子166アイロンに余熱地球に蜃気楼 4 吉村きら167春寒しホットレモンに和む夜 0 岩渕純子168チューリップ名札の主は感染者 1 高橋透水169また一人癌に敗れて春の星 0 百目鬼英明170春風や忍びて来てはまた去りぬ 0 中村ふみ171奥入瀬の水の勢い春隣 0 岡崎久子172煎餅の音顔じゅうに冬ごもり 0白石みずき173目には目を意地には意地を木瓜の花1吉村きら174介護度五愛の深まる雪柳 3 翠 雲母175留守宅へまだ鳴り続く初電話 0 古川和美176臘梅や香り身を寄せマスク越し 0 郡楽清子177鈍色の空佐保姫は体重過 1 田辺花178雛人形お道具類の様々に 0 斎藤 藍179口紅も買ったままです雛祭 1 宮 沢子180どの道も隠すがごとく山笑う0 川崎果連181落第すみちのくの旅果て知らず 0 近田吉幸182野良犬が片足上げる遍路道 0 川崎果連183退院の乾杯の夢春暁の 0 高矢実來184菫草戦車浮かすに足らざりし 0後藤よしみ185赤子はや初めの一歩水温む 0 岩渕純子186春昼のウイルス語るホームレス 0 高橋透水187二ん月の絹さや摘みたて湯がきたて0高矢実來188春隣ランプの宿のランプの灯 0 岡崎久子189チューリップ二つも咲いて今日佳き日1斎藤 藍190御神渡り赤いポルシェの願い事 0望月のぞみ191立春やワクチン接種何度まで 2 古川和美192菜の花の真ん中に心霊写真 1 木野俊子193じゃがいもの花よ自由よウクライナ5 松田ひろむ194東京の雪は先駆け春近し 0 高良和子195残り鴨いまさらユーターンだなんて0 金丸菜斗(第24回鴎座通信句会)投句締切=3月26日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年03月07日
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第23回鴎座通信句会全句データ(互選用)俳句で免疫力アップ。新型コロナウイルス感染症オミクロン株にも負けないで頑張りましょう。第23回鴎座通信句会は39名195句となりました。選句と講評は鴎座代表、編集長、副編集長・Ⅰ欄同人・顧問に依頼しました。また投句された方の互選も行います。●互選選句五句。(全句のなかから五句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 3月3日2 4時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2022年2月26日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第23回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1干し物をとんとん畳み久女の忌2病妻のひとこと桜もう咲いた3浮かれ猫浅き眠りの友として4枝ぶりの先に春待つ桜かな5春光にコロナ禍ならば投げキッス6ところごころ歪みがあって蕗の薹7初桜欄干の竜首立てて8愛のチョコ洋酒入りとはなおさらに9父母鳥に春光眸溢れさせ10カレンダー一枚減って黄水仙11貧乏でいいうぐいすさえ鳴けば12鉄球の山荘朽ちて蕗の薹132022年2月22日梅ほつほつ14土踏まぬ浅き春へと春キャベツ15父の忌のなんだか蓬餅の艶16いいじゃない休みは休み建国祭17校庭の桜のつぼみ声かけられ18鍵盤の模様の帽子春隣19須黒の道一本を鳥の声20麦踏の季語は悲しき人要らぬ21あと千歩橋のたもとの猫柳22これ以上増やせないのに植木市23雪女の一系愛情物語24啓蟄やまた散らかしている夫の部屋25雪晒デイサービスのバス街へ26春菊の白和え老楽の色香27皓歯より白梅の名が告げらるる28あしぬけに戦車突っ込む葱坊主畑29道の駅誘う楤の芽蕗の薹30飛鳥寺の時計が刻む水の春31父の忌日母の忌日もスイートピー32独房の中野刑務所多喜二の忌33万歳の上手くできた木より芽吹く34行く雲の春のスカーフくれた人35春立つ日日差しと影乗せ山手線36ラッパーの「いいね」マスクの菜花柄37スカイツリー雲隠れおり春の雪38梅の香に方向音痴どこまでも39路地裏の月下にほのか白梅かな40花ミモザこの路地美男美女ばかり41渡良瀬の男の匂い野火猛る42一幕で終る一生紫木蓮43悴める手をつつまれしころのこと44逃水を追いかけてみるあゝ疲れた45キャンパスカメラに雪掻きの道空青し46後悔先に立たずだが斑雪47風光る郵便バイク寄りもせず48八十は与(くみ)し易しと春鴉49人なみにおごれや春の月丸(まろ)し50先生の家の辺りへ恵方巻51三月や十一日の名前たち52スキンケア二月の乾燥注意報53草団子無理難題を丸め込む54ゴッホの黄花菜の黄色削げ落す55受験子の耳に尖りてオミクロン56春塵やコロナを運ぶ武器商人57春の宵満月ですよとワイン抜く58白梅や男の意地を哀れとも59剪定の枝ごつごつと兜太文字60立春の空拓けゆき深呼吸61花あかりこっそり揺れて沈丁花62やさしさにどっぷり浸かり粥柱63タブレットの母抱きしめる余寒かな64お日和のクリームチーズ桃の花65鉛筆の木の香あふれるランドセル66憲法が光源しゃぼん玉とばす67浅蜊にも入国待機夜の浜68猫の恋産業廃棄物の島69顔を上げ肺いっぱいに春の風70さてあれは踏絵だったと令和かな71ゴム段のスカートはさみ春を跳ぶ72春雷に言葉はじけてオルゴール73春光の濤より兵が殺到す74雪解川水彩画紙に黒筆で75いぬふぐり傾(なだ)り自在にひとりじめ76暖房の微音引きずる骨密度77佐保姫を迎えるしたく庭箒78丁寧に眼鏡を洗い春惜しむ79主人より威風堂々うかれ猫80神あらば戦鎮めよ涅槃西風81野に道に瞬く星や犬ふぐり82拒むものなんにもなくて下萌ゆる83雨の三月背に乗っている市民税84春眠の覚め際ほろ苦き疑問85紅志野で飲みきる抹茶春立つ日86侘助が椀に咲かせる花菜和え87雪降って根っこあたりがさわがしい88洗濯の乾ききれずに春の雷89不要不急外出自粛夢見月90服と靴バックも軽め鳥曇91外出着少し派手目に菜の花忌92リモコンの戦争があり春西風93六十年も続く文通沈丁花94帝国の危うい派兵流氷期95かれんぼ一人が怖い大春野96冴返るシルクロードの国想う97なにもかも気に染まぬ日や鳥曇り98桜貝一つこの手に実朝忌99小兵なれど力を溜めて黄水仙 100凛として生き抜くかくご実海棠101手渡してもうらう手紙の梅つぼみ10銚子電鉄菜の花を鬣(たてがみ)に103泣く象を指差す親子涅槃絵図104善人の満員となる花電車105外堀を染める桜や中央線 106雛飾る今季をもって解散ね107ぶらんこを漕ぎオミクロン無き世界108冴え返る二級河川の七曲り109炒め煮て二月ボルシチ血の色に110白梅や護摩火を揺する大太鼓111母からの大き擂鉢ほうれん草112駄菓子屋の汚れっちまった春の雪113逃水や子は親の年追い越せず114春暖かく花粉症に要注意115ネット上で実家売られる涅槃西風116春水やすっかり洗練されてきて117春疾風チェルノブイリに戦車なぜ118それぞれに見るとこ違ふ日向ぼこ119枯茨職業欄の婆にマル120勝って泣き負けても泣いて牡丹雪121芽吹きまで小鳥の舞台雑木林122vAppつながるまでの春炬燵123天気図に二つ膨らむ春キャベツ124初恋は幻想になり海市かな125転がりし錠剤に這ふ春の雷126プラタナス風を形に春隣127春めくや小魚の群れ回りくる128埋み火を継ぎてリンクの親子鷹129夕星や富士山荘の雪解音130妹が初孫抱く春の空131口紅のUber Eats風光る132春愁やぎしぎし鳴るも膝の骨133寒明けるまずは五センチ窓を開け134春眠や寝巻き起き巻き近トイレ135斑雪マトリョーシカの出土せり136世の中の余寒明烏の盛ん137応援は目刺肴に画面超し138しら梅がどんと咲いたよ外厠139ほんのりと紅らむ桜樹液来て140早春の体育館のせわしなく141料峭の沈黙砲火より勁し142マルチーズころがる春影追いかけて143沼ひとつ飛び越えて行くしゃぼん玉144春の昼休憩室の求人誌145まだ生きるつもり入江の柳の芽146ピアソラの“忘却”ひたる「サクラ」不起訴147雛六十路お歳のせいと言わないで148加湿器のときどき螺子の遊び癖149無造作にさして整うジャヤスミン花150人前でひいたと言えぬ春の風邪151北窓開く明日からもう私服です152八十は異界の入口春の雪153思いっきりハグしてあげる雪だるま154葱坊主ぼくの散髪いつもママ155薄氷の中の青空割れる音156鍵外す音のやわらか凍ゆるむ157缶切りの忘れられたる多喜二の忌158蕗味噌のほろ苦きかな妣(はは)思ふ159薄氷の先を越された跡ばかり160潜りこむ子宮回帰の冬布団161春愁やわが町なれど知らぬこと162夫の手のゆるり振られて浅き春163春ショールこれから私出かけます164縁側に赤子寝てゐるあたたかさ165三・一一突然のがん告知166アイロンに余熱地球に蜃気楼167春寒しホットレモンに和む夜168チューリップ名札の主は感染者169また一人癌に敗れて春の星170春風や忍びて来てはまた去りぬ171奥入瀬の水の勢い春隣172煎餅の音顔じゅうに冬ごもり173目には目を意地には意地を木瓜の花174介護度五愛の深まる雪柳175留守宅へまだ鳴り続く初電話176臘梅や香り身を寄せマスク越し177鈍色の空佐保姫は体重過178雛人形お道具類の様々に179口紅も買ったままです雛祭180どの道も隠すがごとく山笑う181落第すみちのくの旅果て知らず182野良犬が片足上げる遍路道183退院の乾杯の夢春暁の184菫草戦車浮かすに足らざりし185赤子はや初めの一歩水温む186春昼のウイルス語るホームレス187二ん月の絹さや摘みたて湯がきたて188春隣ランプの宿のランプの灯189チューリップ二つも咲いて今日佳き日190御神渡り赤いポルシェの願い事191立春やワクチン接種何度まで192菜の花の真ん中に心霊写真193じゃがいもの花よ自由よウクライナ194東京の雪は先駆け春近し195残り鴨いまさらユーターンだなんて 鴎座通信句会は、ウイズコロナ時代の新しい句会のあり方として注目されています。昨年四月以降一年余りの開催の結果、新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の大きな成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として発展させて行きたいと思います。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月二十六日です。ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです。
2022年02月26日
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第22回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ第22回鴎座通信句会は39名195句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切26日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ●画像は「節分おばけ」(京都祇園の舞妓)フリー素材より〈第22回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。 石口 榮(編集長)選 11 虎落笛最後に眠る耳二つ特選35駄句駄作崩しきれない宝船/宮沢子116寄鍋のやがていつかは一人鍋124雪だるま都会生まれのやせっぽち127レシートの日毎伸び行く春隣176禁酒黙食我慢限界春隣184土竜打研修生の出勤簿(選評)特選にいただいた35「駄句駄作」の句。宝船には米俵、宝貨が山と積まれて七福神も乗っている新年の目出度い季語。駄句駄作は謙遜であろうか。船には沢山の句も積んでいる。その一句一句に思いが込められており捨てきれないと言うことであろう。崩しきれないは捨て切れないと解した。今年も沢山の秀句を詠まれるであろう作者に惹かれた。11「虎落笛」の句。虎落笛とは竹を筋違いに組み合わせた柵のこと。冬の烈風が柵に吹き付けると「ヒューヒュー」と鳴る。眠りについても、暫らくは周囲の音を聞き分けている耳。熟睡と共に何も聞こえなくなっていく。耳二つが肉体感覚である。116「寄鍋の」句。円満なご夫婦であろう。しかし何時か死別を迎えることになる。作者の年齢は分からないがそんな事を案ずる齢になった、ちょっと寂しい句である。124「雪だるま」の句。都会の降雪量は少なく雪だるまを作るのは大変である。都会生まれといって諧謔性のある独自の句となった。127「レシートの」の句。コロナ禍にあって買い物も毎日でなくなった。そのため買い溜めをするので自然とレシートも長くなると読んだ。季語「春隣」が動きそうであるが生活感たっぷりである。176「禁酒」の句。全て漢字表記した所に惹かれた。春隣に早く収束を願う作者の気持ちが込められている。 小髙沙羅(副編集長)選 11虎落笛最後に眠る耳二つ15初競の大間の鮪ここ豊洲特選30肉うどんの肉減ってゆく春隣/木野俊子60合格を決め奔放なスリットよ112黙食の学び舎の窓日脚伸ぶ167郵休二日病妻とても春めくに195相性のいまさらどうの鰤大根(選評)特選にいただいた30「肉うどん」の句。コロナ禍のなかで、次々に物価が上がっている。食用油、マヨネーズ、小麦粉、なかでも肉の高くなっているのには驚く。主婦として強く共感する。11「虎落笛」の句。横になれば目はつぶる。最後の「耳二つ」に納得。15「初競の」の句。豊洲市場での大間の鮪の初競は毎年話題になる。いかにも正月らしい句。60「合格を」の句。合格は大学か。まだまだ子供と思っていたら、もう大胆なスリットとはと驚く。娘らしくなるのはいいのだが、それはそれでまた心配の種である。112「黙食の」の句。黙食というコロナ禍の学校。学び舎とちょっとすましているものの、思いは複雑であろう。「日脚伸ぶ」が希望でもある。167「郵休二日」の句。創作四字熟語をさっそく一句。すっかり元気になった妻と春。195「相性の」の句。相性は人間関係にはつきものであるが、これは夫婦だろうか。いいも悪いも数十年の仲か。鰤大根が家庭を象徴している。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 5冬銀河我も宇宙のひとしずく9肉じゃがのほどよき崩れ夫の留守15姫はじめ核戦争に勝者なし34落とし穴にはまった夫に福は内特選51蝋梅を囲んでマスク依存症/鈴木砂紅71滅入る日も会えば元気に冬菫167郵休二日病妻とても春めくに(選評)特選にいただいた51「蝋梅を」の句。芳しい蝋梅の季節になった。コロナ禍でマスクを外せないまま三年目の春が来る。変異したオミクロン株は重症化しづらいと聞くが私も後期高齢者、日に日に感染者増と先の見え一臨い不安の中でひたすら嗽、手洗い、そしてマスク依存症である。今はマスク依存症位が丁度いい。5「冬銀河」の句。季語の冬銀河を生かして壮大な宇宙の中で、しっかり生きている存在感が窺える。9「肉じゃが」の句。「亭主元気で留守がいい」これもいいけれど、美味しい肉じゃがをつくり夫の帰りを待つ、平凡な暮らしを大事にしたいものだ。15「姫はじめ」の句。まったく同感である。核の怖さを一番知っているのは日本のはずだが。ただ「姫はじめ」という季語との取り合わせとしてはどうだろうか。34「落とし穴に」の句。なぜか笑える句だ。何時もいじられ役のお父さんを中心に底抜けに明るい家族が浮かんでくる。71「滅入る日」の句。冬菫と言えば可憐でひ弱なイメージではあるが、そんな冬菫にも落ち込んでいる自分を励まし元気にしてくる力強さがある。(菫ほどなちさき人に生まれたし)夏目漱石167「郵休二日」の句。昨年十月より手紙やハガキは土曜配達が無くなり月曜日に届くことになった。春も近づき花便りを心待ちしている奥様に良いお便りが届きますように。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選60合格を決め奔放なスリットよ65寝乱れてフリンジ咲きのシクラメン特選69両腕でオーケーの丸息白し/古川塔子139いくたびも絵踏のごとく接種せり149着ぶくれてゴム跳び石蹴りいつもビリ185冬満月命の果は突然に186半分にできぬ愛情シクラメン(選評)特選にいただいた69「両腕で」の句。なにがオーケーかは読者が想像すればいい事。良い事には間違いないのだから。オーケーの丸が明るく楽しく、息白しで作者の弾んだ笑顔がハッキリと見えてくる。60「合格を」の句。採用試験に受かったのだろう。今までは黒か紺のスーツばかりだったが合格と決まり、待ってましたとばかりに大胆な服装になったのだ。スリットが効いている。65「寝乱れて」の句。フリンジとは毛糸や布端を束ねた房飾りのこと、シクラメンの縮れた花をフリンジと見立てたのだろう。寝乱れとの取り合わせが微妙である。139「いくたびも」の句。心境が良くわかる。私事だが前の二回はファイザーだったが今度はモデルナなのでまさに絵踏の心境である。149「着ぶくれて」の句。作者は着ぶくれているからビリなのではなく運動神経があまり良くないのでは、と思い取らしていただいた。185「冬満月」の句。その通り。だからその日まで希望や夢を持って生きていられるのである。186「半分に」の句。愛情を半分にできたらさぞや楽だろう。加減ができないから男女の仲は難しい。シクラメンが成り行きを見守っている。 鈴木 砂紅(招待)選 6大綿や老婆老爺はいつからか9肉じゃがのほどよき崩れ夫の留守38冬晴やついで参りといふもよし54春北風空飛ぶ記憶ペンギンに124雪だるま都会生まれのやせっぽち162日脚伸ぶ胎動の子に手でこたえ特選192口覆うものもたざりし福達磨/後藤よしみ(選評)特選に頂いた192「口覆う」の句。達磨はマスクはしないが、無駄なおしゃべりもしない。飲食も無用。への字に結んだ口はウイルスとは無縁で、どっしりと人間の福を受け止めてくれる。災厄の時こその有難さ。6「大綿や」の句。老婆老爺なんて言葉はアンチエイジングに消される時代。老いを認めず屈服しなければ死ぬことはない、という錯覚の滑稽さ。9「肉じゃがの」の句。中七の「ほどよき崩れ」がいかにも食欲をそそる。それに夫が留守なら、尚更美味しいご飯が頂けるというもの。38「冬晴や」の句。作者は信心の篤い人で、お参りを欠かさず、時には散歩のついで参りもする。神様に失礼だが、そのゆるさが愉しい。54「春北風」の句。春の強い風の中、ペンギンは身を躍らして水中に入る。壮大な進化の記憶が宿る翼は鰭になり、飛ぶように泳ぐ。124「雪だるま」の句。やせっぽちは雪だるまであり、都会の子どもでもある。痩せ我慢、痩せの大食いを連想させ、何だか可笑しい。162「日脚伸ぶ」の句。妊婦のやさしい姿が過不足なく詠まれていて、共感を呼ぶ。「手でこたえ」が秀逸。 松田ひろむ(代表)選 9肉じゃがのほどよき崩れ夫の留守70「ただいま」の声玄関に雪女特選74断捨離の途方にくれて冬薔薇/森谷路子凖特選90寒北斗さくらトラムの鐘二つ/田辺 花94寒茜私をどこまで連れて行く104長女二女姓をたがえて小正月 112黙食の学び舎の窓日脚伸ぶ113千両へおはようコーヒーはブラック174富士山を乗せてふらここ漕いでいる178元旦に 届くや珠洲のつきたて餅凖特選186半分にできぬ愛情シクラメン/吉村きら194田遊びの子らの控える銀河系(選評)特選にいただいた74「断捨離の」の句。一時流行語となった「断捨離」だが、いざ捨てようとすると、いろいろな思い出が交差して捨てるに捨てられないのだ。「途方にくれて」がその思い。それが冬薔薇に託されている。凖特選90「寒北斗」の句。「さくらトラム」は都電のこと。その命名には賛否があるが、ここでは寒北斗とサクラの対比の良さ。さらに「鐘二つ」が上手い。名句には音がする。同じく準特選にいただいた186「半分に」の句。この対象は男女か、あるいは子供か。子供なら平等にと思うので、ここは恋のもつれだろう。シクラメンがここでは妖しい。9「肉じゃがの」の句。夫の帰りを待ちわびているのだろうか。ちょうどいいい加減の煮上がりなのだ。