趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

August 25, 2005
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却歸睦州至七里灘下作

南歸猶謫宦、獨上七里灘。
江樹臨洲晩、沙禽對水寒。
山開斜照在、石淺亂流難。
惆悵梅花發、年年此地看。
【韻字】灘・寒・難・看(平声、寒韻)。
【訓読文】
却つて睦州に帰り七里灘下に至つて作る。
南帰猶ほ謫宦、独り上ぼる七里灘。

山開きて斜照在り、石浅くして乱流難し。
惆悵す梅花の發(ひら)き、年年此地に看るを。
【注】
○却 あべこべに。出世して故郷に錦を飾るのではなく、左遷されて南方にかえってきたのでこのようにいうのであろう。
○睦州 浙江省建徳県。
○七里灘 浙江省桐廬県城南十五キロ。銭塘江の両岸の山々が切り立ち、水流はげしい地域が七里におよぶところからいう。富春山(厳陵山)は東漢の厳子陵が釣りを垂れた所と伝えられる。
○謫宦 官吏がとがめをうけて官位をおとされ、また、遠方の地へ流されること。
○乱流 不規則な水流。
○惆悵 かなしみなげくさま。
○梅花 ウメの花。
○發 花が開く。

【訳】
あべこべに睦州に帰ることになり、七里灘のところまでやって来て作った詩。
このたび南方に帰ることになったが、なさけなくも左遷である。ひとりさびしく七里灘に舟を浮かべる。
中洲を見下ろすように生えた川沿いの木々のむこうに日は暮れゆき、川原の砂の上にいる水鳥たちの姿もさむざむしい。
きりたった両岸の山々の間からは夕陽がさしこみ、水面から突き出た岩にせき止められた不規則な流れは行きなやむ。






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Last updated  August 25, 2005 07:37:42 PM
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