《1》死亡率

《２》 重症化の危険因子 （重症になりやすい人）次のようなものが報告されます。とくに死亡に関連する因子としては、高齢（６０歳以上）、現喫煙、高血圧、糖尿病、呼吸器疾患、心血管疾患、息切れ、胸痛、低リンパ球、高ＬＤＨ（血液検査の一種です）、高用量ステロイドの使用、ＡＲＤＳ（経過中に起こる合併症で、急性呼吸速迫症候群）の発症などがいわれています。
＊現在、死亡率の人種差や、重症になりやすい人に遺伝的な素因がないかどうかはいくつかの研究が行われているところです。

《３》コロナ感染した場合の病態 ―体のある種の酵素（これをｈＡＣＥ２＝human angiotebsin-converting enzymeといいます）を通して体の中に侵入してきます。この酵素は、肺胞、血管、腎臓、心血管組織、小腸、精巣、脳などの免疫細胞に存在しています。侵入部位に対応した各種症状を起こすと、肺炎、呼吸不全、播種性血管内凝固（血管内で血液が固まる病態）、腎障害、循環器症状（狭心症／心筋梗塞など）、消化器症状（嘔吐、下痢）、脳神経症状（頭痛、嘔気、嘔吐、嗅覚、味覚障害）を起こすと考えられています。
そして重篤化すると、サイトカインストームがおこります。サイトカインとは他の細胞に命令を伝達するための細胞からでるタンパク質ですが、コロナウイルスによる感染の量が多くなると、炎症の量も多くなり、サイトカインも大量に放出されます。それをサイトカインストーム（サイトカインの暴走、免疫暴走）と呼んでいるのです。
こうなると全身状態の悪化や血栓形成に繋がります。現在重症患者にサイトカインを抑えるような免疫抑制療法もすでに検証が始まっているようです。

《４》感染経路から考えた予防法 ―基本は飛沫感染、接触感染対策となりますが、インフルエンザと異なり、ウイルス付着後、感染力のある生存期間が数日以上あることを重要視する必要があります。この点では手洗い以外にも、環境において、ドアノブや机、パソコンのキーボード、スマートホンなどのこまめな清掃、密閉された閉鎖空間がクラスター形成のリスク因子として挙げられていることから十分な換気などの環境整備が重要と考えられます。
※ちなみに、アルコールの効果は、手洗いよりも大きいことが分かっています。
※実は、マスクの予防効果は、それほど大きいとは言われていません。マスク着用とセットでこまめな手洗い、首から上を極力触らない、触る時（顔をかいたり飲食など）には必ず手洗いや消毒後の手で行うと良いと言われています。
※紫外線について、効果はありますが紫外線照射機の効果については、まだ確立されていないと思います。
コロナについては、まだまだわからないことが多く、今からいくつかのエビデンスが積み重ねられるでしょう。また、その度に私たちも対策を考えていくことが必要です。
コロナは、コロナによる感染症の問題だけではなく、いくつかの間題を起こしてきました。

①人との接触が減ることでの孤立や孤独、精神的ストレスの問題、
②外に出る機会が減ったための、運動不足や体重増加、
③経済的な問題からの生活困難
などがそうです。

コロナ対策には、孤立や経済的な問題に対する対応も含まれると思います。
病気を知り、正しく恐れながら、互助組合のみなさんと取り組んでいけたらと思います。

「健康ニュース」2020年7月号より

新型コロナに感染した場合、免疫暴走によって重篤化する仕組みも分かってきました。
感染経路も飛沫感染だけでなく、接触感染なども注意しないといけません。ドアノブやパソコンのキーボードの消毒。ウイルスの生存期間は数日もあります。

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