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情緒起源の認知(2)
3つの情緒の現われ方によって、私達の物の感じ方だけでなく、物の見方や考え方が影響されます。緊張性の情緒が現われることで、集中力が高まりますが、その分意識出来る範囲が狭くなります。狭い領域のことを深く追求する場合に役立ちますが、広い範囲の異なる情報を組み込んで考えるのには適していません。また、緊張性の情緒は、心の固さを生み出すので、固い信念を貫く場合には役立ちますが、物事に柔軟に立ち向かうには向いておらず、頑固な行動が目立つようになります。
興奮性の情緒は、心の切り替えを促します。1つのことに拘らず、様々な方向に注意を転換させるので、様々な情報を取り入れるのに向いています。ただ、その情緒を経験すると、一つのことを長く意識し続けることは困難となります。そのため、物事の把握を瞬間的な直観に頼ることになり、系統だった思考が困難となります。また、学んだことを時間をかけて記憶することが苦手となり、忘れっぽくなります。ただ、忘れやすいことで、恨みや後悔を後々まで引きずらないことになり、精神の安定に役立ちます。
リラックスした情緒は、安心感をもたらし、人との愛着関係、共感関係、信頼関係を築くのに役立ちます。それは、認知面では心の柔軟性や意識の広さに貢献します。様々な異なる情報を総合的に考える力を伸ばします。また、緊張性の情緒や興奮性の情緒を和らげる働きがあります。極端な情緒表現を緩和し、穏やかな性格を作ります。そのために強く自己主張したり、信念を貫き通したりすることは、それほど出来なくなります。
このように3つの情緒は、それぞれに特色のある情緒ですから、どの情緒が優位に現われるかによって、情緒的行動や認知的行動の傾向(性格)が決められることになります。つまり、性格によって行動の仕方が変わります。この性格は、意志や考え方を変えるだけで容易に変わりません。日常的な情緒表出の仕方を変えることが重要になります。そのことを説明しているのが本書です。
3つの情緒に左右される意識の持ち方によって、注意の持ち方も変わってきます。そして注意の持ち方によって認知の仕方が違ってきます。例によって考えてみましょう。例えば、母親がボールを転がすところを赤ちゃんが見ていたとします。緊張性の情緒状態にいる赤ちゃんは、ボールに集中し、「ボールが転がり続けている」と思うでしょう。興奮性の情緒状態にいる赤ちゃんは、「ボールがあった。お母さんがいた」と瞬間的で分断された見方をするでしょう。リラックスした情緒状態にいる赤ちゃんは広い視野で見ますから、「お母さんがボールを転がした」という見方をするでしょう。母親とボールを同時に意識出来るというわけです。

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