趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

September 22, 2005
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寄會稽公徐侍郎(公時在王傅) 

搖落淮南葉、秋風想越吟。
鄒枚入梁苑、逸少在山陰。
老鶴無衰貌、寒松有本心。
聖朝難税駕、惆悵白雲深。
【韻字】吟・陰・心・深(平声、侵韻)。
【訓読文】
会稽公徐侍郎に寄す。(公時に王傅に在り) 
揺落す淮南の葉、秋風越吟を想ふ。

老鶴衰貌無く、寒松本心有り。
聖朝税駕難く、惆悵す白雲の深きを。
【注】
○会稽公徐侍郎 劉長卿の知人らしいが、未詳。
○揺落 風を受けてひらひらと散る。
○淮南 唐代の道の名。淮水以南の地。いまの湖北・江蘇・安徽省の一部。
○越吟 荘■(潟のサンズイのない字。セキ)は楚の執珪に官したが、故国を忘れず越国の歌を吟唱したという。
○鄒枚 漢の文人で、梁の孝王に仕えた鄒陽と枚乗。
○梁苑 兎園。漢の文帝の次男、梁の孝王の庭園。ここで四方の豪傑や学者を集めて盛大な宴を催した。
○逸少 王羲之。字は逸少。琅邪郡臨沂の人。秘書郎、江州刺史、護軍、右軍将軍、会稽内史に官す。官を退き、会稽に遊んで書を楽しんだ。永和九年(353)、蘭亭に清遊の人士を集めて詩文の会を催した。晩年は五斗米道に傾倒。若くして書を好み、漢魏以来の書を集大成し、能書家としても知られ、子の王献之とともに二王と称される。「蘭亭序」「十七帖」は著名。 (321-379年。一説に303ー361年)。
○山陰 秦は山陰県を置いた。治所は今の浙江省紹興市。

○聖朝 聖天子の御代。
○税駕 馬車から馬を解きはなって休息する。
○惆悵 恨み嘆く。失望して悲しむ。
【訳】
会稽公の徐侍郎に贈る詩。(公は現在、王の補佐役である) 

鄒陽も枚乗も梁の孝王の庭苑に入り、王羲之は山陰県に住んだ。
老いた鶴は衰えた容貌は無く、寒中の松は昔の気持ちを忘れず青い葉を茂らせている。
聖王治めたもう御代では馬車から馬をはずして休むまもなく、天子の取り巻きが空の厚い白雲のように天子の明徳を覆い隠してしまうのを悲しみ嘆く。





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Last updated  September 23, 2005 06:43:01 AM
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