madamkaseのトルコ行進曲

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marnon1104 @ お久し振りです (。≧ω≦)ノ!! kaseさんのお誕生日だったのですね。 お元…
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2014年01月18日
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 2~3日前、イスタンブールFacebook界の大御所森脇義則さんからメッセージが来て、なんとこの私に「とんかつソース」と「焼き肉のたれ」をプレゼントしてくださると言う、豪気なお話!

 うどんやさんに預かって貰いました、とのことで、本日はいそいそとそれをいただきに行ってきた。うどんやさんで友人のヒサエさんと、同じくカヨちゃん、彼女の1歳4ヵ月になる坊やオヌル君とばったり。

 久恵さんもこれからお昼だというので一緒に食べたら、なんと「加瀬さん、今日は私、お金持ってるから奢るわ!」


 何たる気前の良さ! もう、いいことづくめで海老フライ定食をご馳走になり、更に、店員さんが席に運んできてくれたソースと焼き肉のたれを見てびっくり。


udonya'da
海老フライ定食、美味しく頂きました。久恵さん、ご馳走さま。

soslar
とんかつソースと焼き肉のたれ。どちらも業務用と書かれた大物です。
森脇さん、ちょうど切らしていた2品です。ありがとうございました。


 とんかつソースは1.8リットル。焼き肉のたれが1リットル。タクシーを頼めば簡単だが、私は夕方新年会を開くので、いろいろ買い出しもあり、ヒサエさんと別れた後、うどんやさんからえっちら、おっちら、タキシム広場を抜けて、イスティクラール通りの中ほどにあるバルック・パザールまで、とにかく歩いた。

 白菜、水菜、大根、赤カブ、太葱。買ったのは重たいものばかり。ところがたった一つ、マイタケ風の茸がどこにも見当たらない。そこからタクシーで帰れば楽なのだが、仕方ない、茸を求め、ガラタサライ高校の裏を抜けてジハンギルに通ずる道をひたすら歩いた。

 ジハンギルとチュクルジュマの境にあるアー・ハマム通りの八百屋にならあるだろうと行ってみたのだが、そこにもなかったので、もう諦めてマッシュルームを買うことにした。

 そこで見つけたのはどでかい、直径が8センチはあろうと言う大物。ないよりましだ、と3つ4つ買い、あとは鶏肉だ。チキンのモモを2本分、骨を外して貰い、その骨ごと入れて貰って買い物完了。これがおよそ1kgちょっと。

 チュクルジュマへの階段を下りるとき、ヨイショ、ヨイショと一歩足を下ろすごとに口の中で掛け声をかけいるのに気付いた。左右に揺れる体で階段に続くタクタキ坂をようやく下り切って、チュクルジュマのジャーミイの角を曲がり、家が見えた。

 息切れを隠しきれず近所の衆との挨拶もそこそこに家にたどり着いた。まずは大急ぎで猫の餌。サロンは前の晩遅く濡らした紙を撒いて、箒で掃除してあるのでそう見苦しくはない。拭き掃除はあとでいいや。外猫に餌を配給した後、すぐに野菜を刻み始めた。

 今晩の料理は、秋田名物「きりたんぽ」。

 うちの一番大きな鍋で、若鶏のモモ2本をぶつ切りにして、あごだしやら昆布だし、味醂、海の塩、醤油などで出汁を作り、牛蒡、大根、ニンジン、白滝等々、時間のかかる根菜を先に煮ておき、白菜、水菜、太葱、茸のたぐいは、みんなが揃ったら卓上の電気鍋で煮ながら食べることにした。

 肝心のきりたんぽは、日本であれば、デパ地下などで出来合いの品が買えるが、トルコでは売っていないので自分で作るしかない。実は私、生まれは千葉県流山とはいえ、きりたんぽについてはちょっと自信がある。

 昭和42年5月に結婚したとき、夫は母親が準備してくれた新婚旅行の費用で、スバル360の中古ワンボックスカーを買ってきて、「これ以上の新婚旅行があるか」と言いながら、毎日の通勤に私を職場の近くまで乗せて行ってくれた。

 その秋に、姑が戦死した夫(舅)の墓地を秋田から野田に移す決意をし、3人の息子とその嫁、孫達2人の計8人を引き連れて秋田への旅行を計画し、末息子である私の夫と私には、新婚旅行として、十和田湖や青森の方に2人でドライブでもしなさいと勧めてくれた。