炊事をもっぱら女性がするという古き良き?姿かもしれない。70「「ただいま」の」の句。まさに虚実の句。元気な声は高校生の娘のようでもあるが、それが雪女とは。もっとも女性は七変化である。94「寒茜」夕焼は幻想的であるが、寒中のそれは厳しく美しい。「どこまでも連れて行く」の情感が心に沁みる。104「長女二女」の句。長女も次女も嫁いで夫の姓になったそんな娘を誇らしくも思っているのかも。小正月に集う家族の幸であろう。ただ底辺には夫婦別姓への問題意識もあるのかも知れない。112「黙食の」の句。「学び舎」とは、いかにも古風な表現であるが、ここはコロナ禍下の「黙食」といって現代の一句となった。113「千両へ」の句。庭の千両へのご挨拶。コーヒーのブラックが好みとは、私にはきりっと自立した女性の姿のように思える。174「富士山を」の句。やはりブランコはいくつになっても楽しい。古沢太穂先生に〈ブランコをもう漕がぬ齢桜の夜〉がある。句は富士山までも乗せてと大柄な句となった。178「元旦に」の句。地名の良さ。珠洲は能登半島先端の町。なんといっても「すず」の音感が元旦に響く。194「田遊びの」の句。田遊びは稲作の予祝の行事。子供は豊作の象徴。それが銀河系を結びついて生命の起源にまで遡る句となった。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位9 肉じゃがのほどよき崩れ夫の留守 ⑨ 増田萌子二位16 姫はじめ核戦争に勝者なし ⑥ 川崎果連二位167郵休二日病妻とても春めくに ⑥ 松田ひろむ二位195相性のいまさらどうの鰤大根 ⑥ 石口りんご五位177芹なずな鳴子こけしと微笑んで ⑤ 宮 沢子六位11 虎落笛最後に眠る耳二つ ④ 白石みずき六位124雪だるま都会生まれのやせっぽち ④ 岩渕純子六位139いくたびも絵踏のごとく接種せり ④ 川崎果連六位162日脚伸ぶ胎動の子に手でこたえ ④ 後藤よしみ 十位21 鯛焼きや人を恋しくなりました③翠雲母十位60 合格を決め奔放なスリットよ③増田萌子十位69 両腕でオーケーの丸息白し③古川塔子十位112黙食の学び舎の窓日脚伸ぶ③望月のぞみ十位120寒紅や意地と意気地は紙一重③川目智子十位172ガラス屋が寒夕焼を嵌めて去る③石口榮十位176禁酒黙食我慢限界春隣③百目鬼英明十位186半分にできぬ愛情シクラメン③吉村きら (第22回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1寝たふりのマグマだまりや山眠る 1 荒井 類2水温の上がり切れずに初泳ぎ 0 高良和子3ファシズムへデジタルの嘘冴え返る 2 木野俊子4屠蘇やめていつものやうに一人酒 0 中村ふみ5冬銀河我も宇宙のひとしずく 2 岩渕純子6大綿や老婆老爺はいつからか 1 松田ひろむ7耳慣れぬ言葉の氾濫去年今年 0 郡楽清子8冬枯や掻痒症の背にゆく手 0 高良和子9肉じゃがのほどよき崩れ夫の留守 9 増田萌子10好奇心捨てずに飛べよ三十三歳 1 望月のぞみ11虎落笛最後に眠る耳二つ 4 白石みずき12冬夕焼翁像までならいける 0 石口りんご13工場のラジオ体操野水仙 1 川崎果連14老いらくはグリコのおまけ冬菫 1 吉村きら15初競の大間の鮪ここ豊洲 1 古川和美16姫はじめ核戦争に勝者なし 6 川崎果連17白兎ことりと夫のころびけり 0 増田萌子18掬っても掬っても綿虫の坂 0 岡崎久子19寒紅の指遊ばせて観世音 0 小平 湖20大甘のごまめに歯軋り微調整 0 行成佳代子21鯛焼きや人を恋しくなりました 3 翠 雲母22寂しさを反転させる枯葎 0 望月のぞみ23氷垂れる鶴の噴水火の記憶 0 安藤利亮24温室の蝶卵産む吾俳句うむ 0 翠 雲母25着ぶくれてコンコースぬけ南口 0 安原南海子26地熱列島狼はきっといる 1 木野俊子27春風や印象派へと付け黒子 0 信岡さすけ28感染者増万策尽きてマスクして 0 小平 湖29日向ぼこ時計の針は大股に 2 金丸菜斗30肉うどんの肉減ってゆく春隣 1 木野俊子31四字熟語踊る紙面の苦笑い 0 郡楽清子32日脚伸ぶ増えるばかりの診察券 1 安原南海子33寒空の遠慮がちにや昼の月 0 郡楽清子34落し穴にはまった夫に福は内 1 増田萌子35駄句駄作崩しきれない宝船 2 宮 沢子36校庭に蜜をわずかに帰り花 0 岡崎久子37雛の客年の差婚にあこがれて 1 松田ひろむ38冬晴やついで参りといふもよし 1 中村ふみ39雪しまく交換列車待つ車内 1 安藤利亮40善人のつもり冬日に全身を 0 岡崎久子41人日や胃カメラ鼻を通り抜け 0 高良和子42新雪の大地穢土ごとふみしめる 0 後藤よしみ43時さえも枝に絡まる凍てる朝 1 石黒宏志44繋がらぬワクチン予約寒晴るる 0 白石みずき45寒夕焼踏切の音もその仲間 0 木野俊子46嘴太は巨にしなやかに寒晴れを 0 森谷路子47鉢植の梅の赤さや久女の忌 0 斎藤 藍48落款の朱のひかり置く筆初 1 宮 沢子49初日浴び老いも若きももう笑顔 0 古川和美50甘味噌の鍋肌重く寒に入る 0 田辺 花51蝋梅を囲んでマスク依存症 1 鈴木砂紅52春を待つ郵便受の一間かな 0 川目智子53運針のしのぶしのばる冬薔薇 0 田辺 花54春北風空飛ぶ記憶ペンギンに 1 信岡さすけ55円盤を回して探す寒昴 0 近田吉幸56追焚きを中止しますか久女の忌 0 小平 湖57笹鳴の夕べ津波の注意報 0 増田萌子58大根やビスクドールの貌の色 0 荒井 類59命名は親のみゆるす犬ふぐり 0 信岡さすけ60合格を決め奔放なスリットよ 3 増田萌子61風花をのせる器やたなごころ 1 石黒宏志62捨てられぬ彼の最後の年賀状 0 小髙沙羅63三日間外出控え根深汁 0 安原南海子64安否尋ねし母今は亡く阪神忌 0 行成佳代子65寝乱れてフリンジ咲きのシクラメン1 高良和子66雪の朝極まる空よ水色よ 0 白石みずき67年逝く雨いつもの鴉二羽そこに 0 はまつばさ68雪女すれ違うときウインクす 0 石口 榮69両腕でオーケーの丸息白し 3 古川塔子70「ただいま」の声玄関に雪女 2 岩渕純子71滅入る日も会えば元気に冬菫 1 小柳 梓72こつこつの一日一句竜の玉 0 金丸菜斗73探梅の道だんだんと細くなる 0 斎藤 藍74断捨離の途方にくれて冬薔薇 1 森谷路子75冬枯や鍋焼うどんで抵抗す 0 斎藤 藍76焼くほどに失(う)する潤目鰯の海の色0 荒井 類77一滴を大河のように寒の水 1 川目智子78探梅行一枝ごとに粒を立て 0 白石みずき79見てしまう冬満月の青白さ 0 小髙沙羅80老いの冬に馴染まぬあれこれブースター0行成佳代子81これよりはうつつの枯野十二色 0 古川塔子82瓶詰があれば冬眠オミクロン 0 小髙沙羅83鼻っから見て見ぬふりの初鴉 1 小柳 梓84そばにいて笑ってくれる冬メダカ 0 翠 雲母85鎌鼬「パパ活」などがあったとは 0 石口りんご86梅の花家の明かりを消さないで 1 小柳 梓87松過と雨にせかれてしまい酒 0 石黒宏志88七種粥快復の兆しありやこの食べっぷり0 郡楽清子89金縷梅やモンロー映画見た夜の 0 金丸菜斗90寒北斗さくらトラムの鐘二つ 2 田辺 花91初富士の夕映えに落ち波の音 0 磯部薫子92春寒やゆ党蔓延防止措置 0 松田ひろむ93乳飲み児の拳のひらく初明り 2 磯部薫子94寒茜私をどこまで連れて行く 2 安原南海子95春節に関の孫六使い初め 0 斎藤 藍96力尽き崩れ散りゆく冬牡丹 0 望月のぞみ97寒鱈の湯気の向こうに在りし顔 0 荻野樹美98初明り新宿歌舞伎町の黙 0 磯部薫子99いまだから言える話よ女正月 1 安原南海子100初雪やびっくりまなこの一歳児 1 岩渕純子101大北風魔女の箒はカラフルに 0 鈴木砂紅102マスクでは隠せぬ本音修行僧 2 岡崎久子103メル友は王子の狐まだ八十路 2 松田ひろむ104長女二女姓をたがえて小正月 2 宮 沢子105膝掛を「め組の人」に滑らせる 0 田辺 花106見舞いには「クッキングパパ」寒卵1 森谷路子107ふるさとのさざめきと会うのっぺ汁0 金丸菜斗108修司の郷(くに)の香満つるや冬林檎0 荒井 類109非接触体温計の凍る朝 0 森谷路子110墨濃くて一気に運ぶ年賀状 0 古川和美111直立の僧の誦経や鐘冴ゆる 0 荻野樹美112黙食の学び舎の窓日脚伸ぶ 3 望月のぞみ113千両へおはようコーヒーはブラック2 はまつばさ114葉牡丹の渦物忘れものわすれ 0 古川塔子115蒲団干し掃除洗濯そして風呂 0 小髙沙羅116寄鍋のやがていつかは一人鍋 2 吉村きら117リモート会議電気あんかに足を乗せ0 鈴木砂紅118大寒や息ゆっくりとメール身を巡る0 荻野樹美119凍星にルイのペットのあの曲を 0 近田吉幸120寒紅や意地と意気地は紙一重 3 川目智子121幸願いお薬手帳変えてみる 0 斎藤 藍122ライオンの瞬き一つ寒の入り 1 荻野樹美123寒風やパラパラ漫画を歩く人 1 鈴木砂紅124雪だるま都会生まれのやせっぽち 4 岩渕純子125冬木の芽健康寿命より長し 0 白石みずき126霜の声演奏すればピアニシモ 1 荒井 類127レシートの日毎伸び行く春隣 2 川目智子128突然の口づけ紅椿ぽとり 1 翠 雲母129臘梅や金子兜太の洩瓶談 1 金丸菜斗130名ばかりの店長あえぐ雪おろし 1 川崎果連131風疼く痛くないとこまるでなし 0 中村ふみ132信濃には理屈屋育つ春炬燵 2 信岡さすけ133シーサーに花びら餅を咥えさす 0 田辺 花134秘手紙の灰文字潰し冬桜 0 安藤利亮135大寒や郷より届く乾燥芋 0 岩渕純子136初雪の未踏の余白歩みゆく 1 後藤よしみ137初詣鈴木ばやしの列にいて 0 古川和美138失恋の嘆きの涙西行忌 1 近田吉幸139いくたびも絵踏のごとく接種せり 4 川崎果連140梯子乗つま先天に届かんと 0 磯部薫子141湯豆腐ゆらり今日も無事ですありがとう1吉村きら142丸釜に若水を汲むめでたさよ 0 石口りん143氏子いうお札あるから初詣 0 宮 沢子144去年今年もう一年がたちました 0 中村ふみ145曼荼羅の梵字は髪ぞ伊豆の春 0 百目鬼英明146寒禽の声や細枝しならせて 0 荻野樹美147女正月不要不急とオミクロン 0 古川塔子148補助輪の自転車をこぐ毛糸帽 1 小柳 梓149着ぶくれてゴム跳び石蹴りいつもビリ1 鈴木砂紅150雪女途中下車していいですか 1 石口 榮151初場所や稽古そのまま勝ち名乗り 0 百目鬼英明152いい人は誰も愛せず水仙花 1 吉村きら153うらじろを折って行くなり今日の風0 古川和美154書初や墨は徳利の水で磨る 0 石黒宏志155善玉で体内埋める冬鷗 0 岡崎久子156三度目のコロナワクチン寒卵 1 小平 湖157初夢を見たか見ないか空青し 0 石黒宏志158焦げ目ある護摩札受けて梅一輪 0 安藤利亮159鷽替や入れ替りたるオミクロン 2 行成佳代子160立春や感染許容へ舵を切る 0 百目鬼英明161仏壇寒し金子みすゞを読みきかす 1 木野俊子162日脚伸ぶ胎動の子に手でこたえ 4 後藤よしみ163瞳孔の縦一文字竈猫(かまどねこ)0 石口 榮164枯れるなか胃の腑よろこぶ草という0 はまつばさ165とりあえず花びら餅の愛ひとつ 0 古川塔子166飛び込んでくる狐火や再稼働 0 翠 雲母167郵休二日病妻とても春めくに 6 松田ひろむ168ふらここや脆い男の無精髭 0 信岡さすけ169変異せるCOVID19花八手 0 安藤利亮170雪女と来る越中の薬売 0 石口りんご171元旦や縁すれすれの猫の水 0 高良和子172ガラス屋が寒夕焼を嵌めて去る 3 石口 榮173まぶた重し疫病退散卵酒 0 行成佳代子174富士山を乗せてふらここ漕いでいる1 小髙沙羅175駅弁で津々浦々へ春近し 0 川目智子176禁酒黙食我慢限界春隣 3 百目鬼英明177芹なずな鳴子こけしと微笑んで 5 宮 沢子178元旦に 届くや珠洲のつきたて餅 1 郡楽清子179巫女装束清しき手より破魔矢享く 0 磯部薫子180着脹れてマスク二重の囲碁の会 0 近田吉幸181鰤大根デビュー置物猫といて 0 はまつばさ182踏切の矢印左右息白し 1 森谷路子183冬日浴ぶスマホいきなりフォルテシモ0 近田吉幸184土竜打研修生の出勤簿 2 川崎果連185冬満月命の果は突然に 1 中村ふみ186半分にできぬ愛情シクラメン 3 吉村きら187濡れ羽さらに壮年からす寒の雨 0 はまつばさ188水仙や倒れようとも美は巡り 0 小柳 梓189温度差のオミクロン株桃の花 0 小平 湖190着膨れや押して押されてあらぬ方 1 百目鬼英明191初雀わが庭に来よ肩に来よ 0 望月のぞみ192口覆うものもたざりし福達磨 1 後藤よしみ193こだわりのひとつやふたつ竜の玉 2 石口 榮194田遊びの子らの控える銀河系 1 後藤よしみ195相性のいまさらどうの鰤大根 6 石口りんご(第23回鴎座通信句会)投句締切=2月26日。自作未発表5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。通信句会はどなたでも参加できます。
2022年02月04日
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第22回鴎座通信句会全句データ(互選用)俳句で免疫力アップ。新型コロナウイルス感染症オミクロン株にも負けないで頑張りましょう。第22回鴎座通信句会は39名195句となりました。選句と講評は鴎座代表、編集長、副編集長・Ⅰ欄同人・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選も行います。●互選選句五句。(全句のなかから五句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 1月31日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2022年1月28日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第22回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1寝たふりのマグマだまりや山眠る2水温の上がり切れずに初泳ぎ3ファシズムへデジタルの嘘冴え返る4屠蘇やめていつものやうに一人酒5冬銀河我も宇宙のひとしずく6大綿や老婆老爺はいつからか7耳慣れぬ言葉の氾濫去年今年8冬枯や掻痒症の背にゆく手9肉じゃがのほどよき崩れ夫の留守10好奇心捨てずに飛べよ三十三歳(みそさざい)11虎落笛最後に眠る耳二つ12冬夕焼翁像までならいける13工場のラジオ体操野水仙14老いらくはグリコのおまけ冬菫15初競の大間の鮪ここ豊洲16姫はじめ核戦争に勝者なし17白兎ことりと夫のころびけり18掬っても掬っても綿虫の坂19寒紅の指遊ばせて観世音20大甘のごまめに歯軋り微調整21鯛焼きや人を恋しくなりました22寂しさを反転させる枯葎23氷垂れる鶴の噴水火の記憶24温室の蝶卵産む吾俳句うむ25着ぶくれてコンコースぬけ南口26地熱列島狼はきっといる27春風や印象派へと付け黒子28感染者増万策尽きてマスクして29日向ぼこ時計の針は大股に30肉うどんの肉減ってゆく春隣31四字熟語踊る紙面の苦笑い32日脚伸ぶ増えるばかりの診察券33寒空の遠慮がちにや昼の月34落し穴にはまった夫に福は内35駄句駄作崩しきれない宝船36校庭に蜜をわずかに帰り花37雛の客年の差婚にあこがれて38冬晴やついで参りといふもよし39雪しまく交換列車待つ車内40善人のつもり冬日に全身を41人日や胃カメラ鼻を通り抜け42新雪の大地穢土ごとふみしめる43時さえも枝に絡まる凍てる朝44繋がらぬワクチン予約寒晴るる45寒夕焼踏切の音もその仲間46嘴太は巨にしなやかに寒晴れを47鉢植の梅の赤さや久女の忌48落款の朱のひかり置く筆初49初日浴び老いも若きももう笑顔50甘味噌の鍋肌重く寒に入る51蝋梅を囲んでマスク依存症52春を待つ郵便受の一間かな53運針のしのぶしのばる冬薔薇54春北風空飛ぶ記憶ペンギンに55円盤を回して探す寒昴56追焚きを中止しますか久女の忌57笹鳴の夕べ津波の注意報58大根やビスクドールの貌の色59命名は親のみゆるす犬ふぐり60合格を決め奔放なスリットよ61風花をのせる器やたなごころ62捨てられぬ彼の最後の年賀状63三日間外出控え根深汁64安否尋ねし母今は亡く阪神忌65寝乱れてフリンジ咲きのシクラメン66雪の朝極まる空よ水色よ67年逝く雨いつもの鴉二羽そこに68雪女すれ違うときウインクす69両腕でオーケーの丸息白し70「ただいま」の声玄関に雪女71滅入る日も会えば元気に冬菫72こつこつの一日一句竜の玉73探梅の道だんだんと細くなる74断捨離の途方にくれて冬薔薇75冬枯や鍋焼うどんで抵抗す76焼くほどに失(う)する潤目鰯(うるめ)の海の色77一滴を大河のように寒の水78探梅行一枝ごとに粒を立て79見てしまう冬満月の青白さ80老いの冬に馴染まぬあれこれブースター81これよりはうつつの枯野十二色82瓶詰があれば冬眠オミクロン83鼻っから見て見ぬふりの初鴉84そばにいて笑ってくれる冬メダカ85鎌鼬「パパ活」などがあったとは86梅の花家の明かりを消さないで87松過と雨にせかれてしまい酒88七種粥快復の兆しありやこの食べっぷり89金縷梅(まんさく)やモンロー映画見た夜の90寒北斗さくらトラムの鐘二つ91初富士の夕映えに落ち波の音92春寒やゆ党蔓延防止措置93乳飲み児の拳のひらく初明り94寒茜私をどこまで連れて行く95春節に関の孫六使い初め96力尽き崩れ散りゆく冬牡丹97寒鱈の湯気の向こうに在りし顔98初明り新宿歌舞伎町の黙99いまだから言える話よ女正月100初雪やびっくりまなこの一歳児101大北風魔女の箒はカラフルに102マスクでは隠せぬ本音修行僧103メル友は王子の狐まだ八十路104長女二女姓をたがえて小正月 105膝掛を「め組の人」に滑らせる106見舞いには「クッキングパパ」寒卵107ふるさとのさざめきと会うのっぺ汁108修司の郷(くに)の香(かをり)満つるや冬林檎109非接触体温計の凍る朝110墨濃くて一気に運ぶ年賀状111直立の僧の誦経や鐘冴ゆる112黙食の学び舎の窓日脚伸ぶ113千両へおはようコーヒーはブラック114葉牡丹の渦物忘れものわすれ115蒲団干し掃除洗濯そして風呂116寄鍋のやがていつかは一人鍋117リモート会議電気あんかに足を乗せ118大寒や息ゆっくりとメール身を巡る119凍星にルイのペットのあの曲を120寒紅や意地と意気地は紙一重121幸願いお薬手帳変えてみる122ライオンの瞬き一つ寒の入り123寒風やパラパラ漫画を歩く人124雪だるま都会生まれのやせっぽち125冬木の芽健康寿命より長し126霜の声演奏すればピアニシモ127レシートの日毎伸び行く春隣128突然の口づけ紅椿ぽとり129臘梅や金子兜太の洩瓶談130名ばかりの店長あえぐ雪おろし131風疼く痛くないとこまるでなし132信濃には理屈屋育つ春炬燵133シーサーに花びら餅を咥えさす134秘手紙の灰文字潰し冬桜135大寒や郷より届く乾燥芋136初雪の未踏の余白歩みゆく137初詣鈴木ばやしの列にいて138失恋の嘆きの涙西行忌139いくたびも絵踏のごとく接種せり140梯子乗つま先天に届かんと141湯豆腐ゆらり今日も無事ですありがとう142丸釜に若水を汲むめでたさよ143氏子いうお札あるから初詣144去年今年もう一年がたちました145曼荼羅の梵字は髪ぞ伊豆の春146寒禽の声や細枝しならせて147女正月不要不急とオミクロン148補助輪の自転車をこぐ毛糸帽149着ぶくれてゴム跳び石蹴りいつもビリ150雪女途中下車していいですか151初場所や稽古そのまま勝ち名乗り152いい人は誰も愛せず水仙花153うらじろを折って行くなり今日の風154書初や墨は徳利の水で磨る155善玉で体内埋める冬鷗156三度目のコロナワクチン寒卵157初夢を見たか見ないか空青し158焦げ目ある護摩札受けて梅一輪159鷽替や入れ替りたるオミクロン160立春や感染許容へ舵を切る161仏壇寒し金子みすゞを読みきかす162日脚伸ぶ胎動の子に手でこたえ163瞳孔の縦一文字竈猫(かまどねこ)164枯れるなか胃の腑よろこぶ草という165とりあえず花びら餅の愛ひとつ166飛び込んでくる狐火や再稼働167郵休二日病妻とても春めくに168ふらここや脆い男の無精髭169変異せるCOVID19花八手170雪女と来る越中の薬売171元旦や縁すれすれの猫の水172ガラス屋が寒夕焼を嵌めて去る173まぶた重し疫病退散卵酒174富士山を乗せてふらここ漕いでいる175駅弁で津々浦々へ春近し176禁酒黙食我慢限界春隣177芹なずな鳴子こけしと微笑んで178元旦に 届くや珠洲のつきたて餅179巫女装束清しき手より破魔矢享く180着脹れてマスク二重の囲碁の会181鰤大根デビュー置物猫といて182踏切の矢印左右息白し183冬日浴ぶスマホいきなりフォルテシモ184土竜打研修生の出勤簿185冬満月命の果は突然に186半分にできぬ愛情シクラメン187濡れ羽さらに壮年からす寒の雨188水仙や倒れようとも美は巡り189温度差のオミクロン株桃の花190着膨れや押して押されてあらぬ方191初雀わが庭に来よ肩に来よ192口覆うものもたざりし福達磨193こだわりのひとつやふたつ竜の玉194田遊びの子らの控える銀河系195相性のいまさらどうの鰤大根鴎座通信句会は、ウイズコロナ時代の新しい句会のあり方として注目されています。昨年四月以降一年余りの開催の結果、新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の大きな成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として発展させて行きたいと思います。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★投句締切は毎月26日です。ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです。
