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2007年06月28日
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カテゴリ: 戦争映画
1994 フランス・ドイツ・イギリス・アメリカ  監督:ジャック・エルトー
出演者:ジャン=ピエール・ヴーヴィエ、ザビエール・デュリック、モーリス・バリエ、ヤン・エプスタン、へスター・ウィルコックスほか
115分 カラー D-DAY MINUS ONE, 1944/Un jour avant l'aube


 昨日に引き続きDデイ関係映画。これもVHS版しかないので、中古ショップから捜してきました。テレビでも何度か放映されたことがあります。大量処刑シーンが印象に強いです。

 Dデイ(ノルマンディ上陸作戦)50周年に製作されたフランスのテレビムービー。Dデイ前夜に、いち早くフランス内陸部に降下し、破壊工作に従事した自由フランス軍特殊部隊の活躍を描いたもので、登場する人物、地名ともに実在のものとされ、Dデイ作戦の先陣を切った陰の功労者的扱いとなっている。レンタル落ちのVHSで見たせいもあるのだろうが、画質はかなり劣悪で、セピア色に退色したような画像で見づらかったが、内容的には激しいアクションあり、悲劇あり、恋愛ありと飽きさせない出来。
 ただ、自由フランス軍部隊がノルマンディー上陸作戦の先陣を切ってパラシュート降下潜入するという、何とも勇敢な話なのだが、どこまで史実に沿っているのかが気になる。一般的には、ノルマンディ上陸作戦で最初にフランスに降り立ったのは、上陸戦に先立ってパラシュート降下した米軍第82及び101空挺師団と英軍第6 空挺師団とされ、自由フランス軍はソード海岸上陸戦参加の英軍第1特殊任務旅団配下としてフィリップ・フケ中佐のコマンドー部隊がDデイ当日に上陸しているのみである。本作の自由フランス部隊はそのコマンドー部隊とは違うものであり、一体何者なのか。
 当時、イギリス特殊工作部(SOE)とアメリカ戦略事務局(OSS)は、ノルマンディ上陸作戦の成功を期すため、ド・ゴールが結成していたフランスレジスタンスの国内軍(FFI)と協力して、フランス内部の鉄道、道路、トンネル、独軍軍事施設などの破壊工作を行っていた。その支援のための組織に「ジェドバラ」「クーニー」「サセックス」といったチームが組織されており、その一部に自由フランス軍兵士が割り当てられ、Dデイまでに相当数の兵士がフランス国内にパラシュート降下していたらしい。本作のコマンドー部隊は、そのフランスレジスタンス支援組織のことを指しているのではないだろうか。Dデイ前日にも降下した部隊があったのかどうかは知らぬが、本作に描かれているような破壊工作任務についた部隊があったことは間違いないようである。ちなみに、本作のエピローグでは、「430人の落下傘兵のうち77人が死亡。190人が負傷又は行方不明となった。戦後、フランス解放勲章を授与」とあったので、Dデイ前後にフランスに降り立った自由フランス軍兵士の逸話をもとにしたということなのだろう。自尊心の強いフランスだから、かなり誇大誇張したのであって、ノルマンディー上陸作戦の先鋒を切ってというのは、いささか言い過ぎだろう。
 本作中で登場するもう一つのエピソードとして、レジスタンスが集団虐殺されるシーンがある。実に悲惨なシーンなのだが、Dデイからわすか4日後にオラドゥール村で起こった、武装SS「ダス・ライヒ」装甲師団ディックマン少佐による虐殺事件をモデルにしたのではないかという気もする。このオラドゥール村の惨劇は村民 643名が殺され、わすが6名(うち女性1名)だけが生き残ったとされる。

 全編フランス語で進んでいくが、登場する自由フランス軍兵士役は大人しめの演技で、片腕の中佐(字幕では大佐になっていたが)だけは目立っていたが、全体にインパクトが弱い。登場人物の性格付けも浅めで、ドキュメンタリー調にするには丁度いいのだろうが、顔がわかりにくい分、思い入れがしにくいのが難点。女性では英軍士官とレジスタンス少女役の美女が登場し、アクセントとなっており、英軍士官役の美女へスター・ウィルコックスは一瞬だが美乳も披露している。一応恋愛シーンも入ってはいるが深入りせず、性格付けも浅めなために、全体に淡々とした流れで進んでいく。後半は特に悲壮感が強くなり、エンディングも結構凝っていて、悲しいような勇壮なような複雑な締めくくりは、本作がDデイ50周年という記念的企画であることを物語っている。

 戦闘アクションは、そこそこの火薬量で派手さはあるが、自由フランス軍兵士の銃乱射シーンや横一列でなぎ倒されていくドイツ兵など、やや粗雑な作りも目立つ。使用される航空機としては、Fieseler Fi 156 Storch(シュトルヒ)連絡機が登場する。カウルがついておらずエンジンむきだしで、脚が細いこの機体は「 ザ・ロンゲスト・デイ2(1994米) 」にも登場した機体と同一のものと思われる。このほか、兵員輸送機としてC-47スカイトレインが出てくる。AFVでは、実車と思われる10連装ロケット搭載のオペルマウルティア42式ロケット砲(15cmパンツァーベルファ42、150mmPanzerwerfer42/SdKfz.4/1)が1台登場している。実際に走行もしているし、ロケット砲も発射しているように見えるが、どこから調達したものか。このほか、これも実車と思しきヘッツァーやキューベルワーゲン、トラックの類が出てくる。
 また、本作では記録映像も随所に取り込まれており、ノルマンディー上陸戦はもとより、パラーシュート降下シーンなどの映像が用いられている。中でも、フランスレジスタンスの破壊活動を表現した映像シーンでは、爆破される橋や構造物に混じって、ドイツ軍車両を乗せた機関車転覆シーンが登場する。このシーンは「鉄路の闘い(1945)」からの流用だ。