 ところが、列車の切符を買う段になって、私の夫は「俺は行かないよ。消防士が1週間も休んで嫁とデレデレ、ドライブなんかしてられるか」と剣もほろろに不参加表明。

 そういうわけで、新婚旅行を姑と行った珍しい経験の持ち主となった私は、十和田湖周遊など楽しませては貰ったが、よく考えてみるとこれは24歳の新妻としてはやっぱりちょっと寂しい。

 戦没した舅の実家、佐藤家は大館市の西にある、鷹巣町の素封家で、山を幾つも持ち山林業、牧畜業、運送業など手広く営んでおり、座敷わらしがいるのではないかと思うほど、昼なお暗い広い家に住んでいた。


 千葉から親戚が来たと言うので、夫の伯父や伯母、叔父や叔母、いとこ、はとこらが総出で歓迎してくれたので、その晩は大広間で座卓を幾つも繋げて、祝言の夜かと思うほどの大宴会が張られた。

 卓上に置かれた2つのコンロの上で巨大な鍋がぐつぐつ煮え立ち、鶏肉や野菜やキノコと一緒に何だか初めて見る食べ物を入れて、佐藤家の当主夫人と手伝いに来た妹ら、女達がどんぶりに山のように中味を掬って、みんなに盛り分けてくれる。

 もちろん、私の前にも置かれたそれは、「きりたんぽ」と呼ばれる秋田名物の鍋料理だそうで、地鶏の肉、秋田で水菜と呼ぶ、赤い茎のセリのようなもの、自分の山で栽培している椎茸、白菜、春菊、ニンジン、大根、牛蒡、太葱など野菜も豊富に入っており、今までに食べたこともない豪快な味だった。

 次の日は墓を移転するための法事、その翌日に十和田湖周遊を終えたあと、私は当主夫人みさおさんに、きりたんぽの作り方を教えて欲しい、と願い出た。

 親戚の3~4軒を行脚して教えて貰った。炊きたてのご飯を半殺しになるまですりこぎなどで突きまくる。塩水でならしながら、たんぽ串に巻きつけて行く。囲炉裏の周囲の灰にとがった串の下の部分を突き立て、時々回して向きを変えてやりながら気長に焼く。


kiri 1
まず、半殺しにしたご飯に塩水をつけながら丸めてそれを串に巻き付けて行く。

kiri 2
やりの穂先を包むたんぽのようにこんな形に延ばしてゆく。

kiri 3
表面を乾かす。囲炉裏がないのでドライヤーで乾かします。

kiri4
遠火で焼く。網をよく焼いてから載せないと焦げ付く。

kiri5
まんべんなく焼き上がったら、たんぽをよく片方の手にたたきつけ、外れやすくする。

kiri6
外す時、まだ熱いとやけどするので要注意。

kiri8
こんな風に、熱いうちに外しておきます。

kiri9
斜めに切るのが主流、4~5切れにすると食べやすい。



 火の番はじっちゃん、ばっちゃんの仕事。何だかいいなあ、都会でせかせかしているとこんなことは出来そうにないが、野田に帰ったら早速試しに作ってみよう、と私は目を皿のようにしてきりたんぽやその出し汁の作り方などを覚えてきたのだった。

 帰りがけに当主夫人のみさおさんが私にたんぽ串を10本、土産に持たせてくれた。これが合格証書だった。


 あとになってしみじみ思ったが、あのとき夫が一緒に来て、車を借りてドライブ旅行に出てしまったら、私はきりたんぽなど覚えることは出来なかったろう。トルコ語の中に「どんな(悪い)ことの中にも一つ、いいことがある」という諺があるが、まさに、こういうことだと思う。


 かくて、イスタンブールで新年会に集まってくれた皆さんへ、きりたんぽでおもてなしすることが出来た。これは、朝のうち、私が2時間ばかりかかって作っておいたものである。正式のたんぽ串ではないが、いい具合に細い丸い木材があったので、向かいの大工さんに頼んで、使いやすい長さ(30センチ弱)に揃えて切って貰ったのである。つづく













madamkaseのトルコ本  「犬と三日月 イスタンブールの7年」 (新宿書房)




「チュクルジュマ猫会」












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Last updated  2014年01月20日 21時07分46秒
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