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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2020.10.03
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 ”スマホの中身も「遺品」です デジタル相続入門”(2020年1月 中央公論新社刊 古田 雄介著)を読みました。

 他人では詳細が把握しづらく金銭的な価値を持つものが増えたため相続の場で問題化し始めている、故人のスマホやパソコンそしてインターネット上に遺されるデジタル遺品について問題点を整理しています。

 パソコン、スマートフォン、クラウドなどには個人情報が記録されていますが、情報の持ち主が死亡し遺品となったものをデジタル遺品といいます。

 持ち主が亡くなり遺品となったデジタル機器に保存された、データ、インターネット上の登録情報などの種類は多岐にわたります。

 SNSのアカウント、知人や友人の連絡先、日記や予定表、ネットショッピングの利用履歴、クレジットカード情報、ネットバンクの情報、IDやパスワードなどです。

 故人のデジタル機器を引き継いだ遺族が、データを消去しないまま機器類を売却したり、リサイクルショップに引き取ってもらったりすると、思いもよらぬトラブルに遭遇するリスクがあります。

 古田雄介さんは1977年愛知県生まれ、2000年に名古屋工業大学工学部社会開発工学科を卒業し、大豊建設株式会社に入社しました。

 2001年に同社を退職し、葬儀社の株式会社聖禮社に入社しました。

 2002年に同社を退職し、編集プロダクションの株式会社アバンギャルドに入社しました。

 2007年に同社を退職し、フリーランス記者として活動を始めました。

 2016年に記者活動と並行して一般社団法人デジタル遺品研究会ルクシーを共同設立し、代表理事に就任しました。

 2019年にデジタル遺品研究会ルクシーを解散し、現在に至ります。

 主なデジタル機器は、パソコン、スマートフォン、タブレット、モバイルルーター、USB、NAS、SDカードなどです。

 モバイルルーターにSIMカードが挿入されている場合は、SIMカードの解約と返却が必要になります。

 デジタルカメラやレコーダーなどは情報端末以外ですので、デジタル遺品の範疇外とされることもありますが、重要な情報などが記録されている場合、知らずに第三者に売り払い、情報が漏洩してしまう危険性もあります。

 デジタルの中に保存されている情報は、大きく分けるとテキスト、写真、アプリですが、さらに細かく見るといろいろなものがあります。

 クレジットカート情報、ネットバンキング、SNS、ブログ、知人が写っている写真、メール、ブラウザなどです。

 いずれにしても、デジタルの中に残っている個人情報は、流出すると悪用される危険がありますので、取り扱いに注意する必要があります。

 遺族は故人のデジタル遺品の中身を確認せずに、安易にオークションやリサイクルショップに売り払ってはなりません。

 著者が相談を受けた60代の女性は、長年連れ添った夫が亡くなりスマホのパスワードが分からずに困っているとのことでした。

 故人は1年前にガラケーからスマホに乗り換えたのをきっかけに、旅行先にもデジタルカメラを持って行かなくなり、もっぱらスマホで家族や仲間との写真を撮るようになったそうです。

 不慮の事故死だったため、亡くなる直前までの元気な様子の写真がスマホに残されているはずですが、端末にロックがかかっているため中身が見られません。

 指紋認証はもう使えませんが、パスワード入力でロックを解除できることが分かっていましたので、夫の生年月日や孫の誕生日など思いつく限りのパスワードを人力しましたが、一向にロックが解除できませんでした。

 スマホを契約している会社に相談にいっても、中身についてはノータッチで、どうにも打つ手がなくなりました。

 機種によっては、連続でパスコード入力をミスしたら工場出荷時の状態にする設定が選べる端末もあります。

 残念ながらこの状態になったら、スマホを元どおりに復旧することは不可能です。

 遺品は持ち主が亡くなったときに生まれ、家の中を見渡せば、仕事道具や趣味のコレクション、普段使っているマグカップ、書斎の椅子、玄関を開けたら愛車に自宅などがあふれています。

 今では、遺品は目に見えているものだけではなくなっています。

 たとえば、スマホやパソコンの中に保存されている写真やメール、各種のデータ、インターネット上にあるフェイスブックやツイッターといった自分のSNSページなどもれっきとした遺品候補です。

 いまや老若男女を問わず、デジタルの機器やサービスを使わない生活はほとんど考えられなくなりました。

 デジタルが私たちの生活に本格的に浸透し始めたのは1990年代であり、1995年にはWindows95が発売され、インターネットが流行語大賞にノミネートされました。

