趣味の漢詩と日本文学

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September 26, 2005
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過前安宜張明府郊居 
寂寥東郭外、白首一先生。
解印(一作考滿)孤琴在、移家(一作家移)五柳成。
夕陽臨水釣、春雨向田耕。
終日空林下、何人識此情。
【韻字】生・成・耕・情(平声、庚韻)。
【訓読文】
前の安宜の張明府が郊居に過(よ)ぎる。
寂寥たり東郭の外、白首の一先生。

夕陽水に臨んで釣り、春雨田に向(お)いて耕す。
終日空林の下、何人か此情を識らん。
【注】
○過 たちよる。
○安宜 宜安の誤りか。宜安県の治所は今の江蘇省宝応県。
○張明府 劉長卿の知人らしいが、未詳。
○郊居 郊外の住居。 
○寂寥 ひっそりとして、さびしい。
○東郭 町の東側の外囲い。
○白首 年老いて頭髪が白い。
○解印 官印のひもを解く。官職をやめることをいう。

○臨水 川の畔に行く。
○向 場所を示す前置詞。
○田 はたけ。
○終日 一日中。
○空林 ひとけのない寂しい林。

【訳】
前任の安宜の張長官の郊外の住居に立ち寄る。
ひっそりとさびしい、町の東のはずれ、そこに白髪頭の一人の立派な人士がおられる。
官職を退いて琴をつまびき、郊外に転居して庭には陶淵明にならって五本のヤナギを植えておられる。
夕日をあびて川で釣りをし、春雨のそぼふるなか畑を耕す。
一日中そんな静かな林のそばの暮らし、いったい誰がこんなのんびりとして静かな暮らしの良さがわかろうか。





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Last updated  September 26, 2005 12:47:29 PM
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