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kugutsushi

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2008.02.11
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カテゴリ: どうでもいいこと
「知財力、東大は名古屋大学以下、東工大は東海大学以下」という表題を見て、それが何らかの感情を引き起こしたとすれば、それは何に起因するものなのか興味深いところだな、というのはさておき、 大学・研究機関 特許資産の規模ランキング が公開されているので見てみる。タイミング的には 「産学官連携戦略展開事業(戦略展開プログラム)」の公募について-文部科学省 と合わせるような感じででてきたわけね。

まず、1位から20位を見てみると、国立大学の顔が見えず、日本の知財力を向上させる政策において、国が以下に大学のセンセーがたの大学の自治がどうのというのがうるさいからお金を直接に大学に落とすのなんか無駄だから止めて、国の直轄の機関にお金を注いでやってきたかということが見て取れる。

つまり、国立大学は知財の集積地としてはコントロールもしにくいし、そもそもあてにならないから、国の直轄でできるところでやりましょうというやり方だろう。まあ、実際のところ、対費用効果としては正解だったんだろうけどね。

  1. 産業技術総合研究所
  2. 科学技術振興機構
  3. 慶應義塾
  4. 物質・材料研究機構
  5. 情報通信研究機構
  6. 日本原子力研究開発機構
  7. 農業・生物系特定産業技術研究機構
  8. 防衛省技術研究本部
  9. 理化学研究所
  10. 鉄道総合技術研究所
  11. 宇宙航空研究開発機構
  12. 農業生物資源研究所
  13. 東北テクノアーチ
  14. 地球環境産業技術研究機構
  15. 関西ティー・エル・オー
  16. 土木研究所
  17. 大阪大学
  18. 電力中央研究所
  19. 食品総合研究所
  20. 理工学振興会(東工大TLO)

だから、国立大学が上位に入っていないというのは当然といえば当然。そういうところにしようとしなかったのだから。

それでも国立大学は私立大学に比べて膨大なお金を落としてもらっているのに、私立大学の慶應義塾がなんと 3位に来てしまったというのが驚きといえば驚き。知財は評価の仕方でいくらでも順位が変わるものだろうけど、膨大な国費を落として庇護されているところよりも上に来ているところが、私学の面目躍如というところか。もっとも、慶応にしてもなんだかんだで税金は投入されているわけだけど、税金への依存度という点ではぜんぜん違うからなぁ。まあ、そういう意味で、このリストの背景には国立大学にハッパをかける裏の意図があったりして。

大学のランキングで見ると、次のようになる。

  1. 慶應義塾 (3)
  2. 大阪大学 (17)
  3. 名古屋大学 (22)
  4. 東京大学 (25)
  5. 東海大学 (26)
  6. 東京工業大学 (27)
  7. 東北大学 (30)

ただし、このランキングがどの程度有効化というと、微妙なところがあるかもしれない。例えば東北大学だったら特許を東北テクノアーチに移管したりだとか、京都大学、大阪大学は関西ティー・エル・オーにだとか、そういう形で特許権の扱い自体をティーエルオーに持たせていると、大学の顔が見えなくなるという面があるように思える。でも、やっぱり大学そのものには、やらせておくとろくな事になるめぇという図式は成り立つと思うが。



加えて、特許自動評価システム「IPBパテントスコア」を使っているようだが、特許の残存期間を考慮しているようだ。

その算出方法は、まず有効特許1件ごとにパテントスコアを算出。さらにスコアの高低が明確になるように重み付けを行い、その特許の残存期間を乗じる。こうして算出された有効特許1件ごとの値の合算値を、その出願人の【特許資産の規模】として得点化する。

つまり、有効期限切れになってしまった特許を考慮しないことによって、年ごとにダイナミックにランキングが変わる手法をとっているようだ。金を生み出す特許としての性質を考えれば適切なことかもしれない。

ただし、本当にお金に換算したものになっているかといえば、まあ、そういうことはないだろう。あまりに、大変すぎるからそれはできないと思う。たとえば、製薬会社の株価を見てみるといい。特許そのものの状態だけでなく、その特許を使った薬品がどの程度のステージにあるか(臨床試験等)によって変動する。将来大きな収益を生み出すであろう薬品が次のステージに上がれば製薬会社の株価は上がるし、逆に次のステージに上がれなければ期待度が大きかった場合、株価が暴落する。つまり、特許そのものの価値というのも、製品化の可能性と連動して大きく動いているということになる。だから、製品化前の特許の価値なんて、そうそう簡単に見積もれるものではないはず。

なので、現在有効でお金を生み出している特許の数、そして、将来、お金を生み出すであろう可能性が高い特許の数、そして、その生み出す価値、そして残存価額といったものを総合的に評価する格付けモデルでないと、本当の実力を評価することができない。