 民生機としてのデジタルカメラで初のヒット作となった、カシオ計算機のQV-10が売り出されたのもこの年です。

 1999年にはNTTドコモが携帯電話向けにiモードをスタートさせ、2000年には一般家庭でのパソコン普及率が過半数に達しました。

 ADSL等の常時接続環境も広まり、数年後にはインターネット普及率も5割を突破しました。

 2008年にはアップルのiphone3Gの国内販売がスタートし、スマートフォンが流行する嗜矢となりました。

 社会の枠組みとしても、デジタルやインターネットを活用するのが当たり前となり、2009年から株式等振替制度により上場会社の株券がすべてペーパーレス化しました。

 2010年には銀行以外の企業でも送金業務を認める資金決済法が施行され、電子決済サービスが生まれる基礎となりました。

 現在、国を挙げて推し進めているキャッシュレス化も、デジタル環境なくしては成り立ちません。

 それだけ重要な存在となったデジタルの資産ですが、遺品となったあとの流れがピンと来ない人のほうが多いのではないでしょうか。

 いざというときに頼りにできる道筋が、デジタル遺品に関してはほとんど存在していません。

 デジタルは市井の道具としてまだ30年程度しか経っておらず、人類が遺品として対峙した歴史はさらに浅いのです。

 それだけに整備が不十分で粗が目立つところも多々あり、想定していないような事態が発生して、提供する側が右往左往することも珍しくありません。

 所有者の死後、遺された側ではどうすることもできないようなことも普通にあるようです。

 しかし、備えることはできますので元気なときからとれる対策はたくさんあり、その経験や知識は遺される側に立ったときにも大いに役立つでしょう。

 所有者が亡くなったあとに発生するデジタル遺品特有の問題は、大きく二つに分けられます。

 一つはデジタルだから起きる問題であり、もう一つは業界の未成熟さが招く問題です。

 この二つを区別して捉えることが、デジタル遺品を過度に怖がらない第一歩だと確信しているといいます。

 2005年にティム・オライリーが提唱したWeb2.0にちなんで、遺品2.0を提唱しています。

 デジタル遺品といっても遺品の一ジャンルにすぎませんが、表面的なところでこれまでの遺品と随分違うところがあります。

 多くの人が避けては通れないほど生活に浸透していますので、従来の遺品観にデジタル要素も混ぜ合わせ、少し本腰を入れてバージョンアップして向き合わないと厄介な存在になるのではないでしょうか。

 おりしも、相続法が約40年ぶりに大幅改正され、この激変のなかで相続対象としてのデジタル遺品への向き合い方も深まっていくでしょう。

 以前からある遺品もデジタルの遺品も、フラットに扱える遺品2.0の時代を迎えるのに絶好の機会ではないかと思うとのことです。

 逆にこの機を逃すと、相続の枠組みが現実のはるか後手に回ってしまい、余計な手間やストレスに晒される可能性が高まるかもしれません。

 デジタルの遺品に落ち着いて向き合い相続や整理を滞りなく済ませ、心ゆくまで故人を偲ぶのことが普通にできる手助けとなれば幸いです。

 紙のぬくもり、手書きのニュアンス、デジタルの無機質感、インターネットの仮想感、これらは本質の表面に色を加える程度のものという気がします。

 デジタルの持ち物が遺品になっても、デジタルの包みさえ剥がしてしまえば、あとは従来の遺品と同じように扱えます。

 ただ、その包みがちょっと見慣れないものであるうえ、剥がすのを手伝ってくれる人がまわりにおらず、下手をしたら包んだ側も剥がす方法を考えていなかったりします。

 ところが、例外はどんなジャンルにもあるようで、従来の遺品と置き換えにくいものもあります。

 それが故人が残したSNSやブログ、ホームページなどであり、従来の遺品と比較するととても特殊な存在ではないでしょうか。

 誰かの思惑があって誕生したわけではなく、サービスが提供され続けるなかでその辺縁に自然発生した、奇跡の形見といえますが、それはまるで海の漂流物のようです。

 デジタル遺品回りの環境は、これから数年でどんどん整っていくはずですが、先行するのは財産関連であり、思い出関連は遺族からの働きかけがなければなかなか先に進まないでしょう。

 今の時代だからこそ残りうる故人の縁というものがありますが、それに気づくにはデジタルの遺品と等身大で向き合わなければなりません。

 正体不明なベールを取り除けば、デジタルという表層も剥がしやすくなりますし、デジタルならではの故人の縁と出合う可能性は高くなるでしょう。

 それはきっと良いことだと思いますし、今後も多くの人との力を合わせて、デジタル遺品をフラットな存在にしていければと考えているといいます。

第1章 「遺品2.0」の時代 なぜデジタル遺品は厄介なのか/第2章 インターネット資産ー頼るべきは「法」よりも「個」/第3章 遺族としてのデジタル遺品整理術/第4章 遺す立場としての今日から始めるデジタル終活術/第5章 「5年先」「10年先」を見据えるデジタル遺品のこれから





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Last updated  2020.10.03 09:09:09
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