○ 外見で人を判断してはいけないーあなたは洋服や建物に敬意を表していないか
ありのままに人を見ないとこうなる
そういえば、あのトンチの一休さんで知られる一休禅師のエピソードにこんな話があります。
「ある時一休さんが、ボロボロの衣をまとって、ある邸《やしき》を訪れたところ、門前払いを食わされた。そこで、最高の法衣をまとって出直すと、今度は、丁重に扱われたうえに、多額のお布施をくれようとした。すると、一休さんはその衣を脱いで、その上にお布施を置き、こういった。『あなた方は、この衣に、お金を払ったのだ』と」
エピソードが実話なのか、後世につくられたフィクションなのかは定かでありませんが、こういうことは、私たちの周りにいくらでもあることです。
ある会社の受付にみすぼらしい風体の老人が訪れ社長に面会を求めました。受付嬢は「怪しい人、紹介のない人は、追い返せ」と、上司からいわれていましたので、その老人を追い返してしまいました。ところが、その老人は、大事な取引先のオーナーだったことがわかり、社長は、平謝まりに謝まったということです。
身なりがみすぼらしい、風采が上がらないからといって、粗末に扱うのは愚かなことです。それは、AマンションのB理事長が、身なりがよく、高級車を乗り回しているから信用する、というのと裏返しの関係で、どちらも、
・ありのままに、人間の中身を見ていない
から起きることです。
人を学歴、人種、性別などで、差別することも同じです。
外見、大きさなどでものを判断するやり方は、人に対してだけではなく、会社や組織にもいえることでしょう。
私たちの間では、就職の際に、寄らば大樹のかげという神話が信じられていました。
「大企業、大銀行、大商社、官公庁ならまちがいはない」と大多数の人が信じていたのです。
しかし、それは、真っ赤なウソ、最近の不祥事は、大企業や官公庁でばかり起きている――といっても過言ではありません。
これも、ものごとを、ありのままに見ていなかったために起きたことです。不祥事に限らず、寄らば大樹の考え方には、終身雇用、年功序列を前提にした、いわゆる日本的経営、日本的雇用慣習がありました。
しかし、それも近年、どうやらウソだったことがはっきりしてきたのです。
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