趣味の漢詩と日本文学

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September 19, 2005
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題元録事開元所居

幽居蘿薜情、高臥紀綱行。
鳥散秋鷹下、人間春草生。
冒嵐歸野寺、収印出山城。
今日新安郡、因君水更清。
【韻字】行・生・城・清(平声、庚韻)。
【訓読文】
元録事が開元の所居に題す。

鳥散じて秋鷹下り、人間春草生ず。
嵐を冒して野寺に帰り、印を収めて山城を出づ。
今日新安郡、君に因つて水更に清らかなり。
【注】
○元録事 劉長卿の友人であろうが、未詳。「録事」は、州郡の属官(地方官庁の事務官)で、文書や帳簿を管理する。
○開元 安徽省にあった寺の名前か。
○所居 住居。ここでは寺の敷地内に間借りしていたか。
○幽居 しずかな住まい。
○蘿薜 ふつう「薜蘿」と書き、カズラのことであるが、詩では平仄の都合で往々にして語順を逆にする。
○高臥 世俗にわずらわされず、高尚な心で暮らす。
○鳥散秋鷹下、人間春草生 「鷹」は厳格な役人である元録事、「鳥」は不正をはたらく悪人、「春草」は、庶民を指すのであろう。すなわち、立派な役人がいれば、悪人がはびこらなくなり、庶民がのびのびと生活できるということを暗示しているのであろう。

○嵐 山にたちこめるモヤ。
○印 官印。
○新安郡 安徽省歙県。
【訳】
元録事の開元の住居を詠んだ詩。

秋に鷹が舞い降りると他の鳥は散りぢりに逃げ、世間には春の草が生じる。
山にモヤがたちこめているにもかかわらず野寺に帰り、官印をしまって山の城壁を出る。
現在の新安郡は、君のおかげで川の水までもいっそう清らか。





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Last updated  September 19, 2005 07:28:35 PM
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