メートル・ド・テル徒然草

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エルネスト1969

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May 26, 2006
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(昨日からの続き…)



 さて、私がワインを扱い始めた当初は、仕入価格に一律いくらかの金額を掛けていました。一律3000円として、1000円で入荷したものは4000円で販売するが、10000円で入荷したものでも13000円で販売すると言った方式です。

この、「一律いくらか」には人件費も含まれます。また、グラスの洗浄代、長い目で見ればグラスも消耗するので、破損に対する経費。何千分の一にしてもセラーを置いている場所の家賃、電気代水道代などなどの「経費」が載っています。
 良心的なお店だと、例えばワインの持ち込みをお願いした時に、この「手数料」的なものを、「抜栓料」として売上られるところもあります。そのため、ワインの持ち込みが可能なお店では、どんなワインも一律1本あたり○○円としている所が多いように見受けられます。

 この方式であれば、どんなワインでも1本売れれば3000円、10本売れれば30000円の粗利益が計上できることになります。この場合、「原価率」という数字はほとんど無視です。

 ところがこの方式だと、高単価のワインが売れるようになってくると再び若干の問題が生じてきます。
 ひとつには、ワインの銘柄によってはお酒屋さん、つまり小売店で買い求めるよりも安くなってしまうこと。もうひとつは高級、高単価のワインに対して、傷んでいた場合などのフォローの問題と、扱いに対するソムリエとしての技術が求められることの差異が計上出来なくなってしまうことになります。

 通常レストランの仕入価格とは、酒販店店頭における希望小売価格の大体1割から3割引きで入荷されています。
 そのため一旦、希望小売価格、あるいは流通している価格に近づけるために、



の数値を掛ける事にしました。
そうして現れた数値に、

+2000円~+3500円

の「手数料・抜栓料」を加えるといった方法です。

『オレ流』ワインの原価率の数式;
ワインの仕入値 × 1,3~1,7 + 2000円~3500円 = ワインの販売価格

 この方法で例を挙げると、例えば料理のみの客単価が平均5000円のお店があったとします。人数やお店のグレードなど様々な要因はあるにせよ、1本あたり同程度、5000円くらいののワインが売れるようにしたいと望むなら、

ワインの原価×1.5倍+2500円=ワインの売価

くらいの数式が妥当では無いかと思われます。

1000円のワインと10000円の仕入れ値のワインがあったとして、それぞれに1,5倍の数値と、2500円を均等に掛けたとすると、

1000円→4000円


となります。それぞれの原価率と粗利益をみると、1000円のワインの原価率は25%となり、10000円のワインは57%となります。粗利は1000円のワインは3000円しかありませんが、10000円のワインは7500円となります。

と、言うことはこのお店のワインの一番売れ筋で価格帯の膨らみが一番大きいところは、原価率が30パーセントになるくらいの所、という事ですから、

1500円で仕入れたワインを4750円で販売する

ということになります。

 という事は、ワインリストを構成する時において、もちろん安価なワインも必要ですが、いざというときに機会損失せぬよう、高級ワインもいくつか用意する必要があると言えます。







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Last updated  May 26, 2006 01:16:08 AM
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背番号のないエースG @ チョコレート 「風の子サッちゃん」 ~ Tiny Poem ~…
坂東太郎G @ 「辛味調味料」そして考察(01/16) 「石垣の塩」に、上記の内容について記載…
エルネスト1969@ Re[1]:ホスピタリティは「人」ありき(10/04) はな。さんへ コメントありがとうございま…

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