光透波(ことは)の泉【デジタル版】  しあわせの波紋                        

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カテゴリ: 好きな映画



★四月に込められたもの★

そういえば、今、四月だし、今のうちに紹介してしまわないと、ということで、『四月物語』。

手書き通信の「光透波の泉」【アナログ版】では、この映画を、何を血迷ったのか「12月」に紹介してしまい、大失敗をしました。
その時は、寒い時期こそ、心があったまるものを見るのがいいの!とよく分からない論理を持ち出して、言い訳をした覚えがあります。(^^;

だから、今回は、その失敗を教訓にして、この作品を、四月に紹介しなくてはならなかったと、そういう訳なんです。はい。

のっけから、余計な事を書いてしまいました。

本題です。

四月。それは、新しい始まりの時期でもあり、出会いと別れ、喜びと悲しみ、さまざまな相反するものが混じりあい、草木が芽吹き、景色に少しずつ緑が増えていき、そしてさまざまな花が開き始める時期でもあります。



なぜか一年の中でも、特別な気持ちになる四月を通じて、ひとりの女子大生が、少しずつ成長し、これから花開いていく、人生のほんのひとひらの花片のような、「断片」を、鮮やかに切り取って提示してくれた、作品。

見ていてピュアな気持ちを思い出す、そして、心があたたかな陽だまりに包まれるような、いつまでもぎゅっ…と抱きしめていたい、そんな作品です。

力の入った作品や重厚な大作もいいけれど、こういうホッとできる、ぬくもりのある掌の小品も素敵です。


★岩井俊二という才能★

監督は岩井俊二。
この監督は、中山美穂主演の『Love Letter』を観て、興味を持った監督です。

たとえば、『スワロウテイル』は、才能は十分認めるし、完成度もかなり高いと思うのですが、お腹いっぱいになりすぎて、再鑑賞はちょっと…というのもあれば、『Love Letter』や『四月物語』、そして、その延長上に位置する『花とアリス』など、ほのぼのした、心があったまる作品もあれば、そういう叙情性は一切排除した、世界が描かれる「痛い痛い」映画『リリィシュシュのすべて』など、いろんな作風があります。
総じて、この監督の作品は好きなものが多いです。


★物語の概要★

東京の武蔵野大学に進学する事になった楡野卯月(にれのうづき/松たか子)は、北海道を離れて一人暮らしをする事になります。

冒頭、駅での家族との別れの場面では、松たか子の実父である、松本幸四郎が父親役でほんの少しだけ出てくるのも一興です。




★キーワードは「一人暮らし」と「本屋」★

上記のふたつのキーワードが、私自身、この映画を観て、より気に入った理由でもあります。
それと、忘れてはならないのが「松たか子」…。(^^;

ただ、松たか子目当てで見たのではなく、彼女の存在自体そんなに知らなかったですし、この作品で、彼女を初めてまともに見ました。
そして一気に、彼女の魅力に取り付かれてしまいました…。



東京での一人暮らしをはじめた、楡野卯月(松たか子)。

映画というのはある意味、自分の体験と重ね合わせたりして、より深く入り込めるときがあるのですが、この作品で言えば、ひとつは「一人暮らし」。

私も大学の時に、一人暮らしをしたのですが、その時の頃を思い出しました。
特に一人暮らしをした事のある女性であれば、この主人公に大いに共感できるのではないかと思います。
何が起こるって訳ではないのですが、日常の出来事や何気ない一コマ一コマを、岩井俊二は、実に丁寧に、何気なく、すくいとっていきます。

夜、作りすぎたカレー(理由はあるのですが)を、一人ぽつんと食べる姿。
一人で手を合わせて「いただきます」と小さく口にして食べ始め、何か手持ち無沙汰で、リモコンを持ってきて、ぱちんとテレビをつける。でもテレビは、全然見る気はなくて、なんとなく寂しさを紛らすために、つけている。

身につまされるというか、その時の気持ち、わかるなあ、と印象に残る場面です。


★「本屋」というキーワード★

彼女は武蔵野堂という本屋へ良くいくのですが、私自身、本屋は大好きなので、本屋での場面も、いいなあ、と感じました。

楡野卯月が、静かなこじんまりとした「武蔵野堂」で、すーっ…と本の背表紙の上、指をすべらせて、時折、これ、という本のところで、ぴたりと指の動きを止める。
そして、その本を取り出しては、パラパラとページをめくって、見てみる。
また、すうっ…と指を滑らせていく。

こういう何気ない描写が、じつにいいです。

絵になる映像、というのでしょうか、そういう場面がいくつもあり、あくまでさらりとスケッチ風に、彼女の日常を映していきます。

私は、本が大好きなので、本屋に入って、本を眺めるだけで「しあわせ」になるようなところがあります。
また、どんな本に出逢えるのだろうか、というわくわく感は、たまらないものがあります。

そういう感覚を、楡野卯月こと、松たか子は、触発してくれました。


★武蔵野大学にかけた理由★

「何でこの大学受けたんですか?」

「そうですね…。えっと…何というか…。いろいろ… 環境… ていうか…。
……。すみません…。」

大学での自己紹介の時に、大学を受けた理由を聞かれますが、彼女はしどろもどろな受答えになってしまいます。

何故か?
理由がなかったから、ではなく、むしろ彼女には明確な理由が存在していたからです。そして、それを皆の前で言うのが恥ずかしかったから。

この「理由」は観ているうちに、大方予想はつきます。
楡野卯月は、そのために、「残り半年の高校生活のすべてを武蔵野に捧げます」


★楡野卯月の人物造詣★

今の時代に、果たして、楡野卯月のような純粋でひたむきで内気な女性が、どれくらいいるのだろうか、と思ったりもするのですが、むしろこの人物造詣は、監督岩井俊二を通しての、男性から見た女性の理想像が、多分に投影された結果、生み出された人物なのでしょう。

そして、物語は、これから、という時に、幕を閉じます。

美しい記憶の断片だけを繋ぎ合わせて映像にしたような、汚れのないきれいな物語です。
ある意味拍子抜けした感が最初はありましたが、「四月」という流れゆく季節のほんの一時を映し出せば、こうなるしかなく、次への希望、深い余韻を漂わせて、見事な仕上がりではないかと思いました。

そして、この映画は、一度だけではなく、2度3度と再鑑賞することをおすすめします。
はじめて見た時には、彼女の心理がよくわからなかった場面が、再鑑賞の時には、理解できているので、その場面の彼女の表情、しぐさなどから、内面の心理をより深く味わう事ができます。
なかなか、きめ細やかに作られた作品である事もわかります。


★松たか子のための映画★

そして、松たか子のプロモーション的な、松たか子のための映画であることも、間違いなく、彼女の魅力が最大限発揮された作品であり、松たか子自身の「青春」の断片を、鮮やかに切り取った作品として、記憶されるでしょう。

作品中に流れるピアノ曲は、松たか子本人の演奏だそうです。

この作品で、彼女に突如、惹かれたため、この後、CDも全部買って、聞くはめになったことはいうまでもありません…。
繰り返し繰り返し、これでもか!というほど、聞き続けたものだから、妻は、驚きを通り越して、唖然としていたことも、いうまでもありません。(^^;


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Last updated  April 8, 2005 01:04:44 AM
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