知り過ぎた人は、ありのままに見ることができない
ここで、もう少し身近なところで、「ありのままに見る」ことを考えてみましょう。
たとえば「商売(仕事)がうまく行かない」という問題を抱えている人は、今、非常に多いものと思われます。
自営業、経営者の方は、バブル崩壊後地価が急落して、資産が激減したばかりか、景気が低迷して、売上、利益が低迷している。それどころか、赤字転落という会社やお店も少なくありません。
そういう会社やお店では「どうして、仕事がうまく行かないのか」「どうしたら、業績を回復することができるか」と考えるものです。
しかし、考えれば考えるほど、わからなくなります。従って何か手を打つと、すべてがウラ目に出て、ますます事態は悪くなる、ということになりがちです。こういう会社やお店では、どうしたらよいのでしょうか。
もちろん、それぞれの業界、会社、お店には、それなりの事情があり、専門的なアドバイスは著者にはできません。
ただ、ここでいえることは、それぞれの経営者、店主の方々は、自分の仕事、それを取り巻く環境のことなどは、百も承知、知り尽くしている(と思っている)。ここに、盲点があるように思われます。つまり、業界や会社、商店、消費者などを「ありのままに見ること」ができなくなっているのです。
仕事がうまく行かない会社やお店の人は「あんなに売れたのに、なぜ、今は売れないのか」という気持が、どこかにあるのです。こういう気持がある限り、すべてがうまくは行かないのです。
今、すべての環境が、高度成長やバブル期とはすっかり変わったのに、心のどこかで「過去を引きずっている」と、決して事態は好転しないでしょう。
「ありのままに見る」と、「顧客は何を望んでいるのか」「自分たちは、何をすべきか」が見えてくるはずです。
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