2022年01月28日
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第21回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ 新年あけましておめでとうございます。こけし工人今晃の干支の虎・新年恒例の初挽と挽納のセットです。●新型コロナウイルス感染症はなんとオミクロン株まで登場。COVID-19との闘いはまだまだ予断を許しません。俳句で免疫力アップです。第21回鴎座通信句会は38名190句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切26日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第21回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。 石口 榮(編集長)選 20グレタの耳氷河の溶ける音をきく特選58空白は密より重し古暦/川目智子67ボス猫を妻は足蹴に煤払103冬三度マスクは顔の下着です141地の果ての中村哲へ賀状書く172極月の招き猫にも四十肩181落葉踏むだんだん過去が追ってくる(選評)特選にいただいた58「空白は」の句。句はコロナ禍とは書かれていないが、コロナ禍にあって多くの年中行事や予定が中止となり、空白だらけの暦を目の前にした作者ととった。コロナ禍以前は多忙であっても充実した生活を送っていたに違いない。ところが今回は何もせず無為に過ごした日が多かったのだろうか。「密」と対比した「重し」が文字通り重い。20「グレタの耳」の句。環境活動家グレタ・トゥンベリさん。聞く耳を持たない大人(政治家)への批判とも取れる。地球温暖化への警鐘句として残したい句である。67「ボス猫は」の句。ことわざに「猫の手も借りたい」がある。大掃除で忙しい最中猫が顔をだした。その猫を足蹴りにして追い払った妻。ユーモアたっぷり。103「冬三度」の句。マスクを外せない日常が続いている。そのマスクが、必須の下着のようであるとは旨い。口語の「です」が効果的で嫌みのない句となった。141「地の果て」の句。長年に渡りアフガニスタンで人道支援に取り組んで来た中村哲医師。氏の名言に「戦争で国が良くなることはない」がある。平和を願う作者の心の叫びが「賀状書く」であろう。172「極月の」の句。右手を上げたままの招き猫。四十肩になっても不思議でない。納得のいく一句である。181「落葉踏む」の句。落葉道を歩くと足元で乾いた音がする。その音が後ろから追ってくるように聞こえる。「過去が追ってくる」とは言い得て妙である。 小髙沙羅(副編集長)選 特選1先ず以って一日一句注連飾/近田吉幸23拍子木の次第に遠く冬至風呂27漱石忌ご飯残すな肘つくな29寒波来るその翌日は爪切って79なんの鳥今日も熟柿に集まって92羽根つきや付かず離れず突き返す180ひとりづつ回転扉から冬へ(選評)特選にいただいた「先ず以って」の句。挨拶などでも使われる常套句。なにはさておきである。注連飾の新年に一日一句と決めた作者はただ者ではない。大いに見習いたい思いである。23「拍子木の」の句。火の用心の拍子木を聞きながらの冬至風呂。いいですね。「次第に遠く」がその至福の時間である。27「漱石忌」の句。どこの家庭でもそうだったように、かつての父は厳しかった。「ご飯残すな肘つくな」の命令形が漱石忌とともによく効いている。29「寒波来る」の句。「爪切って」の日常が大切。そのような日常のひとこま。79「なんの鳥」の句。熟柿に集まってくる鳥の数々。柿は鳥のため、旅人のために遺すものと聞いたことがある。92「羽根つきや」の句。中七下五の「付かず離れず突き返す」が面白い。俳句もまさに「付かず離れず」である。180「ひとりづつ」の句。「回転扉から冬へ」がいかにも現代的である。なお「づつ」は現代仮名使いでは「ずつ」である。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選 51冬木の芽少し足りない持ち時間66ひとり来て話の弾む墓参り82浮かぶまで沈んでみます冬至粥87口開きさて身の上は寒蜆特選102味見ともつまみ食いとも小晦日/川目智子130婆様は牛歩のように年用意172極月の招き猫にも四十肩(選評)特選に頂いた102「味見とも」の句。それぞれの地方にもよるが、暮から正月にかけ一連の日本の風習を支えている健康的な女性の姿が浮かび微笑ましい。お正月料理を作っていて味見をしたところ、我ながら美味しく出来たので、ついいくらか食べてしまったのだろう。季語「小晦日」(十二月三十日)がせわしい女性の労働の姿である。51「冬木の芽」の句。「持ち時間」とは人生の終りまでの時間だろう。足りない思いは共通すると思うが「使い方」の問題かも知れない。冬木の芽の明るさに共感。66「ひとり来て」の句。故人との対話。「話の弾む」と明るく詠んでいるものの「ひとり来て」が切ない。82「浮かぶまで」の句。うまくいかないときは、腹を決めて一度沈んでみるのもいいだろう。冬至粥は小豆粥のこと。疫鬼を祓ってくれそうだ。87「口開き」の句。寒蜆に焦点を当てた。「さて身の上は」という措辞は名調子。130「婆様は」の句。高齢化社会の自虐句かとも思ったが、「婆様」といって親しみの表現であろう。172「極月の」の句。毎日手を挙げていれば、招き猫も四十肩になるのだろう。こんなご時世だから、こうした滑稽も楽しい。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選 1まず以って一日一句注連飾特選27漱石忌ご飯残すな肘つくな/吉村きら51冬木の芽少し足りない持ち時間66ひとり来て話の弾む墓参り95いい人も死んでしまえば寒北斗117裸木の筋肉ゆるめ立ち話188老いるとはベランダに引く干し蒲団(選評)特選にいただいた27「漱石忌」の句。子供の頃両親、特に父親から常に言われていた言葉である。今でも心に強く残っている。そして同じ事をわが子にも言ってきた。作者も同じ思いで句を作ったのだ。季語の漱石忌できちっとした家庭の佇まいが窺える。1「まず以って」の句。差し当たって今年から一日一句を作ろう。と作者は新たな決心をしたのだ。きっと続くことと思われる。ちなみに私も二年前から実行しているものの日記みたいである。51「冬木の芽」の句。年をとってもあれもこれもとしたい事は沢山あるが今までみたいに時間は無いという事か。確かに若い頃は何時でも出来る思っていたが、これからはそうはいかないのだ。冬木の芽で少し希望が見えてくる。66「ひとり来て」の句。よくわかる。嬉しい事、辛い事など報告して結構自分でも楽しんでいるのだ。墓参りした後のスッキリした気分がよく出ている。95「いい人も」の句。誰でも死んでしまえば星になってしまう。冬の北斗七星は空気が澄んでいるので特別輝いている。あれはいい人だからなんだと自分に言い聞かせているのだ。117「裸木の」の句。葉を落とし厳しい寒さの中に立つ裸木はピシッとして隙が無い姿をしている。しかし作者は裸木となんとなく立ち話。そんなときは冬木もちょっと筋肉をゆるめてしまうのだろう。冬木も芽吹いてくるかも。もちろん裸木は比喩として解することも出来る。188「老いるとは」の句。部屋からベランダまで蒲団を引きずっていったのだろう。蒲団を抱えて運ぶのもちょっとした重労働である。そんなときに作者はふと「老い」を感じた。しかし干蒲団はふっくらとしてきっといい夢をみることだろう。 鈴木 砂紅(招待)選 3餅花や小野小町と昼の酒27漱石忌ご飯残すな肘つくな76ネクタイを結んで解いて去年今年127おぼつかな冬の右足左足142旧姓が恋しい午後の雪催176スニーカー選ぶ煤逃げするために特選135茹で蟹の鋏や遠き労働歌/川崎果連(選評)特選に頂いた「茹で蟹」の句。亡骸となってもまだ戦わんとする蟹の鋏から労働歌への飛躍。挙句にそれも美味しく頂いてしまう人間の貪欲さ。蟹工船へのオマージュも含め、昭和世代の根っこに巣食うアジテーション魂に敬意。3「餅花」の句。この弛みきった正月気分の心地よさ。百人一首の札から伝説の美女を呼び出すのもコロナ禍でのストレス解消の一手。27「漱石忌」の句。明治の男というイメージの漱石だが、洋風の食事を好み、神経質で胃弱だったらしい。季語と中七以下のねじれが風味を添える。76「ネクタイ」の句。結んで解く作業の繰り返しは、男の日常への諦めなのか。主婦としては本年もネクタイ締めて元気に外出して頂きたいのだが。127「おぼつかな」の句。何の仕掛けも無い書き方にドキュメンタリー映像の凄みがある。おぼつかな、という古語の持つとぼけた味わいが良い。142「旧姓」の句。密かな離婚願望か、青春への回顧なのか。雪催の午後の気持の揺れに惹かれた。176「スニーカー」の句。たかが煤逃のために2万円は高い。しかし九百八十円では走れない。人生においては逃げるのが一番の悪手。 松田ひろむ(代表)選 1先ず以って一日一句注連飾特選9肩の荷を下ろしたいのに桜鍋/小髙沙羅16双六の道中戻る遠出かな準特選17アイスクリーム供えて帰る漱石忌/石黒宏志24違いある孤独と孤高鏡餅27漱石忌ご飯残すな肘つくな38数え日のブレーキ・アクセル・オミクロン準特選54そのかみの思はれ人や掘炬燵/荒井 類104斯く胸を焼きし日のあり福寿草126ミサンガの赤が編めずに寒波来る143寒椿けんけんぱあと若返る (選評)特選にいただいた9「肩の荷を」の句。すぐは分からないがやや諧謔。桜鍋は馬肉。けっとばしとの名もあるように食べると元気になる。夫が元気になるのも、もういいかというのだ。いやいやまだまだかも。準特選の17「アイスクリーム」の句。漱石はアイスクリームが好物だったという。現代と違って贅沢なものだった。夏のアイスと冬の漱石忌で、これも一つの諧謔である。同じく準特選54「そのかみの」の句。これは実感。小生もなんでこんなお婆さんと暮しているのだろうかと思う時がある。もっとも妻に言わせれば、それは私も同じよということになる。かつての「思はれ人」が切ない。1「先ず以って」の句。一日一句がいいね。いよいよ俳人です。以上三句とも滑稽・諧謔の句だった。これが俳句。16「双六の」の句。人生思うようにはいかない。そんなことを双六から学んだのかも。24「違いある」の句。孤独死もいや、孤高死というのはあるのだろうか。句は死ではなく鏡餅だから、孤高の希望である。27「漱石忌」の句。漱石は子規の随筆の会「山会」で作家になった。句は直接、漱石忌とは結び付かないが「ご飯残すな肘つくな」の親の教え。そういえば「食ってすぐ寝ると牛になる」というのもあったなあ。38「数え日の」の句。忙しいというのにオミクロン株。語呂合せ的な面白さもある。104「斯く胸を」の句。初恋だろうか。小生もこのところ胸が痛むものの、それは狭心症と言われた。126「ミサンガの」の句。これも忙しくて、あるいは他の事情で思い通りにはならないのだろう。「赤」が効いている。143「寒椿」の句。「けんけんぱあと若返る」がいいなあ。一緒に遊びたいもの。ただ季語が動くかも。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位1 先ず以って一日一句注連飾 ⑧ 近田吉幸二位51 冬木の芽少し足りない持ち時間⑥ 鈴木砂紅三位25 懐手癇癪玉を飲み込んで ⑤ 石口 榮三位27 漱石忌ご飯残すな肘つくな ⑤ 吉村きら三位172極月の招き猫にも四十肩 ⑤ 川目智子六位58 空白は密より重し古暦 ④ 川目智子六位67 ボス猫を妻は足蹴に煤払 ④ 安藤利亮 八位2故郷に母と時雨と魚市場③木野俊子八位9肩の荷を下ろしたいのに桜鍋③小髙沙羅八位13 ポインセチア月経血とイエスの血③荒井 類八位16 双六の道中戻る遠出かな③行成佳代子八位20 グレタの耳氷河の溶ける音をきく③翠 雲母八位23 拍子木の次第に遠く冬至風呂③安藤利亮八位32 霜の花ベアトリーチェも病妻も③松田ひろむ八位37 前期高齢ポインセチアが赤すぎる③石口りんご八位63 冬の蝶阿修羅に会いに行く途中③岡崎久子 八位66 ひとり来て話の弾む墓参り③古川和美八位86 一つより二つがさびし冬林檎③川崎果連八位95 いい人も死んでしまえば寒北斗③小髙沙羅八位102味見ともつまみ食いとも小晦日③川目智子八位115八十になった夫へたぬき汁③小髙沙羅八位135茹で蟹の鋏や遠き労働歌③川崎果連八位163風邪引いてこの世の終わりかと思う③白石みずき八位167様づけで子に出す年賀状の虎③荒井 類八位180ひとりづつ回転扉から冬へ③岡崎久子 (第21回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1先ず以って一日一句注連飾 8 近田吉幸2故郷に母と時雨と魚市場 3 木野俊子3餅花や小野小町と昼の酒 1 近田吉幸4リフォームの床暖房に妻と猫 0 安藤利亮5迷い道昨日の雪へ今日の雪 1 川崎果連6白鳥の2の字2の字の瓢湖かな 0 石口 榮7妻上がる湯船に我と柚子一つ 2 安藤利亮8何となく早寝早起き開戦日 0 古川塔子9肩の荷を下ろしたいのに桜鍋 3 小髙沙羅10冬晴やオミクロン株到着す 0 小柳 梓11参道のみみずくの目は振り返る 0 田辺 花12蟷螂の反りかえって威厳はる 0 福島芳子13ポインセチア月経血とイエスの血 3 荒井 類14女でも男でもなき亥の子餅 0 宮 沢子15クリスマス人は黒衣に身をかため 0 後藤よしみ16双六の道中戻る遠出かな 3 行成佳代子17アイスクリーム供えて帰る漱石忌 1 石黒宏志18雪催裏街道の生きやすし 0 翠 雲母19家系図を書く気のなくて冬ぬくし 0 白石みずき20グレタの耳氷河の溶ける音をきく 3 翠 雲母21感情のぶつかる寸前寒牡丹 0 吉村きら22感染者減って不安の野水仙 0 宮 沢子23拍子木の次第に遠く冬至風呂 3 安藤利亮24違いある孤独と孤高鏡餅 1 信岡さすけ25懐手癇癪玉を飲み込んで 5 石口 榮26コーヒーの木の鉢三つ温室に 0 荻野樹美27漱石忌ご飯残すな肘つくな 5 吉村きら28雑巾を何枚縫えば寒波来る 0 増田萌子29寒波来るその翌日は爪切って 1 増田萌子30仏法の教えは守る兎汁 0 石黒宏志31綿虫や齢それなりの骨密度 1 白石みずき32霜の花ベアトリーチェも病妻も 3 松田ひろむ33呼び込みのサンタ人形の手の汚れ 0 高良和子34団塊に腹の虫あり海鼠噛む 0 川目智子35わたくしの咲き方で咲く帰り花 1 岡崎久子36落語会はね師走夜の天津飯 0 森谷路子37前期高齢ポインセチアが赤すぎる 3石 口りんご38数え日のブレーキ・アクセル・オミクロン1 古川塔子39コンクールにショパン響かせマスクの手0 行成佳代子40冬のメダカ成層圏のごと静か 0 翠 雲母41臘梅や母の吐息の気配する 1 磯部薫子42生き別ることすら淡し帰り花 0 後藤よしみ43狐火を見てより体重くなる 0 石口 榮44葉のゆっさゆっさ大根物語 0 小平 湖45師走満月尽きし命の様々に 1 高良和子46濁る窓すみれハウスの群れ匂う 0 福島芳子47寒鴉私の好きな橋の上 1 中村ふみ48冬至とは服を重ねて身につける 0 斎藤 藍49爪を切る小春日和のゆらぐ中 0 中村ふみ50遊び場は空と海なり冬鷗 0 安原南海子51冬木の芽少し足りない持ち時間 6 鈴木砂紅52介護ホームへ冬咲のエリカたち 0 木野俊子53卓上にあんパンと水聖夜かな 0 鈴木砂紅54そのかみの思はれ人や掘炬燵 1 荒井 類55少年サッカー見守る人の息白し 0 小柳 梓56思い出を忘れぬうちに散る椿 0 岡崎久子57霜柱総立ち筒状のカレンダー 1 宮 沢子58空白は密より重し古暦 4 川目智子59十二月八日土不踏(つちふまず)の骨折1 翠 雲母60ゴッホ展枯葉舞い込む上野駅 1 小林則子61オミクロン株におろおろ冬至風呂 0 宮 沢子62初霜や里芋掘りし畝添ひに 0 高良和子63冬の蝶阿修羅に会いに行く途中 3 岡崎久子64考妣(ちちはは)のまたたきはどれ冬銀河 0 荒井 類65切れそうで父似の縁日向ぼこ 0 中村ふみ66ひとり来て話の弾む墓参り 3 古川和美67ボス猫を妻は足蹴に煤払 4 安藤利亮68紙衣なる胸の新聞バイク便 0 信岡さすけ69冬の蝶ひらり扉の重き土蔵(くら) 1 荒井 類70賀状書く三十枚の限定便 0 田辺 花71風唸る心安からず夜炬燵 0 郡楽清子72シュトーレンにカードを添えられ聖誕祭0 安原南海子73新橋は昭和の匂いおでん酒 0 岩渕純子74義民伝きわだつ国の除夜の鐘 0 信岡さすけ75声の消ゆビルの狭間に社会鍋 1 磯部薫子76ネクタイを結んで解いて去年今年 2 石口 榮77かじけ猫もの言いたげな四つの目 0 森谷路子78山茶花やこぼれて重なる草の上 1 郡楽清子79なんの鳥今日も熟柿に集まって 1 古川和美80葛湯溶くとろりと眠い昼食後 0 白石みずき81雪虫や歩いてなにも考えず 1 増田萌子82浮かぶまで沈んでみます冬至粥 1 森谷路子83煤逃げの顔で新宿経由して 0 小平 湖84イーブイの耳を食べたし聖夜の子 0 磯部薫子85朝まだき南瓜のスープ温めて 0 斎藤 藍86一つより二つがさびし冬林檎 3 川崎果連87口開きさて身の上は寒蜆 1 行成佳代子88冬満月むかしむかしはかぐや姫 0 近田吉幸89ときどきは仰ぎ見るもの冬紅葉 0 古川和美90初春を夫回復期リハ病院 0 森谷路子91大掃除小さい人にリードされ 0 小髙沙羅92羽根つきや付かず離れず突き返す 1 磯部薫子93川果てる行方を知らず冬薔薇 0 後藤よしみ94着脹れて只ぼんやりと文士村 0 近田吉幸95いい人も死んでしまえば寒北斗 3 小髙沙羅96子は膨れ鍋は焦げ付く年の暮 0 行成佳代子97見上げたりあけぼの杉の枯葉降る 0 荻野樹美98雪吊の一斉に断つ月蝕下 0 後藤よしみ99うっかりの義父の忌日よ虎落笛 0 小林則子100冬鳩のまばたきしない警戒心 0 福島芳子101着ぶくれし自転車通勤三十分 0 森谷路子102味見ともつまみ食いとも小晦日 3 川目智子103冬三度(みたび)マスクは顔の下着です1 高良和子104斯く胸を焼きし日のあり福寿草 2 翠 雲母105煉獄に花ひいらぎの香りほの 0 松田ひろむ106木の実落つ何か忘れぬ懐かしき 0 福島芳子107柚子湯してこころ体もほっこりと 0 斎藤 藍108柚子湯出る海馬ふやけてしまいそう0 