趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

September 25, 2005
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送李秘書卻赴南中(此公舉家先流嶺外,兄弟數人倶沒南中) 
卻到番禺日、應傷昔所依。
炎洲百口住、故國幾人歸。
路識梅花在、家存(一作看)棣萼稀。
獨逢廻雁去、猶作舊行飛。
【韻字】依・歸・稀・飛(平声、微韻)。
【訓読文】
李秘書の南中に赴くを送る。(此の公は家を挙げて先づ嶺外に流され、兄弟数人倶に南中に没す)
卻つて番禺に到る日、応に昔依る所を傷むべし。

路には梅花の在るを識り、家には棣萼を存すること稀なり。
独り廻雁の去るに逢へば、猶ほ旧行を作(な)して飛ぶがごとし。
【注】
○李秘書 劉長卿の知人であろうが、未詳。「秘書」は、秘書郎。宮中の図書係。
○南中 ひろく中国の南方の地を指す。
○嶺外 いまの広東省の地。
○番禺 広東省の県名。
○炎洲 暑い南方の土地。
○百口 一家のひとびと。
○棣萼 ニワウメの花がいくつも集まって美しいことから、兄弟の交情の美しさをたとえる。
○廻雁 北へ帰る雁。

李秘書が南中に赴任するのを見送る。(彼は一家こぞって先に嶺外に流され、兄弟のうち数人は南中で亡くなった)
かえって番禺にもどられる日、きっと昔身をお寄せになった所で兄弟の死をお悲しみになるのでしょう。
南方の地に大勢がとどまり、故郷へ帰るものはほとんど無い。
路にはどこに梅花が在ったかもしっておられようが、家にはニワウメの花はまばらなろうに、兄弟が何人か亡くなってしまった。
独り北へかえる雁の群れに逢へば、ちょうど南に来たときと同様に一羽も欠けずに列をなして飛んで帰るようで、兄弟の欠けたあなたにはおつらいでしょう。





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Last updated  September 25, 2005 06:53:28 PM
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