 エピソード的には刺激的で興味深い題材を扱っているが、全体にのっぺりとした作りなのでちょっともったいない。もう少し、登場人物の性格付けに力を入れてあれば、商業的映画としては成功しただろう。ただ、ノルマンディー上陸作戦の裏で、こうした自由フランス軍やレジスタンスの活動があったことを知るうえでは、貴重なフィルムだといえる。


興奮度★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★
感涙度★★



 自由フランス軍のロッシュ大尉、モリー中尉、ロナン中尉は親友で、ともに英国内で英軍特殊部隊の訓練を受けていた。早くフランスに戻って戦いたいロッシュ大尉らは、英軍空挺部隊司令官のマックィーン将軍に直訴するものの却下され、逆に自由フランス軍の指揮官ブルジャン中佐に叱責される。自由フランス軍にはパン屋のデブノ、インテリのデコルピエールら一般人も志願し、ブルジャン中佐は「この世で役に立たないものは法皇の性器とパン屋(インテリ)だ」と罵る。そのデブノは降下訓練で飛び降りることができず、中佐から除隊を言い渡される。
 ドイツ軍の空襲もひどくなり、いよいよ連合軍のノルマンディ上陸作戦の日が近づいてくる。ロッシュ大尉はマックィーン将軍に呼び出され、フランス上陸戦への参加を聞かされる。酒場で英軍兵と喧嘩をしていた兵士のもとにも伝えられ、歓声が沸く。作戦会議が開かれ、自由フランス軍は上陸地点とはまるで関係のないウィストルアムへ行けとの命令が下される。主力からはずされたとして中佐とロッシュ大尉は司令官に抗議に行くが、実は自由フランス軍部隊をDデイより一日前に降下させる(一番にフランス上陸を果たす)という、司令官の配慮であったことを知る。
 450名の自由フランス軍兵が降下することとなり、クロワジク中尉、シャントルイユ中尉の隊はコート・デュ・ノール(現コート・ダルモール)に行き、モリー中尉とロナン中尉の隊は南部モルビアンのサン・ミッシェルへ降り、パリ・ブレスト間の鉄道トンネル破壊を命じられる。だが、最も行きたかったロッシュ大尉は司令官の命令で司令部に残ってまとめ役をするよう言い渡される。
 自由フランス軍部隊はDデイ前夜に降下。モリー中尉の隊は無線機を失い、4名がドイツ軍に捕まってしまう。捕まったデブノは逃げだそうとして射殺され、戦死者第一号となる。ロナン中尉は部下を引き連れてトンネル爆破を計画し、フランス人駅員の協力で爆薬を仕掛ける。しかし、手違いから列車が反対路線を走ってしまい失敗。だが、運よくドイツ軍の輸送列車が通りかかり、トンネルもろともドイツ軍列車が吹き飛ぶ。
 司令部のロッシュ大尉は、モリー中尉からの無線連絡がなく心配していたが、合流したレジスタンス国内軍のビナチェ大尉の無線機で作戦が成功した事を知る。さらに、レジスタンス志願兵が多数応募してきており、速成で訓練を施してやる必要が発生した。マックィーン司令官は勝手な行動に怒るが、数日の猶予を与え、現地支援のためにブルジャン中佐を送る。またもや、フランス行きから漏れたロッシュ大尉は、つきあっている彼女(マリー中尉)がチャーチル首相の姪だと知り、そのせいだと言ってマリーにイライラをぶつける。
 レジスタンスは数百人にふくれあがり、ドイツ軍も黙ってみているわけにはいかなくなる。レジスタンス根拠地を包囲したドイツ軍は、ロケット砲などによって攻撃を仕掛け、レジスタンスも独兵200名を殺害するも30名の損失を出し撤退を余儀なくされる。モリー中尉とブルジャン中佐は分散して潜伏することに。
 モリー中尉から無線機を遅れとの要請に、司令部ではスタインバック少尉を送り込むことに。しかし、落下傘降下に失敗し、独軍に捕まってしまう。独協力フランス人のズィンマーはスタインバック少尉になりすまして、レジスタンスの少女ジャクリーヌと接触に成功する。独軍は迎えに来た神父を殺害し、モリー中尉らレジスタンスの隠れ家を探り出し、攻撃に向かう。一方、状況報告の異変に気づいたロッシュ大尉は、罠だと察知し、すぐさまブルジャン中佐に連絡し、中佐はジャクリーヌにモリー中尉へ撤退しろとの伝言を託す。しかし、ジャクリーヌは夜間外出の禁止で拘束されてしまい、モリー中尉への連絡ができなかった。
 モリー中尉の隠れ家に独軍が突入。モリー中尉らはその場で全員射殺される。その中で、ロナン中尉だけが奇跡的に生き残った。遅れて駆けつけたジャクリーヌは親友のミレイユの死体にすがって泣くのだった。
 親友の悲報に接したロッシュ大尉に、ついに出動の命令が下る。ブルジャン中佐と合流したロッシュ大尉は、独軍がプルベラックに集結しているとの情報で、米軍が空爆を計画していることを知る。村民1,750名の命が危ないと察したロッシュ大尉は、ロナン中尉らと2台のジープに搭乗して独軍の集結する市街地に突入する。独軍のヘッツァーの直撃を受けてロッシュ大尉は戦死する。
 戦後、生き残ったロナン中尉はインドシナのディエン・ビエン・フーの戦闘に参加、捕虜となるが脱走。さらに、アルジェリア戦線にも参加し、フランス東部の駐屯地部隊の隊長で引退する。



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最終更新日  2007年06月28日 09時33分34秒
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