沢木遥の「幸せ力をつける練習日記」

沢木遥の「幸せ力をつける練習日記」

2003.08.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「彼女の絵は辛辣で、やさしく、鉄のように固く、蝶の羽根のように繊細だ。笑顔の愛らしさ、残酷さも持つ。人生の苦みを。おそらく女性では彼女だけだろう、これほどの苦悩の詩を……」



フリーダ・カーロはメキシコ革命が収束するころに活躍した女流画家だ。
小児麻痺、18歳の交通事故で生涯30回もの手術、革命家であり壁画家であるディエゴとの結婚と、夫の奔放な女性問題による苦悩、亡命してきたトロツキーとの不倫とトロツキー暗殺、欧米での評価、流産と中絶、右足指切断……苦悩と愛と栄光が嵐のように吹き荒れる壮絶な47年の人生。

映画のポスターのコピーに、「愛する 描く 生きる」とあったけれど、彼女の人生は、まさにこれに尽きる。「痛みのない体なんか、もう忘れちゃったわ」というくらいの体を抱え、過酷な状況のなかで、命を燃やし続けた。この力強さ、美しさ。

人生は、好きなものをチョイスしてつくれるもんじゃない。
生まれる国も、親も、育つ環境も、自分の体さえも、運命に強引に押しつけられる。気づくと勝手に始まっていて、悩んだり、迷ったりすることばかり。だいたい、生きる意味さえもだれも教えてくれない。

けれど、確かに、ここに生命が与えられた。私はいま、生きている。それだけで、じゅうぶんじゃないか。精いっぱい生きよう。自分の魂が心から求めることを力ずくでやり続けよう。そして、愛し続けよう。苦悩なかにあっても、絶望の淵にあっても。いつか必ず来る終わりのときまで。

「出口が喜びに満ちているといい。私は戻りたくない」
フリーダの死のまぎわの日記の言葉のように、完全燃焼した充足感のなかで、息絶えたい。


フリーダが死の8日前に遺作に記した言葉。
「ビバ・ラ・ビダ――生命万歳」

帰途、電車を降りると、台風が去って雨が上がっていた。黄金の夕映えに息をのむ。
「ビバ・ラ・ビダ(生命、万歳)!」
そう、叫びたくなった。





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Last updated  2003.08.10 11:51:50
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