
これは、どうも意図的な考えがあってのことだと言わざるをえないようだ。政府側の史料をつかって描くしかないようにしたのであろう。これらは、上申書や、個人やその人の属した部隊の記録だから、謂わば点と線を繋ぐものであり、全体像を知ることには限界がある。従軍の実態が見えにくいはずだ。
どうも日本に優れた歴史家が出ないのは、この国には、正しい史料が少ないからかも知れない。入牢させた罪人の塩を抜いて根気を失せさせるような姑息な文化ではないか。青竹に、節を作らせないような教育がされている。強い人間を造ろうとしなかったのは、支配者が、それでは困るからだろうか。将軍を大奥に閉じ込めるような政治があったからだろうか。誰が、この国の支配者だろうか判らないような時代がつづいた。
史料を残そうとしない社会とは、この国の歴史の実態を読み解くことの難しさだろう。