趣味の漢詩と日本文学

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September 21, 2005
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送張司直赴嶺南謁張尚書 

番禺萬里路、遠客片帆過。
盛府依横海、荒祠拜伏波。
人經秋瘴變、鳥墜火雲多。
誠憚炎洲裏、無如一顧何。
【韻字】過・波・多・何(平声、歌韻)。
【訓読文】
張司直の嶺南に赴きて張尚書に謁するを送る。
番禺(ハングウ)万里の路、遠客片帆過ぐ。

人は秋瘴を経て変じ、鳥は火雲に墜つること多し。
誠に憚(はばか)る炎洲の裏、一顧を如何ともする無きを。
【注】
○張司直 劉長卿の友人であろうが、未詳。「司直」は、裁判官。公明正直を司る官。
○嶺南 唐代の道(ドウ。地方行政区画)の一。五嶺(湖南省の衡山から東、海に至る山系の五つの嶺)の南。広東省・広西省。
○謁 お目通りする。偉い人に会う。
○張尚書 未詳。「尚書」は、唐代の行政の中央最高官庁の長官。
○番禺 広東省番禺県。
○万里 きわめて遠い距離。
○遠客 遠方へ向かう旅人。
○片帆 一方にだけ帆を揚げた船。

○横海 漢の将軍の名号。
○荒祠 あれはてたほこら。
○伏波 漢の将軍の名号。
○秋瘴 秋の瘴気(人を病気にする高温と湿気)。
○火雲 燃え立つような夏の雲。

○無如……何 ……をどうすることもできない。
○一顧 ちらっと見ること。また、目をかけて世話すること。
【訳】
張司直が嶺南に赴任して張尚書にお会いしに行くのを見送る。
番禺までは万里の路のり、遠くへ旅立つ君をのせた片帆の船が通り過ぎてゆく。
幕府は横海将軍をたよりにし、荒れはてた祠のそばで伏波将軍の任務をはたす。
南方では環境が厳しく人は秋の瘴気にあたると体調をくずし、鳥は夏の雲がうかぶ空の暑さにたえきれず墜ちることも多いという。
ほんとうに心配なのは南方の地にあって、君が張尚書様から目もくれられないことだ。





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Last updated  September 21, 2005 08:18:51 PM
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