沢木遥の「幸せ力をつける練習日記」

沢木遥の「幸せ力をつける練習日記」

2003.07.26
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夜風に吹かれたくて、コンビニに買い物に出かけたら、川の向こう岸でちょうどやぐらを組んで盆踊りをやっていた。

このあたりは、都心に比べるとずいぶん地域の行事が残っている。盆踊りや夏祭り、花火など、夏が夏らしい。軽やかな太鼓の響きと、どこか懐かしいナントカ節。お祭り好きの私は、ドドン、ドドンという太鼓の音色に心が浮き立ってきたけれど、川を渡って見に行くほどでもないので、土手に腰を下ろして眺める。

夜になると濃くなる緑の匂い。ひんやりとした風。あたりは真っ暗で、黒い川は静かに流れている。対岸の提灯だけが赤々と眩しい。この土地に住むのは初めてなのに、もう何度も、こうやって川の向こうのお祭りを眺めたことがあるような気がしてきた。

鬼のお祭りに出くわして、茂みから覗くとか、魔女のサバトを盗み見てしまうとか。古今東西、民話にはよく似たモチーフがある。こういうシチュエーションは潜在意識のどこかに残っているのかもしれない。ぬすみ見ていることがばれたら、いけにえになってしまうことが分かっているのに、どうしても見ずにはいられない。自分が参加しない夜の祭りをみるときに、そんな妖しさをちょっと覚えるのは、よそ者は、本来秘儀である祭りを覗くのはタブーだからだろうか。それにしても、向こう岸、というのは異界の情景みたいでいい。「彼岸」だものね。

お盆は死者が還ってくる。死者の魂を歓迎して、生者と死者が一緒に踊るのが盆踊り。
此岸から彼岸の盆踊りを眺めている私。
私の魂は、どこにいる? そして、どこへ行くんだろう。
お祭りみたいに、花火みたいに、一瞬光って、消えちゃうんだろうな。
さびしくても、楽しくても、悲しくても、うれしくても、一瞬の。


たばこを売る自分を想像した
行きずりの男たちに身をまかせて
子供を生むこともできる自分を想像した

「セブンスター…。寂しくないですか」
「いいえ、ちっとも」

それが本来の姿であり
今のこれはむなしい夢である気がした

(近藤ようこ、「春来る鬼」)






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Last updated  2003.07.28 07:56:20
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StephaniE @ Re:恋愛における「人としての道理」とは(05/12) 所詮といってしまってはなんですが、恋愛…
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