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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2009.10.06
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 春闘ではベア・ゼロ回答が相次ぎ、賃下げも辞さない動きが広がるなか、賃金デフレ喧伝されていますが、実はすでに前から賃金デフレは始まっていたそうです。

 それは主に、賃金の安い非正規社員への雇用構成のシフト、ボーナスなど特別給与の圧縮、という形で人件費コストの圧縮が図られてきたことによるようです。

 そして、正社員の基本給部分まで賃金削減のメスが入りつつあります。

 ”賃金デフレ”(2003年11月 筑摩書房刊 山田 久著)を読みました。

 ここ数年来、賃金は伸びないばかりか、実質上の賃下げも行われている実情を検証し、賃金デフレの実相を明らかにしています。

 2003年の著書ですが、いまでも新鮮な気がします。

 山田 久さんは1963年大阪府生まれ、1987年京都大学経済学部卒業後、住友銀行入行、同行経済調査部、日本経済研究センター出向を経て、1993年から日本総合研究所へ出向、日本総合研究所調査部主任研究員、2003年より調査部経済研究センター所長。

 1997年半ば以降にみられる名目賃金の右肩下がりのトレンドの底流には、アジア諸国の日本経済へのキャッチ・アップの進展に伴うわが国製造基盤の縮小があります。

 生産性伸び率の鈍化を通じて賃金下落圧力となり、安価で良質なアジア製品の流入が国内財価格を押し下げ賃金デフレの圧力となっています。



 このような賃金デフレは、既に雇われている人の雇用を守る効果がありますが、若手失業の深刻化という問題を生み出しています。

 また、年功賃金にかわって最近日本企業が導入を始めている成果主義は、人材育成やチームワークにとってマイナスとの調査結果もあります。

 新興工業国の台頭に伴う成長力低下、デフレ圧力に対する先進各国の対応には、3つのパターンが見られるそうです。

 1つはドイツ型で、賃金・物価といった価格体系を維持する一方、失業・空洞化という数量で調整する価格維持・数量調整型の対応方式、

 2つは日本型で、雇用・生産量という数量を維持する一方、賃金・物価といった価格面で調整する価格調整・数量維持型の対応方式、

 3つはアメリカ型で、産業構造のダイナミックな転換を特徴とした価格・数量転換型ともいうべき方式です。

 日本の対応の特徴は他に比類のない名目賃金のフレキシビリティーにあり、アジア諸国のキャッチ・アップの進展に伴う製造基盤の縮小傾向がみられるなかで賃金下落圧力が強い状況下、バブル崩壊後の膨大な産業調整圧力を緩和・吸収するに十分なだけ名目賃金が柔軟であったため、賃金デフレが現実化していると説明されるようです。

 しかし、失業率の上昇テンポを緩和するものの、事業再構築よりもコスト削減を優先する企業行動を招きやすく、今後も長期間にわたって経済活動の停滞と失業率の上昇傾向が続く恐れがあります。

 賃金デフレからの脱却には産業構造の転換を通じた生産性向上が不可欠で、製造部門がサービス部門を引っ張るという従来のパターンを脱却し、製造部門とサービス部門を両輪にした新たな成長パターンを築き上げることが必要です。

序章 賃金デフレの時代
第1章 賃金デフレの実態

第3章 賃金デフレは職場や個人生活をどう変えるか
第4章 「成果主義」は救世主になるか
第5章 「働き方の多様化」は何をもたらすか
第6章 賃金デフレを超えて







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Last updated  2009.10.06 19:04:22
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