madamkaseのトルコ行進曲

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marnon1104 @ お久し振りです (。≧ω≦)ノ!! kaseさんのお誕生日だったのですね。 お元…
marnon1104 @ Re:2018年の写真を使ってブログ復旧の試し書きをしています。(02/04) うわぁ~♪kaseさんだぁ~♪ お写真を拝見し…
marnon1104 @ Re:トルコでシュウマイはいかがですか?(07/08) kaseさん、こんにちは(*'▽')♪ …
madamkase @ Re[1]:渡航記念日(03/16) 高見由紀さんへ こんにちわ、イスタンブ…
madamkase @ Re:渡航記念日(03/16) marnon1104さん、こんにちわ。 3月に書い…
madamkase @ Re:トルコでシュウマイはいかがですか?(07/08) ひなのさん、おひさしぶりです。 トルコは…
2010年06月30日
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 29日の夜、私はアナトリアのとある町からイスタンブールに戻ってきた。今日はそれに伴う用事で出歩き、夕方7時過ぎに家に戻ってきた。

 留守中、猫達の面倒を見てもらったお礼に、真菜さん、京子さん、そしてレイラと日本食レストランで夕食を共にする約束があった。

 裏庭の階段を下りるとき、一番下に白い猫が倒れているのを見つけた。ニケだった。私は持っていた荷物を京子さんに預け、ニケを抱き上げた。

 事切れてくたんとしてしまったニケは車に撥ねられたに違いなかった。アパルトマンの西側に出て、窓から身を乗り出していたブラック・ウスタの妻アイシェに尋ねた。

「アイシェさん、この猫、どうしたの?」
「車に撥ねられたのよ」
「やっぱり・・・何時頃だった?」
「4時頃だと思うわ」
「階段の下で見つけたのよ。撥ねられてから、あそこまで自分で歩いていったの?」
「そうよ、あそこまで行ったのよ」
「・・・・・」


 撥ねられてから3時間以上経っているというのに、ニケの体は柔らかくまだ暖かかった。それはおそらく撥ねられたまま長い時間、死に切れずにいたということだ。

 誰も獣医に連れて行ってくれる人がいなかったなんて、余りにも可哀想・・・ニケは私がこの道から戻ってくるのを知っていてじっと待っていたに違いない。

 私は物言わぬ猫に頬ずりし、胸に抱きしめてやった。半開きになった口からはみ出た舌が私の頬に触れた。ニケが最後のお別れに私をなめてくれたような気がした。

「ニケ、お前の子供3匹は私が大事に預かっているから心配しないでね」と私は囁いた。

初登場のニケとビリー
チュクルジュマに初登場した頃のニケ(右)とビリー

シェビィとアルスの母となる
生後7ヵ月シェビィとアルスの母となる。

ニケの肖像
余りに美しすぎて・・・(生後10ヵ月の頃=2009年10月撮影)


 ブラック・ウスタに古新聞を貰い、幾重にも包んで、最後に黒いビニール袋でしっかりくるみこんだ。そしてもう一度ニケのために祈りを捧げてから街路樹の下に運んで行き、そのあとモスクのチェシュメ(泉=水道)で手を清めた。

 思えば、5月には、息子達ネイとクドゥム、6月には子猫の父アサオ、娘テフのニケのファミリーが全部車の犠牲になってしまい、最後の最後にこのチュクルジュマ通りに慣れているはずのニケまでが撥ねられてしまったことは、どれほどこの細い通りを車が猛スピードで、残酷に無慈悲に猫を跳ね飛ばし、轢き殺しながら通り過ぎていくかを明確に物語っていると言えよう。

 去年の4月におそらく生後2~3ヵ月でチュクルジュマに連れてこられたニケと兄のビリー。
 ニケはたった1年半程度の寿命だったことになり、美人薄命というが、まさにそんなはかない猫人生を歩んだのだった。







「犬と三日月 イスタンブールの7年」






「チュクルジュマ猫会」















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Last updated  2010年07月03日 04時50分52秒
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