Pay it Forward  ~子宮がんになって思ったこと~

謎の影 検査




次の日。
昨日入れた、マッチ棒を取り出してもらう。
イタイ・・・

『じゃ、器具入れますね。ちょっと、痛いですよ』

わかってる。そのいいっぷりは、ちょっとじゃないはず。
うん。痛いぞ。

『じゃ、ちょっとかき出します』

い・・・イタイの限度をはるかに超えている。
体が硬直してくる。
思わず、お腹を押さえる。
イタイ・・・イタイ・・・イタイ・・・イタイ・・・イタイ・・・
ぬぉぉぉ!イタイ!!!!!!!!!!!

硬直した体が、震えてくる。
ひざがガタガタと。ひざに当たってるカーテンもプルプルとゆれる。
思わず、唸り声をあげる。

『もうすぐ終わりますからね!がんばって!!』
『もうすぐって、どれぐらいですか・・・???』
『あと5分ぐらい』
『・・・・・・・無理です・・・・・』

気絶するかと思った。
カーテンが、シャっと開く。
看護師さんがのぞく。
お腹を押さえてたから、怒られる!!と思って
片手だけ、お腹から離してみる。

ぬぉぉぉ!!お腹押さえてないと無理かも・・・
シャっとカーテンの音がして、看護師さんが消える。
よかった・・・
お腹押さえられる。

イタイ・・・イタイ・・・イタイ・・・イタイ・・・イタイ・・・
早く終わってくれ・・・
5分ってどんなけ長いねん!!!
イタイ・・・イタイ・・・イタイ・・・イタイ・・・イタイ・・・

また、シャっとカーテンの開く音。
すんません。もう、手を離すことはできません・・・
と思ったとき
手が暖かくなった。

看護師さん、アタシのお腹を押さえてる手を握ってくれた。
ふと看護師さんを見ると

『痛いよね。もうちょっとやから、がんばって!』

ぶわっと、涙が出てきた。
不覚にも泣けてきた。
なんでやろ?
痛すぎたから?
がんばってるのわかってくれたから?

たぶん。
安心したから。

すごい。手を握ってもらうってことは、すごいことや!
こんなにあったかくて、安心するなんて。
看護師さんって、すごい仕事や!
みんなすごいわ。

拷問のような検査が終わった。
力を入れすぎて、全身ガタガタしてる。
超音波の映像を見せてもらう。

『影がちょっと小さくなったけど、全部は取れへんかったですね』
おぉ~い。全部取ってくれ。
あの激痛を超えた激痛はなんやったのか。
も~。

先生のお話。

『ポリープがありました。これです』
今、取ったばかりの小瓶に入った肉のカケラを見せてくれた。
こいつのせいで、こんなに痛かったんや・・・

『これを病理に出して、なにか調べましょうね。結果が出てから、今後の治療を決めましょう』

ん?ちょっと待って。
って、ことは流産じゃなかったんや

『流産じゃなかったんですね』
『ポリープですね』
『そうですか』

なんか、ほっとした。
よかった。流産じゃなかってんや。
やっぱり、妊娠なんてしてなかってんやん。
直感って当たるもんやな。
よかったぁ!

『結果は、1週間後に出ます。来週は、来られますか?』
『はい』
『来週、9時半から手術なんですよ。手術の前にちょっと時間取れるから9時に来てくれるかな?』

病院を出て、お母さんに電話した。
今日検査があるっていうてたから。
心配してると思って。

『あんまり出血しぃへんかったから、帰っていいって!』
『ポリープがあったわ~』
『手術するん?』
『検査の結果が出てから決めるって~』
『めちゃくちゃ痛かってんで!!お母さん、よ~3人も子供生んだな。気絶しそうなぐらい痛かってんから!』
『でもな、めっちゃ痛いときに看護師さんが手を握ってくれてん。すごいんやで!人間弱ってるときに、手を握られたら泣けてくるねんから!すごいわ~!看護師さん。すごい仕事やで!!お母さんも、弱ってるときに手を握ってあげるわ!泣けるでぇ!!!』

家につくころには、痛みもだいぶマシになった。
夜になって、旦那が帰ってきて今日の出来事を報告する。

流産じゃなかったこと。
どんなけ、痛かったかってこと。
弱ってるときに、手を握られたら泣けてくること。

『すごいんやって!手を握るってことは!!!』
『なぁ。アタシが死にかけたとき、絶対、手握ってやっっ!!!』


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