趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

August 28, 2005
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朱放自杭州與故里相使君立碑回因以奉簡吏部楊侍郎製文

片石羊公後、凄凉江水濱。
好辭千古事、墮涙萬家人。
■(服の右に鳥。フクとよむ)集占書久、鸞回刻篆新。
不堪相顧恨、文字日生塵。
【韻字】濱・人・新・塵(平声、真韻)。
【訓読文】
朱放の杭州より故里の相・使君に碑を立てんとする回を与ふ。因つて以つて吏部楊侍郎に文を製せんことを奉簡す。
片石羊公の後、凄凉たり江水の浜。

■(フク)集ひて書を占むること久しく、鸞回りて篆を刻すること新たなり。
堪へず相顧恨するに、文字日(ひび)に塵を生ずるを。
【注】
○朱放 字は長通。南陽の人。▼(炎の右にリットウ。センとよむ)渓に隠居す。嗣いで曹王皐の江西を鎮ずるや、節度参謀に辟さる。貞元中、召されて左拾遺と為るも就かず。
○杭州 浙江省杭州市。
○故里 ふるさと。生まれた土地。
○相 君主をたすける大臣。
○使君 刺史。州の長官。
○回 まわしぶみ。
○吏部 尚書省の六部の一。文官の人材の選考、勲功の評価、昇進・罷免などをつかさどった。
○片石 一片の石。

○凄凉 ものさびしい。
○■(フク) ミミズク。一説にフクロウ。不吉な鳥とされている。『西京雑記』巻五「賈誼長沙に在り、■(フク)鳥其に集ひて塵を承く。長沙の俗に■(フク)鳥の人家に至るを以て、主人死せんと」。
○鸞 ラン。鳳凰のなかまで、形はニワトリに似て、羽は五色、声は音楽にかなうという伝説の霊鳥。篆書の書体が鳥の足跡に似るので「鳥篆」という別名があることにかけたものであろう。 

【訳】
朱放が杭州から同郷の大臣や刺史に記念碑を建てるための回状を送った。そこで吏部侍郎の楊氏に碑文の製作を手紙で依頼する。

大昔のすぐれた事跡を文章で説明すれば、万人も感激して涙を流すでしょう。
現状では不吉なミミズクが碑の周辺に集まってきて飛び回り文字が読めないようなありさまですが、めでたい鸞鳥が戻ってきて飛び回るよう真新しい文字を刻んだ碑を建てたいものです。
このまま碑が放置され、文字の上に日々あらたに塵が積もって朽ちていくのを恨めしげに眺めるのはしのびない。





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Last updated  August 28, 2005 09:16:24 AM
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