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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2020.07.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 コンビニは年中無休で長時間の営業を行い、小規模な店舗において主に食品、日用雑貨類など多数の品種を扱う小売店です。

 ”コンビニ おいしい進化史 売れるトレンドのつくり方”(2019年12月 平凡社刊 吉岡 秀子著)を読みました。

 半世紀にわたって多様な角度から生活に革新をもたらした「コンビニの食」のおいしい変遷、おにぎりとか、スイーツとか、みんなが知っているヒット商品の移り変わりを紹介しています。

 1927年にアメリカ・テキサス州の氷販売店「サウスランド・アイス社」で経営を委任されていた「j.j.グリーン」は、氷の需要が高まる夏季には「週7日・1日16時間」と営業時間を延長し、客に喜ばれていました。

 さらに客からパン、卵、牛乳なども取り扱ってほしいとの要望があり、これらも扱うようになったことでコンビニの原型となりました。

 同店は、後に「セブンイレブン」と改称しました。

 1939年にはオハイオ州で牛乳販売業を営んでいた「J.J.ローソン」が、「ローソンミルク社」を設立し、牛乳のほかに日用品等も販売する小型店「ローソン」をアメリカ北東部にチェーン展開しました。

 このように、コンビニはもともとはアメリカで誕生した業態ですが、後に日本で独自の発展を遂げました。

 たとえば、POSシステムなどのコンビニのシステムは日本から世界に拡大しました。

 吉岡秀子さんは北海道生まれの大阪育ち、関西大学社会学部マスコミ学科を卒業し、10年の会社員生活を経て、2000年代前半からコンビニ業界の現場取材をライフワークにして現在に至ります。

 自他共に認めるコンビニウォッチャーで、ビジネスやライフ雑誌、ネットニュースなど多数のメディアでコンビニ情報を発信しています。

 『セブン‐イレブンおでん部会-ヒット商品開発の裏側』『セブン・イレブン 金の法則-ヒット商品は「ど真ん中」をねらえ』などの著書があります。

 経済産業省の商業統計の業態分類としての「コンビニエンスストア」の定義は、「飲食料品を扱い、売り場面積30平方メートル以上250平方メートル未満、営業時間が1日で14時間以上のセルフサービス販売店」を指します。

 店舗の経営形態には、フランチャイズ・チェーン方式(FC方式)、ボランタリー・チェーン方式(VC方式)、チェーン等に属さない独立経営のコンビニエンスストアなどがあります。

 日本経済新聞の2014年度の調査では、国内市場が初めて10兆円を超える規模に成長しました。

 トップシェアのセブンイレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの上位3社だけで、約8割のシェアに達しました。

 2020年2月末の4社合計の総店舗数は50,3285店です。

 コンビニに代表される都市型小売店の意義は、スペースを売る点にありました。

 都市の多くの小さな住宅では日用品を備蓄するスペースが少なく、必要になるたびに店で買い足す方法が合っていました。

 また、コンビニは共働き世帯や単身者が激増し始めた1980年代に、深夜でも利用できる備蓄庫として消費者の支持を得て時間を売る機能の提供を始め、24時間営業はブランド価値の源泉となりました。

 生まれた時から周りにコンビニがたくさんあったコンビニネイティブ世代は、いったい何をおいしいと思い、何に魅力を感じて近所の店を利用してきたのでしょうか。

 セブンイレブンの創業者は、経済成長で日本人が日夜多忙になれば、外で気軽に食べられるおにぎりや弁当、おでんなどが求められると読み、オリジナル商品の開発に乗り出しました。

