メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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Jan 18, 2006
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Cooking(英語=料理)
Cuisine(仏語=料理)
Cuccina(伊語=料理)

 いずれも各々の言葉で「料理」を表す意味なのですが、日本における「料理」全般の概念とは決定的な違いがあります。

 それはCookingはCook、CuisineはCuir、Cuccinaも多分同じ意味からの派生でしょうが、いづれも「火を通す」というところにその端を発するようです。

と、いうことは、ヨーロッパにおいてはそもそも「料理」とはなんらかの形で「火を通したもの」であったということです。
 そもそも原始の時代において人間と動物を分ける要素のひとつが「火を使える」ということでは無かったのでしょうか。野性の生き物のほとんどは火を恐れます。人間が火を用いることができるのは明らかに文明を伴った行為でした。

 一方、四方を海に囲まれ、国土が広くない日本においては料理は異なった発展の仕方をします。すなわち「生」を食すという事です。アジアとヨーロッパにおいても然りで、狩猟民族と農耕民族の差もあったかもしれません。
 農耕民族であれば、その場所にあるものを食事の時間に応じて食せばよいのですが、狩猟民族とは移動をしながら獲物を追う生活になるため保存と衛生の意味からも加熱するというのは必須の事であったのでしょう。


 この、煮込みという方法を用いることにより、骨や筋は固くて食べられ無くても、エキスや旨味は充分に抽出することが可能です。また、煮込みに仕上げた後の液体、つまり汁を一緒に食べることによって、丸焼きではポタポタと火の上にこぼしていた肉汁なども一緒に食するようになることができました。

 時代を経てくると、加熱した「主食材」と「煮汁」は分離されるようになります。
 この「煮汁」が主材料の横に添えられて「ソース」と呼ばれる形態で現在に至るわけなのです。そのため、主の食材とソースはあくまでもともと一身同体少女隊(←ココ笑うトコですよ)のものであったとの考え方があるのです。

 そのため、日本の洋食におけるような、たとえばトンカツにソース派の方が居たり、あるいはしょうゆ派、さらにはマスタードなどの調味料を各々の好みに合わせて使い分けるというものではありませんでした。
 フランス料理店でも「カスターセット」とよばれる「塩・コショウ」の道具が卓上にセッティングされていますが、各自の味の好みの調節は基本的に「塩・コショウ」まででしかないということです。

 洋食におけるソース類の使い分けは、やはり日本の食文化からの融合であると思われます。といっても、日本食でも「ソース」を後から調味して食べるというのは寿司くらいしか思いつきませんし、日本の古くからでも味付けは下ごしらえの際にほぼ決まっていることから、さほど多いものでは無いように思います。
 寿司においても醤油を最後につけます。つける量というのはほとんど、どんな人もそう変わりは無いでしょうから、職人さんがあらかじめ醤油をつけて提供してもよさそうな気がするのですが、この行為こそある意味、寿司という料理の完成の一番最後の「仕上げが食べ手に委ねられる」ということでは無いでしょうか。

 逆にいえばこの「最後の味付けの仕上げが食べてに委ねられる」という文化があったため、「西洋料理」が日本に入ってきた際に慣れない味を我がの好みに添わす理由から、塩・コショウに限らずソース、醤油、マヨネーズ、タバスコなどの卓上調味料の多様化があったのだと思われます。







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Last updated  Jan 20, 2006 02:13:46 PM
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Comments

背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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