とはいえ、それじゃあ、大変すぎるから簡易的なモデルというものが作られるわけだろう。そこで問題になるのが、その評価モデルの妥当性。評価モデルが明示され、妥当性が検証されればされるほど、その評価モデル自体の価値が高くなり、そのランキングに一喜一憂する価値が出る。

このランキングモデルの妥当性がどの程度評価に値するか、つまり、権威付けをうまく行えるかどうか、というところが興味あるところだ。

卑近な例を見てみると、Google なんかは、 The Anatomy of a Large-Scale Hypertextual Web Search Engine のような論文がベースになっていて、これが多くの人に参照されることによって透明性に対するベーシックな信頼を得たところがあると思う。これはビジネス戦略の一つとして論文が有効に働いた例でもある。

もっとも、Google の技術については、 ノースイースタン大学の特許 USP5694593 の分散データベース関連の特許を侵害しているということで訴訟になっているようだが。まあ、金持ちだから払えと言われれば払うだけじゃって姿勢だろうけど( ノースイースタン大学、検索特許侵害でグーグルを提訴 )。マイクロソフトの Yahoo! 買収提案にしても、マイクロソフトは Yahoo! より Yahoo! の持っている特許の意味を分かっているから、それを考慮に入れてああいう提案になるところもあるだろう。Yahoo! の方も、どうせ売るならなるべく高く売りたいだろうから、自分たちも理解していない部分の価値も乗せようとしているのだろう。特許戦略の評価なしに Yahoo! の買収を評価してもダメだと思う。自分にはちゃんと評価することができないので直感的にそう思うところまでで終わりw



あるいは、各種サービスにしても。ミクシィみたいのにしても、あれは特許とか気にしていたら成り立ち得ない会社だったと思う。まあ、米国は太らせて狩るから、いつかおいしい頃だと判断されたときにやられるかもしれないけど。最近のニフティ (NEC)とか、goo (NTT) とか見ていると、ビジネスチャンス自体に乗り遅れることを考えたら、将来的にどうなったとしても乗れるときに乗っておかなきゃ損じゃないかというノリ重視の流れがやっと出てきた感じがする。まあ、もうちょっと早く開き直ってもよかっただろうにねぇとも思うけど。一時のビジネス特許ブームも大企業にとっては災いが多かったかもしれない。分かっていれば分かっているほど呪縛にはまるものだから。ある意味、無知で責任感な方が得(長期的にそれでよいのか別にして)。

もうちょっとお金の話に行くと、サブプライムローン問題から日本の一般人にも名前が知られるようになってきた フィッチ の格付けを考えてみる。サブプライムローン問題のそもそもの原因というか悪玉として、格付け機関のレーティングが一時やり玉にあがった。最近では、恐怖を煽る一つの原因にもなっているわけだが(格付け一つで数千億ドルの紙くずができるかもしれないわけで)、フィッチは格付けモデルの信頼を得るために、 CDO Models をβ版として公開している。世界が注目しているフィッチの格付け動向。

もっとも格付機関そのものとしての影響力や格付けは、ムーディーズやスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の方が上なのだろうが、この格付けの明確化によって、これまでより一段、格があがるんじゃないかと思う。つまり、世界の批判や恐怖とは別に、フィッチは今回のサブプライムローン問題でもっとも得をした会社の一つなんじゃないかというのは余談。



まあ、簡単にできるもんなら、今頃皆やっているけどそうでないのは難しいからというのは前提のお話だが。

順位をもう一度眺めて、8位の防衛省技術研究本部がおもしろい。やっぱり、防衛費の皮をかぶった産業育成やってんのね。米国とかもそうだけど。重工系だけじゃなくて情報産業にもけっこう流れてるでしょ。まあ、それはそれでどうしようもない人たちの懐にはいらなければいいかとは思うのだけど。米国って軍事費に見せかけて産業育成けっこうやってるんだよなぁ。

そういえば、なぜ感情の話から始めたかというと、 プレスリリース | バンダイナムコゲームス 産学連携の研究成果をソフトに応用 を見たから。

本作は、人が感動した際に流す「涙の力」に着目し、ユーザーが“感動して泣く”ことを意図して開発したソフトです。200を超える物語の中からユーザーに合った珠玉の“泣ける”99のオリジナルの物語を1話ずつ提供します。

なんていうものがニンテンドーDS用ソフトとしてリリースされるらしい。バンダイナムコゲームスと早稲田大学との産学連携の研究成果が使われているとのことだ。製品名『99のなみだ』発売日 2008年春。

これ、少年院とか刑務所とかで使ったらどういう効果があるか実験してみるとおもしろいかもしれない。効果とかは特に期待しないで、刑務所の図書館とかにおいてみたらどうかな。


なかのひと






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Last updated  2008.02.11 23:52:33
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