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2019.08.18
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カテゴリ: 映画館で見た映画



「君の名は。」が記録的大ヒットをとばした新海誠監督の新作である。
期待はしたが、鑑賞後に落胆しないように心構えしていた。まずまずの作品といえよう。傑作の後に、それ以上の傑作を作ることは難しい。まして、全国的に知られ注目され、期待された今となってはなかなか製作が難しく思えたであろう。
音は良かった。陽菜や帆高の声も、RADWINGSの音楽も、主題歌も三浦透子も。平泉成の声はすぐに成さんとわかった、わかりやすい(笑)。
もちろん映像も良かった。新宿や池袋を丁寧に鮮明に描いていて、とても良かった。
物語は、どうだろう? この作品でも時空を超えた世界が出てくるけれど、それはまた「君の名は。」とは違うし、他の新海作品とも違う。天気、しかも大雨を取り上げたことはとてもタイムリーだと思う。そして、描いた天気の子が人身御供という、浮世離れした時代錯誤のものが出てくるとは。若者は、子供たちは、人身御供という言葉を知っているだろうか? この作品を見ていて、どういうものかは理解できるとは思うけれど。
描かれる世界、描かれる現実、描かれる結末。
誰しも天気がいいといいと思うに決まっている。という大前提。豪雨は嫌だろうけれど、雨(水分)がないと世界は始まらない。日照りが続けば雨乞いをすることだってある。雨は悪者だろうか?
感動はした。楽しめたし、面白かった。ただ、「君の名は。」を超える作品ではなかった気がする。次回作に期待しよう。



監督:新海誠
出演(声):醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬、神木隆之介、上白石萌音

お薦め度
「​ 天気の子 ​」★★★★(80%)


 注!!ネタバレ!!
東京の、というより都会の、いや社会のきびしさ・つめたさが帆高の上京時に描かれているけれど、未成年者を浮浪させないということは健全なしっかりした社会であるとも思うわけで。社会のつめたさはひとり都会に出てきた主人公が感じる主観的なものである、と思う。それを同じように感じたのは新海監督が上京し体験し、見聞きしたことから描かれているようにも思う。単身田舎出身者でなければなかなか直面しない問題であろう。

3年後の東京が水没したと描かれるが、変だと思った。東京が地盤沈下でもしない限り水没することはありえない。昔、あの辺は海だったとセリフであるけれど、海であったところを埋め立てているわけだから、どんなに大量の雨が降ろうとも、洪水になることはあっても、水没することはありえない。そして、3年もの時間が経過しているならば、国も東京都も何か手立てを打って水没しないようにしているはずだろうし。海抜0メートル以下のオランダだって水没せずに都市が機能しているのだから、と思ってしまった。

騙されてしまった。陽菜が18歳だということに。観客は素直に信じすぎる。これが一番の驚き。

新海誠監督は10代の恋を恋心を描くことが好きなようである。これまでもずっと10代の青春を生活を恋を描いてきた。時空を超え、奇想天外な世界で、描いてきた。「秒速5センチメートル」の第1話「桜花抄」が一番好きだ。彼の最高傑作だと思う(現在のところ)。「言の葉の庭」も好きだ。とてもいい作品だと思う。だとすれば、現実世界の話が好みなのかもしれない。いや、心の襞を心の起伏をシンパシイをもって描かれているものが好きなのだと思う。大いに心を揺さぶられ衝撃と感動を味わった「君の名は。」は最高の出来であろう。

無軌道な家出人の作品を作るなんて。16歳で働くということ。何があったかは描かれていないけれど、高校を卒業するまで待てなかったのか。高校1年だったと思う、母親も父親も嫌いで一刻も早く家を出たいけれど、生活力がないので、高校卒業まで我慢すると告白した同級生がいた。それを思い出した。



陽菜の体がホテルの一室から消えてしまうまではいいけれど、消えてしまってから、クライマックスまでは腑に落ちないというか、納得がいかない。時空の問題とそのからくりがよくわからないせいだと思う。しかし、そのからくりを説明したところでわからないだろうし、理解できないかもしれない。世界を天気にしようとして陽菜は消えた。陽菜を現実世界に取り戻そうとして帆高は祈った。そして、現実世界に雨が降り続く。雨はこのまま降り続くのだろうか。





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最終更新日  2019.08.18 23:30:22
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