趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

August 28, 2005
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新年作

郷心新歳切、天畔獨潸然。
老至居人下、春歸在客先。
嶺猿同旦暮、江柳共風煙。
已似長沙傅、從今又幾年。
【韻字】然・先・煙・年(平声、先韻)。
【訓読文】
新年の作

郷心新歳切なり、天畔独りり潸然(サンゼン)。

嶺猿旦暮を同じくし、江柳風煙を共にす。
已(すで)に似たり長沙の傅(フ)、今より又幾年。
【注】
○郷心 故郷を思う心。
○新歳 年のはじめ。新年。
○天畔 はるかに遠いところ。
○潸然 涙が流れるさま。『詩経』《大東》「潸然として涕を出だす」。
○居人下 思うように出世しないことをいうのであろう。
○旦暮 朝も夕暮れも。たえず。
○風煙 風ともやと。
○長沙傅 長沙王の傅(お守り役)となった賈誼(カギ)。前漢の文帝に仕えた文人。辞賦に長じ、論策にもすぐれた。著に『新書』あり。(前201ー前169年)。

【訳】
新年を迎えて詠んだ詩。

新年を他郷で迎え、故郷をおもう心もひとしお。遠く離れたふるさと思い、ひとりションボリ涙にくれる。
この年になっても出世はかなわず、人の下で使われるありさま。我が身は故郷にかえらぬまま、あべこべに春の季節が帰ってきて我が目の前にある。
山の猿といっしょに朝夕を迎え、川端の柳と川風や川もやを共有する。






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Last updated  August 28, 2005 09:05:12 AM
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