
なぎさ
私は、自分を単純な人間だと思っている。然し複雑な社会が待ち構えている。人生は五十年で生き
た時代ではない。勿論昔が良かったというつもりはない。つい昨日まで大衆は価値観や世界観がそれほど変
わらずにライフスタイルを続けられていた。ただ目先のことに目を向けていれば、それが貧しい生活
だったとしても我慢できたのだろう。世間並みであることが謂わば目標ですらあったかのかも知れない。
今はどうだ。あらゆるフレームワークがなくなりつつある。ごちゃまぜの自由があるだろう。謂わばスープの
海がある。日本人が、かって、誇り高い民族だったなどというつもりもない。大してプライドをもっていた訳
でもなく、ただ国に忠誠を強いられていたに過ぎない。隷属していたと言っていいだろう。
憲法を押し付けだと騒いでいるが、そんなことはいま気付いた事でもない。昔からそう皆が思っていたの
だ。押し付けられていたのは、憲法ばかりではない。主権も人権も民主主義も抑圧されていたではない
か。またぞろ私たちは、「なぎさ」にいる。あるのは、裸の日本人たちだ。青い海と宇宙が見える。
これから、何ができるだろう。また砂漠に戻るのか。海に乗り出すのか。宇宙に旅立つのか。私たちは
じっとそのことばかり考えている。