 コンビニのヒット商品を見れば、その時代の日本人のライフスタイルや消費者ニーズかわかると思われます。

 昭和の黎明期を経て成長、成熟したコンビニは、平成の30年余りの間で劇的に進化しました。

 令和に入った今は、またそのモデルが大きく変わろうとしています。

 本書では、まず、コンビニの成長過程と当時のヒット商品を洗い出し、第2ステージとして、セブン・ファミマ・ローソン、各々のヒット商品の進化を探りました。

 なぜ、この商品は生まれたのか、どんなねらいで開発されたのかなどについて、できる限り担当者に会い、開発背景の証言をもらったといいます。

 コンビニ大手3社のオープンは、ほぼ同時期です。

 セブン1号店は1974年に東京・豊洲で、ローソンは1975年に大阪・豊中市で、ファミマは1973年に埼玉県狭山市で、それぞれ1号店をオープンさせました。

 その他に、北海道の現セイコーマートや山崎製パン傘下のデイリーヤマザキなども1970年代にスタートしています。

 平成に入った当初の1990年、セブンだけでも4000店舗を超えるチェーンネットワークを構築していました。

 今では業界全体で6万店に手が届き、あちこちで見かけるようになったコンビニの「食」に、消費者がなじんでいくのは当然でした。

 1980年代の昭和後半から平成はじめに、「食」の簡便化が行われました。

 コンビニ黎明期に登場したおにぎりや弁当などか定着し、外で食を買うということが普通になりました。

 代表的なヒット商品は、セブンの「ブリトー」、ローソンの「からあげクン」など、手軽に食べられるものでした。

 その他、缶切のいらない缶詰である「プルトップ缶」の商品を、初めてセブンが販売を開始しました。

 1990年代には本格志向ヘのシフトが行われました。

 常温棚にあったサンドイッチなどの調理パンがチルド売り場で販売され、フレッシュな具材が使えるよりになり、おいしさかアップしました。

 また、セブンはアイスクリームもデザートとの新しい発想で、昔ながらのアイスケースを大型のものに変更しました。

 現在の冬アイスー・冬スイーツのルーツはここだといっていいでしょう。

 ファミマはファストフード用の新保温什器の「ホッターズ」をレジ横に導入しました。

 冷たいデザート、温かいおやつの拡充などで、若者や働く男性の集客に成功しました。

 2000年代には差別化商品が台頭しました。

 米飯、麺類、ベーカリー、ファストフードなど、主食や小腹対策のオリジナル食が出ぞろい、どのチェーンも売り場のスタイルはほぼ確立しました。

 そのため同質化を避けてリピーターを獲得するために、このチェーンでしか買えない商品が続々と開発されました。

 コンビニ限定商品にわくわくする消費者が多く見られるようになりました。

 代表作はセブンのオリジナルカップラーメン「有名店ラーメンシリーズ」、セブンプレミアム、ローソンの「おにぎり屋」、ウチカフェスイーツ「プレミアムロールケーキ」、ファミマの「ファミチキ」などです。

 今でもファンに愛され続けるヒット商品が多いです。

 2010年代の平成から令和はじめに中食・健康メニューが増加しました。

 2008年から始まったメタボ健診や、2010年代初頭にブームになった「糖質制限ダイエット」などの影響で、コンビニメニューも「健康」をより意識するようになりました。

 全国で15歳未満の子どもより75歳以上の高齢者の人口が多くなり、深刻な少子高齢社会に突入し、健康寿命を延ばす「食」がますます重視されていきました。

 コンビニメニューも野菜の使用量を増やしたり、既存品を糖質オフヘ転換したりと、商品のヘルシー化に注力しました。

 2011年には東日本大震災が起こり、直後に店を開け続けたコンビニが多かったことから、コンビニの新規顧客として女性やシニアが急増しました。

 買ってすぐ食べるおやつ需要だけでなく、ふだんの食事時に利用される惣菜類の人気が高まりました。

 すでに販売されていたセブンプレミアムを筆頭に、ローソンセレクト、ファミリーマートコレクションなど、多くのオリジナル惣菜シリーズを持つブランドの認知度がアップしました。

 コンビニの食の歴史を俯瞰すると、その変化は「冷蔵庫」から「食卓」ヘというキーワードに集約されるといいます。

 昔は必要な物だけ緊急買いしていた場所なのに、いつの間にか入り口に買い物かごが置かれ、献立を考えながら歩く主婦やシニアの姿が目立つようになりました。

 しかし、一方で、流通勢力図の変遷に目を移すと、平成時代はアマゾンはじめ、Eコマースの台頭が著しい時代でした。

 また、2013年以降は人手不足が深刻となり、人件費の高騰による赤字時間帯の増加に加え、若者人口の減少、高齢化もあり客数が減少しました。

 このため、24時間営業の死守が困難なフランチャイズ店が続出するに至り、加盟店と本部との軋轢が生じる事態が生じるようになりました。

 年間閉店数は2018年が3,610店、2019年が2,050店で、2018年の総店舗数に占める閉店店舗の比率は6.8%となり、経営の厳しさがしのばれる時代になりました。

 これまで進化してきたコンビニの「食」ですが、そんな「今」を思いながら、コンビニの「おいしい軌跡」を想起してほしいといいます。

はじめにーーコンビニのおいしい変遷
第1章 コンビニおにぎりは、どう進化した?(コンビニおにぎり(1978年~))/第2章 セブンーイレブン(シャキシャキレタスサンド(2005年)/レンジ麺(2006年)/セブンプレミアム(2007年)/セブンカフェ(2013年))/第3章 ローソン(からあげクン(1986年)/おにぎり屋(2002年)/プレミアムロールケーキ(2009年)/ブランパン(2012年))/第4章 ファミリーマート(中華まん(平成初旬~)/ファミチキ(2006年~)/ファミマカフェフラッペ(2014年)/ファミマの焼きとり(2017年))/最終章 ミライのコンビニ「食」(次世代コンビニ、開花間近)
半世紀のヒット商品スペシャル年表/参考文献





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Last updated  2020.07.11 08:20:21
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