鈴木砂紅109夫婦仲何度塗っても胼割れて 1 石黒宏志110背後からブルゾン着せる仲となる 0 百目鬼英明111霜柱働きものの子が二人 0 増田萌子112ライバルや母と娘の冬銀河 0 磯部薫子113今日までのもつ鍋セットクリスマス0 百目鬼英明114手洗いも形だけで冬の水 0 石黒宏志115八十になった夫へたぬき汁 3 小髙沙羅116月光る邪心なき色夜語る 0 福島芳子117裸木の筋肉ゆるめ立ち話 1 古川塔子118もみの木と向い梟又来年 0 斎藤 藍119クリスマス後の一日を妻遊び 0 松田ひろむ120堪忍の緒をほぐしては冬の川 0 小柳 梓121柚風呂の柚の小振りよ喜寿傘寿 0 小平 湖122初茜男子化粧室駅ごとに 0 松田ひろむ123冬晴や竹のようにも見える幹 0 古川和美124俳壇と歌壇にヒント柚子湯かな 0 安原南海子125裸木となった栃の木黒々と 0 荻野樹美126ミサンガの赤が編めずに寒波来る 1 田辺 花127おぼつかな冬の右足左足 1 中村ふみ128冬桜若き大工の建てる家 0 木野俊子129一人去り二人加わる日向ぼこ 1 石口 榮130婆様は牛歩のように年用意 2 木野俊子131さらさらと生き様晒す雪女 0 古川塔子132ジャンパーのポッケの中のデートかな0百目鬼英明133不織布のマスクをつけて雪女 0 石口りんご134部屋の隅蜜柑一つ年老いて 0 石黒宏志135茹で蟹の鋏や遠き労働歌 3 川崎果連136冬木立啼き交う鳥やカルテット 0 郡楽清子137千の手の千にそれぞれ師走の陽 1 岡崎久子138クリスマスはちみつの酒ミード喰む0 斎藤 藍139毛糸帽合わせ鏡の花一輪 1 小林則子140改憲にまた非国民初雀 1 信岡さすけ141地の果ての中村哲へ賀状書く 2 後藤よしみ142旧姓が恋しい午後の雪催 2 増田萌子143寒椿けんけんぱあと若返る 1 吉村きら144夫の盛る仏飯高く暮早し 0 小林則子145鳩時計いつも遅れて冬うらら 2 岩渕純子146鬼柚子や役に立つことなくも無く 0 小柳 梓147クリスマス市松模様の包み紙 0 白石みずき148研ぎ上がる刃先光りて年用意 0 岩渕純子149数え日や連絡帳の殴り書き 0 小林則子150冬林檎朝のナイフの反射光 1 川崎果連151肉声に追いつ追われつ雪ばんば 0 古川塔子152冬夕焼川面に淡き色残し 0 小柳 梓153売れ残りはどこへ行くのかポインセチア0石口りんご154日めくりのことシュトーレン風邪ごこち0宮 沢子155凩やスマホばかりを受験生 0 安藤利亮156カラコロロ落葉転がる師走かな 0 郡楽清子157セーターの吊り尾根眩し双耳峰 0 百目鬼英明158お一人さまでも師走の顔になる 2 中村ふみ159古漬や千葉笑いなる真似ごとを 0 信岡さすけ160わらぼっち照らす灯籠除夜の鐘 0 近田吉幸161プラタナスの迷彩模様冬の雨 0 荻野樹美162鮟鱇を連れて娘の婿が来る 1 木野俊子163風邪引いてこの世の終わりかと思う3 白石みずき164子供より親がはしゃいで霜柱 0 古川和美165メリークリスマスデパ地下のしんがりに0 石口りんご166橙の彩度増すなりメタセコイヤ 0 郡楽清子167様づけで子に出す年賀状の虎 3 荒井 類168練炭で豆煮ることも令和かな 0 鈴木砂紅169一年のわが身労る柚子湯かな 1 行成佳代子170未来図の白紙の中に辛夷の芽 0 小平 湖171鎌倉や急ぎ足なる雪催い 0 荻野樹美172極月の招き猫にも四十肩 5 川目智子173荊冠のコロナ禍二年さらに雪 1 松田ひろむ174住宅街を逃ぐる猪追ふ巡査 0 百目鬼英明175スニーカー選ぶ煤逃げするために 2 石口りんご176葱煎餅ぽりぽり噛める歯が欲しい 0 小髙沙羅177北風と競うタスキを渡される 0 小平 湖178探し物ばかりのひと日冬籠 0 安原南海子179手袋でムーンウォーク喜寿傘寿 0 川崎果連180ひとりづつ回転扉から冬へ 3 岡崎久子181落葉踏むだんだん過去が追ってくる1 吉村きら182まだやれる冬至かぼちゃの金スープ0 鈴木砂紅183日記買う三日坊主になろうとも 1 吉村きら184枯蔓や東野圭吾の知り始め 0 田辺 花185やることは山ほどあれど日向ぼこ 2 岩渕純子186赤蕪の塩味甘味を齧り切る 0 田辺 花187ガス抜きは強炭酸の冬至湯に 0 川目智子188老いるとはベランダに引く干蒲団 1 高良和子189湯冷めしてまだおわらない長電話 0 岩渕純子190実千両年子の姉妹五十路なり 0 安原南海子 (第22回鴎座通信句会)投句締切=1月26日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2022年01月05日
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第21回鴎座通信句会全句データ(互選用)●互選選句五句。(全句のなかから五句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 12月31日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2021年12月28日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第21回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1先ず以って一日一句注連飾2故郷に母と時雨と魚市場3餅花や小野小町と昼の酒4リフォームの床暖房に妻と猫5迷い道昨日の雪へ今日の雪6白鳥の2の字2の字の瓢湖かな7妻上がる湯船に我と柚子一つ8何となく早寝早起き開戦日9肩の荷を下ろしたいのに桜鍋10冬晴やオミクロン株到着す11参道のみみずくの目は振り返る12蟷螂の反りかえって威厳はる13ポインセチア月経血とイエスの血 14女でも男でもなき亥の子餅15クリスマス人は黒衣に身をかため16双六の道中戻る遠出かな17アイスクリーム供えて帰る漱石忌18雪催裏街道の生きやすし19家系図を書く気のなくて冬ぬくし20グレタの耳氷河の溶ける音をきく21感情のぶつかる寸前寒牡丹22感染者減って不安の野水仙23拍子木の次第に遠く冬至風呂24違いある孤独と孤高鏡餅25懐手癇癪玉を飲み込んで26コーヒーの木の鉢三つ温室に27漱石忌ご飯残すな肘つくな28雑巾を何枚縫えば寒波来る29寒波来るその翌日は爪切って30仏法の教えは守る兎汁31綿虫や齢それなりの骨密度32霜の花ベアトリーチェも病妻も33呼び込みのサンタ人形の手の汚れ34団塊に腹の虫あり海鼠噛む35わたくしの咲き方で咲く帰り花36落語会はね師走夜の天津飯37前期高齢ポインセチアが赤すぎる38数え日のブレーキ・アクセル・オミクロン39コンクールにショパン響かせマスクの手40冬のメダカ成層圏のごと静か 41臘梅や母の吐息の気配する42生き別ることすら淡し帰り花43狐火を見てより体重くなる44葉のゆっさゆっさ大根物語45師走満月尽きし命の様々に46濁る窓すみれハウスの群れ匂う47寒鴉私の好きな橋の上48冬至とは服を重ねて身につける49爪を切る小春日和のゆらぐ中50遊び場は空と海なり冬鷗51冬木の芽少し足りない持ち時間52介護ホームへ冬咲のエリカたち53卓上にあんパンと水聖夜かな54そのかみの思はれ人や掘炬燵55少年サッカー見守る人の息白し56思い出を忘れぬうちに散る椿57霜柱総立ち筒状のカレンダー58空白は密より重し古暦59十二月八日土不踏(つちふまず)の骨折60ゴッホ展枯葉舞い込む上野駅61オミクロン株におろおろ冬至風呂62初霜や里芋掘りし畝添ひに63冬の蝶阿修羅に会いに行く途中64考妣(ちちはは)のまたたきはどれ冬銀河 65切れそうで父似の縁日向ぼこ66ひとり来て話の弾む墓参り67ボス猫を妻は足蹴に煤払68紙衣なる胸の新聞バイク便69冬の蝶ひらり扉の重き土蔵(くら)70賀状書く三十枚の限定便71風唸る心安からず夜炬燵 72シュトーレンにカードを添えられ聖誕祭73新橋は昭和の匂いおでん酒74義民伝きわだつ国の除夜の鐘75声の消ゆビルの狭間に社会鍋76ネクタイを結んで解いて去年今年77かじけ猫もの言いたげな四つの目78山茶花やこぼれて重なる草の上79なんの鳥今日も熟柿に集まって80葛湯溶くとろりと眠い昼食後81雪虫や歩いてなにも考えず82浮かぶまで沈んでみます冬至粥83煤逃げの顔で新宿経由して84イーブイの耳を食べたし聖夜の子85朝まだき南瓜のスープ温めて86一つより二つがさびし冬林檎 87口開きさて身の上は寒蜆88冬満月むかしむかしはかぐや姫89ときどきは仰ぎ見るもの冬紅葉90初春を夫回復期リハ病院91大掃除小さい人にリードされ92羽根つきや付かず離れず突き返す93川果てる行方を知らず冬薔薇94着脹れて只ぼんやりと文士村95いい人も死んでしまえば寒北斗96子は膨れ鍋は焦げ付く年の暮97見上げたりあけぼの杉の枯葉降る98雪吊の一斉に断つ月蝕下99うっかりの義父の忌日よ虎落笛100冬鳩のまばたきしない警戒心101着ぶくれし自転車通勤三十分102味見ともつまみ食いとも小晦日103冬三度(みたび)マスクは顔の下着です104斯く胸を焼きし日のあり福寿草105煉獄に花ひいらぎの香りほの106木の実落つ何か忘れぬ懐かしき107柚子湯してこころ体もほっこりと108柚子湯出る海馬ふやけてしまいそう109夫婦仲何度塗っても胼割れて110背後からブルゾン着せる仲となる111霜柱働きものの子が二人112ライバルや母と娘の冬銀河113今日までのもつ鍋セットクリスマス114手洗いも形だけで冬の水115八十になった夫へたぬき汁116月光る邪心なき色夜語る117裸木の筋肉ゆるめ立ち話118もみの木と向い梟又来年119クリスマス後の一日を妻遊び120堪忍の緒をほぐしては冬の川121柚風呂の柚の小振りよ喜寿傘寿122初茜男子化粧室駅ごとに123冬晴や竹のようにも見える幹124俳壇と歌壇にヒント柚子湯かな125裸木となった栃の木黒々と126ミサンガの赤が編めずに寒波来る127おぼつかな冬の右足左足128冬桜若き大工の建てる家129一人去り二人加わる日向ぼこ130婆様は牛歩のように年用意131さらさらと生き様晒す雪女132ジャンパーのポッケの中のデートかな133不織布のマスクをつけて雪女134部屋の隅蜜柑一つ年老いて135茹で蟹の鋏や遠き労働歌136冬木立啼き交う鳥やカルテット137千の手の千にそれぞれ師走の陽138クリスマスはちみつの酒ミード喰む139毛糸帽合わせ鏡の花一輪140改憲にまた非国民初雀141地の果ての中村哲へ賀状書く142旧姓が恋しい午後の雪催143寒椿けんけんぱあと若返る144夫の盛る仏飯高く暮早し145鳩時計いつも遅れて冬うらら146鬼柚子や役に立つことなくも無く147クリスマス市松模様の包み紙148研ぎ上がる刃先光りて年用意149数え日や連絡帳の殴り書き150冬林檎朝のナイフの反射光151肉声に追いつ追われつ雪ばんば152冬夕焼川面に淡き色残し153売れ残りはどこへ行くのかポインセチア154日めくりのことシュトーレン風邪ごこち155凩やスマホばかりを受験生156カラコロロ落葉転がる師走かな157セーターの吊り尾根眩し双耳峰158お一人さまでも師走の顔になる159古漬や千葉笑いなる真似ごとを160わらぼっち照らす灯籠除夜の鐘161プラタナスの迷彩模様冬の雨162鮟鱇を連れて娘の婿が来る163風邪引いてこの世の終わりかと思う164子供より親がはしゃいで霜柱165メリークリスマスデパ地下のしんがりに166橙の彩度増すなりメタセコイヤ167様づけで子に出す年賀状の虎168練炭で豆煮ることも令和かな169一年のわが身労る柚子湯かな170未来図の白紙の中に辛夷の芽171鎌倉や急ぎ足なる雪催い172極月の招き猫にも四十肩173荊冠のコロナ禍二年さらに雪174住宅街を逃ぐる猪追ふ巡査175スニーカー選ぶ煤逃げするために176葱煎餅ぽりぽり噛める歯が欲しい177北風と競うタスキを渡される178探し物ばかりのひと日冬籠179手袋でムーンウォーク喜寿傘寿180ひとりづつ回転扉から冬へ181落葉踏むだんだん過去が追ってくる182まだやれる冬至かぼちゃの金スープ183日記買う三日坊主になろうとも184枯蔓や東野圭吾の知り始め185やることは山ほどあれど日向ぼこ186赤蕪の塩味甘味を齧り切る187ガス抜きは強炭酸の冬至湯に188老いるとはベランダに引く干蒲団189湯冷めしてまだおわらない長電話190実千両年子の姉妹五十路なり訂正61 正オミクロン 誤オロナミン175正スニーカー 誤スニーカ 鴎座通信句会は、ウイズコロナ時代の新しい句会のあり方として注目されています。昨年四月以降一年余りの開催の結果、新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の大きな成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として発展させて行きたいと思います。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月二十六日です。ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです。
2021年12月27日
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第20回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ新型コロナウイルス感染症はなんとオミクロン株まで登場。COVID-19との闘いはまだまだ予断を許しません。俳句で免疫力アップです。第20回鴎座通信句会は42名208句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切26日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第20回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選6 日本列島感染ゼロへ黄落期14ずかずかと来る誕生日竜の玉25冬紅葉わたしの噓はあなたの噓特選31返り花人差し指でささないで/小柳梓78自分史に林檎の蜜を少し入れ139手の届きそうなところに烏瓜191ゆびきりは噓のはじまり日記買う(選評)特撰にいただいた31「返り花」の句。返り花とは「二度咲」「狂い咲き」などのこと。ここでは老境に入った作者自身のことであろうか。しかし、そんな「返り花」と指を差さないでよ。私はまだまだ元気ですよというのであろう。そんな作者の思いに共感した。6「日本列島」の句。コロナ感染者数が激減し、収束かと思われたが新たに感染力の高いオミクロン株が出現した。今後の第六波が懸念される。「黄落期」が減少と響き合う。然り、感染ゼロになって欲しいもの。14子供の頃に比べ晩年の一年は早い。作者の年齢は特定されていないが「ずかずか来る」が容赦のない実感で、ある程度のお年が伺える。竜の玉で明るい老後となるのだ。25「冬紅葉」の句。まさに以心伝心であり諧謔性あり。噓の内容にもよるが怖い一句でもある。78「自分史」の句。自分史に事実を誇張し面白く語ろうと言うことか。あるいは今迄の人生を振り返ると何ごとも頑張り過ぎた。これからの人生はのんびり楽しみたいと言うことか。「蜜を少しいれ」で優しい句となった。139「手の届き」の句。烏瓜を取りたいが、もう少しの所で手が届かない。そんなもどかしさが良く出ている。ちなみに烏瓜の種を財布に入れて置くと金運の御利益があるとか。191「ゆびきりは」の句。幼い頃、誰もが経験したであろう指切りげんまん。約束を果たせなかったことも数々あった。そんな思いが噓の始まりとは言い得て妙である。真っ白な日記には何と書かれるのか想像が膨らむ。 小髙沙羅(副編集長)選4女子会の夫を肴にきりたんぽ39蜜柑むくもっとも暇な小指かな99秋刀魚焼くただ焼くだけと言いながら100草もみじ土竜除けには悩まされ122外は木枯らし期限の切れた非常食134カップ麺カップ焼きそば文化の日特選201一陽来復八十過ぎもサユリスト/松田ひろむ(選評)特選にいただいた98「一陽来復」の句。一陽来復とは陰が極まって陽にかえる。悪いことの後の幸運、冬が去り春が来るなど、実に目出度い。サユリストは何歳になっても少女役が似合う彼女のファンなのだろう。そんな小百合と青春時代をともに過ごした作者がここにいる。いまの八十代はまだまだ若い。老いを忘れさせてくれる一句に共鳴。4「女子会の」の句。女子会に紛れこんだ夫なのだろうか。「肴」といいつつ愛されている夫と分かる。39「蜜柑むく」の句。いわれてみれば「暇な小指」に納得。99「秋刀魚焼く」の句。確かに「ただ焼く」だけで旬のごちそう。ただ不漁つづきが心配。100「草もみじ」の句。土竜除け、鼠除けは知恵比べだが、なかなか人間は勝てない。122「外は木枯らし」の句。非常食の期限切れならちょっとうれしい。非常食の出番はいらない。この場合の非常とは木枯しである。134「カップ麺」の句。すっかり定着したカップ麺。そんな文化の日の日もいいが、作者はそれを批判的に考えているのかも。 小平 湖(Ⅰ欄同人)選3紅葉狩頭を空にする時間69舌頭に生まれる一句薬喰78自分史に林檎の蜜を少し入れ139手の届きそうなところに烏瓜144初霜や天気予報士季語を添え163紅葉散る真・行・草に変異株特選203花に替へ散歩帰りのほうれん草/高良和子(選評)特選に頂いた203「花に替へ」の句。生活感覚のホウレンソウの斡旋が見事。コロナ禍のいまホウレンソウの緑や赤に元気がもらえそう。 3「紅葉狩」の句。コロナ禍も六五〇日が過ぎた。紅葉を愛でながら頭も気持ちもリフレッシュしよう。そんな時期に来ているかも。69「舌頭に」の句。季語の薬喰いで自ずと秀句が生まれたのだろう。「舌頭に」とは芭蕉の「句調はずんば舌頭に千転せよ」(『去来抄』)を踏まえていることはいうまでもない。大胆な句。78「自分史に」の句。ありのままでは、物足りないちょっと小説的にしようなんて。隠し味の林檎の蜜が効いている。139「手の届きそうな」の句。取ろうと思って近づくと、ほんのちょっと届かない。手にれるまでは宝石に見えるのだ。そんな烏瓜の在り方を確かに捉えている。144「初霜や」の句。四季と気象と季語は密接である。テレビ俳句というものの、素直な感動に拍手。163「紅葉散る」の句。「真・行・草」という表現が斬新。変異株との取合せの飛躍にも共感した。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選47一握の鬱煮大根のほっこりと特選74計るたび縮まる体あんぽ柿/小髙沙羅109白秋忌孫の来て良し帰って良し123人間に臍じゃがいもにクレーター151老うたびに打算が消える鰯雲173風花や好きな服から捨ててゆく203花に替え散歩帰りのほうれん草(選評)特選にいただいた74「計るたび」の句。人間年を重ねれば皆同じ思いだろう。先日白内障の手術のため身長を計ったら三センチ縮まっていた。小学六年の時は学校中で一番大きく朝礼など並ぶ時は膝を軽く折っていた。それがいまではちょっとなさないことに。季語のあんぽ柿がそれを救ってくれている。明るく前向きに老いていけそうな句である。47「一握の」の句。鬱は鬱でも自分だけで思っているようなたいしたことのない鬱なのだ。大根を煮ているだけで心がほっこりするから。109「白秋忌」の句。実感としていただいた。来た時はかわいい、夢中になって遊んであげる、自分も勿論楽しい、が帰った後はぐったり、大人が二人ハ―とため息が出る、その繰り返しである。ただ季語の白秋忌は動きそうに思える。129「人間に臍」の句。人間にお臍は当たり前だが、じゃがいもにクレーターが発見である。じゃがいものくぼみを包丁で削り出すのは結構たいへんだ。包丁の端で丁寧にとる。生活感たっぷりの句である。151「老うたびに」の句。一口に言えば年をとると仏様みたいになるということか。競争心もなくなりむきになって喧嘩もしたくない、ただただ穏やかにと願っている。鰯雲のように、爽やかな気分で過ごしたいのだ。173「風花や」の句。普通は嫌いな服から捨てるものなのに逆を言っているところが面白い。作者はやはり嫌いな服から捨てていくと思う。