趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

September 19, 2005
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送崔載華張起之■(門のなかに虫。ビン)中 
不識■(ビン)中路、遙知別後心。
猿聲入嶺切、鳥道問人深。
旅食過夷落、方言會越音。
西征開幕府、早晩用陳琳。
【韻字】心・深・音・琳(平声、侵韻)。
【訓読文】
崔載華・張起の■(ビン)中に之(ゆ)くを送る。 
識らず■(ビン)中の路、遙かに知る別後の心。

旅食夷落を過ぎ、方言越音に会す。
西征幕府を開き、早晩陳琳を用ゐん。
【注】
○崔載華・張起 いずれも劉長卿の友人らしいが、未詳。2番に既出。
○■(ビン)中 福建省。2番に既出。
○別後 別れて以来。
○猿声 サルの鳴き声。もの悲しいものとされる。
○鳥道 鳥しか渡れないような険しい道。山の尾根。
○旅食 よその土地で暮らす。
○夷落 未開の異民族の住む集落。
○方言 お国なまり。

○西征 西方へ向かう。
○幕府 将軍の本営。節度使の政務をとる所。
○早晩 いずれ。いつか。
○陳琳 三国魏の文人。広陵の人。字は孔璋。建安七子の一。文章をよくし、もっとも檄文に長じた。(?ー217年)。
【訳】

■(ビン)中の路は通ったこともないが、遠くからでも別れてからの辛さは想像がつく。
猿の声は悲しげに嶺にひびき、人を訪問するにも鳥しか通らぬような深く険しい山道を通らねばならぬ。
未開の異民族の集落に旅をつづけ、越の地方の聞き慣れない発音や方言にでくわすかもしれぬ。
それでも、そのうち朝廷が節度使を西に派遣して幕府を開けば、いずれ陳琳のようにすぐれた文人である君たちを登用することであろう。





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Last updated  September 19, 2005 08:18:34 PM
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