風花がはかなげで捨てられるにぴったり。203「花に替え」の句。本当は花を買って帰ろうと散歩中は思っていたが新鮮なほうれん草に出合いこれは買わなくてはと急遽替ってしまったのだ。さすが主婦。 鈴木 砂紅(招待)選 13オリオンの数式を解く霜夜かな74計るたび縮まる体あんぽ柿78自分史に林檎の蜜を少し入れ114縁側の息の合わない蜜柑二個148不景気をおかめが笑ふ酉の市160逆さまの箒勤労感謝の日特選186白鳥を数え喪中欠礼を数え/松田ひろむ(選評)特選に頂いた「白鳥」の句。喪中欠礼葉書は亡くなった人の数。白鳥は生きる命の数。両方の数を目で確認しつつ、作者は自らの生死と向き合う。映画「ノマドランド」で、余命宣告を受けた女性が、岩場の穴から巣立つ無数の若鳥を見つめるシーンが甦る。13「オリオン」の句。オリオン座に関する難しい数式のあれこれを解こうとする作者。その愉しげな妄想に付き合うのも俳句の醍醐味。74「計るたび」の句。目・歯・髪の衰えと共に、身の丈の縮む哀しさには大いに共感する。それにしても皺の寄った「あんぽ柿」は旨い。78「自分史」によくある記憶違い、書き間違い、ささやかな修飾。人生にはちょっぴり蜜が必要だ。114「縁側」の句。二個の蜜柑を前に、何だか息の合わない老夫婦。その風通しのよさが長続きの秘訣かもしれない。148「不景気」の句。嘲笑ではなく、苦笑でもない。酉の市に集まる人々が求めているのは福を呼び込む温かな笑い。160「逆さま」の句。長居の客を撃退する逆さまの箒。それを「勤労感謝」の証と言い換えた作者の巧みなトリックが愉しい。 松田ひろむ(代表)選 準特選13オリオンの数式を解く霜夜かな/磯部薫子14ずかずかと来る誕生日竜の玉特選28白障子開けてやんごとなき自由/鈴木砂紅32ハンドルもブレーキもなく枯野ゆく40火に油お詫びメールや十二月41暦買う我は一村夫はモネ60靖国の英霊水漬く背美鯨78自分史に林檎の蜜を少し入れ134カップ麺カップ焼きそば文化の日準特選168陽の匂い地べたの匂いふかし芋/古川塔子191ゆびきりは嘘のはじまり日記買う(選評)特選の28「白障子」の句。白障子ならぬ皇室から脱出した方のことと読んだ。「やんごとなき」は高貴または已むに已まれぬの意味。白障子一枚を開けると違った景が見えてくる。自由はまた大いなる困難を覚悟することでもある。準特選にいただいた13「オリオンの」の句。冬の星座には大三角などいといろな「数式」がある。霜降る夜であるが、作者はそんな数式に挑戦している。それはまた俳句に賭ける決意のようでもある。おなじく準特選にいただいた168「陽の匂い」の句。ふかし芋であるから室内の厨だろう。したがって「陽の匂い」「地べたの匂い」は芋そのもののに籠められているのだ。なんといっても地べたへの共感が心地いい。14「ずかずかと」の句。時は容赦なく流れ、誕生日も目出度いだけではないが、竜の玉が作者の思い。32「ハンドルも」の句。自動車の自動運転を思った。しかし未来は枯野なのだろうか。40「火に油」の句。危機管理が出来ないとまさに火に油を注ぐことになる。だれにでもあることだが某都議や某大学の理事長のことかも。それも年の瀬である。41「暦買う」の句。一村は田中一村のこと。奄美を主題に独特の画風を確立したが、画家としては「売れない」ままであった。そんな一村に心を寄せる作者である。60「靖国の」の句。季語はセミクジラ。絶滅危惧種である。「水漬く」はたちまち屍を呼ぶ言葉。英霊といっても水漬く屍である。78「自分史に」の句。自分史といっても、ちょっとは蜜がないとねという句。惜しむらくは下五が連用形であること。ここは終止形にしたかった。134「カップ麺」の句。日本の文化もカップ麺ほどの軽さになったのか。それは作者の嘆きでもある。191「ゆびきりは」の句。最近の子供も指切りをするのだろうか。前句の自分史と同じように日記にも蜜が欲しいもの。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上一位78 自分史に林檎の蜜を少し入れ ⑧宮 沢子二位14 ずかずかと来る誕生日竜の玉 ⑤増田萌子二位143また変える座右の銘や神の留守⑤川崎果連二位201一陽来復八十過ぎもサユリスト⑤松田ひろむ五位13 オリオンの数式を解く霜夜かな④ 磯部薫子五位39蜜柑むくもっとも暇な小指かな④ 石口 榮五位74計るたび縮まる体あんぽ柿 ④ 小髙沙羅五位91一日が短編小説雁渡る ④ 小平 湖五位160逆さまの箒勤労感謝の日 ④ 小平 湖五位191ゆびきりは嘘のはじまり日記買う④ 増田萌子十一位1朝寝朝風呂勤労感謝の日 ③ 吉村きら十一位28白障子開けてやんごとなき自由③ 鈴木砂紅十一位79寂聴逝く憲法に似る丸き顔 ③ 木野俊子十一位114縁側の息の合わない蜜柑二個③ 吉村きら十一位122外は木枯らし期限の切れた非常食③翠 雲母十一位165銀杏降り積む自分史は袋綴じ③ 鈴木砂紅十一位168陽の匂い地べたの匂いふかし芋③ 古川塔子 (第20回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1朝寝朝風呂勤労感謝の日 3 吉村きら2七五三金精神(こんせいじん)の斎庭(ゆには)にて0荒井 類3紅葉狩頭を空にする時間 2 小髙沙羅4女子会の夫を肴にきりたんぽ 2 石口りんご5旧家とはトイレ遠いよ冬が来た 0 中村ふみ6日本列島感染ゼロへ黄落期 1 安原南海子7過ぎゆきてまた気にかかる帰り花 0 岩渕純子8富士からの入日遮り芒原 1 安藤利亮9冬ぬくし先考の居る庭木立 0 岩渕純子10「お風呂沸きました」立冬の電子音1 石口 榮11ときどきは団栗に貸す掌 0 小平 湖12夕暮れてワイングラスで新酒汲み 0 津田文江13オリオンの数式を解く霜夜かな 4 磯部薫子14ずかずかと来る誕生日竜の玉 5 増田萌子15丹精を父に教わる菊の花 0 川崎果連16甘党が揃い茶の花日和かな 0 川目智子17股倉に似たる大根まだ売れず 1 安藤利亮18現世はジグソーパズル斑霜 0 須田正子19小抽斗し隅のルージュを宇津田姫 0 飯島 智20暮の秋喪中はがきの少なからず 0 津田文江21守口漬の大根なんと二メートル 0 古川和美22マトリョーシカ厚着の過去が解されて1 行成佳代子23耳鳴りも長き付き合ひ残る虫 0 中村ふみ24人呼べば犬がふり向く冬の道 1 福島芳子25冬紅葉わたしの嘘はあなたの嘘 2 木野俊子26金木犀芳香放てる微風かな 0 清子27かわたれに子規の目線の白障子 1 近田吉幸28白障子開けてやんごとなき自由 3 鈴木砂紅29ぜったいに動かぬ目高冬の水 0 福島芳子30寝て起きて動いて食ふて十二月 0 百目鬼英明31返り花人差し指でささないで 2 小柳 梓32ハンドルもブレーキもなく枯野ゆく1 川崎果連33ひだる神落葉浄土の道なりに 0 古川塔子34十六夜月雲間めがけて走る走る 0 清子35チェーンソーに風花おりる里の山 1 磯部薫子36本当は来たくなかった枯野かな 1 川崎果連37縞馬の縞の法則林檎熟る 1 須田正子38枯れ野きてメダカを道連れしたくなる0 翠 雲母39蜜柑むくもっとも暇な小指かな 4 石口 榮40火に油お詫びメールや十二月 1 百目鬼英明41暦買う我は一村(いっそん)夫はモネ 1 森谷路子42柿食らう風天の猿人滅ぶ 0 信岡さすけ43一葉の絶たれた恋路照紅葉 0 磯部薫子44今日からは暖房点けてお湯出して 0 白石みずき45雪女淋しいときは甘えてよ 2 石口 榮46挨拶よりまずは一献温め酒 0 白石みずき47一握の鬱煮大根のほっこりと 1 古川塔子48どこまでも漂う軽石そぞろ寒 0 白石みずき49銭湯に富士をかくまう神無月 0 川目智子5幸せは空一杯のいわし雲 0 高良和子51紅色に光を変えて落葉風 0 石黒宏志52山茶花の垣根を高く心にも 0 岡崎久子53短景や雨戸の穴の逆さ富士 0 宮 沢子54ほどかれてゆく冬帽子細き指 0川崎果連55退屈な手足日向ぼこの子猫 0 岡崎久子56ロシア風のマフごすろりの女の子 0 栗原かつ代57母の晩年われの晩年烏瓜 1 増田萌子58どぶろくをミルクと幼な飲みたがり0 白石みずき59柚子実る十三年は短くて 0 高良和子60靖国の英霊水漬(みづ)く背美鯨(せみくじら)1荒井 類61冬はじめ黄色の薔薇を探索に 0 斎藤 藍62国破れ物乞ひマスクし道に座す 0 飯島 智63見においでぶどう紅葉と富士の山 0 小髙沙羅64掘り返す浅間泥流雪蛍 1 近田吉幸65空残し寒灯入る石畳 1 飯島 智66修繕の足場に揺らぐ寒昴 0 行成佳代子67式部の実思いでぽろぽろ飛び出して0 小林則子68捨てられし人形(ドール)ぷかぷか冬の海0荒井 類69舌頭に生まれる一句薬喰 2 鈴木砂紅70倦怠と無聊を隠すマスクかな 0 荒井 類71ぜんざいの甘味さっぱり冬うらら 0 荻野樹美72寝で待ちて病棟ロビー冬曙 0 森谷路子73寒けれど芋チップスに恋の列 0 近田吉幸74計るたび縮まる体あんぽ柿 4 小髙沙羅75雪椿海坂藩の母ならば 1 松田ひろむ76高速と新幹線に売る冬田 0 川目智子77おでん煮るまた筆順を教えつつ 0 増田萌子78自分史に林檎の蜜を少し入れ 8 宮 沢子79寂聴逝く憲法に似る丸き顔 3 木野俊子80骨のみにあらず煮凝のするどきは 0 後藤よしみ81挨拶はまだまだだけど蜆蝶 0 小柳 梓82銃口の遠き照準烏瓜 2 後藤よしみ83甘酒屋昼から人の声むせて 0 福島芳子84まほろばのチャペルの鐘や憂国忌 0 飯島 智85現世とあの世の境日向ぼこ 2 磯部薫子86喜寿過ぎて遊びせんとや雪蛍 0 近田吉幸87混じり合う鯨の涎汚染水 0 後藤よしみ88地下街の人も鼠も冬支度 1 百目鬼英明89フライパンオムレツ作り今朝の秋 0 斎藤 藍90山粧う針葉広葉織りなせり 0 荻野樹美91一日が短編小説雁渡る 4 小平 湖92梟や俳句の知恵を借りました 0 翠 雲母93ウェディングフォトの一団芒原 0 森谷路子94百均の暮らしに慣れておでん鍋 1 宮 沢子95真知子巻どんな海苔巻冬ぬくし 0 石黒宏志96どうしても金の溜らぬ冬の鵙 1 木野俊子97菊花展そっとスマホに持ち帰る 0 小髙沙羅98シャリシャリと米研ぐ音の新しき 0 清子99秋刀魚焼くただ焼くだけと言いながら1 石口 榮100草もみじ土竜除けには悩まされ 1 古川和美101七五三親子とけあう第一歩 0 吉村きら102古里の秋継ぐや継がぬや修行僧 1 安原南海子103連ドラの盛られし初回おでん鍋 0 信岡さすけ104手袋のどの掌たりとも皆違う 0 後藤よしみ105川音を塗り替えて行く錦秋 0 岡崎久子106鳩居堂に香を求め時雨傘 0 斎藤 藍107寒き朝体に響く骨の音 0 石黒宏志108新牛蒡母の匂いの台所 0 小柳 梓109白秋忌孫の来て良し帰って良し 1 安原南海子110最終便風邪のウイルス乗って来る 0 百目鬼英明111映えという言葉あやつりカイロ貼る0 信岡さすけ112秩父夜祭口が見上げる屋台かな 0 行成佳代子113冬の雷妻の言葉を聞き違え 1 安藤利亮114縁側の息の合わない蜜柑二個 3 吉村きら115幾度の寒雷胸に白寿尽く 0 行成佳代子116枯芙蓉甘え上手になれぬまま 1 吉村きら117黒海鼠掴めないけど食べられる 1 栗原かつ代118油揚がうどんに二枚冬に入る 0 石口りんご119秋がない取り越し苦労のひまもない0 小髙沙羅120飴一つ喉のムズムズ咳止める 0 百目鬼英明121アララギの歌人の書斎冬ぬくし 1 荻野樹美122外は木枯らし期限の切れた非常食 3 翠 雲母123日の短か腰痛のあり頭痛あり 0 木野俊子124古包丁の切れ味勤労感謝の日 0 行成佳代子125無数のガス漏れ十二月八日 0 木野俊子126一葉忌過ぐ珈琲は粗挽き派 0 小平 湖127帰る子に蜜柑もたせる日曜日 0 石口りんご128手袋の拳の形崩さざる 0 後藤よしみ129人間に臍じゃがいもにクレーター 1 石口りんご130晩年といわるるは死後シクラメン 2 松田ひろむ131マンモスの吐息連山紅葉す 0 須田正子132クエ鍋に誘われて父若返る 0 松田ひろむ133生きるとは好きで嫌いで着ぶくれる1 磯部薫子134カップ麺カップ焼きそば文化の日 2 石黒宏志135耳痛く風からからと枯芭蕉 0 田辺 花136尾白鷲子は仰向きて口を開く 0 中村ふみ137天神様朱の太鼓橋池に映え 0 清子138来る秋を信じつつじの伸びさかん 0 高良和子139手の届きそうなところに烏瓜 2 増田萌子140レトルトのおでんの夕餉夫の留守 0 森谷路子141煮凝や先の見えない頼りなさ 1 岩渕純子142冬のメダカ確かめに来る原発廃炉 0 翠 雲母143また変える座右の銘や神の留守 5 川崎果連144初霜や天気予報士季語を添え 2 安原南海子145太陽を浴びて自由な赤とんぼ 0 古川和美146やわらかきギターの調べ落葉降る 1 荻野樹美147印影の縁(ふち)の欠けたる憂国忌1 石口 榮148不景気をおかめが笑ふ酉の市 2 須田正子149寄せ鍋に今日一日を語り出す 1 古川和美150七五三パーテーションでお参りし 0 斎藤 藍151老うたびに打算が消える鰯雲 1 小柳 梓152少年は解を求めて冬銀河 1 栗原かつ代153わさわさと息しらしら枯蓮 0 古川塔子154眼を病んでこころ開いて石蕗日和 0 宮 沢子155ややこしい姉妹であれば花八手 1 田辺 花156ぐずる児も黙る太鼓や七五三 0 安藤利亮157マスク以外なんにもせずにひと日過ぐ0 荒井 類158錦木の昭和が消せぬ男の背 1 小柳 梓159髪巻きて夜長の老いをさらしけり 0 中村ふみ160逆さまの箒勤労感謝の日 4 小平 湖161点滴と二人三脚冬温し 0 川目智子162枯蟷螂愛が無償になる前に 1 栗原かつ代163紅葉散る真・行・草に変異株 2 須田正子164冬温し病気自慢を聞いてやる 1 小林則子165銀杏降り積む自分史は袋綴じ 3 鈴木砂紅166改憲の闇が咳き込む冬の雷 0 翠 雲母167幼子のつぶらな瞳冬帽子 0 津田文江168陽の匂い地べたの匂いふかし芋 3 古川塔子169四苦八苦人はときどき凍蝶に 0 吉村きら170焼き芋の二分の一の熱さかな 1 白石みずき171針穴をゆっくり通り冬の富士 0 福島芳子172日向ぼこここが夫との指定席 0 小林則子173風花や好きな服から捨ててゆく 1 鈴木砂紅174病棟の小さな鏡冬の揺れ 0 小林則子175風呂吹は自己流だけど夫婦の日 1 小平 湖176奪衣婆も一息つくや小春空 1 近田吉幸177冬青空二十三区を走る猿 0 鈴木砂紅178校舎よりブラスの響き冬銀河 0 森谷路子179後ろ手にエプロン結び鰤起し 2 信岡さすけ180冬帽子一寸斜めに町に出る 2 斎藤 藍181冬温し老犬ひがなうとうとと 0 岩渕純子182立冬や朝の薄茶の旨かりき 0 津田文江183ネーミングで勝負している冬苺 1 宮 沢子184ひとつとして同じものなき朴落葉 0 岩渕純子185見せられぬ素顔マスクが外せない 1 岡崎久子186白鳥を数え喪中欠礼を数え 1 松田ひろむ187都心へ通う禅寺塒の冬鴉 0 安原南海子188身にしむや散歩の道も人避けて 0 中村ふみ189日記果つ小さな文字まで読み返し 0 小林則子190中傷の北窓塞ぐNETの世 0 石黒宏志191ゆびきりは嘘のはじまり日記買う 4 増田萌子192我が魔女に毒りんご焼く妙な老い 0 信岡さすけ193日向ぼこAB型の五黄の寅 0 岡崎久子194冬の陽に牛のゲップのメタンガス 0 飯島 智195あるときは人に疲れて七五三 0 古川塔子196味見する栗の入りし菓子の数 0 古川和美197皇帝ダリアすっとく立ちて咲きにけり0 清子198補聴器をはずししじまの深き秋 1 高良和子199黄葉にぽつり踏切現れぬ 0 荻野樹美200枯芙蓉喧嘩するよう枯れている 0 福島芳子201一陽来復八十過ぎもサユリスト 5 松田ひろむ202小春日のスロージャズなら踊る猫 0 栗原かつ代203花に替へ散歩帰りのほうれん草 2 高良和子204毛糸玉は地球のひ孫そのひ孫 2 石口りんご205デイサービスのバスを降ろされ冬夕焼0 安藤利亮206熱燗や荘内なまり心地よく 1 津田文江207湯豆腐の静まりに息動かざる 0 田辺 花208首里城の散骨めきて神の旅 1 川目智子 (第21回鴎座通信句会)投句締切=12月26日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2021年12月05日
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第20回鴎座通信句会 全句データ(互選用)俳句で免疫力アップ。新型コロナウイルス感染症に負けないで頑張りましょう。第20回鴎座通信句会は42名208八句となりました。選句と講評は鴎座代表、編集長、副編集長・Ⅰ欄同人・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選も行います。●互選選句五句。(全句のなかから五句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 12月3日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2021年11月29日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第二十回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1朝寝朝風呂勤労感謝の日2七五三金(こん)精神(せいじん)の斎(ゆ)庭(には)にて3紅葉狩頭を空にする時間4女子会の夫を肴にきりたんぽ5旧家とはトイレ遠いよ冬が来た6日本列島感染ゼロへ黄落期7過ぎゆきてまた気にかかる帰り花8富士からの入日遮り芒原9冬ぬくし先考の居る庭木立10「お風呂沸きました」立冬の電子音11ときどきは団栗に貸す掌12夕暮れてワイングラスで新酒汲み13オリオンの数式を解く霜夜かな14ずかずかと来る誕生日竜の玉15丹精を父に教わる菊の花 16甘党が揃い茶の花日和かな17股倉に似たる大根まだ売れず18現世はジグソーパズル斑霜19小抽斗し隅のルージュを宇津田姫20暮の秋喪中はがきの少なからず21守口漬の大根なんと二メートル22マトリョーシカ厚着の過去が解されて23耳鳴りも長き付き合ひ残る虫24人呼べば犬がふり向く冬の道25冬紅葉わたしの嘘はあなたの嘘26金木犀芳香放てる微風かな27かわたれに子規の目線の白障子28白障子開けてやんごとなき自由29ぜったいに動かぬ目高冬の水30寝て起きて動いて食ふて十二月31返り花人差し指でささないで32ハンドルもブレーキもなく枯野ゆく33ひだる神落葉浄土の道なりに34十六夜月雲間めがけて走る走る35チェーンソーに風花おりる里の山36本当は来たくなかった枯野かな37縞馬の縞の法則林檎熟る38枯れ野きてメダカを道連れしたくなる39蜜柑むくもっとも暇な小指かな40火に油お詫びメールや十二月41暦買う我は一村(いっそん)夫はモネ 42柿食らう風天の猿人滅ぶ43一葉の絶たれた恋路照紅葉44今日からは暖房点けてお湯出して45雪女淋しいときは甘えてよ46挨拶よりまずは一献温め酒47一握の鬱煮大根のほっこりと48どこまでも漂う軽石そぞろ寒49銭湯に富士をかくまう神無月50幸せは空一杯のいわし雲51紅色に光を変えて落葉風52山茶花の垣根を高く心にも53短景や雨戸の穴の逆さ富士54ほどかれてゆく冬帽子細き指 55退屈な手足日向ぼこの子猫56ロシア風のマフごすろりの女の子57母の晩年われの晩年烏瓜58どぶろくをミルクと幼な飲みたがり59柚子実る十三年は短くて60靖国の英霊水(み)漬(づ)く背(せ)美(み)鯨(くじら)61冬はじめ黄色の薔薇を探索に62国破れ物乞ひマスクし道に座す63見においでぶどう紅葉と富士の山64掘り返す浅間泥流雪蛍65空残し寒灯入る石畳66修繕の足場に揺らぐ寒昴67式部の実思いでぽろぽろ飛び出して68捨てられし人形(ドール)ぷかぷか冬の海69舌頭に生まれる一句薬喰70倦怠と無聊を隠すマスクかな71ぜんざいの甘味さっぱり冬うらら72寝で待ちて病棟ロビー冬曙73寒けれど芋チップスに恋の列74計るたび縮まる体あんぽ柿75雪椿海坂藩の母ならば76高速と新幹線に売る冬田77おでん煮るまた筆順を教えつつ78自分史に林檎の蜜を少し入れ79寂聴逝く憲法に似る丸き顔80骨のみにあらず煮凝のするどきは81挨拶はまだまだだけど蜆蝶82銃口の遠き照準烏瓜83甘酒屋昼から人の声むせて84まほろばのチャペルの鐘や憂国忌85現世とあの世の境日向ぼこ86喜寿過ぎて遊びせんとや雪蛍87混じり合う鯨の涎汚染水88地下街の人も鼠も冬支度89フライパンオムレツ作り今朝の秋90山粧う針葉広葉織りなせり91一日が短編小説雁渡る92梟や俳句の知恵を借りました 93ウェディングフォトの一団芒原94百均の暮らしに慣れておでん鍋95真知子巻どんな海苔巻冬ぬくし96どうしても金の溜らぬ冬の鵙97菊花展そっとスマホに持ち帰る98シャリシャリと米研ぐ音の新しき99秋刀魚焼くただ焼くだけと言いながら100草もみじ土竜除けには悩まされ101七五三親子とけあう第一歩102古里の秋継ぐや継がぬや修行僧103連ドラの盛られし初回おでん鍋104手袋のどの掌たりとも皆違う105川音を塗り替えて行く錦秋106鳩居堂に香を求め時雨傘107寒き朝体に響く骨の音108新牛蒡母の匂いの台所109白秋忌孫の来て良し帰って良し110最終便風邪のウイルス乗って来る111映えという言葉あやつりカイロ貼る112秩父夜祭口が見上げる屋台かな113冬の雷妻の言葉を聞き違え114縁側の息の合わない蜜柑二個115幾度の寒雷胸に白寿尽く116枯芙蓉甘え上手になれぬまま117黒海鼠掴めないけど食べられる118油揚がうどんに二枚冬に入る119秋がない取り越し苦労のひまもない120飴一つ喉のムズムズ咳止める121アララギの歌人の書斎冬ぬくし122外は木枯らし期限の切れた非常食123日の短か腰痛のあり頭痛あり124古包丁の切れ味勤労感謝の日125無数のガス漏れ十二月八日126一葉忌過ぐ珈琲は粗挽き派127帰る子に蜜柑もたせる日曜日128手袋の拳の形崩さざる129人間に臍じゃがいもにクレーター130晩年といわるるは死後シクラメン131マンモスの吐息連山紅葉す132クエ鍋に誘われて父若返る133生きるとは好きで嫌いで着ぶくれる134カップ麺カップ焼きそば文化の日135耳痛く風からからと枯芭蕉136尾白鷲子は仰向きて口を開く137天神様朱の太鼓橋池に映え138来る秋を信じつつじの伸びさかん139手の届きそうなところに烏瓜140レトルトのおでんの夕餉夫の留守141煮凝や先の見えない頼りなさ142冬のメダカ確かめに来る原発廃炉 143また変える座右の銘や神の留守144初霜や天気予報士季語を添え145太陽を浴びて自由な赤とんぼ146やわらかきギターの調べ落葉降る147印影の縁(ふち)の欠けたる憂国忌148不景気をおかめが笑ふ酉の市149寄せ鍋に今日一日を語り出す150七五三パーテーションでお参りし151老うたびに打算が消える鰯雲152少年は解を求めて冬銀河153わさわさと息しらしら枯蓮154眼を病んでこころ開いて石蕗日和155ややこしい姉妹であれば花八手156ぐずる児も黙る太鼓や七五三157マスク以外なんにもせずにひと日過ぐ158錦木の昭和が消せぬ男の背159髪巻きて夜長の老いをさらしけり160逆さまの箒勤労感謝の日161点滴と二人三脚冬温し162枯蟷螂愛が無償になる前に163紅葉散る真・行・草に変異株164冬温し病気自慢を聞いてやる165銀杏降り積む自分史は袋綴じ166改憲の闇が咳き込む冬の雷167幼子のつぶらな瞳冬帽子168陽の匂い地べたの匂いふかし芋169四苦八苦人はときどき凍蝶に170焼き芋の二分の一の熱さかな171針穴をゆっくり通り冬の富士172日向ぼこここが夫との指定席173風花や好きな服から捨ててゆく174病棟の小さな鏡冬の揺れ175風呂吹は自己流だけど夫婦の日 176奪衣婆も一息つくや小春空177冬青空二十三区を走る猿178校舎よりブラスの響き冬銀河179後ろ手にエプロン結び鰤起し180冬帽子一寸斜めに町に出る181冬温し老犬ひがなうとうとと182立冬や朝の薄茶の旨かりき183ネーミングで勝負している冬苺184ひとつとして同じものなき朴落葉185見せられぬ素顔マスクが外せない186白鳥を数え喪中欠礼を数え187都心へ通う禅寺塒の冬鴉188身にしむや散歩の道も人避けて189日記果つ小さな文字まで読み返し190中傷の北窓塞ぐNETの世191ゆびきりは嘘のはじまり日記買う192我が魔女に毒りんご焼く妙な老い193日向ぼこAB型の五黄の寅194冬の陽に牛のゲップのメタンガス195あるときは人に疲れて七五三196味見する栗の入りし菓子の数197皇帝ダリアすっとく立ちて咲きにけり198補聴器をはずししじまの深き秋199黄葉にぽつり踏切現れぬ200枯芙蓉喧嘩するよう枯れている201一陽来復八十過ぎもサユリスト202小春日のスロージャズなら踊る猫203花に替へ散歩帰りのほうれん草204毛糸玉は地球のひ孫そのひ孫205デイサービスのバスを降ろされ冬夕焼206熱燗や荘内なまり心地よく207湯豆腐の静まりに息動かざる208首里城の散骨めきて神の旅鴎座通信句会は、ウイズコロナ時代の新しい句会のあり方として注目されています。昨年四月以降一年余りの開催の結果、新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の大きな成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として発展させて行きたいと思います。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月二十六日です。ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです。
2021年11月28日
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第19回鴎座通信句会 選句結果のお知らせ新型コロナウイルス感染症の陽性者数はこのところ減少、緊急事態宣言も解除されましたが、原則自宅療養(自宅放置)という医療崩壊やアベノマスクという愚策の反省も総括もされず、リバウンドの危険性も指摘されています。いまこそ公助切捨てでない医療再建が求められています。第19回鴎座通信句会は40名200句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切26日)。 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第19回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選 14銭湯にケロリンの桶黄落期21月光の髪を乾かす手の遊び68晩節の途中秋刀魚を裏返す117二人なら新米二合たまご二個135ひきだしに二千円札神の留守185蔦紅葉加齢の坂は一歩ずつ特選187天高し日本の川に三兄弟/川目智子(選評)特選にいただいた187「天高し」の句。三兄弟とは坂東太郎(利根川)、筑紫次郎(筑後川)、四国三郎(吉野川)である。もともとは「三大暴れ川」であったが、今は治水によって日本を代表する川の代表。「天高し」でスケールの大きい句になった。14「銭湯に」の句。ケロリンの桶は全国の銭湯や公衆浴場で使用されている黄色いプラスチック製の湯桶。一九六三年に内外薬品(現・富山めぐみ製薬)の鎮痛薬「ケロリン」の広告媒体として提供され公衆浴場の定番として広く使われている。句は黄色い桶と黄落期の取り合せが妙。桶の軽やかな音がカランコロンと聞えてきそうだ。21「月光の」の句。手の遊びとは乾かす時の仕草だろうか。月光に輝く長い(?)黒髪は妖艶に思える。想像を掻き立てる一句。68「晩節の」の句。人間が避けて通れない生・老・病・死。秋刀魚を裏返すと具象化し、晩節などまだ先のことと老いを認めない作者に共鳴した。117「二人なら」の句。仲睦まじい夫婦像が溢れ出ている。二を三回繰り返して韻をふんでいる所がポイント。そこに魅力を感じた。135「ひきだしに」の句。二〇〇〇年(平成十二年)に発行された二千円札、現在ほとんど市中に出回っていない。神の留守との取り合せが軽妙。お札も出雲に行ったのだろうか。185「蔦紅葉」の句。その通りの句であるが蔦紅葉により納得させられる。季語が効いている。 小髙沙羅(副編集長)選 58湿布くらい自分で貼れる後の月74要介護より復活の秋の薔薇93結婚するって本当ですかななかまど特選98葡萄一房数独ひとつ解けたなら/岩渕純子162循環器センター黄落の真正面188敬老の思いを届け名月に95来世ではきっと他人に鳳仙花(選評)特選にいただいた98「葡萄一房」の句。数独というパズルはいつから流行り出したのだろうか。夫も最近二つの新聞の数独にはまり、午前中はかかり切っている。夢中になれることは素晴らしい時間。解けたら葡萄のご褒美が微笑ましい。58「湿布ぐらい」の句。湿布ぐらいといっているが、まだまだなんでも出来ることが分る。ただ季語の「後の月」が微妙な年齢を象徴しているのだろう。74「要介護」の句。句意は明解。季語の「秋の薔薇」が動かない。93「結婚するって」の句。結婚という人生の節目。「本当ですか」が楽しいが、いま話題の方のことかも知れない。162「循環器センター」の句。循環器と黄落との取合せが妙。また「真正面」は病にたじろがない姿でもある。188「敬老の」の句。老いは自愛か他愛か。「名月‐届け」と言い切って清々しい。95「来世では」の句。「きっと他人」といっているものの、鳳仙花の懐かしさを配してるので逆説のお惚気かも。故友に〈子の呼吸(いき)の笛のおさらい鳳仙花〉(工藤眞智子)もあった。 古川 塔子(顧問)選 60蛇穴に金のなる木があったはず65鳳仙花飛ばそう人生最終章74要介護より復活の秋の薔薇108うそ寒の喋る自販機過干渉122物言わぬ一日と記す秋黴雨特選137政変は雑木紅葉の戦ぎから/金丸菜斗144豚シャブのちょろちょろさせて冬に入る(選評)特選に頂いた137の「政変」の句。政変というおよそ詩歌から想像もできない硬い言葉を上五に置いて、しかも「雑木紅葉の戦ぎ」への言葉の斡旋には感銘を受けた。紅葉であっても雑木である。その雑木の力とは庶民であろう。庶民の力による政変への期待である。60の「蛇穴に」の句。蛇の皮を財布に入れて置くとお金に不自由しないという。句はお金がなくて困っていると確か「金のなる木があったはず」と思い出したのだろうか。それとも無尽蔵にお金があるような、最近のバラマキ政策への批判の一句だろうか。65の「鳳仙花」の句。鳳仙花の赤い花で爪を染めて遊んだり、実が熟すとちょっと触れただけで種子が弾ける。花言葉は「触れないで!」しかも人生最終章、何か物語性のあるおたのしみ。74「要介護」の句。介護認定がとれて秋薔薇に復活した作者の喜びを素直に感じる。秋の薔薇ぐらいがちょうど良いのだ。108の「うそ寒」の句。この頃の電子音、家の中、外構わず嫌でも耳に入ってほんとにうるさい。とくに心が冷え冷えとした、うそ寒い日、おおきなお世話と一喝したくなる。122の「物言わぬ」の句。今日一日一声も発していないことに気がつき、日記に記す。外は秋黴雨、こんな秋の一日があっても良い。141「豚シャブ」の句。しゃぶしゃぶの動作を、ちょろちょろさせてと楽しい表現。鍋料理の冬へと誘う生活感のある句。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選39「この骨は喉仏です」鵙の声58湿布くらい自分で貼れる後の月特選61コロナ禍の小さき短き秋でした/金丸菜斗65鳳仙花飛ばそう人生最終章111色鳥やレシピにのらぬ隠し味155彼岸花ところどころの白が好き185蔦紅葉加齢の坂は一歩ずつ(選評)特選にいただいた61「コロナ禍」の句。まったくその通り。コロナ感染者数に一喜一憂させられたり天候不順に悩まされたり、夏から秋への移り行く季節を味わう間もなく晩秋へときてしまった感じである。39「この骨は」の句。親しい人の骨を拾うときいつも思うのだが、人間てこんな簡単に骨になってしまうんだと、最後に必ずこれが喉仏と見せられる。人間の一生なんて儚いものだ。かすかに聞こえる鵙の鳴き声に一瞬救われているのだ。58「湿布ぐらい」の句。この人は多分家族がいるのだろう。けれど湿布ぐらいは自分で貼ろうと思っているのだ。一人者ではこうは言えない。一人で貼るのは当たり前なのだから。65「鳳仙花」の句。残り少ない人生でも最後まで頑張ろうという気合を感じさせてくれる句。鳳仙花の弾けるさまがこの句を一層明るく元気にしている111「色鳥や」の句。料理はレシピ通りとはいかない。得に煮物などは作る人の感である。その人の持っている感性とか長いあいだに培われた経験等々。それがレシピにはないのだ。小鳥たちも美味しい料理を待っているのだろう。155「彼岸花」の句。彼岸花の白は高貴な感じさえする。赤の中に一本だけ白があったらそれはそれは目立つ。ある時バス停に一本だけ白の彼岸花が咲いていた。その風情がいまだに忘れられない。185「蔦紅葉」の句。目には見えないが気がつけば年をとっている。それが坂一歩ずつなのだろう。普段まめに会っている人は全然感じないがコロナ禍で二年会わなかった人の変わりようを見て愕然とした覚えがある。蔦紅葉と加齢の対比が切ない。 鈴木 砂紅(招待)選 16母在らばぶっきら棒の走り蕎麦74要介護より復活の秋の薔薇78小鳥にも足音ありし落葉径80摘み取る落葉松妻の項から144葛根湯八十過ぎは秋思なく146紅葉踏む森までアフガニスタンまで特選193さびしんぼの寄せ算ならず芒原/高良和子 (選評)特選に頂いた193「さびしんぼ」の句。「淋しん坊」が何人集まってもやっぱり一人。生命力に溢れた芒の群生の中に個々の人間が立つと、そのひ弱さが一段と際立つ。人間の淋しさと愛おしさが心に残る句。16「母在らば」の句。蕎麦打ちの上手な母の、笑顔よりもぶっきら棒な仕草が記憶にある。母の句でありながら甘さの無い詠み方に惹かれた。74「要介護」の句。復活したのは作者の家族のようだが、薔薇が元気になったと読めなくもない。様々なドラマが見える。78「小鳥」の句。足音で意表を突かれたが、案外よく見る光景である。小鳥の微かな足音を聞き取った作者の感性の鋭さ。80「摘み取る」の句。夫婦のさり気ない情愛が「項」から見えてくる。144「葛根湯」の句。なるほど卒寿を超えれば憂いも物思いも卒業に違いない。葛根湯が何だか可笑しい。146「紅葉踏む」の句。日本の優しい森から過酷なアフガニスタンへ読者の視線を誘う。詩情ある時事句。 松田ひろむ(代表)選 19木道の一部複線草紅葉準特選21月光の髪を乾かす手の遊び/古川塔子特選39「この骨は喉仏です」鵙の声/宮沢子準特選船95どぶろくや武甲の肚を発破音/川目智子99小鳥小鳥待合室はドア開放126口づけのマスクずらしつつと離る151コスモスの迷路だったらすぐに行く183生きるため神経を抜く菊日和190親ガチャは栴檀の実と無関係193さびしんぼの寄せ算ならず芒原195来世ではきっと他人に鳳仙花(選評)特選にいただいた39「この骨は」の句。骨上げは切ない時間、それが鵙の悲痛な声。句は喉仏に焦点をあてている。実は骨上のときに「喉仏」というのは喉仏ではない。喉仏は喉頭隆起という軟骨で火葬の際に焼けて残らない。骨上げで喉仏と呼ぶのは背骨の上から二番目の軸椎と呼ばれる部分。そのため喉仏は女性にも存在する。これは骨の形が座禅を組んでいる仏に似ていることから特別扱いされ「喉仏」と呼ぶようになった。準特選にいただいた21「月光の」の句。女性にとって髪は命とも。髪と戯れている至福の時間。それが手の遊び。同じく準特選95「どぶろくや」の句。武甲の肚が、ずしりと重い。どぶろくで、ずしりとsしっかりとした一句となった。19「木道の」の句。尾瀬沼などの景だろうか。草紅葉がいかにもそれらしい。99「小鳥小鳥」の句。(病院の)待合室は小鳥籠かも、ドア解放はコロナ禍対策。126「口づけの」の句。マスクをずらすが実感だが、すぐに離れるのも切ない。これも現実にしっかりと向き合っている句。151「コスモスの」の句。迷路といってもコスモスのそれは、明るい秋空の下かも。「すぐに行く」が軽妙。183「生きるため」の句。神経を抜くことで生きられるという。これも一つの誇張法。菊日和で救われる。190「親ガチャは」の句。親ガチャは流行語。ガチャポンから来た言葉。子供は親を選べないということ。栴檀の実との取合せが「栴檀は双葉より芳し」を踏まえているのだろう。193「さびしんぼの」の句。「寄せ算ならず」とは個々のことだろうか。芒原の寂寥感。195「来世では」の句。夫婦と言っても今生だけというのだが、夫婦のことは他人にはわからないことが多い。鳳仙花で可愛いままの妻だろうか。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上 一位74 要介護より復活の秋の薔薇⑦ 松田ひろむ二位68 晩節の途中秋刀魚を裏返す⑥ 小平 湖三位18 文化の日行方不明のたまごっち⑤ 川崎 果連三位39 「この骨は喉仏です」鵙の声⑤ 宮 沢子三位169ミサイルに首をすくめて鳥渡る⑤ 川崎 果連六位16 母在らばぶっきら棒の走り蕎麦④ 村田和子六位21 月光の髪を乾かす手の遊び④ 古川塔子六位78 小鳥にも足音ありし落葉径④ 白石みずき六位103すぐに出ぬ言葉さがして秋の暮④ 白石みずき六位111色鳥やレシピにのらぬ隠し味④ 川目智子十位1炊飯器お焦げを知らず文化の日3 川目智子十位117二人なら新米二合たまご二個③ 小髙沙羅十位122物言わぬ一日と記す秋黴雨③ 岡崎久子十位162循環器センター黄落の真正面③ 木野俊子十位185蔦紅葉加齢の坂は一歩ずつ③ 金丸菜斗十位195来世ではきっと他人に鳳仙花③ 吉村きら (第19回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順 1炊飯器お焦げを知らず文化の日 3 川目智子2敬老日自粛の手足持て余す 0 中村ふみ3芋の露胃腸にやさし日が差して 0 増田萌子4踏切の音遠くより柿たわわ 1 荻野樹美5青春の綻びに似て笑み柘榴 0 小平 湖6鹿の恋記者会見が始まって0 松田ひろむ7蹈鞴(たたら)を踏む木の間隠れの烏瓜 0 高良和子8蟹股の小振りはどれも男郎花0 金丸菜斗9白鳥の攫はれゆくや黒鳥に 0 飯島 智10恋情に胸の塞がる石蕗の花 0 小柳 梓11初紅葉はだかの心震わせて 0 岡崎久子12一粒の霧細胞をすりぬけし1 後藤よしみ13カレーパン割る大小を文化の日 0 古川塔子14銭湯にケロリンの桶黄落期 2 荒井 類15大安売りされてる曲がったままの茄子0 翠 雲母16母在らばぶっきら棒の走り蕎麦 4 村田和子17金木犀香をやぶり来るものは誰0 後藤よしみ18文化の日行方不明のたまごっち5 川崎果連19木道の一部複線草紅葉 2 安藤利亮20糸通す針を妻へと秋の午後 1 安藤利亮21月光の髪を乾かす手の遊び 4 古川塔子22猫抱いて頭巾深々震度六 0 中村ふみ23モナリザの山河いくたび紅葉なす0 後藤よしみ24龍にのる黥面の漢天高し 0 近田吉幸25息切らすリュックの横の野菊かな0 石黒宏志26秋雨の秋のさ中に子が病んで0 増田萌子27指揮棒を待てず厨に虫の声 1 須田正子28衣被可も不可もなくこの道を0 津田文江29其処此処に捨てられている紙マスク0 飯島 智30木枯らし一号九十の夫と茶碗蒸 1 木野俊子31無花果もぐ迷い人にはならぬよう 1 鈴木砂紅32仏壇の祖母につげ口温め酒 2 栗原かつ代33草の花母乳知らずの水子仏 2 白石みずき34小萩露風を待つごと君を待つ 0 須田正子35日向ぼこ背中合わせに干野菜 0 近田吉幸36サンレミのささらほうさら秋の苑 0 森谷路子37告白の後の空白小鳥来る 2 岡崎久子38栗ご飯体重減らせ医者の言ふ 0 津田文江39「この骨は喉仏です」鵙の声 5 宮 沢子40たわわに跳ねて弾いて水引草 0 津田文江41燕帰る火星にも水あるらしき 0 増田萌子42一直線メタセコイアの薄紅葉 1 安原南海子43一人では出来ない喧嘩曼珠沙華 1 吉村きら44息かて窓を磨くよ小鳥来る 0 古川塔子45肩凝りも腰痛もなく新酒酌む 0 白石みずき46長生きの相で焼芋半分こ 0 小平 湖47誰にでも青空のあり運動会 0 白石みずき48風元の身じろぎもせずきりぎりす 0 古川和美49静脈をおだてられても青蜜柑 1 森谷路子50身の内を探られミイラ神の旅0 行成佳代子51合歓は実にねむり旦に目覚めあり 0 飯島 智52鵙猛るから期日前投票所 0 栗原かつ代53竜胆やしばらくと声掛け合いぬ 0 荻野樹美54村と町繋ぐ石橋柿花火 1 安原南海子55丑の刻親の掻い巻き取り戻す 0 小柳 梓56ケバブ屋のテント赤きを後の月 0 森谷路子57ヨットハーバー琵琶湖入江の蔦紅葉0 安原南海子58湿布くらい自分で貼れる後の月 2 鈴木砂紅59万葉の談山神社初紅葉 0 近田吉幸60蛇穴に金のなる木があったはず 2 小平 湖61コロナ禍の小さき短き秋でした 1 金丸菜斗62万歳のあとは散り散り花八手 2 行成佳代子63三度目のワクチン恐い神の留守 1 中村ふみ64夜学生ちゃらんぽらんと真面目いて0 石口りんご65鳳仙花飛ばそう人生最終章 2 岩渕純子66夫といふ嵩高なものそぞろ寒 0 高良和子67鳩吹く風変異の株のしたたかさ 0 飯島 智68晩節の途中秋刀魚を裏返す 6 小平 湖69尼ひとりバスに乗り込む白い秋 0 宮 沢子70竿の先飛行機釣れる鯊日和0 信岡さすけ71自粛明け人這ひ出でて蛇穴に 1 高良和子72 ぶな黄葉幹の頂透けて青 0 安藤利亮73ちんちろりん男ころころ気が変わる0 吉村きら74要介護より復活の秋の薔薇 7 松田ひろむ75空低し襟掻き寄せて初時雨 0 行成佳代子76研ぐものに五感いくさの月明り1 木野俊子77グループホームの友О脚のまま冬二度0 高良和子78小鳥にも足音ありし落葉径 4 白石みずき79日短かMRIに身を委ね 0 村田和子80摘み取る落葉松妻の項から 1 安藤利亮81毬栗の割れて顔出す反抗期 2 磯部薫子82ノーベル賞われにもありや好奇心 0 津田文江83物は試しとたつた二日の秋遍路 0 百目鬼英明84秋天の足元透けてかずら橋 1 近田吉幸85翡翠をひらりとかわす銀の鰭 0 小柳 梓86交換日記一文字残し夕化粧 0 吉村きら87弧を描き行きつく先は青蜜柑 0 磯部薫子88ゴッホにテオ子規には律が木守柿 2 古川塔子89ハロウイーン南瓜のにらぬケーキかな0 斎藤 藍90そぞろ寒サプリメントの飲み忘れ 0 川崎果連91再検査結果待つ間のそぞろ寒 1 百目鬼英明92狐火の先を行くのは八咫烏 0 小柳 梓93結婚するって本当ですかななかまど2 石口りんご94鈴虫の鈴浄土への道標 0 岡崎久子95どぶろくや武甲の肚を発破音 1 川目智子96心臓はカテーテルに委ねたる銀河 0 翠 雲母97追い炊きの齢へ後の更衣 2 川目智子98葡萄一房数独ひとつ解けたなら 1 岩渕純子99小鳥小鳥待合室はドア開放 2 森谷路子100カニカマと裂けるチーズの秋おしむ0 信岡さすけ101縄文の遺伝子生きている辺野古 1 木野俊子102木枯らしやスカーフ止めを手に取りて0 斎藤 藍103すぐに出ぬ言葉さがして秋の暮 4 白石みずき104霧出でど人の形に戻らざり 0 後藤よしみ105お求めは何匹ですか鯛焼屋 1 村田和子106鬼の子のいつから足腰の不安 0 古川塔子107布袋腹弾けて笑う秋なすび 1 鈴木砂紅108うそ寒の喋る自販機過干渉 1 栗原かつ代109青春の夢に上書き十三夜 0 岡崎久子110茹で卵つぶして新米よごしをり 1 中村ふみ111色鳥やレシピにのらぬ隠し味 4 川目智子112ほととぎす傷口はまだ塞がらぬ 0 小髙沙羅113言の葉の浮いて沈んで神無月 0 宮 沢子114胃カメラの闇汁の如喉麻酔 0 百目鬼英明115天然の鯛と柚子入り笹巻と 0 斎藤 藍116耳鳴りのささやきは何十三夜 0 増田萌子117二人なら新米二合たまご二個 3 小髙沙羅118肩パッド外した女猫じゃらし 1 鈴木砂紅119新走り先史の森のツアー客 0 栗原かつ代120温度差疲労お見舞いはラフランス 0 小髙沙羅121重陽や花嫁同士上目して 0 安藤利亮122物言わぬ一日と記す秋黴雨 3 岡崎久子123青女来る赤いほっぺの津軽っ子 1 石口 榮124松前帰る忍路(おしょろ)高島手土産に0 松田ひろむ125今朝の秋一気に流すトイレかな 0 百目鬼英明126口づけのマスクずらしつつと離る 1 飯島 智127かわいいといわれエプロン秋の色 0 木野俊子128洪水の轟音の中幾家族 0 荒井 類129秋の夜の地震列島夜目鳥目 1 信岡さすけ130栗飯やモノクロの夫栗を剥く 0 須田正子131糸をつけ命の旅路雪迎え 0 磯部薫子132明日嫁ぐ鞄の中に柿三つ 0 小平 湖133泡立ち草いつかこの地に溶け込んで1 小柳 梓134干柿の甘さほどほど総選挙 0 石口 榮135ひきだしに二千円札神の留守 1 川崎果連136熟柿吸う自然というを思いつつ 0 金丸菜斗137政変は雑木紅葉の戦ぎから 1 金丸菜斗138七曜に追はれ追はれてはや乾風 0 中村ふみ139パトカーの右前輪や鬼やんま 0 荒井 類140思い違いは誰にでも蛇穴に 0 石口 榮141豚シャブのちょろちょろさせて冬に入る1近田吉幸142紅葉かつ散る地球のどこかでテロ 1 石口 榮143葉鶏頭平等な会だったらなあ 0 石口りんご144葛根湯八十過ぎは秋思なく 1 松田ひろむ145漆色生かすボウルに秋野菜 0 斎藤 藍146紅葉踏む森までアフガニスタンまで1 後藤よしみ147新松子旅の手足のもつるるも 0 安原南海子148小春日や解散風の吹き募る 0 行成佳代子149菊薫る父が命を捧げし時代(とき) 0 翠 雲母150圧してくる冬木両手で押し返す 0 鈴木砂紅151コスモスの迷路だったらすぐに行く2 古川和美152夫を待つ雨の匂いと焼栗と 0 磯部薫子153里山の鵙の一声ロスタイム 0 宮 沢子154長き夜のジグソーパズル千ピース 0 石口 榮155彼岸花ところどころの白が好き 1 古川和美156穂絮飛ぶ姫神の恋謡ひつつ 0 村田和子157東名・名神あわだち草のひとりじめ1 安原南海子158一礼の石の鳥居や草紅葉 0 荻野樹美159唐辛子今日は沢山入れたい日 0 石口りんご160見おろせる鳶と目の合う秋麗 1 荻野樹美161秋空や恋も空き巣も狙ひ撃ち 0 百目鬼英明162循環器センター黄落の真正面 3 木野俊子163真っ直ぐに生きてくなんて落葉焚く1 石黒宏志164水引草手相に夢中だった頃 0 石口りんご165瞑想か妄想か白曼殊沙華 0 栗原かつ代166秋高し吾に貝殻骨二つ 0 須田正子167時雨るるや栄一像の眼まで 1 岩渕純子168手紙書く金木犀が二度も咲き 0 小髙沙羅169ミサイルに首をすくめて鳥渡る 5川崎果連170一日の栄えあればと白木槿 0 古川和美171石榴割ればぽろり塞ぎの虫を吐く 0 村田和子172秋晴や腰に手を当て瓶牛乳 0 津田文江173胡桃割る非正規には明日がない 0 翠 雲母174へなちょこのどこが天才かいつぶり1 信岡さすけ175寮住みのLine呟き寒茜 0 行成佳代子17雪迎え牛舎の牛がモゥと啼く 0 磯部薫子177青空やのつぺらぼうの捨案山子 0 荒井 類178秋の雲遺品整理がまだできぬ 1 翠 雲母179朝寒の鎌倉大路足かろし 0 荻野樹美180父と子のこころの表裏鵙の贄 0 宮 沢子181青葡萄おとこの乳首愛される 1 松田ひろむ182錠剤の一つ転がり秋深し 0 斎藤 藍183生きるため神経を抜く菊日和 2 小髙沙羅184鍋覆う花びらの山菊膾 0 石黒宏志185蔦紅葉加齢の坂は一歩ずつ 3 金丸菜斗186鈴虫に香り揺らいでコーヒーを 0 石黒宏志187天高し日本の川に三兄弟 1 川目智子188敬老の思いを届け名月に 1 古川和美190親ガチャは栴檀の実と無関係 2 石黒宏志190待合室の底冷だれの忘れ靴 0 増田萌子191ばつたんこナウマンザウは化石ザウ0 荒井 類192ひねもすや鵙も来なけりゃ孫も来ず0 吉村きら193さびしんぼの寄せ算ならず芒原 2 高良和子194秋蝶のこけつまろびつ光の環 0 森谷路子195来世ではきっと他人に鳳仙花 3 吉村きら196行き過ぎて戻りて仰ぐ金木犀 0 岩渕純子197金の斧そしてぺろりと熟柿 1 信岡さすけ198食卓にスマホのたうつ文化の日 1 川崎果連199魂てらす十月桜昏なずむ 1 岩渕純子200魚には魚のリズム秋高し 1 須田正子 (第20回鴎座通信句会)投句締切=11月26日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2021年11月05日
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第19回鷗座通信句会[全句データ]訂正! お詫びして訂正します。正27 指揮棒を待てず厨に虫の声誤27 指揮棒を待てづ厨に虫の声正60 蛇穴に金のなる木があったはず誤60 蛇に穴に金のなる木があったはず正105 お求めは何匹ですか鯛焼屋誤105 お求めは何匹ですか鯛焼 正172 秋晴や腰に手を当て瓶牛乳誤172 秋晴や膝に手を当て瓶牛乳 鴎座俳句会
2021年10月29日
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第19回鴎座通信句会 全句データ(互選用)俳句で免疫力アップ。新型コロナウイルス感染症に負けないで頑張りましょう。第19回鴎座通信句会は四十名二百句となりました。選句と講評は鴎座代表、編集長、副編集長・Ⅰ欄同人・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選も行います。●互選選句5句。(全句のなかから5句を選んでください。互選は任意です。また互選できるのは投句者のみです。句番号と上五、および選句者名をお忘れなく。)●選句締切 11月1日24時必着。メールまたはFAXでお願いします。メールアドレスは「鴎座」巻末に記載してあります。句番号はランダムに変換されたものです。(誤字脱字・類句などがありましたらご連絡ください)結果は全投句者にメールまたはFAXでお返しします。また次号「鴎座」に発表するとともにFACEBOOK・BLOGにも発表します。2021年10月27日 鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第19回鴎座通信句会全句データ〉句番号 作品1炊飯器お焦げを知らず文化の日2敬老日自粛の手足持て余す3芋の露胃腸にやさし日が差して4踏切の音遠くより柿たわわ5青春の綻びに似て笑み柘榴6鹿の恋記者会見が始まって7蹈鞴(たたら)を踏む木の間隠れの烏瓜 8蟹股の小振りはどれも男郎花9白鳥の攫はれゆくや黒鳥に10恋情に胸の塞がる石蕗の花11初紅葉はだかの心震わせて12一粒の霧細胞をすりぬけし13カレーパン割る大小を文化の日14銭湯にケロリンの桶黄落期15大安売りされてる曲がったままの茄子16母在らばぶっきら棒の走り蕎麦17金木犀香をやぶり来るものは誰18文化の日行方不明のたまごっち19木道の一部複線草紅葉20糸通す針を妻へと秋の午後21月光の髪を乾かす手の遊び22猫抱いて頭巾深々震度六23モナリザの山河いくたび紅葉なす24龍にのる黥面の漢天高し25息切らすリュックの横の野菊かな26秋雨の秋のさ中に子が病んで27指揮棒を待てづ厨に虫の声28衣被可も不可もなくこの道を29其処此処に捨てられている紙マスク30木枯らし一号九十の夫と茶碗蒸31無花果もぐ迷い人にはならぬよう32仏壇の祖母につげ口温め酒33草の花母乳知らずの水子仏34小萩露風を待つごと君を待つ35日向ぼこ背中合わせに干野菜36サンレミのささらほうさら秋の苑37告白の後の空白小鳥来る38栗ご飯体重減らせ医者の言ふ39「この骨は喉仏です」鵙の声40たわわに跳ねて弾いて水引草41燕帰る火星にも水あるらしき42一直線メタセコイアの薄紅葉43一人では出来ない喧嘩曼珠沙華44息かけて窓を磨くよ小鳥来る45肩凝りも腰痛もなく新酒酌む46長生きの相で焼芋半分こ47誰にでも青空のあり運動会48風元の身じろぎもせずきりぎりす49静脈をおだてられても青蜜柑50身の内を探られミイラ神の旅51合歓は実にねむり旦に目覚めあり52鵙猛るから期日前投票所53竜胆やしばらくと声掛け合いぬ54村と町繋ぐ石橋柿花火55丑の刻親の掻い巻き取り戻す56ケバブ屋のテント赤きを後の月57ヨットハーバー琵琶湖入江の蔦紅葉58湿布くらい自分で貼れる後の月59万葉の談山神社初紅葉60蛇に穴に金のなる木があったはず61コロナ禍の小さき短き秋でした62万歳のあとは散り散り花八手63三度目のワクチン恐い神の留守64夜学生ちゃらんぽらんと真面目いて65鳳仙花飛ばそう人生最終章66夫といふ嵩高なものそぞろ寒67鳩吹く風変異の株のしたたかさ68晩節の途中秋刀魚を裏返す69尼ひとりバスに乗り込む白い秋70竿の先飛行機釣れる鯊日和71自粛明け人這ひ出でて蛇穴に72ぶな黄葉幹の頂透けて青73ちんちろりん男ころころ気が変わる74要介護より復活の秋の薔薇75空低し襟掻き寄せて初時雨76研ぐものに五感いくさの月明り77グループホームの友О脚のまま冬二度78小鳥にも足音ありし落葉径79日短かMRIに身を委ね80摘み取る落葉松妻の項から81毬栗の割れて顔出す反抗期82ノーベル賞われにもありや好奇心83物は試しとたつた二日の秋遍路84秋天の足元透けてかずら橋85翡翠をひらりとかわす銀の鰭86交換日記一文字残し夕化粧87弧を描き行きつく先は青蜜柑88ゴッホにテオ子規には律が木守柿89ハロウイーン南瓜のにらぬケーキかな90そぞろ寒サプリメントの飲み忘れ91再検査結果待つ間のそぞろ寒92狐火の先を行くのは八咫烏93結婚するって本当ですかななかまど94鈴虫の鈴浄土への道標95どぶろくや武甲の肚を発破音96心臓はカテーテルに委ねたる銀河97追い炊きの齢へ後の更衣98葡萄一房数独ひとつ解けたなら99小鳥小鳥待合室はドア開放100カニカマと裂けるチーズの秋おしむ101縄文の遺伝子生きている辺野古102木枯らしやスカーフ止めを手に取りて103すぐに出ぬ言葉さがして秋の暮104霧出でど人の形に戻らざり105お求めは何匹ですか鯛焼106鬼の子のいつから足腰の不安107布袋腹弾けて笑う秋なすび108うそ寒の喋る自販機過干渉109青春の夢に上書き十三夜110茹で卵つぶして新米よごしをり111色鳥やレシピにのらぬ隠し味112ほととぎす傷口はまだ塞がらぬ113言の葉の浮いて沈んで神無月114胃カメラの闇汁の如喉麻酔115天然の鯛と柚子入り笹巻と116耳鳴りのささやきは何十三夜117二人なら新米二合たまご二個118肩パッド外した女猫じゃらし119新走り先史の森のツアー客120温度差疲労お見舞いはラフランス121重陽や花嫁同士上目して122物言わぬ一日と記す秋黴雨123青女来る赤いほっぺの津軽っ子124松前帰る忍路(おしょろ)高島手土産に125今朝の秋一気に流すトイレかな126口づけのマスクずらしつつと離る127かわいいといわれエプロン秋の色128洪水の轟音の中幾家族129秋の夜の地震列島夜目鳥目130栗飯やモノクロの夫栗を剥く131糸をつけ命の旅路雪迎え132明日嫁ぐ鞄の中に柿三つ133泡立ち草いつかこの地に溶け込んで134干柿の甘さほどほど総選挙135ひきだしに二千円札神の留守136熟柿吸う自然というを思いつつ137政変は雑木紅葉の戦ぎから138七曜に追はれ追はれてはや乾風139パトカーの右前輪や鬼やんま 140思い違いは誰にでも蛇穴に141豚シャブのちょろちょろさせて冬に入る142紅葉かつ散る地球のどこかでテロ143葉鶏頭平等な会だったらなあ144葛根湯八十過ぎは秋思なく145漆色生かすボウルに秋野菜146紅葉踏む森までアフガニスタンまで147新松子旅の手足のもつるるも148小春日や解散風の吹き募る149菊薫る父が命を捧げし時代(とき)150圧してくる冬木両手で押し返す151コスモスの迷路だったらすぐに行く152夫を待つ雨の匂いと焼栗と153里山の鵙の一声ロスタイム154長き夜のジグソーパズル千ピース155彼岸花ところどころの白が好き156穂絮飛ぶ姫神の恋謡ひつつ157東名・名神あわだち草のひとりじめ158一礼の石の鳥居や草紅葉159唐辛子今日は沢山入れたい日160見おろせる鳶と目の合う秋麗161秋空や恋も空き巣も狙ひ撃ち162循環器センター黄落の真正面163真っ直ぐに生きてくなんて落葉焚く164水引草手相に夢中だった頃165瞑想か妄想か白曼殊沙華166秋高し吾に貝殻骨二つ167時雨るるや栄一像の眼まで168手紙書く金木犀が二度も咲き169ミサイルに首をすくめて鳥渡る 170一日の栄えあればと白木槿171石榴割ればぽろり塞ぎの虫を吐く172秋晴や膝に手を当て瓶牛乳173胡桃割る非正規には明日がない174へなちょこのどこが天才かいつぶり175寮住みのLine呟き寒茜176雪迎え牛舎の牛がモゥと啼く177青空やのつぺらぼうの捨案山子178秋の雲遺品整理がまだできぬ179朝寒の鎌倉大路足かろし180父と子のこころの表裏鵙の贄181青葡萄おとこの乳首愛される182錠剤の一つ転がり秋深し183生きるため神経を抜く菊日和184鍋覆う花びらの山菊膾185蔦紅葉加齢の坂は一歩ずつ186鈴虫に香り揺らいでコーヒーを187天高し日本の川に三兄弟188敬老の思いを届け名月に190親ガチャは栴檀の実と無関係190待合室の底冷だれの忘れ靴191ばつたんこナウマンザウは化石ザウ192ひねもすや鵙も来なけりゃ孫も来ず193さびしんぼの寄せ算ならず芒原194秋蝶のこけつまろびつ光の環195来世ではきっと他人に鳳仙花196行き過ぎて戻りて仰ぐ金木犀197金の斧そしてぺろりと熟柿198食卓にスマホのたうつ文化の日199魂てらす十月桜昏なずむ200魚には魚のリズム秋高し 鴎座通信句会は、ウイズコロナ時代の新しい句会のあり方として注目されています。昨年四月以降一年余りの開催の結果、新しく通信句会に参加される方などもあって予想以上の大きな成果が生まれています。今後も「鴎座通信句会」は独自の会として発展させて行きたいと思います。みなさんのご協力をよろしくお願いします。★締切は毎月二十六日です。ご注意!「コロナ」は病名でも感染症名でもありません。太陽の光冠のことです
2021年10月27日
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第18回鴎座通信句会選句結果のお知らせ新型コロナウイルス感染症の陽性者数はこのところ減少、緊急事態宣言も解除されましたが、原則自宅療養(自宅放置)という医療崩壊は解消されず、安倍菅政権の無為無策のツケが続いています。第18回鴎座通信句会は新参加者もありましたが、お休みの方もいて40名200句でした。選句と講評は作者名を伏せて鴎座代表、編集長・副編集長・顧問などに依頼しました。また投句された方の互選(任意・5句選)も行いました。句番号はランダムに変換されたものです。結果は「鴎座」に発表するとともにFACEBOOKなどにも発表します。毎月開催(締切26日)。鴎座俳句会 代表 松田ひろむ〈第18回鴎座通信句会結果〉作者名は特選のみ追加記入しました。他は一覧をご覧ください。石口 榮(編集長)選34敬老日百名山を利き酒に64盤上のしばし黙考蚯蚓鳴く76すべり台のぼる子おりる子秋高し98別腹に小腹を加え豊の秋119今年酒恋敵もう七回忌特選143着るものを探してしまうすすき梅雨/古川和美155胡桃割るチロリン村は路地の裏(選評)特選に頂いた143「着るものを」の句。秋物を出す前に急に寒くなることがある。そんな着るものに困った体験を一句にした。生活の実感がこもる。季語「すすき梅雨」が効果的である。34「敬老日」の句。日本酒には「磐梯山」、「浅間」など百名山に因んだ銘柄が多い。居酒屋などで「利き酒の会」が行われているがそこでの景か。また沢山ある銘柄を「百名山」のようだと詠んだのか。いずれにしても「百名山」でスケールの大きい句になった。64「盤上の」の句。一読して藤井聡太三冠が浮んだ。季語「蚯蚓鳴く」で対局中の静寂が良く出ている。76「すべり台」の句。「のぼる子」、「おりる子」と重ねて一句に子供の躍動感が出た。少子化で最近子供の元気な姿を見かけなくなった。季語「天高し」は子への期待。98「別腹に」の句。食欲の秋、何を食べても美味しい。別腹に小腹が付いたという諧謔性に惹かれた。ユーモアたっぷりの句。119「今年酒」の句。今年酒(新酒)を飲みながら、七回忌となった恋敵を想っているのだろう。作者はその恋が成就できたのだろうか。ドラマチックな句に魅かれた。155「胡桃割る」の句。チロリン村は野菜や果物、動物たちが住む平和な村だが、それが路地裏にあったとは。メルヘンチックな詩情に惹かれた。 小髙沙羅(副編集長)選12人は人に疲れて南蛮煙管咲く143着るものを探してしまうすすき梅雨158ワクチンを受く秋風/を身にまとい162沈黙の神よ疫(えやみ)の百日紅特選166立腹を寝かせてみたが秋暑し/中村ふみ172耳朶はやさしきところ衣被 198昨日よりすてきな時間銀木犀(選評)特選にいただいた166「立腹の」句。腹だたしいことがあっても、一晩寝れば忘れることもある。しかしそれでも納まらない怒りもある。それを「寝かして」というおかしみ。新型コロナウイルスの自粛中、ストレスはたまるばかり。だれもが秋暑しの思い。12「人は人に」の句。これも人間関係の軋轢さろうか。妙に納得させられる句。143「着るものを」の句。九月に入っていきなり十度も気温が下がった。すすき梅雨の季語で句に広がりが出来た。158「ワクチンを」の句。やっと多くの人にワクチンが打てるようになった。ほっとした秋。「身にまとい」に独自感がある。162「沈黙の」の句。困ったときの神頼みというが神は語らず。沈黙の神とはなるほどと思った。遠藤周作の「沈黙」が背景にある。172「耳朶は」の句。「やさしきところ」がいいなあ。衣被との取合せが不思議な効果。198「昨日より」の句。昨日より今日がすてき。そして明日がある。いつも前向きな作者なのだろう。銀木犀はしぶい季語。 宮 沢子(顧問)選17赤まんまあの日の夢を持ち歩く48かりがねや母にもあった同じ傷68出来秋を詰め放題に道の駅120鹿の恋儀式なんかはなくていい146舌足らずのティラノサウルス七五三特選186 八十へ着地がぐらり隼人瓜/小平湖198昨日よりすてきな時間銀木犀 (選評)特選に頂いた186「八十へ」の句は八十歳という実、個々の差はあっても知力、体力その衰えは無視することは出来ない。隼人瓜という不安定な形がその気持ちをよく表している。その取り合わせの妙味に尽きる。17「赤まんま」の句は子供の時からの夢を追いかけている作者、すがすがしい作品である。48「かりがねや」の句。深まってゆく秋に母と子の距離感の見える実感のある句である。68「出来秋」あまり使われない季語だが秋の収穫が山に積まれている道の駅が浮かんでくる。詰め放題が満腹感を感じる幸せな作品となった。120「鹿の恋」の句は愛があれば何もいらない。若いっていいですね。いま話題の真子様のことかもとも思った。146「舌足らず」の句は七五三のお祝でしょうか。お兄ちゃんやお姉ちゃんを追いかけている三歳の子でしょう。舌足らずが可愛いい。198「昨日より」の句は朝雨戸を開けると木犀の香りが突然流れてきた。なんて素敵な時間「昨日より」がいい。読む人にも香りが流れてきた作品である。 白石みずき(Ⅰ欄同人)選特選12人は人に疲れて南蛮煙管咲く/木野俊子36ポシェットに目眩の薬藍の花50名月や誰にでもある別の貌63秋の暮砂に加速の砂時計84唐辛子花舗におさまり花となる138探し物まだ見つからぬ秋の暮192秋桜不自由なんて怖くない(選評)特選に頂いた12「人は人に」の句。難解な句だが心ひかれた。コロナ禍での句とも思えるし、人間関係の複雑さを言っているのだとも取れる。季語の南蛮煙管は寄生植物。イネ科の根に寄生する。そんな不気味さもこの一句を際立たせている。36「ポシェット」の句。常に目眩が起きるのは辛いこと。その大事な薬はきっと藍染のかわいいポシェットに入れてあるのだろう。50「名月や」の句。大いにあるあると同感の句。人は誰でもいろいろな貌をもっているのは当たり前。世の中を上手に渡るには必要なのだから。名月の明るさで救われた句。 63「秋の暮」の句。コロナ禍の二年は本当に早かった。まるで砂がさらさらと手からこぼれるように。秋の暮がそんな早さを象徴していておしゃれな句。84「唐辛子」の句。元来唐辛子は薬味として料理などに使い食するものである。が最近は生け花などにも使われている。花屋さんに一人前の花の顔をして売られている。それをユーモラスに詠んだ。138「探し物」の句。良くわかる、誰もが経験ありそう。しかしもう少し深く読むと季語の秋の暮は人生に通じる。探し物は人生の目標でもある。192「秋桜」の句。コロナ禍の前は皆自由な暮らしだった。それが当たり前だと思っていた。そこへ緊急事態宣言などという長い間我慢の暮らし、ちょっとやそっとではなんにも怖くなくなってしまった。でもコスモスはちゃんと見ていてくれていた。 鈴木 砂紅(招待)選 11マスカットときに兄弟らしくなる48かりがねや母にもあった同じ傷56 色鳥や飛び立ちそうな切手買う62化せばモスラに鳳仙花の大毛虫64盤上のしばし黙考蚯蚓鳴く特選71どこ行きの逆さ階段秋刀魚焼く/信岡さすけ152ワクチンを打てば安心智恵子の忌(選評)特選に頂いた「どこ行き」の句。秋刀魚を焼きながら、作者の心は「逆さ階段」を上ってゆく。一体何処へという不安感を抱えながら、コロナ禍の日常を生きる私たちの姿をシュールに描いた。11「マスカット」の句。男ふたり黙って緑の葡萄を食べる。七歳でも七十歳でも、兄弟はいつも反目と慣れあいの連続。48「かりがね」の句。傷は指先にあったのか、あるいは心の傷なのか。不意に自分にもその傷がある事に気付く。私の中に何時も居る母。56 「色鳥」の句。渡ってきた小鳥が木の上で騒ぐ。となれば切手はモモンガか飛蝗か。飛ぶことへの憧れに満ちた句。62「化せば」の句。発想は単純だが、七十二候の「雀化して蛤となる」を思わせて可笑しい。可憐な鳳仙花が目に残る。64「盤上」の句。藤井聡太三冠のイメージだが、誰を置いても絵になる句。季語も韻律も申し分ない。言掛りのようだがそこが難点。152「ワクチン」の句。中七までは極普通の句だが、季語で見事に反転。智恵子の持つ、芸術家・純粋さ・精神病という多重性がすべてを混沌とさせる。松田ひろむ(代表)選 4虫の声仏語のシャワー浴びてをり特選9月光の重み一行はあけておく/古川塔子12人は人に疲れて南蛮煙管咲く48かりがねや母にもあった同じ傷66秋の日のワクチン弾むベンガル語準特選71どこ行きの逆さ階段秋刀魚焼く/信岡さすけ77コロナ禍に生まれる子あり竹の春準特選/123何度でもねえお母さん栗ご飯/小髙沙羅135秋風のこつんとあたるパンの耳172耳朶はやさしきところ衣被186八十へ着地がぐらり隼人瓜(選評)特選にいただいた9「月光の重み」の句。この「月光の重み」と「一行はあけておく」の間合の良さ。それを解釈する必要はない。これは理ではなく感性である。芭蕉のいう匂付といってもいい。準特選の71「どこ行きの」の句。この「逆さ階段」は錯視(だまし絵)で「シュレーダーの階段」ともいう。したがって秋刀魚の煙も上に登ってゆくとは限らない。同じく準特選の123「何度でも」の句は、ここは「何度でも」の措辞がいかにも泣かせる。栗ご飯で典型的な「母もの」であるが、これはこれで記憶すべき一句。4「虫の声」の句。フランスに行けば当然のことながらフランス語ばかりである。作者はそれを「仏語のシャワー浴び」という。シャワーの心地良さとフランス語が響きあっている。フランスの虫はなんと鳴くのだろうか。12「人は人に」の句。人間関係は考えれば考えるほど難しい。ここはナンバンギセルの妖しさの取りあわせで一句になった。48「かりがねや」の句。すでに亡母の齢も越えたのかも。その年になって分る「傷」もある。「かりがね」で心が広くなる。66「秋の日の」の句。ここではベンガル語にどきりとさせられる。これはフィクションでなく実の強みだろう。秋の日の季語はもう一工夫だろうか。77「コロナ禍に」の句。原爆下のヒロシマの防空壕で生れた赤ちゃんのことも思った。竹の春が希望の姿である。135「秋風の」の句。パンの耳という擬人化がなんとも軽妙。この秋風は生活のなかの風。172「耳朶は」の句。「やさしき」という主観語を嫌味なく使った。衣被との取合せの妙。186「八十へ」の句。いよいよ作者も八十なのかとどきりとさせられた。いやいや隼人瓜だからまだまだ。 (互選高点句)○数字は点数 3点以上一位186八十へ着地がぐらり隼人瓜 ⑥小平 湖二位12人は人に疲れて南蛮煙管咲く ⑤木野俊子二位50名月や誰にでもある別の貌 ⑤吉村きら二位56色鳥や飛び立ちそうな切手買う ⑤石口 榮五位83初鴨の声病妻のご機嫌は ④松田ひろむ五位98別腹に小腹を加え豊の秋 ④川目智子五位172耳朶はやさしきところ衣被 ④増田萌子八位9月光の重み一行はあけておく ③古川塔子八位14秋茄子姑の躾と褒められて ③村田和子八位20母と娘でおんなとおんな実むらさき ③白石みずき八位48かりがねや母にもあった同じ傷 ③吉村きら八位64盤上のしばし黙考蚯蚓鳴く ③近田吉幸八位76すべり台のぼる子おりる子秋高し ③白石みずき八位96ぶらさがることに糸瓜は明け暮れる③川崎果連八位120鹿の恋儀式なんかはなくていい ③松田ひろむ八位146舌足らずのティラノサウルス七五三③栗原かつ代八位159ティーバッグ糸のねじれて秋思かな③ 飯島智 (第18回全句データ)掲載番号・作品・点数・作者の順1夫婦喧嘩ほどほどにして秋刀魚焼く 0 津田文江2父と子のはじける笑顔赤蜻蛉 0 荻野樹美3胡弓の音聞こえるやうな九月三日 1 津田文江4虫の声仏語のシャワー浴びてをり 1 飯島智5それ以上それ以下でもなく吾亦紅 2 安原南海子6吾亦紅山吹く風に育てられ 1 斎藤 藍7土手からの試合観戦濃竜胆 0 安藤利亮8秋暑しヘソ覗かせるティーンエージャー0 飯島智9月光の重み一行はあけておく 3 古川塔子10龍淵に潜む無数の骨粗鬆症 0 木野俊子11マスカットときに兄弟らしくなる 2 小髙沙羅12人は人に疲れて南蛮煙管咲く 5 木野俊子13世に出れば男社会や富士薊 0 小柳 梓14秋茄子姑の躾と褒められて 3 村田和子15結界を越え束ねられ曼珠沙華 0 岡崎久子16名月のいたずら上手迷い道 1 吉村きら17赤まんまあの日の夢を持ち歩く 2 小髙沙羅18耳鳴りか虫の集きか日暮れ時 1 岩渕純子19身に入むや浅草オペラの街灯り 0 磯部薫子20母と娘でおんなとおんな実むらさき3 白石みずき21新米は王道らしく稲穂添え 0 安原南海子22立札は球技の禁止赤とんぼ 1 金丸菜斗23秋声や黄ばみし文庫の文字を追ふ 0 高良和子24秋の蝉傘の中まで舞い込んで 0 古川和美25からたちの熟れる実結婚適齢期 0 木野俊子26手当なき在宅勤務捨案山子 1 百目鬼英明27革命に疲れた夜長宮本百合子 0 木野俊子28生きる術(すべ)こころえていく猫じゃらし 0翠雲母29無花果の涙の粒を噛みしめる 1 鈴木砂紅30箱根路や海原となる芒原 0 岩渕純子31句と憐(あわれみ)令黙のままの翁忌0信岡さすけ32新松子ビーチバレーはへそ見せて 0 金丸菜斗33秋晴れや水上バスの屋根低く 0 安藤利亮34敬老日百名山を利き酒に 2 川目智子35鬼平と出かけてみたい風の盆 0 津田文江36ポシェットに目眩の薬藍の花 1 古川塔子37ポンペイのパン焼く窯や秋の雲 0 近田吉幸38着信あり午後の途惑ひ萩の風 0 須田正子39アフガンのクレーン猪吊るさるる 1 後藤よしみ40赤とんぼどこでこんなに染めましたか1 石口りんご41南天の幹の硬さを斬る力 0 古川和美42これやこの弟切草のいわれなど 1 石口りんご43青々と花梨の怒り沈黙忌 0 磯部薫子44望郷や記憶の中の吊るし柿 0 石口 榮45与党野党の間違い探し韮の花 0 鈴木砂紅46ずぶっと厄日乾燥機ないのです 0 石口りんご47八甲田のつらつらつらら草紅葉 0 宮 沢子48かりがねや母にもあった同じ傷 3 吉村きら49この時季の色とぞ思う菊膾 0 金丸菜斗50名月や誰にでもある別の貌 5 吉村きら51頬杖の母と目が合う秋彼岸 2 行成佳代子52底紅の咲いて疫病の町密か 1 村田和子53のうぜんかずら自転車のみなマスクの眼0 福島芳子54夕顔や闇の深さのほの明かり 0 小柳 梓55ひとり娘が厨に籠る敬老日 1 津田文江56色鳥や飛び立ちそうな切手買う 5 石口 榮57柘榴裂けけろり宜ふ氏素性 2 村田和子58息弾む小さな丘の帰り花 0 荻野樹美59宣言は延長なしで穴惑い 1 石黒宏志60自虐ねた笑えぬことも秋の蝶 0 信岡さすけ61身に染むやカリンの自由主義が好き2 木野俊子62化せばモスラに鳳仙花の大毛虫 2 高良和子63秋の暮砂に加速の砂時計 2 岡崎久子64盤上のしばし黙考蚯蚓鳴く 3 近田吉幸65スキンカラーの黄土の仲間鷹渡る0 松田ひろむ66秋の日のワクチン弾むベンガル語 1 森谷路子67風は水水は風なり秋の水 0 百目鬼英明68出来秋を詰め放題に道の駅 1 川目智子69画布に鉄骨下界は戦跡玉手山 0 翠 雲母70秋天や女ごころの万華鏡 1 須田正子71どこ行きの逆さ階段秋刀魚焼く 2 信岡さすけ72コーヒーのことさら香る今朝の秋 0 白石みずき73爽やかやときどきマスク忘れたり 1 古川塔子74あてにせぬ暑さ寒さも秋彼岸 0 石黒宏志75天高し自粛自愛をふくらます 0 古川塔子76すべり台のぼる子おりる子秋高し 3 白石みずき77コロナ禍に生まれる子あり竹の春 1 石黒宏志78己が身も雁字搦めに葛垂るる 0 村田和子79天高し俳人末期の伝わらず 0 後藤よしみ80セーターに乳房なき憂さ抱きしめて0 宮 沢子81弓をやめ介護の日々や秋刀魚焼く 0 百目鬼英明82軍靴にて踏みつけ開く栗の毬 1 鈴木砂紅83初鴨の声病妻のご機嫌は 4 松田ひろむ84唐辛子花舗におさまり花となる 1 村田和子85喪中さえ少なくなりし秋の暮 0 石黒宏志86縄張は国家にあらず芋嵐 1 信岡さすけ87今日だけはひとりで行けぬ鳥兜 0 小柳 梓88手洗いを覚え二歳の夏終る 1 白石みずき89止め無き会話の合間残る蝉 0 荻野樹美90行列の渋谷ワクチン地虫鳴く 1 栗原かつ代91曼珠沙華太極拳の描く丸 0 森谷路子92絵手紙の墨美しき秋茄子 1 増田萌子93富士の山初冠雪は取り消され 0 石黒宏志94金貸しの軒にずらずら吊し柿 1 川崎果連95拾ひたる木の実の棚の泪壺 0 飯島智96ぶらさがることに糸瓜は明け暮れる3 川崎果連97狐のカミソリは近く死は遠く 0 古川塔子98別腹に小腹を加え豊の秋 4 川目智子99敬老の日咲き上りたる花蔓穂 0 行成佳代子100自粛してたまに窓から秋夕焼 0 中村ふみ101月光にピクトグラムを指で描く 1 後藤よしみ102医師の忙しさ秋ざくら乱れつつ 0 福島芳子103月今宵貝殻骨に触れる指 0 鈴木砂紅104風立つや一寸塩味栗ご飯 0 斎藤 藍105ウオーキング道変え今日の韮の花 0 安原南海子106カナリアを道連れにして霧の中 0 行成佳代子107定年の朝の鈍行案山子見ゆ 0 川崎果連108耳立てる鬼の子ふたつのぽっくり寺0 宮 沢子109深秋や高齢期の三Kそこそこに 0 高良和子110六十の指で五七五竹の春 0 森谷路子111望月やウィルスの街眠りをり 0 近田吉幸112もう一度会いたくなればほととぎす0 小髙沙羅113無想なる日々を苦にせり捨案山子 0 後藤よしみ114山際のわずかばかりを稲穂垂る 1 荻野樹美115露天風呂黙浴中の秋落暉 1 岡崎久子116過疎の町の学び舎閉じて秋の風 0 行成佳代子117カンナ燃ゆバン焼く匂ひの小径かな 0飯島智118最期の季の柿まに合わず獺祭忌 0 石口りんご119今年酒恋敵もう七回忌 2 川崎果連120鹿の恋儀式なんかはなくていい 3 松田ひろむ121コロナ禍の軌道修正葛嵐 0 栗原かつ代122顎あげて見るスカイツリー律の風 0 石口 榮123何度でもねえお母さん栗ご飯 1 小髙沙羅124その話なかったことに新走り 0 安原南海子125魂の抜け殻同士初秋刀魚 0 宮 沢子126鰡跳ねて水門の色陽のいろに 0 金丸菜斗127赤とんぼタクシーの窓すれちがい 0 斎藤 藍128閉店の張り紙破れ秋の暮 1 岩渕純子129一冊はどこでも鷗座豊の秋 0 高良和子130イタリア風スパゲッティに梨サラダ0 斎藤 藍131秋風を通せるタオルに馘首とは 0 翠 雲母132ワンピースは娘の仕立て生身魂 0 石口りんご133草の花兎を抱いて家出する 0 翠 雲母134無花果やグローバルなる熱気球 0 須田正子135秋風のこつんとあたるパンの耳 1 増田萌子136蟋蟀の演奏会のど真ん中 0 百目鬼英明137色のない風は私の色にする 1 岡崎久子138探し物まだ見つからぬ秋の暮 1 岩渕純子139耳遠き友へLINEの秋桜 1 増田萌子140蜘蛛の糸ウイズコロナに辿りつく 0 小平 湖141コロナ禍やインフルエンザは冬の季語0 中村ふみ142栗を剥く母さんなんて大嫌い 0 森谷路子143着るものを探してしまうすすき梅雨2 古川和美144白露今朝聖句インスタグラムより 1 森谷路子145変り野分過去まで消せるボールペン0 信岡さすけ146舌足らずのティラノサウルス七五三3 栗原かつ代147デルタ株夏の球児を辞退させ 0 古川和美148秋の野へちっちゃな私置いてくる 0 小髙沙羅149橋下に秋の暗さも隅田川 0 安藤利亮150秋海棠紅滲ませる小糠雨 0 岩渕純子151秋津島波瑠の大宙水の秋 0 須田正子152ワクチンを打てば安心智恵子の忌 2 福島芳子153鵙の声われよわれよと生き急ぐ 0 磯部薫子154吾亦紅止まったままの大時計 0 岡崎久子155胡桃割るチロリン村は路地の裏 2 吉村きら156故里は水路の町よ鳥渡る 0 行成佳代子157実体験を好む俳人芋煮会 0 百目鬼英明158ワクチンを受く秋風を身にまとい 1 福島芳子159ティーバッグ糸のねじれて秋思かな 3飯島智160分身の影を連れ行く秋の蝶 1 石口 榮161つや姫の腰入れまでをばつたんこ 0 川目智子162沈黙の神よ疫(えやみ)の百日紅 2 松田ひろむ163風見鶏まかせや後の更衣 0 川目智子164彼岸花彼方此方の浄土かな 2 高良和子165秋富士の車窓は見ずにスマホかな 0 安藤利亮166立腹を寝かせてみたが秋暑し 1 中村ふみ167孫の手の届くあたりに月兎 1 鈴木砂紅168かりそめの恋なら許す葉鶏頭 0 小柳 梓169乱れ咲く風のコスモス沸騰す 0 近田吉幸170高級魚一丁と亭主秋刀魚焼く 0 金丸菜斗171一億円はご辞退します鹿の恋 0 松田ひろむ172耳朶はやさしきところ衣被 4 増田萌子173食べず嫌い本当はうまいだだちゃ豆0 古川和美174平然と藤井三冠秋高し 1 津田文江175枝豆のひと部屋ここの波の音 0 小平 湖176萩の風かくれんぼうはやめにしよ 0 磯部薫子177秋暑し戸越銀座を猿走り 0 中村ふみ178五・六個の冬瓜退屈客を待つ 0 安原南海子179灯を消せば鈴虫の夜となりにけり 0 近田吉幸180舌頭に千転零余子飯炊く 0 宮 沢子181聞きたくない話ばかりや黴の花 0 中村ふみ182萩の花手拭ぬぐい皿ふきに 0 斎藤 藍183早稲の香や立山連峰仰ぎみて 1 磯部薫子184紅白の総裁選挙ましら酒 1 小平 湖185芒原入る少女に尾が生えて 0 石口 榮186八十へ着地がぐらり隼人瓜 6 小平 湖187身中の虫もまじりて虫時雨 1 後藤よしみ188パンのみに生きるためです稲を刈る2 翠 雲母189陽の匂ひ山河に溢し大花野 0 須田正子190冥界をのぞくみ仏敗荷 0 栗原かつ代191秋うららタイヤの溝の礫を取る 0 安藤利亮192秋桜不自由なんて怖くない 1 小平 湖193未だ青き団栗を踏み頂きへ 0 荻野樹美194あれもこれも今ならわかる秋の暮 0 川崎果連195小鳥来る異国語消えた伽藍堂 0 栗原かつ代196温め酒今日もあしたもあさっても 0 吉村きら197金木犀吾が煩悩の捨て所 0 小柳 梓198昨日よりすてきな時間銀木犀 2 白石みずき199手のぬくみ添えて折鶴敬老日 1 増田萌子200蝉時雨会えなくなりしひとの文 0 福島芳子訂正124正=新走り 誤=粗走り 175正=枝豆 誤=仇豆 (第19回鴎座通信句会)投句締切=10月26日。5句まで。参加費500円。その他要綱は従来通り。
2021年10月05日
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